(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007015
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】ワイパー駆動方法およびワイパーアーム誘導装置
(51)【国際特許分類】
B60S 1/08 20060101AFI20240111BHJP
B60S 1/04 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
B60S1/08
B60S1/04 500
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108131
(22)【出願日】2022-07-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】315017133
【氏名又は名称】伊藤 剛司
(74)【代理人】
【識別番号】100093115
【弁理士】
【氏名又は名称】佐渡 昇
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 剛司
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AC01
3D225AC02
3D225AD02
3D225AD09
3D225AE05
3D225AE47
(57)【要約】
【課題】ウォッシャ液によるウインドウ表面の洗浄効率を高めてウォッシャ液の使用量を減らすことができるワイパー駆動方法およびワイパーアーム誘導装置を提供する。
【解決手段】車両のウインドウ表面Wに、ウォッシャ液WLを吐出するとともに、ウインドウ表面Wに対し往復動するワイパーブレード12を接触させてウォッシャ液WLを払拭することでウインドウ表面Wを洗浄する方法であり、(1)ウインドウ表面Wにウォッシャ液WLを吐出した後、ワイパーブレード12をウォッシャ液WL側に向けて往動させる工程、(2)上記往動が終端に達する前に、往動の終端近くにおいてワイパーブレード12をウインドウ表面Wから離間させ、ワイパーブレード12の往動側にあるウォッシャ液WLをまたぐ工程、(3)上記往動が終端に達した後、ワイパーブレード12を前記またいだウォッシャ液WL側に向けて復動させる工程を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウインドウ表面(W)に、ウォッシャ液(WL)を吐出するとともに、ウインドウ表面(W)に対し往復動するワイパーブレード(12)を接触させてウォッシャ液(WL)を払拭することでウインドウ表面(W)を洗浄する方法において、次の工程を含むことを特徴とするワイパー駆動方法。
(1)ウインドウ表面(W)にウォッシャ液(WL)を吐出した後、ワイパーブレード(12)をウォッシャ液(WL)側に向けて往動させる工程
(2)上記往動が終端(P1)に達する前に、往動の終端近くにおいてワイパーブレード(12)をウインドウ表面(W)から離間させ、ワイパーブレード(12)の往動側にあるウォッシャ液(WL)をまたぐ工程
(3)上記往動が終端に達した後、ワイパーブレード(12)を前記またいだウォッシャ液WL側に向けて復動させる工程
【請求項2】
ウォッシャ液(WL)が吐出された車両のウインドウ表面(W)に対し、ワイパーアーム(11)と、このワイパーアーム(11)の先端に取り付けられたワイパーブレード(12)とを有するワイパー(10)を往復動させ、ワイパーブレード(12)でウォッシャ液(WL)を払拭してウインドウ表面(W)を洗浄するのに用いられるものであって、
往動するワイパーアーム(11)の軌道を往動の終端近くにおいてウインドウ表面(W)から遠ざかる方向へ導くことで、ワイパー(10)の往動が終端に達する前に、往動の終端近くにおいてワイパーブレード(12)をウインドウ表面(W)から離間させてワイパーブレード(12)の往動側にあるウォッシャ液(WL)をまたがせるワイパーアーム誘導部(22)を備えていることを特徴とするワイパーアーム誘導装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記ワイパーアーム誘導部(22)は、往動するワイパーアーム(11)と接触してワイパーアーム(11)の軌道を往動の終端近くにおいてウインドウ表面(W)から遠ざかる方向へ導く誘導面(22c)を備えていることを特徴とするワイパーアーム誘導装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記ワイパーアーム誘導部(22)は、復動するワイパーアーム(11)に押されてワイパーアーム(11)の軌道から退避する可動部材(22)を有しており、この可動部材(22)に前記誘導面(22c)が設けられていることを特徴とするワイパーアーム誘導装置。
【請求項5】
請求項4において、
ワイパーアーム誘導部(22)は、前記可動部材(22)を、前記退避位置から、前記誘導面(22c)が往動するワイパーアーム(11)と接触してワイパーアーム(11)を誘導する誘導位置に向けて常時付勢する付勢部材(23)を備えていることを特徴とするワイパーアーム誘導装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパー駆動方法およびワイパーアーム誘導装置に関するものである。より詳しくは、車両のウインドウ表面に、ウォッシャ液を吐出するとともに、ウインドウ表面に対し往復動するワイパーブレードを接触させてウォッシャ液を払拭することでウインドウ表面を洗浄する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に見られるように、
「ウォッシャ液の噴射量とタイミングを好適に調整して消費の無駄を防止することができるワイパー洗浄装置を提供する」ことを課題とし、
「ブレードラバー1dの往動払拭側に向けてウォッシャ液を噴出する噴口7d2 ,7e2 ,7jを有するワイパーブレード1cに着脱自在に一体添着したアタッチメントノズルパイプ7を用いて車輌ガラス面Wを洗浄するに当たり、ウォッシャスイッチ6がオンになると、ワイパーブレード1cのアーム1aを設定回数分往復動させるとともに、当該アーム1aの往動ごとに1往動による払拭が55%~75%終了する迄、ウォッシャポンプ2を作動させて、ウォッシャ液の噴射量を調整する」ワイパー洗浄装置」
が記載されている(同文献要約欄)。
【0003】
しかし、この装置では、ワイパーにウォッシャ液を噴出する噴口7d2 ,7e2 ,7jを設ける必要があるため、ワイパーが非常に複雑化する。
【0004】
一方、一般に、車両のウインドウ表面を洗浄するには、例えば
図5(a)(b)(c)に示すように、車両のウインドウ表面Wに、ウォッシャ液WLを吐出するとともに、ウインドウ表面Wに対し往復動するワイパーブレード12を接触させてウォッシャ液WLを払拭することでウインドウ表面Wを洗浄する技術が知られている。
【0005】
しかしこの技術では、
図5(a)から(b)に示すようにワイパーブレード12が往動するときはウォッシャ液WLを押しやり払拭しながらウインドウ表面を洗浄するものの、ワイパーブレード12が図(b)に示す位置から反時計方向へ復動する際には、押しやられたウォッシャ液WLが図(c)に示す位置に置き去りにされた状態となるため、良好な洗浄状態は得られない。復動時にも良好な洗浄状態を得るためには新たな(図示しない)ウォッシャ液WLを吐出しなければならない。そのため、結果として多くのウォッシャ液WLが費やされることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、ウォッシャ液によるウインドウ表面の洗浄効率を高めてウォッシャ液の使用量を減らすことができるワイパー駆動方法およびワイパーアーム誘導装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明のワイパー駆動方法は、
車両のウインドウ表面に、ウォッシャ液を吐出するとともに、ウインドウ表面に対し往復動するワイパーブレードを接触させてウォッシャ液を払拭することでウインドウ表面を洗浄する方法において、次の工程を含むことを特徴とする。
(1)ウインドウ表面にウォッシャ液を吐出した後、ワイパーブレードをウォッシャ液側に向けて往動させる工程
(2)上記往動が終端に達する前に、往動の終端近くにおいてワイパーブレードをウインドウ表面から離間させ、ワイパーブレードの往動側にあるウォッシャ液をまたぐ工程
(3)上記往動が終端に達した後、ワイパーブレードを前記またいだウォッシャ液側に向けて復動させる工程
【0009】
このワイパー駆動方法によれば、次のような作用効果が得られる。
(1)ウインドウ表面にウォッシャ液を吐出した後、ワイパーブレードをウォッシャ液側に向けて往動させる工程により、往動するワイパーブレードによってウォッシャ液が押しやられつつウインドウ表面が洗浄される。
(2)上記往動が終端に達する前に、往動の終端近くにおいてワイパーブレードをウインドウ表面から離間させ、ワイパーブレードの往動側にあるウォッシャ液をまたぐ工程により、ウォッシャ液をまたいだワイパーブレードが往動の終端に達し、その結果、ウォッシャ液はワイパーブレードの復路側に位置することとなる。
(3)上記往動が終端に達した後、ワイパーブレードを前記またいだウォッシャ液側に向けて復動させる工程により、復動するワイパーブレードによってウォッシャ液が押しやられつつウインドウ表面が洗浄される。
【0010】
以上から明らかなように、本発明のワイパー駆動方法によれば、ワイパーブレードが往動するときだけでなく復動するときもウォッシャ液を押しやり払拭しながらウインドウ表面を洗浄することができるので、ウォッシャ液によるウインドウ表面の洗浄効率を高めてウォッシャ液の使用量を減らすことができる。
【0011】
上記課題を解決するために本発明のワイパーアーム誘導装置は、
ウォッシャ液が吐出された車両のウインドウ表面に対し、ワイパーアームと、このワイパーアームの先端に取り付けられたワイパーブレードとを有するワイパーを往復動させ、ワイパーブレードでウォッシャ液を払拭してウインドウ表面を洗浄するのに用いられるものであって、
往動するワイパーアームの軌道を往動の終端近くにおいてウインドウ表面から遠ざかる方向へ導くことで、ワイパーの往動が終端に達する前に、往動の終端近くにおいてワイパーブレードをウインドウ表面から離間させてワイパーブレードの往動側にあるウォッシャ液をまたがせるワイパーアーム誘導部を備えていることを特徴とする。
【0012】
このワイパーアーム誘導装置は、上記の構成となっているので、次のような作用効果が得られる。
ウォッシャ液が吐出された車両のウインドウ表面に対し、ワイパーアームと、このワイパーアームの先端に取り付けられたワイパーブレードとを有するワイパーを往復動させ、ワイパーブレードでウォッシャ液を払拭してウインドウ表面を洗浄する際、
ウインドウ表面のウォッシャ液を押しやりながら往動するワイパーアームの軌道が、ワイパーアーム誘導部により、往動の終端近くにおいてウインドウ表面から遠ざかる方向へ導かれ、ワイパーの往動が終端に達する前に、往動の終端近くにおいてワイパーブレードがウインドウ表面から離間させられてワイパーブレードの往動側にあるウォッシャ液をまたぐこととなる。
そのため、復動するワイパーブレードによってもウォッシャ液が押しやられつつウインドウ表面が洗浄される。
したがって、本発明のワイパーアーム誘導装置によれば、ワイパーブレードが往動するときだけでなく復動するときもウォッシャ液を押しやり払拭しながらウインドウ表面を洗浄することができるので、ウォッシャ液によるウインドウ表面の洗浄効率を高めてウォッシャ液の使用量を減らすことができる。
【0013】
このワイパーアーム誘導装置においては、
前記ワイパーアーム誘導部は、往動するワイパーアームと接触してワイパーアームの軌道を往動の終端近くにおいてウインドウ表面から遠ざかる方向へ導く誘導面を備えている構成とすることができる。
このように構成すると、上記誘導面を設けるという簡単な構造でワイパーアーム誘導部を構成することができる。
【0014】
このワイパーアーム誘導装置においては、
前記ワイパーアーム誘導部は、復動するワイパーアームに押されてワイパーアームの軌道から退避する可動部材を有しており、この可動部材に前記誘導面が設けられている構成とすることができる。
このように構成すると、往動するワイパーアームが可動部材に設けられた誘導面によって上記の通り誘導される一方、復動するワイパーアームの軌道は可動部材の退避により阻害されないこととなるので、ワイパーアームの円滑な復動を得ることができる。
【0015】
このワイパーアーム誘導装置においては、
ワイパーアーム誘導部は、前記可動部材を、前記退避位置から、前記誘導面が往動するワイパーアームと接触してワイパーアームを誘導する誘導位置に向けて常時付勢する付勢部材を備えている構成とすることができる。
このように構成すると、簡単な構造で可動部材の退避機構を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)~(d)は本発明に係るワイパー駆動方法ないしワイパーアーム誘導装置の実施の形態の説明図。
【
図2】(a)はワイパーの正面図、(b)は右側面図、(c)はウインドウ表面から離間した状態の右側面図。
【
図3】本発明に係るワイパーアーム誘導装置の実施の形態を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は図(b)におけるe-e端面図、(f)は図(a)におけるf-f断面図、(g)は変形例を示す断面図。
【
図4】(a)~(e)は作動説明図で、
図2における矢印4方向から見た概略図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るワイパー駆動方法ないしワイパーアーム誘導装置の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。
【0018】
この実施の形態のワイパー駆動方法は、例えば
図1に示すように、
車両のウインドウ表面Wに、ウォッシャ液WLを吐出するとともに、ウインドウ表面Wに対し往復動するワイパーブレード12を接触させてウォッシャ液WLを払拭することでウインドウ表面Wを洗浄する方法であって、次の工程を含んでいる。
【0019】
(1)
図1(a)に示すように、ウインドウ表面Wにウォッシャ液WLを吐出した後、
図1(a)から(b)に示すようにワイパーブレード12をウォッシャ液WL側に向けて往動させる工程
【0020】
(2)
図1(b)の実線から仮想線で示すように(また矢印bで示すように)上記往動が終端(図(c)のP1位置)に達する前に、往動の終端(P1)近くにおいてワイパーブレード12をウインドウ表面Wから矢印bで示すように離間させ(
図2(c)参照)、ワイパーブレード12の往動側にあるウインドウ表面W上のウォッシャ液WLをまたぐ工程
【0021】
(3)
図1(c)に示すように上記往動が終端(P1位置)に達した後、
図1(c)から(d)に示すようにワイパーブレード12を、またいだウォッシャ液WL側(図では反時計側)に向けて復動させる工程
【0022】
このワイパー駆動方法によれば、次のような作用効果が得られる。
(1)
図1(a)から(b)に示すように、ウインドウ表面Wにウォッシャ液WLを吐出した後、ワイパーブレード12をウォッシャ液WL側に向けて往動させる工程により、往動するワイパーブレード12によってウォッシャ液WLが押しやられつつウインドウ表面Wが洗浄される。
【0023】
(2)
図1(b)の実線から仮想線で示すように(また矢印bで示すように)上記往動が終端(P1位置)に達する前に、往動の終端(P1)近くにおいてワイパーブレード12をウインドウ表面Wから矢印bで示すように離間させ、ワイパーブレード12の往動側にあるウインドウ表面W上のウォッシャ液WLをまたぐ工程により、ウォッシャ液WLをまたいだワイパーブレード12が往動の終端(P1位置)に達し、その結果、
図1(c)に示すようにウォッシャ液WLはワイパーブレード12の復路側に位置することとなる。
【0024】
(3)
図1(c)に示すように上記往動が終端(P1位置)に達した後、
図1(c)から(d)に示すようにワイパーブレード12を、またいだウォッシャ液WL側(図では反時計側)に向けて復動させる工程により、復動するワイパーブレード12によってウォッシャ液WLが押しやられつつウインドウ表面Wが洗浄される。
【0025】
以上から明らかなように、この実施の形態のワイパー駆動方法によれば、ワイパーブレード12が往動するときだけでなく復動するときもウォッシャ液WLを押しやり払拭しながらウインドウ表面Wを洗浄することができるので、ウォッシャ液WLによるウインドウ表面Wの洗浄効率を高めてウォッシャ液WLの使用量を減らすことができる。
【0026】
本発明のワイパー駆動方法において、ワイパーブレードを、往動側にあるウォッシャ液をまたがせるように駆動する手段は、カム機構、リンク機構等、適宜の機構で実現することができる。下記の装置における機構は、その一例である。
【0027】
図1~
図4に示すように、この実施の形態のワイパーアーム誘導装置20は、
ウォッシャ液WLが吐出された車両のウインドウ表面Wに対し、ワイパーアーム11と、このワイパーアーム11の先端に取り付けられたワイパーブレード12とを有するワイパー10を往復動させ、ワイパーブレード12でウォッシャ液WLを払拭してウインドウ表面Wを洗浄するのに用いられるものであって、
往動するワイパーアーム11の軌道を往動の終端近くにおいて、
図1(b)、
図2(c)、
図4(b)に示すようにウインドウ表面Wから遠ざかる方向(矢印b方向)へ導くことで、ワイパー10の往動が終端(P1)に達する前に、往動の終端近くにおいてワイパーブレード12をウインドウ表面Wから離間させてウインドウ表面W上のウォッシャ液WLをまたがせるワイパーアーム誘導部22を備えている。
【0028】
このワイパーアーム誘導装置は、上記の構成となっているので、次のような作用効果が得られる。
【0029】
図1に示すように、ウォッシャ液WLが吐出された車両のウインドウ表面Wに対し、ワイパーアーム11と、このワイパーアーム11の先端に取り付けられたワイパーブレード12とを有するワイパー10を往復動させ、ワイパーブレード12でウォッシャ液WLを払拭してウインドウ表面Wを洗浄する際、
ウインドウ表面Wのウォッシャ液WLを押しやりながら往動するワイパーアーム11の軌道が、ワイパーアーム誘導部22により、往動の終端近くにおいて、
図1(b)、
図2(c)、
図4(b)に示すようにウインドウ表面Wから遠ざかる方向へ導かれ、ワイパー10の往動が終端(P1)に達する前に、往動の終端近くにおいてワイパーブレード12がウインドウ表面Wから離間させられてウインドウ表面W上のウォッシャ液WLをまたぐこととなる(
図1(b)、
図2(c)参照)。
【0030】
そのため、
図1(d)に示すように、復動するワイパーブレード12によってもウォッシャ液WLが押しやられつつウインドウ表面Wが洗浄される。
【0031】
したがって、この実施の形態のワイパーアーム誘導装置20によれば、ワイパーブレード12が往動するときだけでなく復動するときもウォッシャ液WLを押しやり払拭しながらウインドウ表面Wを洗浄することができるので、ウォッシャ液WLによるウインドウ表面Wの洗浄効率を高めてウォッシャ液WLの使用量を減らすことができる。
【0032】
図3、
図4(a)(b)に示すように、ワイパーアーム誘導部22は、往動するワイパーアーム11と接触してワイパーアーム11の軌道を往動の終端近くにおいてウインドウ表面Wから遠ざかる方向(矢印b方向)へ導く誘導面22cを備えている。
【0033】
このように構成すると、上記誘導面22cを設けるという簡単な構造でワイパーアーム誘導部22を構成することができる。
【0034】
ワイパーアーム誘導部22は、
図4(c)~(e)に示すように復動するワイパーアーム11に押されてワイパーアーム11の軌道Tから退避する可動部材(22)を有しており、この可動部材(22)に前記誘導面22cが設けられている。
【0035】
このように構成すると、往動するワイパーアーム11が可動部材(22)に設けられた誘導面22cによって上記の通り誘導される一方、復動するワイパーアーム11の軌道Tは可動部材(22)の退避により阻害されないこととなるので、ワイパーアーム11の円滑な復動を得ることができる。
【0036】
ワイパーアーム誘導部22は、可動部材(22)を、前記退避位置(
図4(d)(e))から、前記誘導面22cが往動するワイパーアーム11と接触してワイパーアーム11を誘導する誘導位置(
図4(a)(b))に向けて常時付勢する付勢部材23を備えている(
図3(f))。
【0037】
このように構成すると、簡単な構造で可動部材(22)の退避機構を構成することができる。
【0038】
以上の説明においてワイパー10は一つだけ代表させて描いてあるが、ワイパー10が左右に設けられる場合には、ワイパーアーム誘導装置20も左右に設けられる。
【0039】
ワイパーアーム誘導装置は、往動するワイパーアーム11の軌道を往動の終端近くにおいて、
図1(b)、
図2(c)、
図4(b)に示すようにウインドウ表面Wから遠ざかる方向(矢印b方向)へ導くことで、ワイパー10の往動が終端(P1)に達する前に、往動の終端近くにおいてワイパーブレード12をウインドウ表面Wから離間させてウインドウ表面W上のウォッシャ液WLをまたがせるワイパーアーム誘導部22を備えているものであれば、ワイパーおよびワイパーアームの形状、構造に応じて適宜の形状、構造のものを採用し得る。
【0040】
この実施の形態では、
図2に示すように、駆動軸15と、この駆動軸15に取り付けられていて駆動軸15の駆動で往復動する基部16と、この基部16にピン17で回動可能に取り付けられたワイパーアーム11と、このワイパーアーム11の先端部分にピン12pで揺動可能に取り付けられたワイパーブレード12とを有する、一般的なワイパー10を対象としているが、ワイパーブレードをウインドウ表面Wから離間させ得る構造のワイパーに対して本発明は適用可能である。
【0041】
図3に示すように、この実施の形態のワイパーアーム誘導装置20は、車両の適所、例えばワイパーアーム11の回動軌道中に位置するウインドウ表面Wに取り付け可能な基台21と、この基台21の傾斜面21tに沿ってスライド可能に設けられた可能部材からなるワイパーアーム誘導部22とを備えている。
【0042】
基台21の傾斜面21tに沿ってワイパーアーム誘導部22をスライド可能に案内するガイド機構は、適宜の構造を採用できる。この実施の形態では、
図3(e)に示すように、基台21に設けたガイド溝21gにワイパーアーム誘導部22の下面に設けたフック状の被案内部22fをスライド可能にはめ合わせることでガイド機構を構成している。
【0043】
基台21およびワイパーアーム誘導部22は適宜の公知の材料、例えば、金属や合成樹脂で構成することができる。
ワイパーアーム誘導装置20は、基台21を適宜の手段、例えば接着により車体に固定することで車体に取り付けることができる。
【0044】
誘導面22cは、
図3に示すように、側面視で(ワイパーの回動方向から見て)、ウインドウ表面から遠ざかる方向に突状の湾曲面となっているが、ワイパーアームの形状に応じて適切な形状とすることができる。
【0045】
ワイパーアーム誘導部(可動部材)22を、付勢する付勢部材23としては、例えば、
図3(f)に示すような圧縮バネを採用することができる。また、基台21や可動部材(22)の形状によっては、例えば
図3(g)に示すような板バネを採用することもできる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【0047】
なお、本願発明において、ワイパー10ブレードの往動側にあるウォッシャ液をまたぐ工程は、ワイパー10ブレードの往動側にあるウォッシャ液の大部分をまたぐことが望ましいが、必ずしも大部分のウォッシャ液をまたぐ必要はなく、ワイパー10ブレードの復動においてウォッシャ液を押しやりながらウインドウ表面を洗浄することができる量のウォッシャ液をまたげば足りる。
【符号の説明】
【0048】
10: ワイパー
11: ワイパーアーム
12: ワイパーブレード
20: ワイパーアーム誘導装置
22: ワイパーアーム誘導部(可動部材)
22c: 誘導面
23: 付勢部材