(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070028
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】電子ペン
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20240515BHJP
G06F 3/046 20060101ALI20240515BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
G06F3/03 400A
G06F3/046 A
G06F3/044 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180369
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】二宮 健一
(72)【発明者】
【氏名】尾形 衛
(57)【要約】
【課題】 電子ペンに関し、芯体の軸心を中心とした回転を抑止し、筆記入力時において違和感を与えることなく使用できるようにする。
【解決手段】 筐体23、芯体24と押圧部材14とからなる芯体部、筆圧検出部25X、保持部材13を備えて構成される。押圧部材14は、芯体24の後端部を保持し、芯体24にかけられる筆圧に応じて、筆圧検出部25Xを押圧するものであり、保持部材13は、筐体23内に固定され、芯体部の後端側を収納して保持する筒状のものである。芯体部の側面の少なくとも一部に軸心方向に平行な平面部が設けられる。また、保持部材13は、内壁面の少なくとも一部分に凸部が設けられる。芯体部が筐体23内に装着されたときに、芯体部の平面部と保持部材13の凸部が対向する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部に開口を有する筒状の筐体と、
一方の端部をペン先として前記筐体の前記開口から突出させる棒状の芯体と、前記芯体の後端部を保持し、前記芯体にかけられる力を伝達する押圧部材とからなる芯体部と、
前記筐体内に固定され、前記芯体にかけられる筆圧を検出する筆圧検出部と、
前記筐体内に固定され、前記芯体部を収納して保持する筒状の保持部材と
を備え、
前記芯体部の側面の少なくとも一部に軸心方向に平行な平面部を有し、
前記保持部材の内縁形状は、円筒形状であり少なくとも一部分に凸部を有し、
前記芯体部が前記筐体に装着されたとき、前記芯体部の前記平面部と前記保持部材の前記凸部が対向する
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項2】
請求項1に記載の電子ペンであって、
前記芯体部の前記平面部は前記芯体に設けられている
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項3】
請求項1に記載の電子ペンであって、
前記芯体部の前記平面部は前記押圧部材に設けられている
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項4】
請求項1に記載の電子ペンであって、
前記保持部材は、前記芯体部の前記押圧部材と前記筆圧検出部とを保持する
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項5】
一方の端部に開口を有する筒状の筐体と、
一方の端部をペン先として前記筐体の前記開口から突出させる棒状の芯体と、前記芯体の後端部を保持し、前記芯体にかけられる力を伝達する押圧部材とからなる芯体部と、
前記筐体内に固定され、前記芯体にかけられる筆圧を検出する筆圧検出部と、
前記筐体内に固定され、前記芯体部を収納して保持する筒状の保持部材と
を備え、
前記芯体部の側面の少なくとも一部に凸部を有し、
前記保持部材の内縁形状は、円筒形状であり少なくとも一部分に軸心方向に平行な平面部を有し、
前記芯体部が前記筐体に装着されたとき、前記芯体部の前記凸部と前記保持部材の前記平面部が対向する
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項6】
一方の端部に開口を有する筒状の筐体と、
前記筐体内に取り付けられ、一方の端部をペン先として前記筐体の前記開口から突出させる棒状の芯体と、
前記筐体内に固定され、前記芯体にかけられる筆圧を検出する筆圧検出部と、
前記筐体の前記開口から挿入される前記芯体の後端部を保持し、前記芯体にかけられる筆圧に応じて、前記筆圧検出部を押圧する押圧部材と、
前記筐体内に固定され、前記押圧部材を収納して保持する筒状の保持部材と
を備え、
前記押圧部材は、略円柱形状のものであり、前側部と前記前側部よりも直径が長い後側部とからなり、前記前側部の前端面より前記芯体の後端側が差し込まれる芯体保持用穴部が設けられており、
前記保持部材は、前記押圧部材の前記前側部が嵌合する前側嵌合部と、前記押圧部材の前記後側部が嵌合する後側嵌合部とを備え、前記前側嵌合部のペン先側の端部には、前記芯体が挿入される挿入孔が設けられ、前記後側嵌合部の後端側の端部は、前記押圧部材が挿入される後端開口部が設けられており、
前記保持部材の前記前側嵌合部の内壁面と前記押圧部材の前記前側部の側面とには、相互に嵌合する凹凸が設けられることなく、前記保持部材の前記前側嵌合部の内縁形状と前記押圧部材の前記前側部の外縁形状とにより、前記保持部材の前記前側嵌合部に前記押圧部材の前記前側部が嵌合可能であるが、前記保持部材の前記前側嵌合部内において前記押圧部材の前記前側部は軸心を中心にする回転が抑制されており、前記保持部材の前記前側嵌合部の前記内壁面と、前記押圧部材の前記前側部の前記側面とは部分的に接触可能になっている
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項7】
請求項6に記載の電子ペンであって、
前記押圧部材の前記前側部は前記芯体保持用穴部を挟んで対向する側面が平面となった押圧部材平面部であり、
前記押圧部材平面部に対向する前記保持部材の前記前側嵌合部の対向面は、軸心方向に沿う方向に延伸された1以上の線状部分が、前記押圧部材の前記平面部に向かって突出することにより山型面部が形成されており、1以上の前記線状部分が前記押圧部材平面部に対して接触可能になっている
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項8】
請求項6に記載の電子ペンであって、
前記保持部材の前記前側嵌合部の内壁面は、前記押圧部材の前記前側部を挟んで対向する面が平面となった保持部材平面部であり、
前記保持部材平面部に対向する前記押圧部材の前記前側部の対向面は、軸心方向に沿う方向に延伸された1以上の線状部分が、前記押圧部材の前記平面部に向かって突出することにより山型面部に形成されており、1以上の前記線状部分が前記保持部材平面部に対して接触可能になっている
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項9】
請求項6に記載の電子ペンであって、
前記押圧部材の前記前側部は前記芯体保持用穴部を挟んで対向する側面が平面となった押圧部材平面部であり、
前記押圧部材平面部に対向する前記保持部材の前記前側嵌合部の対向面は、円弧状とされており、円弧状とされた前記対向面の頂点部分が、前記押圧部材平面部に対して接触可能になっている
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項10】
請求項6に記載の電子ペンであって、
前記保持部材の前記前側嵌合部の内壁面は、前記押圧部材の前記前側部を挟んで対向する面が平面となった保持部材平面部であり、
前記保持部材平面部に対向する前記押圧部材の前記前側部の対向面は、円弧状とされており、円弧状とされた前記対向面の頂点部分が、前記保持部材平面部に対して接触可能になっている
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項11】
請求項6に記載の電子ペンであって、
前記押圧部材の前記前側部は前記芯体保持用穴部を挟んで対向する側面が平面となった押圧部材平面部であり、
前記押圧部材平面部に対向する前記保持部材の前記前側嵌合部の対向面は、球面形状とされており、球面形状とされた前記対向面の頂点部分が、前記押圧部材平面部に対して接触可能になっている
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項12】
請求項6に記載の電子ペンであって、
前記保持部材の前記前側嵌合部の内壁面は、前記押圧部材の前記前側部を挟んで対向する面が平面となった保持部材平面部であり、
前記保持部材平面部に対向する前記押圧部材の前記前側部の対向面は、球面形状とされており、球面形状とされた前記対向面の頂点部分が、前記保持部材平面部に対して接触可能になっている
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項13】
請求項6に記載の電子ペンであって、
前記押圧部材の後側部は、前側張り出し部と、中間部と、後側張り出し部とからなり、前記中間部の直径は、前記前側張り出し部と前記後側張り出し部の直径よりも短い
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項14】
請求項6に記載の電子ペンであって、
前記押圧部材の後側部は、側面に前記保持部材の内側嵌合部の内壁面と接触する複数の突起が設けられている
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項15】
請求項6に記載の電子ペンであって、
前記芯体の側面周囲に巻回されたコイルと、前記コイルに接続されるコンデンサとによって構成された共振回路が搭載されている
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項16】
請求項6に記載の電子ペンであって、
前記芯体は導電性を備えたものであり、
前記芯体から送信する位置指示信号を前記芯体に供給する発信回路を備える
ことを特徴とする電子ペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、タブレットPC(Personal Computer)などの情報処理装置に搭載された位置検出装置に対する位置指示器として用いられる電子ペンに関する。
【背景技術】
【0002】
後に記す特許文献1には、電磁誘導方式の電子ペン2の構成例について記載されている。具体的に電子ペン2は、
図9(A)に示すように、筐体23内に、電子ペン機能を実現するための種々の部材が搭載されて構成される。フェライトコア22の貫通孔には、芯体24がフェライトコア22を軸心方向に貫通するように挿入される。フェライトコア22の当該貫通孔に挿入される芯体24の部分は、当該貫通孔の径よりもやや短い径を有するものであり、当該貫通孔内を軸心方向に摺動移動することができるようにされる。
【0003】
図9(A)に示すように、フェライトコア22の軸心方向の中心を含む所定の長さの部分は、軸心方向に沿ってコイル21が巻回されたコイル巻回部となり、その両側の部分はコイルが巻回されていないコイル非巻回部となっている。フェライトコア22に巻回されたコイル21の両端からの延伸線である導電線21a,21bは、筐体23の内側を、プリント基板26まで延伸されて、プリント基板26に設けられているコンデンサCfに接続される。これにより、コイル21とプリント基板26上のコンデンサCfとによって共振回路を構成し、電磁誘導方式の位置検出装置との間において、電磁誘導により相互に信号を送受することができる。
【0004】
芯体24のペン先とは反対側には、モールド部25A、筆圧検出部25B、嵌合部25C、接続端子部25Dからなる接続部25が設けられる。接続部25は、コイル21とフェライトコア22と芯体24とからなるペン先側の部分と、プリント基板26及び基板保護パイプ27とを一体的に接続する部分である。モールド部25Aの内部には、
図9(A)に示すように、芯体保持部A1、導電ゴムA2、リングスペーサA3、誘電体A4、端子部材A5が設けられている。これらの各部が、モールド部25Aと、嵌合部25Cとによって挟み込まれ、筆圧を検出する可変容量コンデンサの構成とされた筆圧検出部25Bとなる。
【0005】
導電ゴムA2に接続された導電線と、端子部材A5に接続された導電線とが、例えば、モールド部25Aと嵌合部25Cの外側を通り、接続端子部25Dの端子に接続され、接続端子部25Dの端子を通じて、プリント基板26の電子回路に接続される。これにより、プリント基板26の電子回路部において、芯体24に加えられる筆圧を、上述したように、可変容量コンデンサの構成とされる筆圧検出部25Bにおける静電容量の変化として検出できる。
【0006】
嵌合部25Cは、基板保護パイプ27と嵌合する部分である。嵌合部25Cは、樹脂や硬質ゴムなどにより例えば略円筒状に形成され、モールド部25Aと強固に嵌合して一体的になっている。嵌合部25Cの内側には、プリント基板26の先端部が嵌合する凹部が設けられている。嵌合部25Cに基板保護パイプ27を嵌合させた場合には、基板保護パイプ27の外周が、嵌合部25Cやモールド部25Aの外周と一致するようになっている。
【0007】
接続端子部25Dは、
図9(A)に示すように、嵌合部25Cに連結する上下に2枚の板部からなる部分である。この板部が後述するプリント基板26を挟み込むようになっている。これら2枚の板部の一方、例えば、
図9(A)において上側の板部には、上述した導電ゴムA2と、端子部材A5からの導電線が接続された端子が、上側の面から回路基板側の端面を巻き込んで下側の面にまで至るように設けられている。これにより、接続端子部25Dにプリント基板26を差し込んだ時に、プリント基板26に設けられている電子回路の端子部と自動的に接続されるようになっている。
【0008】
プリント基板26は、長方形状の絶縁基板上に上述した電子回路への端子や当該電子回路を構成する種々の回路部品が搭載され、それらを接続する配線が設けられて形成される。種々の回路部品には、制御回路として機能するIC(Integrated Circuit)、コンデンサCfなど複数のコンデンサなどが含まれる。プリント基板26は、
図9(A)に示すように、基板保護パイプ27の内部に収納されて保護される。
【0009】
基板保護パイプ27は、折れたり曲がったりしにくい硬質管状部材である。基板保護パイプ27は、その両端に、芯体側開口部と後端側開口部とを有している。芯体側開口部から基板保護パイプ27の内側の所定範囲の部分に、接続部25の嵌合部25Cが差し込まれて両者が嵌合する。同様に、後端側開口部から基板保護パイプ27の内側の所定範囲の部分に、パイプ蓋28が差し込まれて両者が嵌合する。このパイプ蓋28にも、プリント基板26の端部が差し込まれる凹部が設けられている。
【0010】
これにより、芯体24は、その後端部から筐体23の開口部23aより挿入され、芯体保持部A1に差し込まれて、その先端側の部分を筐体23から突出させるようにして、筐体23内に装着される。すなわち、芯体保持部A1は、芯体24の装着部を構成する。この場合に、コイル21が巻回されたフェライトコア22に芯体24が挿通されたペン先側の部分と、接続部25と、プリント基板26を収納した基板保護パイプ27と、パイプ蓋28とが一体的に接続される。これらが筐体23内に収納され、後端蓋29により閉じられることにより筐体23内に保持されて、電子ペン2が構成される。
【0011】
図9(A)に示した電子ペン2の等価回路は、
図9(B)に示すものとなる。すなわち、コイル21と、可変容量コンデンサの構成とされた筆圧検出部25Bと、プリント基板26上のコンデンサCfとが並列に接続されて共振回路を構成する。これにより、後述する電磁誘導方式の位置検出センサを備えた位置検出装置との間で、信号の送受を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図9に示した電磁誘導方式の電子ペン2の場合、印加される筆圧に応じて芯体24が軸心方向に摺動移動が可能にされる。これにより、芯体24に印加される筆圧が、筆圧検出部25Bにおいて検出が可能になる。このため、
図9(A)を見ると分かるように、筆圧の伝達を妨げることが無いようにするため、芯体24及び芯体保持部A1の側面が、その周囲のフェライトコア22の内壁面やモールド部25Aの内壁面と基本的にかかわることが無い構成とされる。このような構成から電子ペン2の芯体24のペン先を操作面に接触させて筆記入力を行う場合に、芯体24及び芯体保持部A1が、軸心を中心にして回転する場合がある。
【0014】
既存の筆記具である鉛筆、シャープペンシル、ボールペン、万年筆などは、紙面にペン先を接触させて筆記する場合に、いずれもペン先が軸心を中心にして回転することはない。このため、電子ペン2の使用時において、芯体24及び芯体保持部A1が軸心を中心にして回転すると、従来にない筆記感覚を使用者に与えてしまい、使用者によっては書き難さとして感じてしまう場合がある。このことは電磁誘導方式の電子ペンに限るものではなく、芯体が軸心を中心にして回転する構成を備えた種々の方式の電子ペンについても言えることである。
【0015】
以上のことに鑑み、この発明は、電子ペンに関し、芯体が軸心を中心にして回転することを防止し、筆記入力時において使用者に対して違和感を与えることなく使用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、
一方の端部に開口を有する筒状の筐体と、
一方の端部をペン先として前記筐体の前記開口から突出させる棒状の芯体と、前記芯体の後端部を保持し、前記芯体にかけられる力を伝達する押圧部材とからなる芯体部と、
前記筐体内に固定され、前記芯体にかけられる筆圧を検出する筆圧検出部と、
前記筐体内に固定され、前記芯体部を収納して保持する筒状の保持部材と
を備え、
前記芯体部の側面の少なくとも一部に軸心方向に平行な平面部を有し、
前記保持部材の内縁形状は、円筒形状であり少なくとも一部分に凸部を有し、
前記芯体部が前記筐体に装着されたとき、前記芯体部の前記平面部と前記保持部材の前記凸部が対向する
ことを特徴とする電子ペンを提供する。
【0017】
この電子ペンによれば、筐体、芯体と押圧部材とからなる芯体部、筆圧検出部、保持部材を備えて構成される。押圧部材は、芯体の後端部を保持し、芯体にかけられる筆圧に応じて、筆圧検出部を押圧するものであり、保持部材は、筐体内に固定され、芯体部の後端側を収納して保持する筒状のものである。芯体部の側面の少なくとも一部に軸心方向に平行な平面部が設けられている。また、保持部材は、内壁面の少なくとも一部分に凸部が設けられている。芯体部が筐体に装着されたときに、芯体部の平面部と保持部材の凸部が対向する。
【0018】
これにより、保持部材に保持される芯体部の軸心を中心にした回転が抑止される。また、保持部材に保持される芯体部が軸心を中心に多少回転したとしても、保持部材の内壁面と芯体部の側面とは部分的な面接触となり、強く係合していわゆる引掛り状態となることが無い。このため、芯体部の軸心方向への摺動移動が阻害されることがないので、適切に筆圧の検出が可能にされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態の電子ペンのペン先側部分の構成を説明するための図である。
【
図2】実施の形態の電子ペンの保持部材と押圧部材とを説明するための図である。
【
図3】実施の形態の電子ペンの保持部材の前側嵌合部に押圧部材の前側部が嵌合した状態について説明するための図である、
【
図4】保持部材の他の例を説明するための図である。
【
図5】保持部材の他の例を説明するための図である。
【
図6】保持部材の他の例を説明するための図である。
【
図7】保持部材の他の例を説明するための図である。
【
図8】押圧部材の他の例を説明するための図である。
【
図9】従来の電子ペンの構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図を参照しながら、この発明による電子ペンの実施の形態について説明する。電子ペンと位置検出装置との間で用いられる指示位置の検出方式には、種々の方式のものがある。この発明は、種々の方式の電子ペンに適用可能なものであり、例えば、電磁誘導方式の電子ペンや静電容量方式の電子ペンにも適用できる。
【0021】
なお、電磁誘導方式は、X軸方向とY軸方向とのそれぞれに複数のループコイルを配設したセンサ部を位置検出装置が備える。当該センサ部の複数のループコイルに順次に電力を供給して磁界を発生させる送信期間と、電力の供給を停止し外部からの磁界を受信する受信期間とを交互に設ける。対応する電子ペンは、コイルとコンデンサとからなる共振回路を備え、当該センサ部からの磁界に応じて、当該コイルに電流が流れることにより信号を発生させ、この信号に筆圧情報を含めて位置検出センサに送信する。これを受信期間において位置検出装置が受信して、電子ペンによる指示位置と筆圧を検出する。
【0022】
一方、静電容量方式は、X軸方向とY軸方向とのそれぞれに複数の線状導体(ライン電極)を配設したセンサ部を位置検出装置が備える。当該センサ部は、指や静電ペンが近づけられることによって、線状導体に生じる静電容量(電荷)の変化に応じて指示位置を検出する。なお、静電ペンには、導電性を有するペン型の位置指示器と、バッテリで駆動され、信号を送出するアクティブ静電結合方式(AES(Active Electrostatic)方式)の電子ペンがある。アクティブ静電結合方式の電子ペンは、アクティブ静電ペン、あるいは、AESペンなどと呼ばれる場合がある。アクティブ静電ペンを用いるアクティブ静電結合方式の場合には、電子ペンは、電子ペンに搭載された発振回路からの信号に筆圧情報をも含めて送信し、これを位置検出装置で受信して、指示位置と筆圧を検出する。以下においては、説明を簡単にするため、この発明を電磁誘導方式(EMR(Electro Magnetic Resonance)方式)の電子ペンに適用した場合を例にして説明する。
【0023】
[電子ペン1の要部の構成例]
図1は、実施の形態の電子ペン1のペン先側部分の構成例を説明するための図である。この実施の形態の電子ペン1は、上述もしたように電磁誘導方式のものであり、基本的な構成は、
図9に示した従来の電磁誘導方式の電子ペン2と同様のものである。このため、
図1において、
図9(A)に示した従来の電磁誘導方式の電子ペン2と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、当該部分の詳細な説明は重複するので省略する。しかしながら、この実施の形態の電子ペン1は、ペン先側の構成が、従来の電子ペン2とは異なる部分がある。以下においては、この実施の形態の電子ペン1について、
図9に示した従来の電子ペン2と異なる構成部分を中心に説明する。
【0024】
この実施の形態の電子ペン1の場合には、コイル21が側面に巻回されたフェライトコア22が、先端保持部11と後端保持部12とにより保持される構成を備える。先端保持部11は筐体23のペン先側の内壁面に接して設けられ、フェライトコア22のペン先側の先端部を保持する。後端保持部12は、後述する保持部材13のペン先側に設けられた嵌合穴部に後端側の一部が嵌合して設けられ、フェライトコア22の後端部を保持する。これにより、フェライトコア22の筐体23内における位置が常に規制され、フェライトコア22が安定に保持されるのでがたつくことが無い。
【0025】
また、この実施の形態の電子ペン1の場合には、芯体24が、ペン先部24aと軸部24bとからなる構成を備える。ペン先部24aは、例えばポリアセタールなどの樹脂素材によりドーム状に形成され、軸部24bは、例えばカーボン素材により棒状に形成されたものである。ペン先部内においては、ペン先部24aと軸部24bとの間には、ペン先部24aと異なる樹脂で構成される。例えば、ペン先部24aよりも硬質な樹脂である。これにより、芯体24は、電子機器の操作面を傷つけることがなく、書き味がよく、ペン先の摩耗が少なく、かつ、軸部24bが折れにくいといった特徴を有する細型のものとなっている。
【0026】
更に、この実施の形態の電子ペン1は、芯体24の後端部を保持し、芯体24に印加される筆圧に応じて筆圧検出部25Xを押圧する押圧部材14が、保持部材13内に収納されて保持される構成を備える。この実施の形態においては、詳しくは後述するが、保持部材13内において、押圧部材14が軸心を中心にして回転しない構成を実現している。これにより、押圧部材14に後端部が保持される芯体24が、軸心を中心にして回転しないようにできる。
【0027】
なお、
図9(A)に示した従来の電子ペン2においては、筆圧検出部25Bは、芯体保持部A1、導電ゴムA2、リングスペーサA3、誘電体A4、端子部材A5からなる部分として説明した。しかし、この実施の形態の電子ペン1の場合、芯体保持部A1に相当する押圧部材14及び新たに設けられた保持部材13に特徴がある。一方で、導電ゴムA2、リングスペーサA3、誘電体A4、端子部材A5からなる部分は従来の電子ペン2と同様に構成される。このため、この実施の形態の電子ペン1では、芯体保持部A1に相当する押圧部材14を除いた、導電ゴムA2、リングスペーサA3、誘電体A4、端子部材A5からなる部分を筆圧検出部25Xとする。
【0028】
図1に示すように、保持部材13は、嵌合部25Cによって、軸心方向に移動したり、軸心を中心にして回転したりしないように、筐体23内に固定される筒状のものであり、略円柱形状の押圧部材14を収納して保持する。
図1に示すように、保持部材13は、詳しくは後述する押圧部材14の前側部が嵌合する前側嵌合部13Fと、押圧部材14の後側部が嵌合する後側嵌合部13Bkとを備える。この場合、前側嵌合部13Fの直径よりも後側嵌合部13Bkの直径の方が長くなっている。また、前側嵌合部13Fのペン先側の端部には、芯体24が挿通される芯体挿入孔が設けられ、後側嵌合部13Bkの後端側の端部は、押圧部材14を装填するための後端開口部が設けられている。
【0029】
一方、押圧部材14は、
図1に示すように、保持部材13内に収納されて保持されるものである。押圧部材14は、筐体23のペン先側の開口部23aから挿入される芯体24の後端部を保持し、芯体24のペン先に印加される筆圧に応じて、筆圧検出部25Xを押圧する機能を実現する。押圧部材14は、詳しくは後述するが、略円柱形状のものであり、保持部材13の前側嵌合部13Fに嵌合する前側部と、保持部材13の後側嵌合部13Bkに嵌合する後側部とからなる。また、押圧部材14は、
図1に示すように、前側部の前端面より芯体24の後端側が差し込まれる芯体保持用穴部が設けられており、当該芯体保持用穴部から差し込まれる芯体24の後端部を保持する。また、
図1に示すように、押圧部材14の後側部の後端面は、球面形状に形成され、筆圧検出部25Xの導電ゴムA2を押圧するようになっている。
【0030】
[保持部材13と押圧部材14の構成例]
以下、保持部材13と押圧部材14の構成について具体的に説明する。
図2は、実施の形態の電子ペン1の保持部材13と押圧部材14とを説明するための図である。
図2において、
図2(A)は、保持部材13を後端側より見た場合の図であり、
図2(B)は押圧部材14の斜視図である。
【0031】
図1に示したように、保持部材13は筒状のものであるが、そのペン先側の端部部分は筒状に形成された部分よりも外側に延伸された幅広部分13Sになっている。当該幅広部分13Sは、
図2(A)に示すように、円弧状の側面が対向する部分と、直線状の側面が対向する部分とからなっている。この場合、直線状の側面が嵌合部25Cの直線状の内壁面と接合することにより、筐体23内において、保持部材13自体が軸心を中心として回転しないようにされる。また、当該幅広部分13Sが嵌合部25Cの側壁のペン先側に端面によって後端側よりペン先側に向かって押し込むようにされ、保持部材13が筐体23内での軸心方向への移動が抑止される。なお、保持部材13のペン先側の幅広部分13Sは、ペン先側において筐体23の内壁面に設けられた突起(図示せず)に係合し、ペン先側への移動も抑止される。
【0032】
また、保持部材13は、
図2(A)に示すように、後端側より見ると、後端側の端部は後端開口部13Hになっており、ペン先側の端部には芯体挿入孔13Lが設けられている。また、保持部材13の内部は、
図1にも示したように、ペン先側に前側嵌合部13Fが設けられ、その後端に前側嵌合部13Fよりも直径の長い後側嵌合部13Bkが設けられている。後側嵌合部13Bkは、円柱形状の空間になっている。
【0033】
これに対して、前側嵌合部13Fは、円柱形状の空間ではなく、前側嵌合部13Fの内壁面には、芯体挿入孔13Lを挟んで対向する位置に山型面部13a、13bが形成されている。前側嵌合部13Fの山型面部13a、13bは、軸心方向に沿う方向に延伸された1つの線状部分が、内側に向かって突出することにより、
図2(A)に示すように、線状部分が頂点となり左右に傾斜した面を有する山型(V字型)に形成された面部である。なお、前側嵌合部13Fの山型面部13a、13bでない部分は円弧状の内壁面になっている。
【0034】
押圧部材14は、上述もしたように、保持部材13の後端開口部13Hより保持部材13内に挿入されて保持されるものである。押圧部材14は、
図2(B)に示すように、略円柱形状のものであり、前側部14Fと後側部14Bkとからなる。
図2(B)に示すように、前側部14Fの前端面には、芯体保持穴14Lが設けられている。芯体保持穴14Lを通じて芯体24の後端部が、押圧部材14に差し込まれて、
図1に示したように内側の底面からペン先側に張り出した部分に当接して保持される。これにより、芯体24に筆圧が掛けられた(印加された)場合に、芯体24が保持されている押圧部材14の後端面によって、芯体24自体の後端面よりも広い範囲で、筆圧検出部25Xの導電ゴムA2を押圧できる。
【0035】
押圧部材の前側部14Fは、保持部材13の前側嵌合部13Fに嵌合する部分であり、
図2(B)に示すように、芯体保持穴14Lを挟んで対向する1対の側面のそれぞれは、平滑な面とされた平面部(押圧部材平面部)14a、14bとなっている。また、前側部14Fの平面部14a、14bでない対向する1対の側面のそれぞれは、円弧状になっている。詳しくは後述するが、平面部14a、14bが、保持部材13の前側嵌合部13Fの山型面部13a、13bに対向する部分であり、円弧状になっている側面部分が、保持部材13の円弧状の内壁面部分と対向する部分である。
【0036】
前側部14Fにおいて、平面部14aと平面部14bとの間の距離(長さ)は、保持部材13の前側嵌合部13Fの山型面部13aの頂点と山型面部13bの頂点とを結ぶ直線距離(長さ)よりやや短くなっている。また、前側部14Fの中心を通り、円弧状の側面間を結ぶ直線距離(前側部14Fの内径)は、保持部材13の前側嵌合部13Fの中心を通り円弧状の内壁面間を接続する直線距離(前側嵌合部13Fの内径)よりやや短くなっている。これにより、保持部材13の前側嵌合部13Fに押圧部材14の前側部14Fが嵌合できる。
【0037】
押圧部材14の後側部14Bkは、
図2(B)に示すように、前側張り出し部14x、中間部14y、後側張り出し部14zの3つの部分からなる。
図2(B)に示すように、前側張り出し部14xと後側張り出し部14zは、軸心方向に若干の厚みを有する円盤状に形成された部分であり、それらの部分の直径(外径)は、保持部材13の後側嵌合部13Bkの内径よりも若干短くなっている。
【0038】
また、中間部14yは、前側張り出し部14xと後側張り出し部14zとを接続する部分であり、側面が平面とされた部分や軸心と交差する方向にくり抜かれて、軸心と交差する方向に貫通孔が形成された部分もある。これにより、保持部材13の後側嵌合部13Bkに押圧部材14の後側部14Bkが嵌合できる。この場合、前側張り出し部14xと後側張り出し部14zとの側面が、保持部材13の後側嵌合部13Bkの内壁面と接触する場合はある。
【0039】
このように、この実施の形態の電子ペン1においては、保持部材13の後端開口部を通じて、押圧部材14を前側部14Fから保持部材13内に挿入することにより装着する。この場合、
図1に示したように、押圧部材14の前側部14Fは、保持部材13の前側嵌合部13Fに嵌合し、押圧部材14の後側部14Bkは、保持部材13の後側嵌合部13Bkに嵌合して、押圧部材14が保持部材13内に保持される。
【0040】
図3は、保持部材13の前側嵌合部13Fに押圧部材14の前側部14Fが嵌合した状態について説明するための図である。具体的に、
図3(A)は、保持部材13内に押圧部材14が装着されて保持されている状態で、前側嵌合部13F部分を、軸心と交差する方向で切断した場合にペン先側より見た場合の断面図である。また、
図3(B)は、
図3(A)において矢印が示す方向から当該部分を見た場合の図であり、保持部材13の前側嵌合部13F部分が透明であるものとして示した図である。
【0041】
保持部材13の前側嵌合部13Fの内側空間(押圧部材14の前側部14Fが嵌合する空間)は、
図3(A)に示すように、山型面部13aと山型面部13bとが対向し、円弧状の内壁面13cと円弧状の内壁面13dとが対向する空間である。保持部材13の前側嵌合部13Fの当該内側空間に、押圧部材14の前側部14Fが嵌合したとする。この場合、
図3(A)に示すように、保持部材13の山型面部13aと押圧部材14の平面部14aとが対向し、保持部材13の山型面部13bと押圧部材14の平面部14bとが対向する。更に、保持部材13の円弧状の内壁面13cと押圧部材14の円弧状の側面14cとが対向し、保持部材13の円弧状の内壁面13dと押圧部材14の円弧状の側面14dとが対向する。
【0042】
図3(A)を見ると分かるように、保持部材13の前側嵌合部13Fの内側空間の軸心と交差する方向の開口形状は円形ではなく、押圧部材14の前側部14Fの軸心と交差する方向に切断した場合の断面形状も円形ではない。また、保持部材13の円弧状の内壁面部分の直径と、押圧部材14の円弧状の側面部分の直径とは、前者より後者の方が短いものの近似しているために、押圧部材14の保持部材13内での軸心方向への移動(摺動)は可能だが、押圧部材14の前側部14Fが保持部材13の前側嵌合部13Fの内側空間内において回転することがない。
【0043】
すなわち、
図3(A)に示したように、押圧部材14が芯体24の後端部を保持している場合に、芯体24に軸心を中心にして回転するような力が掛かったとする。この場合、押圧部材14の前側部の平面部14a、14bが、保持部材13の前側嵌合部13Fの山型面部13a、13bの部分に当たって、押圧部材14が保持部材13内で回転することができない。従って、押圧部材14に保持された芯体24もまた、軸心を中心に回転することはない。これにより、芯体24の軸心を中心にする回転が防止できる。
【0044】
しかも、保持部材13の山型面部13aと押圧部材14の平面部14aとが対向する部分では、対向する面同士(斜面と平面)が大きく接触する。このことにより、押圧部材14が若干回転しても、平面部と山型面部が面と面で接するため、保持部材13の内部で押圧部材14が引掛り固定されることはない。
図3(B)に示すように、押圧部材14の平面部14aに対しては、点線で示したように主に山型面部13aの頂点Pa部分が接触することになるが、引掛り固定されることは無い。同様に、保持部材13の山型面部13bと押圧部材14の平面部14bとが対向する部分では、対向する面同士が接触する面積が大きくなる。
【0045】
この場合にも、
図3(B)に示した場合と同様に、押圧部材14の平面部14bに対しては、主に山型面部13bの頂点Pb部分が接触することになるが、引掛り固定されることは無い。すなわち、芯体24及び押圧部材14が軸心を中心にして回転するような力が掛かっても、保持部材13の内壁面と押圧部材14の側面とが強固に係合してしまうことを防止し、面同士が接触する柔らかな接触(係合)にとどめられるようにしている。
【0046】
このため、押圧部材14の前側部14Fの側面と、保持部材13の前側嵌合部13Fの内壁面とが接触する面積を大きくとることができる。これにより、保持部材13の前側嵌合部13Fの内壁面と押圧部材14の前側部14Fの側面との引掛りを生じさせないようにすることができ、芯体24及び押圧部材14の軸心方向への移動が阻害されることもない。すなわち、芯体24に加えられる筆圧を適切に筆圧検出部25Xに伝達できる。
【0047】
[実施の形態の効果]
上述したように、この実施の形態の電子ペン1においては、保持部材13の前側嵌合部13F内において押圧部材14の前側部14Fが軸心を中心にする回転することを防止できる。これにより、押圧部材14に後端部が保持される芯体24についても、軸心を中心にする回転することを防止できる。この場合、保持部材13の前側嵌合部13Fの内縁形状と押圧部材14の前側部14Fの外縁形状とが、相似の円形ではない。また、保持部材13の前側嵌合部13Fの内縁の大きさが、押圧部材14の前側部14Fが回転可能なほどの大きさではない。つまり、保持部材13の前側嵌合部13Fの内縁の形状及び大きさと、押圧部材14の前側部14Fの外縁の形状及び大きさとが近似している。このため、両者が嵌合可能ではあるが、保持部材13の前側嵌合部13Fの内側空間内において、押圧部材14の前側部14Fが軸心を中心に回転しないようにできる。
【0048】
また、
図3(A)を用いて説明したように、保持部材13の前側嵌合部13Fの内壁面には、対向して山型面部13a、13bを設け、これら山型面部13a、13bに対向する押圧部材14の前側部14Fの側面は、平面部14a、14bとしている。当該構成により、保持部材13の前側嵌合部13Fの内壁面と、押圧部材14の前側部14Fの側面とが接触する部分が若干減るが、面と面で接するので、芯体24及び押圧部材14の軸心方向への移動時に引掛りを発生させずに、スムーズな移動を可能にする。これにより、筆圧検出に支障をきたすことなく、芯体24及び押圧部材14の軸心を中心とする回転防止機構を実現できる。
【0049】
従って、上述した電子ペン1の場合には、芯体24及び押圧部材14の回転防止のために、保持部材13の前側嵌合部13Fの内壁面(内側側面)と押圧部材14の前側部14Fの側面(外側側面)とに相互に嵌合する凹凸を設ける必要もない。従って、保持部材13に押圧部材14を装填する工程において、装填がし難くなることが無いため、自動組み立て機を用いた装填も可能となる。すなわち、芯体24の回転防止機構をもけることにより、電子ペンの組み立てが難しくなることはなく、自動組み立て機による組み立ても可能である。
【0050】
[変形例]
上述した実施の形態では、保持部材13の内壁面に山型面部13a、13bを設け、対向する押圧部材14の面を平面部14a、14bとしたが、これに限るものではない。山型面部13a、13bについては種々の変形が可能であり、平面部14a、14bについても種々の変形が可能である。以下においては、保持部材13の山型面部13a、13bの変形例と、押圧部材14の平面部14a、14bの変形例、更には、押圧部材14の外観の変形例について説明する。なお、以下に説明する変形例においては、変形例として示した部分以外の構成は、
図1~
図3を用いて説明した電子ペン1の場合と同様に構成される。このため、以下に説明する変形例において、
図1~
図3を用いて説明した電子ペン1の場合と同様に構成される部分の説明は重複するため省略する。
【0051】
<変形例1:保持部材の山型面部が頂点2つ>
図4は、保持部材13の他の例(変形例1)を説明するための図であり、保持部材13Aの前側嵌合部13FAに押圧部材14の前側部14Fが嵌合した状態について説明するための図である。具体的に、
図4(A)は、保持部材13A内に押圧部材14が装着されて保持されている状態で、前側嵌合部13FA部分を、軸心と交差する方向で切断した場合にペン先側より見た場合の断面図である。また、
図4(B)は、
図4(A)において矢印が示す方向から当該部分を見た場合の図であり、保持部材13Aの前側嵌合部13FA部分が透明であるものとして示した図である。
【0052】
この例の保持部材13Aは、前側嵌合部13FAの内壁面の構成が、上述した実施の形態の保持部材13の場合と異なるが、その他の構成部分は上述した実施の形態の保持部材13と同様に構成される。この例の保持部材13Aの前側嵌合部13FAの内側空間(押圧部材14の前側部14Fが嵌合する空間)では、
図4(A)に示すように、2つの頂点Pc、Pdを有する山型面部13aAと2つの頂点Pe、Pfを有する山型面部13bAとが対向する。また、外側に膨らんだ円弧状の内壁面13cAと円弧状の内壁面13dAとが対向する。
【0053】
保持部材13Aの前側嵌合部13FAの当該内側空間に、押圧部材14の前側部14Fが嵌合したとする。この場合、
図4(A)に示すように、保持部材13Aの山型面部13aAと押圧部材14の平面部14aとが対向し、保持部材13Aの山型面部13bAと押圧部材14の平面部14bとが対向する。更に、保持部材13Aの円弧状の内壁面13cAと押圧部材14の円弧状の側面14cとが対向し、保持部材13Aの円弧状の内壁面13dAと押圧部材14の円弧状の側面14dとが対向する。
【0054】
図4(A)を見ると分かるように、押圧部材14の前側部14Fの外縁形状は円形でなく、保持部材13Aの前側嵌合部13FAの内縁形状も円形でなく、両部材間の隙間もわずかである。このため、押圧部材14の前側部14Fは、保持部材13Aの前側嵌合部13FAの内側空間内において、軸心を中心にして回転することはできない。
【0055】
また、
図4(B)に示すように、押圧部材14の平面部14aに対しては、点線で示したように主に山型面部13aAの2つの頂点Pc、Pdが接触することになり、対向する面同士が大きく接触することはない。同様に、押圧部材14の平面部14bに対しては、山型面部13bAの2つの頂点Pe、Pfが平面部14bに対して接触することになり、対向する面同士が大きく接触することはないが、面と面での接触と考えることができる。
【0056】
このため、押圧部材14の前側部14Fの側面と、保持部材13Aの前側嵌合部13FAの内壁面とが接触する面積が若干減るが、面と面で接することができる。これにより、保持部材13Aの前側嵌合部13FAの内壁面と押圧部材14の前側部14Fの側面との引掛りを生じさせないようにすることができ、芯体24及び押圧部材14の軸心方向への移動が阻害されることもない。すなわち、芯体24に加えられる筆圧を適切に筆圧検出部25Xに伝達できる。
【0057】
なお、
図4に示した変形例の場合には、保持部材13Aの前側嵌合部13FA内での押圧部材14の軸心を中心とする回転を、
図3に示した電子ペン1の場合に比べて、より抑止することが可能である。また、山型面部の頂点の数は1つ(
図3)または2つ(
図4)に限るものではない。山型面部の頂点の数は3つ以上でもよいが、頂点の数が増えるほど、保持部材の前側嵌合部の内壁面と押圧部材の前側部の側面との引掛りが生じる可能性が高くなるため、引掛りが生じない程度にする必要がある。
【0058】
<変形例2:山型面部に替えて内側に円弧状に膨らむ円弧状面部にする>
図5は、保持部材13の他の例(変形例2)を説明するための図であり、保持部材13Cの前側嵌合部13FCに押圧部材14の前側部14Fが嵌合した状態について説明するための図である。具体的に、
図5(A)は、保持部材13C内に押圧部材14が装着されて保持されている状態で、前側嵌合部13FC部分を、軸心と交差する方向で切断した場合にペン先側より見た場合の断面図である。また、
図5(B)は、
図5(A)において矢印が示す方向から当該部分を見た場合の図であり、保持部材13Cの前側嵌合部13FC部分が透明であるものとして示した図である。
【0059】
この例の保持部材13Cは、前側嵌合部13FCの内壁面の構成が、上述した実施の形態の保持部材13の場合と異なるが、その他の構成部分は上述した実施の形態の保持部材13と同様に構成される。この例の保持部材13Cの前側嵌合部13FCの内側空間(押圧部材14の前側部14Fが嵌合する空間)では、
図5(A)に示すように、円弧状面部13aCと、同様の円弧状面部13bCとが対向する。円弧状面部13aC、13bCは、内側に円弧状に膨らむことにより、ロールケーキ(rolled cake)の上面部分のようになった面部である。また、外側に膨らんだ円弧状の内壁面13cCと円弧状の内壁面13dCとが対向する。
【0060】
保持部材13Cの前側嵌合部13FCの当該内側空間に、押圧部材14の前側部14Fが嵌合したとする。この場合、
図5(A)に示すように、保持部材13Cの円弧状面部13aCと押圧部材14の平面部14aとが対向し、保持部材13Cの円弧状面部13bCと押圧部材14の平面部14bとが対向する。更に、保持部材13Cの円弧状の内壁面13cCと押圧部材14の円弧状の側面14cとが対向し、保持部材13Cの円弧状の内壁面13dCと押圧部材14の円弧状の側面14dとが対向する。
【0061】
図5(A)を見ると分かるように、押圧部材14の前側部14Fの外縁形状は円形でなく、保持部材13Cの前側嵌合部13FCの内縁形状も円形でなく、両部材間の隙間もわずかである。このため、押圧部材14の前側部14Fは、保持部材13Cの前側嵌合部13FAの内側空間内において、軸心を中心にして回転することはできない。
【0062】
また、
図5(B)に示すように、押圧部材14の平面部14aに対しては、点線で示したように主に円弧状面部13aCの頂点部分SLが接触することになり、対向する面同士が大きく接触することはない。同様に、押圧部材14の平面部14bに対しては、円弧状面部13bC頂点部分が平面部14bに対して接触することになり、対向する面同士が大きく接触することはないが、この場合も、面と面で接触していると考えられる。
【0063】
このため、押圧部材14の前側部14Fの側面と、保持部材13Cの前側嵌合部13FCの内壁面とが接触する面積が若干減るが、面と面で接することができる。これにより、保持部材13Cの前側嵌合部13FCの内壁面と押圧部材14の前側部14Fの側面との引掛りを生じさせないようにすることができ、芯体24及び押圧部材14の軸心方向への移動が阻害されることもない。すなわち、芯体24に加えられる筆圧を適切に筆圧検出部25Xに伝達できる。
【0064】
なお、
図5に示した変形例の場合には、円弧状面部13aC、13bCの円弧上部分の半径を長くしすぎると、内側への膨らみが緩やかになり、対向する押圧部材14の平面部14a、14bとの接触幅が広くなる。この場合には、保持部材の前側嵌合部の内壁面と押圧部材の前側部の側面との引掛りが生じる可能性が高くなる。このため、円弧状面部13aC、13bCの円弧上部分の半径、すなわち、内側への膨らみ具合は、引掛りを生じさせることがないように決める必要がある。
【0065】
<変形例3:山型面部に替えて内側に球面状(ドーム状)に膨らむ球面部にする>
図6は、保持部材13の他の例(変形例3)を説明するための図であり、保持部材13Dの前側嵌合部13FDに押圧部材14の前側部14Fが嵌合した状態について説明するための図である。具体的に、
図6(A)は、保持部材13D内に押圧部材14が装着されて保持されている状態で、前側嵌合部13FD部分を、軸心と交差する方向で切断した場合にペン先側より見た場合の断面図である。また、
図6(B)は、
図6(A)において矢印が示す方向から当該部分を見た場合の図であり、保持部材13Dの前側嵌合部13FD部分が透明であるものとして示した図である。
【0066】
この例の保持部材13Dは、前側嵌合部13FDの内壁面の構成が、上述した実施の形態の保持部材13の場合と異なるが、その他の構成部分は上述した実施の形態の保持部材13と同様に構成される。この例の保持部材13Dの前側嵌合部13FDの内側空間(押圧部材14の前側部14Fが嵌合する空間)では、
図6(A)に示すように、内側にドーム状に膨らむことにより、ボールの一部分のようになった球面部13aDと、同様の球面部13bDとが対向する。また、外側に膨らんだ円弧状の内壁面13cDと円弧状の内壁面13dDとが対向する。
【0067】
保持部材13Dの前側嵌合部13FDの当該内側空間に、押圧部材14の前側部14Fが嵌合したとする。この場合、
図6(A)に示すように、保持部材13Dの球面部13aDと押圧部材14の平面部14aとが対向し、保持部材13Dの球面部13bDと押圧部材14の平面部14bとが対向する。更に、保持部材13Dの円弧状の内壁面13cDと押圧部材14の円弧状の側面14cとが対向し、保持部材13Dの円弧状の内壁面13dDと押圧部材14の円弧状の側面14dとが対向する。
【0068】
図6(A)を見ると分かるように、押圧部材14の前側部14Fの外縁形状は円形でなく、保持部材13Dの前側嵌合部13FDの内縁形状も円形でなく、両部材間の隙間もわずかである。このため、押圧部材14の前側部14Fは、保持部材13Aの前側嵌合部13FAの内側空間内において、軸心を中心にして回転することはできない。
【0069】
また、
図6(B)に示すように、押圧部材14の平面部14aに対しては、点線の小さな円で示したように主に球面部13aDの頂点部分SPが接触することになり、対向する面同士が大きく接触することはない。同様に、押圧部材14の平面部14bに対しては、球面部13bD頂点部分が接触することになり、対向する面同士が大きく接触することはない。
【0070】
しかし、押圧部材14の前側部14Fの側面と、保持部材13Dの前側嵌合部13FDの内壁面とが接触する面積が若干減るが、面と面で接することができる。これにより、保持部材13Dの前側嵌合部13FDの内壁面と押圧部材14の前側部14Fの側面とが強固に係合しないようにし、いわゆる引掛りを生じさせないようにすることができ、芯体24及び押圧部材14の軸心方向への移動が阻害されることもない。すなわち、芯体24に加えられる筆圧を適切に筆圧検出部25Xに伝達できる。
【0071】
なお、
図6に示した変形例の場合には、球面部13aD、13bDの張り出しを大きくしすぎると、対向する押圧部材14の平面部14a、14bとの接触面積が広くなる。この場合には、保持部材の前側嵌合部の内壁面と押圧部材の前側部の側面との引掛りが生じる可能性が高くなる。このため、球面部13aD、13bDの張り出し具合は、引掛りを生じさせることがないように決める必要がある。
【0072】
<変形例4:押圧部材の側面の形状を変える>
図7は、保持部材13と押圧部材14の他の例(変形例4)を説明するための図であり、保持部材13Eの前側嵌合部13FEに押圧部材14Aの前側部14FAが嵌合した状態について説明するための図である。具体的に、
図7(A)は、保持部材13E内に押圧部材14Aが装着されて保持されている状態で、前側嵌合部13FE部分を、軸心と交差する方向で切断した場合にペン先側より見た場合の断面図である。
【0073】
この例の保持部材13Eは、前側嵌合部13FEの内壁面の構成が、上述した実施の形態の保持部材13の場合と異なるが、その他の構成部分は上述した実施の形態の保持部材13と同様に構成される。同様に、この例の押圧部材14Aは、前側部14FAの側面の構成が、上述した実施の形態の押圧部材14の場合と異なるが、その他の構成部分は上述した実施の形態の押圧部材14と同様に構成される。
【0074】
この例の保持部材13Eの前側嵌合部13FEの内側空間(押圧部材14の前側部14Fが嵌合する空間)では、
図7(A)に示すように、平滑にされた平面部(保持部材平面部)13aEと平滑にされた平面部(保持部材平面部)13bEとが対向する。また、円弧状の内壁面13cEと円弧状の内壁面13dEとが対向する。一方、押圧部材14Aは、芯体保持穴14Lを挟んで対向する側面が、山型面部14aAと山型面部14bAとなっている。
【0075】
すなわち、押圧部材の前側部14FAの山型面部14aA、14bAは、軸心方向に沿う方向に延伸された1つの線状部分が、外側(保持部材13Eの内壁面側)に向かって突出して形成されている。これにより、
図7(A)に示すように、線状部分PC、PDが頂点となり左右に傾斜した面を有する山型(V字型)に形成された山型面部14aA、14bAが構成されている。押圧部材14Aの前側部14FAの山型面部14aA、14bAでない部分は円弧状の側面になっている。
【0076】
これにより、
図3(A)に示した保持部材13の前側嵌合部13Fと押圧部材14の前側部14Fとの平面部と山型面部との関係が逆になった状態が形成される。この場合、保持部材13の前側嵌合部13F内において、押圧部材14の前側部14Fが軸心を中心にして回転しないようにできる。すなわち、
図7に示した状態は、
図3(B)に示した状態と同じであり、保持部材13Eの前側嵌合部13FEの平面部13aEに対しては、点線で示したように主に押圧部材14Aの前側部14FEの山型面部14aEの頂点PC部分が接触することになる。同様に、保持部材13Eの前側嵌合部13FEの平面部13bEに対しては、主に押圧部材14Aの前側部14FEの山型面部14bEの頂点PD部分が接触することになる。
【0077】
しかし、芯体24及び押圧部材14Aに対して、軸心を中心にして回転する力が掛かった場合に、保持部材13Eの平面部13aEと押圧部材14Aの山型面部14aAとが対向する部分では、面と面とが接触する。同様の場合に、保持部材13Eの平面部13bEと押圧部材14Aの山型面部14bAとが対向する部分では、面と面とが接触する。このため、保持部材13Eの内壁面と押圧部材14Aの側面とが緩く係合する状態となる。従って、保持部材13Eの内壁面と押圧部材14Aの側面とが強く係合することにより、いわゆる引掛りの状態を生じさせることがないので、筆圧の検出も適切に行える。
【0078】
従って、
図7に示した保持部材13Eの場合と同様に、前側嵌合部13FEの内側空間では、平滑にされた平面部13aEと平滑にされた平面部13bEとが対向するようにする。これに対して、押圧部材の前側部では、種々のパターンを採用することができる。例えば、押圧部材の前側部では、前側嵌合部13FEの平面部13aE、13bEに対向する側面を、
図4(A)に示した態様の頂点が2つの山型面部に形成してもよい。もちろん、頂点の数を適宜の数に増やすことも可能である。
【0079】
また、押圧部材の前側部では、前側嵌合部13FEの平面部13aE、13bEに対向する側面を、
図5(A)に示した態様の円弧状面部に形成することもできる。また、押圧部材の前側部では、前側嵌合部13FEの平面部13aE、13bEに対向する側面を、
図6(A)に示した態様のドーム状に膨らむ球面部とすることもできる。
【0080】
また、上述した実施の形態、及び
図4~
図7に示した変形例では、図の上下の対向面において、平面部と山型面部、平面部と円弧状面部、平面部と球面部というように対向させた。しかし、これに限るものではない。図の左右の対向面において、平面部と山型面部、平面部と円弧状面部、平面部と球面部というように対向させるようにしてもよい。もちろん、図の上下において対向する面と、図の左右において対向する面とについて、上述した態様で形成してもよい。要は、芯体及び押圧部材に対して、軸心を中心に回転する力が掛かった場合に、保持部材の内壁面と押圧部材の側面とが強く係合せず、面と面とが柔らかに係合する状態を形成得きるようにすればよい。これにより、芯体及び押圧部材が、軸心を中心に回転することを抑止することができる共に、軸心方向への移動を阻害することが無いようにできる。
【0081】
<変形例5:押圧部材の後側部の変形>
図8は、押圧部材の他の例を説明するための図である。
図8と
図2(B)とを比較すると分かるように、この例の押圧部材14Bは、後側部14BBの前側張り出し部14xBと後側張り出し部14zB部分に特徴がある。その他の部分は、
図2(B)に示した押圧部材14と同様に構成されている。このため、
図8においても、
図2(B)に示した押圧部材14と同様に構成されている部分には、
図2(B)の押圧部材14の場合と同じ参照符号を付している。
【0082】
図8に示した押圧部材14Bの場合には、前側張り出し部14xBの側面に突起xT1、xT2、xT3、xT4を設けている。
図8においては、突起xT3、xT4は見えていないが、突起xT3は、芯体保持穴14Lを挟んで突起xT1に対向する位置に設けられている。また、突起xT4は、芯体保持穴14Lを挟んで突起xT2に対向する位置に設けられている。すなわち、前側張り出し部14xBの側面の上下左右にはそれぞれ1つずつの突起が設けられている。
【0083】
同様に、
図8に示した押圧部材14Bの場合には、後側張り出し部14zBの側面に突起zT1、zT2、zT3、zT4を設けている。
図8においては、突起zT3、zT4は見えていないが、突起zT3は、芯体保持穴14Lを挟んで突起zT1に対向する位置に設けられている。また、突起zT4は、芯体保持穴14Lを挟んで突起zT2に対向する位置に設けられている。すなわち、前側張り出し部14xBの側面の上下左右にはそれぞれ1つずつの突起が設けられている。
【0084】
これにより、後側部14BBの前側張り出し部14xBの側面と後側張り出し部14zBの側面とが、保持部材13の後側嵌合部13Bkの内壁面と接触する部分を少なくすることができる。すなわち、後側部14BBの前側張り出し部14xBの側面と後側張り出し部14zBの側面とが、保持部材13の後側嵌合部13Bkの内壁面と強く係合する状態を確実に抑止する。これにより、芯体24及び押圧部材14Bの軸心方向への筆圧に応じた移動を、よりスムーズにすることができる。
【0085】
なお、前側張り出し部14xBの側面と後側張り出し部14zBの側面とに設ける突起の数、突起の大きさ、突起を設ける位置などは、種々の態様とすることができる。また、
図8に示した押圧部材14Bの場合には、前側部14Fの円弧状の側面に突起を設けるようにすることも可能である。
【0086】
<保持部材及び押圧部材の形状等の他の例>
上述した実施の形態では、保持部材13の後端装置側に筆圧検出部25Xを配置するようにしたが、これに限るものではない。保持部材13は、押圧部材14と筆圧検出部25Xとを保持する構成とすることもできる。
【0087】
また、上述した実施の形態では、芯体24と押圧部材14とは別体のものとして説明したが、芯体24と押圧部材14とを一体にした芯体部を構成することもできる。また、上述した実施の形態では、保持部材13は、前側嵌合部13Fと、前側嵌合部13Fより内径の長い後側嵌合部13Bとを備える筒状形状であるものとして説明した。これに応じて、押圧部材14は、前側部14Fと、前側部よりも外径の長い後側部14Bとを備える円柱形状のものとして説明した。しかし、これに限るものではない。
【0088】
例えば、保持部材は内径が均一の筒状体であってもよい。従って、対応する芯体部についても、保持部材に保持される部分については、外径の均一な円柱形状のものとすることができる。この場合、芯体部の側面の少なくとも一部に軸心方向に平行な平面部を設ける。一方、保持部材の内壁面の一部分に凸部を設ける。そして、芯体部を筐体に装着したとき、芯体部の平面部と保持部材の凸部が対向するようにすればよい。この場合、芯体部に設ける平面部は、保持部材に収納される芯体部の部分であって、芯体を構成する部分に設けるようにしてもよいし、保持部材に収納される芯体部の部分であって、押圧部材の部分に設けるようにしてもよい。
【0089】
また、これとは逆に、芯体部の側面の少なくとも一部に凸部を設ける。一方、保持部材の内壁面の一部分に軸心方向に平行な平面部を設ける。そして、芯体部を筐体に装着したとき、芯体部の凸部と保持部材の平面部が対向するようにすればよい。この場合、芯体部に設ける凸部は、保持部材に収納される芯体部の部分であって、芯体を構成する部分に設けるようにしてもよいし、保持部材に収納される芯体部の部分であって、押圧部材の部分に設けるようにしてもよい。
【0090】
<その他の変形例>
図3、
図4を用いて説明した例において、軸心方向に延伸された直線状の頂点Pa、Pb、Pc、Pd、Pe、Pfは、連続した直線状の頂点として設けなくてもよい。頂点が軸心方向に飛び飛びに形成されたものであってもよい。
【0091】
また、上述もしたように、この発明は、コイルと、当該コイルに接続されるコンデンサとによって構成された共振回路を備えることにより、電磁誘導方式の構成とされた電子ペンに適用可能である。この他にも、この発明は、送電性を有する芯体と、この芯体から送信する位置指示信号を発生させる発信回路を備えることにより、アクティブ静電容量方式の構成とされた電子ペンに対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
1、2…電子ペン、11…先端保持部、12…後端保持部、13、13A、13B、13C、13D、13E…保持部材、13F…前側嵌合部、13Bk…後側嵌合部、13L…芯体挿入孔、13H…後端開口部、13S…幅広部分、13a、13b、13aA、13bA…山型面部、Pa、Pb、Pc、Pd、Pe、Pf…頂点、13c、13d、13cA、13dA、13cB、13cB、13cC、13dC、13cD、13dD…円弧状の内壁面、13aB、13bB…平面部、Ta、Tb、Tc、Td、Te、Tf、Tg、Th…突起、13aC、13bC…円弧状面部、SL…頂点部分、13aD、13bD…球面部、SP…頂点部分、13aE、13bE…平面部、13cE、13dE…円弧状の内壁面、14、14A、14B…押圧部材、14F、14FA…前側部、14Bk、14BB…後側部、14x、14xB…前側張り出し部、14y…中間部、14z、14zB…後側張り出し部、14a、14b…平面部、14c、14d…円弧状の側面、14aA、14bA…山型面部、14cA、14dA…円弧状の側面、PC、PD…線状部分(頂点)、14L…芯体保持穴、xT1、xT2、xT3、xT4…突起、zT1、zT2、zT3、zT4…突起、21…コイル、21a、21b…延伸線(導体線)、22…フェライトコア、23…筐体、23a…開口部、24…芯体、25…接続部、25A…モールド部、25B…筆圧検出部、A1…芯体保持部、A2…導電ゴム、A3…リングスペーサ、A4…誘電体、A5…端子部材、25C…嵌合部、25D…接続端子部、26…プリント基板、27…基板保護パイプ、28…パイプ蓋、29…後端蓋、Cf…コンデンサ
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項7】
請求項6に記載の電子ペンであって、
前記押圧部材の前記前側部は前記芯体保持用穴部を挟んで対向する側面が平面となった押圧部材平面部であり、
前記押圧部材平面部に対向する前記保持部材の前記前側嵌合部の対向面は、軸心方向に沿う方向に延伸された1以上の線状部分が、前記押圧部材平面部に向かって突出することにより山型面部が形成されており、1以上の前記線状部分が前記押圧部材平面部に対して接触可能になっている
ことを特徴とする電子ペン。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項8
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項8】
請求項6に記載の電子ペンであって、
前記保持部材の前記前側嵌合部の内壁面は、前記押圧部材の前記前側部を挟んで対向する面が平面となった保持部材平面部であり、
前記保持部材平面部に対向する前記押圧部材の前記前側部の対向面は、軸心方向に沿う方向に延伸された1以上の線状部分が、前記保持部材平面部に向かって突出することにより山型面部に形成されており、1以上の前記線状部分が前記保持部材平面部に対して接触可能になっている
ことを特徴とする電子ペン。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項14
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項14】
請求項6に記載の電子ペンであって、
前記押圧部材の後側部は、側面に前記保持部材の後側嵌合部の内壁面と接触する複数の突起が設けられている
ことを特徴とする電子ペン。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
なお、電磁誘導方式は、X軸方向とY軸方向とのそれぞれに複数のループコイルを配設したセンサ部を位置検出装置が備える。当該センサ部の複数のループコイルに順次に電力を供給して磁界を発生させる送信期間と、電力の供給を停止し外部からの磁界を受信する受信期間とを交互に設ける。対応する電子ペンは、コイルとコンデンサとからなる共振回路を備え、当該センサ部からの磁界に応じて、当該コイルに電流が流れることにより信号を発生させ、この信号に筆圧情報を含めて位置検出装置に送信する。これを受信期間において位置検出装置が受信して、電子ペンによる指示位置と筆圧を検出する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
図6(A)を見ると分かるように、押圧部材14の前側部14Fの外縁形状は円形でなく、保持部材13Dの前側嵌合部13FDの内縁形状も円形でなく、両部材間の隙間もわずかである。このため、押圧部材14の前側部14Fは、保持部材
13Dの前側嵌合部
13FDの内側空間内において、軸心を中心にして回転することはできない。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
この例の保持部材13Eの前側嵌合部13FEの内側空間(押圧部材
14Aの前側部
14FAが嵌合する空間)では、
図7(A)に示すように、平滑にされた平面部(保持部材平面部)13aEと平滑にされた平面部(保持部材平面部)13bEとが対向する。また、円弧状の内壁面13cEと円弧状の内壁面13dEとが対向する。一方、押圧部材14Aは、芯体保持穴14Lを挟んで対向する側面が、山型面部14aAと山型面部14bAとなっている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
これにより、
図3(A)に示した保持部材13の前側嵌合部13Fと押圧部材14の前側部14Fとの平面部と山型面部との関係が逆になった状態が形成される。この場合、保持部材13の前側嵌合部13F内において、押圧部材14の前側部14Fが軸心を中心にして回転しないようにできる。すなわち、
図7に示した状態は、
図3(B)に示した状態と同じであり、保持部材13Eの前側嵌合部13FEの平面部13aEに対しては、点線で示したように主に押圧部材14Aの前側部
14FAの山型面部
14aAの頂点PC部分が接触することになる。同様に、保持部材13Eの前側嵌合部13FEの平面部13bEに対しては、主に押圧部材14Aの前側部
14FAの山型面部
14bAの頂点PD部分が接触することになる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
<保持部材及び押圧部材の形状等の他の例>
上述した実施の形態では、保持部材13の後端側に筆圧検出部25Xを配置するようにしたが、これに限るものではない。保持部材13は、押圧部材14と筆圧検出部25Xとを保持する構成とすることもできる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
また、上述した実施の形態では、芯体24と押圧部材14とは別体のものとして説明したが、芯体24と押圧部材14とを一体にした芯体部を構成することもできる。また、上述した実施の形態では、保持部材13は、前側嵌合部13Fと、前側嵌合部13Fより内径の長い後側嵌合部13Bkとを備える筒状形状であるものとして説明した。これに応じて、押圧部材14は、前側部14Fと、前側部よりも外径の長い後側部14Bkとを備える円柱形状のものとして説明した。しかし、これに限るものではない。