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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007001
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】タンクローリ
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/22 20060101AFI20240111BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
B60P3/22 Z
F17C13/00 302D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108088
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520346860
【氏名又は名称】エア・ウォーター北海道・産業ガス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109472
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 直之
(72)【発明者】
【氏名】和田 彩香
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康明
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172BA04
3E172BB05
3E172BB12
3E172BD04
3E172EB03
3E172EB10
3E172GA14
3E172GA26
3E172KA03
(57)【要約】
【課題】受入タンクに対する低温液化燃料ガスの小分け充填を可能とするタンクローリを提供する。
【解決手段】車体1と、上記車体1に架装されて低温液化燃料ガスが積載されるタンク10とを備え、上記タンク10は、上記車体1の進行方向を長手方向とする円筒状であり、上記車体1には、上記タンク10の後端部よりも後ろ側に、上記低温液化燃料ガスを荷下ろしするための低温ポンプ20が配置されている。車載された上記低温ポンプ20を駆動することにより、受入タンクに低温液化燃料ガスを充填できる。小容量の受入タンクを複数巡回して小分け充填していくのに好適であり、中小規模の事業所での低温液化燃料ガスの普及を促進できる。また、受入タンクに対して低温液化燃料ガスを充填する際に、受入タンクの近くに低温ポンプ20が位置することになるため、圧力損失が低く、低温ポンプ20から受入タンクまでの配管の取り回しが容易になる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、上記車体に架装されて低温液化燃料ガスが積載されるタンクとを備え、
上記タンクは、上記車体の進行方向を長手方向とする円筒状であり、
上記車体には、上記タンクの後端部よりも後ろ側に、上記低温液化燃料ガスを荷下ろしするための低温ポンプが配置されている
ことを特徴とするタンクローリ。
【請求項2】
上記車体には、上記タンクの後端部よりも後ろ側に防爆エリアが架装され、
上記防爆エリアに上記低温ポンプが配置されている
請求項1記載のタンクローリ。
【請求項3】
上記低温ポンプは、上側のモータ部と下側のポンプ部が連結された縦型であり、
上記防爆エリアの中に上記モータ部が位置し、上記防爆エリアの外に上記ポンプ部が位置するよう、上記低温ポンプが配置されている
請求項2記載のタンクローリ。
【請求項4】
上記防爆エリアの内に位置する上記モータ部と、上記防爆エリアを構成する部材とのあいだに、熱移動を抑制する断熱材を介在させている
請求項3記載のタンクローリ。
【請求項5】
上記防爆エリアには、上記低温ポンプを制御するポンプ操作ボックスが配置され、
上記車体の前方に配置された運転監視盤から上記低温ポンプおよびポンプ操作ボックスに対して電力が供給される
請求項2記載のタンクローリ。
【請求項6】
上記タンク内を加圧するための加圧蒸発器をさらに備え、
上記加圧蒸発器は、前後輪のあいだの左右にそれぞれ設置されている
請求項1記載のタンクローリ。
【請求項7】
上記加圧蒸発器に上記低温液化燃料ガスを供給するための供給管をさらに備え、
上記供給管は、上記左右に設置された加圧蒸発器にそれぞれ上記低温液化燃料ガスを導入する導入路への分岐点が、上記左右の加圧蒸発器のあいだに位置するように構成されている
請求項6記載のタンクローリ。
【請求項8】
上記低温液化燃料ガスが液化天然ガスである
請求項1~7のいずれか一項に記載のタンクローリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば液化天然ガス等の低温液化燃料ガスを輸送するためのタンクローリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
天然に存在する化石燃料である天然ガスは、メタンを主成分とした炭化水素ガスである。近年では、埋蔵残存量に不安のある重油や灯油に替わり、工業用・発電用の産業用ガス燃料や都市ガスの原料などとして上記天然ガスの需要が増加している。上記天然ガスは、-162℃程度に冷却した低温液化燃料ガス(液化天然ガス=LNG)として輸送や貯蔵が行われている。
【0003】
上記LNGは、タンカーなどで船舶輸送され、港で貯蔵容器に陸揚げされたあと、輸送用のタンクローリで各ユーザへ陸上輸送され、各ユーザに設置されたユーザ側貯槽で荷下ろしされている。上記のようなLNGのユーザ側貯槽は、50~80kL以上の容量で設備されているのが一般的である。一方、従来のLNG用タンクローリの積載量は15.7t(37kL)以下である。
【0004】
したがって、積載、輸送、荷下ろしの効率や、設備および輸送にかかる費用等の観点から、大型のタンクローリにできるだけ多量に積載してユーザ側まで輸送し、ユーザ側貯槽では、それを全量荷下ろしすることが一般的に行われる。
【0005】
上記のような低温液化燃料ガスを輸送するためのタンクローリに関する先行技術文献として、本出願人は、下記の特許文献1を把握している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-24355号公報
【0007】
上記特許文献1は、タンクローリに関するものであり、下記の記載がある。
〔0006〕
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、加圧蒸発器による加圧能力を確保しつつ、加圧蒸発器と地面との接触を回避し易くできるタンクローリを提供することを目的としている。
〔0007〕
請求項1記載のタンクローリによれば、加圧蒸発器は、車体前後方向へ延設される複数の直管と、それら複数の直管の端部どうしを連結する複数のU字管との連結により形成される蛇行管を備えている。また、複数の直管は、蛇行管の一端側に配置される入口短管と、蛇行管の他端側に配置される出口短管と、それら入口短管および出口短管の間に配置されると共に入口短管および出口短管よりも長さ寸法が大きく設定される複数の長管とを備え、それら複数の長管が入口短管および出口短管よりも車体後方側へ張り出して位置している。これにより、複数の長管は、車体高さ方向における入口短管と出口短管との間に配置され、長管のうち入口短管および出口短管よりも車体後方側へ張り出す部分が、入口短管よりも車体上方側に配置される。
〔0011〕
このように、加圧蒸発器の車体前後方向における後方部分では、地面との間のクリアランスを広く確保することで、加圧蒸発器が地面と接触することを回避し易くしつつ、加圧蒸発器の車体前後方向における前方部分では、蛇行管をより下方に配置して蛇行管全体の長さ寸法を確保することで、加圧蒸発器による加圧能力を確保できるという効果がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように従来は、主たるLNGのユーザは、タンクローリ1台分以上の容量を有するユーザ側貯槽を使用する大規模な事業所であった。一方、中小規模の事業所では、設置できるユーザ側貯槽の容量が小さくなる。このため、中小規模の事業所がLNGを少量規模で使用したいというニーズに対して対応できる体制がなかったのが実情である。
【0009】
中小規模の事業所で想定されるユーザ側貯槽は、従来の大規模事業所で使用されているユーザ側貯槽よりも容量が小さくなる。たとえば、従来の大規模事業所のユーザ側貯槽は50~80kLが一般的であるが、中小規模の事業所では、11t(26kL)、5.9t(11.9kL)、2.9t(7kL)といった小容量が想定される。
【0010】
したがって、中小規模の事業所における小容量のユーザ側貯槽に対し、LNGをタンクローリで輸送することを検討すると、1台のタンクローリで複数のユーザを巡回し、各ユーザ側貯槽において少しずつ荷下ろししていかなければならない。このとき、ユーザ側貯槽が高圧であったり高所に存在したりする場合には、ユーザ側貯槽の付帯設備としてLNG用のポンプが必要となる。この場合は、ユーザ側貯槽にかかる設備負担が大きく、中小規模の事業所がLNGを採用することに対するハードルとなっている。
【0011】
また、従来の充填では小分け配送が前提とされていないため、充填前後のローリーの重量を測定してその差分が充填量とされている。したがって、タンクローリに積載したLNGを複数のユーザで少しずつ荷下ろしするためには、その際の取引量の計量方法を確立しておく必要がある。
【0012】
ここで、上述した特許文献1は、車輛のバランスを取るための構造と、バランスに関わって、車体後部の底面に備えた加圧蒸発器を、坂道などでいかに地面と接地させないか、という技術であり、ユーザ側貯槽へタンクローリから小分け充填することを可能とする技術ではない。
【0013】
〔目的〕
本発明は、上記の課題を解決するため、つぎの目的をもってなされたものである。
ユーザ側貯槽に対する低温液化燃料ガスの小分け充填と高圧充填を可能とするタンクローリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1記載のタンクローリは、上記目的を達成するため、つぎの構成を採用した。
車体と、上記車体に架装されて低温液化燃料ガスが積載されるタンクとを備え、
上記タンクは、上記車体の進行方向を長手方向とする円筒状であり、
上記車体には、上記タンクの後端部よりも後ろ側に、上記低温液化燃料ガスを荷下ろしするための低温ポンプが配置されている。
【0015】
請求項2記載のタンクローリは、請求項1記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記車体には、上記タンクの後端部よりも後ろ側に防爆エリアが架装され、
上記防爆エリアに上記低温ポンプが配置されている。
【0016】
請求項3記載のタンクローリは、請求項2記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記低温ポンプは、上側のモータ部と下側のポンプ部が連結された縦型であり、
上記防爆エリアの中に上記モータ部が位置し、上記防爆エリアの外に上記ポンプ部が位置するよう、上記低温ポンプが配置されている。
【0017】
請求項4記載のタンクローリは、請求項3記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記防爆エリアの内外に位置する上記モータ部と、上記防爆エリアを構成する部材とのあいだに、熱移動を抑制する断熱材を介在させている。
【0018】
請求項5記載のタンクローリは、請求項2記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記防爆エリアには、上記低温ポンプを制御するポンプ操作ボックスが配置され、
上記車体の前方に配置された運転監視盤から上記低温ポンプおよびポンプ操作ボックスに対して電力が供給される。
【0019】
請求項6記載のタンクローリは、請求項1記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記タンク内を加圧するための加圧蒸発器をさらに備え、
上記加圧蒸発器は、前後輪のあいだの左右にそれぞれ設置されている。
【0020】
請求項7記載のタンクローリは、請求項6記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記加圧蒸発器に上記低温液化燃料ガスを供給するための供給管をさらに備え、
上記供給管は、上記左右に設置された加圧蒸発器にそれぞれ上記低温液化燃料ガスを導入する導入路への分岐点が、上記左右の加圧蒸発器のあいだに位置するように構成されている。
【0021】
請求項8記載のタンクローリは、請求項1~7のいずれか一項に記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記低温液化燃料ガスが液化天然ガスである。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載のタンクローリは、車体と、上記車体に架装されて低温液化燃料ガスが積載されるタンクとを備えている。上記タンクは、上記車体の進行方向を長手方向とする円筒状である。上記車体には、上記タンクの後端部よりも後ろ側に、上記低温液化燃料ガスを荷下ろしするための低温ポンプが配置されている。
上記低温液化燃料ガスを荷下ろしするための低温ポンプが配置されているため、たとえば、車載された上記低温ポンプを駆動することにより、受入タンクに対して低温液化燃料ガスを充填できる。このため、低温ポンプを付帯しない受入タンクに対して低温液化燃料ガスを充填できる。このとき、低温ポンプで昇圧して充填を行うため、たとえば加圧充填に比べて充填時の加圧時間が短縮される。また、高圧な受入タンクや高所に存在する受入タンクなど、様々な環境の受入タンクに充填が可能となる。したがって、たとえば小容量の受入タンクを複数巡回して小分け充填していくのに好適であり、中小規模の事業所での低温液化燃料ガスの普及を促進することができる。また、上記車体の進行方向を長手方向とする円筒状を呈するタンクの後端部よりも後ろ側に上記低温ポンプが配置されている。このため、受入タンクに対して低温液化燃料ガスを充填する際に、ユーザ側の受入れ設備を経由しないでフレキシブルホース等により受入タンクに直接接続が可能となり、圧力損失を低くでき、かつ接続が簡便になる。上記進行方向に長いタンクを車体に架装する場合、タンクの後部の高さ位置を低く設定することがおこなわれる。このため、タンクの後端部よりも後ろ側に低温ポンプを配置することにより、荷下ろしの際にタンクから低温ポンプへの低温液化燃料ガスの流れが良好でスムーズに荷下ろしできる。
【0023】
請求項2記載のタンクローリは、上記車体には、上記タンクの後端部よりも後ろ側に防爆エリアが架装され、上記防爆エリアに上記低温ポンプが配置されている。
上記タンクの後端面には上記低温液化ガスを取り出すためのバルブや配管が配置され、その近傍に上記低温ポンプが配置される。このため、上記後端面を覆うように上記防爆エリアを架装し、その防爆エリアに低温ポンプを配置することで、万一の爆発の影響を防爆エリア内に留め、周囲への影響を最小限に抑えることができる。また、防爆性能を有した機器や防爆処理を施した配線等を上記防爆エリアに集中させることができ、設備効率がよくなる。
【0024】
請求項3記載のタンクローリは、上記低温ポンプは、上側のモータ部と下側のポンプ部が連結された縦型である。上記防爆エリアの中に上記モータ部が位置し、上記防爆エリアの外に上記ポンプ部が位置するよう、上記低温ポンプが配置されている。
電気機器である上記モータ部を上記防爆エリアの中に配置し、上述したように、万一の爆発の影響を防爆エリア内に留め、設備効率をよくすることができる。
一方、低温液化燃料ガスを圧送するポンプ部は、上記タンクから取り出した低温液化燃料ガスが流れる部分であるので、爆発の影響が及びにくい防爆エリアの外に配置して安全性を確保する。
また、上記の構造では、上記低温ポンプのポンプ部が上記タンクよりも高さ方向で低いところに位置することになる。このため、ポンプ部に対するタンクからの液流れが良好になり、スムーズに荷下ろしができる。また、液の流れがスムーズであれば、荷下ろしにあたって必要となる上記低温ポンプの予冷時間を短縮できる。さらに配管系を太くすれば、圧力損失が小さくなって、ポンプ部に液体が入りやすく、予冷時間が短縮する。
【0025】
請求項4記載のタンクローリは、上記防爆エリアの内に位置する上記モータ部と、上記防爆エリアを構成する部材とのあいだに、熱移動を抑制する断熱材を介在させている。
上記ポンプ部は低温液化燃料ガスを圧送により低温に冷却され、その冷熱はポンプ部の上部に配置されたモータ部の下面を低温に冷却する。このため、上記モータ部下面の冷熱を上記断熱材によって遮って防爆エリアを構成する部材が低温に冷却されるのを防止する。これにより、防爆エリアを構成する部材が低温脆性等で劣化するのを防止する。
【0026】
請求項5記載のタンクローリは、上記防爆エリアには、上記低温ポンプを制御するポンプ操作ボックスが配置されている。上記車体の前方に配置された運転監視盤から上記低温ポンプおよびポンプ操作ボックスに対して電力が供給される。
電気系統を制御する運転監視盤を防爆エリアの外である車体の前方に配置し、防爆エリア内には低温ポンプの運転だけを行うポンプ操作ボックスを配置する。上記運転監視盤は収容する電気機器が多く筐体も大きくなるので、その防爆処理を省略して設備コストを低減できる。上記ポンプ操作ボックスは収容する電気機器が少なく筐体も小さいので、それを防爆処理して上記防爆エリア内に配置する。これにより、低温ポンプの近くにポンプ操作ボックスを配置して操作性を確保しながら、安全性も確保する。
【0027】
請求項6記載のタンクローリは、上記タンク内を加圧するための加圧蒸発器をさらに備えている。このため、上記低温ポンプを稼働するための電源を確保できない場所では、加圧蒸発器によりタンク内を加圧して荷下ろしすることができる。また、上記加圧蒸発器は、前後輪のあいだの左右にそれぞれ設置されることにより、車体に残された少ないスペースを活用して上記加圧蒸発器を架装できる。また、左右に2つの加圧蒸発器を備えることにより、十分な加圧量を確保できる。加えて、上記加圧蒸発器を車体の左右に設置することで、タンクローリ自体の低重心化とバランス保持を実現し、走行安定性を確保できる。
【0028】
請求項7記載のタンクローリは、上記加圧蒸発器に上記低温液化燃料ガスを供給するための供給管をさらに備えている。上記供給管は、上記左右に設置された加圧蒸発器にそれぞれ上記低温液化燃料ガスを導入する導入路への分岐点が、上記左右の加圧蒸発器のあいだに位置するように構成されている。
上記左右の導入路への分岐点が、上記左右の加圧蒸発器の直前に配置され、上記分岐点から左右の加圧蒸発器までの距離が短くなっていることから、上記左右の加圧蒸発器に対する低温液化燃料ガスの供給が均等になる。
【0029】
請求項8記載のタンクローリは、上記低温液化燃料ガスが液化天然ガスである。
大規模な事業所だけでなく、受入タンクの容量が小さな中小規模の事業所において液化天然ガスのエネルギー利用を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態のタンクローリの主要な構造を説明する図である。
図2】上記タンクローリにおける低温ポンプの取付け構造を説明する図である。
図3】上記タンクローリにおける加圧蒸発器の配管構造を説明する図である。
図4】上記タンクローリにおける電気系統の構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
つぎに、本発明を実施するための形態を説明する。
【0032】
図1図4は、本発明が適用されたタンクローリの一実施形態を説明する図である。
【0033】
〔全体構造〕
図1は、上記タンクローリの主要な構造を説明する図である。
本実施形態のタンクローリは、車体1とタンク10とを備えている。
【0034】
上記車体1は、前方に運転室6が配置され、上記運転室6の後方に前後方向に延びる荷台部7が配置されている。上記運転室6の下方左右に前輪2が配置され、上記荷台部7の下方左右に後輪3が配置されている。
【0035】
上記タンク10は、上記車体1の上記荷台部7に架装されて低温液化燃料ガスが積載される低温タンクである。上記タンク10は、上記車体1の進行方向(上記荷台部7の前後方向である)を長手方向とする円筒状である。上記タンク10は、上記低温液化燃料ガスが充填されるため、真空断熱構造を有したものが用いられる。
【0036】
上記タンク10に充填され積載される上記低温液化燃料ガスは、低温で液化させて貯留しうる燃料ガスであれば各種のものを含む趣旨である。上記低温液化燃料ガスとして具体的には、たとえば、液化天然ガス、液化メタン、液化エタン、液化バイオメタン等をあげることができる。上記液化天然ガスであれば―162℃程度、上記液化メタンおよび液化バイオメタンであれば―162℃程度、上記液化エタンであれば-89℃程度の低温である。
【0037】
上記車体1には、上記タンク10の後端部よりも後ろ側に防爆エリア5が架装されている。上記防爆エリア5は、上記タンク10の後端面10Aを覆って左右側面と後側面および天井面と床面が防爆板5Aで囲まれた領域であり、爆発を遮って防爆するためのものである。上記防爆板5Aは、耐火性と剛性を備えた防爆性能を有する板材であり、具体的には所定厚みの鋼板を使用することができる。
【0038】
上記タンク10の後端面10Aには、上記低温液化ガスを取り出すためのバルブや配管が配置されている。したがって、後述するように荷下ろし用の低温ポンプ20、上記低温ポンプ20を運転するための電気機器等が、上記後端面10Aの近傍に配置されることになる。したがって、上記後端面10Aを上記防爆板5Aで覆って防爆エリア5を形成し、安全性を確保している。上記防爆エリア5には、後述する低温ポンプ20のモータ部21や低温ポンプ20を運転するための電気機器等が収容される。
【0039】
上記車体1には、上記タンク10の後端部よりも後ろ側に、上記低温液化燃料ガスを荷下ろしするための低温ポンプ20が配置されている。上記低温ポンプ20は上記防爆エリア5に配置されている。上記低温ポンプ20の後方には突入防止バンパ4が設けられ、後述するポンプ部23を保護している。
【0040】
〔低温ポンプの取付け構造〕
図2は、上記低温ポンプ20の取付け構造を説明する図である。
【0041】
上記低温ポンプ20は、上側のモータ部21と下側のポンプ部23が連結された縦型であり、この例ではシールレスポンプが使用されている。上記モータ部21とポンプ部23のあいだは、動力伝達用のシャフト(図示していない)が収容されたハウジング24によって連結されている。すなわち、上側のモータ部21が下側のポンプ部23内部のインペラ(図示していない)に駆動力を与えて回転させ、低温液化燃料ガスを圧送し、上記タンク10から受入タンク(図示していない)に荷下ろしする。上記受入タンクとして具体的には、たとえば貯蔵用の貯槽や容器が用いられる。
【0042】
上記低温ポンプ20は、上記防爆エリア5の中に上記モータ部21が位置し、上記防爆エリア5の外に上記ポンプ部23が位置するよう配置されている。上記モータ部21は、上記ポンプ部23を駆動するための電気機器であるため、上記防爆エリア5の中に位置させている。上記ポンプ部23は、上記低温液化燃料ガスの流入部と吐出部を有し、上記低温液化燃料ガスを圧送する部分であり、上述した各種の電気機器とは防爆板5Aを隔てたところに位置させるのが好ましい。このため、上記ポンプ部23を上記防爆エリア5の外に位置するよう配置している。
【0043】
また、本実施形態では、上記防爆エリア5の内に位置する上記モータ部21と、上記防爆エリア5を構成する部材とのあいだに、熱移動を抑制する断熱材25を介在させている。上記断熱材25は、たとえばFRP製の板材を使用することができる。上記断熱材25としては、ある程度の強度と断熱性を兼ね備えたものであれば、FRP製の板材に限らず、各種のものを採用することができる。上記防爆エリア5を構成する部材は、この例では、上記防爆エリア5の床面を構成する防爆板5Aである。
【0044】
〔加圧蒸発器の配管構造〕
図3は、加圧蒸発器30の配管構造を説明する図である。(A)は上から見た状態、(B)は横から見た状態、(C)は後から見た状態である。
【0045】
本実施形態のタンクローリは、上記タンク10内を加圧するための加圧蒸発器30をさらに備えている。上記加圧蒸発器30は、上記低温ポンプ10を駆動するための電源を確保できないユーザで荷下ろしする際に使用される。上記加圧蒸発器30は、上記タンク10内の低温液化燃料ガスを取り出して蒸発させ、気体になった燃料ガスを上記タンク10内の上部に導入する。これにより、上記加圧蒸発器30内を加圧して液面を押し下げ、その圧力で低温液化燃料ガスを取り出し荷下ろしする。
【0046】
本実施形態のタンクローリでは、上記加圧蒸発器30は、前後輪のあいだの左右にそれぞれ設置されている。つまり、上記前輪2の後ろで上記後輪3の前の空間に、上記加圧蒸発器30が設置される。前輪2と後輪3は左右にあるのでそれに対応して、上記加圧蒸発器30は左右に設置されている。上記加圧蒸発器30は、低温液化燃料ガスを大気と熱交換して蒸発させる蒸発路37(図1参照)が蛇行状に集積して構成されている。上記蒸発路37はたとえばアルミニウム製のフィン管等により形成される。上記左右の加圧蒸発器30はそれぞれ、後輪3の幅寸法を超えない幅寸法に設定されている。
【0047】
本実施形態のタンクローリは、上記加圧蒸発器30に上記低温液化燃料ガスを供給するための供給管31をさらに備えている。上記供給管31は、上記タンク10の後端面10Aに接続されて上記タンク10内の低温液化燃料ガスを取り出して上記加圧蒸発器30に供給する。上記加圧蒸発器30は上述したように車体1の左右に設置されており、上記左右の加圧蒸発器30にそれぞれ上記低温液化燃料ガスを導入するようになっている。つまり、上記供給管31は、上記左右に設置された加圧蒸発器30にそれぞれ上記低温液化燃料ガスを導入する導入路32に分岐している。上記左右の導入路32への分岐点33は、上記左右の加圧蒸発器30のあいだに位置している。
【0048】
上記加圧蒸発器30には、上記加圧蒸発器30で大気と熱交換して気化した燃料ガスを上記タンク10内の上部に導入する加圧路35が接続されている。上記加圧路35により気体になった燃料ガスが上記タンク10内の上部に導入される。その圧力で低温液化燃料ガスを取り出し荷下ろしする。
【0049】
〔電気系統の構造〕
図4は、電気系統の構造を説明する図である。
【0050】
上記防爆エリア5には、上記低温ポンプ20を発停するポンプ操作ボックス40が配置されている。また、上記車体1の前方には、電気系統を制御する運転監視盤50が配置されている。この例では、上記運転監視盤50は、運転室6の内部もしくはその近傍に配置される。つまり、上記運転監視盤50は、上記タンク10の前端より前に配置され、上記ポンプ操作ボックス40は、上記タンク10の後端より後ろの防爆エリア5に配置されている。
【0051】
上記ポンプ運転盤40は、防爆性能をもつ構造を有したものである。これにより、爆発から内部の電気機器を保護し、安全性を確保する。
【0052】
本実施形態では、上記車体1の前方に配置された上記運転監視盤50から、上記低温ポンプ20およびポンプ操作ボックス40に対して電力が供給される。つまり、上記タンク10の前端より前に配置された上記運転監視盤50から、上記タンク10の後端より後ろに配置された上記低温ポンプ20およびポンプ操作ボックス40に対して電力が供給される。
【0053】
上記運転監視盤50には、コンセント52が接続されている。上記コンセントをユーザ側の電源ソケットに差し込んで電気の供給を受け、上記運転監視盤50を経由して上記低温ポンプ20およびポンプ操作ボックス40に対して電力が供給される。
【0054】
上記運転監視盤50には、上記低温ポンプ20のモータ部21が接続されている。上記コンセント52で供給を受けた電力を、上記運転監視盤50を経由して上記低温ポンプ20のモータ部21に対して供給する。上述したように、上記モータ部21は防爆エリア5内に位置している。したがって、上記運転監視盤50から上記モータ部21に対して電力を供給する電線のうち防爆エリア5内にあるものは、防爆処理が施される。上記防爆処理としてたとえば、防爆性の配管内を通すことが行われる。上記防爆性の配管は、所定厚みの鋼管を使用することができる。このように、防爆エリア5内の電線に防爆処理を施すことにより爆発から電線を保護し、安全性を確保する。
【0055】
上記運転監視盤50には、上記防爆エリア5内に配置された第1防爆ジャンクションボックス41Aおよび第2防爆ジャンクションボックス41Bが接続されている。第1防爆ジャンクションボックス41Aおよび第2防爆ジャンクションボックス41Bは、防爆性能を有する筐体をもつジャンクションボックスである。上記運転監視盤50から上記第1防爆ジャンクションボックス41Aに対して電力を供給する電線のうち防爆エリア5内にあるものは、上述した防爆処理が施される。上記第2防爆ジャンクションボックス41Bにおいても同様である。これにより、ボックス内部の電気機器や電線を爆発から保護し、安全性を確保する。
【0056】
上記防爆エリア5内には、上述したように、第1防爆ジャンクションボックス41A、第2防爆ジャンクションボックス41B、ポンプ操作ボックス40、モータ部21が配置されている。さらに、上記防爆エリア5内には、ポンプ温度センサ42、ポンプ回転センサ43、照明灯47が配置されている。
【0057】
上記ポンプ操作ボックス40および照明灯47は、上記第1防爆ジャンクションボックス41Aを経由して上記運転監視盤50に接続されている。上記ポンプ温度センサ42、上記ポンプ回転センサ43は、上記第2防爆ジャンクションボックス41Bを経由して上記運転監視盤50に接続されている。上記第1防爆ジャンクションボックス41Aおよび第2防爆ジャンクションボックス41Bと上述した各種の機器とを接続する電線は、上記防爆エリア5内において上述した防爆処理が施され、たとえば防爆性の配管内を通すことが行われる。
【0058】
上記ポンプ温度センサ42は、上記低温ポンプ20のポンプ部23内の低温液化燃料ガスの温度を検知し、そのデータを上記運転監視盤50に送信する。上記ポンプ部23内の低温液化燃料ガスの温度を検知することにより、荷下ろしを開始するときの予冷温度を確認できる。上記ポンプ温度センサ42で検知した上記ポンプ部23内の低温液化燃料ガスの温度は、防爆エリア5内でも確認できるようになっている。
【0059】
上記ポンプ回転センサ43は、上記低温ポンプ20のモータ部21の回転数を検知し、そのデータを上記運転監視盤50に送信する。上記ポンプ回転センサ43で検知したモータ部21の回転数は、防爆エリア5内でも確認できるようになっている。
【0060】
上記照明灯47は、防爆エリア5内を照明する。
【0061】
上記運転監視盤50には無線LANルータ53が接続され、上記ポンプ温度センサ42、上記ポンプ回転センサ43から受信した各データを端末装置54に対して送信する。上記端末装置54に上述した各データを表示することにより、運転手や操作者は、荷下ろしの際の上記低温ポンプ20の状況を知ることができる。
【0062】
また、図示しないデジタル液面計を搭載し、上記運転監視盤50および無線LANルータ53を経由して端末装置54に対して送信するように構成することができる。このようにすることにより、複数の受入タンクにおいて小分け充填して荷下ろしするときに、低温液化燃料ガスの取引量を即時に決定することができる。
【0063】
また、タンクローリにバッテリーや蓄電池を搭載することも可能である。たとえば、低温ポンプ20の駆動電源を上記バッテリーや蓄電池から取ることができる。このようにすることにより、ユーザ側で電源を供給する必要が無くなる。
【0064】
〔実施形態の効果〕
本実施形態のタンクローリは、車体1と、上記車体1に架装されて低温液化燃料ガスが積載されるタンク10とを備えている。上記タンク10は、上記車体1の進行方向を長手方向とする円筒状である。上記車体1には、上記タンク10の後端部よりも後ろ側に、上記低温液化燃料ガスを荷下ろしするための低温ポンプ20が配置されている。
上記低温液化燃料ガスを荷下ろしするための低温ポンプ20が配置されているため、たとえば、車載された上記低温ポンプ20を駆動することにより、受入タンクに対して低温液化燃料ガスを充填できる。このため、低温ポンプ20を付帯しない受入タンクに対して低温液化燃料ガスを充填できる。このとき、低温ポンプで昇圧して充填を行うため、たとえば加圧充填に比べて充填時の加圧時間が短縮される。また、高圧な受入タンクや高所に存在する受入タンクなど、様々な環境の受入タンクに充填が可能となる。したがって、たとえば小容量の受入タンクを複数巡回して小分け充填していくのに好適であり、中小規模の事業所での低温液化燃料ガスの普及を促進することができる。また、上記車体1の進行方向を長手方向とする円筒状を呈するタンク10の後端部よりも後ろ側に上記低温ポンプ20が配置されている。このため、受入タンクに対して低温液化燃料ガスを充填する際に、ユーザ側の受入れ設備を経由しないでフレキシブルホース等により受入タンクに直接接続が可能となり、圧力損失を低くでき、かつ接続が簡便になる。上記進行方向に長いタンク10を車体1に架装する場合、タンク10の後部の高さ位置を低く設定することがおこなわれる。このため、タンク10の後端部よりも後ろ側に低温ポンプ20を配置することにより、荷下ろしの際にタンクから低温ポンプへの低温液化燃料ガスの流れが良好でスムーズに荷下ろしできる。
【0065】
本実施形態のタンクローリは、上記車体1には、上記タンク10の後端部よりも後ろ側に防爆エリア5が架装され、上記防爆エリア5に上記低温ポンプ10が配置される。
上記タンク10の後端面には上記低温液化ガスを取り出すためのバルブや配管が配置され、その近傍に上記低温ポンプ10が配置される。このため、上記後端面を覆うように上記防爆エリア5を架装し、その防爆エリア5に低温ポンプ10を配置することで、万一の爆発の影響を防爆エリア5内に留め、周囲への影響を最小限に抑えることができる。また、防爆性能を有した機器や防爆処理を施した配線等を上記防爆エリア5に集中させることができ、設備効率がよくなる。
【0066】
本実施形態のタンクローリは、上記低温ポンプ10は、上側のモータ部21と下側のポンプ部23が連結された縦型である。上記防爆エリア5の中に上記モータ部21が位置し、上記防爆エリア5の外に上記ポンプ部23が位置するよう、上記低温ポンプ10が配置されている。
電気機器である上記モータ部21を上記防爆エリア5の中に配置し、上述したように、万一の爆発の影響を防爆エリア5内に留め、設備効率をよくすることができる。
一方、低温液化燃料ガスを圧送するポンプ部21は、上記タンク10から取り出した低温液化燃料ガスが流れる部分であるので、爆発の影響が及びにくい防爆エリア5の外に配置して安全性を確保する。
また、上記の構造では、上記低温ポンプ20のポンプ部23が上記タンク10よりも高さ方向で低いところに位置することになる。このため、ポンプ部23に対するタンク10からの液流れが良好になり、スムーズに荷下ろしができる。また、液の流れがスムーズであれば、荷下ろしにあたって必要となる上記低温ポンプ20の予冷時間を短縮できる。さらに配管系を太くすれば、圧力損失が小さくなって、ポンプ部23に液体が入りやすく、予冷時間が短縮する。
【0067】
本実施形態のタンクローリは、上記防爆エリア5の内に位置する上記モータ部21と、上記防爆エリア5を構成する部材とのあいだに、熱移動を抑制する断熱材25を介在させている。
上記ポンプ部23は低温液化燃料ガスを圧送により低温に冷却され、その冷熱はポンプ部23の上部に配置されたモータ部21の下面を低温に冷却する。このため、上記モータ部21下面の冷熱を上記断熱材25によって遮って防爆エリア5を構成する部材が低温に冷却されるのを防止する。これにより、防爆エリア5を構成する部材が低温脆性等で劣化するのを防止する。
【0068】
本実施形態のタンクローリは、上記防爆エリア5には、上記低温ポンプ10を制御するポンプ操作ボックス40が配置されている。上記車体1の前方に配置された運転監視盤50から上記低温ポンプ10およびポンプ操作ボックス40に対して電力が供給される。
電気系統を制御する運転監視盤50を防爆エリア5の外である車体1の前方に配置し、防爆エリア5内には低温ポンプ20の運転だけを行うポンプ操作ボックス40を配置する。上記運転監視盤50は収容する電気機器が多く筐体も大きくなるので、その防爆処理を省略して設備コストを低減できる。上記ポンプ操作ボックス40は収容する電気機器が少なく筐体も小さいので、それを防爆処理して上記防爆エリア5内に配置する。これにより、低温ポンプ20の近くにポンプ操作ボックス40を配置して操作性を確保しながら、安全性も確保する。
【0069】
本実施形態のタンクローリは、上記タンク10内を加圧するための加圧蒸発器30をさらに備えている。このため、上記低温ポンプ20を稼働するための電源を確保できない場所では、加圧蒸発器30によりタンク10内を加圧して荷下ろしすることができる。また、上記加圧蒸発器30は、前後輪のあいだの左右にそれぞれ設置されることにより、車体1に残された少ないスペースを活用して上記加圧蒸発器30を架装できる。また、左右に2つの加圧蒸発器30を備えることにより、十分な加圧量を確保できる。加えて、上記加圧蒸発器30を車体1の左右に設置することで、タンクローリ自体の低重心化とバランス保持を実現し、走行安定性を確保できる。
【0070】
本実施形態のタンクローリは、上記加圧蒸発器30に上記低温液化燃料ガスを供給するための供給管31をさらに備えている。上記供給管31は、上記左右に設置された加圧蒸発器30にそれぞれ上記低温液化燃料ガスを導入する導入路32への分岐点33が、上記左右の加圧蒸発器30のあいだに位置するように構成されている。
上記左右の導入路32への分岐点33が、上記左右の加圧蒸発器30の直前に配置され、上記分岐点33から左右の加圧蒸発器30までの距離が短くなっていることから、上記左右の加圧蒸発器30に対する低温液化燃料ガスの供給が均等になる。
【0071】
本実施形態のタンクローリは、上記低温液化燃料ガスが液化天然ガスである。
大規模な事業所だけでなく、受入タンクの容量が小さな中小規模の事業所において液化天然ガスのエネルギー利用を促進することができる。
【0072】
◆変形例
以上は本発明の特に好ましい実施形態について説明したが、本発明は図示した実施形態に限定する趣旨ではなく、各種の態様に変形して実施することができ、本発明は各種の変形例を包含する趣旨である。
【0073】
たとえば、タンクローリ側とユーザ設備側の双方に、カプラを搭載することにより、着脱時の作業を簡素化することができる。
【符号の説明】
【0074】
1:車体
2:前輪
3:後輪
4:突入防止バンパ
5:防爆エリア
5A:防爆板
6:運転室
7:荷台部
10:タンク
10A:後端面
20:低温ポンプ
21:モータ部
23:ポンプ部
24:ハウジング
25:断熱材
30:加圧蒸発器
31:供給管
32:導入路
33:分岐点
35:加圧路
37:蒸発路
40:ポンプ操作ボックス
41A:第1防爆ジャンクションボックス
41B:第2防爆ジャンクションボックス
42:ポンプ温度センサ
43:ポンプ回転センサ
47:照明灯
50:運転監視盤
52:コンセント
53:無線LANルータ
54:端末装置
図1
図2
図3
図4