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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070043
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
   A01C 7/12 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
A01C7/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180393
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓
(72)【発明者】
【氏名】伊東 邦晃
(72)【発明者】
【氏名】吉村 茂樹
【テーマコード(参考)】
2B054
【Fターム(参考)】
2B054AA03
2B054AA17
2B054AA20
2B054BA01
2B054BB01
2B054DA20
2B054DD07
2B054DD28
2B054DD30
2B054DE02
2B054DE05
2B054DE06
2B054DE09
2B054DE10
(57)【要約】
【課題】作業者の負担軽減を図ることができる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機の播種装置における繰出体25は、繰出凹部53を有する対をなす少なくとも2対の繰出部材51を備える。また、繰出体25は、繰出凹部53に対応する対応凹部54を有する複数の調整部材52を備える。そして、対をなす両繰出部材51間に位置する調整部材52の数が変更可能である。また、2対のうちの一方の対をなす両繰出部材51の繰出凹部53と2対のうちの他方の対をなす両繰出部材51の繰出凹部53との位置関係も変更可能である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に被播き物を播く作業を行うことが可能な農作業機であって、
被播き物が収納される収納体と、
前記収納体内の被播き物を繰り出す繰出体とを備え、
前記繰出体は、
繰出凹部を有する繰出部材と、
前記繰出凹部に対応する対応凹部を有する調整部材とを有する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
圃場に被播き物を播く作業を行うことが可能な農作業機であって、
被播き物が収納される収納体と、
前記収納体内の被播き物を繰り出す繰出体とを備え、
前記繰出体は、
繰出凹部を有する対をなす繰出部材と、
前記繰出凹部に対応する対応凹部を有する調整部材とを有し、
前記対をなす両繰出部材間に位置する前記調整部材の数が変更可能である
ことを特徴とする農作業機。
【請求項3】
圃場に被播き物を播く作業を行うことが可能な農作業機であって、
被播き物が収納される収納体と、
前記収納体内の被播き物を繰り出す繰出体とを備え、
前記繰出体は、
繰出凹部を有する対をなす少なくとも2対の繰出部材と、
前記繰出凹部に対応する対応凹部を有する調整部材とを有し、
前記対をなす両繰出部材間に位置する前記調整部材の数が変更可能であり、かつ、前記2対のうちの一方の対をなす両繰出部材の前記繰出凹部と前記2対のうちの他方の対をなす両繰出部材の前記繰出凹部との位置関係が変更可能である
ことを特徴とする農作業機。
【請求項4】
前記調整部材は、前記対をなす両繰出部材間の第1位置、及び、前記2対のうちの一方の対をなす両繰出部材と前記2対のうちの他方の対をなす両繰出部材との間の第2位置のうち、少なくともいずれか一方の位置に配置される
ことを特徴とする請求項3記載の農作業機。
【請求項5】
前記繰出凹部は、前記繰出部材の外周側に周方向に並ぶように複数形成され、
前記対応凹部は、前記調整部材の外周側に周方向に並ぶように複数形成されている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機。
【請求項6】
前記繰出部材と前記調整部材との組み合わせからなる前記繰出体は、被播き物に応じて組み換え可能となっている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に被播き物を播く作業を行うことが可能な農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された農作業機(播種機)が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、種子や肥料等の被播き物が収納される収納体(ホッパー)と、この収納体内の被播き物を繰り出す繰出体(繰出ロール)とを備えている。そして、繰出体の外周側には、被播き物が入り込む繰出凹部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-176064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の農作業機では、例えば種類等が異なる被播き物に対応するためには、それぞれに応じた複数種の繰出体を購入する必要があることから、その購入コストが高く、農家等の作業者にとって負担が大きくなりがちである。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、作業者の負担軽減を図ることができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る農作業機は、圃場に被播き物を播く作業を行うことが可能な農作業機であって、被播き物が収納される収納体と、前記収納体内の被播き物を繰り出す繰出体とを備え、前記繰出体は、繰出凹部を有する繰出部材と、前記繰出凹部に対応する対応凹部を有する調整部材とを有するものである。
【0008】
また、本発明に係る農作業機は、圃場に被播き物を播く作業を行うことが可能な農作業機であって、被播き物が収納される収納体と、前記収納体内の被播き物を繰り出す繰出体とを備え、前記繰出体は、繰出凹部を有する対をなす繰出部材と、前記繰出凹部に対応する対応凹部を有する調整部材とを有し、前記対をなす両繰出部材間に位置する前記調整部材の数が変更可能であるものである。
【0009】
さらに、本発明に係る農作業機は、圃場に被播き物を播く作業を行うことが可能な農作業機であって、被播き物が収納される収納体と、前記収納体内の被播き物を繰り出す繰出体とを備え、前記繰出体は、繰出凹部を有する対をなす少なくとも2対の繰出部材と、前記繰出凹部に対応する対応凹部を有する調整部材とを有し、前記対をなす両繰出部材間に位置する前記調整部材の数が変更可能であり、かつ、前記2対のうちの一方の対をなす両繰出部材の前記繰出凹部と前記2対のうちの他方の対をなす両繰出部材の前記繰出凹部との位置関係が変更可能であるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業者の負担軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態に係る農作業機の側面図である。
図2】同上農作業機の播種部の背面図である。
図3】同上播種部の播種装置の背面図である。
図4】同上播種装置の要部の断面図で、(a)は背面視断面図、(b)は側面視断面図である。
図5】同上播種装置の第1組み合わせ状態の繰出体を示す図で、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図6】その第1組み合わせ状態の繰出体の分解斜視図である。
図7】同上播種装置の第2組み合わせ状態の繰出体を示す図で、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図8】同上播種部の第3組み合わせ状態の繰出体を示す図で、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図9】同上播種部の第4組み合わせ状態の繰出体を示す図で、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図10】その第4組み合わせ状態の繰出体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施の形態について図1ないし図10を参照して説明する。
【0013】
図1において、1は農作業機で、この農作業機1は、例えば走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結され、そのトラクタの走行により圃場を前方(進行方向)に移動しながら農作業、すなわち例えば耕耘整地作業及び播種作業を行う播種機である。
【0014】
つまり、農作業機1は、畑等の圃場に被播き物、すなわち例えば粒状の種子Wを播く作業である播種作業を行うことが可能なものである。
【0015】
そして、農作業機1は、図1に示すように、トラクタの後部に着脱可能に連結される耕耘整地部(ロータリー部)2と、この耕耘整地部2に取付部3を介して取り付けられた多条式の播種部4とを備えている。
【0016】
前側作業部である耕耘整地部2は、トラクタの後部の3点リンク部に着脱可能に連結される機体6と、この機体6に回転可能に設けられ、トラクタ側からの動力によって所定方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘体7と、機体6に上下方向に回動可能に設けられ、耕耘体7の後方で整地作業をする整地体8とを備えている。なお、圃場面に対する整地体8の接地圧は、整地体用の調整手段9で調整可能となっている。
【0017】
後側作業部である播種部4は、図2ないし図4等にも示すように、左右方向に並ぶ複数(例えば4つ)の播種装置11と、これら複数の播種装置11を同時に駆動する駆動装置12とを備えている。
【0018】
播種装置11は、耕耘整地部2による耕耘整地後の圃場面に播き溝を形成する溝形成体16と、その播き溝内に種子Wを播種する播種手段17と、土を寄せて播き溝を埋め戻す土寄せ体18と、その土を鎮圧する鎮圧輪19と、この輪圧輪に付着した土を除去するスクレーパ20とを備えている。なお、溝形成体16は、例えば円板状をなす左右1対の溝形成板15で構成されている。
【0019】
そして、播種手段(圃場の播き溝に被播き物を播く播き手段)17は、粒状の被播き物である種子Wが上面開口である種子投入口21から投入されて内部に収納される容器状の収納体(ホッパー)22と、この収納体22の種子投入口21を開閉可能に閉鎖する蓋体23と、駆動装置12からの動力によって所定方向に回転しながら収納体22内の種子Wを順次繰り出す回転可能な穴ロール式の繰出体(組み換え可能な繰出ロール)25とを備えている。
【0020】
また、播種手段17は、収納体22の下面開口である種子排出口26からの種子Wを受け入れて下方へ案内して播き溝内に供給する筒状の案内体27を備え、この案内体27の下部は、溝形成体16の両溝形成板15間に挿入されている。そして、案内体27の下端部の種子落下口28から落下した種子Wは、両溝形成板15間を通って播き溝内に播かれる。
【0021】
収納体22は、所定量の種子Wを収納可能な収納本体部31を上部に有するとともに、繰出体収納部32を下部に有し、この繰出体収納部32内に繰出体25が出し入れ可能に収納されている。
【0022】
つまり、図4(a)に示すように、繰出体収納部32は、例えばねじ33によって取付部34に着脱可能に取り付けられた繰出体押え部材35を有し、この繰出体押え部材35を取り外すことで繰出体25を繰出体収納部32内から取り出すことが可能となる。
【0023】
また、この繰出体収納部32には挿通孔36が形成され、この挿通孔36に駆動装置12の回転軸(例えば六角軸等)41が抜き差し可能に挿通されている。この回転軸41は、各繰出体収納部32内に位置する部分に繰出体取付部40を有している。それゆえ、繰出体25は、複数、すなわち例えば2本の取付ボルト(取付具)39によって、その繰出体取付部40に着脱可能に取り付けられている。
【0024】
そして、駆動装置12の回転軸41は、圃場面に接地した接地輪42の回転に連動して動く動力伝達部材43からの動力によって繰出体25とともに回転し、その結果、収納本体部31内の種子Wが繰り出される。なお、圃場面に対する接地輪42の接地圧は、接地輪用の調整手段44で調整可能となっている。
【0025】
繰出体25は、図5ないし図10にも示すように、一体物ではなく、複数の分割部材(繰出体構成部材)である繰出部材51及び調整部材52が組み換え可能に組み合わされて軸方向に一定長さを有する穴付き円筒状に構成されたものである。
【0026】
具体的には、繰出体25は、繰出凹部53を有する対をなす少なくとも2対、すなわち例えば左右2対の繰出部材51(51a,51b)と、繰出凹部53に対応する対応凹部54を有する複数、すなわち例えば6枚の板状の調整部材52とを有して構成されている。つまり、この繰出体25は、4つの繰出部材51と6つの調整部材52とが変更可能に組み合わされて構成されている。
【0027】
ここで、繰出部材51(51a,51b)は、板状の調整部材52よりも板厚の円板状をなすもので、互いに対向する側の一方面(対向側の第1面)61と、これとは反対側の他方面(反対向側の第2面)62と、これら一方面61及び他方面62の外周端同士を繋ぐ外周面63とを有している。なお、一方面61と外周面63とが交わる角や、他方面62と外周面63とが交わる角は、例えば円弧状に面取り(R面取り)してもよい。
【0028】
繰出部材51(51a,51b)の外周側には、半すり鉢状をなす複数、すなわち例えば8つの繰出凹部53が互いに等間隔をおいて周方向に並ぶように形成されている。この各繰出凹部53は、外周面63から一方面61にわたって傾斜状に凹設されている。
【0029】
繰出部材51(51a,51b)の中心側には、回転軸41が挿脱可能に挿通される軸挿通孔65が形成されている。また、当該繰出部材51のうちその軸挿通孔65の周囲近傍には、取付ボルト39の軸部39aが挿脱可能に挿通される複数、すなわち例えば4つのボルト挿通孔66が形成されている。
【0030】
調整部材52は、スプロケット形状をなす比較的薄い板状部材からなるもので、この調整部材52の外周側には、繰出凹部53に対応する略V字状をなす複数、すなわち例えば8つの対応凹部54が互いに等間隔をおいて周方向に並ぶように切欠状に形成されている。
【0031】
調整部材52の中心側には、繰出部材51と同様、回転軸41が挿脱可能に挿通される軸挿通孔67が形成され、また、当該調整部材52のうちその軸挿通孔67の周囲近傍には、取付ボルト39の軸部39aが挿脱可能に挿通される複数、すなわち例えば4つのボルト挿通孔68が形成されている。
【0032】
また、図5(a)に示されるように、繰出部材51の繰出凹部53は、平面視形状が半円状(略半円状を含む)であり、かつ、調整部材52の対応凹部54は、平面視形状が前後方向に沿った直線状である。そして、繰出凹部53の平面視形状である半円状の直径寸法(前後方向に沿った長手方向の長さ寸法)Dは、対応凹部54の平面視形状である直線状の長さ寸法Lと同じである。また、図5(b)からみて明らかなように、両凹部53,54の深さ寸法も同じである。なお、図5(a)に図示した例では、繰出凹部53の平面視形状は、半楕円(略半楕円を含む)の半円状であるが、例えば半真円(略半真円を含む)の半円状等でもよい。
【0033】
そして、このような繰出部材51(51a,51b)と調整部材52との組み合わせからなる繰出体25は、対をなす両繰出部材51a,51b間に位置する調整部材52の数が変更可能(穴の大きさを変更可能)であり、かつ、左右2対のうちの一方の対をなす左側の両繰出部材51a,51bの繰出凹部53と左右2対のうちの他方の対をなす右側の両繰出部材51a,51bの繰出凹部53との位置関係が変更可能(穴の配置を変更可能)となっている。
【0034】
つまり、繰出体25は、種子Wに応じて、すなわち例えば種子Wの種類、大きさ、形状等や種子Wの播き方(点播き、1点2粒播き等)に応じて、組み換え可能となっている。換言すると、この繰出体25は、対をなす繰出部材51と複数枚の調整部材52とによる複数の組み合わせ状態の中から、種子Wに関する条件に応じて選択した1つの組み合わせ状態に選択的に切換可能である。
【0035】
なお、複数枚の調整部材52は、対をなす両繰出部材51の互いに隣り合う一方面61間の第1位置、及び、2対のうちの一方の対をなす両繰出部材51の他方側の繰出部材51の他方面62と2対のうちの他方の対をなす両繰出部材51の一方側の繰出部材51の他方面62との間の第2位置のうち、少なくともいずれか一方の位置に配置される。
【0036】
ここで、例えば図5及び図6は、第1組み合わせ状態(標準穴・並列配置の状態)の繰出体25を示す図である。
【0037】
そして、この状態では、左右2対の両繰出部材51a,51b間に位置する調整部材52の枚数は、それぞれ「1枚」(合計2枚)である。そして、当該「1枚」は互いに隣り合う一方面61同士で挟持され、その結果、互いに連通した繰出凹部53及び対応凹部54によって所望の大きさの標準穴である繰出用孔部71(71a)が形成されている。
【0038】
なお、残りの「4枚」は、互いに隣り合う他方面62同士で挟持されているが、このとき、種子Wが互いに一致した対応凹部54に入り込まないように、隣接する対応凹部54の位置がずれている(図8及び図9に示す組み合わせ状態でも同様)。
【0039】
また、この状態では、左右2対のうちの一方の対をなす左側の両繰出部材51a,51bの繰出凹部53と、左右2対のうちの他方の対をなす右側の両繰出部材51a,51bの繰出凹部53とは、左右方向に並んで位置している。つまり、周方向に並ぶ複数の左側の繰出用孔部71(71a)と、周方向に並ぶ複数の右側の繰出用孔部71(71a)とは、左右方向に並列配置されている。
【0040】
なお、このような第1組み合わせ状態の繰出体25は、図6に示すように、2本のうちの一方の取付ボルト39の軸部39aが仮想線a上に位置するボルト挿通孔66,68に挿通され、かつ、2本のうちの他方の取付ボルト39の軸部39aが仮想線b上に位置するボルト挿通孔66,68に挿通されることにより、これら両取付ボルト39によって回転体41の繰出体取付部40に取り付けられる(図7及び図8に示す組み合わせ状態でも同様)。
【0041】
次いで、例えば図7は、第2組み合わせ状態(大径穴・並列配置の状態)の繰出体25を示す図である。
【0042】
そして、この状態では、左右2対の両繰出部材51a,51b間に位置する調整部材52の枚数は、それぞれ「3枚」(合計6枚)である。そして、当該「3枚」は互いに隣り合う一方面61同士で挟持され、その結果、互いに連通した繰出凹部53及び対応凹部54によって所望の大きさの大径穴である繰出用孔部71(71b)が形成されている。
【0043】
また、この状態では、上述した第1組み合わせ状態と同様、左右2対のうちの一方の対をなす左側の両繰出部材51a,51bの繰出凹部53と、左右2対のうちの他方の対をなす右側の両繰出部材51a,51bの繰出凹部53とは、左右方向に並んで位置している。つまり、周方向に並ぶ複数の左側の繰出用孔部71(71b)と、周方向に並ぶ複数の右側の繰出用孔部71(71b)とは、左右方向に並列配置されている。
【0044】
次いで、例えば図8は、第3組み合わせ状態(小径穴・並列配置の状態)の繰出体25を示す図である。
【0045】
そして、この状態では、左右2対の両繰出部材51a,51b間に位置する調整部材52の枚数は、それぞれ「0枚」である。その結果、互いに隣り合う対向面である一方面61同士が当接し、その結果、互いに連通した繰出凹部53のみによって所望の大きさの小径穴である繰出用孔部71(71c)が形成されている。
【0046】
なお、「6枚」すべての調整部材52は、互いに隣り合う他方面62同士で挟持されているが、このとき、種子Wが互いに一致した対応凹部54に入り込まないように、隣接する対応凹部54の位置がずれている。
【0047】
また、この状態では、上述した第1組み合わせ状態と同様、左右2対のうちの一方の対をなす左側の両繰出部材51a,51bの繰出凹部53と、左右2対のうちの他方の対をなす右側の両繰出部材51a,51bの繰出凹部53とは、左右方向に並んで位置している。つまり、周方向に並ぶ複数の左側の繰出用孔部71(71c)と、周方向に並ぶ複数の右側の繰出用孔部71(71c)とが、左右方向に並列配置されている。
【0048】
次いで、例えば図9及び図10は、第4組み合わせ状態(標準穴・千鳥配置の状態)の繰出体25を示す図である。
【0049】
そして、この状態では、上述した第1組み合わせ状態と同様、左右2対の両繰出部材51a,51b間に位置する調整部材52の枚数は、それぞれ「1枚」(合計2枚)である。そして、当該「1枚」は互いに隣り合う一方面61同士で挟持され、その結果、互いに連通した繰出凹部53及び対応凹部54によって所望の大きさの標準穴である繰出用孔部71(71a)が形成されている。
【0050】
なお、残りの「4枚」は、互いに隣り合う他方面62同士で挟持されているが、このとき、種子Wが互いに一致した対応凹部54に入り込まないように、隣接する対応凹部54の位置がずれている。
【0051】
また、この状態では、左右2対のうちの一方の対をなす左側の両繰出部材51a,51bの繰出凹部53と、左右2対のうちの他方の対をなす右側の両繰出部材51a,51bの繰出凹部53とは、角度(位相)がずれて左右方向に並んでいない。つまり、周方向に並ぶ複数の左側の繰出用孔部71(71a)と、周方向に並ぶ複数の右側の繰出用孔部71(71a)とは、千鳥配置されている。
【0052】
なお、このような第4組み合わせ状態の繰出体25は、図10に示すように、2本のうちの一方の取付ボルト39の軸部39aが仮想線c上に位置するボルト挿通孔66,68に挿通され、かつ、2本のうちの他方の取付ボルト39の軸部39aが仮想線d上に位置するボルト挿通孔66,68に挿通されることにより、これら2本の取付ボルト39によって回転体41の繰出体取付部40に取り付けられる。例えば図示しないが、繰出体25は、繰出用孔部71が大径穴や小径穴でも千鳥配置の状態に組み換え可能である。
【0053】
次に、上述した農作業機1の作用等を説明する。
【0054】
農作業機1を使用して作業をする際には、作業者は、種子Wに応じて決定した組み合わせ状態の繰出体25を、回転体41の繰出体取付部40に取り付けて収納体22の繰出体収納部32内にセットする。
【0055】
そして、トラクタの走行により農作業機1を進行方向に移動させると、耕耘整地部2が耕耘整地作業を行い、その後方では、播種部3が播種作業を行う。
【0056】
つまり、その播種部3においては、複数(例えば4つ)の播種装置11の播種手段17の繰出体25が所定方向に回転しながら収納体22内の種子Wを繰り出し、この繰り出された種子Wが圃場の播き溝内に播かれる。なお、その種子Wの播種作業が完了した後、それとは大きさ等が異なる他の種子Wを播種する場合には、繰出体25を当該他の種子Wに応じた状態に組み換えればよい。
【0057】
そして、このような農作業機1によれば、繰出部材51(51a,51b)と調整部材52との組み合わせからなる繰出体25は、種子Wに応じて組み換え可能となっているため、従来とは異なり、種子Wに応じた複数種の繰出体(従来から存在する一体物からなる繰出ロール)を購入する必要がなく、作業者の負担軽減を図ることができる。
【0058】
また、繰出体25は、対をなす両繰出部材51a,51b間に位置する調整部材52の数が変更可能であり、かつ、左右2対のうちの一方の対をなす左側の両繰出部材51a,51bの繰出凹部53と左右2対のうちの他方の対をなす右側の両繰出部材51a,51bの繰出凹部53との位置関係が変更可能となっているため、調整部材52の数の変更や繰出凹部53の位置関係の変更によって、繰出体25全体の軸方向長さを変えることなくこの繰出体25を適切に組み換えることができ、種子Wの種類や播き方等に適切に対応できる。
【0059】
なお、上記実施の形態においては、農作業機は、耕耘整地部及び播種部を備えたものについて説明したが、例えば耕耘整地部を備えていない不耕起播種機等でもよい。
【0060】
また、圃場に播く被播き物は、種子以外に、例えば肥料や薬剤等でもよく任意である。
【0061】
さらに、繰出体を回転させるための駆動装置は、トラクタの走行に基づいて従動回転する接地輪を用いたものには限定されず、例えばモータ等の駆動源を用いたものでもよく、この場合、例えば回転軸の端部側に駆動源を接続すればよい。
【0062】
また、繰出体は、複数対である2対の繰出部材(穴形成部)と、複数枚である6枚の調整部材(調整板)とからなるものには限定されず、例えば、2対の繰出部材と10枚の調整部材とからなるものや、1対の繰出部材と複数枚の調整部材とからなるもの等でもよく、その数や形状等は任意である。
【0063】
さらに、繰出部材の繰出凹部や調整部材の対応凹部(例えば切欠凹部等)についても、その数や形状等は任意である。
【符号の説明】
【0064】
1 農作業機
22 収納体
25 繰出体
51 繰出部材
52 調整部材
53 繰出凹部
54 対応凹部
W 被播き物である種子
図1
図2
図3
図4
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図10