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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070060
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】微粒化装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 19/06 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
B02C19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180425
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】常本 真嗣
(72)【発明者】
【氏名】村山 誠悟
(72)【発明者】
【氏名】東城 裕一
(72)【発明者】
【氏名】森岡 勇樹
【テーマコード(参考)】
4D067
【Fターム(参考)】
4D067CA03
4D067CA07
4D067CA08
(57)【要約】
【課題】噴射される原料の衝突エネルギーを最大限に利用する一次的な微粒化と、球体と球体ホルダの隙間で原料をすり潰す二次的な微粒化を行う微粒化装置を提供する。
【解決手段】微粒化装置は、原料Mを処理する噴射チャンバー5であって、原料Mの導入側に配置される前側チャンバーホルダ10と、原料Mの排出側に配置される後側チャンバーホルダ11と、を有する噴射チャンバー5と、原料Mを衝突させる球体14と、噴射チャンバー5内に配置され、球体14を収容するノズルホルダ15、16であって、原料Mの導入側に配置される保護ホルダ15と、原料Mの排出側に配置される球体ホルダ16と、を有するノズルホルダ15、16と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を処理する噴射チャンバーであって、
前記原料の導入側に配置される前側チャンバーホルダと、
前記原料の排出側に配置される後側チャンバーホルダと、
を有する噴射チャンバーと、
前記原料を衝突させる球体と、
前記噴射チャンバー内に配置され、前記球体を収容するノズルホルダであって、
前記原料の導入側に配置される保護ホルダと、
前記原料の排出側に配置される球体ホルダと、
を有するノズルホルダと、
を有する微粒化装置。
【請求項2】
前記前側チャンバーホルダと前記後側チャンバーホルダの間に配置される中間支持部材を更に有し、
前記中間支持部材は、前記球体を収容する窪み部を有する、
請求項1に記載の微粒化装置。
【請求項3】
前記球体ホルダは、前記球体を収容する収容溝を有する、
請求項1または2に記載の微粒化装置。
【請求項4】
前記収容溝は、球面形状を有する、
請求項3に記載の微粒化装置。
【請求項5】
前記収容溝の表面に、曲線部用保護膜が形成される、
請求項3または4に記載の微粒化装置。
【請求項6】
断面視で前記球体の前端を起点とする前記球体の外周線は、前記中間支持部材の開口線よりも前側に位置する、
請求項1~5のいずれかに記載の微粒化装置。
【請求項7】
前記球体ホルダの後側に配置されるノズル受け部材を更に有する、
請求項1~6のいずれかに記載の微粒化装置。
【請求項8】
前記前側チャンバーホルダと前記後側チャンバーホルダとの間隔を調整し、前記原料の前記球体への衝突距離を調整する衝突距離調整部を更に有する、
請求項1~7のいずれかに記載の微粒化装置。
【請求項9】
前記球体ホルダは、前記球体を収容する収容部を有し、
前記収容部の位置を調整することで、前記原料の前記球体への衝突位置を調整する偏心位置調整部を更に有する、
請求項1~8のいずれかに記載の微粒化装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから高圧噴射した原料の微粒化を行う微粒化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原料を高圧噴射する際の衝撃を利用し、原料の粒子を微粒化する微粒化装置が知られている。
【0003】
特許第3686528号公報(以下、「特許文献1」)に記載の流体衝突装置は、硬質体への衝突力を利用する。特許文献1の流体衝突装置では、チャンバー内に偏心状態で回転可能に支承された硬質球体に、噴射ノズルから噴射された高圧流体を衝突させる。そして、ボールを回転させて衝撃をボールの回転で逃がしながら微粒化処理を行う。
【0004】
特開2010-36119号公報(以下、「特許文献2」)に記載の微粒化装置は、ハウジング内に載置されて球状硬質体を回転自在に支承するボールホルダを前後で把持するチャンバーを有する。
【0005】
特許第5086203号公報(以下、「特許文献3」)に記載の微粒化装置は、回転可能に支承される球体に原料を噴射することで微粒化させるとともに、チャンバー内の流路の直径や長さを特定の条件で設定するチャンバーを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1において、高圧状態の原料の衝突エネルギーは、球体の表面の一部を損傷させる可能性がある。そのため、ノズルと球体の距離を確保する必要があり、衝突距離が長くなる。これは、微粒化よりもチャンバーの寿命を優先するものである。
【0007】
特許文献2や特許文献3において、硬質体が球状であるなど、衝突表面が曲面で衝突点周辺に流体を逃がすことのできる空間が形成されるのであれば、衝突距離を実質的に0mmとして、高速流路の出口開口を硬質体衝突点に接触させることができる。この場合、衝突エネルギーが大きくなり、効率的に微粒化できる。しかし、特許文献2や特許文献3には、硬質体を支承する構造は開示されているものの、具体的なチャンバーの構造は開示されていない。
【0008】
本発明は、噴射される原料の衝突エネルギーを最大限に利用する一次的な微粒化と、球体と球体ホルダの隙間で原料をすり潰す二次的な微粒化を行う微粒化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点は、
原料を処理する噴射チャンバーであって、
前記原料の導入側に配置される前側チャンバーホルダと、
前記原料の排出側に配置される後側チャンバーホルダと、
を有する噴射チャンバーと、
前記原料を衝突させる球体と、
前記噴射チャンバー内に配置され、前記球体を収容するノズルホルダであって、
前記原料の導入側に配置される保護ホルダと、
前記原料の排出側に配置される球体ホルダと、
を有するノズルホルダと、
を有する微粒化装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の微粒化装置によれば、噴射される原料の衝突エネルギーを最大限に利用する一次的な微粒化と、球体と球体ホルダの隙間で原料をすり潰す二次的な微粒化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の微粒化装置の構成図
図2】実施形態の噴射チャンバーの断面図
図3】実施形態の噴射チャンバーの詳細断面図
図4】衝突距離調整前の実施形態の噴射チャンバーの断面図
図5】衝突距離調整後の実施形態の噴射チャンバーの断面図
図6】偏心位置調整前の実施形態の噴射チャンバーの断面図
図7】偏心位置調整後の実施形態の噴射チャンバーの断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の微粒化装置1は、処理対象の原料Mの粉砕、分散、乳化等を行う。微粒化装置1は、原料タンク2と、給液ポンプPと、増圧機3と、高圧フィルタ4と、噴射チャンバー5と、熱交換器6と、排出口7と、を有する。
【0014】
原料タンク2は、原料Mを貯留する。原料タンク2の形状や大きさは、原料Mの物性(酸性、アルカリ性)や分量等を考慮して変更できる。
給液ポンプPは、原料タンク2から供給される原料Mを増圧機3に供給する。
【0015】
増圧機3は、ピストンの往復によって、加圧室内の圧力を上昇または下降させる。これにより、増圧機3は、微粒化装置1内を通過する流体の圧力を10~300MPaの範囲内で加圧する。
高圧フィルタ4は、増圧機3で加圧された原料Mに混在する粗大粒子や不純物等のコンタミを取り除く。
【0016】
図2図7に示すように、噴射チャンバー5は、高圧フィルタ4で粗大粒子や不純物等のコンタミが取り除かれた原料Mをノズルチップ12から噴射する。これにより、噴射チャンバー5は、原料Mを一次的に微粒化する。ノズルチップ12は、内側にオリフィス等を配置することで、原料Mを噴射させる。
【0017】
噴射チャンバー5は、前側チャンバーホルダ10と、後側チャンバーホルダ11とを有する。前側チャンバーホルダ10は、原料Mの導入側に配置される。前側チャンバーホルダ10の導入側に形成するチャンバーホルダ導入口10aから、原料Mを導入する。チャンバーホルダ導入口10aは、ノズルチップ12と連通する。チャンバーホルダ導入口10aの内径は、ノズルチップ12よりも大きい。チャンバーホルダ導入口10aに、順次、原料Mを導入できる。
【0018】
前側チャンバーホルダ10は、排出側に溝をする。ノズルチップ12の一部または全部が前側チャンバーホルダ10の溝に埋め込まれることが望ましい。中間支持部材13は、導入側に溝を有する。前側チャンバーホルダ10に埋め込まれた箇所と反対側のノズルチップ12の一部または全部が、中間支持部材13の溝に埋め込まれることが望ましい。
【0019】
前側チャンバーホルダ10と中間支持部材13を連結する際、隙間を設ける。この隙間内に漏れてきた原料Mが噴射チャンバー5の細部に留まることのないように、前側チャンバーホルダ10が貫通孔10bを有してもよい。貫通孔10bは、前側チャンバーホルダ10と中間支持部材13で形成される隙間の原料Mが最小限抜ける孔であればよい。
【0020】
後側チャンバーホルダ11は、原料Mの排出側に配置される。前側チャンバーホルダ10と後側チャンバーホルダ11は、固定具(不図示)によって連結されることで、噴射チャンバー5内を密閉した状態に保つ。なお、固定具は、前側チャンバーホルダ10と後側チャンバーホルダ11の内側に凹凸等を配置して連結するものや、外側から固定するもの等であればよい。
【0021】
噴射チャンバー5は、内部に、原料Mを衝突させる球体14を収容するノズルホルダを有する。ノズルホルダは、保護ホルダ15と、球体ホルダ16とを有する。保護ホルダ15は、原料Mの導入側に配置される。球体ホルダ16は、原料Mの排出側に配置される。保護ホルダ15と球体ホルダ16は、前側チャンバーホルダ10と後側チャンバーホルダ11の内部にはめ込まれて固定される。保護ホルダ15と球体ホルダ16の内部に形成される空間に球体14が配置される。
【0022】
球体ホルダ16の後側に、ノズル受け部材17が配置される。球体ホルダ16内において、原料Mと球体14の衝突による微粒化処理が行われる。その後、処理後の原料Mを排出口7へ排出する際、直接排出すると噴射チャンバー5内の加圧状態を維持することが難しくなる。そのため、ノズル受け部材17内で処理後の原料Mを一時的に受け止める。その後、後側チャンバーホルダ11の後側に形成されるチャンバーホルダ排出口11aから処理後の原料Mを排出する。
【0023】
球体ホルダ16は、排出側に、排出口7へ繋がる排出口を有する。図3に示すように、球体ホルダ16は、収容溝16aの排出側に、複数の球体ホルダ用排出口(16c、16d)を有する。球体ホルダ16が1つの球体ホルダ用排出口のみを有する場合、球体ホルダ用排出口が球体14によって塞がれてしまう可能性がある。そのため、球体ホルダ16は、複数の球体ホルダ用排出口(16c、16d)を有することが望ましい。本実施形態の球体ホルダ16は、第1の球体ホルダ用排出口16cと、第2の球体ホルダ用排出口16dとを有する。第1の球体ホルダ用排出口16cと、第2の球体ホルダ用排出口16dは、排出口7へ処理後の原料Mを排出する。例えば、球体ホルダ16に球体14が嵌った状態において、球体14の中心線L1から上下のどちらかに離した位置に各球体ホルダ用排出口(16c、16d)を形成することが好ましい。
【0024】
ノズル受け部材17は、球体ホルダ用排出口(16c、16d)から排出された処理後の原料Mを一時的に収容した後、排出口7から排出する。ノズル受け部材17は、ノズル受け部材用貯留環17aと、ノズル受け部材用排出口17bと、を有する。ノズル受け部材用貯留環17aは、球体ホルダ用排出口(16c、16d)から排出された処理後の原料Mを一時的に貯留する空間を画定する。ノズル受け部材用排出口17bは、排出口7に連通しており、ノズル受け部材用貯留環17aで貯留した処理後の原料Mを排出する。
【0025】
球体14は、原料Mを微粒化する。球体14は、球体ホルダ16の収容溝16aの形状に合わせた大きさを有することが望ましい。球体14の大きさは、0.1~20mm、より好ましくは、10~20mmである。粗大粒子や不純物等のコンタミの混入を最小限に留めるために、球体14の材質は、樹脂やセラミックであることが望ましい。球体14の形状は、真円状、楕円状等で、好ましくは、真円状であることが望ましい。球体14の表面に各種コーティングを施すことで、硬度強化や耐摩耗性向上等を実現できる。
【0026】
前側チャンバーホルダ10と後側チャンバーホルダ11の間に、中間支持部材13を配置してもよい。中間支持部材13は、ノズルチップ12と保護ホルダ15を緩衝しながら固定する。ノズルチップ12から高圧状態の原料Mが噴射される。そのため、ノズルチップ12を安定して支持することにより、微粒化性能が安定する。中間支持部材13にノズルチップ12が支持されるとともに、中間支持部材13と前側チャンバーホルダ10が固定されることにより、緩衝機能を備えながら、強固に固定できる。また、中間支持部材13は、前側チャンバーホルダ10と後側チャンバーホルダ11を緩衝しながら固定させる。
【0027】
中間支持部材13は、球体14を収容する窪み部15aを有する。これにより、ノズルチップ12と球体14の距離を短くできる。窪み部15aは、球体14の一部を収容できる大きさであればよい。
【0028】
球体ホルダ16は、球体14を収容する収容溝16aを有する。球体14は、収容溝16a内で支承された状態で回転し、球体14に対する原料Mの衝突エネルギーを分散する。
収容溝16aは、球面形状を有する。高圧状態の原料Mが球体14に衝突すると、収容溝16a内で球体14が回転し、原料Mが球体14と収容溝16aの隙間ですり潰される。なお、収容溝16aは、球体14の形状に合わせた形状を有すればよい。収容溝16aは、球面形状に限られず、曲面形状や多角形状でもよい。
【0029】
図2図3に示すように、収容溝16aの深さは、球体14の直径よりも浅い。収容溝16aから球体14の一部が突出することによって、収容溝16a内に球体14が安定的に収容される。これにより、原料Mのすり潰しによる二次的な微粒化を施すことができる。
収容溝16aから突出する球体14の一部は、窪み部15aに収容される。これにより、球体14の位置が安定する。図3に示すように、断面視で球体14の前端を起点とする球体14の外周線L3は、中間支持部材13の開口線L4よりも前側に位置する。これにより、球体14の球体ホルダ16内での位置が安定する。つまり、球体ホルダ16の収容溝16aが深い場合には、収容溝16aの内側で球体14が不必要に動いてしまい、収容溝16aの表面と球体14の表面同士が衝突する回数が多くなる。そのため、球体14および収容溝16aが損傷しやすい。一方、球体14の外周線L3が中間支持部材13の開口線L4よりも前側に位置することで、球体14が動ける幅が規制され、球体14の位置が安定する。その結果、球体14と収容溝16aの隙間が安定し、その隙間を通過する原料Mがムラなく微粒化処理される。球体14は、収容溝16aから突出した状態で、収容溝16a内を回転する。これにより、高圧状態の原料Mによって、球体14がダイレクトに衝撃を受けることを抑制し、衝突による損傷を低減させる。
【0030】
収容溝16aの表面には、曲線部用保護膜16bが形成される。これにより、球体14と収容溝16aで生じる衝突や摩擦による損傷を抑制できる。曲線部用保護膜16bは、球体14よりも硬い材質の部材や膜である。曲線部用保護膜16bは、収容溝16aの表面に張り付けられる。
なお、曲線部用保護膜16bを外付けする形態に限られず、収容溝16aの表面にディンプルや面荒らしを施すことで、原料Mの微粒化を促進させてもよい。
【0031】
収容溝16aと同様、窪み部15aの表面にも、保護膜等を形成してもよい。窪み部15a内に球体14の一部が収容された状態で、高圧の原料Mが球体14に衝突した反動で、収容溝16aの表面と球体14が接触する可能性がある。窪み部15aの表面に保護膜を形成することにより、窪み部15aと球体14の衝突や摩擦による損傷を抑制できる。
【0032】
図4および図5に示すように、噴射チャンバー5は、衝突距離調整部11b、13aを有してもよい。衝突距離調整部11b、13aは、前側チャンバーホルダ10と後側チャンバーホルダ11の間隔を調整することで、原料Mの球体14への衝突距離を調整する。例えば、中間支持部材13の外側に凹部13aを形成するとともに、後側チャンバーホルダ11の内側に凸部11bを形成する。凹部13aと凸部11bを噛み合わせ、前後方向にそれぞれ配置調整することで、衝突距離を変更できる。図4は、最短の衝突距離を有する噴射チャンバー5を示す。この状態から、衝突距離調整部13a、11bを調整することで、図5に示すように、前側チャンバーホルダ10と後側チャンバーホルダ11の間隔が大きくなり、衝突距離が遠くなる。
【0033】
なお、衝突距離の調整によって、保護ホルダ15と球体ホルダ16が密閉されなくなると、規定の圧力の範囲内で処理が施せない。そのため、保護ホルダ15と球体ホルダ16の接触部に、衝突距離調整用連結部18を設けることが望ましい。衝突距離調整用連結部18は、衝突距離調整部13a、11bに連動して伸縮する連結具や、連動せずに伸縮する連結具であればよい。
【0034】
図6および図7に示すように、球体ホルダ16は、球体14を収容する収容部16eと、偏心位置調整部16f、16gとを有してもよい。偏心位置調整部16f、16gは、収容部16eの位置を調整することで、原料Mの球体14への衝突位置を調整する。例えば、偏心位置調整部(偏心調整用把手)16gを調整することで、収容部16eの偏心位置を上下方向に変更できる。また、収容部16eの上下移動に伴い、原料Mが内部に入り込まないように、球体ホルダ16は、偏心位置調整用連結部16hを有する。球体14の中心線L1と中間支持部材13の中心線L2を偏心させることで、球体ホルダ16内で球体14が回転する。図6は、球体14に対して原料Mの衝突位置を偏心させた状態を示す。偏心位置調整部16g、16hを調整することで、図7に示すように、収容部16eに配置される球体14の位置が下がる。
【0035】
熱交換器6は、微粒化処理後の原料Mの温度が適温になるように温度を調整する。多くの原料Mは、高温になり過ぎると、物性に悪影響を及ぼすことがある。そのため、原料Mの温度を5~35℃で調整することが望ましい。
【0036】
排出口7は、噴射チャンバー5で処理された原料Mを排出する。原料Mを1回だけ処理する場合は、排出口7から排出された原料Mを回収タンク(不図示)に溜める。原料Mを複数回処理する場合は、排出口7から排出された原料Mを噴射チャンバー5に戻し、再度、微粒化処理を施した後に、排出口7から排出された原料Mを回収タンク(不図示)に溜める。
【0037】
以下、本実施形態の微粒化装置1における微粒化処理手順について説明する。
まず、原料タンク2内に処理対象となる原料Mを投入し、スラリー状に調整する。次に、原料タンク2内の原料Mが、給液ポンプPによって、増圧機3に供給される。供給された原料Mは、増圧機3によって加圧される。加圧された原料Mは、高圧フィルタ4を通った後、噴射チャンバー5に供給され、噴射される。なお、この処理を複数回繰り返してもよい。
【0038】
ここで、噴射チャンバー5内の微粒化処理の手順を詳細に説明する。
【0039】
まず、ノズルチップ12から噴射される原料Mを球体14に衝突させる。これにより、原料Mは、一次的に微粒化される。また、球体14の中心方向ではなく、球体14の偏心した位置に原料Mを噴射する。これにより、原料Mが球体14に衝突した際に、球体14は球体ホルダ16内を回転する。球体ホルダ16の収容溝16aは、球体14の曲面と同様の曲面形状を有する。そのため、球体14は、過度に収容溝16aに衝突することなく、回転する。球体14の回転に伴い、原料Mが球体14と収容溝16aの隙間ですり潰されて、二次的に微粒化される。
【0040】
以上、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0041】
1 微粒化装置
2 原料タンク
3 増圧機
4 高圧フィルタ
5 噴射チャンバー
6 熱交換器
7 排出口
10 前側チャンバーホルダ
10a チャンバーホルダ導入口
11 後側チャンバーホルダ
11a チャンバーホルダ排出口
11b 衝突距離調整部(凸部)
12 ノズルチップ
13 中間支持部材
13a 衝突距離調整部(凹部)
14 球体
15 保護ホルダ
15a 窪み部
16 球体ホルダ
16a 収容溝
16b 曲線部用保護膜
16c 第1の球体ホルダ用排出口
16d 第2の球体ホルダ用排出口
16e 収容部
16f 偏心位置調整部(ネジ部)
16g 偏心位置調整部(偏心調整用把手)
16h 偏心位置調整用連結部
17 ノズル受け部材
17a ノズル受け部材用貯留環
17b ノズル受け部材用排出口
18 衝突距離調整用連結部
L1 球体の中心線
L2 中間支持部材の中心線
L3 球体の外周線
L4 中間支持部材の開口線
M 原料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7