(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070104
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】画像読取装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
H04N1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180497
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】元山 達朗
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA17
5C062AB02
5C062AB17
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC34
5C062AC69
5C062AE01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】排紙原稿を区別するための特別なメカ機構を持たず、なおかつ、ユーザーの判断を介さず、自律的に印字すべき原稿を判断して印字する画像読取装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】画像読取装置10は、原稿90から画像を読み取って画像データを出力する画像読取ユニット103と、画像読取ユニットによる画像の読み取り後の原稿の所定の位置に所定の情報を記録するインプリンター110と、画像データの少なくとも前記所定の位置を対象として文字認識する光学的文字認識(OCR)処理を実行するOCR部と、を有し、OCRにより所定の情報を認識できなかった原稿に対し、インプリンターによる所定の情報の記録を行わせ、OCRにより所定の情報を認識できた原稿に対し、インプリンターによる所定の情報の記録を行わせない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿から画像を読み取って画像データを出力する画像読み取り手段と、
前記画像読み取り手段による画像の読み取り後の前記原稿の所定の位置に所定の情報を記録する記録手段と、
前記画像データの少なくとも前記所定の位置を対象として文字認識する文字認識手段と、
制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記文字認識手段により前記所定の情報を認識できなかった前記原稿に対し、前記記録手段による前記所定の情報の記録を行わせ、前記文字認識手段により前記所定の情報を認識できた前記原稿に対し、前記記録手段による前記所定の情報の記録を行わせない、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記所定の情報は、それぞれの原稿を識別するための、予め順序が決められた識別情報であり、
前記画像読取装置は、前記記録手段により前記識別情報を記録した前記原稿の次の原稿に記録する識別情報を記憶する記憶手段を更に有し、
前記制御手段は、前記文字認識手段により前記所定の情報を認識できなかった前記原稿に対し、前記記憶手段に記憶された前記識別情報の記録を前記記録手段に行わせ、前記記憶手段に記憶された前記識別情報を、次の原稿に記録する識別情報で更新する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読取装置であって、
前記制御手段は、前記文字認識手段により前記原稿から前記識別情報を認識できた場合、認識された前記識別情報と前記記憶手段に記憶された前記識別情報とを比較して、一致した場合には、前記記憶手段に記憶された前記識別情報を、次の原稿に記録する識別情報で更新する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像読取装置であって、
前記制御手段は、外部装置から前記原稿の読み取りの指示を受けると、前記記憶手段に、前記順序の先頭に対応する識別情報を設定する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項3に記載の画像読取装置であって、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記識別情報を更新すると、更新された前記識別情報をユーザインタフェースに表示し、
前記ユーザインタフェースを介して他の識別情報が入力されると、前記記憶手段に記憶された前記識別情報を入力された前記他の識別情報で更新する、
ことを特徴する画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の画像読取装置であって、
外部装置と通信する通信手段を更に有し、
前記制御手段は、前記文字認識手段により前記所定の情報を認識できなかった前記原稿から読み取った画像データを前記外部装置へと送信し、前記文字認識手段により前記所定の情報を認識できた原稿から読み取った画像データを前記外部装置へと送信しない、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
原稿から画像を読み取って画像データを出力する画像読み取り手段と、前記画像読み取り手段による画像の読み取り後の前記原稿の所定の位置に所定の情報を記録する記録手段と、制御手段とを有する画像読取装置の制御方法であって、
前記制御手段は、前記画像データの少なくとも前記所定の位置を対象として文字認識し、
前記文字認識により前記所定の情報を認識できなかった前記原稿に対し、前記記録手段による前記所定の情報の記録を行わせ、前記文字認識により前記所定の情報を認識できた前記原稿に対し、前記記録手段による前記所定の情報の記録を行わせない、
ことを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送原稿を読み取ってインプリンターにより原稿に印字する画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿を搬送して画像を読み取る画像処理装置には、搬送原稿に印字する機能を備えたものがある。このような装置が、複数枚の原稿の画像読取を行っている途中に紙詰まり等のエラーで画像読取を中断した場合、ユーザーが原稿を再度原稿台に載置し、画像読取をやり直す(以下、再スキャン)ことがある。この時、画像が読み取られた原稿の何枚目までに印字がなされたか、ユーザーには判断しづらいという問題がある。
【0003】
ユーザーを補助する先行技術として、画像読取中にエラーが発生した場合、エラーになった原稿の排紙位置をずらすものがある。これにより、ユーザーは対象原稿が特定しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、原稿の排紙位置をずらすための機構が必要となる。また、最終的にユーザーは排紙位置がずらされた原稿を確認し、対象の原稿を特定する必要がある。
【0006】
本発明は上記従来例に鑑みて成されたもので、ユーザーによる介入なしで原稿に対し適切な印字を実行する画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は以下の構成を有する。すなわち本発明の一態様によれば、原稿から画像を読み取って画像データを出力する画像読み取り手段と、
前記画像読み取り手段による画像の読み取り後の前記原稿の所定の位置に所定の情報を記録する記録手段と、
前記画像データの少なくとも前記所定の位置を対象として文字認識する文字認識手段と、
制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記文字認識手段により前記所定の情報を認識できなかった前記原稿に対し、前記記録手段による前記所定の情報の記録を行わせ、前記文字認識手段により前記所定の情報を認識できた前記原稿に対し、前記記録手段による前記所定の情報の記録を行わせない、
ことを特徴とする画像読取装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザーによる介入なしで原稿に対し適切な印字を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】スキャン要求の受信からスキャン終了までの処理を示したフローチャート
【
図6】印字文字の判定から、印字文字の更新までの処理を示したフローチャート
【
図7】印字文字の判定から、画像データの送信までの処理を示したフローチャート
【
図8】印字文字の判定から、印字文字の更新までの処理を示したフローチャート
【
図9A】再スキャン時の処理の流れを示したシーケンス図
【
図9B】再スキャン時の処理の流れを示したシーケンス図
【
図10】再スキャン時の処理の流れを示したシーケンス図
【
図11】印字文字の判定から、印字文字の更新までの処理を示したフローチャート
【
図12】再スキャン時のユーザーの操作の流れを示したシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
[実施の形態1]
(
図1の説明 全体構成)
図1は、一実施形態による画像処理装置10と、それに接続された外部装置(ホスト装置)であるパーソナルコンピュータ(PC)20の概略的な構成図である。画像処理装置10とPC20はバスや通信ネットワークなどの通信のためのインタフェースにより接続されている。本実施形態ではユニバーサルシリアルバス(USB)により接続している。PC20は原稿の画像を読み取るスキャン要求(読み取り要求)を画像処理装置10に送信する。画像処理装置10はスキャン要求に応じて原稿台に載置された原稿を搬送しつつ光学的に読み取って画像データを生成する。画像処理装置10はその画像データをPC20に送信し、PC20は画像データを取得する。原稿は1乃至複数枚のカットシートの束であってよく、ひと束の原稿を原稿束ということもある。また画像処理装置10を画像読取装置とよぶこともある。
【0012】
(
図2の説明 メカ構成)
図2は、一実施形態による画像処理装置10の概略的な構成図である。原稿台101は、読取対象の原稿90を積載収納する。原稿台原稿検知センサー108は原稿台101上の原稿90を検知する。給紙ローラ104は原稿90を一枚ずつ分離し、搬送路106に送り出す。搬送ローラ105は原稿90を搬送路106に沿って搬送し、排出部102に排紙する。排出部102は画像読取処理を終えた原稿90を積載収納する。排出部原稿検知センサー109は排紙した原稿90を検知する。レジストセンサー107は、搬送路106を搬送した原稿90を検知する。画像読取ユニット103は、レジストセンサー107が原稿90を検知すると、原稿90の画像の読み取りを開始する。また、画像読取ユニット103は、搬送路106の原稿を挟んで両側に2つ設けられており、一方が原稿90の表面を、他方が原稿90の裏面を読み取る。インプリンター110は、原稿90に対しインクを吐出し、原稿90上に文字列や画像を印字する。なお以下の説明で「印字」という用語を用いるが、文字や数字のみを画像形成することに限定されず、文字以外の画像を印刷することを含む。そいのために「印字」に代えて「画像形成」や「記録」、「印刷」といった用語を使うこともできる。
【0013】
インプリンター110は、原稿の幅方向(
図2の紙面垂直方向)について、画像読取ユニット103による読み取り範囲内に画像形成可能な位置に設けられている。また後述のように、本実施形態では読み取り対象の原稿に、1回の読み取り処理の中で固有に識別可能な識別情報、たとえば通し番号をインプリンター110により印字する。印字のタイミングは、たとえば画像読み取りユニット103による1枚の原稿の読み取り前、または読み取り後であればよい。前後どちらで行うかは設定できてよいが、本実施形態では読み取り前に印字するものとする。印字の位置はユーザーにより指定でき、たとえば原稿の端部などが指定されてよい。位置を特定するには、たとえば、原稿の後端部がレジストセンサー107を通過してから計時を開始し、そこから指定された位置に達するまでの時間の経過時点で印字してよい。なお原稿に印字される文字すなわち識別情報は文字等の画像であり、それをインプリント画像と呼ぶこともある。
【0014】
インプリンター110は原稿のいずれかの面に識別情報を印字できればよい。本例では
図2のように原稿下面に印字する構成となっているが、上面に印字する構成であってもよい。またインプリンターの印字方式は可視画像を形成できるのであればどのようなものであってもよい。
【0015】
(
図3の説明 電気構成全体)
図3は、一実施形態による画像処理装置10の制御構成を示す図である。画像処理装置10の制御部200は、処理ユニット(CPU)201と、メモリとしてROM202およびRAM203と、入出力インタフェース(IF)204とUSBIF205と、を備える。CPU201は、ROM202に記憶されたプログラムを実行し、画像処理装置10全体の制御を行う。ROM202は、CPU201が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。RAM203は、画像読取ユニット103が読み取った画像データや、CPU201の演算結果といった可変データを記憶する。ただし、ROM202及びRAM203は他の記憶デバイスであっても良い。入出力IF204は、制御部200と、画像読取ユニット103の各部とを接続している。CPU201は、入出力IF204を介して各部に制御信号やデータを送り、また、各部からデータを取得する。USBIF205は、PC20とUSB接続するインタフェースである。
【0016】
(
図13の説明 印字文字)
図13は、画像処理装置10がインプリンター110を制御する為に管理するデータ構造の一例である。印字する文字(以下、印字文字あるいは識別情報あるいはマークとも呼ぶ)は配列の構造で保持する。保持する媒体はたとえばROM202であってよい。また、次に印字する印字文字(以下、次回印字文字)を変数に保持する。なお
図13では4枚目原稿までしか保持されていないが、更に先まで保持していてよい。この例ではRAM203に保持されてよい。なお印字文字そのものではなく、次回印字文字を決める規則を予め決めておいて、次回印字文字はその規則に従って決定してもよい。またこの識別情報は巡回して利用されてよく、末尾まで使い切ったなら先頭に戻してよい。
【0017】
印字出力した後に、上記配列を参照し、次回印字文字を更新することで、適切な順序で印字を実行できる。具体的な更新タイミングは後述する。なお原稿束ごとに次回印字文字を初期値に戻してもよいが、本実施形態および後述の各実施形態では、そのような制御を行わない。また次回印字文字の初期化は画像処理装置10に電源が投入された際の初期化処理と併せて行われてよい。
図13の例では初期値は001であってよい。
【0018】
(
図4の説明 アプリケーション)
図4は、PC20上で動作し、画像処理装置10から画像を取得するアプリケーションの画面である。アプリケーションはPC20のRAMにロードされ、CPUにより実行される。
図4の画面でユーザーがスキャンボタンaを押すと、画像処理装置10にスキャン要求を送信する。ラジオボタンbで、解像度、カラーモードを設定できる。設定された解像度及びカラーモードでスキャン要求が送信される。アプリケーションは、画像処理装置10から、スキャン要求に応じた画像データを受信して取得し、それをPC20に保存する。
【0019】
(
図12の説明 シーケンス)
図12は、再スキャンする際の、ユーザーの操作の流れの一例を示す。3枚の原稿をスキャンし、2枚目のスキャンの途中で、紙詰まりが発生し、再度スキャンし直す操作の流れとする。
【0020】
S1200で、ユーザーはPC20のスキャンアプリケーションを起動する。S1201で、PC20はスキャン指示画面(
図4)を表示する。S1202で、ユーザーは、画像処理装置10に、3枚の原稿を載置する。S1203で、ユーザーは、スキャン指示画面のスキャンボタンを押下する。S1204で、PC20は画像処理装置10にスキャンの開始指示を送る。
【0021】
S1205で、画像処理装置10は、1枚目の原稿をスキャン、印字する。S1206で、画像処理装置10は、1枚目原稿の画像データをPC20に送信する。
【0022】
S1207で、画像処理装置10は、2枚目の原稿をスキャンする。この際、紙詰まりが発生し、スキャンを中断する。このとき、印字も失敗した場合を例に説明する。
【0023】
S1208で、画像処理装置10は、PC20に、スキャンが中断した旨を通知する。S1209で、PC20は、スキャン中断した旨を画面に表示する。S1210で、ユーザーは、画像処理装置10から、詰まった原稿を取り除く。S1211で、画像処理装置10は、PC20に、紙詰まりが解除された旨を通知する。S1212で、PC20は、再度、スキャン指示画面(
図4)を表示する。S1213で、ユーザーは、画像処理装置10に、3枚の原稿を再度載置する。すなわち再スキャンの対象は、元の読み取り対象の原稿束の全体となる。S1214で、ユーザーは、スキャン指示画面のスキャンボタンを押下する。S1215で、PC20は、画像処理装置10に、スキャンの開始指示を送る。
【0024】
S1216で、画像処理装置10は、1枚目の原稿をスキャンする。この際、後述する
図5,
図6の手順により、印字は行われない。またスキャンされた画像データは破棄される。
【0025】
S1217で、画像処理装置10は、2枚目の原稿をスキャンする。2枚目の原稿には印字されなかったので、
図5,
図6の手順により、次回印字文字を印字する。S1218で、画像処理装置10は、PC20に、2枚目の原稿の画像データを送信する。
【0026】
S1219で、画像処理装置10は、続いて3枚目の原稿をスキャン、印字する。S1220で、画像処理装置10は、PC20に、画像データを送信する。S1221で、画像処理装置10は、PC20にスキャン完了した旨を通知する。S1222で、PC20は、画面に、スキャン完了した旨を表示する。
【0027】
この流れの中では、初回のスキャン時に1枚目の原稿に対して、印字と、画像データの送信が完了しているため、再スキャン時には印字と画像データは送信されない。一方で、2枚目の原稿は初回のスキャン時に印字に失敗し、画像データの送信もしていないため、再スキャン時に印字し、画像データを送信している。
【0028】
(
図5の説明 フローチャート)
図5は画像処理装置10におけるスキャン要求の受信から、スキャン終了するまでの処理を示したフローチャートである。
図5に沿って画像処理装置10が行う処理を説明する。このフローチャートはROM202に格納したプログラムをCPU201により実行することで実現される。なお再読み取り時には、次回印字文字は、中断した読み取り時に設定された値のまま保持されてよい。すなわち前回の読み取り時の次回印字文字がそのまま再読み取り時の次回印字文字として原稿の読み取りが開始される。
【0029】
S501で、PC20からUSBIF205を介してスキャン要求を受信する。
【0030】
S502で、原稿台101に原稿が載置されているか否かを、原稿台原稿検知センサー108により確認する。その結果をS502-2で判定する。S502-2で原稿が載置されていると判定された場合S503に処理を進める。また、S502-2で原稿が載置されていないと判定された場合、処理を終了する。このときには原稿が載置されていない旨をPC20に応答してよい。
【0031】
S502-2で原稿が載置されていたと判定された場合には、S503で、1枚ごとに原稿の搬送を開始する。S504で、搬送されている原稿から画像の読取を行い、読み取った画像データをRAM203に保存する。保存した画像データはPC20に送信されるが、その送信処理は
図5の手順とは非同期に実行されてよいし、あるいは読み取り後にまとめて送信されてもよい。
【0032】
S505で、読み取った画像データに対し、光学的文字認識(OCR)処理を実行する。OCR処理を施す範囲は、インプリンター110による印字が成功した場合に印字がされる範囲とする。
【0033】
S506で、OCR認識した文字による分岐処理を実行する。処理の詳細は後述する。
【0034】
(
図6の説明 フローチャート)
図6は上述の分岐処理(S506)を示したフローチャートである。
図6に沿って画像処理装置10が行う処理を説明する。
【0035】
S601で、OCRで認識した文字に既に印字した文字(以下、既印字文字)が有るか否かを確認する。その結果をS601-2で判定する。S601-2で既印字文字が無いと判定された場合S602に処理を進める。また、S601-2で既印字文字が有ると判定された場合、処理を終了する。既印字文字の有無は、簡単には、何らかの文字を認識できたなら既印字文字があると判定してよい。あるいは、たとえば認識した文字が
図13の表を参照して印字済みの文字に含まれているか判定してよい。この場合含まれていれば既印字文字があると判定してよい。
【0036】
S602では、現在の次回印字文字を原稿に印字する。その位置やタイミングは
図2について説明したとおりである。本例では上述したように再読み取り時は最初の読み取りの中断時における次回印字文字が保持されているので、再読み取り開始後初めて既印字文字がないと判定された原稿には、その保持されていた次回印字文字が印字される。
【0037】
S603で、次回印字文字を更新する。ここでは次回印字文字を、現在の次回印字文字に対応する原稿の次の原稿に対応する印字文字(識別情報)で更新する。
図13の例では現在の次回印字文字は001なのでそれに対応する1枚目原稿の次の2枚目原稿に対応する印字文字である002が新たな次回印字文字となる。
【0038】
このフローにおいて、既印字文字の有無によって、画像処理装置が自律的に印字するか否かの処理を変えることで、ユーザー自身が印字すべき原稿を判断することなく、適切な原稿に印字ができる。
【0039】
本実施形態では、通し番号等の読み取り済みと判定するための識別情報が印字されていない原稿は、読み取り対象となっていないか、読み取り対象となったものの搬送時のエラーや位置ずれなどが生じて文字が印字できなかったものと判断されている。そこで
図5、
図6の手順では、画像データから既印字文字が認識できなかった場合、その原稿については読み取られていないものとして、識別情報を印字する。また画像データから既印字文字が認識できた場合、読み取り済みとして当該画像データを破棄する。このようにすることで、再読み取り時に、失敗した読み取り時に読み取られた原稿に続けて識別情報を印字することができる。また同じ画像データを重ねてPC20に送信することを防止できる。
【0040】
以上の手順により、本実施形態に係る画像処理装置によれば、読み取り済みであることを示す識別情報に基づいてユーザーによる介入なしで画像の再読み取りの対象となる原稿を特定することができる。そして再読み取り時に識別情報を適切に原稿に印字することができる。そのため搬送エラーなどにより画像の読み取りを失敗した原稿については、先頭のページからまとめて再読み取りを試みることで、対象部分を指定しなくとも再読み取りを行える。
【0041】
[変形例]
なお本実施形態では、画像処理装置10により重複して読み取った画像データを削除せず、そのままPC20に送信してもよい。その場合にはPC20において重複した画像データを消去してよい。いずれにしても、最初の読み取りで得られた画像データと再読み取りで得られた画像データとを合わせて、原稿の画像データがもれなく、かつ重複なくPC20には保存される。
【0042】
またS601の後で再スキャンであるか否かを判定して次回印字文字の設定を行ってもよい。たとえばPC20からスキャン指示を受けて最初の原稿の読み取りであれば、対応する画像データに既印字文字があれば再読み取りと判断し、次回印字文字をそのままとする。一方、対応する画像データに既印字文字がなければ再読み取りではない初めての読み取りであると判断し、次回印字文字を初期値(例えば001)に設定してよい。このようにすることで、原稿束ごとに記録文字を001から開始することができる。
【0043】
なお、本発明は上記実施の形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0044】
[実施の形態2]
(
図7の説明 フローチャート)
以下、本発明の実施形態2について説明する。
図6は印字するかどうかを判断するフローであったが、
図7は、既印字文字の有無によって、画像処理装置が画像データを保存するか否かの処理を変えるフローの説明である。
図7は実施形態1で説明した
図6に代えて本実施形態で実行される処理のフローチャートである。他の構成及び手順は実施形態1と同様であるため共通する部分についてはその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。本実施形態では画像処理装置10からPC20への画像データの送信は、
図7に示すように原稿の読み取りに同期して行われる。そのため、読み取り後にまとめて送信することや、読み取りと非同期の送信は行われない。重複して読み取った原稿の画像データはPC20へと送信されないことから、それをあえて破棄しなくてもよい。なお送信済みの画像データは削除されてよい。これは他の実施形態についても同様である。
【0045】
S505で画像データに対してOCR処理が行われると、S701で、OCR処理の結果から、既印字文字が画像データ内に有るか否かを確認する。S701-2で既印字文字が無いと判定された場合S702に処理を進める。また、S701-2で既印字文字が有ると判定された場合、処理を終了する。S701の確認およびS701-2の判断はそれぞれS601およびS601-2と同様であってよい。
【0046】
S702で、次回印字文字を原稿に印字する。S703で、次回印字文字を更新する。ここでは次回印字文字を、印字した次の文字へと更新する。
【0047】
S704で、USBIF205を介してPC20へ読み取った画像データを送信する。なおS701で既印字文字が画像データから認識できた場合には、その画像データは送信済みと判断して消去してよい。
【0048】
このフローにおいて、既印字文字が有る場合に、画像データを重ねて送信しないことで、同一原稿の画像を重複して保存することが避けられる。
【0049】
このように本実施形態に係る画像処理装置によれば、読み取り済みであることを示す識別情報に基づいてユーザーによる介入なしで画像の再読み取りの対象となる原稿を特定することができる。そして再読み取り時には識別情報を適切に原稿に印字することができる。そのため搬送エラーなどにより画像の読み取りを失敗した原稿については、先頭のページからまとめて再読み取りを試みることで、対象部分を指定しなくとも再読み取りを行える。
【0050】
さらにこれらの効果に加えて、同じ原稿を読み取った画像データを重複してPCに送信することを防止できる。
【0051】
なお、本発明は上記実施の形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0052】
[実施の形態3]
(
図8の説明 フローチャート)
以下、本発明の実施形態3について説明する。
図6は、OCR認識した文字が既印字文字かどうかで、印字するか否かの判断をするフローであったが、
図8は、OCR認識した文字が次回印字文字かどうかで判断するフローである。
図8は実施形態2で説明した
図7に代えて本実施形態で実行される処理のフローチャートである。他の構成及び手順は実施形態2と同様であるため共通する部分についてはその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0053】
S801で、OCR処理の結果から、既印字文字が有るか否かを確認する。S801-2でその結果を判定する。S801-2で既印字文字が無いと判定された場合S802に処理を進める。また、S801-2で既印字文字が有ると判定された場合、S805に処理を進める。
【0054】
S802で、原稿に印字する。S803で、次回印字文字を更新する。ここでは次回印字文字を、印字した次の文字へと更新する。S804で、USBIF205を介してPC20へ読み取った画像データを送信する。
【0055】
一方S801-2で、画像データに既印字文字があると判定された場合、S805で、OCR処理で認識した既印字文字と、次回印字字文字との比較を行う。その結果をS805-2で判定する。S805-2でそれぞれの文字が一致したと判定された場合、S806に処理を進める。また、S805-2でそれぞれの文字が一致しなかったと判定された場合処理を終了する。
【0056】
S805-2で一致したと判定されたなら、S806で、次回印字文字を更新する。ここでは、次回印字文字の次の印字文字を新たな次回印字文字としてよい。
【0057】
本実施形態によれば、実施形態1、2の効果に加えて、既印字文字が、次回印字文字と同じであれば、次回印字文字を更新することで、適切な順序で印字を行うことができるという効果を奏する。
【0058】
なお、本発明は上記実施の形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0059】
(
図9A、
図9Bの説明 中断した原稿に印字できなかった場合のシーケンス)
図5および
図8の手順で原稿の読み取りと印字を行った場合のシーケンスの例を
図9A、
図9Bに示す。
図9A、
図9Bは連続する手順を示しておりまとめて
図9と称することもある。初回スキャン中に紙詰まりでスキャンが中断した時、原稿の印字の状態として、次の2種類の状態が考えられる。1つは「中断した原稿に印字ができなかった」と、もう1つは「中断した原稿に印字できた」である。以下ではこの2つの状態について、処理の流れを説明する。
【0060】
図9は、「中断した原稿に印字できなかった」場合に、再スキャンした時の、画像処理装置10が行う処理の流れを示す。再スキャンの対象は読み取り対象の原稿束の全体である。この例では、2枚目の原稿で中断したとして、原稿束のうちの1枚目の原稿には印字済みであり、それ以降には印字されていない。次回印字文字は、2枚目の原稿に印字する"002"とする。
【0061】
S900で、1枚目の原稿の搬送を始める。S901で、1枚目の原稿の画像の読み取りを開始する。S902で、1枚目の原稿の画像データを取得する。S903で、取得した画像データをOCR処理する。S904で、既印字文字の有無を判定する。1枚目の原稿は印字できた状態なので、既印字文字が有ると判定する。S904で既印字文字があると判定されたので、S905で、既印字文字と、次回印字文字を比較する。既印字文字は"001"、次回印字文字は"002"なので、不一致と判定する。不一致と判定した場合には
図8のS805に従って次回印字文字が更新されることはない。ここで1枚目の原稿の処理を終了して次の原稿の読み取りに進む。なお1枚目の原稿の画像データは、
図8の手順に従って、画像処理装置10からPC20に送信されない。
【0062】
S905で不一致と判定されたので、S906で、2枚目の原稿の搬送を始める。S907で、2枚目の原稿の画像の読み取りを開始する。S908で、2枚目の原稿の画像データを取得する。S909で、取得した画像データをOCR処理する。S910で、既印字文字の有無を判定する。2枚目の原稿は印字できていない状態なので、既印字文字が無いと判定する。この場合には
図8ではS801からS802に分岐する。S910で既印字文字が無いと判定されたので、S911で、2枚目原稿に現在の次回印字文字である"002"を印字する。S912で、次回印字文字を"002"から"003"に更新する。S913で、PC20に2枚目の画像データを送信する。これで2枚目の原稿について読み取りを終了する。
【0063】
S914で、3枚目の原稿の搬送を始める。3枚目の原稿は2枚目の原稿と同じ要領で処理される。S915で、3枚目の原稿の画像の読み取りを開始する。S916で、3枚目の原稿の画像データを取得する。S917で、取得した画像データをOCR処理する。S918で、既印字文字の有無を判定する。3枚目原稿は印字できていない状態なので、既印字文字が無いと判定する。S918で既印字文字がないと判定されたので、S919で、3枚目の原稿に"003"を印字する。S920で、次回印字文字を"003"から"004"に更新する。S921で、PC20に3枚目の原稿の画像データを送信する。
【0064】
以上の処理によって、2枚目、3枚目の原稿にそれぞれ、"002"、"003"が印字される。
【0065】
(
図10の説明 中断した原稿に印字できた場合のシーケンス)
図10は、「中断した原稿に印字できた」場合に、再スキャンした時の、画像処理装置10が行う処理の流れを示す。この例では、2枚目の原稿で中断したとして、次回印字文字は、2枚目の原稿に印字する"002"とする。なお本例でも
図9Aの処理は中断した原稿に印字できなかった場合と同様であり、
図10は
図9AのS909で2枚目の原稿のOCR処理を行った後の処理を示している。
【0066】
1枚目の原稿の処理と2枚目の原稿のOCR処理までは上述した通り
図9Aのとおりである。S909で、取得した画像データをOCR処理すると、S1010で、既印字文字の有無を判定する。2枚目原稿は印字できた状態なので、既印字文字が有ると判定する。
【0067】
S909で既印字文字が有ると判定されたので、S1011で、既印字文字と、次回印字文字を比較する。既印字文字は"002"、次回印字文字は"002"なので、一致と判定する。S1011で既印字文字があると判定されたので、
図8の手順に従ってS1012で、次回印字文字を"002"から"003"に更新する。また読み取られた原稿の画像データはPC20に送信されない。
【0068】
S1013で、3枚目の原稿の搬送を始める。S1014で、3枚目の原稿の画像の読み取りを開始する。S1015で、3枚目の原稿の画像データを取得する。S1016で、取得した画像データをOCR処理する。S1017で、既印字文字の有無を判定する。3枚目の原稿は印字できていない状態なので、既印字文字が無いと判定する。S1017で既印字文字がないと判定されたので、S1018で、3枚目の原稿に現在の次回印字文字である"003"を印字する。S1019で、次回印字文字を"003"から"004"に更新する。S1020で、PC20に3枚目の原稿の画像データを送信する。以上の処理によって、3枚目の原稿に"003"が印字される。
【0069】
このように本実施形態では、既印字文字が、次回印字文字と同じであれば、次回印字文字を更新することで、適切な順序で印字を行うことができる。
【0070】
[実施形態3の変形例]
本変形例ではPC20からスキャン指示を受けると次回印字文字が初期設定(
図13の例では001)に戻される。その後原稿の読み取りが開始される。このようにスキャン開始時に次回印字文字を初期値に設定することで、
図8の手順では、原稿に既印字文字があり、それが次回印字文字と一致したなら、次回印字文字は印字されることなく更新される。この結果、前回の読み取り時に読み取られ、識別情報が印字された原稿はそのまま読み捨てられて識別情報も印字されない。その一方、識別情報を示す既印字文字がない原稿については、次回印字文字(すなわち最後に印字した識別情報の次の識別情報)が印字され、その画像データはPCに送信される。そのため、たとえば読み取ったはずの原稿に対する次回印字文字の印字に失敗したが、次回印字文字の更新を行ってしまっている場合であっても、
図13に示したような原稿に印字される印字文字の連続性を保つことができる。
【0071】
[実施の形態4]
(
図11の説明 フローチャート)
以下、本発明の実施形態4について説明する。これまでは、画像処理装置10が自律的に印字するかどうかを判断していた。ここでは、印字する文字をユーザーに確認する。このフローにおいて、既印字文字があれば、ダイアログを表示し、次に印字する文字をユーザーに入力させることで、適切な順序で印字を行うことができる。
図11に沿って画像処理装置10が行う処理の流れを説明する。
図11は実施形態3で説明した
図8に代えて本実施形態で実行される処理のフローチャートである。
【0072】
S1101で、OCR処理の結果から、既印字文字が有るか否かを確認する。S1101-2でその結果を判定する。S1101-2で既印字文字が無いと判定された場合S1102に処理を進める。また、S1101-2で既印字文字が有ると判定された場合、S1105に処理を進める。S1102で、原稿に印字する。S1103で、次回印字文字を更新する。S1104で、USBIF205を介してPC20へ読み取った画像データを送信する。
【0073】
読み取られた画像データに既印字文字が有る場合には、S1105で、OCR処理で認識した既印字文字と、次回印字字文字との比較を行う。S1105-2でその結果を判定する。S1105-2でそれぞれの文字が一致したと判定された場合、S1106に処理を進める。また、S1105-2でそれぞれの文字が一致しなかったと判定された場合処理を終了する。
【0074】
S1106で、次回印字文字を更新する。S1107で、更新後の次回印字文字が適切か否かをユーザーに入力させる不図示のダイアログを表示する。このダイアログは画像処理装置10が有するタッチパネル等のユーザインタフェースに表示すればよい。ダイアログにはたとえば、更新後の次回印字文字列と、ユーザーが承認するためのボタン(例えば、「Yes」ボタン)と、不承認のためのボタン(例えば、「No」ボタン)とが含まれていてよい。いずれかのボタンがタッチされるとタッチされたボタンを示す情報が入力される。
【0075】
S1108で、ユーザーの入力を受信する。S1108-2で受信した入力が何であるかを判定する。S1108-2で、例えばYESなど、ユーザーが次回印字文字を承認したことを示す入力であると判定された場合、処理を終了する。S1108-2で、例えばNOなど、ユーザーが次回印字文字を不承認であることを示す入力であると判定された場合、S1109に処理を進める。
【0076】
S1109で、不図示のダイアログを表示し、次に印字する文字をユーザーに入力させる。このダイアログには新たな次回印字文字を入力するための入力枠と、確定ボタンとが含まれていてよい。確定ボタンがタッチされると入力されている新たな次回印字文字が入力される。
【0077】
S1110で、入力された次回印字文字を受信する。S1111で、入力された次回印字文字でRAMに記憶された次回印字文字を更新する。
【0078】
以上の手順により、本実施形態では、次回印字文字が原稿に印字済みであった場合に、ユーザーに対して確認の機会が与えられ、ユーザーによる確認を経て処理が進められる。
【0079】
[実施形態1乃至4の変形例]
上記実施圭形態1乃至4では原稿に印字する文字は、通し番号など、1枚ごとに固有の識別情報とした。しかし、すべての読み取り済み原稿に同一の記号や符号、文字、画像などの情報を印字してもよい。そのようにすることで印字文字に基づく原稿の1枚ごとの識別は困難になるものの、既に印字済みであるか否か、すなわち読み取り済みであるか否かの判定は行うことができる。なおこの場合には次回印字文字は固定されるので、その更新の必要はない。また既印字文字があれば必ず次回印字文字と一致するはずなので、そのような比較の工程を行わなくてもよい。
【0080】
なお、本発明は上記実施の形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変形または変更が可能である。たとえばS1107で、PC20が有する表示部に対して更新後の次回印字文字を含むダイアログを表示し、それに対するユーザーの入力を受け付けてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 画像処理装置、20 PC、90 原稿、101 原稿台、
102 排出部、103 画像読取ユニット、104 給紙ローラ、
105 搬送ローラ、106 搬送路、107 レジストセンサー、
108 原稿台原稿検知センサー、109 排出部原稿検知センサー、
110 インプリンター、200 制御部、201 CPU、202 ROM、203 RAM、204 入出力IF、205USBIF