(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070006
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】電源装置及び電源装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240515BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M3/155 W
H02M3/28 H
H02M3/28 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180330
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭 中為
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 輝男
(72)【発明者】
【氏名】小林 貴之
(72)【発明者】
【氏名】木下 孝志
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS01
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB27
5H730BB37
5H730BB57
5H730BB84
5H730BB88
5H730DD03
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE13
5H730FD01
5H730FF09
5H730FG05
5H730XX47
(57)【要約】 (修正有)
【課題】循環電流の発生を抑制する電源装置及び電源装置の制御方法を提供する。
【解決手段】電源装置は、直流電源1と負荷5との間に並列に電気的に接続された複数の双方向コンバータ100-1、100-2と、出力電圧指令信号に基づいて双方向コンバータの動作を制御する制御部と、を含む。制御部は、双方向コンバータからの出力電圧が出力される出力端子に仮想的な仮想双方向ダイオード131を含む仮想双方向ダイオード回路130-1、130-2を付加する制御を行うことで、並列接続された複数の双方向コンバータの動作により発生する循環電流を抑制する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と負荷との間に並列に電気的に接続された複数の双方向コンバータと、
出力電圧指令信号に基づいて前記双方向コンバータの動作を制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、
前記双方向コンバータからの出力電圧が出力される出力端子に仮想的な仮想双方向ダイオードを含む仮想双方向ダイオード回路を付加する制御を行う、
電源装置。
【請求項2】
前記直流電源を複数含み、
複数の前記直流電源の各々は、対応する複数の前記直流電源に接続されている、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記出力端子に電気的に接続された外部装置を含み、
前記制御部は、前記出力電圧指令信号に基づいて前記仮想双方向ダイオード回路を制御して、前記外部装置からの入力電力を用いて前記直流電源を充電させる、
請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記仮想双方向ダイオード回路にドループ制御を行うドループ制御部を付加する、
請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記双方向コンバータの出力電流または入力電流に基づいて、前記仮想双方向ダイオードおよび前記ドループ制御の電圧信号を算出する、
請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記双方向コンバータの通常運転時に検出される出力電圧信号の値から、前記負荷を前記双方向コンバータから切り離した状態で前記双方向コンバータを運転させた際に検出される前記仮想双方向ダイオードの出力電圧の値を減算する、
請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記双方向コンバータの通常運転時に検出される出力電圧信号の値から、前記ドループ制御を無効にした条件で前記双方向コンバータを運転させた際に検出される前記仮想双方向ダイオードの出力電圧の値を減算する、
請求項4に記載の電源装置。
【請求項8】
直流電源と負荷との間に並列に電気的に接続された複数の双方向コンバータを含む電源装置の制御方法であって、
出力電圧指令信号に基づいて前記双方向コンバータの動作を制御するステップと、
前記双方向コンバータから出力電圧が出力させる出力端子に仮想的な仮想双方向ダイオードを含む仮想双方向ダイオード回路を付加する制御を行うステップと、
を含む、電源装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置及び電源装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、出力電流が大きくなるにつれて出力電圧を低くするドループ制御に関する技術が記載されている。特許文献2には、並列接続された直流電源の一方を動作させて、測定治具により算出されたドループ特性値を補正してコンバータを制御することで、各直流電源の負荷率を揃える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-103032号公報
【特許文献2】国際公開第2017/094403号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
並列接続された双方向コンバータの動作は、無負荷や軽負荷の条件において、一方のコンバータが放電動作となり、他方のコンバータが充電動作となる。このため、双方のコンバータの動作により発生した循環電流の影響で無駄な電力損失が発生してしまう可能性がある。また、双方向コンバータの各々に直流電源や蓄電池が接続されている場合には、充電禁止状態にも関わらず、直流電源や蓄電池から電流が流入し充電動作となってしまう可能性がある。
【0005】
本開示は、循環電流の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電源装置は、直流電源と負荷との間に並列に電気的に接続された複数の双方向コンバータと、出力電圧指令信号に基づいて前記双方向コンバータの動作を制御する制御部と、を含み、前記制御部は、前記双方向コンバータからの出力電圧が出力される出力端子に仮想的な仮想双方向ダイオードを含む仮想双方向ダイオード回路を付加する制御を行う。
【0007】
本開示の電源装置において、前記直流電源を複数含み、複数の前記直流電源の各々は、対応する複数の前記直流電源に接続されている。
【0008】
本開示の電源装置において、前記出力端子に電気的に接続された外部装置を含み、前記制御部は、前記出力電圧指令信号に基づいて前記仮想双方向ダイオード回路を制御して、前記外部装置からの入力電力を用いて前記直流電源を充電させる。
【0009】
本開示の電源装置において、前記制御部は、前記仮想双方向ダイオード回路にドループ制御を行うドループ制御部を付加する。
【0010】
本開示の電源装置において、前記制御部は、前記双方向コンバータの出力電流または入力電流に基づいて、前記仮想双方向ダイオードおよび前記ドループ制御の電圧信号を算出する。
【0011】
本開示の電源装置において、前記制御部は、前記双方向コンバータの通常運転時に検出される出力電圧信号の値から、前記負荷を前記双方向コンバータから切り離した状態で前記双方向コンバータを運転させた際に検出される前記仮想双方向ダイオードの出力電圧の値を減算する。
【0012】
本開示の電源装置において、前記制御部は、前記双方向コンバータの通常運転時に検出される出力電圧信号の値から、前記ドループ制御を無効にした条件で前記双方向コンバータを運転させた際に検出される前記仮想双方向ダイオードの出力電圧の値を減算する。
【0013】
本開示の電源装置の制御方法は、直流電源と負荷との間に並列に電気的に接続された複数の双方向コンバータを含む電源装置の制御方法であって、出力電圧指令信号に基づいて前記双方向コンバータの動作を制御するステップと、前記双方向コンバータから出力電圧が出力させる出力端子に仮想的な仮想双方向ダイオードを含む仮想双方向ダイオード回路を付加する制御を行うステップと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、循環電流の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態の第1の例に係るコンバータの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態の第2の例に係るコンバータの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態の第3の例に係るコンバータの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、比較例に係る電源装置の出力電圧特性を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の第1の例に係る電源装置の構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態の第2の例に係る電源装置の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態の第3の例に係る電源装置の構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態の第1の例に係る制御部の構成例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態の第2、第3の例に係る制御部の構成例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る制御部の処理内容を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、ドループ制御と仮想双方向ダイオード制御の両方を有効にした条件における実施形態の第1から第3の例に係る電源装置の出力電圧特性を示す図である。
【
図12】
図12は、仮想双方向ダイオード制御のみを有効にした条件における実施形態の第1から第3の例に係る電源装置の出力電圧特性を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る出力電流特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本開示に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0017】
[実施形態]
(第1の例のコンバータ)
図1を用いて、実施形態の第1の例に係るコンバータの構成例について説明する。
図1は、実施形態の第1の例に係るコンバータの構成例を示す図である。実施形態の第1の例に係るコンバータ100は、双方向のチョッパ回路である。コンバータ100は、1次側の電源1から出力されコンデンサ3で平滑化後の出力電圧V1を受けて、出力電圧V2を2次側の電源2に出力するものとする。
図1に示す例では、2次側には電源2が接続されているものとして示しているが、2次側には負荷が接続されていてもよい。また、2次側には電源2と負荷の両方が接続されていてもよい。
【0018】
コンデンサ3の一端は、電源1の高電位側に電気的に接続されている。コンデンサ3の他端は、低電位側に電気的に接続されている。
【0019】
コンバータ100は、ブリッジ回路10と、リアクトル20と、制御部110と、を含む。
【0020】
ブリッジ回路10は、トランジスタ11と、トランジスタ12と、を含む。トランジスタ11は、降圧時に制御されるトランジスタである。トランジスタ12は、昇圧時に制御されるトランジスタである。また、トランジスタ11と、トランジスタ12を交互にオン・オフさせることにより昇圧動作と降圧動作をシームレスに変化させることができる。
【0021】
実施形態では、各トランジスタがMOSFETであることとしたが、本開示はこれに限定されない。各トランジスタは、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス(例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor))などでも良い。
【0022】
各トランジスタは、積極的に電流を流すことができる寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する、又は、逆並列にダイオードが接続されている。寄生ダイオードとは、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。
【0023】
各トランジスタが、本開示の「スイッチング素子」の一例に相当する。
【0024】
トランジスタ11のドレインは、電源2の高電位側に電気的に接続されている。トランジスタ11のソースは、トランジスタ12のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ12のソースは、電源1の低電位側及び電源2の低電位側に電気的に接続されている。
【0025】
リアクトル20の一端は、コンデンサ3の一端に電気的に接続されている。リアクトル20の他端は、トランジスタ11のソースと、トランジスタ12のドレインと電気的に接続されている。
【0026】
コンデンサ4の電圧が、出力電圧V2である。コンデンサ4の一端は、電源2の高電位側に電気的に接続されている。コンデンサ4の他端は、電源2の低電位側に電気的に接続されている。
【0027】
制御部110は、ブリッジ回路10を制御する。制御部110は、例えば、ディジタルPWM(Pulse Width Modulation)回路を内蔵したDSP(Digital Signal Processor)、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの情報処理装置と、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)などの記憶装置とを有する。制御部110は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現されてもよい。制御部110は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0028】
(第2の例のコンバータ)
図2を用いて、実施形態の第2の例に係るコンバータの構成例について説明する。
図2は、実施形態の第2の例に係るコンバータの構成例を示す図である。実施形態の第2の例に係るコンバータ100Aは、DAB(Dual Active Bridge)方式であり、双方向のDC-DCコンバータである。コンバータ100Aは、1次側の電源1から出力されコンデンサ3で平滑化後の出力電圧V1を受けて、出力電圧V2を2次側の電源2に出力するものとする。
図1に示す例では、2次側には電源2が接続されているものとして示しているが、2次側には負荷が接続されていてもよい。また、2次側には電源2と負荷の両方が接続されていてもよい。
【0029】
コンバータ100Aは、第1ブリッジ回路10Aと、リアクトル21と、トランス22と、第2ブリッジ回路20Aと、制御部110Aと、を含む。
【0030】
第1ブリッジ回路10Aは、第1アーム31及び第2アーム32を含む単相フルブリッジ回路である。第1アーム31は、トランジスタ11及びトランジスタ12を含む。第2アーム32は、トランジスタ13及びトランジスタ14を含む。
【0031】
トランジスタ11のソースは、トランジスタ12のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ11のドレインは、トランジスタ13のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ13のソースは、トランジスタ14のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ12のソースは、トランジスタ14のソースに電気的に接続されている。
【0032】
トランジスタ11のドレイン及びトランジスタ13のドレインは、電源1の高電位側に電気的に接続されている。トランジスタ12のソース及びトランジスタ14のソースは、電源1の低電位側に電気的に接続されている。
【0033】
トランジスタ11のソース及びトランジスタ12のドレインは、第1ブリッジ回路10Aの一方の出力端子10aに電気的に接続されている。トランジスタ13のソース及びトランジスタ14のドレインは、第1ブリッジ回路10Aの他方の出力端子10bに電気的に接続されている。
【0034】
第2ブリッジ回路20Aは、第1アーム41及び第2アーム42を含む単相フルブリッジ回路である。第1アーム41は、トランジスタ51及びトランジスタ52を含む。第2アーム42は、トランジスタ53及びトランジスタ54を含む。
【0035】
トランジスタ51のソースは、トランジスタ52のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ51のドレインは、トランジスタ53のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ53のソースは、トランジスタ54のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ52のソースは、トランジスタ54のソースに電気的に接続されている。
【0036】
トランジスタ51のドレイン及びトランジスタ53のドレインは、電源2の高電位側に電気的に接続されている。トランジスタ52のソース及びトランジスタ54のソースは、電源2の低電位側に電気的に接続されている。
【0037】
トランジスタ51のソース及びトランジスタ52のドレインは、第2ブリッジ回路20Aの一方の出力端子20aに電気的に接続されている。トランジスタ53のソース及びトランジスタ54のドレインは、第2ブリッジ回路20Aの他方の出力端子20bに電気的に接続されている。
【0038】
リアクトル21の一端は、出力端子20aに電気的に接続されている。リアクトル21は、2次側に配置したが、本開示はこれに限定されない。リアクトル21は、1次側に配置してもよいし、1次側及び2次側の両方に配置してもよい。
【0039】
トランス22は、第1巻線22aと、第2巻線22bと、コア22cと、を含む。第1巻線22a及び第2巻線22bは、コア22cに巻回されている。
【0040】
トランス22が、本開示の「変圧器」の一例に該当する。
【0041】
第1巻線22aと第2巻線22bとの巻き数比は、1:1が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0042】
第1巻線22aの一端は、出力端子10aに電気的に接続されている。第1巻線22aの他端は、出力端子10bに電気的に接続されている。
【0043】
第2巻線22bの一端は、リアクトル21の他端に電気的に接続されている。第2巻線22bの他端は、出力端子20bに電気的に接続されている。
【0044】
制御部110Aは、第1ブリッジ回路10Aおよび第2ブリッジ回路20Aを制御する。制御部110Aは、例えば、ディジタルPWM回路を内蔵したDSP、CPUやMPUなどの情報処理装置と、RAM又はROMなどの記憶装置とを有する。制御部110Aは、例えば、ASICやFPGAなどの集積回路により実現されてもよい。制御部110Aは、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0045】
制御部110Aは、第1ブリッジ回路10Aに制御信号を出力し、第1アーム31及び第2アーム32を制御する。具体的には、制御部110Aは、トランジスタ11からトランジスタ14のオン状態と、オフ状態とを制御する。
【0046】
制御部110Aは、第2ブリッジ回路20Aに制御信号を出力し、第1アーム41及び第2アーム42を制御する。具体的には、制御部110Aは、トランジスタ51からトランジスタ54のオン状態と、オフ状態とを制御する。
【0047】
(第3の例のコンバータ)
図3を用いて、実施形態の第3の例に係るコンバータの構成例について説明する。
図3は、実施形態の第3の例に係るコンバータの構成例を示す図である。実施形態の第3の例に係るコンバータ100Bは、DAB方式であり、双方向のDC-DCコンバータである。
【0048】
コンバータ100Bは、第1ブリッジ回路10Bと、第2ブリッジ回路20Bと、リアクトル61と、リアクトル62と、リアクトル63と、トランス70と、制御部110Bと、を含む。
【0049】
第1ブリッジ回路10Bは、第1アーム31と、第2アーム32と、第3アーム33と、を含む。第1ブリッジ回路10Bは、3個のアームを含む3相のブリッジ回路である。第1アーム31は、U相のアームである。第2アーム32は、V相のアームである。第3アーム33は、W相のアームである。第1アーム31と、第2アーム32との間の位相差は、120度である。第2アーム32と、第3アーム33との間の位相差は、120度である。第3アーム33と、第1アーム31との間の位相差は、120度である。
【0050】
第1アーム31は、トランジスタ11と、トランジスタ12と、を含む。第2アーム32は、トランジスタ13と、トランジスタ14と、を含む。第3アーム33は、トランジスタ15と、トランジスタ16と、を含む。
【0051】
トランジスタ11と、トランジスタ13と、トランジスタ15とは、ハイサイドのトランジスタである。トランジスタ12と、トランジスタ14と、トランジスタ16とは、ローサイドのトランジスタである。
【0052】
トランジスタ11のソースは、トランジスタ12のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ11のドレインは、トランジスタ13のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ12のソースは、トランジスタ14のソースに電気的に接続されている。
【0053】
トランジスタ13のソースは、トランジスタ14のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ13のドレインは、トランジスタ15のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ14のソースは、トランジスタ16のソースに電気的に接続されている。
【0054】
トランジスタ15のソースは、トランジスタ16のドレインに電気的に接続されている。
【0055】
トランジスタ11のドレインと、トランジスタ13のドレインと、トランジスタ15のドレインとは、電源1の高電位側に電気的に接続されている。トランジスタ12のソースと、トランジスタ14のソースと、トランジスタ16のソースとは、電源1の低電位側に電気的に接続されている。
【0056】
トランジスタ11のソースと、トランジスタ12のドレインとは、第1ブリッジ回路10Bの1個目の出力端子10aに電気的に接続されている。トランジスタ13のソースと、トランジスタ14のドレインとは、第1ブリッジ回路10Bの2個目の出力端子10bに電気的に接続されている。トランジスタ15のソースと、トランジスタ16のドレインとは、第1ブリッジ回路10Bの3個目の出力端子10cに電気的に接続されている。
【0057】
第2ブリッジ回路20Bは、第1アーム41と、第2アーム42と、第3アーム43と、を含む。第2ブリッジ回路20Bは、3個のアームを含む3相のブリッジ回路である。第1アーム41は、U相のアームである。第2アーム42は、V相のアームである。第3アーム43は、W相のアームである。第1アーム41と、第2アーム42との位相差は、120度である。第2アーム42と、第3アーム43との位相差は、120度である。第3アーム43と、第1アーム41との位相差は、120度である。
【0058】
第1アーム41は、トランジスタ51と、トランジスタ52と、を含む。第2アーム42は、トランジスタ53と、トランジスタ54と、を含む。第3アーム43は、トランジスタ55と、トランジスタ56と、を含む。
【0059】
トランジスタ51と、トランジスタ53と、トランジスタ55とは、ハイサイドのスイッチ素子である。トランジスタ52と、トランジスタ54と、トランジスタ56とは、ローサイドのスイッチ素子である。
【0060】
トランジスタ51のソースは、トランジスタ52のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ51のドレインは、トランジスタ53のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ52のソースは、トランジスタ54のソースに電気的に接続されている。
【0061】
トランジスタ53のソースは、トランジスタ54のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ53のドレインは、トランジスタ55のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ54のソースは、トランジスタ56のソースに電気的に接続されている。
【0062】
トランジスタ55のソースは、トランジスタ56のドレインに電気的に接続されている。
【0063】
トランジスタ51のドレインと、トランジスタ53のドレインと、トランジスタ55のドレインとは、電源2の高電位側に電気的に接続されている。トランジスタ52のソースと、トランジスタ54のソースと、トランジスタ56のソースとは、電源2の低電位側に電気的に接続されている。
【0064】
トランジスタ51のソースと、トランジスタ52のドレインとは、第2ブリッジ回路20Bの1個目の出力端子20aに電気的に接続されている。トランジスタ53のソースと、トランジスタ54のドレインとは、第2ブリッジ回路20Bの2個目の出力端子20bに電気的に接続されている。トランジスタ55のソースと、トランジスタ56のドレインとは、第2ブリッジ回路20Bの3個目の出力端子20cに電気的に接続されている。
【0065】
リアクトル61の一端は、出力端子10aに電気的に接続されている。リアクトル61の他端は、トランス70に電気的に接続されている。
【0066】
リアクトル62の一端は、出力端子10bに電気的に接続されている。リアクトル62の他端は、トランス70に電気的に接続されている。
【0067】
リアクトル63の一端は、出力端子10cに電気的に接続されている。リアクトル63の他端は、トランス70に電気的に接続されている。
【0068】
トランス70は、出力端子20aと電気的に接続されている。トランス70は、出力端子20bと電気的に接続されている。トランス70は、出力端子20cと電気的に接続されている。トランス70は、変圧器の一種である。
【0069】
実施形態において、トランス70は、3相変圧器である。トランス70は、例えば、Y結線方式の3相変圧器や、デルタ結線方式の3相変圧器であってよい。
【0070】
制御部110Bは、第1ブリッジ回路10Bおよび第2ブリッジ回路20Bを制御する。制御部110Bは、例えば、ディジタルPWM回路を内蔵したDSP、CPUやMPUなどの情報処理装置と、RAM又はROMなどの記憶装置とを有する。制御部110Aは、例えば、ASICやFPGAなどの集積回路により実現されてもよい。制御部110Aは、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0071】
制御部110Bは、第1ブリッジ回路10Bに制御信号を出力し、第1アーム31から第3アーム33を制御する。具体的には、制御部110Bは、トランジスタ11からトランジスタ16のオン状態と、オフ状態とを制御する。
【0072】
制御部110Bは、第2ブリッジ回路20Bに制御信号を出力し、第1アーム41から第3アーム43を制御する。具体的には、制御部110Bは、トランジスタ51からトランジスタ56のオン状態と、オフ状態とを制御する。
【0073】
本実施形態では、コンバータ100、コンバータ100A、およびコンバータ100Bのいずれかが並列に接続して使用される。以下では、コンバータ100が並列に接続されているものとして説明する。コンバータ100Aまたはコンバータ100Bが並列に接続されている場合も、コンバータ100が並列に接続されている場合と同様であるので、説明を省略する。
【0074】
(比較例)
図4を用いて、比較例に係る電源装置の出力電圧特性について説明する。
図4は、比較例に係る電源装置の出力電圧特性を示す図である。
【0075】
図4は、2台のコンバータ100が並列に接続されて運転した場合の、各コンバータ100の出力電圧特性を示す。
図4は、横軸が出力電流を示し、縦軸が出力電圧を示す。波形201は、一方のコンバータ100の出力電圧特性を示す。波形202は、他方のコンバータ100の出力電圧特性を示す。
【0076】
図4に示すように、コンバータ100を並列に接続して運転させる場合には、出力電流が大きくなるにつれて出力電圧を小さくするドループ制御を行っている。ここで、波形201および波形202に示すように、各コンバータ100の出力電圧特性にはばらつきがある。
【0077】
例えば、一方のコンバータ100の出力電流の絶対値がim1、他方のコンバータ100の出力電流の絶対値がim2の場合に、出力電圧はV1に制御される。この場合、一方のコンバータ100および他方のコンバータ100は、充電動作となる。
【0078】
例えば、一方のコンバータ100の出力電流の絶対値がip1、他方のコンバータ100の出力電流の絶対値がip2の場合に、出力電圧はV3に制御される。この場合、一方のコンバータ100および他方のコンバータ100は、放電動作となる。
【0079】
例えば、一方のコンバータ100の出力電流の絶対値がiz1、他方のコンバータ100の出力電流の絶対値がiz2の場合に、出力電圧はV2に制御される。この場合、一方のコンバータ100は放電動作となるが、他方のコンバータ100は充電動作となる。
【0080】
すなわち、コンバータ100を並列に接続して運転させた場合、出力電圧特性にばらつきがあるので、一方が放電動作となり、他方が充電動作となることがあり得る。この場合、コンバータ100間で循環電流が流れ、電力損失が発生してしまう可能性がある。また、比較例では、各コンバータ100に直流電源や蓄電池が接続されている場合には、充電禁止状態にもかかわらず、循環電流により充電動作となってしまう可能性がある。
【0081】
そこで、本実施形態では、循環電流の発生を抑制するように、コンバータ100の出力動作を制御する。具体的には、本実施形態では、コンバータ100の出力に双方向ダイオード特性を持たせる制御を行うことにより、循環電流の発生を抑制する。
【0082】
(第1の例の電源装置)
図5を用いて、実施形態の第1の例に係る電源装置の構成例について説明する。
図5は、実施形態の第1の例に係る電源装置の構成例を示す図である。
【0083】
図5に示すように、電源装置200は、電源1と、コンバータ100-1と、コンバータ100-2と、電圧計測回路120-1と、電圧計測回路120-2と、仮想双方向ダイオード回路130-1と、仮想双方向ダイオード回路130-2と、負荷5とを、を含む。電源1は、コンバータ100-1と、コンバータ100-2との両方に電力を供給するように構成されている。
【0084】
電源1は、入力電流iin1をコンバータ100-1に出力する。電源1は、入力電流iin2をコンバータ100-2に出力する。
【0085】
コンバータ100-1と、コンバータ100-2とは、並列に接続されている。コンバータ100-1と、コンバータ100-2とは、
図1に示すコンバータ100と同様の構成を備える。
図5に示す例では、コンバータ100-1と、コンバータ100-2との2台のコンバータが並列に接続されているが、本開示はこれに限定されない。本開示では、並列に接続されているコンバータの数に制限はない。コンバータ100-1と、コンバータ100-2とを区別する必要のない場合には、コンバータ100と総称することもある。
【0086】
コンバータ100-1は、出力電圧Vout1_0を仮想双方向ダイオード回路130-1に印加する。コンバータ100-2は、出力電圧Vout2_0を仮想双方向ダイオード回路130-2に印加する。
【0087】
電圧計測回路120-1は、コンバータ100-1からの出力電圧を検出する。電圧計測回路120-1は、コンバータ100-1の出力電圧を示す信号をコンバータ100-1の制御部110に出力する。
【0088】
電圧計測回路120-2は、コンバータ100-2からの出力電圧を検出する。電圧計測回路120-2は、コンバータ100-2の出力電圧を示す信号をコンバータ100-2の制御部110に出力する。
【0089】
電圧計測回路120-1と、電圧計測回路120-2とを区別する必要のない場合には、電圧計測回路120と総称することもある。
【0090】
仮想双方向ダイオード回路130-1は、コンバータ100-1の出力端に接続されているとみなされる仮想的な回路である。仮想双方向ダイオード回路130-1は、コンバータ100-1の制御部110の処理により実現される。コンバータ100-1の制御部110は、電圧計測回路120-1から受けたコンバータ100-1の出力電圧を示す信号に基づいて、仮想双方向ダイオード回路130-1を実現させる。具体的には、コンバータ100-1の制御部110は、仮想双方向ダイオード回路130-1がコンバータ100-1の出力端に接続されているかのように、コンバータ100-1の動作を制御する。仮想双方向ダイオード回路130-1は、出力電流iout1を出力する。
【0091】
仮想双方向ダイオード回路130-2は、コンバータ100-2の出力端に接続されているとみなされる仮想的な回路である。仮想双方向ダイオード回路130-2は、コンバータ100-2の制御部110の処理により実現される。コンバータ100-2の制御部110は、電圧計測回路120-2から受けたコンバータ100-2の出力電圧を示す信号に基づいて、仮想双方向ダイオード回路130-2を実現させる。具体的には、コンバータ100-2の制御部110は、仮想双方向ダイオード回路130-2がコンバータ100-2の出力端に接続されているかのように、コンバータ100-2の動作を制御する。仮想双方向ダイオード回路130-2は、出力電流iout2を出力する。
【0092】
仮想双方向ダイオード回路130-1と、仮想双方向ダイオード回路130-2とは、同じ構成の等価回路として表現することができる。仮想双方向ダイオード回路130-1と、仮想双方向ダイオード回路130-2とを区別する必要のない場合には、仮想双方向ダイオード回路130と総称することもある。
【0093】
仮想双方向ダイオード回路130は、仮想抵抗素子R1と、仮想双方向ダイオード131とを含む。仮想双方向ダイオード131は、仮想抵抗素子R2と、仮想ダイオードD1と、仮想ダイオードD2と、を含む。
【0094】
仮想抵抗素子R1の一端は、コンバータ100の出力端に電気的に接続されている。仮想抵抗素子R1は、ドループ制御部とも呼ばれる。制御部110は、電圧計測回路120から受けたコンバータ100の出力電圧を示す信号に基づいて、ドループ制御部を制御することで、ドループ制御を実現させる。
【0095】
仮想ダイオードD1のアノードと、仮想ダイオードD2のカソードと、仮想抵抗素子R2の一端とは、電気的に接続されている。仮想ダイオードD1のアノードと、仮想ダイオードD2のカソードと、仮想抵抗素子R2の一端とは、仮想抵抗素子R1の他端と電気的に接続されている。
【0096】
仮想ダイオードD1のカソードと、仮想ダイオードD2のアノードと、仮想抵抗素子R2の他端とは、電気的に接続されている。仮想ダイオードD1のカソードと、仮想ダイオードD2のアノードと、仮想抵抗素子R2の他端とは、負荷5に電気的に接続されている。
【0097】
仮想ダイオードD1と、仮想ダイオードD2と、仮想抵抗素子R2とは、双方向ダイオードとしての機能を持つ。制御部110は、仮想双方向ダイオード131を制御することで、外部からの電流がコンバータ100に流入してしまうことを防止することができる。
【0098】
負荷5には、コンバータ100-1と、コンバータ100-2とから出力電圧Voutが印加される。
【0099】
(第2の例の電源装置)
図6を用いて、実施形態の第2の例に係る電源装置の構成例について説明する。
図6は、実施形態の第2の例に係る電源装置の構成例を示す図である。
【0100】
図6に示す電源装置200Aは、電源1-1と、電源1-2とを備える点で、
図5に示す電源装置200と異なる。
【0101】
電源1-1は、入力電流iin1をコンバータ100-1に出力する。電源1-2は、入力電流iin2をコンバータ100-2に出力する。すなわち、本開示においては、コンバータ100ごとに電源1が設けられていてもよい。
【0102】
(第3の例の電源装置)
図7を用いて、実施形態の第3の例に係る電源装置の構成例について説明する。
図7は、実施形態の第3の例に係る電源装置の構成例を示す図である。
【0103】
図7に示す電源装置200Bは、電源2を備える点で、
図6に示す電源装置200Aと異なる。
【0104】
電源2は、コンバータ100-1と、コンバータ100-2との出力端に電気的に接続されている。電源2は、電源装置200Bの2次側の電源である。電源2は、出力電流iinaを電源装置200Bの2次側に出力する。すなわち、本開示においては、2次側には、負荷5および電源2との両方が電気的に接続されていてもよい。また、本開示においては、2次側には、電源2のみが電気的に接続されていてもよい。
【0105】
(第1の例の制御部)
図8を用いて、実施形態の第1の例に係る制御部の構成例について説明する。
図8は、実施形態の第1の例に係る制御部の構成例を示す図である。
【0106】
図8は、
図1に示すコンバータ100の制御部110の構成例を示す。
【0107】
図8に示すように、制御部110は、並列運転制御部140と、減算器152と、フィードバック制御部153と、駆動パルス生成部154と、パルス駆動部155と、を備える。
【0108】
並列運転制御部140は、ローパスフィルタ141と、ドループ制御部142と、仮想双方向ダイオード制御部143と、減算器150と、減算器151と、を備える。並列運転制御部140は、コンバータ100の出力端に、仮想双方向ダイオード回路130を接続する処理を実行する。
【0109】
ローパスフィルタ141は、コンバータ100からの出力電流iout又はコンバータ100への入力電流iinを受ける。ローパスフィルタ141は、出力電流iout又は入力電流iinの高周波成分を除去し、電流ilpfをドループ制御部142及び仮想双方向ダイオード制御部143に出力する。
【0110】
ドループ制御部142は、並列に接続されたコンバータ100に対してドループ制御を実行する。ドループ制御部142は、ローパスフィルタ141から受けた電流i
lpfに基づいて、ドループ制御の電圧信号V
drpを算出する。具体的には、ドループ制御部142は、電流i
lpfと、仮想抵抗素子R1(
図5等参照)の抵抗値とに基づいて、電圧信号V
drpを算出する。ドループ制御部142は、算出した電圧信号V
drpを減算器150に出力する。
【0111】
仮想双方向ダイオード制御部143は、仮想双方向ダイオード131を制御する。仮想双方向ダイオード制御部143は、ローパスフィルタ141から受けた電流ilpfに基づいて、仮想双方向ダイオード131に生じた電圧信号Vbidを算出する。仮想双方向ダイオード制御部143は、算出した電圧信号Vbidを減算器151に出力する。
【0112】
減算器150は、電圧制御指令値Vrefから電圧信号Vdrpを減算し、電圧制御指令値Vrefと電圧信号Vdrpとの差を示す信号S11を減算器151に出力する。
【0113】
減算器151は、信号S11から電圧信号Vbidを減算し、信号S11と電圧信号Vbidとの差を示す信号S12を減算器152に出力する。
【0114】
減算器152は、信号S12からコンバータ100の出力電圧V2を減算し、信号S12と出力電圧V2との差を示す信号S13をフィードバック制御部153に出力する。
【0115】
フィードバック制御部153は、信号S13に基づいて、フィードバック制御を行う。フィードバック制御部153は、信号S13に基づいて、デューティ比を算出する。フィードバック制御部153は、例えば、PID(比例積分微分)演算などを実行して、デューティ比を算出する。フィードバック制御部153は、算出したデューティ比を示すデューティ比指令信号S14を駆動パルス生成部154に出力する。
【0116】
駆動パルス生成部154は、デューティ比指令信号S14に基づいて、トランジスタ11およびトランジスタ12のゲートに入力されるパルスを含むパルス信号S15を生成する。駆動パルス生成部154は、パルス信号S15をパルス駆動部155に出力する。
【0117】
パルス駆動部155は、パルス信号S15の電圧レベルを変換し、トランジスタ11およびトランジスタ12のオン状態とオフ状態とを切り替えるための駆動パルスS16を生成する。パルス駆動部155は、トランジスタ11およびトランジスタ12のゲートに駆動パルスS16を出力する。
【0118】
(第2の例の制御部)
図9を用いて、実施形態の第2の例に係る制御部の構成例について説明する。
図9は、実施形態の第2の例に係る制御部の構成例を示す図である。
【0119】
図9は、
図2に示すコンバータ100Aの制御部110Aの構成例を示す。
図3に示すコンバータ100Bの制御部110Bは、制御部110Aと同様の構成を有する。
【0120】
図9に示すように、制御部110Aは、並列運転制御部140と、減算器152と、フィードバック制御部153Aと、駆動パルス生成部154Aと、1次側パルス駆動部156と、2次側パルス駆動部157と、を有する。
【0121】
制御部110Aは、パルス駆動部155の代わりに、1次側パルス駆動部156と、2次側パルス駆動部157とを備える点で、
図8に示す制御部110と異なる。
【0122】
フィードバック制御部153Aは、信号S13に基づいて、フィードバック制御を実行する。フィードバック制御部153Aは、信号S13に基づいて、第1ブリッジ回路10Aと、第2ブリッジ回路20Aとの間の位相差を算出する。フィードバック制御部153Aは、例えば、PID演算などにより、第1ブリッジ回路10Aと、第2ブリッジ回路20Aとの間の位相差を算出する。フィードバック制御部153Aは、算出した位相差を示す位相差指令信号S17を駆動パルス生成部154Aに出力する。
【0123】
駆動パルス生成部154Aは、位相差指令信号S17に基づいて、トランジスタ11からトランジスタ14に入力されるパルスを含む1次側パルス信号S18を出力する。駆動パルス生成部154Aは、1次側パルス信号S18を1次側パルス駆動部156に出力する。
【0124】
駆動パルス生成部154Aは、位相差指令信号S17に基づいて、トランジスタ51からトランジスタ54に入力されるパルスを含む2次側パルス信号S19を出力する。駆動パルス生成部154Aは、2次側パルス信号S19を2次側パルス駆動部157に出力する。
【0125】
1次側パルス駆動部156は、1次側パルス信号S18の電圧レベルを変換し、トランジスタ11からトランジスタ14のオン状態とオフ状態とを切り替えるための1次側駆動パルスS20を生成する。1次側パルス駆動部156は、トランジスタ11からトランジスタ14のゲートに1次側駆動パルスS20を出力する。
【0126】
2次側パルス駆動部157は、2次側パルス信号S19の電圧レベルを変換し、トランジスタ51からトランジスタ54のオン状態とオフ状態とを切り替えるための2次側駆動パルスS21を生成する。2次側パルス駆動部157は、トランジスタ51からトランジスタ54のゲートに2次側駆動パルスS21を出力する。
【0127】
(処理内容)
図10を用いて、実施形態に係る制御部の処理内容について説明する。
図10は、実施形態に係る制御部の処理内容を示すフローチャートである。
【0128】
以下では、
図1に示すコンバータ100の制御部110が処理を実行するものとして説明する。
図2および
図3に示すコンバータ100Aの制御部110Aおよびコンバータ100Bの制御部110Bの処理も同様なので、説明を省略する。
【0129】
制御部110は、仮想双方向ダイオード回路130の電圧の初期値を算出する(ステップS101)。そして、ステップS102に進む。
【0130】
制御部110は、仮想双方向ダイオード回路130の放電方向の電圧が第1閾値以上であるか否かを判定する(ステップS102)。第1閾値は、例えば、電源装置200(
図5参照)の設計や使用環境などに応じて、設定してよい。放電方向の電圧が第1閾値以上であると判定された場合(ステップS102;Yes)、ステップS103に進む。放電方向の電圧が第1閾値以上であると判定されない場合(ステップS102;No)、ステップS104に進む。
【0131】
ステップS102でYesと判定された場合、制御部110は、仮想双方向ダイオード回路130の電圧を第1閾値に設定する(ステップS103)。そして、
図10の処理を終了する。
【0132】
ステップS102でNoと判定された場合、制御部110は、仮想双方向ダイオード回路130の充電方向の電圧が第2閾値以下であるか否かを判定する(ステップS104)。第2閾値は、電源装置200の設計や使用環境などに応じて、設定してよい。充電方向の電圧が第2閾値以下であると判定された場合(ステップS104;Yes)、ステップS105に進む。充電方向の電圧が第2閾値以下であると判定されない場合(ステップS104;No)、ステップS106に進む。
【0133】
ステップS104でYesと判定された場合、制御部110は、仮想双方向ダイオード回路130の電圧を第2閾値に設定する(ステップS105)。そして、
図10の処理を終了する。
【0134】
ステップS104でNoと判定された場合、制御部110は、仮想双方向ダイオード回路130の電圧を初期値に設定する(ステップS106)。そして、
図10の処理を終了する。
【0135】
(出力電圧特性)
図11を用いて、ドループ制御と仮想双方向ダイオード制御の両方を有効にした条件における実施形態の第1から第3の例に係る電源装置の出力電圧特性について説明する。
図11は、ドループ制御と仮想双方向ダイオード制御の両方を有効にした条件における実施形態の第1から第3の例に係る電源装置の出力電圧特性を示す図である。
【0136】
図11は、横軸が出力電流を示し、縦軸が出力電圧を示す。波形211は、コンバータ100-1(
図5参照)の出力電圧特性を示す。波形212は、コンバータ100-2の出力電圧特性を示す。具体的には、
図11は、
図5において、負荷5を電源装置200から切り離した場合の、コンバータ100-1およびコンバータ100-2の出力電圧特性を示す。
【0137】
図11に示すように、コンバータ100-1とコンバータ100-2とを並列に接続して運転させる場合には、出力電流が大きくなるにつれて出力電圧を小さくするドループ制御を行っている。ここで、波形211および波形212に示すように、コンバータ100-1と、コンバータ100-2と、の出力電圧特性にはばらつきがある。
【0138】
例えば、コンバータ100-1の出力電流の絶対値がim3、コンバータ100-2の出力電流の絶対値がim4の場合に、出力電圧はV4に制御される。この場合、コンバータ100-1およびコンバータ100-2は、充電動作となる。
【0139】
例えば、コンバータ100-1の出力電流の絶対値がip3、コンバータ100-2の出力電流の絶対値がip4の場合、出力電圧はV6に制御される。この場合、コンバータ100-1およびコンバータ100-2は、放電動作となる。
【0140】
例えば、コンバータ100-1の出力電流の絶対値がi
z3、コンバータ100-2の出力電流の絶対値がi
z4の場合に、出力電圧はV5に制御される。i
z4は、略0Aである。波形211および波形212が示すように、本実施形態では、仮想双方向ダイオード回路130を制御することにより、出力電流の向きが変わる0Aを境に、出力電圧を急激に変化させている。
図11に示す例では、出力電圧がV5の時に、コンバータ100-1のみが放電動作を実行し、コンバータ100-2の充放電電流がほぼゼロとなるように制御されている。すなわち、各コンバータ100の制御部110は、コンバータ100-1およびコンバータ100-2の一方が充電動作となり、他方が放電動作となることにより循環電流が発生しないように、仮想双方向ダイオード回路130のダイオード特性を変化させている。これにより、循環電流の発生を抑制することができるので、電力損失の発生を抑制することができる。
【0141】
負荷5が電源装置200に接続されていない状態において、制御部110は、仮想双方向ダイオード回路130を制御した後、仮想双方向ダイオード制御結果の電圧値、ΔV1を記憶する。コンバータ100-1およびコンバータ100-2の制御部110は、負荷5が電源装置200に接続された通常稼働において、コンバータ100-1およびコンバータ100-2の出力電圧をΔVに基づいて、補正する。例えば、コンバータ100-1およびコンバータ100-2の一方の制御部110は、コンバータ100-1またはコンバータ100-2の出力電圧値からΔV1だけ減算または加算する。これにより、各コンバータ100間の出力電圧のばらつきを抑制することができる。
【0142】
図12を用いて、仮想双方向ダイオード制御のみを有効にした条件における実施形態の第1から第3の例に係る電源装置の出力電圧特性について説明する。
図12は、仮想双方向ダイオード制御のみを有効にした条件における実施形態の第1から第3の例に係る電源装置の出力電圧特性を示す図である。
【0143】
図12は、縦軸が出力電圧を示し、横軸が出力電流を示す。波形221は、ドループ制御を無効にした場合のコンバータ100-1の出力電圧特性を示す。波形222は、ドループ制御を無効にした場合のコンバータ100-2の出力電圧特性を示す。具体的には、
図12は、
図5において、ドループ制御を無効にした場合の、コンバータ100-1およびコンバータ100-2の出力電圧特性を示す。ドループ制御を無効とは、仮想双方向ダイオード回路130の仮想抵抗素子R1の抵抗値を0に制御した状態をいう。
【0144】
波形221に示すように、コンバータ100-1の出力電圧は、出力電流がマイナスの領域ではV7に制御されている。波形222に示すように、コンバータ100-2の出力電圧は、出力電流がマイナスの領域ではV8に制御されている。
【0145】
本実施形態では、ドループ制御を無効にする場合においても、仮想双方向ダイオード回路130を制御することにより、出力電流の向きが変わる0Aを境に、出力電圧を急激に変化させている。波形221に示すように、コンバータ100-1の出力電圧は、出力電流がプラスの領域ではV9に制御されている。波形222に示すように、コンバータ100-2の出力電流がプラスの領域ではV10に制御されている。
【0146】
制御部110は、仮想双方向ダイオード回路130を制御した後、仮想双方向ダイオード制御結果の電圧値、ΔV2を記憶する。コンバータ100-1およびコンバータ100-2の制御部110は、ドループ制御を有効した状態において、コンバータ100-1およびコンバータ100-2の出力電圧をΔV2に基づいて、補正する。例えば、コンバータ100-1およびコンバータ100-2の一方の制御部110は、コンバータ100-1またはコンバータ100-2の出力電圧値からΔV2だけ減算または加算する。これにより、各コンバータ100間の出力電圧のばらつきを抑制することができる。
【0147】
図13を用いて、実施形態に係る電源装置の出力電流特性について説明する。
図13は、実施形態に係る出力電流特性を示す図である。
【0148】
図13は、縦軸が各コンバータの出力電流を示し、横軸が負荷電流を示す。波形231は、実施形態に係るコンバータ100-1の出力電流特性を示す。波形232は、実施形態に係るコンバータ100-2の出力電流特性を示す。波形241は、比較例に係るコンバータ100-1の出力電流特性を示す。波形242は、比較例に係るコンバータ100-2の出力電流特性を示す。
【0149】
比較例では、波形241および波形242が示すように、領域300において、コンバータ100-1は放電動作となり、コンバータ100-2は充電動作となり得る。そのため、比較例では、領域300内において、循環電流が発生し、発生した循環電流に起因する電力損失が発生してしまう可能性がある。
【0150】
それに対し、本実施形態では、波形231および波形232が示すように、出力電流がプラスの領域では、コンバータ100-1のみが放電動作を実行し、出力電流がマイナスの領域ではコンバータ100-2のみが充電動作を実行している。すなわち、本実施形態では、領域300においては、コンバータ100-1およびコンバータ100-2のいずれか一方のみが動作するように制御されている。これにより、循環電流の発生が抑制されるので、電力損失を抑制することができる。
【0151】
図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。なお、この分散・統合による構成は動的に行われてもよい。
【0152】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本開示が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0153】
1,2 電源
3,4 コンデンサ
10 ブリッジ回路
10A,10B 第1ブリッジ回路
11から16,51から56 トランジスタ
20A,20B 第2ブリッジ回路
20,21,61,62,63 リアクトル
22,70 トランス
22a 第1巻線
22b 第2巻線
22c コア
31,41 第1アーム
32,42 第2アーム
33,43 第3アーム
100,100A,100B コンバータ
110,110A,110B 制御部
120 電圧計測回路
130 仮想双方向ダイオード回路
131 仮想双方向ダイオード
140 並列運転制御部
141 ローパスフィルタ
142 ドループ制御部
143 仮想双方向ダイオード制御部
150,151,152 減算器
153,153A フィードバック制御部
154,154A 駆動パルス生成部
155 パルス駆動部
156 1次側パルス駆動部
157 2次側パルス駆動部