(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070132
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240515BHJP
G03G 21/20 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G03G21/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180544
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貞治
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA24
2H033BA11
2H033BA30
2H033BA31
2H033BA32
2H033BB01
2H033BB18
2H033BB28
2H033BB33
2H033BB34
2H033CA07
2H033CA22
2H033CA30
2H033CA37
2H033CA45
2H270KA35
2H270LA25
2H270LC14
2H270LD01
2H270LD08
2H270LD14
2H270MA35
2H270MB25
2H270MB27
2H270MC44
2H270MC55
2H270MD12
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
(57)【要約】
【課題】定着器のオーバーシュートの発生を抑制した画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、プロセス部と、定着器と、制御部と、を備えている。定着器は、シートを加熱する加熱回転体と、加圧回転体と、加熱回転体を加熱するヒータとを有している。制御部は、先行して定着器に搬送されるシートである第1シートと、第1シートの次に定着器に搬送されるシートである第2シートとの間隔が所定距離よりも大きい場合、第1シートの後端がニップを通過する(S23:YES)前に、ヒータの出力を低下させる(S22)。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに現像剤像を形成するプロセス部と、
シートを加熱する加熱回転体と、前記加熱回転体との間でニップを形成する加圧回転体と、前記加熱回転体を加熱するヒータとを有し、シートに形成された現像剤像をシートに定着させる定着器と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記定着器によりシートに現像剤像を定着させるとき、前記加熱回転体の目標温度がシートに現像剤像を定着可能な定着温度となるように、前記ヒータの出力を制御し、
先行して前記定着器に搬送されるシートである第1シートと、前記第1シートの次に前記定着器に搬送されるシートである第2シートとの間隔である搬送間隔が所定距離よりも大きい場合、前記第1シートの後端が前記ニップを通過する前に、前記ヒータの出力を低下させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1シートの後端が前記ニップを通過した後、前記加熱回転体の回転を停止させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プロセス部及び前記定着器を経由して、シートを搬送方向に搬送する搬送部と、
前記定着器を通過した後のシートを、前記搬送方向とは逆方向に搬送して前記シートの表裏を反転させて、再び前記プロセス部に搬送する再搬送部と、
を更に備え、
前記制御部は、
前記プロセス部により一方の面に現像剤像が形成された前記第1シートに、前記定着器により現像剤像を定着させた後、前記再搬送部により搬送された前記第1シートを前記第2シートとして、前記プロセス部により前記一方の面とは異なる他方の面に現像剤像を形成して、前記定着器により前記第2シートに現像剤像を定着させる場合、前記第1シートの後端が前記ニップを通過する前に、前記ヒータの出力を低下させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
シートへの画像形成に関する設定を受け付ける受付部を更に備え、
前記制御部は、
前記受付部によりシートの両面に画像形成を行う設定を受け付けた場合、前記搬送間隔が前記所定距離よりも大きいと判定することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記再搬送部に設けられ、前記定着器よりも前記搬送方向の下流にシートを搬送すると共に、前記搬送方向とは逆方向にシートを搬送する再搬送ローラと、
前記再搬送ローラ及び前記加熱回転体を駆動するモータと、
前記モータと前記加熱回転体との駆動力伝達経路に設けられ、前記モータが正転駆動するときに前記モータの駆動力を前記加熱回転体に伝達し、前記モータが逆転駆動するときには前記モータの駆動力を前記加熱回転体に伝達しないワンウェイクラッチと、
を更に備え、
前記制御部は、
前記再搬送ローラによりシートを前記搬送方向に搬送するときに前記モータを正転駆動させる一方、シートを前記搬送方向とは逆方向に搬送するときに前記モータを逆転駆動させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記モータを前記逆転駆動から前記正転駆動に戻した後に、前記加熱回転体の前記目標温度が前記定着温度となるように、前記ヒータの出力を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1シートが前記ニップを進行中において、前記ニップから前記第1シートの後端までの距離が、前記加熱回転体の周方向の1周分の長さ以下となるタイミングで、前記ヒータの出力を低下させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記定着器よりもシートの搬送方向の上流側に配置され、シートを検知するシートセンサを更に備え、
前記制御部は、
前記シートセンサにより、前記第1シートの後端が検知されてから、前記第2シートの前端が検知されるまでの時間に基づいて、前記搬送間隔を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真式の画像形成装置では、シートの後端が定着器のニップを通過する前に、定着器のヒータをオフするものがある。例えば、特許文献1の画像形成装置では、一連のジョブにおける最終のシート状媒体の後端が定着位置を通過する前にヒータをOFFにすることで、定着装置の温度が目標温度を超える、所謂オーバーシュートを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、先行して定着器に搬送されるシートと、後続のシートとの搬送方向の間隔が大きい場合には、定着器からの熱を奪うシートがなくなるため、定着器のオーバーシュートが発生するおそれがあるという課題がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、定着器のオーバーシュートの発生を抑制した画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の画像形成装置は、シートに現像剤像を形成するプロセス部と、シートを加熱する加熱回転体と、前記加熱回転体との間でニップを形成する加圧回転体と、前記加熱回転体を加熱するヒータとを有し、シートに形成された現像剤像をシートに定着させる定着器と、制御部と、を備えている。前記制御部は、前記定着器によりシートに現像剤像を定着させるとき、前記加熱回転体の目標温度がシートに現像剤像を定着可能な定着温度となるように、前記ヒータの出力を制御し、先行して前記定着器に搬送されるシートである第1シートと、前記第1シートの次に前記定着器に搬送されるシートである第2シートとの間隔である搬送間隔が所定距離よりも大きい場合、前記第1シートの後端が前記ニップを通過する前に、前記ヒータの出力を低下させる。
【0007】
上記構成の画像形成装置によれば、第1シートと第2シートとの搬送間隔が所定距離よりも大きい場合、第1シートの後端がニップを通過する前に、ヒータへの通電の出力が低下するので、加熱回転体が過剰に加熱されるオーバーシュートの発生を抑制できる。
【0008】
本開示の画像形成装置では、前記制御部は、前記第1シートの後端が前記ニップを通過した後、前記加熱回転体の回転を停止さてもよい。
【0009】
上記構成の画像形成装置によれば、第1シートの後端がニップを通過後、加熱回転体の回転が停止されるので、消費電力を削減することができる。
【0010】
本開示の画像形成装置は、前記プロセス部及び前記定着器を経由して、シートを搬送方向に搬送する搬送部と、前記定着器を通過した後のシートを、前記搬送方向とは逆方向に搬送して前記シートの表裏を反転させて、再び前記プロセス部に搬送する再搬送部と、を更に備えている。前記制御部は、前記プロセス部により一方の面に現像剤像が形成された前記第1シートに、前記定着器により現像剤像を定着させた後、前記再搬送部により搬送された前記第1シートを前記第2シートとして、前記プロセス部により前記一方の面とは異なる他方の面に現像剤像を形成して、前記定着器により前記第2シートに現像剤像を定着させる場合、前記第1シートの後端が前記ニップを通過する前に、前記ヒータの出力を低下させてもよい。
【0011】
上記構成の画像形成装置によれば、シートの両面に画像形成を行う装置構成においては、一方の面に現像剤像が形成された第1シートと、他方の面に現像剤像が形成された第2シートとの間の搬送間隔が所定距離よりも大きくなる。この場合、制御部により、第1シートの後端がニップを通過する前に、ヒータへの通電の出力を低下させることにより、定着器のオーバーシュートの発生を抑制することができる。
【0012】
本開示の画像形成装置は、シートへの画像形成に関する設定を受け付ける受付部を更に備えている。前記制御部は、前記受付部によりシートの両面に画像形成を行う設定を受け付けた場合、前記搬送間隔が前記所定距離よりも大きいと判定してもよい。
【0013】
上記構成の画像形成装置によれば、受付部により両面印刷の設定を受け付けた場合には、第1シートと第2シートとの搬送間隔が所定距離よりも大きくなるため、制御部により第1シートの後端がニップを通過する前にヒータへの通電の出力を低下させる。これにより、定着器のオーバーシュートの発生を抑制することができる。
【0014】
本開示の画像形成装置は、前記再搬送部に設けられ、前記定着器よりも前記搬送方向の下流にシートを搬送すると共に、前記搬送方向とは逆方向にシートを搬送する再搬送ローラと、前記再搬送ローラ及び前記加熱回転体を駆動するモータと、前記モータと前記加熱回転体との駆動力伝達経路に設けられ、前記モータが正転駆動するときに前記モータの駆動力を前記加熱回転体に伝達し、前記モータが逆転駆動するときには前記モータの駆動力を前記加熱回転体に伝達しないワンウェイクラッチと、を更に備えている。前記制御部は、前記再搬送ローラによりシートを前記搬送方向に搬送するときに前記モータを正転駆動させる一方、シートを前記搬送方向とは逆方向に搬送するときに前記モータを逆転駆動させてもよい。
【0015】
上記構成の画像形成装置によれば、1つのモータで、再搬送ローラ及び加熱回転体を駆動することができる。また、モータと加熱回転体との駆動力伝達経路にワンウェイクラッチを設けることにより、加熱回転体の逆回転を防止できる。更に、シートの再搬送時に加熱回転体が停止するので、省電力化を図ることができる。
【0016】
本開示の画像形成装置は、前記制御部は、前記モータを前記逆転駆動から前記正転駆動に戻した後に、前記加熱回転体の前記目標温度が前記定着温度となるように、前記ヒータの出力を制御してもよい。
【0017】
上記構成の画像形成装置によれば、プロセス部にシートを再搬送する際に、加熱回転体の目標温度を定着温度に戻すことにより、後続するシートのために定着器の温度を適切な温度に復帰させることができる。また、加熱回転体の回転が開始されているので、加熱回転体の目標温度を復帰させても、オーバーシュートの発生を抑制することができる。
【0018】
本開示の画像形成装置は、前記制御部は、前記第1シートが前記ニップを進行中において、前記ニップから前記第1シートの後端までの距離が、前記加熱回転体の周方向の1周分の長さ以下となるタイミングで、前記ヒータの出力を低下させる構成としてもよい。
【0019】
上記構成の画像形成装置によれば、第1シートの後端がニップを通過する前に、ヒータへの通電の出力を低下させても、加熱回転体の1周分の蓄熱があるため、定着器による定着強度を確保することができる。
【0020】
本開示の画像形成装置は、前記定着器よりもシートの搬送方向の上流側に配置され、シートを検知するシートセンサを更に備え、前記制御部は、前記シートセンサにより、前記第1シートの後端が検知されてから、前記第2シートの前端が検知されるまでの時間に基づいて、前記搬送間隔を算出する構成としてもよい。
【0021】
上記した構成の画像形成装置によれば、シートセンサの検知結果を用いることで、第1シートと第2シートとの間隔である搬送間隔をより正確に算出できる。これにより、ヒータへの通電の出力を低下させるか否かの判定をより正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本開示の一態様によれば、定着器のオーバーシュートの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示の実施形態1に係る画像形成装置の内部構成の一例を示す概略図である。
【
図2】実施形態1に係る画像形成装置の駆動機構を示す図である。
【
図3】実施形態1に係る画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態1に係る画像形成装置による制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図4のヒータ早切り処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態1に係る画像形成装置の各部の動作に関するタイミングチャートである。
【
図7】第1シートの後端がシートセンサを通過した時点の様子を示す模式図である。
【
図8】第2シートの前端がシートセンサを通過した時点の様子を示す模式図である。
【
図9】実施形態2に係る画像形成装置による制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図9のヒータ早切り処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態2に係る画像形成装置の各部の動作に関するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施形態1における画像形成装置1について、
図1~
図8を参照して説明する。
【0025】
[画像形成装置の概略構成]
図1は、実施形態1に係る画像形成装置1の内部構成の一例を示す概略図である。画像形成装置1は、例えばカラーレーザプリンタであり、
図1に示すように、筐体2内に、給送トレイ21と、排出トレイ22と、搬送部3と、プロセス部4と、定着器8と、再搬送部9とを備えている。なお、説明の便宜上、
図1の矢印に示されるように、画像形成装置1の上下方向、及び前後方向を定義する。
【0026】
給送トレイ21は、筐体2の下部に着脱可能に装着され、シートPを支持する。排出トレイ22は、筐体2の上部に設けられ、プロセス部4により現像剤像が形成されたシートPを支持する。シートPは、例えばA4サイズの普通紙である。
【0027】
画像形成装置1には、シートPを搬送するための搬送路R1が設けられている。搬送路R1は、給送トレイ21から、プロセス部4及び定着器8を経由し、排出トレイ22へ至る経路である。
【0028】
搬送部3は、給送ローラ31と、分離ローラ32と、搬送ローラ33と、レジストレーションローラ34と、搬送ローラ35とを有している。搬送部3は、プロセス部4及び定着器8を経由して、搬送路R1に沿ってシートSを搬送方向に搬送する。搬送部3は、搬送モータ106(
図2参照)により駆動される。
【0029】
給送ローラ31は、給送トレイ21に設けられ、給送トレイ21内に収容されたシートPを1枚ずつピックアップする。分離ローラ32は、給送ローラ31によりピックアップされたシートPを1枚ずつ分離して搬送路R1に供給する。
【0030】
搬送ローラ33は、搬送路R1に供給されたシートPをレジストレーションローラ34側へ搬送する。レジストレーションローラ34は、回転を停止してシートPの先端の方向を揃えた後、シートPをプロセス部4へ搬送する。搬送ローラ35は、定着器8よりも搬送方向の下流側に設けられ、シートSを排出トレイ22側へ搬送する。
【0031】
搬送路Rにおいてレジストレーションローラ34と感光体ドラム63との間には、シートセンサ110が配置されている。シートセンサ110は、シートPを検知するためのセンサである。シートセンサ110としては、シートPが当接することで揺動するアクチュエータを有するセンサや、光センサ等を用いることができる。シートセンサ110は、シートPが通過している状態でオン信号を出力し、シートPが通過していない状態でオフ信号を出力する。シートセンサ110による検知信号は、制御部100へ出力される(
図3参照)。
【0032】
プロセス部4は、4つの露光ヘッド5と、4つのプロセスユニット6と、転写ユニット7とを有し、シートPに現像剤像を形成する。露光ヘッド5は、感光体ドラム63の上方に対向して配置され、その下端に複数のLED(Light Emitting Diode)を有している。露光ヘッド5は、感光体ドラム63の表面を露光することで、印刷データに基づく静電潜像を形成する。
【0033】
各プロセスユニット6は、ドラムカートリッジ61と、現像カートリッジ62とを有している。ドラムカートリッジ61は、それぞれ、感光体ドラム63、帯電器64等を有している。現像カートリッジ62は、現像ローラ65、供給ローラ、トナーを収容するトナー収容部等を有している。現像カートリッジ62は、ドラムカートリッジ61に対して着脱可能である。
【0034】
プロセスユニット6Y、プロセスユニット6M、プロセスユニット6C、プロセスユニット6Kは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各色のトナーを収容する。以下、トナーの色に対応した現像カートリッジ62及び感光体ドラム63等を特定する場合に、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックのそれぞれに対応させて、Y、M、C、Kの記号を付す。
【0035】
転写ユニット7は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、無端状の搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを有している。搬送ベルト73は、駆動ローラ71と従動ローラ72との間に張設され、外側の面が配列された4つの感光体ドラム63に対向して配置されている。搬送ベルト73の内側には、転写ローラ74が対応する感光体ドラム63との間で搬送ベルト73を挟持するように配置されている。
【0036】
プロセス部4は、感光体ドラム63の表面を、帯電器64により一様に帯電し、露光ヘッド5により露光することで、感光体ドラム63上に印刷データに基づく静電潜像を形成する。また、トナー収容部内のトナーを、供給ローラから現像ローラ65に供給する。
【0037】
そして、プロセス部4は、現像ローラ65上に担持されたトナーを感光体ドラム63に供給することで、感光体ドラム63上に、現像剤像の一例であるトナー像を形成する。その後、プロセス部4は、搬送部3により搬送されたシートPを、感光体ドラム63と搬送ベルト73との間で搬送し、転写ユニット7によりシートPにトナー像を転写することで、シートPに感光体ドラム63上のトナー像を形成する。
【0038】
定着器8は、搬送路R1において、駆動ローラ71より搬送方向の下流側に配置されている。定着器8は、加熱ローラ81と、加圧ローラ82と、ヒータ83と、温度センサ84とを有している。加熱ローラ81は、シートPを加熱する加熱回転体の一例である。なお、加熱ローラ81の代わりに、加熱ベルトを用いてもよい。
【0039】
加圧ローラ82は、加圧回転体の一例である。加圧ローラ82は、加熱ローラ81と対向して配置されている。加熱ローラ81と加圧ローラ82とが互いに圧接されることで、加熱ローラ81と加圧ローラ82との間にニップNPが形成される。なお、加圧ローラ82の代わりに、加圧ベルトを用いてもよい。
【0040】
ヒータ83は、例えばハロゲンヒータからなり、加熱ローラ81を加熱する。定着器8は、トナー像が形成されたシートPをニップNPにて加熱しながら搬送することで、シートPに形成されたトナー像をシートPに定着させる。
【0041】
温度センサ84は、加熱ローラ81の温度を検知するためのセンサである。温度センサ84は、検知した加熱ローラ81の温度に応じた信号を、制御部100(
図3参照)へ出力する。温度センサ84としては、加熱ローラ81に非接触で対向するサーミスタを用いることができる。
【0042】
搬送路R1において、定着器8よりも搬送方向の下流側には、搬送ローラ35が配置されている。搬送ローラ35は、定着器8を通過した後のシートPを搬送ローラ91側へ搬送する。
【0043】
搬送路R1における定着器8と搬送ローラ35との間には、シートセンサ120が設けられている。シートセンサ120は、シートセンサ110と同様の構成を有している。シートセンサ120は、シートPが通過している状態でオン信号を出力し、シートPが通過していない状態でオフ信号を制御部100へ出力する。
【0044】
画像形成装置1には、再搬送路R2が設けられている。再搬送路R2は、搬送ローラ35の後方付近から下方に向けて延び、前方に湾曲して給送トレイ21の下を前方に向けて延びた後、上方に湾曲して搬送ローラ33に向かうように延びている。
【0045】
搬送ローラ91は、正回転、即ち反時計方向に回転することにより、シートPを排出ローラ92側へ搬送する。一方、搬送ローラ91は、逆回転、即ち時計方向に回転することにより、シートPを再搬送路R2側へ搬送する。
【0046】
排出ローラ92は、正回転、即ち反時計方向に回転することにより、シートPを排出トレイ22へ排出する。一方、排出ローラ92は、逆回転、即ち時計方向に回転することにより、シートPを搬送ローラ91側へ搬送する。搬送ローラ91及び排出ローラ92は、定着器8よりも搬送方向の下流にシートPを搬送すると共に、搬送方向とは逆方向にシートPを搬送する再搬送ローラとして機能する。
【0047】
再搬送路R2には、複数の搬送ローラ93が配置されている。複数の搬送ローラ93は、正回転、即ち時計方向に回転し、シートPを再搬送路R2に沿って搬送ローラ33に向けて搬送する。搬送ローラ91、排出ローラ92、及び搬送ローラ93は、定着器8を通過後のシートPを、搬送方向とは逆方向に搬送して、シートPの表裏を反転させて、再びプロセス部4に搬送するための再搬送部の一例である。
【0048】
図2は、画像形成装置1の駆動機構を示す図である。
図2に示すように、画像形成装置1は、搬送モータ106及び駆動モータ107を備えている。搬送モータ106は、給送ローラ31、レジストレーションローラ34、搬送ローラ91、排出ローラ92、搬送ローラ93、及び加熱ローラ81等を駆動するモータである。駆動モータ107は、感光体ドラム63Y,63M,63C,63K、現像ローラ65Y,65M,65C,65K、及び駆動ローラ71等を駆動するモータである。
【0049】
搬送モータ106が正転駆動すると、搬送ローラ91及び排出ローラ92は、反時計方向に回転する。一方、搬送モータ106が逆転駆動すると、搬送ローラ91及び排出ローラ92は、時計方向に回転する。搬送ローラ93は、搬送モータ106の回転方向に関らず、時計方向に回転して、シートPをレジストレーションローラ34に向けて搬送する。
【0050】
搬送モータ106と加熱ローラ81との駆動力伝達経路には、公知のワンウェイクラッチ108が設けられている。ワンウェイクラッチ108は、搬送モータ106が正転駆動するときに、搬送モータ106の駆動力を加熱ローラ81に伝達する。一方、ワンウェイクラッチ108は、搬送モータ106が逆転駆動するときに、搬送モータ106の駆動力を加熱ローラ81に伝達しない。
【0051】
これにより、搬送モータ106が正転駆動すると、加熱ローラ81が正回転、即ち時計方向に回転するが、搬送モータ106が逆転駆動しても、加熱ローラ81が回転しないようになっている。
【0052】
また、搬送モータ106と給送ローラ31との駆動力伝達経路には、給送クラッチ109が設けられている。給送クラッチ109は、例えば電磁クラッチである。給送クラッチ109がオンであるときに、搬送モータ106の駆動力が給送ローラ31に伝達される。一方、給送クラッチ109がオフであるときに、搬送モータ106の駆動力が給送ローラ31に伝達されないようになっている。
【0053】
[画像形成装置の電気的構成]
図3は、実施形態1の画像形成装置1の電気的構成を示すブロック図である。
図3に示すように、画像形成装置1は、制御部100と、操作パネル130と、通信インターフェース(I/F)140とを備えている。
【0054】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、NVRAM(Non Volatile Random Access Memory)104、及びASIC105を有し、これらが内部バスによって接続されている。制御部100は、画像形成装置1の各部に対する全般的な制御を行う。
【0055】
ROM102には、画像形成装置1を制御するための各種制御プログラムや各種設定等が記憶されている。RAM103は、各種制御プログラムが読み出される作業領域、及び印刷データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
【0056】
NVRAM104には、例えば、ヒータ83の出力の制御に用いられるデューティ比の関係を表すテーブルが記憶されている。詳細には、加熱ローラ81の目標温度から温度センサ84により検知された加熱ローラ81の温度を減算した差分ΔTと、ΔTの大きさに応じて設定されたデューティ比との関係が記憶されている。なお、NVRAM104に画像形成装置1を制御するための各種制御プログラムや各種設定等が記憶されていてもよい。この場合、NVRAM104は、各種制御プログラムが読み出される作業領域、及び印刷データを一時的に記憶する記憶領域として利用されてもよい。
【0057】
デューティ比は、単位時間においてヒータ83が通電している時間の割合を示しており、差分ΔTの値が大きいほど大きな値に設定されている。例えば、デューティ比は、差分ΔTが0℃以上5℃未満である場合に30%に設定され、差分ΔTが5℃以上10℃未満である場合に40%に設定され、差分ΔTが10℃以上15℃未満である場合に50%に設定され、差分ΔTが15℃以上20℃未満である場合に60%に設定され、差分ΔTが20℃以上25℃未満である場合に70%に設定され、差分ΔTが25℃以上である場合に100%に設定されている。デューティ比は、差分ΔTが0℃未満、すなわち温度センサ84により検知された加熱ローラ81の温度が目標温度よりも高い場合には0%に設定され、ヒータ83には通電が行われない。つまり、制御部100は、加熱ローラ81の目標温度を変更することで、ヒータ83の通電と非通電とを切り替える。そして、制御部100は、デューティ比を変更させることにより、加熱ローラ81が目標温度になるようにフィードバック制御を行う。
【0058】
ASIC105には、プロセス部4、定着器8、搬送モータ106、駆動モータ107、シートセンサ110、シートセンサ120、操作パネル130、及び通信I/F140等が電気的に接続されている。ASIC105は、搬送モータ106、及び駆動モータ107に駆動電流を供給する。制御部100は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって、搬送モータ106、及び駆動モータ107の回転を制御する。
【0059】
操作パネル130は、筐体2の上面に配置されている。操作パネル130は、例えば、タッチパッド及びディスプレイが一体として形成されたタッチパネルと、キーボタン部とを有している。操作パネル130は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた情報をASIC105へ出力する。操作パネル130は、例えばシートPの両面に画像形成を行う設定を受け付ける。操作パネル130は、受付部の一例である。
【0060】
通信I/F140は、LAN等のネットワークに接続され、画像形成装置1用のドライバが組み込まれたPC等の外部装置との接続を可能にしている。画像形成装置1は、通信I/F140を介して、印刷ジョブ等を受信可能である。通信I/F140は、受付部の一例である。なお、操作パネル130は、筐体2の前面に配置されていてもよいし、ユーザの操作を受け付けることが可能である位置に配置されていればよい。
【0061】
[制御部による制御の流れ]
次に、画像形成装置1の制御部100による制御の流れについて、
図4~
図6を参照して説明する。
図4は、制御部100による制御の流れの一例を示すフローチャートである。
図5は、
図4のヒータ早切り処理S6の流れの一例を示すフローチャートである。
図6は、画像形成装置1の各部の動作に関するタイミングチャートである。
【0062】
実施形態1の画像形成装置1では、操作パネル130又は通信I/F140を介して、ユーザによるシートPへの画像形成に関する設定、即ち印刷設定を受け付けたことに応じて、シートPに両面印刷又は片面印刷を行う。そして、両面印刷の設定を受け付けた場合に、ヒータ早切り処理を実行する。
【0063】
図4に示すフローチャートにおいて、まず、制御部100は、通信I/F140により、印刷ジョブを受信したか否かの判定を行う(S1)。制御部100は、印刷ジョブを受信していない場合(S1:NO)、S1に戻り、印刷ジョブを受信した場合(S1:YES)、印刷開始処理を実行する(S2)。
【0064】
S2において、制御部100は、
図6のt1にてヒータ83への通電を開始した後、
図6のt2にて搬送モータ106を正転駆動させることで、加熱ローラ81を回転させて、定着器8の加熱を開始する。具体的には、制御部100は、デューティ比を変更することにより、加熱ローラ81の目標温度が定着温度となるように、ヒータ83の出力を制御する。定着温度は、シートPに現像剤像を定着するのに適した温度であり、例えば200℃程度である。
【0065】
また、制御部100は、感光体ドラム63及び現像ローラ65を回転させる一方、帯電器64への帯電バイアスの印加、現像ローラ65への現像バイアスの印加、及び転写ローラ74への転写バイアスの印加を開始する。そして、制御部100は、給送クラッチ109をオンにして、給送ローラ31を回転させることで、給送トレイ21内に収容されたシートPを搬送路R1へ供給する。
【0066】
S2の後、制御部100は、操作パネル130又は通信I/F140を介して、両面印刷の設定が受け付けられたか否かを判定する(S3)。制御部100は、操作パネル130又は通信I/F140を介して、両面印刷の設定を受け付けた場合(S3:YES)、シートセンサ110が先行のシートP1を検知したか否かを判定する(S4)。
【0067】
以下、説明の便宜上、先行して定着器8に搬送されるシートP1を、第1シートP1という。また、第1シートP1の次に定着器8に搬送されるシートP2を、第2シートP2という。両面印刷の設定である場合、第2シートP2は、プロセス部4により一方の面(うら面)に現像剤像が形成された第1シートP1に、定着器8により現像剤像を定着させた後、再搬送部9によりプロセス部4に搬送後、再び定着器8に搬送される第1シートP1をいう。
【0068】
図6のt3にて、シートセンサ110が先行のシートP1の前端を検知した場合(S4:YES)、制御部100は、プロセス部4により先行のシートP1のうら面に印刷を行う(S5)。S5において、制御部100は、感光体ドラム63と転写ローラ74との間に形成された転写ニップに第1シートP1を通過させることで、第1シートP1のうら面に感光体ドラム63の表面のトナー像を転写する。
【0069】
ここで、
図7は、第1シートP1の後端がシートセンサ110を通過した時点の様子を示す模式図である。
図7に示すように、第1シートP1の後端がシートセンサ110を通過すると、
図6のt4にて、シートセンサ110はオンからオフに切り替わる。シートセンサ110がオフになると、シートセンサ110からセンサオフを示す出力信号が制御部100に送られる。制御部100は、センサオフの出力信号を受け取ると、第1シートP1の後端を検知したと判定する。制御部100は、定着器8により、トナー像が形成された第1シートP1をニップNPにて加熱しながら搬送することで、第1シートP1に形成されたトナー像の第1シートP1のうら面への定着を開始する。
【0070】
図8は、第2シートP2の前端がシートセンサ110を通過した時点の様子を示す模式図である。実施形態1では、制御部100は、シートPの両面に画像形成を行う設定を受け付けた場合(S3:YES)、
図8に示すように、第1シートP1と第2シートP2との間隔である搬送間隔Lが所定距離よりも大きくなると判定し、S5の後、
図5に示すヒータ早切り処理を実行する(S6)。
【0071】
ここで、
図5を参照しながら、S6におけるヒータ早切り処理の詳細について説明する。
図5に示すように、制御部100は、シートセンサ110が第1シートP1の後端を検知してから所定時間T1が経過したか否かを判定する(S21)。所定時間T1は、
図6のt4からt5までの時間であり、第1シートP1の前端が定着器8のニップNPに進入して通紙状態になってから、第1シートP1の後端がニップNPを通過して非通紙状態になるまでの時間、即ち
図6のt4からt6までの時間の長さよりも短い時間に設定されている。
【0072】
制御部100は、シートセンサ110が第1シートP1の後端を検知してから所定時間T1が経過した場合(S21:YES)、ヒータ83の出力を低下させる(S22)。S22において、制御部100は、シートセンサ110の検知結果に基づいて、第1シートP1がニップNPを進行中において、ニップNPから第1シートP1の後端までの距離が、加熱ローラ81の周方向の1周分の長さとなるタイミング(
図6のt5参照)で、加熱ローラ81の目標温度を低下させることで、ヒータ83への通電を停止する。具体的には、制御部100は、加熱ローラ81の目標温度を、例えば0℃、又は画像形成装置1を待機モードとする場合におけるスタンバイ温度である130℃として、差分ΔTを0℃未満とすることで、ヒータ83への通電を停止する。
【0073】
このように、第1シートP1の後端がニップNPを通過する前に、ヒータ83への通電を停止させても、加熱ローラ81の1周分の蓄熱があるため、定着器8による定着強度を確保することが可能となっている。
【0074】
S22の後、制御部100は、第1シートP1の後端が定着器8のニップNPを通過したか否かを判定する(S23)。具体的には、制御部100は、シートセンサ120が第1シートP1の後端を検知したことに基づいて、第1シートP1の後端が定着器8のニップNPを通過したと判定する。
【0075】
制御部100は、
図6のt6にて第1シートP1の後端が定着器8のニップNPを通過した場合(S23:YES)、
図6のt7にて搬送モータ106を逆転駆動させ(S24)、搬送ローラ91及び排出ローラ92を時計方向に回転させることで、第1シートP1を搬送方向とは逆方向に搬送する。
【0076】
搬送モータ106が逆転駆動するとき、ワンウェイクラッチ108は、搬送モータ106の駆動力を加熱ローラ81に伝達しない。このため、第1シートP1の後端がニップNPを通過後、加熱ローラ81の回転が停止する。これにより、消費電力を削減することができる。
【0077】
S24の後、制御部100は、搬送モータ106を逆転駆動させてから所定時間T2が経過したか否かを判定する(S25)。所定時間T2は、
図6のt7からt8までの時間であり、搬送ローラ93により再搬送路R2に沿って搬送される第1シートP1の前端が、搬送ローラ33の付近に到達するまでの時間に設定されている。
【0078】
制御部100は、
図6のt7から所定時間T2が経過した場合(S25:YES)、
図6のt8にて搬送モータ106を正転駆動させて(S26)、搬送ローラ33及びレジストレーションローラ34を正回転させることにより、第1シートP1の表裏を反転させて、再びプロセス部4に搬送する。
【0079】
制御部100は、搬送モータ106を逆転駆動から正転駆動に戻した(
図6のt8参照)後、第2シートP2に対して定着を行えるようにするために、
図6のt9にてヒータ83の出力を上昇させる(S27)。具体的には、制御部100は、加熱ローラ81の目標温度が定着温度になるように、ヒータ83への通電を制御する。これにより、後続する第2シートP2のために定着器8の温度を適切な温度に復帰させることができる。また、S26にて加熱ローラ81の回転が開始されているので、加熱ローラ81の目標温度を復帰させても、オーバーシュートの発生を抑制できる。
【0080】
以上のように、制御部100は、
図5に示すヒータ早切り処理S6を終了した後、
図4に戻り、印刷ジョブに後続の第2シートP2があるか否かを判定し(S7)、後続の第2シートP2がある場合(S7:YES)、シートセンサ110が後続の第2シートP2を検知したか否かを判定する(S8)。
【0081】
シートセンサ110が後続の第2シートP2を検知した場合(S8:YES)、制御部100は、S5に戻り、プロセス部4により第2シートP2への印刷を行う。具体的には、制御部100は、プロセス部4により、第2シートP2のおもて面に印刷を行う。
【0082】
おもて面に現像剤像が形成された第2シートP2は、
図6のt10にて定着器8のニップNPに進入して通紙状態になり、定着器8により現像剤像が定着される。このようにして、印刷が完了した第2シートP2は、搬送ローラ35、搬送ローラ91及び排出ローラ92によって、搬送路R1に沿って搬送方向に搬送され、排出トレイ22上に排出される。
【0083】
一方、後続の第2シートP2がない場合には(S7:NO)、制御部100は、S11へ進む。また、S3において、両面印刷の設定でない場合(S3:NO)、即ち、片面印刷の設定を受け付けた場合、制御部100は、プロセス部4により、シートP1の片面に印刷を行う(S9)。
【0084】
S9の後、制御部100は、次のシートPがあるか否かを判定し(S10)、次のシートPがある場合(S10:YES)、S9に戻り、次のシートPがない場合(S10:NO)、印刷終了処理を実行する(S11)。
【0085】
S11において、制御部100は、帯電器64への帯電バイアスの印加、現像ローラ65への現像バイアスの印加、及び転写ローラ74への転写バイアスの印加を停止する。そして、制御部100は、搬送モータ106及び駆動モータ107の回転を停止させると共に、ヒータ83をオフにする。このようにして、制御部100は、
図4に示すフローを終了する。
【0086】
以上説明したように、実施形態1の画像形成装置1では、制御部100は、シートPに両面印刷を行う設定である場合(S3:YES)、第1シートP1と第2シートP2との搬送間隔Lが所定距離よりも大きくなることを考慮して、第1シートP1の後端がニップNPを通過する前に、ヒータ83の出力を低下させる(S22)。これにより、加熱ローラ81が過剰に加熱されるオーバーシュートの発生を抑制できる。
【0087】
また、実施形態1の画像形成装置1では、1つの搬送モータ106の駆動力により、搬送ローラ91、排出ローラ92、及び加熱ローラ81を駆動できると共に、搬送モータ106と加熱ローラ81との駆動力伝達経路にワンウェイクラッチ108が設けられているので、加熱ローラ81が逆回転することを防止できる。
【0088】
〔実施形態2〕
本開示の実施形態2の画像形成装置1について、
図9~
図11を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0089】
実施形態2の画像形成装置1では、制御部100による制御の流れが、実施形態1と異なる。実施形態2では、制御部100は、シートPに対して両面印刷を行う場合に、シートセンサ110の検知結果に基づいて、
図8に示される搬送間隔Lを算出し、算出した搬送間隔Lが所定距離よりも大きい場合にヒータ早切り処理を実行する。
【0090】
[制御部による制御の流れ]
以下、実施形態2における画像形成装置1の制御部100による制御の流れについて、
図9~
図11を参照して説明する。
図9は、実施形態2における画像形成装置1による制御の流れの一例を示すフローチャートである。
図10は、
図9のヒータ早切り処理S37の流れの一例を示すフローチャートである。
図11は、実施形態2における画像形成装置1の各部の動作に関するタイミングチャートである。
【0091】
図9に示すフローチャートにおいて、まず、制御部100は、通信I/F140により、印刷ジョブを受信したか否かの判定を行う(S31)。制御部100は、印刷ジョブを受信していない場合(S31:NO)、S31に戻り、印刷ジョブを受信した場合(S31:YES)、印刷開始処理を実行する(S32)。
【0092】
S32において、制御部100は、
図11のt21にてヒータ83の出力を上昇させた後、
図11のt22にて搬送モータ106を正転駆動させることで、加熱ローラ81を回転させて、定着器8の加熱を開始する。
【0093】
また、制御部100は、感光体ドラム63及び現像ローラ65を回転させ、帯電器64への帯電バイアスの印加、現像ローラ65への現像バイアスの印加、及び転写ローラ74への転写バイアスの印加を開始する。そして、制御部100は、給送クラッチ109をオンにして、給送ローラ31を回転させて、給送トレイ21内に収容されたシートP1を搬送路R1へ供給する。
【0094】
S32の後、制御部100は、シートセンサ110が先行のシートP1の前端を検知したか否かを判定する(S33)。制御部100は、
図11のt23にてシートセンサ110が先行のシートP1の前端を検知した場合(S33:YES)、S5と同様に、プロセス部4により先行のシートP1のうら面への印刷を行う(S34)。
【0095】
そして、
図11のt24にて、シートセンサ110が先行のシートP1の後端を検知すると、制御部100は、定着器8により、トナー像が形成されたシートPをニップNPにて加熱しながら搬送することで、シートP1に形成されたトナー像のシートP1への定着を開始する。
【0096】
S34の後、制御部100は、RAM103に、後続のシートP2の印刷データがあるか否かを判定する(S35)。制御部100は、RAM103に後続のシートP2の印刷データがある場合(S35:YES)、シートセンサ110が所定時間T4(
図11参照)以内に後続のシートP2の前端を検知したか否かを判定する(S36)。
【0097】
S36において、制御部100は、定着器8よりもシートPの搬送方向の上流側に配置されたシートセンサ110により、第1シートP1の後端が検知されてから第2シートP2の前端が検知されるまでの時間と、第1シートP1の搬送速度とに基づいて、
図8に示す搬送間隔Lを算出する。そして、制御部100は、シートセンサ110が所定時間T4以内に第2シートP2の前端を検知した場合、搬送間隔Lが所定距離以下であると判定する。
【0098】
制御部100は、シートセンサ110が所定時間T4以内に後続の第2シートP2を検知しない場合(S36:NO)、
図8に示される第1シートP1と第2シートP2との搬送間隔Lが所定距離よりも大きいと判定し、
図10に示すヒータ早切り処理を実行する(S37)。
【0099】
一方、制御部100は、シートセンサ110が所定時間T4以内に後続のシートP2を検知した場合(S36:YES)、S34に戻り、プロセス部4により後続のシートP2への印刷を行う。具体的には、制御部100は、プロセス部4により、第2シートP2のおもて面に印刷を行う。
【0100】
おもて面に現像剤像が形成された第2シートP2は、
図6のt31~t32において、定着器8により現像剤像を第2シートP2に定着させる。このようにして、印刷が完了した第2シートP2は、搬送ローラ35、搬送ローラ91及び排出ローラ92によって、搬送路R1に沿って搬送方向に搬送され、排出トレイ22上に排出される。
【0101】
次に、ヒータ早切り処理S37について、
図10を参照して説明する。
図10に示すフローチャートにおいて、制御部100は、シートセンサ110が先行のシートP1の後端を検知してから、所定時間T3(
図11参照)が経過したか否かを判定する(S41)。所定時間T3は、
図11のt24からt25までの時間であり、先行の第1シートP1の前端が定着器8のニップNPに進入して通紙状態になってから、第1シートP1の後端がニップNPを通過して非通紙状態になるまでの時間、即ち
図11のt24からt26までの時間の長さよりも短い時間に設定されている。また、所定時間T3は、所定時間T4よりも長い時間に設定されている。
【0102】
制御部100は、所定時間T3が経過していない場合(S41:NO)、S41に戻り、所定時間T3が経過した場合(S41:YES)、
図11のt25にてヒータ83の出力を低下させる(S42)。
【0103】
S42の後、制御部100は、
図11のt26にて第1シートP1の後端が定着器8のニップNPを通過した場合、
図11のt27にて搬送モータ106を逆転駆動させ、搬送ローラ91及び排出ローラ92を時計方向に回転させることで、第1シートP1を搬送方向とは逆方向に搬送する。
【0104】
そして、制御部100は、
図11のt28にて、搬送モータ106を正転駆動させる(S26)。制御部100は、搬送モータ106を正転駆動させることで、搬送ローラ33及びレジストレーションローラ34を正回転させることにより、第1シートP1の表裏を反転させて、再びプロセス部4側へ搬送する。
【0105】
その後、制御部100は、シートセンサ110が後続のシートP2を検知したか否かを判定する(S43)。制御部100は、シートセンサ110が後続のシートP2を検知するまで(S43:NO)、S43を繰り返し、
図11のt29にてシートセンサ110が後続の第2シートP2を検知した場合(S43:YES)、ヒータ83の出力を上昇させる(S44)。以上により、
図10に示すヒータ早切り処理S37を終了する。
【0106】
図9に戻り、S37の後、制御部100は、S34に戻り、プロセス部4により後続の第2シートP2のおもて面への印刷を行う。
【0107】
一方、制御部100は、RAM103に、後続のシートP2の印刷データがない場合(S35:NO)、S11と同様に、印刷終了処理を実行する(S38)。このようにして、制御部100は、
図9に示すフローを終了する。
【0108】
以上説明した実施形態2の画像形成装置1においても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。即ち、第1シートP1と第2シートP2との搬送間隔Lが所定距離よりも大きい場合(S36:NO)、第1シートP1の後端がニップNPを通過する前に、ヒータ83の出力を低下させることで、加熱ローラ81が過剰に加熱されるオーバーシュートの発生を抑制できる。特に、シートセンサ110の検知結果を用いることで、搬送間隔Lをより正確に算出できるので、ヒータ83の出力を低下させるか否かの判定をより正確に行うことができる。
【0109】
〔その他の実施形態〕
上記した実施形態1,2の画像形成装置1は、カラーレーザプリンタであるとしたが、これに限らず、他にも、モノクロレーザプリンタや、プリンタ機能及びスキャナ機能等を備えたMFP(Multi-Function Peripheral)であってもよい。
【0110】
また、上記した実施形態1,2では、シートPが普通紙であるとしたが、シートPの種類は、これに限らず、例えば厚紙、薄紙、封筒等であってもよい。更に、制御部100は、シートPの種類が厚紙や封筒である場合に、第1シートP1と第2シートP2との搬送間隔Lが大きくなると判定して、ヒータ早切り処理S6,S37を実行してもよい。
【0111】
上記した実施形態1では、制御部100は、S22において、ニップNPから第1シートP1の後端までの距離が、加熱ローラ81の周方向の1周分の長さとなるタイミングで、ヒータ83の出力を低下させるものとしたが、これに限定されない。制御部100は、加熱ローラ81の周方向の1周分の長さ以下となるタイミングで、ヒータ83の出力を低下させればよい。
【0112】
本開示は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
1 画像形成装置
3 搬送部
4 プロセス部
8 定着器
9 再搬送部
11 シートセンサ
31 給送ローラ
32 分離ローラ
33 搬送ローラ
34 レジストレーションローラ
35 搬送ローラ
81 加熱ローラ
82 加圧ローラ
83 ヒータ
91 搬送ローラ
92 排出ローラ
93 搬送ローラ
100 制御部
106 搬送モータ
110 シートセンサ
130 操作パネル
140 通信I/F
P シート
NP ニップ