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  • 特開-間仕切り用のパネル材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070130
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】間仕切り用のパネル材
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
E04B2/74 541N
E04B2/74 511L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180539
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000184621
【氏名又は名称】小松ウオール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090712
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 忠秋
(74)【代理人】
【識別番号】100176359
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 光代
(72)【発明者】
【氏名】若林 恵里佳
(72)【発明者】
【氏名】太田 梢
(57)【要約】
【課題】両面または片面の各全面に掲示板機能を保有させる。
【解決手段】ペーパハニカムの芯材11と、芯材11の少なくとも片面に裏打ち材12を介して積層する表面材13と、芯材11、裏打ち材12、表面材13に共通の縁材15、15、16、16とを設ける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペーパハニカムの芯材と、該芯材の少なくとも片面に裏打ち材を介して積層するパンチング鋼板の表面材と、前記芯材、裏打ち材、表面材に共通の縁材とを備えてなり、前記裏打ち材は、前記表面材の孔を介して画鋲を刺し通して支持可能であり、前記縁材は、長方形の枠状に形成するとともに、相対向する2辺について断面略ハット状にして外向きの凹溝を外周面に形成し、他の2辺について断面チャンネル状にして外周面を平面状に形成することを特徴とする間仕切り用のパネル材。
【請求項2】
ペーパハニカムの芯材と、該芯材の少なくとも片面に裏打ち材を介して積層するパンチング鋼板の表面材と、前記芯材、裏打ち材、表面材に共通の縁材とを備えてなり、前記裏打ち材は、前記表面材の孔を介して画鋲を刺し通して支持可能であり、前記縁材は、長方形の枠状に形成するとともに、全辺について断面チャンネル状にして外周面を平面状に形成することを特徴とする間仕切り用のパネル材。
【請求項3】
前記裏打ち材は、木質材料とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の間仕切り用のパネル材。
【請求項4】
前記縁材は、断面チャンネル状の補強材と組み合わせることを特徴とする請求項3記載の間仕切り用のパネル材。
【請求項5】
前記縁材は、前記裏打ち材を介して位置決めすることを特徴とする請求項4記載の間仕切り用のパネル材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、片面または両面の各全面に掲示板機能を保有する間仕切り用のパネル材に関する。
【背景技術】
【0002】
画鋲により掲示物を固定するピンナップ機能、磁石片により掲示物を固定するマグネット機能の掲示板機能を併せ保有する掲示板が知られている(たとえば特許文献1)。
【0003】
従来の掲示板は、パーチクルボードからなる芯材の片面に対し、軟質合成樹脂シート材のピン支持材を介してパンチング鋼板の表面材を積層して構成され、芯材、ピン支持材、表面材の周囲には、外周面が断面円弧状に膨出する共通の周枠が装着されている。そこで、表面材の孔を介して画鋲をピン支持材に刺し通して支持させれば、画鋲によるピンナップ機能を実現することができ、磁石片を表面材に吸着させれば、磁石片によるマグネット機能を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3035249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来技術によるときは、掲示板は、壁面などに掛けるようにして使用することが想定されているため、掲示面が片面に限定されており、大面積の掲示面の要求に応じることが必ずしも容易でないという問題があった。なお、近年の学校施設では、教室等の室内空間を仕切るために間仕切り装置が導入され、しかも児童生徒の作品等の展示や掲示のために、大面積の掲示面が必要とされることが少なくない。
【0006】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、片面または両面の各全面に掲示板機能を保有させることによって、近年の学校施設における要請等にも容易に応えることができる間仕切り用のパネル材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための請求項1の発明の構成は、ペーパハニカムの芯材と、芯材の少なくとも片面に裏打ち材を介して積層するパンチング鋼板の表面材と、芯材、裏打ち材、表面材に共通の縁材とを備えてなり、裏打ち材は、表面材の孔を介して画鋲を刺し通して支持可能であり、縁材は、長方形の枠状に形成するとともに、相対向する2辺について断面略ハット状にして外向きの凹溝を外周面に形成し、他の2辺について断面チャンネル状にして外周面を平面状に形成することをその要旨とする。
【0008】
請求項2の発明の構成は、ペーパハニカムの芯材と、芯材の少なくとも片面に裏打ち材を介して積層するパンチング鋼板の表面材と、芯材、裏打ち材、表面材に共通の縁材とを備えてなり、裏打ち材は、表面材の孔を介して画鋲を刺し通して支持可能であり、縁材は、長方形の枠状に形成するとともに、全辺について断面チャンネル状にして外周面を平面状に形成することをその要旨とする。
【0009】
なお、裏打ち材は、木質材料とすることができる。
【0010】
また、縁材は、断面チャンネル状の補強材と組み合わせてもよく、裏打ち材を介して位置決めしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
かかる請求項1、2の発明によるときは、芯材の片面または両面に積層する裏打ち材、表面材は、画鋲によるピンナップ機能、磁石片によるマグネット機能の他、セロファンテープなどの圧着テープにより掲示物を固定するテープ貼り機能の掲示板機能を片面または両面の各全面について保有させることができる。
【0012】
なお、芯材は、段ボールの中芯原紙を波形に連続成型積層して形成するドア、間仕切り、フラッシュパネルなどのサンドイッチ構造用の中芯材であって、たとえばセルサイズ10.5mm、圧縮強さ2.1kgf/cm2、密度33kg/m3 、厚さ30mm程度のものが好適である。裏打ち材は、たとえばラワンなどの普通合板(せん断強さ0.7MPa、厚さ4mm程度)や、ベニヤ裏打ち形のストランドボード、パーチクルボード、MDFなどの木質材料の他、発泡スチロールなどの合成樹脂板や段ボール板など、手指で画鋲のピンを刺し通して支持し得る任意の板材が使用可能である。
【0013】
表面材は、厚さ0.5~0.6mm程度のパンチング鋼板であって、たとえば孔径3~10mmの丸孔を開孔率5~15%程度にして全面に形成し、適切に塗装仕上げする。孔径や開孔率が大き過ぎると、圧着テープの接着力や磁石片の吸着力を損うおそれがあり、孔径や開孔率が小さ過ぎると、画鋲による掲示物の固定の際の作業性が悪くなるおそれがある。なお、パンチング鋼板の孔は、丸孔以外の角孔、十字孔などの任意の形状であってもよく、2種以上の孔を混在させてもよく、配列形式も任意でよい。
【0014】
断面略ハット状の縁材は、外周面に外向きの凹溝を形成することができる。そこで、断面略ハット状の縁材をパネル材の上下の2辺に配置すれば、たとえば上下の凹溝に天井側の上レール、床側の下レールをそれぞれ係合させてパネル材を安定に立設することができ、パネル材の左右の2辺に配置すれば、たとえば各辺の凹溝と、隣接する他のパネル材の凹溝との間に共通の支柱を収納することにより、パネル材を横一列に連結して立設することができる。
【0015】
断面チャンネル状の縁材は、外周面を平面状に形成するとともに、各フランジにより適切な見付寸法を実現して端正な外観とすることができる。なお、断面略ハット状の縁材は、ハット形の左右の外フランジの各先端をハット方向に90°に折り曲げて補助フランジを形成し、断面チャンネル状の縁材と同等の見付寸法を実現することができる。
【0016】
木質材料の裏打ち材は、画鋲のピンの刺し通し易さや支持性に優れている上、軽量で適切な鋼性を実現し易いなどの利点がある。
【0017】
縁材は、断面チャンネル状の補強材と組み合わせ、たとえば縁材と補強材との間に裏打ち材の周端縁部を挟み込むことにより、裏打ち材を介して見込方向に確実に位置決めするとともに、パネル材の周縁部を適正に仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】全体模式正面図
図2】要部拡大断面説明図
図3】使用状態を示す要部拡大縦断面図
図4】使用状態を示す要部拡大横断面図
図5】他の実施の形態を示す図2相当図
図6】他の実施の形態を示す図3相当図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0020】
間仕切り用のパネル材10は、芯材11の両面にそれぞれ裏打ち材12を介して表面材13を積層し、上下左右の各辺に縁材15、15、16、16を装着してなる(図1図2)。なお、縁材15、15、16、16は、全体として長方形の枠状に形成されている。ただし、図2(A)、(B)は、それぞれ図1のX1 -X1 、X2 -X2 矢視相当要部拡大断面図であり、図2(C)、(D)は、それぞれ図1のY1 -Y1 、Y2 -Y2 矢視相当要部拡大断面図である。
【0021】
芯材11は、ペーパハニカムであり、裏打ち材12は、たとえばラワン普通合板であり、表面材13は、パンチング鋼板である。表面材13には、円形の孔13a、13a…が全面に亘って45°千鳥に配列して形成されており、孔13aの孔径は、たとえば5mmであり、ピッチa=b=20mm、c=d=10mm、開孔率9.8%に設定されている。表面材13の各周端縁部は、裏打ち材12の周端面に沿って内向きに折り曲げられている。
【0022】
左右2辺の縁材16、16は、それぞれ断面チャンネル状に形成され(図2(A)、(B))、断面チャンネル状の内向きの補強材16aとともに、止めねじ16bを介して芯材11、裏打ち材12、12、表面材13、13に共通に装着されている。補強材16aの各フランジは、芯材11と各裏打ち材12との間に差し込まれており、縁材16の各フランジは、各表面材13の周端縁部を覆い、所定の見付寸法を実現するとともに、外周面を平面状に形成している。なお、補強材16aの幅方向の外寸は、芯材11の厚さに一致している。また、縁材16は、補強材16aとの間に各裏打ち材12の周端縁部を表面材13とともに挟み込むことにより、裏打ち材12、12を介して位置決めされ、見込方向に拘束されている。
【0023】
上下2辺の縁材15、15は、それぞれ断面略ハット状に形成され(図2(C)、(D))、断面チャンネル状の外向きの補強材15aとともに、止めねじ15bを介して芯材11、裏打ち材12、12、表面材13、13に共通に、裏打ち材12、12の間に埋め込むようにして装着されている。縁材15は、左右の外フランジ15c、15cの各先端をハット方向に90°に折り曲げて補助フランジ15d、15dを形成し、各補助フランジ15dを介して縁材16と同等の見付寸法を実現するとともに、外周面に外向きの凹溝15eを形成している。なお、補強材15aの各フランジの先端は、裏打ち材12の周端に一致している。また、補強材15aの幅方向の外寸は、芯材11の厚さに一致しており、各フランジの高さは、縁材15のハット部の高さに適合している。縁材15は、各補助フランジ15dと補強材15aとの間に裏打ち材12の周端縁部を表面材13とともに挟み込むことにより、裏打ち材12、12を介して見込方向に位置決めされている。
【0024】
パネル材10は、床F側の下レール21、天井側の横材23aに付設する上レール23を介して床F上に立設することができる(図3)。下レール21、上レール23は、それぞれ下の縁材15、上の縁材15の凹溝15eに係合させている。また、下レール21は、アンカボルト21aを介して床Fに固定されている。下レール21には、アジャスタ22が収納されており、パネル材10は、アジャスタ22のアジャスタボルト22aを介して高さ調節することができる。
【0025】
床F上に立設したパネル材10は、それ自体間仕切りとして使用することができる。また、パネル材10は、両面の各全面について、表面材13、裏打ち材12を介し、ピンナップ機能、マグネット機能、テープ貼り機能による掲示板機能を発揮することができ、任意の掲示物の展示、掲示の用途に使用することができる。
【他の実施の形態】
【0026】
パネル材10は、断面略ハット状の縁材15を左右2辺に装着し、断面チャンネル状の縁材16を上下2辺に装着することができる。このときのパネル材10は、断面長方形の共通の支柱24を介して、隣接する同形式の他のパネル材10と横一列に連結して立設することができる(図4)。すなわち、一方のパネル材10の縁材15の凹溝15eに支柱24の約半分を係合させ、他のパネル材10の縁材15の凹溝15eに支柱24の他方の約半分を係合させればよく、支柱24の両面には、所定の目地24a、24aを形成することができる。
【0027】
そこで、縁材15、15は、パネル材10の相対向する2辺に装着することができ、縁材16、16は、他の2辺に装着することができる(図3図4)。
【0028】
パネル材10は、芯材11の片面に裏打ち材12を介して表面材13を積層し(図5)、片面形に形成することができる。ただし、図5(A)~(D)は、それぞれ図2(A)~(D)相当図である。
【0029】
パネル材10の他方の片面には、たとえば厚さ0.5~0.6mm程度の鋼板またはパンチング鋼板の裏面材14が装着されている。裏面材14の周端縁部は、表面材13の周端縁部と対称形に内向きに折り曲げられている。
【0030】
縁材16側の内向きの補強材16aは、一方のフランジが芯材11と裏面材14との間に差し込まれ(図5(A)、(B))、他方のフランジが芯材11と裏打ち材12との間に差し込まれている。また、縁材15側の外向きの補強材15aは、一方のフランジが裏面材14の裏面に接し(図5(C)、(D))、他方のフランジが縁材15のハット部と裏打ち材12とに挟まれている。なお、縁材15、補強材15aを固定する止めねじ15bは、芯材11の厚さ方向の中心、すなわち、補強材15aの中心に位置しているが、パネル材10、縁材15の中心から偏移している。縁材16、15は、それぞれ補強材16a、15aと組み合わせることにより、裏打ち材12を介して見込方向に位置決めされている。
【0031】
片面形のパネル材10は、上下2辺に縁材15、15を装着することにより、図3の両面形のパネル材10と同様に、アジャスタ22を内装する下レール21と、上レール23とを介して立設することができる(図6)。また、片面側のパネル材10は、左右2辺に縁材15、15を装着することにより、図4の両面形のパネル材10、10と同様に、支柱24を介して横一列に連結して立設することができる(図示省略)。
【0032】
なお、両面形または片面形のパネル材10は、全辺について断面チャンネル状の縁材16を装着することにより、たとえば吊下げ形式、衝立形式などの単独使用目的に便利に適用することができる。また、パネル材10は、全辺について断面略ハット状の縁材15を装着してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
この発明は、間仕切り用のパネル材でありながら、両面または片面の各全面に掲示板機能を保有するから、たとえば学校施設などのように、大面積の掲示面を要求される用途に対して殊に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
10…パネル材
11…芯材
12…裏打ち材
13…表面材
13a…孔
15、16…縁材
15a、16a…補強材
15e…凹溝

特許出願人 小松ウオール工業株式会社
図1
図2
図3
図4
図5
図6