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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069992
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】故障診断支援装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20240515BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240515BHJP
   G05B 19/042 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
G01R31/00
G05B23/02 T
G05B19/042
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180314
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(71)【出願人】
【識別番号】522440429
【氏名又は名称】株式会社中央図研
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】橋本 太裕
(72)【発明者】
【氏名】高尾 直希
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 哲
(72)【発明者】
【氏名】濱畑 克司
(72)【発明者】
【氏名】杉原 勲
【テーマコード(参考)】
2G036
3C223
5H220
【Fターム(参考)】
2G036BA09
3C223AA22
3C223BA01
3C223CC01
3C223EA07
3C223EB03
3C223GG01
3C223HH29
5H220BB09
5H220CC09
5H220CX09
5H220JJ02
5H220JJ12
5H220JJ22
5H220JJ26
5H220JJ28
5H220JJ44
5H220KK03
5H220LL04
(57)【要約】
【課題】回路情報および設計情報を、容易かつ効率的に表示させることを目的とする。
【解決手段】対象機器で発生した故障の診断を支援する故障診断支援装置1であって、対象機器の構成部品の電気的接続状況が示される回路図を表示する表示部3と、回路図を表示するための情報に設計情報13が組み込まれた回路図情報11を記憶する記憶部10と、表示部3に表示された回路図におけるコネクタの接続端子または前記構成部品を選択する操作を受け付ける操作受付部5と、選択された構成部品または接続端子の設計情報13を記憶部10の回路図情報11から読み出して、設計情報13に対応する情報を示す診断支援図を表示部3に表示させる表示制御部7とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象機器で発生した故障の診断を支援する故障診断支援装置であって、
前記対象機器の構成部品の電気的接続状況が示される回路図を表示する表示部と、
前記回路図を表示するための情報に設計情報が組み込まれた回路図情報を記憶する記憶部と、
前記表示部に表示された前記回路図におけるコネクタの接続端子または前記構成部品を選択する操作を受け付ける操作受付部と、
選択された前記構成部品または前記接続端子の前記設計情報を前記記憶部の前記回路図情報から読み出して、前記設計情報に対応する情報を示す診断支援図を前記表示部に表示させる表示制御部とを備える故障診断支援装置。
【請求項2】
前記設計情報は前記構成部品および前記接続端子毎に割り振られた要素IDに紐づけられ、
前記表示部は、それぞれの前記要素IDに対応付けられた前記設計情報を前記回路図情報から読み出す請求項1に記載の故障診断支援装置。
【請求項3】
前記設計情報は、前記構成部品毎に、前記構成部品とその周辺に配置される前記構成部品との配置状態を示す艤装図が記憶された艤装図情報を含み、
前記表示制御部は、前記構成部品が選択されると、前記艤装図情報に基づいて、選択された前記構成部品に対応する前記艤装図を前記回路図から遷移させて表示させる請求項1に記載の故障診断支援装置。
【請求項4】
前記設計情報は、前記構成部品である前記コネクタ毎に、前記コネクタのピン配置図が記憶されたコネクタ情報を含み、
前記表示制御部は、前記接続端子が選択されると、前記コネクタ情報に基づいて、選択された前記接続端子に対応する前記コネクタの前記ピン配置図を前記回路図と共に表示させる請求項1に記載の故障診断支援装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記ピン配置図において、選択された前記接続端子を強調表示する請求項4に記載の故障診断支援装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記接続端子を着色することにより強調表示する請求項5に記載の故障診断支援装置。
【請求項7】
前記接続端子を着色する色が任意に切り替え可能である請求項6に記載の故障診断支援装置。
【請求項8】
前記設計情報は、前記構成部品毎に、前記構成部品の故障を検証するための手順を示す整備手順が記憶された整備手順情報を含み、
前記表示制御部は、前記構成部品が選択されると、前記整備手順情報に基づいて、選択された前記構成部品に対応する前記整備手順を示す整備手順書を、前記回路図と共に、または前記回路図から遷移させて表示させる請求項1に記載の故障診断支援装置。
【請求項9】
前記設計情報は、前記構成部品である配線毎に、前記配線の色の情報が記憶された配線情報を含み、
前記表示制御部は、前記構成部品として前記配線が選択されると、前記診断支援図として、前記配線情報に基づいて、前記選択された前記配線に対応する色を前記回路図の選択された前記配線に着色する請求項1に記載の故障診断支援装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、所定の操作が行われると、前記配線情報に基づいて、前記回路図の全ての前記配線を着色する請求項9に記載の故障診断支援装置。
【請求項11】
前記配線の色は、前記対象機器において設けられる前記配線が被覆されている色である請求項9または10に記載の故障診断支援装置。
【請求項12】
前記配線の色は、前記配線の機能に応じてあらかじめ定められた色である請求項9または10に記載の故障診断支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象機器の回路図および対象機器の設計情報を表示することにより対象機器で発生した故障の診断を支援する故障診断支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、対象機器の故障診断を行う際には、回路図を表示させると共に設計情報を表示させて、故障の診断が行われる。設計情報は、部品名等が入力されることにより、入力された部品に対応する設計情報が取得されて表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002―315124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、より簡便に、必要な情報を表示させることにより、容易かつ効率的に故障診断を行うことが求められている。
【0005】
本発明は、回路情報および設計情報を、容易かつ効率的に表示させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る故障診断支援装置は、対象機器で発生した故障の診断を支援する故障診断支援装置であって、前記対象機器の構成部品の電気的接続状況が示される回路図を表示する表示部と、前記回路図を表示するための情報に設計情報が組み込まれた回路図情報を記憶する記憶部と、前記表示部に表示された前記回路図におけるコネクタの接続端子または前記構成部品を選択する操作を受け付ける操作受付部と、選択された前記構成部品または前記接続端子の前記設計情報を前記記憶部の前記回路図情報から読み出して、前記設計情報に対応する情報を示す診断支援図を前記表示部に表示させる表示制御部とを備える。
【0007】
回路図を表示するための回路図情報には、対象機器を設計した際の情報である設計情報が流用されて組み込まれる。そして、作業者が、表示された回路図の構成部品または接続端子を選択することにより、構成部品または接続端子に対応する診断支援図が回路図情報から読み出されて表示される。表示された診断支援図を参照して故障診断が行われることにより、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【0008】
さらに、回路図情報に設計情報が組み込まれているため、作業者は、部品名等を入力する必要がなく、構成部品または接続端子の選択操作を行うだけで、診断支援図を表示させることができる。その結果、回路図および診断支援図を、容易かつ効率的に表示させることができ、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【0009】
また、前記設計情報は前記構成部品および前記接続端子毎に割り振られた要素IDに紐づけられ、前記表示部は、それぞれの前記要素IDに対応付けられた前記設計情報を前記回路図情報から読み出してもよい。
【0010】
このような構成により、選択された構成部品または接続端子の要素IDを介して、回路図情報から設計情報を読み出すことができる。その結果、回路図情報から容易かつ効率的に設計情報を読み出すことができ、回路図および診断支援図を容易かつ効率的に表示させることができる。
【0011】
また、前記設計情報は、前記構成部品毎に、前記構成部品とその周辺に配置される前記構成部品との配置状態を示す艤装図が記憶された艤装図情報を含み、前記表示制御部は、前記構成部品が選択されると、前記艤装図情報に基づいて、選択された前記構成部品に対応する前記艤装図を前記回路図から遷移させて表示させてもよい。
【0012】
このような構成により、艤装図を参照しながら、構成部品または接続端子の実際の配置位置、および、他の構成部品または接続端子との位置関係等を確認することができる。その結果、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【0013】
また、艤装図は比較的画面サイズが大きいため、回路図から遷移されて表示されることにより、表示部の表示サイズにかかわらず、艤装図の視認性を確保することができる。
【0014】
また、前記設計情報は、前記構成部品である前記コネクタ毎に、前記コネクタのピン配置図が記憶されたコネクタ情報を含み、前記表示制御部は、前記接続端子が選択されると、前記コネクタ情報に基づいて、選択された前記接続端子に対応する前記コネクタの前記ピン配置図を前記回路図と共に表示させてもよい。
【0015】
このような構成により、診断対象であるコネクタのピン配置図を参照しながら故障診断を行うことができるため、診断している回路図上の配線が接続されているコネクタにおける実際の接続端子の位置が明確となる。その結果、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
通常、コネクタのピン配置はあまり大きくないため、回路図とピン配置図とを同時に表示させることができる。その結果、回路図とピン配置図とを同時に確認しながら故障診断を行うことができるため、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【0016】
また、前記表示制御部は、前記ピン配置図において、選択された前記接続端子を強調表示してもよい。
【0017】
このような構成により、選択された接続端子を容易かつ効率的に把握でき、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【0018】
また、前記表示制御部は、前記接続端子を着色することにより強調表示してもよい。
【0019】
このような構成により、選択された接続端子をより容易かつ効率的に把握することができる。
【0020】
また、前記接続端子を着色する色が任意に切り替え可能であってもよい。
【0021】
このような構成により、選択された接続端子を容易かつ効率的に区別して把握することができる。
【0022】
また、前記設計情報は、前記構成部品毎に、前記構成部品の故障を検証するための手順を示す整備手順が記憶された整備手順情報を含み、前記表示制御部は、前記構成部品が選択されると、前記整備手順情報に基づいて、選択された前記構成部品に対応する前記整備手順を示す整備手順書を、前記回路図と共に、または前記回路図から遷移させて表示させてもよい。
【0023】
このような構成により、整備手順を参照しながら、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【0024】
また、前記設計情報は、前記構成部品である配線毎に、前記配線の色の情報が記憶された配線情報を含み、前記表示制御部は、前記構成部品として前記配線が選択されると、前記診断支援図として、前記配線情報に基づいて、前記選択された前記配線に対応する色を前記回路図の選択された前記配線に着色してもよい。
【0025】
このような構成により、回路図上で、配線情報に応じた色に着色された配線を確認しながら故障診断を行うことができる。その結果、回路図上での配線の確認が容易となり、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【0026】
また、前記表示制御部は、所定の操作が行われると、前記配線情報に基づいて、前記回路図の全ての前記配線を着色してもよい。
【0027】
このような構成により、全ての配線が着色されるため、回路図に表示された配線の接続関係を容易かつ効率的に把握することができ、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【0028】
また、前記配線の色は、前記対象機器において設けられる前記配線が被覆されている色であってもよい。
【0029】
このような構成により、診断している回路図上の配線が、対象機器のどの配線であるかを容易かつ効率的に確認することができる。その結果、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【0030】
また、前記配線の色は、前記配線の機能に応じてあらかじめ定められた色であってもよい。
【0031】
このような構成により、診断している配線の機能を確認しながら診断を進めることができる。その結果、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】故障診断支援装置の構成を例示する図である。
図2】回路図の構成を例示する図である。
図3】故障診断の処理フローを例示する図である。
図4】艤装図を例示する図である。
図5】ピン配置図の表示例を示す図である。
図6】整備手順書を例示する図である。
図7】回路図の配線を着色する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
トラクタ等の機器・装置は、電子部品や機械部品等の種々の部品(構成部品)から構成される。機器・装置に故障が生じると故障診断が行われ、故障個所や故障原因等が探求される。機器・装置を構成する部品や配線は複雑に組み合わされており故障診断は容易でないため、故障診断は種々の情報を参照しながら行われる。
【0034】
故障診断においては、まず、故障個所であると考えられる部品の周辺の回路図22図2参照)が表示される。さらに、表示された回路図22を操作することにより、部品や、電気的接続を行う配線等に関する各種の情報が表示される。
【0035】
故障診断を行う作業者は、表示された回路図22および各種の情報を参照しながら、故障個所や故障原因等を探求する。つまり、作業者は、このような情報の支援を受けながら、故障診断を行う。
【0036】
以下、故障診断が行われる対象機器の一例であるトラクタの、故障の診断を支援する故障診断支援装置1(図1参照)について説明する。
【0037】
〔故障診断支援装置〕
まず、図1図2を用いて、本実施形態における故障診断支援装置1について説明する。
【0038】
故障診断支援装置1は、表示部3と、操作受付部5と、表示制御部7と、記憶部10とを備える。故障診断支援装置1は、CPU等のプロセッサを備え、プロセッサにより各機能ブロックが制御される。故障診断支援装置1は、管理コンピュータやトラクタ本体に実装されてもよく、インターネット等の通信回線を介してコンピュータや携帯端末等から操作可能な構成であってもよい。
【0039】
表示部3は、回路図22や、その他の情報を表示する。操作受付部5は、作業者からの種々の操作を受け付ける。操作受付部5は、表示部3に表示される回路図22等に対して行われる人為的な操作を受け付けることができる。
【0040】
回路図22は、例えば、部品(構成部品24)と、構成部品24の電気的接続状況が示された図面であり、構成部品24の機械的接続が示されてもよい。つまり、回路図22は、1または複数の構成部品24と、構成部品24間を電気的に接続する配線25の接続状況を示す図面である。また、回路図22は、構成部品24の接続端子26を表示する。構成部品24は接続端子26を介して配線25と接続される。
【0041】
記憶部10は、回路図22を表示するための情報である回路図情報11等の、種々の情報を記憶する。回路図情報11は、回路図22を表示するための情報の他に、設計情報13と要素ID14とが組み込まれる。
【0042】
要素ID14は、全ての構成部品24および全ての接続端子26について割り振られる、個別の識別IDである。つまり、回路図22に表示され得る、全ての構成部品24および全ての接続端子26は、それぞれ異なる識別IDである要素ID14が付与される。
【0043】
設計情報13は、故障診断の際に表示される種々の情報であり、トラクタの設計の際に生成された情報が流用される。また、設計情報13は、要素ID14に紐づいて(対応して)回路図情報11に組み込まれる。そのため、1つの要素ID14に1つの設計情報13が対応付けられる。
【0044】
表示制御部7は、操作受付部5が受け付けた、表示部3に表示された回路図22の構成部品24または接続端子26に対する操作(選択)に応じて、操作(選択)された構成部品24または接続端子26に対応する設計情報13を記憶部10から取得する。具体的には、表示制御部7は、操作(選択)された構成部品24または接続端子26の要素ID14を記憶部10から読み出し、要素ID14に紐づけられた設計情報13を記憶部10から取得する。そして、表示制御部7は、設計情報13に対応する診断支援図30図4図7参照)を表示部3に表示させる。診断支援図30は、故障診断を支援するための図である。
【0045】
〔故障診断処理〕
次に、図1図3を用いて、本実施形態における故障診断の具体的な処理について説明する。
【0046】
まず、トラクタで故障が発生すると、故障診断支援装置1は、故障に対応する部分の回路図22を表示部3に表示する。具体的には、作業者によって故障診断支援装置1に故障に関する情報が入力されることにより、故障診断支援装置1は故障診断に必要な部分の回路図22を表示する(図3のステップ#1)。
【0047】
例えば、作業者は、故障の内容によってあらかじめ定められる故障コードを故障診断支援装置1に入力する。故障コードの入力は、キーボード等により直接行われてもよいし、表示された故障コードから選択される構成であってもよい。故障コードの入力の受け付けは、操作受付部5が行う。
【0048】
作業者は、故障診断支援装置1に表示された回路図22を確認しながら故障診断を行う。この際、回路図22の情報だけでは故障診断は困難であるので、故障診断支援装置1は、回路図22以外の情報を表示する。
【0049】
作業者は、詳しい情報を確認したい構成部品24または接続端子26を回路図22上で選択する(図3のステップ#2)。例えば、作業者は、詳しい情報を確認したい構成部品24または接続端子26を、回路図22上でタッチまたはクリックすることにより、構成部品24または接続端子26を選択する。
【0050】
表示部3に表示された回路図22において、配線25を含む構成部品24、および、接続端子26は、タッチまたはクリックが可能な態様で表示される。つまり、回路図情報11において、構成部品24および接続端子26は、タッチまたはクリックにより選択が可能な態様で構成される。作業者は、構成部品24または接続端子26を、タッチまたはクリックすることにより選択する。操作受付部5は、この作業者の操作を受け付ける。
【0051】
故障診断支援装置1は、選択された構成部品24または接続端子26に対応する診断支援図30図4図7参照)を表示部3に表示する(図3のステップ#3)。具体的には、表示制御部7は、操作受付部5が受け付けた構成部品24または接続端子26に対応付けられた要素ID14を回路図情報11から読み出す。さらに、表示制御部7は、読み出した要素ID14に対応付けられた設計情報13を回路図情報11から読み出す。そして、表示制御部7は、設計情報13に対応する情報を示す診断支援図30を表示部3に表示させる。
【0052】
表示部3に回路図22と診断支援図30とを表示させた状態で、作業者は故障診断を実施する(図3のステップ#4)。故障診断支援装置1は、別の構成部品24または接続端子26が選択されることにより、別に選択された構成部品24または接続端子26に対応する診断支援図30を表示することもできる。これらの診断支援図30は、同時に表示されてもよいし、遷移可能な状態で別々に表示されてもよい。
【0053】
故障診断は、回路図22と診断支援図30とを確認して、構成部品24または接続端子26の状態、構成部品24に対する配線25の接続状態等を確認したり、所定の試験を行ったりすることにより実施される。
【0054】
このように、回路図22に加えて、構成部品24または接続端子26に対応する診断支援図30が表示されることにより、構成部品24または接続端子26に関する種々の情報を確認しながら故障診断を行うことができる。これにより、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【0055】
さらに、回路図情報11に設計情報13を組み込む構成とすることにより、構成部品24または接続端子26を回路図22上で選択するだけで、所望の診断支援図30を表示させることができるため、構成部品24または接続端子26に対応する名称等を入力することを要さず、回路図22に加えて、容易かつ効率的に診断支援図30を表示させて、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【0056】
また、構成部品24および接続端子26と設計情報13とが要素ID14を介して紐づけられるため、選択された構成部品24または接続端子26に対応する設計情報13を要素ID14によって容易かつ効率的に読み出すことができる。そのため、容易かつ効率的に診断支援図30を表示させて、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【0057】
〔診断支援図〕
次に、図1図3を参照しながら、図4図7を用いて、診断支援図30の具体的な構成例について説明する。
【0058】
図4に示されるように、故障診断支援装置1は、診断支援図30として艤装図31を表示部3に表示することができる。この場合、設計情報13は艤装図情報16を含む。
【0059】
艤装図31は、トラクタにおいて、選択された構成部品24または接続端子26が実際にどのように組み付け・配置されているかを示す図であり、選択された構成部品24または接続端子26とその周辺に配置される構成部品24または接続端子26との配置状態を示す。
【0060】
回路図22上で、構成部品24または接続端子26が選択されると、故障診断支援装置1の表示制御部7は、選択された構成部品24または接続端子26に対応する情報を艤装図情報16から読み出す。そして、表示制御部7は、読み出した情報に基づいて選択された構成部品24または接続端子26を含む艤装図31を表示部3に表示させる。艤装図31は、回路図22から遷移されて表示されてもよい。艤装図31は、比較的画面サイズが大きいため、回路図22と同時に表示することが困難である場合がある。このような場合でも、回路図22から遷移されて艤装図31が表示されることにより、艤装図31の視認性を確保することができる。この際、所定の操作により回路図22に戻ることができる構成とすることが好ましい。逆に、回路図22および艤装図31の視認性を確保することができるなら、回路図22と艤装図31とが同時に表示されてもよい。これにより、回路図22と艤装図31とを同時に確認しながら、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。なお、図4は、構成部品24の一例として図2の回路図22に示される構成部品24Bが選択された場合の艤装図31が例示されている。図4から分かるように、構成部品24B等の構成部品24は、コネクタ24Aを介して配線25と接続される。回路図22では、コネクタ24Aは表示されずコネクタ24Aの接続端子26のみが表示されるが、回路図22はコネクタ24Aが表示されてもよい。
【0061】
また、艤装図31は、選択された構成部品24または接続端子26の部品名、および周辺の構成部品24または接続端子26の部品名を含んでもよい。部品名と同時に、または、部品名を表示することなく、艤装図31は、選択された構成部品24または接続端子26を着色する等、選択された構成部品24または接続端子26が強調されてもよい。これらにより、作業者は、選択された構成部品24の配置をより容易かつ効率的に把握することができる。
【0062】
艤装図31が表示されることにより、回路図22と見比べながら、実際の構成部品24の組み付け・配置を確認しながら故障診断を行うことができる。そのため、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【0063】
艤装図情報16は、トラクタの設計段階に作成された設計図やイラスト、カタログや製品案内の部品表のイラストが流用されることが好ましい。そして、このようなイラスト等が艤装図情報16として設計情報13に直接組み込まれる。これにより、回路図22に、このようなイラスト等が情報として直接組み込まれ、容易かつ効率的に艤装図31を表示させることができる。
【0064】
また、図5に示されるように、故障診断支援装置1は、診断支援図30としてコネクタ24A(図4参照)のピン配置図33を表示部3に表示することができる。この場合、設計情報13はコネクタ情報17を含む。
【0065】
ピン配置図33は、トラクタにおいて、選択された接続端子26Aに対応するコネクタ24Aが実際にどのような構成であるかを示す図である。ピン配置図33は、コネクタ24Aの接続端子26Aが選択されることにより表示される図であり、選択された接続端子26Aを備える構成部品24であるコネクタ24Aのピン配置を示す図である。
【0066】
例えば、回路図22上で、コネクタ24Aの接続端子26Aが選択されると、故障診断支援装置1の表示制御部7は、選択された接続端子26Aに対応するコネクタ24Aのピン配置図33をコネクタ情報17から読み出す。そして、表示制御部7は、読み出したコネクタ24Aのピン配置図33を表示部3に表示させる。ピン配置図33は、選択された接続端子26Aがコネクタ24Aのどのピンに対応するかを、丸で囲んだり着色したりして強調表示されることが好ましい。さらに、選択された接続端子26Aが着色される場合、着色される色を任意に切り替えることができる構成とされてもよい。また、ピン配置図33は、比較的画面サイズが小さいため、回路図22と同時に表示されてもよいが、回路図22から遷移されて表示されてもよい。
【0067】
ピン配置図33が表示されることにより、回路図22と見比べながら、構成部品24であるコネクタ24Aの実際のピン配置、および、選択された接続端子26Aがコネクタ24Aのどのピンに対応するかを容易かつ効率的に確認することができる。また、選択された接続端子26Aに対応するコネクタ24Aのピンが強調されるため、実際のコネクタ24Aと配線25との関係を容易かつ効率的に確認することができる。そのため、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【0068】
ピン配置図33は、トラクタの設計段階に作成されたピン配置図33が流用されることが好ましい。そして、このようなピン配置図33がコネクタ情報17として設計情報13に直接組み込まれる。これにより、回路図22に、ピン配置図33が情報として直接組み込まれ、容易かつ効率的にピン配置図33を表示させることができる。
【0069】
また、図6に示されるように、故障診断支援装置1は、診断支援図30として整備手順書35を表示部3に表示することができる。この場合、設計情報13は整備手順情報18を含む。
【0070】
整備手順書35は、選択された構成部品24または接続端子26が故障しているか否かを探求する手順、どのような故障が生じているかを探求する手順等の故障を検証するための手順を示し、故障を予防するための整備を行う手順が含まれてもよい。
【0071】
例えば、回路図22上で、構成部品24または接続端子26が選択されると、故障診断支援装置1の表示制御部7は、整備手順情報18から選択された構成部品24または接続端子26の整備手順を読み出す。そして、表示制御部7は、選択された構成部品24または接続端子26の整備手順を示す整備手順書35を表示部3に表示させる。整備手順書35は、このような故障を検証するための手順(整備手順)を説明する文字情報であり、さらに、整備手順を説明するための図面や写真、イラスト等が含まれてもよい。整備手順書35は、回路図22から遷移されて表示されてもよいし、回路図22と同時に表示されてもよい。なお、図6は、構成部品24の一例として図2の回路図22に示される構成部品24Bが選択された場合の整備手順書35が例示されている。
【0072】
整備手順書35が表示されることにより、表示された整備手順を参照して、選択された構成部品24または接続端子26が故障しているか否かの探求、どのような故障が生じているかの探求等の故障の検証を容易かつ効率的に行うことができる。また、整備手順を説明するための図面や写真、イラスト等が同時に表示されることにより、より容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【0073】
整備手順書35は、実際にトラクタの機種毎に用意される整備手順が流用されることが好ましい。そして、このような整備手順書35が整備手順情報18として設計情報13に直接組み込まれる。これにより、回路図22に、整備手順書35が情報として直接組み込まれ、容易かつ効率的に整備手順書35を表示させることができる。
【0074】
また、図7に示されるように、故障診断支援装置1は、回路図22に表示される配線25に対して、所定の着色を施してもよい。ここでは、配線25が着色された回路図22、または、回路図22の配線25が着色された部分は、診断支援図30に含まれる。この場合、設計情報13は配線情報19を含む。配線情報19は、配線25毎に着色される色の情報が記憶される。
【0075】
例えば、回路図22上で、構成部品24として配線25Aが選択されると、故障診断支援装置1の表示制御部7は、記憶部10の配線情報19から、選択された配線25Aに対応する色の情報を読み出す。そして、表示制御部7は、回路図22に表示された配線25Aを、読み出された色に着色する。
【0076】
配線25に着色される色、つまり、配線情報19が記憶するそれぞれの配線25の色は、トラクタにおいてそれぞれの配線25が被覆されている実際の色であってもよいし、配線25の機能に応じてあらかじめ定められた色であってもよく、これらの色が選択的に付与されてもよい。配線25の機能とは、その配線25が、信号配線であるか、電源配線であるかの等の機能的な違いである。
【0077】
なお、実際に被覆された色を表示するか、または、機能に応じた色を表示するかは、回路図22での配線25の選択操作により判断される構成とすることができる。例えば、配線25がタッチまたはクリックされた際に、プルダウンメニューが表示され、実際に被覆された色を表示するか、または、機能に応じた色を表示するかを選択する構成とすることができる。あるいは、回路図22で所定の配線25を選択操作した状態で、別途設けられる、実際に被覆された色を表示するためのスイッチ、または、機能に応じた色を表示するためのスイッチが操作される等の所定の操作が行われることにより、選択された配線25に対して、実際に被覆された色または機能に応じた色が表示される構成であってもよい。なお、このようなスイッチは、表示部3に表示されるソフトウェアスイッチであってもよい。また、故障診断支援装置1は、複数の配線25を同時に選択して、複数の配線25に対して着色できる構成であってもよい。例えば、図7に示されるように、配線25Aおよび配線25Bが同時に選択されると、配線25Aおよび配線25Bのそれぞれが、配線情報19に基づいて着色される。なお、図7においては、色の違いは線種の違いとして表現される。さらに、回路図22上の全ての配線25に対して一括して色が表示される構成とすることもできる。つまり、別途設けられる、実際に被覆された色を表示するためのスイッチ、または、機能に応じた色を表示するためのスイッチが操作される等の所定の操作が行われることにより、回路図上の全ての配線25に対して、実際に被覆された色または機能に応じた色が表示される構成であってもよい。
【0078】
回路図22の配線25が着色されることにより、回路図22上で、その配線25の機能や、その配線25の他の接続先等を確認しながら、故障診断を行うことができるため、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。また、回路図22の配線25が被覆されている実際の色に着色されることにより、選択された回路図22上の配線25に対応する、トラクタでの実際の配線25を容易かつ効率的に探すことができ、配線25の接続状況の確認等が容易となり、容易かつ効率的に故障診断を行うことができる。
【0079】
配線情報19は、トラクタの設計段階に作成された情報が流用されることが好ましい。そして、このような配線情報19が、設計情報13に直接組み込まれる。これにより、回路図22に、配線情報19が情報として直接組み込まれ、情報に応じて回路図22の配線25を容易に着色することができる。
【0080】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態において、故障診断支援装置1は、上記診断支援図30のうちの少なくとも1つを表示する構成であってもよい。つまり、故障診断支援装置1は、艤装図31の表示、ピン配置図33の表示、整備手順書35の表示、および、回路図22における配線25の着色のうちの少なくとも1つを実施すればよい。
【0081】
また、構成部品24または接続端子26が選択される際に、タッチまたはクリックされることによりプルダウンメニューが表示され、艤装図31の表示、ピン配置図33の表示、整備手順書35の表示、および、回路図22における配線25の着色のうちのいずれかを選択できる構成とすることができる。これにより、所望の表示を容易かつ効率的に行わせることができる。
【0082】
例えば、構成部品24に対してタッチまたはクリックされた場合、艤装図31を表示するか整備手順書35を表示するかを選択できるプルダウンメニューが表示される。
【0083】
(2)上記各実施形態において、要素ID14に代わり、操作を受け付けた構成部品24または接続端子26が、任意の方法で識別されてもよい。
【0084】
(3)上記各実施形態において、故障診断支援装置1は上記のような機能ブロックから構成されるものに限定されず、任意の機能ブロックから構成されてもよい。例えば、故障診断支援装置1の各機能ブロックはさらに細分化されても良く、逆に、各機能ブロックの一部または全部がまとめられてもよい。また、故障診断支援装置1の機能は、上記機能ブロックに限らず、任意の機能ブロックが実行する方法により実現されてもよい。また、故障診断支援装置1の機能の一部または全部は、ソフトウエアで構成されてもよい。ソフトウエアに係るプログラムは、記憶部10等の任意の記憶装置に記憶され、故障診断支援装置1が備えるCPU等のプロセッサ、あるいは別に設けられたプロセッサにより実行される。
【0085】
また、このようなプログラムは、コンピュータや携帯端末等の操作端末にプログラムが実装される構成であってよく、表示部3は、コンピュータや携帯端末等の操作端末の表示画面であってもよい。
【0086】
(4)上記各実施形態において、表示部3は、通信回線を介して故障診断支援装置1を操作するコンピュータや携帯端末等の操作端末の表示画面であってもよい。
【0087】
(5)上記各実施形態において、故障診断支援装置1は、トラクタに限らず、コンバインや田植機等の各種の農作業車、各種の農作業機、その他の作業を行う作業車や作業機等の各種の対象装置の故障診断に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、対象機器の故障診断を支援する際に用いることができる。
【符号の説明】
【0089】
1 故障診断支援装置
3 表示部
5 操作受付部
7 表示制御部
10 記憶部
11 回路図情報
13 設計情報
14 要素ID
16 艤装図情報
17 コネクタ情報
18 整備手順情報
19 配線情報
22 回路図
24 構成部品
24A コネクタ
25 配線
26 接続端子
30 診断支援図
31 艤装図
33 ピン配置図
35 整備手順書
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7