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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070135
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20240515BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H01Q7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180547
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】524066085
【氏名又は名称】FCNT合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 智則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 泰亮
(72)【発明者】
【氏名】篠島 貴裕
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA03
5J047AA07
5J047AA10
5J047AB11
5J047FD01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】筐体の強度を確保しつつ電気部品からの共振によるアンテナの放射特性低下を抑制する給与管理装置を提供する。
【解決手段】電子機器(スマートフォン)は、矩形に形成され、給電点201、第1グランド111A及び第2グランド111Bが矩形の第1の辺111の長手方向に沿って並んで配置される金属フレームである筐体110と、第1の辺111の一部の領域に形成され、第1グランド111A及び給電点201に接続されるアンテナと、第1の辺111の第1グランド111Aと第2グランド111Bとの間に配置される電気部品132と、第1の辺111の内側面において、一方の端部が第1グランド111Aに接続され、他方の端部が第2グランド111Bに接続される導体部品である金属プレート301と、備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形に形成され、給電点、第1グランド及び第2グランドが前記矩形の第1の辺の長手方向に沿って並んで配置される金属フレームと、
前記第1の辺の一部の領域に形成され、前記第1グランド及び前記給電点に接続されるアンテナと、
前記第1の辺の前記第1グランドと前記第2グランドとの間に配置される電気部品と、
前記第1の辺の内側面において、一方の端部が前記第1グランドに接続され、他方の端部が前記第2グランドに接続される導体部品と、備える、
電子機器。
【請求項2】
前記アンテナの共振周波数と前記導体部品の共振周波数とは、0.3GHz以上離れている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記アンテナの内側面には、誘電体が設けられる、
請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記アンテナはループアンテナであり、
前記アンテナの電波の共振周波数は3.0GHzであり、
前記誘電体の比誘電率は3.3であり、
前記給電点から前記第1グランドまでの長さは2.9cmであり、
前記導体部品の長さは3.8cmである、
請求項3に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信技術の発展に伴い、電子機器に各種のアンテナが用いられている(例えば、特許文献1-3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2016/125556号
【特許文献2】国際公開2009/001411号
【特許文献3】特開2019-009760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より高い周波数の電波を無線通信に用いることで無線通信の高速化が図られる。高い周波数の電波を用いると、アンテナ近傍に配置された指紋センサやボリュームスイッチ等の電気部品からの共振によってアンテナの放射特性が低下しやすい。例えば、電気部品の共振周波数とアンテナの共振周波数とが近い場合、電気部品からの共振等によるアンテナの放射特性に対する影響が顕著となる。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、筐体の強度を確保しつつ電気部品からの共振によるアンテナの放射特性低下を抑制できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のような電子機器によって例示される。本電子機器は、矩形に形成され、給電点、第1グランド及び第2グランドが上記矩形の第1の辺の長手方向に沿って並んで配置される金属フレームと、上記第1の辺の一部の領域に形成され、上記第1グランド及び上記給電点に接続されるアンテナと、上記第1の辺の上記第1グランドと上記第2グランドとの間に配置される電気部品と、上記第1の辺の内側面において、一方の端部が上記第1グランドに接続され、他方の端部が上記第2グランドに接続される導体部品と、備える。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、筐体の強度を確保しつつ電気部品からの共振によるアンテナの放射特性低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るスマートフォンの外観の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るスマートフォンの外観斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るスマートフォンの背面パネルを外した状態での斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るスマートフォンの背面パネル及びサブ基板を外した状態での斜視図である。
図5図5は、金属プレートをZ方向から見た図である。
図6図6は、金属プレートの取り付けを模式的に示す図である。
図7図7は、スマートフォンの透視図である。
図8図8は、アンテナの長さと金属プレートの長さを例示する図である。
図9図9は、第1シミュレーションにおけるアンテナの反射特性を例示する図である。
図10図10は、第1シミュレーションにおけるアンテナの放射特性を例示する図である。
図11図11は、第2シミュレーションにおけるアンテナの反射特性を例示する図である。
図12図12は、第2シミュレーションにおけるアンテナの放射特性を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下、図面を参照して実施形態について説明する。図1は、実施形態に係るスマートフォン100の外観の一例を示す図である。図1Aは、スマートフォン100の前面側の外観を例示する。図1Bは、スマートフォン100の側面側の外観を例示する。図1Cは、スマートフォン100の背面側の外観を例示する。図1で紙面に向かって上側が筐体110の上側であり、紙面に向かって下側が筐体110の下側であると仮定する。以下、本明細書において、筐体110の上下方向をY方向、Y方向と直交する筐体110の幅方向をX方向、筐体110の厚さ方向をZ方向とも称する。
【0010】
スマートフォン100は、可搬型の電子機器である。筐体110の前面にはディスプレイ121及びインカメラ122が設けられる。筐体110の側面には、電源ボタン131及びボリュームスイッチ132が設けられる。また、筐体110の背面には、背面パネル141及びアウトカメラ142が設けられる。インカメラ122は、例えば、スマートフォン100を操作するユーザーの動画像を撮影する。アウトカメラ142は、例えば、ユーザーがアウトカメラ142を向けた被写体の動画像を撮影する。ボリュームスイッチ132は、「電気部品」の一例である。
【0011】
筐体110は、金属等の導体で形成される枠状のフレームである。筐体110は、例えば、環境配慮型のアルミニウム(例えば、金橋 A6013KR)によって作製される。筐体110は、例えば、Z方向視において矩形に形成される。筐体110の右側長辺111には、電源ボタン131、ボリュームスイッチ132が設けられる。さらに、筐体110の右側長辺111の一部領域を用いてアンテナが形成される。スマートフォン100のアンテナは外観視できないが、例えば、右側長辺111の配置領域R1に配置される。すなわち、スマートフォン100において、電源ボタン131、ボリュームスイッチ132及びアンテナは、筐体110の右側長辺111に配置される。筐体110は、「金属フレーム」の一例である。右側長辺111は、「第1の辺」の一例である。
【0012】
ディスプレイ121は、表示装置である。ディスプレイ121は、例えば、Liquid Crystal Display(LCD)、Plasma Display Panel(PDP)、無機Electroluminescence(EL)パネル、有機ELパネルである。ディスプレイ121には、例えば、ユーザーの指等によるタッチ操作を検知するタッチパネルが重畳して設けられてもよい。スマートフォン100は、ディスプレイ121にタッチパネルが重畳して設けられることで、直感的な操作環境をユーザーに提供することができる。
【0013】
インカメラ122及びアウトカメラ142は、Charge Coupled Device(CCD)イメージセンサーやComplementary Metal Oxide Semiconductor(CMOS)イメージセンサーを有するデジタルカメラである。インカメラ122及びアウトカメラ142は、静止画像及び動画像を撮影可能
である。
【0014】
図2は、実施形態に係るスマートフォン100の外観斜視図である。筐体110の下方短辺112には、接続端子151が露出する。接続端子151は、例えば、スマートフォン100への外部装置の接続に用いられたり、スマートフォン100に実装されたバッテリの充電に用いられたりする。
【0015】
図3は、実施形態に係るスマートフォン100の背面パネル141を外した状態での斜視図である。筐体110内には、アウトカメラ142を実装したサブ基板161及びSystem-on-a-chip(SoC)を実装したメイン基板163が収容される。サブ基板161は、8本のねじ162によって、筐体110内に固定される。また、メイン基板163のアウトカメラ142の周辺は、シールド板164によって覆われる。
【0016】
図4は、実施形態に係るスマートフォン100の背面パネル141及びサブ基板161を外した状態での斜視図である。図4では、シールド板164も取り外されていることで、シールド板164に覆われていた給電部165も露出している。スマートフォン100のアンテナ200は、筐体110の右側長辺111のうち配置領域R1の範囲に形成される。アンテナ200は、例えば、筐体110の右側長辺111をZ方向に切断するスリットによって、右側長辺111の一部の領域に形成される。
【0017】
アンテナ200の給電点201は、給電部165からの給電を受ける。また、アンテナ200は、右側長辺111上に設けられたグランド111Aに接続されて接地される。アンテナ200の内側面には、樹脂203が貼り付けられる。樹脂203は環境配慮型の樹脂(例えば、SABIC WF008NiQ)で形成される。誘電体である樹脂203が貼り付けられることで、アンテナ200の共振周波数が調整される。樹脂203は、「誘電体」の一例である。
【0018】
筐体110の内側面において、ボリュームスイッチ132に対応する位置には、金属プレート301が設けられる。対応する位置としては、例えば、X方向視において、ボリュームスイッチ132と金属プレート301とが重なる位置を挙げることができる。金属プレート301は、例えば、筐体110と同様に環境配慮型のアルミニウムによって作製される。図5は、金属プレート301をZ方向から見た図である。金属プレート301は、すり鉢状に形成されたすり鉢部301C、すり鉢部301Cから-X方向に延びるとともにその先端がY方向に平行に形成される脚部301D、301Eを有する。脚部301D、脚部301Eには、ねじ穴301A、301Bが夫々形成される。すり鉢部301Cがすり鉢状に形成されることで、すり鉢部301Cの-X側には収容凹部301Fが形成される。収容凹部301Fは、X方向視においてねじ穴301Aとねじ穴301Bとの間に位置する。また、収容凹部301Fは、X方向視において、脚部301Dと脚部301Eとの間に位置する。金属プレート301は、「導体部品」の一例である。
【0019】
図6は、金属プレート301の取り付けを模式的に示す図である。筐体110の右側長辺111には、グランド111A、111Bが設けられる。グランド111A、111Bは、例えば、筐体110を露出させることで、接地電位を実現する部位である。右側長辺111には、給電点201、グランド111A及びグランド111Bが、この順に並んで、右側長辺111の長手方向に沿って配置される。
【0020】
金属プレート301は、収容凹部301Fを右側長辺111に向けた状態で、ねじ穴301A、301Bに挿通された2本のねじ302、303によって右側長辺111のグランド111A、111Bに夫々螺合される。グランド111Aは、「第1グランド」の一例である。グランド111Bは、「第2グランド」の一例である。
【0021】
図7は、スマートフォン100の透視図である。図7では、スマートフォン100の金属プレート301付近を右側長辺111側からX方向視した図が例示される。図7では、筐体110の右側長辺111の背面に設けられる金属プレート301やねじ穴301A、301Bを点線で例示する。金属プレート301は、例えば、X方向視においてすり鉢部301Cとボリュームスイッチ132とが重なるように配置される。換言すれば、金属プレート301は、X方向視においてボリュームスイッチ132をまたぐように配置される。すり鉢部301Cとボリュームスイッチ132とがX方向視において重なるように配置されることで、金属プレート301とボリュームスイッチ132とが物理的に干渉することが抑制される。また、金属プレート301が設けられることで、筐体110が補強される。
【0022】
また、X方向視においてすり鉢部301Cとボリュームスイッチ132とが重なるように配置されるため、ねじ穴301A、301Bは、X方向視においてボリュームスイッチ132を挟むように配置される。ねじ302及びねじ302が挿通されるねじ穴301Aは、例えば、グランド111Aの位置に配置される。なお、ねじ穴301Aは、グランド111Aとボリュームスイッチ132との間に配置されてもよい。ねじ穴301Aの位置は、グランド111Aに近ければ近いほど好ましい。換言すれば、金属プレート301のねじ穴301Aの位置は、アンテナ200のグランドの位置に近ければ近いほど好ましい。金属プレート301のねじ穴301Aの位置とアンテナ200のグランドの位置とが一致するとより好ましい。
【0023】
ところで、ボリュームスイッチ132のような電気部品がアンテナ200の近傍に配置されると、当該電気部品からの共振等により、アンテナ200の特性が低下することがある。本実施形態では、アンテナ200近傍に配置された電気部品からの共振によるアンテナ200の特性低下を抑制する手段としても、金属プレート301を用いる。
【0024】
本実施形態では、アンテナ200及び金属プレート301の長さを適宜設定することで、ボリュームスイッチ132からの共振等によるアンテナ200の特性低下を抑制する。図8は、アンテナ200の長さL1と金属プレート301の長さL2を例示する図である。本実施形態では、アンテナ200の長さL1は、給電点201からグランド111Aまでの長さとする。また、金属プレート301の長さL2は、ねじ302によって螺合されるねじ穴301Aとねじ303によって螺合されるねじ穴301Bとの間の長さである。換言すれば、金属プレート301において、右側長辺111に螺合されることで接地された2点間の長さということができる。
【0025】
(シミュレーション)
図9から図12は、アンテナ200の特性についてシミュレーションを実施した結果を例示する図である。図9から図12に例示するシミュレーションでは、樹脂203の比誘電率が3.3に設定される。また、図9から図12に例示するシミュレーションでは、アンテナ200はループアンテナであるものとする。
【0026】
(第1シミュレーション)
図9は、第1シミュレーションにおけるアンテナ200の反射特性を例示する図である。また、図10は、第1シミュレーションにおけるアンテナ200の放射特性を例示する図である。第1シミュレーションでは、アンテナ200の共振周波数と金属プレート301の共振周波数とが近い(例えば、0.3GHz未満の範囲内)ことを想定してシミュレーションを行った場合の結果が例示される。第1シミュレーションでは、アンテナ200の共振周波数を3.3GHzとし、金属プレート301の共振周波数を3.4GHzとする。
【0027】
ここで、樹脂203による波長の短縮効果を考慮したアンテナ200の共振波長は、以下の式(1)によって算出できる。なお、式(1)では、アンテナ200がループアンテナであることから、最後に1/2を乗算している。
λ=c/f/sqrt(Er)/2 ・・・式(1)
【0028】
上記式(1)において、cは光速(3.0×10m/s)である。Eは比誘電率である。fは共振周波数である。第1シミュレーションにおけるアンテナ200の共振波長は、上記式(1)に、樹脂203の比誘電率として3.3、アンテナ200の共振周波数として3.3GHzを代入することで、2.5cmを得ることができる。第1シミュレーションでは、アンテナ200の長さL1を2.5cmとした。
【0029】
また、金属プレート301には、樹脂203が設けられていない。そのため、金属プレート301の共振波長を求める際には、比誘電率は1とすることができる。第1シミュレーションにおける金属プレート301の共振波長は、上記式(1)に、比誘電率として1、金属プレート301の共振周波数として3.4GHzを代入することで、4.2cmを得ることができる。第1シミュレーションでは、金属プレート301の長さL2を4.2cmとした。
【0030】
図9を参照すると、アンテナ200の共振W1と金属プレート301及びボリュームスイッチ132の共振W2とが近い周波数範囲(例えば、0.3GHz未満の周波数範囲内)で生じている。そして、共振W1と共振W2とでは逆位相である。そのため、共振W2によってアンテナ200の共振W1が減衰される。その結果、アンテナ200の放射特性は、図10に「不要共振有り」として例示されるようになる。
【0031】
(第2シミュレーション)
図11は、第2シミュレーションにおけるアンテナ200の反射特性を例示する図である。また、図12は、第2シミュレーションにおけるアンテナ200の放射特性を例示する図である。第2シミュレーションでは、アンテナ200の共振周波数と金属プレート301の共振周波数とが離れている(例えば、0.3GHz以上の差がある)ことを想定してシミュレーションを行った場合の結果が例示される。第2シミュレーションでは、アンテナ200の共振周波数を3.0GHzとし、金属プレート301の共振周波数を4.0GHzとする。
【0032】
第2シミュレーションにおけるアンテナ200の共振波長は、上記式(1)に、樹脂203の比誘電率として3.3、アンテナ200の共振周波数として3.0GHzを代入することで、2.9cmを得ることができる。第2シミュレーションでは、アンテナ200の長さL1を2.9cmとした。
【0033】
第2シミュレーションにおける金属プレート301の共振波長は、上記式(1)に、比誘電率として1、金属プレート301の共振周波数として4.0GHzを代入することで、3.8cmを得ることができる。第2シミュレーションでは、金属プレート301の長さL2を3.8cmとした。
【0034】
図11及び図12では、長さL1が2.9cm、長さL2が3.8cm、アンテナ200によって通信に用いられる電波の周波数が3.0GHzに設定される条件下でシミュレーションを行った場合の結果が例示される。図12では、第2シミュレーションによる放射特性が「不要共振無し」として例示される。なお、図12では、比較のため、第1シミュレーションにおける放射特性も「不要共振有り」として例示される。
【0035】
図11を参照すると、金属プレート301及びボリュームスイッチ132の共振W4は、アンテナ200の共振W3から0.3GHz以上離れた周波数範囲で生じている。そのため、共振W4による共振W3の減衰が抑制される。その結果、アンテナ200の放射特性は図12に例示するようになる。
【0036】
図12を参照すると理解できるように、長さL1、L2を適宜設定することで、アンテナ200の放射特性の減衰が抑制される。なお、本実施形態では、スマートフォン100の筐体110のサイズによる制限を考慮して、長さL1とL2の和が一定値(6.7cm)となるように長さL1、L2が設定される。
【0037】
<実施形態の作用効果>
本実施形態では、筐体110においてボリュームスイッチ132が設けられた位置に、X方向視においてボリュームスイッチ132と重なるように金属プレート301が配置される。金属プレート301が配置されることで、筐体110の強度を向上させることができる。
【0038】
本実施形態では、金属プレート301の一方の端部(脚部301D)はアンテナ200のグランド111Aに接続される。また、金属プレート301の他方の端部(脚部301E)は筐体110に接続される。すなわち、金属プレート301は、両端部において接地される。スマートフォン100は、このような金属プレート301が設けられることで、長さL1、L2を設定するという容易な設計で、金属プレート301の共振周波数とアンテナ200の共振周波数を可及的に離すことができる。ひいては、本実施形態によれば、アンテナ200の放射効率の低下を抑制できる。
【0039】
また、本実施形態では、筐体110の補強とアンテナ200の放射効率の低下抑制を金属プレート301というひとつの部材で実現する。そのため、筐体110の補強とアンテナ200の放射効率の低下抑制の夫々に部材を設ける場合に比べ、スマートフォン100の小型化が容易である。
【0040】
ここで、スマートフォン100の筐体110のサイズによる制限によって、長さL1とL2の和を一定値以下とする場合、例えば、アンテナ200の共振周波数を調整することで、アンテナ200の放射効率の低下を抑制できる。
【0041】
また、本実施形態では、アンテナ200の内側面には、樹脂203が貼り付けられる。貼り付けられた樹脂203の比誘電率に応じて、アンテナ200の共振周波数は変動する。すなわち、所望の共振周波数を実現できる比誘電率の材質を選択して樹脂203として採用することで、アンテナ200の共振周波数を所望の周波数とすることができる。
【0042】
<変形例>
以上説明した実施形態では、アンテナ200に樹脂203が設けられたが、樹脂203は省略されてもよい。この場合、比誘電率として1、アンテナ200の共振周波数として3.0GHzを上記式(1)に代入すると、アンテナ200の共振波長2.5cmを得ることができる。そのため、樹脂203が省略されたアンテナ200の共振周波数を3.0GHzとする場合、長さL1は2.5cmとされればよい。
【0043】
以上説明した実施形態では、電子機器の一例としてスマートフォン100を取り上げたが、本実施形態を適用し得る電子機器がスマートフォン100に限定されるわけではなく、電子機器に限定は無い。本実施形態を適用し得る電子機器としては、タブレット型端末、ノートブック型パーソナルコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、フィーチャーフォン等を挙げることができる。
【0044】
以上説明した実施形態では、アンテナ200がループアンテナである場合について説明したが、アンテナ200はループアンテナに限定されない。アンテナ200は、例えば、逆F型アンテナ、モノポールアンテナ及びダイポールアンテナ等であってもよい。
【0045】
本実施形態は、ボリュームスイッチ132の共振によるアンテナ200への影響を抑制することを一例として説明されたが、本実施形態に係る技術はボリュームスイッチ132以外の電気部品に適用されてもよい。電気部品としては、例えば、指紋センサ、電源スイッチ、タッチセンサ、メモリーカードスロット、Subscriber Identity Module(SIM)カードスロット、機械式の接点スイッチ等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0046】
100・・スマートフォン
110・・筐体
111・・右側長辺
111A・・グランド
111B・・グランド
112・・下方短辺
121・・ディスプレイ
122・・インカメラ
131・・電源ボタン
132・・ボリュームスイッチ
141・・背面パネル
142・・アウトカメラ
151・・接続端子
161・・サブ基板
162・・ねじ
163・・メイン基板
164・・シールド板
165・・給電部
200・・アンテナ
201・・給電点
203・・樹脂
301・・金属プレート
301A・・ねじ穴
301B・・ねじ穴
301C・・すり鉢部
301D・・脚部
301E・・脚部
301F・・収容凹部
302・・ねじ
303・・ねじ
R1・・配置領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12