(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070128
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】改善された熱再成形方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/46 20060101AFI20240515BHJP
A61Q 5/04 20060101ALI20240515BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
A61K8/46
A61Q5/04
A61K8/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022180531
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ロメン・フルウ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンミン・ジョウ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB011
4C083AB031
4C083AB032
4C083AB051
4C083AB281
4C083AC102
4C083AC542
4C083AC581
4C083AC791
4C083AC792
4C083BB43
4C083CC34
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE05
4C083EE25
(57)【要約】
【課題】環境に優しく、ケラチン繊維の再成形に更に良好な性能をもたらすことができる、閉塞空間内でのケラチン繊維の加熱に基づく、毛髪等のケラチン繊維を再成形するための改善された方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、毛髪等のケラチン繊維を再成形するための方法であって、(1)特定の組成物をケラチン繊維上に適用する工程と、(2)ケラチン繊維を閉塞空間内に置く工程と、(3)閉塞空間内でケラチン繊維を加熱し、ここで、該閉塞空間が、高密度ポリエチレンを含む少なくとも1つの被覆手段によって形成される工程とを含む、方法に関する。本発明による方法は、環境に優しく、ケラチン繊維の再成形に更に良好な性能をもたらすことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪等のケラチン繊維を再成形、好ましくはパーマネント再成形、より好ましくはパーマネントウェーブ化するための方法であって、
(1)
(a)アルキルアミノスルホン酸並びに以下の式(I)及び(II):
【化1】
[式中、
- Rは、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状の、好ましくは直鎖状のC
1~C
5アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキサミド基、C
6~C
18芳香族基、複素環式基、-C(O)-OH、-S(O)
2-OH、-C(O)-O
-M
+、-S(O)
2-O
-M
+、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの基で任意選択により置換され、M
+は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム等のカチオン性対イオンを表し、
- nは、0又は1である]のものから選択される少なくとも1種の化合物と、
(b)水と
を含む組成物をケラチン繊維上に適用し、ここで、
前記組成物のpHが、8.0~12、好ましくは8.5~11.5、より好ましくは9.0~11.0である、工程、
(2)ケラチン繊維を閉塞空間内に置く工程、並びに
(3)閉塞空間内で、ケラチン繊維を、好ましくは50℃~250℃、好ましくは60℃~200℃、より好ましくは70℃~150℃で加熱し、
ここで、
前記閉塞空間が、高密度ポリエチレンを含む少なくとも1つの被覆手段によって形成される、工程
を含む、方法。
【請求項2】
工程(3)の後に、ケラチン繊維の周りの被覆手段を除去する工程(4)を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被覆手段が、フィルム又はシートの形態である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(1)の前又は後に、好ましくはカーラー、ローラー、プレート及びアイロンからなる群から選択される少なくとも1つの再成形手段によってケラチン繊維に機械的張力を付与する工程を更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(1)の後に、ケラチン繊維をすすぎ流す工程を更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物のpHが、以下の平衡状態のpKaに等しいpHに対して±2以内である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【化2】
【請求項7】
前記(a)化合物が、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸等のアルキルアミノスルホン酸;グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、フェニルアラニン、β-アラニン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、グルタミン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン及びチロシン等のアミノ酸;グリシルグリシン等の、アミノ酸のオリゴマー;タウリン等のアミノスルホン酸;並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記(a)化合物が、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸、グリシン、アラニン、タウリン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物中の前記(a)化合物の量が、前記組成物の総質量に対して、1質量%~25質量%、好ましくは3質量%~20質量%、より好ましくは5質量%~15質量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物中の前記(b)水の量が、前記組成物の総質量に対して、50質量%~95質量%、好ましくは60質量%~90質量%、より好ましくは70質量%~85質量%である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、(c)少なくとも1種のアルカリ剤、好ましくは無機アルカリ剤を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記(c)アルカリ剤が、アルカリ金属水酸化物;及びアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属リン酸塩及び/又はリン酸一水素塩からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物中の前記(c)アルカリ剤の量が、前記組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、アンモニア若しくはチオール化合物を一切含まない、又は、前記組成物の総質量に対して1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満のアンモニア若しくはチオール化合物を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が、還元剤若しくは酸化剤を一切含まない、又は前記組成物の総質量に対して1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満の還元剤若しくは酸化剤を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪等のケラチン繊維のための方法、特に美容方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪等のケラチン繊維の長期間持続する変形においては、第一に、好適な還元剤を含有する組成物を使用してケラチン(シスチン)のジスルフィド結合-S-S-を開裂し(還元段階)、次いで、こうして処置した毛髪を任意選択ですすぎ、第二に、事前に張力(カーラー等)下に置いたケラチン繊維上に酸化組成物を適用することによってジスルフィド結合を再構成し(酸化段階、固定化とも呼ばれる)、その結果、最終的にケラチン繊維に所望の形態を付与する。そのため、この技術は、ケラチン繊維のウェーブ化又はストレート化のいずれかを行うことを可能にする。
【0003】
フォーム、スタイリングジェル、又はラッカーの使用による一時的なスタイリングの単純な従来技術とは対照的に、上述した化学的処置によってケラチン繊維に与えられる新しい形状は、比較的長時間持続し、水又はシャンプーによる洗浄作用に対して著しく耐性がある。
【0004】
上記の化学的処置のための多くの組成物及び方法が提案されてきた。一般に、それらは、処置の日に良好な性能を提供する。
【0005】
しかしながら、消費者の又は美容師の期待の観点から好適ではないことがある上記の化学的処置の方法には、以下のような様々な欠点が存在する:
- 低いウェーブ強度等の不十分な再成形効率、
- 例えば組成物が毛髪からたれることによって引き起こされる、使い勝手の悪さ、
- 特に繰り返される適用における、又は酸化的着色等の別の化学的処置との組合せにおける、ケラチン繊維の高レベルの劣化、
- 長い処理時間、並びに
- 変形プロセスの間及び後の、アンモニア又は硫黄を含有している化合物の悪臭。
【0006】
とりわけ、十分な再成形効率、短い処理時間、及びケラチン繊維へのコンディショニング効果が重要である。まさに、ケラチン繊維の変形プロセスを改善させて、十分な再成形効率、例えばカールされたケラチン繊維の高いウェーブ強度並びにコンディショニング感触等の優れた毛髪コンディショニング効果を、相対的に短い時間のうちに付与する必要性がある。加えて、悪臭がない又は減じられている等の優れた使い勝手もまた望まれる。
【0007】
JP-A-2010-159254又はEP-A-2198737は、還元及び酸化を要する上記の従来の化学的処置とは異なる、ケラチン繊維を閉塞空間内に置いて加熱することを特徴とする、ケラチン繊維のパーマネント変形のための新規の方法を開示している。JP-A-2010-159254又はEP-A-2198737に開示されている新規の方法は、もはや酸化を必要とせずに、毛髪等のケラチン繊維の再成形を施すことができる。
【0008】
JP-A-2010-159254又はEP-A-2198737に開示されている方法は、ポリ塩化ビニリデンのフィルムを使用して閉塞空間を形成する。
【0009】
ポリ塩化ビニリデンの使用は環境に優しくないが、その理由は、ポリ塩化ビニリデンはリサイクルが難しく、焼却に供されるとHClガス等の有毒ガスを発生し得るからである。
【0010】
また、ポリ塩化ビニリデンフィルムは粘着性であり、したがって、手でポリ塩化ビニリデンフィルムを用いて閉塞空間を形成することは容易でないことが見出されている。
【0011】
閉塞空間内でのケラチン繊維の加熱に基づく、ケラチン繊維のための再成形方法を改善することが依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】JP-A-2010-159254
【特許文献2】EP-A-2198737
【特許文献3】欧州特許出願第0354835号
【特許文献4】欧州特許出願第0368763号
【特許文献5】欧州特許出願第0432000号
【特許文献6】欧州特許出願第0514282号
【特許文献7】仏国特許出願第2679448号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、環境に優しく、ケラチン繊維の再成形に更に良好な性能をもたらすことができる、閉塞空間内でのケラチン繊維の加熱に基づく、毛髪等のケラチン繊維を再成形するための改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の上記の目的は、毛髪等のケラチン繊維を再成形、好ましくはパーマネント再成形、より好ましくはパーマネントウェーブ化するための方法であって、
(1)
(a)アルキルアミノスルホン酸並びに以下の式(I)及び(II):
【0015】
【0016】
[式中、
- Rは、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状の、好ましくは直鎖状のC1~C5アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキサミド基、C6~C18芳香族基、複素環式基、-C(O)-OH、-S(O)2-OH、-C(O)-O-M+、-S(O)2-O-M+、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの基で任意選択により置換され、M+は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム等のカチオン性対イオンを表し、
- nは、0又は1である]のものから選択される少なくとも1種の化合物と、
(b)水と
を含む組成物をケラチン繊維上に適用し、ここで、
該組成物のpHが、8.0~12、好ましくは8.5~11.5、より好ましくは9.0~11.0である、工程、
(2)ケラチン繊維を閉塞空間内に置く工程、並びに
(3)閉塞空間内で、ケラチン繊維を、好ましくは50℃~250℃、より好ましくは60℃~200℃、更により好ましくは70℃~150℃で加熱し、
ここで、
閉塞空間が、高密度ポリエチレンを含む少なくとも1つの被覆手段によって形成される、工程
を含む、方法によって達成することができる。
【0017】
本発明による方法は、工程(3)の後に、ケラチン繊維の周りの被覆手段を除去する工程(4)を更に含んでもよい。
【0018】
被覆手段は、フィルムの形態でもシートの形態でもよい。
【0019】
本発明による方法は、工程(1)の前又は後に、好ましくはカーラー、ローラー、プレート及びアイロンからなる群から選択される少なくとも1つの再成形手段によってケラチン繊維に機械的張力を付与する工程を更に含んでもよい。
【0020】
本発明による方法は、工程(1)の後に、ケラチン繊維をすすぎ流す工程を更に含んでもよい。
【0021】
組成物のpHは、以下の平衡状態のpKaに等しいpHに対して±2以内であってもよい。
【0022】
【0023】
(a)化合物は、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸等のアルキルアミノスルホン酸;グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、フェニルアラニン、β-アラニン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、グルタミン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン及びチロシン等のアミノ酸;グリシルグリシン等の、アミノ酸のオリゴマー;タウリン等のアミノスルホン酸;並びにこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0024】
(a)化合物は、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸、グリシン、アラニン、タウリン、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0025】
組成物中の(a)化合物の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~25質量%、好ましくは3質量%~20質量%、より好ましくは5質量%~15質量%であってもよい。
【0026】
組成物中の(b)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%~95質量%、好ましくは60質量%~90質量%、より好ましくは70質量%~85質量%であってもよい。
【0027】
組成物は、(c)少なくとも1種のアルカリ剤、好ましくは無機アルカリ剤を更に含んでもよい。(c)アルカリ剤は、アルカリ金属水酸化物;及びアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属リン酸塩、及び/又はリン酸一水素塩からなる群から選択されてもよい。組成物中の(c)アルカリ剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%であってもよい。
【0028】
組成物は、アンモニア若しくはチオール化合物を一切含まなくてもよい、又は組成物の総質量に対して1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満のアンモニア若しくはチオール化合物を含む。
【0029】
組成物は、還元剤若しくは酸化剤を一切含まなくてもよい、又は組成物の総質量に対して1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満の還元剤若しくは酸化剤を含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】実施例1及び比較例1においてカールされた毛髪見本の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
鋭意検討の結果、本発明者らは、環境に優しく、ケラチン繊維の再成形に更に良好な性能をもたらすことができる、閉塞空間内でのケラチン繊維の加熱に基づく、毛髪等のケラチン繊維を再成形するための改善された方法を提供することが可能であることを発見した。
【0032】
本発明による方法は、環境に優しく、ケラチン繊維の再成形に更に良好な性能をもたらすことができる。
【0033】
本発明による方法は環境に優しいが、その理由は、高密度ポリエチレンが比較的容易にリサイクルでき、焼却に供されたときでもHClガス等の有毒ガスを発生しないからである。
【0034】
本発明による方法は、改善された使い勝手及び改善された再成形効率等、ケラチン繊維の再成形に更に良好な性能をもたらすことができる。
【0035】
本発明による方法は、改善された使い勝手をもたらすことができるが、その理由は、閉塞空間を形成する被覆手段が、ポリ塩化ビニリデンより粘着性の弱い高密度ポリエチレンを含むからである。
【0036】
ケラチン繊維に、低密度ポリエチレン(LDPE)等の別の熱可塑性樹脂を含む被覆手段の使用と比較して驚くほど改善された再成形効率を付与するために、高密度ポリエチレン(HDPE)を含む被覆手段を使用する本発明による方法を用いて、毛髪等のケラチン繊維を再成形又は変形させることができる。
【0037】
以下、本発明による方法を詳細に説明する。
【0038】
[方法]
本発明による方法は、毛髪等のケラチン繊維の再成形、好ましくはパーマネント再成形、より好ましくはパーマネントウェーブ化を意図する。
【0039】
そのため、本発明による方法は、好ましくは美容方法である。
【0040】
本発明による方法は、
(1)
(a)アルキルアミノスルホン酸並びに以下の式(I)及び(II):
【0041】
【0042】
[式中、
- Rは、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状の、好ましくは直鎖状のC1~C5アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキサミド基、C6~C18芳香族基、複素環式基、-C(O)-OH、-S(O)2-OH、-C(O)-O-M+、-S(O)2-O-M+、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの基で任意選択により置換され、M+は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム等のカチオン性対イオンを表し、
- nは、0又は1である]のものから選択される少なくとも1種の化合物と、
(b)水と
を含む組成物をケラチン繊維上に適用し、ここで、
該組成物のpHが、8.0~12、好ましくは8.5~11.5、より好ましくは9.0~11.0である、工程、
(2)ケラチン繊維を閉塞空間内に置く工程、並びに
(3)閉塞空間内で、ケラチン繊維を、好ましくは50℃~250℃、より好ましくは60℃~200℃、更により好ましくは70℃~150℃で加熱し、
ここで、
閉塞空間が、高密度ポリエチレンを含む少なくとも1つの被覆手段によって形成される、工程
を含む。
【0043】
{組成物}
本発明による方法に使用される組成物は、(a)アルキルアミノスルホン酸並びに以下の式(I)及び(II):
【0044】
【0045】
[式中、
- Rは、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状の、好ましくは直鎖状のC1~C5アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキサミド基、C6~C18芳香族基、複素環式基、-C(O)-OH、-S(O)2-OH、-C(O)-O-M+、-S(O)2-O-M+、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの基で任意選択により置換され、M+は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム等のカチオン性対イオンを表し、
- nは、0又は1である]のものから選択される少なくとも1種の化合物と、
(b)水と
を含み、ここで、
該組成物のpHは、8~12、好ましくは8.5~11.5、より好ましくは9.0~11.0である。
【0046】
上記の組成物は、特にケラチン繊維を再成形するための、化粧用組成物であることが好ましい。ケラチン繊維が毛髪であることが好ましい。
【0047】
(活性化合物)
本発明による方法に使用される組成物は、(a)アルキルアミノスルホン酸、並びに上記の式(I)及び(II)のものから選択される少なくとも1種の化合物を、本発明による方法のための活性成分として含む。2種以上の(a)化合物を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの(a)化合物、又は異なるタイプの(a)化合物の組合せが使用されてもよい。
【0048】
(a)化合物は、本発明による方法に使用される組成物中の、ケラチン繊維を再成形するための唯一の活性成分であってもよい。
【0049】
アルキルアミノスルホン酸は、好ましくは、イミノ基(-NH-)及びスルホン酸部分に結合している、C1~C20アルキル基、好ましくはC5~C16シクロアルキル基、より好ましくはC6~C12シクロアルキル基を有することができる。アルキルアミノスルホン酸は、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0050】
上記の式(I)及び(II)の(a)化合物は、それらの非イオン化形態の(I)若しくは(II)であってもよく、又はそれらのイオン化若しくはベタイン形態の(I')若しくは(II'):
【0051】
【0052】
[式中、
- Rは、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状の、好ましくは直鎖状のC1~C5アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキサミド基、C6~C18芳香族基、複素環式基、-C(O)-OH、-S(O)2-OH、-C(O)-O-M+、-S(O)2-O-M+、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの基で任意選択により置換され、M+は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム等のカチオン性対イオンを表し、
- nは、0又は1である]であってもよく、
組成物の総質量に対して8質量%以上の量であり得、
該組成物のpHは、8~12、好ましくは8.5~11.5、より好ましくは9.0~11.0である。
【0053】
C1~C5アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基及びペンチル基を挙げることができる。メチル基及びエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0054】
アミノ基としては、-NH2、スルホニルアミノ基等の-NH2を含む基、並びにヒドロキシアミノ基及びC1~C5アルキルアミノ基等の-NH-R'(式中、R'は、ヒドロキシル基又は上に挙げたC1~C5アルキル基を示す)を含む基を挙げることができる。用語「アミノ」基が、本明細書において、尿素基の一部を意味するのではないことが留意されるべきである。アミノ基として、-NH2が好ましい。
【0055】
C6~C18芳香族基としては、フェニル基等の一価のC6~C18アリール基、並びにヒドロキシフェニル基及びアミノフェニル基等の置換フェニル基、並びにトリル基等の一価のC7~C18アラルキル基を挙げることができる。
【0056】
複素環式基としては、一価の、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の複素環式基、例えば置換又は非置換のピロリル基、置換又は非置換のピロリジニル基、置換又は非置換のピリジル基、置換又は非置換のピペリドノ基、置換又は非置換のピペリジニル基、置換又は非置換のモルホリノ基、置換又は非置換のモルホリニル基、置換又は非置換のフリル基、及び置換又は非置換のインドリル基、例えば3-インドリル基を挙げることができる。
【0057】
上記の式(I)及び(II)の(a)化合物は、それぞれ、アミノ酸及びアミノスルホン酸に相当する。
【0058】
(a)化合物は、好ましくは「中性の」又は「酸性の」アミノ酸又はアミノスルホン酸から選択される。用語「中性の」は、pHが、室温(25℃)で、水中で、両端を含めて5から7の間であるアミノ酸又はアミノスルホン酸を意味すると意図される。用語「酸性の」は、pHが、室温で、水中で、6未満であるアミノ酸又はアミノスルホン酸を意味すると意図される。
【0059】
好ましくは、アミノ酸又はアミノスルホン酸は、酸基の数以下の数のアミノ基を含んでもよい。
【0060】
(a)化合物は、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸等のアルキルアミノスルホン酸;グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、フェニルアラニン、β-アラニン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、グルタミン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン及びチロシン等のアミノ酸;グリシルグリシン等の、アミノ酸のオリゴマー;タウリン等のアミノスルホン酸;並びにこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0061】
(a)化合物は、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸、グリシン、アラニン、タウリン、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0062】
本発明による方法に使用される組成物中の(a)化合物の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上であってよく、好ましくは3質量%以上であってよく、より好ましくは5質量%以上であってよい。
【0063】
本発明による方法に使用される組成物中の(a)化合物の量は、組成物の総質量に対して、25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってよい。
【0064】
本発明による方法に使用される組成物中の(a)化合物の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~25質量%、好ましくは3質量%~20質量%、より好ましくは5質量%~15質量%であってもよい。
【0065】
(水)
本発明による方法に使用される組成物は、(b)水を含む。
【0066】
本発明による方法に使用される組成物は、水性であってもよい。
【0067】
本発明による方法に使用される組成物中の(b)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であってもよい。
【0068】
本発明による方法に使用される組成物中の(b)水の量は、組成物の総質量に対して、95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下であってよい。
【0069】
本発明による方法に使用される組成物中の(b)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%~95質量%、好ましくは60質量%~90質量%、より好ましくは70質量%~85質量%であってもよい。
【0070】
(アルカリ剤)
本発明による方法に使用される組成物は、(c)少なくとも1種のアルカリ剤を含んでもよい。2種以上の(c)アルカリ剤を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプのアルカリ剤、又は異なるタイプのアルカリ剤の組合せを使用してもよい。
【0071】
(c)アルカリ剤は、(a)化合物とは異なる。
【0072】
(a)化合物が組成物のpHを下げるように機能できる場合には、本発明による方法に使用される組成物が(c)アルカリ剤を含むことが好ましい。
【0073】
(c)アルカリ剤は、無機アルカリ剤であってもよい。(c)アルカリ剤が不揮発性であることが好ましい。無機アルカリ剤が、アルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物;リン酸ナトリウム又はリン酸一水素ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩及びリン酸一水素塩からなる群から選択されることが好ましい。
【0074】
無機アルカリ金属水酸化物の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム及び水酸化カリウムを挙げることができる。アルカリ土類金属水酸化物の例としては、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムを挙げることができる。無機アルカリ剤として、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。
【0075】
(c)アルカリ剤は、有機アルカリ剤であってもよい。有機アルカリ剤が、塩基性アミノ酸、モノアミン及びジアミンからなる群から選択されることが好ましい。
【0076】
塩基性アミノ酸は、環の中に又はウレイド官能基の中に任意選択で含まれている追加のアミン官能基を含む。こうした塩基性アミノ酸は、好ましくは、以下の式(A):
【0077】
【0078】
(式中、Rは、以下:
【0079】
【0080】
から選択される基を示す)
に相当するものから選択されてもよい。
【0081】
式(A)に相当する化合物は、ヒスチジン、リジン、アルギニン、オルニチン及びシトルリンであってもよい。
【0082】
モノアミンの例としては、アルカノールアミン、例えば、1~3つのヒドロキシアルキル(C1~C4)基を含む、モノ-、ジ-及びトリ-エタノールアミンを挙げることができる。特に、アルカノールアミンは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、及びトリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタンから選択されてもよい。
【0083】
ジアミンは、以下の構造式(B):
【0084】
【0085】
(式中、Wは、ヒドロキシル又はC1~C4アルキル基により任意選択により置換されているプロピレン等のアルキレンを示し、Ra、Rb、Rc及びRdは、独立に、水素原子、アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示す)において記載されているものであってもよく、これは、1,3-プロパンジアミン及びその誘導体により例示することができる。
【0086】
(c)アルカリ剤は、その溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上の総量で使用され得る。
【0087】
(c)アルカリ剤は、その溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下の総量で使用され得る。
【0088】
(c)アルカリ剤は、その溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%の総量で使用することができる。
【0089】
(酸)
本発明による方法に使用される組成物は、(a)化合物とは異なる少なくとも1種の酸を含んでもよい。2種以上の酸を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの酸、又は異なるタイプの酸の組合せを使用してもよい。
【0090】
酸は、本発明による方法に使用される組成物のpHを調整するために使用されてもよい。
【0091】
(a)化合物が組成物のpHを上げるように機能できる場合には、本発明による方法に使用される組成物が酸を含むことが好ましい。
【0092】
酸としては、クエン酸、乳酸、硫酸、リン酸又は塩酸(HCl)等の、化粧料において一般に使用される任意の無機酸又は有機酸を挙げることができる。HClが好ましい。
【0093】
酸は、その溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上の総量で使用され得る。
【0094】
酸は、その溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下の総量で使用され得る。
【0095】
酸は、その溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.2質量%~10質量%、より好ましくは0.3質量%~5質量%の総量で使用することができる。
【0096】
(一価アルコール)
本発明による方法に使用される組成物は、少なくとも1種の一価アルコールを含むことができる。2種以上の一価アルコールを組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプのそのようなアルコール、又は異なるタイプの一価アルコールの組合せを使用することができる。
【0097】
一価アルコールは、好ましくは、大気圧(760mmHg又は105Pa)下、室温、例えば25℃で液体の形態である。液体の形態にある一価アルコールは、有機溶媒として、特に水溶性又は親水性有機溶媒として機能することができる。
【0098】
用語「一価アルコール」は、本明細書において、1つのヒドロキシ基を有するアルコールを意味する。
【0099】
一価アルコールは、非芳香族(脂肪族)であっても芳香族であってもよい。
【0100】
非芳香族一価アルコールは、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の低級脂肪族一価アルコール、より好ましくはC2~C6脂肪族一価アルコール、更により好ましくは飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC2~C5脂肪族一価アルコール、最も好ましくは飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC2~C4脂肪族一価アルコールである。好ましい非芳香族一価アルコールは、エタノール、イソプロパノール及びそれらの混合物である。
【0101】
芳香族一価アルコールは、好ましくは、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、ジフェニルエタノール、ケイ皮アルコール、トリプトフォール、3-ニトロベンジルアルコール、ベラトリルアルコール、ベンゾイン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0102】
一価アルコールは、脂肪族アルコール又は高級アルコールでないことが好ましい。
【0103】
一価アルコールは、低級脂肪族アルコール、芳香族アルコール、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、エタノール、ベンジルアルコール、及びそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0104】
本発明による方法に使用される組成物中の一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上であってよく、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよい。
【0105】
本発明による方法に使用される組成物中の一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってよい。
【0106】
本発明による方法に使用される組成物中の一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0107】
(他の任意選択の成分)
本発明による方法に使用される組成物はまた、特に油;固体脂肪物質、特にC8~C40エステル、C8~C40酸、及びC8~C40アルコール;増粘剤;日焼け止め剤;保湿剤;抗フケ剤;抗酸化剤;キレート剤;真珠光沢剤及び不透明化剤;可塑剤又はコアレッサ;フィラー;乳化剤;ポリマー、特にコンディショニングポリマー、例えばカチオン性ポリマー;香料;シラン;架橋剤;アニオン性、カチオン性、両性及び非イオン性の界面活性剤を含めた界面活性剤から選択される少なくとも1種の他の任意選択の成分も含み得る。組成物は、当然ながら、上記の列挙中に現れるいくつかの化粧用成分を含むことができる。
【0108】
それらの性質及び組成物の目的に応じて、上記の任意選択の成分は、当業者によって容易に決定されうる通常の量で、且つ各成分について0.01質量%から80質量%の間でありうる通常の量で存在することができる。当業者は、組成物中に含ませる成分、更にはそれらの量を、それらが本発明による方法に使用される組成物の特性を害さないように注意深く選ぶことになる。
【0109】
(pH)
本発明による方法に使用される組成物のpHは、25℃で測定されて8.0~12、好ましくは8.5~11.5、より好ましくは9.0~11.0である。
【0110】
そのため、本発明による方法に使用される組成物は、無水物ではない。
【0111】
本発明による方法に使用される組成物のpHが、以下の平衡状態のpKaに等しいpHに対して±2以内であることが好ましい。
【0112】
【0113】
(粘度)
本発明による方法に使用される組成物の粘度が800mPa・s以上、より好ましくは1,000mPa・s以上、更により好ましくは1,500mPa・s以上であることが好ましい。粘度は、回転粘度計(Vismetron VS-A1:ロータ番号3、12rpm、高、30秒)を用いて25℃で測定することができる。
【0114】
本発明による方法に使用される組成物の25℃での粘度が20,000mPa・s以下、より好ましくは15,000mPa・s以下、更により好ましくは10,000mPa・s以下であることもまた好ましい。
【0115】
本発明による方法において使用される組成物の25℃での粘度が800mPa・s~8,000mPa・s、より好ましくは1,000mPa・s~6,000mPa・s、更により好ましくは1,500mPa・s~4,000mPa・s、特に2,000mPa・s~3,000mPa・sであることが好ましいことがある。
【0116】
(アンモニア及びチオール化合物)
本発明による方法に使用される組成物が、アンモニア又はチオール化合物を含まないことが好ましい。用語「アンモニア又はチオール化合物を含まない」は、本発明による方法に使用される組成物が、実質的な量のアンモニア又はチオール化合物を含まないことを意味する。好ましくは、本発明による方法に使用される組成物は、1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更により好ましくは0.1質量%以下のアンモニア又はチオール化合物を含み、特に、アンモニア又はチオール化合物を含まない。
【0117】
アンモニア及び/又はチオール化合物がきわめて少量である又は存在しないために、本発明による方法に使用される組成物の使用中の悪臭を低減又は防止できる。
【0118】
チオール化合物は、本明細書では、少なくとも1つのチオール(-SH)基を有する化合物を意味する。
【0119】
チオール化合物は、還元剤であってもよい。チオール還元剤は、チオグリコール酸及びその誘導体、とりわけ、モノチオグリコール酸グリセロール又はモノチオグリコール酸グリコール等のそのエステル;チオ乳酸及びその誘導体、とりわけ、モノチオ乳酸グリセロール等のそのエステル;3-メルカプトプロピオン酸及びその誘導体、とりわけ、3-メルカプトプロピオン酸グリセロール及び3-メルカプトプロピオン酸エチレングリコール等のそのエステル;システアミン及びその誘導体、とりわけ、N-アセチルシステアミン及びN-プロピオニルシステアミン等のそのC1~C4アシル誘導体;モノチオグリセロール及びその誘導体、とりわけエステル;システイン及びその誘導体、とりわけ、N-アセチルシステイン、N-アルカノイルシステイン及びシステインアルキルエステル等のエステル;チオグリセリン及びその誘導体、とりわけs-アルキル誘導体、並びにそれらの塩からなる群から選択されてもよい。
【0120】
上記の塩としては、例えば、アンモニウム塩;第一級、第二級又は第三級アミン塩;アルカリ金属塩、及びアルカリ土類金属塩を挙げることができる。第一級、第二級又は第三級アミンとして、例えば、それぞれ、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン又はトリエタノールアミンを挙げることができる。
【0121】
チオール還元剤の他の例には、N-(メルカプト-2-エチル)グルコンアミド、β-メルカプトプロピオン酸、及びそれらの誘導体等の糖N-メルカプトアルキルアミド;欧州特許出願第0354835号に記載されているもの等のチオリンゴ酸;欧州特許出願第0368763号に記載されているもの等のパンテテイン;N-(メルカプトアルキル)ω-ヒドロキシアルキルアミド及びN-モノ-又はN,N-ジアルキルメルカプト4-ブチルアミド;欧州特許出願第0432000号に記載されているもの等のアミノメルカプトアルキルアミド及び欧州特許出願第0514282号に記載されているもの等のアルキルアミノメルカプトアルキルアミド;(2/3)ヒドロキシ-2プロピルチオグリコレート;並びに仏国特許出願第2679448号に記載されているヒドロキシ-2メチル-1エチルチオグリコレート系混合物(67/33)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
(還元剤及び酸化剤)
本発明による方法に使用される組成物は、還元剤を含んでもよいが、しかしながら、本発明による方法に使用される組成物が含む還元剤又は酸化剤が減じられた量であること、好ましくは還元剤又は酸化剤を含まないことが好ましい。
【0123】
用語「還元剤又は酸化剤を含まない」は、本発明による方法に使用される組成物が、実質的な量の還元剤又は酸化剤を含まないことを意味する。好ましくは、本発明による方法に使用される組成物は、1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更により好ましくは0.1質量%以下の還元剤又は酸化剤を含み、特に還元剤又は酸化剤を含まない。
【0124】
還元剤は、チオール還元剤又は非チオール還元剤であってよい。チオール還元剤は、上に記載したものである。
【0125】
非チオール還元剤は、本明細書では、チオール基を含まない還元剤を意味する。非チオール還元剤は、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、スルフィネート、ホスフィン、糖、リダクトン及び水素化物からなる群から選択されてもよい。非チオール還元剤は、亜硫酸アンモニウム及び亜硫酸水素アンモニウム、並びに金属の亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩、より好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩、より好ましくは亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムから選択されてもよい。
【0126】
酸化剤は、過酸化水素、アルカリ金属臭素酸塩、フェリシアン化物、過酸化塩、及び加水分解によって過酸化水素を生成することができる化合物から選択されてもよい。例えば、酸化剤は、過酸化水素水溶液、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩、並びに過ホウ酸塩及び過硫酸塩等の過酸塩から選択されてもよい。
【0127】
(形態)
本発明による方法に使用される組成物は、局所的用途に好適な任意の形態とすることができ、特に、水性、アルコール性若しくは水性-アルコール性の、又は油性の、溶液又は懸濁液の形態;ローション若しくはセラムタイプの溶液又は分散体の形態;O/W、W/O若しくは多重タイプの、特に液状若しくは半液状の稠度を有するエマルションの形態(本発明による方法に使用される組成物が少なくとも1種の油を含む場合);(O/W)若しくは(W/O)クリームタイプの、軟質な稠度を有する懸濁液又はエマルションの形態;水性ゲルの形態、又は他の任意の化粧品の形態であってもよい。
【0128】
本発明による方法に使用される組成物は、任意の生薬の形態であってもよい。例えば、本発明による方法に使用される組成物は、クリーム、ローション、マイクロ/ナノエマルション、スプレー、エアロゾル、シャンプー、コンディショナー、マスク、一般的な毛髪用トリートメントの形態であってもよい。
【0129】
{工程}
本発明による方法は、
(1)上述した組成物をケラチン繊維上に適用する工程と、
(2)ケラチン繊維を閉塞空間内に置く工程と、
(3)閉塞空間内で、ケラチン繊維を、好ましくは50℃~250℃、より好ましくは60℃~200℃、更により好ましくは70℃~150℃で加熱し、
ここで、
閉塞空間が、高密度ポリエチレンを含む少なくとも1つの被覆手段によって形成される、工程と
を含む。
【0130】
上記の工程(1)に従って、上で説明した組成物を、毛髪等のケラチン繊維上に適用する。組成物の適用は、ブラシ及び櫛等の任意の手段によって実施されうる。適用後のケラチン繊維は、必要であれば、ある一定の時間にわたり、そのままの状態で放置することが可能となり得る。
【0131】
上記の組成物は、乾燥しているケラチン繊維にも、濡れているケラチン繊維にも適用することができる。
【0132】
工程(1)の前又は後に、ケラチン繊維を再成形又は変形するために、ケラチン繊維を機械的張力に供してもよい。機械的張力は、ケラチン繊維を、意図した形状に再成形する又は変形するための任意の手段によってケラチン繊維に適用されうる。例えば、機械的張力は、カーラー、ローラー、プレート及びアイロンからなる群から選択される少なくとも1つの機械的張力付与手段により与えることができる。機械的張力付与手段は、少なくとも1つのヒーターを備えることができる。例えば、ケラチン繊維をカーラーの周りに巻き付ける場合、この巻上げは、ケラチン繊維の全長に対して、又は、ケラチン繊維の一部に対して、例えばケラチン繊維の半分の長さに対して実施されてよい。
【0133】
工程(1)の後、組成物をケラチン繊維から除去するために、ケラチン繊維をすすぎ流してもよい。すすぎの工程は、水を用いて実施してもよい。ケラチン繊維は、すすぎ流した後に乾燥されないことが好ましい。
【0134】
工程(1)の後、上記のすすぎの工程が存在しない場合、ケラチン繊維を濡らすために、水をケラチン繊維に与えてもよい。
【0135】
次に、上記の工程(2)に従って、ケラチン繊維を閉塞又は閉鎖空間内に置く。閉塞空間は、少なくとも1つの被覆手段によって形成されうる。例えば、被覆手段をケラチン繊維の周りに巻き付けて、ケラチン繊維の周りに閉塞空間又は閉鎖空間を形成する。複数の被覆手段が用いられてもよい。被覆手段は、剛性であっても屈曲性であってもよい。
【0136】
「閉塞空間」は、その中では熱が拡散できるが、その閉じられた構造の外へ熱を拡散できない又は熱を拡散するのが難しい、閉じられた構造を意味する。ケラチン繊維が毛髪である場合、被覆手段が頭上に閉塞空間を形成できることが好ましい。
【0137】
好ましい実施形態において、ケラチン繊維が毛髪である場合、被覆手段は、機械的張力付与手段として、各ヘアカーラー上に位置してもよい。言い換えると、2つ以上のヘアカーラーが使用される場合、それぞれのヘアカーラーは、被覆手段によって個別に被覆され得る。各ヘアカーラーを被覆することが有利であるが、その理由は、工程(1)でケラチン繊維上に適用された組成物が頭皮に漏れるのを防止できるからである。
【0138】
別の好ましい実施形態において、2つ以上のヘアカーラーが使用される場合、被覆手段は全てのヘアカーラーを被覆してもよい。言い換えると、ケラチン繊維が毛髪である場合、被覆手段が頭の全体を被覆してもよい。
【0139】
被覆手段は、フィルムの形態でもシートの形態でもよい。
【0140】
被覆手段は、少なくとも高密度ポリエチレン(HDPE)を含む。
【0141】
高密度ポリエチレンは、0.940以上、好ましくは0.941以上、より好ましくは0.942以上の密度を有する。高密度ポリエチレンは、0.970以下の密度を有してもよい。
【0142】
高密度ポリエチレンは、結晶質であるか、又は分枝が少ない線形化学構造を有することが好ましい場合がある。
【0143】
高密度ポリエチレンのJIS K 0064による融点は、120℃以上、より好ましくは125℃以上、更により好ましくは130℃以上であることが好ましい。高密度ポリエチレンのJIS K 0064による融点は、140℃以下であってもよい。
【0144】
高密度ポリエチレンは、好ましくはエチレンのホモポリマーであるが、エチレンと1-ブテン及び1-ヘキセン等の少なくとも1種のアルファ-オレフィンとのコポリマーであってもよい。
【0145】
高密度ポリエチレン(HDPE)は、低密度ポリエチレン(LDPE)より高い耐熱性を有することができる。したがって、高密度ポリエチレンを含む被覆手段は、ケラチン繊維を再成形するために好ましい、ケラチン繊維を高温で維持できる閉塞空間を形成することができる。
【0146】
高密度ポリエチレン(HDPE)は、低密度ポリエチレン(LDPE)より低い透湿性を有することができる。したがって、高密度ポリエチレンを含む被覆手段は、ケラチン繊維を再成形するために好ましい、ケラチン繊維をより濡れた状態で維持できる閉塞空間を形成することができる。
【0147】
被覆手段はまた、他の任意の追加の材料も含み得る。追加の材料は、限定されない。例えば、フィルムの形態でもシートの形態でもよい被覆手段はまた、HDPEに加えて、HDPE以外の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂、紙、織物、ボンネット、アルミホイル等の金属箔、等も含んでよい。
【0148】
被覆手段は、これがフィルム又はシートの形態である場合、1つのみの層を含む単一フィルム若しくはシート、又は複数の層を含む積層フィルム若しくはシートであってもよい。フィルム又はシートは、単一フィルム又はシートであり、積層フィルム又はシートではないことが好ましい場合がある。
【0149】
HDPEを含む単一フィルム又はシート、より好ましくはHDPEから本質的になる単一フィルム又はシートが被覆手段として使用されることが好ましい。したがって、1つのみの層を有する単一フィルム又はシートが、単一フィルム若しくはシートの唯一の樹脂材料として、又は単一フィルム若しくはシートの主要材料としてHDPEを含むことが好ましく、ここで、HDPEの量は、単一フィルム又はシートの総質量に対して、60質量%超、好ましくは70質量%超、より好ましくは80質量%超、更により好ましくは90質量%超である。
【0150】
フィルムの形態でもシートの形態でもよい被覆手段は、ケラチン繊維によって覆われた加熱用ロッド、加熱用バー又は加熱用プレート上のケラチン繊維上にセットされてもよい。
【0151】
被覆手段は、熱エネルギー源を備えていてもよい。したがって、例えば、ヒーターを備えたフィルム又はシートの形態の被覆手段が、ケラチン繊維によって覆われたロッド、バー又はプレート上のケラチン繊維上にセットされてもよい。
【0152】
閉塞空間は、ケラチン繊維に適用された上記の組成物中の水等の蒸発性成分の蒸発を制限することができ、したがって、ケラチン繊維の温度は、開放状態におけるケラチン繊維の従来の加熱プロセス又は装置によって得られうる温度より高く上昇させることができる。更に、ケラチン繊維は効率よく加熱することが可能であり、且つケラチン繊維は均等に加熱されることが可能である。
【0153】
本発明の一変形形態によれば、閉塞空間は開口部を備えていてもよく、その表面積は、被覆手段の総表面積の5%未満、好ましくは3%未満、より特定すれば0.5%未満である。この変形形態によれば、被覆手段の総表面積は、被覆手段のための開放手段(存在する場合)の表面積を含む。
【0154】
開口部は、通路、穴又は孔であってもよく、それは、特に、閉塞空間の内側で蒸気を形成する等の反応が大きすぎるときに、閉塞空間とその外部との間の空気の交換を可能にすることができる。一方で、当業者であれば、閉塞空間中での熱の拡散が損なわれないように開口部を形成することができる。
【0155】
好ましくは、本発明による方法は、ケラチン繊維が毛髪である場合、ゴムひも、伸長性バンド、又はストレッチによって、個人の頭上の被覆手段を締める追加の工程を含んでもよい。
【0156】
次に、上記の工程(3)に従って、ケラチン繊維を加熱する。加熱工程は、自由に制御されて加熱工程にとって望ましい温度を実現できる任意の加熱手段によって実施することができる。加熱手段は、加熱用ロッド、加熱用バー又は加熱用プレートの形態であってもよい。被覆手段がヒーターを備える場合、ヒーターは加熱手段として使用され得る。
【0157】
ケラチン繊維は、例えば、30°C超の温度に加熱することができる。ケラチン繊維を加熱する工程の間、ケラチン繊維は、50°C~250°C、好ましくは60°C~200°C、より好ましくは70°C~150°C、更により好ましくは80°C~100°Cで加熱してもよい。加熱工程は、ケラチン繊維を処置するのに必要である適当な時間にわたり実施されうる。加熱工程のための時間の長さは限定されないが、それは、1分~2時間、好ましくは5分~1時間、より好ましくは10分~40分であってもよい。
【0158】
この工程において、1つ又は複数の加熱手段を使用することによって温度を設定、調整及び管理することができ、坂口電熱株式会社(日本)から販売されている参照名MT-144のデジタル表面センサモジュール等の熱測定プローブをケラチン繊維上にセットして測定してもよい。通常、プローブは、単一ケラチン繊維上にセットすることができる。しかしながら、プローブを、閉塞空間と直接接触する部分のケラチン繊維上にセットすること、より好ましくは、プローブを、閉塞空間と直接接触する部分のケラチン繊維上にセットして、カーラーが使用される場合、ケラチン繊維のカール端を形成することが有利である。
【0159】
好ましくは、温度は、101,325Paの大気圧で測定する。
【0160】
本発明によれば、ケラチン繊維の温度は、ケラチン繊維が毛髪である場合、個人の頭全体にわたって±2℃又は3℃の変動で一定であり得、プローブは、いずれのタイプのケラチン繊維上にもセットすることができる。
【0161】
ケラチン繊維が毛髪である場合、本発明によれば、±2℃又は3℃の変動での一定温度は、いずれのタイプの毛髪でも得ることができ、毛髪の温度は、毛髪を特定の温度で加熱する間、一定±2℃又は3℃に制御することができる。こうして、髪型は毛髪の全体にわたり均一且つ均質になり、最終的に、更に優れた髪型を得ることができる。
【0162】
閉塞空間は、その中で上記の組成物中の水等の蒸発性成分がケラチン繊維から蒸発し、被覆手段の壁面に付着し、ケラチン繊維上に落ちることができる凝結ケージを形成し得る。このサイクルは、ケラチン繊維の加熱の間、繰り返されてもよい。こうして、ケラチン繊維を濡れた状態に保つことができ、ケラチン繊維の乾燥及び劣化が防止される。
【0163】
閉塞空間中のケラチン繊維を濡れた状態に保つことができ、ケラチン繊維の温度を一定に維持することができるため、閉塞空間の形成は本発明の重要な特性である。
【0164】
工程(3)の後に、ケラチン繊維の周りの被覆手段を除去してもよい。この工程は、工程(4)と称することができる。
【0165】
工程(3)の後(工程(4)が存在する場合、工程(4)の後)、ケラチン繊維をすすぎ、好ましくは乾燥してもよい。すすぎの工程は、水を用いて実施してもよい。
【0166】
本発明の方法によれば、毛髪等のケラチン繊維を再成形する又は変形するために、還元剤又は酸化剤は、全く又はほとんど使用しなくてもよい。したがって、従来の、ケラチン繊維の還元/酸化を必要とする、ケラチン繊維のための再成形する又は変形する方法に比べると、本発明の方法は、ケラチン繊維を再成形又は変形するために必要とされる時間を減らすことができる。
【0167】
更に、本発明による方法は、還元剤又は酸化剤を全く又はほとんど使用しなくてもよく、したがって、ケラチン繊維への損傷が、還元剤又は酸化剤の使用を必要とする従来の方法と比べて低減されうる。
【0168】
加えて、本発明による方法は、アンモニア又はチオール化合物を全く又はほとんど使用しなくてもよく、したがって、プロセス中の臭いが、アンモニア又はチオール化合物の使用を必要とする従来の方法と比べて低減されうる。
【実施例0169】
本発明は、実施例によって、より詳細に記載されることになる。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0170】
(実施例1及び比較例1)
表1に示す以下の組成物を、表1に示す成分を混合して調製した。表1に示す成分の量についての数値は全て、活性原料としての「質量%」に基づく。
【0171】
【0172】
(実施例1)
上記の組成物1gを、事前に直径2.0cmのパーマローラーに巻かれた日本人の毛髪見本(1g、27cm)に適用した。次いで、パーマローラー上の毛髪をHDPEフィルムで被覆し、デジタルパーマ機(株式会社大廣製作所、モデルODIS-2)に接続した。90℃で8分間の加熱プロセス後、毛髪をすすぎ、乾燥した。
【0173】
(比較例1)
上記の組成物1gを、事前に直径2.0cmのパーマローラーに巻かれた日本人の毛髪見本(1g、27cm)に適用した。次いで、パーマローラー上の毛髪をLDPEフィルムで被覆し、デジタルパーマ機(株式会社大廣製作所、モデルODIS-2)に接続した。90℃で8分間の加熱プロセス後、毛髪をすすぎ、乾燥した。
【0174】
評価
(カール数)
実施例1及び比較例1のそれぞれによる方法を2回実施した。毛髪見本のカール数を、目視観察によって計数した。カール数の平均を決定した。
【0175】
結果を表2に示す。
【0176】
(長さ)
実施例1及び比較例1のそれぞれによる方法を2回実施した。毛髪見本の長さを測定した。毛髪見本の長さの平均を決定した。
【0177】
結果を表2に示す。
【0178】
(カール効率)
実施例1及び比較例1のそれぞれによる方法を2回実施した。カール効率を、次式:(カーリング前の毛髪見本の長さ-カーリング後の毛髪見本の長さ)/カーリング前の毛髪見本の長さ、によって算出した。毛髪見本の上部1cmは、毛髪見本をプレート上に固定するために使用したため、カーリング前の毛髪見本の長さは26cmだったことに留意すべきである。
【0179】
カール効率の平均を決定した。
【0180】
結果を表2に示す。
【0181】
【0182】
実施例1及び比較例1においてカールされた毛髪見本の写真を
図1に示す。
【0183】
表2及び
図1によれば、実施例1でカールした毛髪見本が、比較例1でカールした毛髪見本より強いカールを有していたことは明らかである。
【0184】
上記のカーリングの差は、実施例1におけるHDPE(高密度ポリエチレン)から作製された被覆手段の使用か又は比較例1におけるLDPE(低密度ポリエチレン)から作製された被覆手段の使用かに起因し得る。
【0185】
上記の実験データは、高密度ポリエチレン(HDPE)を含む被覆手段の使用が、低密度ポリエチレン(LDPE)等の別の熱可塑性樹脂を含む被覆手段の使用と比較して、ケラチン繊維に、驚くほど改善された再成形効率を付与することができることを実証している。