IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大林組の特許一覧

<>
  • 特開-通風型温度調節装置 図1
  • 特開-通風型温度調節装置 図2
  • 特開-通風型温度調節装置 図3
  • 特開-通風型温度調節装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069951
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】通風型温度調節装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/02 20060101AFI20240515BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20240515BHJP
   E06B 9/40 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
E06B7/02
E06B9/24 C
E06B9/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180261
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相賀 洋
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036JA09
2E036JC02
2E036MA01
(57)【要約】
【課題】居住空間の狭小化を回避する通風型温度調節装置を提供する。
【解決手段】通風型温度調節装置1は、調光窓Wと、遮蔽部材2と、換気装置4と、を備える。調光窓Wは、建物外壁BWの開口部BOに配置され、建物Bの居住空間Rに入る光の量を調整可能である。遮蔽部材2は、調光窓よりも居住空間側において上下に延びるように配置され、調光窓が居住空間側に露出する開状態と、調光窓が居住空間側から遮蔽される閉状態と、の間を移動可能である。換気装置4は、居住空間の空気を、調光窓及び遮蔽部材の間の空間を介して、吸引する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物外壁の開口部に配置され、前記建物の居住空間に入る光の量を調整可能な調光窓と、
前記調光窓よりも前記居住空間側において上下に延びるように配置され、前記調光窓が前記居住空間側に露出する開状態と、前記調光窓が前記居住空間側から遮蔽される閉状態と、の間を移動可能な遮蔽部材と、
前記居住空間の空気を、前記調光窓及び前記遮蔽部材の間の空間を介して、吸引する換気装置と、を備える、
ことを特徴とする通風型温度調節装置。
【請求項2】
前記換気装置は、前記閉状態において、前記居住空間の空気を、前記調光窓及び前記遮蔽部材の間の空間を介して、吸引する、
請求項1に記載の通風型温度調節装置。
【請求項3】
前記遮蔽部材は、上下方向又は左右方向に移動可能となるように構成され、
前記遮蔽部材を移動させる装置を、さらに備える、
請求項1に記載の通風型温度調節装置。
【請求項4】
前記遮蔽部材は、前記建物の上部から吊り下げられ、上下方向に移動可能なロールスクリーンである、
請求項3に記載の通風型温度調節装置。
【請求項5】
前記調光窓は、調光ガラス窓、又は、ガラス窓に貼付された調光フィルムである、
請求項1に記載の通風型温度調節装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通風型温度調節装置、特に、建物外壁の開口部近傍に配置される通風型温度調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の外部空間に面する外側ガラスと建物の居住空間に面する内側ガラスとの間に空気を流通させる技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、窓サッシの外面側に嵌め込まれた外側ガラスと、窓サッシの室内側に嵌め込まれた内側ガラスと、外側ガラスと内側ガラスの間に形成された空気流通路と、窓サッシ内において内側ガラスに沿って吊設されたブラインドと、を備える外壁構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-256277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術では、窓サッシ内にブラインドが設けられるため、ブラインドの厚みの分、窓サッシを厚く形成する必要があり、居住空間が狭くなるおそれがある。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、居住空間の狭小化を回避する通風型温度調節装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る通風型温度調節装置は、建物外壁の開口部に配置され、前記建物の居住空間に入る光の量を調整可能な調光窓と、前記調光窓よりも前記居住空間側において上下に延びるように配置され、前記調光窓が前記居住空間側に露出する開状態と、前記調光窓が前記居住空間側から遮蔽される閉状態と、の間を移動可能な遮蔽部材と、前記居住空間の空気を、前記調光窓及び前記遮蔽部材の間の空間を介して、吸引する換気装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、居住空間の狭小化を回避する通風型温度調節装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る通風型温度調節装置の側面図である。
図2】本実施形態に係る通風型温度調節装置の制御ブロック図である。
図3】本実施形態に係る遮蔽部材を説明する図である。
図4】本実施形態に係る調光ガラス窓を説明する図であり、(a)は、調光ガラス窓の光透過量が多い状態、(b)は、調光ガラス窓の光透過量が少ない状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態の一つである通風型温度調節装置1について説明する。各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。
【0011】
<通風型温度調節装置1の構成>
図1及び図2に示すように、通風型温度調節装置1は、ロールスクリーン(遮蔽部材)2と、巻取装置3と、換気装置4と、制御装置5と、調光ガラス窓(調光窓)Wと、給電装置7と、センサ40とを備える。
【0012】
図2に示すように、通風型温度調節装置1は、建物Bのペリメータ領域Pに配置される。ペリメータ領域Pとは、建物Bの外壁BWまたは開口部BOの近傍の領域である。通風型温度調節装置1は、ペリメータ領域P、特に、外壁BWの開口部BOの近傍に配置される。
【0013】
なお、以下の説明においては、重力方向に従って上下方向を定義する(図2図4)。また、上下方向に対して垂直な方向であって、ロールスクリーン2の幅方向を左右方向と定義する(図3)。
【0014】
図3に示すように、ロールスクリーン2は、一端部21から他端部22まで延びる長尺の部材である。本実施形態では、一端部21が上端に位置し、他端部22が下端に位置する場合を説明する。図1に示すように、ロールスクリーン2は、調光ガラス窓Wの近傍において上下に延びるように吊下げられ、建物Bの室内を通風空間Sと居住空間Rとに区画する。換言すれば、ロールスクリーン2は、調光ガラス窓Wよりも居住空間R側において上下に延びるように配置される。これにより、ロールスクリーン2と調光ガラス窓Wとの間には、通風空間Sが形成される。
【0015】
ロールスクリーン2は、一端部21から他端部22に亘って延びる織布である。ロールスクリーン2は、経糸と緯糸とにより網目状に構成される。ロールスクリーン2の光透過率及び日射遮蔽率は、経糸と緯糸との間の隙間の大きさや経糸と緯糸の材質等に応じて、適宜決定される。ロールスクリーン2の光透過率及び日射遮蔽率は、使用目的に応じて適宜変更されてよく、特に限定されるものではない。
【0016】
ロールスクリーン2は、他端部22にボトムバー6を有する。ボトムバー6は、ロールスクリーン2の他端部22に着脱自在に取り付けられる棒状の部材である。ボトムバー6の着脱の方法としては、面ファスナ、線ファスナ(例えば務歯を用いたものなど)、及び、釦などの点ファスナの、いずれもが採用可能である。ボトムバー6は、他端部22とほぼ同じ長さ(左右方向長さ)を有する。ボトムバー6は、他端部22より、左右方向に長く形成されてもよい。ボトムバー6は、自身の重量により、ロールスクリーン2に下方向への張力を加える。
【0017】
巻取装置3は、ロールスクリーン2の巻上げ及び巻下げを行う装置であり、天井板Uの近傍に固定される。巻取装置3は、ロールスクリーン2の一端部21に接続される軸部31と、軸部31を回転させるモータなどの動力部32とを有する。巻取装置3は、制御装置5と有線又は無線により接続され、制御装置5と通信可能である。巻取装置3は、制御装置5からの指示を受け、動力部32を用いて軸部31を回転させることによって、ロールスクリーン2を巻上げて、または巻下げて、上下に移動させることができる。巻取装置3がロールスクリーン2を巻上げることにより、調光ガラス窓Wが居住空間R側に露出する開状態となる。巻取装置3がロールスクリーン2を巻下げることにより、調光ガラス窓Wが居住空間R側から遮蔽される閉状態となる。閉状態において、ボトムバー6と床面Fとの間に所定の通風クリアランスが形成される。
【0018】
本実施形態では、換気装置4は、天井板Uの上方に設置される。換気装置4は、制御装置5と有線又は無線により接続され、制御装置5と通信可能である。換気装置4は、建物B内部(すなわち居住空間R)の空気を、通風空間Sを介して吸引する装置である。具体的には、換気装置4は、制御装置5からの指示を受け、ロールスクリーン2の閉状態において、居住空間Rの空気を、通風空間Sを介して吸引する。換気装置4によって吸引された空気は、不図示のダクトなどを介して、建物Bの外部に排出される。
【0019】
図1に示すように、調光ガラス窓Wは、建物外壁BWの開口部BOに配置され、建物Bの居住空間Rに入る光の量を調整可能な窓である。具体的には、建物外壁BWの開口部BOには窓サッシ50が取付けられ、調光ガラス窓Wは、窓サッシ50に嵌め込まれている(図4)。本実施形態では、調光ガラス窓Wは一重ガラス構造になっている。調光ガラス窓Wは、開閉することのできないFIX窓を用いてもよく、開閉可能な窓を用いてもよい。
【0020】
調光ガラス窓Wは、エレクトロクロミズムの原理により、給電装置7を介して印加される電圧に応じて、光透過率が増減するよう機能する。給電装置7は、制御装置5と有線又は無線により接続され、制御装置5と通信可能である。給電装置7から調光ガラス窓Wに印加される電圧は、制御装置5によって制御される。つまり、調光ガラス窓Wの光透過率は、制御装置5によって制御される。
【0021】
本実施形態では、調光ガラス窓Wが、透過型のエレクトロクロミック素子を有する場合を説明する。この場合、給電装置7が、制御装置5の指示を受け、調光ガラス窓Wに印加する電圧を大きくすると、調光ガラス窓Wの光透過率が増加する。これにより、例えば、調光ガラス窓Wは透明になる(図4(a))。一方、給電装置7が、制御装置5の指示を受け、調光ガラス窓Wに印加する電圧を小さくすると、調光ガラス窓Wの光透過率が減少する。これにより、例えば、調光ガラス窓Wは曇りガラスのようになる(図4(b))。なお、調光ガラス窓Wに電圧が印加されていない状態では、調光ガラス窓Wの光透過率が最小となる。
【0022】
制御装置5は、上述したように、巻取装置3、換気装置4、及び給電装置7と通信可能に接続され、巻取装置3、換気装置4、及び給電装置7の動作を制御する。制御装置5には、センサ40が通信可能に接続されている。センサ40の例としては、日射センサや温度センサが挙げられる。制御装置5は、センサ40の計測結果に応じて、巻取装置3、換気装置4、及び給電装置7の動作を制御する。
【0023】
<通風型温度調節装置1の動作>
通風型温度調節装置1の動作を以下に説明する。
【0024】
制御装置5は、センサ40から建物Bの状況を取得し、取得した状況に応じて巻取装置3を動作させて、ロールスクリーン2の巻上げまたは巻下げを行う。建物Bの状況としては、温度センサにより計測される建物B内の温度や、日射センサにより計測される日射量などが考慮され得る。
【0025】
一例として、制御装置5は、夏季において、建物Bの居住空間Rにおける温度が予め設定された閾値よりも高い場合、または、冬季において、建物Bの居住空間Rにおける温度が予め設定された閾値よりも低い場合、巻取装置3を動作させて、ロールスクリーン2の巻下げを行う。これにより、夏季においては、建物Bの外部から居住空間Rに入る光の量が減るので、居住空間Rの過剰な温度上昇が抑制される。また、冬季においては、居住空間Rから建物Bの外部へ放出される熱が減るので、居住空間Rの過剰な温度低下が抑制される。
【0026】
また、制御装置5は、センサ40から建物Bの状況を取得し、取得した状況に応じて換気装置4を動作または停止させる。
【0027】
一例として、制御装置5は、夏季において、日射量が予め設定された閾値よりも高い場合、換気装置4を動作させて、通風空間Sに滞留する暖気の吸引を行う。これにより、通風空間Sに滞留する暖気が減るので、居住空間Rの過剰な温度上昇が抑制される。
【0028】
また、一例として、制御装置5は、冬季において、日射量が予め設定された閾値よりも低い場合、換気装置4を停止させる。これにより、通風空間Sに空気が滞留するので、居住空間Rの過剰な温度低下が抑制される。
【0029】
また、制御装置5は、センサ40から建物Bの状況を取得し、取得した状況に応じて給電装置7を動作させて、調光ガラス窓Wの光透過率の変更を行う。
【0030】
一例として、制御装置5は、夏季において、建物Bの居住空間Rにおける温度が予め設定された閾値よりも高い場合、又は、日射量が予め設定された閾値よりも高い場合、給電装置7から調光ガラス窓Wへの電圧印加を停止させ、調光ガラス窓Wの光透過率を小さくする。これにより、建物Bの外部からの光は、調光ガラス窓Wにおいて反射及び吸収されるので、居住空間Rの過剰な温度上昇が抑制される。
【0031】
また、一例として、制御装置5は、夏季において、建物Bの居住空間Rにおける温度が予め設定された閾値よりも低い場合、又は、日射量が予め設定された閾値よりも低い場合、給電装置7に調光ガラス窓Wへの電圧印加を行わせ、調光ガラス窓Wの光透過率を大きくする。これにより、建物Bの外部からの光は、調光ガラス窓Wを透過しやすくなるので、居住空間Rの過剰な温度低下が抑制される。
【0032】
<効果>
上記各実施形態においては、以下のような態様が開示される。
【0033】
(態様1)
通風型温度調節装置1は、建物外壁BWの開口部BOに配置され、建物Bの居住空間Rに入る光の量を調整可能な調光窓Wと、調光窓Wよりも居住空間R側において上下に延びるように配置され、調光窓Wが居住空間R側に露出する開状態と、調光窓Wが居住空間R側から遮蔽される閉状態と、の間を移動可能な遮蔽部材2と、居住空間Rの空気を、調光窓W及び遮蔽部材2の間の通風空間Sを介して、吸引する換気装置4と、を備える。
【0034】
上記構成とすることにより、夏季など居住空間Rの温度を低く保ちたい場合には、調光窓Wで光を遮り、輻射熱が遮蔽部材2に伝達することを抑制できる。これにより、居住空間Rへの輻射熱の進入を抑制できる。このため、通風空間Sに、ブラインドを配置する必要がなく、ブラインドの厚みの分、通風空間Sを狭く形成することができる。よって、居住空間Rの狭小化を回避することができる。
【0035】
また、遮蔽部材2を開状態にすることで、調光ガラス窓Wへのアクセスが可能になる。このため、調光窓Wの保守点検や、通風空間Sの掃除等を、容易に行うことができる。
【0036】
ここで、調光ガラス窓Wに光が吸収されると、調光ガラス窓Wの温度が上昇する。このため、調光窓ガラスWからの輻射熱により、通風空間S及び遮蔽部材2を介して、居住空間Rが暖められるおそれがある。特に、夏季においては、調光ガラス窓Wの温度が著しく上昇するため、居住空間Rにおける熱環境が悪化するおそれがある。
【0037】
この点、態様1の構成では、夏季において遮蔽部材2を閉状態にすることで、通風空間Sに滞留している空気は、居住空間Rの空気よりも温度が高くなる。このため、通風空間Sに滞留している空気は煙突効果により上昇する。よって、図1の矢印で示すように、居住空間Rの空気が通風クリアランスから吸引され、この空気が通風空間Sに供給され、通風空間Sを上昇した空気が建物Bの外部等に排出される。このように、通風空間S内の暖気を建物Bの外部などに送り出すことができるので、居住空間Rにおける熱環境を改善することができる。
【0038】
さらに、態様1の構成では、換気装置4により、居住空間Rの空気を、通風空間Sを介して吸引することで、通風空間S内の空気の流動を促進できる。このため、煙突効果と相乗して、通風空間Sの通気量が増加し、排熱量を増やすことができる。このように、換気装置4により、通風空間Sの通気量が増加することにより、通風空間S内の暖気を効率的に建物Bの外部などに送り出すことができる。このため、通風空間S内の暖気を建物Bの外部などに効率的に送り出すことができるので、遮蔽部材2の表面温度を、居住空間Rの温度に極めて近くすることができ、ペリメータ領域Pでも、夏季における良好な熱環境を得ることができる。
【0039】
一方、冬季において居住空間Rを暖かく保ちたい場合には、遮蔽部材2を閉状態にしつつ換気装置4を動作させることにより、通風空間S内の冷気は居住空間R側には漏れ出ず、遮蔽部材2の下方の通風クリアランスから吸引される空気と混合しながら、室外に排出される。従って、遮蔽部材2の表面温度を、居住空間Rの温度に極めて近くできるので、ペリメータ領域Pでも、冬季における良好な熱環境を得ることができる。
【0040】
(態様2)
態様1において、換気装置4は、遮蔽部材2の閉状態において、居住空間Rの空気を、調光窓W及び遮蔽部材2の間の空間を介して、吸引する。
【0041】
ロールスクリーン2が閉状態となり、ロールスクリーン2と調光ガラス窓Sにより囲まれた通風空間Sが最大となった場合、この通風空間Sに滞留する暖気や冷気の量も最大となる。このため、ロールスクリーン2が閉状態となると、通風空間Sに滞留する暖気や冷気を介して居住空間Rへ伝わる輻射熱も最大となる。このような場合であっても、態様2において、換気装置4は、ロールスクリーン2の閉状態において、通風空間Sの空気を室外などに排出する。このため、居住空間Rの過剰な温度上昇や過剰な温度低下を、抑制することができる。
【0042】
(態様3)
態様1または2において、遮蔽部材2は、上下方向又は左右方向に移動可能となるように構成され、遮蔽部材2を移動させる装置を、さらに備える。
【0043】
上記構成とすることにより、遮蔽部材2を開状態とするとき、遮蔽部材2は、居住空間R側へ移動することがない。このため、居住空間R側に、遮蔽部材2の開閉スペースを準備する必要がない。よって、居住空間Rの狭小化を回避することができる。
【0044】
(態様4)
態様1から3のいずれかにおいて、遮蔽部材2は、建物Bの上部から吊り下げられ、上下方向に移動可能なロールスクリーン2である。
【0045】
ロールスクリーン2は、その構成が複雑ではないので、上記構成とすることにより、遮蔽部材2の設置を容易に行うことができ、且つ、設置コストを抑制できる。
【0046】
(態様5)
態様1から4のいずれかにおいて、調光窓Wは、調光ガラス窓W、又は、ガラス窓に貼付された調光フィルムである。
【0047】
上記構成とすることにより、調光窓Wにより遮光することができ、遮蔽部材2は、直射日光による熱の影響を受けにくくなる。さらに、遮蔽部材2には直射日光が当たらず、遮蔽部材2の表面温度を居住空間Rの温度に極めて近い状態にすることができ、ペリメータ領域Pでの熱環境を良好にすることができる。
【0048】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に係る通風型温度調節装置1に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせても良い。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的態様によって適宜変更され得る。
【0049】
上記実施形態では、遮蔽部材としてロールスクリーン2を用いたが、遮蔽部材として他種の部材が用いられてもよい。例えば、カーテン、ブラインド、シェードなどである。遮蔽部材としてカーテンを用いる場合、一例として、カーテンは、左右方向に移動可能となるように構成されてよい。
【0050】
また、遮蔽部材は、織布に限られず、金属、プラスチックなどの素材、糸ではなく板部材など様々な材料、形状によって形成され得る。
【0051】
上記実施形態では、制御装置5は、センサ40の計測結果に応じて、巻取装置3、換気装置4、及び給電装置7の動作を制御する場合を説明した。しかし、巻取装置3、換気装置4、及び給電装置7は、オペレータによって手動で操作可能なものでもよい。
【0052】
上記実施形態では、調光ガラス窓Wが透過型のエレクトロクロミック素子を有する場合を説明したが、調光ガラス窓Wは、反射型のエレクトロクロミック素子を有してもよい。
【0053】
上記実施形態では、調光窓が、調光ガラス窓Wである場合を説明した。しかし、調光窓は、ガラス窓と、ガラス窓に貼付された調光フィルムとにより構成されてもよい。この場合、調光フィルムは、ガラス窓の室内側の内面に、貼付されている。なお、調光フィルムは、ガラス窓の少なくとも一方に貼付されていればよい。調光フィルムにおける、光透過率の増減の原理は、上述した調光ガラス窓Wの場合と同様である。
【0054】
上記実施形態では、調光ガラス窓Wが一重ガラスである場合を説明したが、調光ガラス窓Wは、二重ガラスであってもよいし、三重以上のガラスで構成されていてもよい。この場合、調光窓は、建物Bの外気に面する側にガラス窓が設けられ、建物Bの室内に面する側に調光ガラス窓W又は調光フィルムが設けられる。
【0055】
上記実施形態では、換気装置4が天井板Uの上方に設けられる場合を説明した。しかし、換気装置4は、例えば、建物Bの外部に設けられてもよい。
【0056】
上記実施形態では、換気装置4が、制御装置5からの指示を受け、ロールスクリーン2の閉状態において、換気運転する場合を説明した。しかし、換気装置4は、ロールスクリーン2の閉状態において換気運転することに加え、ロールスクリーン2の開状態において換気運転してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 通風型温度調節装置、2 ロールスクリーン(遮蔽部材)、3 巻取装置(装置)、4 換気装置、B 建物、BW 建物外壁、BO 開口部、R 居住空間、S 通風空間(調光窓及び遮蔽部材の間の空間)、W 調光ガラス窓(調光窓)
図1
図2
図3
図4