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  • 特開-トンネル施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007018
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】トンネル施工方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/00 20060101AFI20240111BHJP
   E21D 11/10 20060101ALI20240111BHJP
   G01C 7/06 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
E21D9/00 Z
E21D11/10 D
G01C7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108137
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】市田 雄行
(72)【発明者】
【氏名】大塚 勇
(72)【発明者】
【氏名】池田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中田 祐輔
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BB02
2D155DB00
(57)【要約】
【課題】3Dスキャナを用いた計測結果を視覚的に確認しながらトンネル施工を行うことを可能としたトンネル施工方法を提案する。
【解決手段】計測対象区間の掘削を行う第一掘進工程と、計測対象区間において3Dスキャナによりトンネル壁面の点群データを計測して第一点群データを入手する第一計測工程と、計測対象区間の前方の区間の掘削を行う第二掘進工程と、計測対象区間において3Dスキャナによりトンネル壁面の点群データを計測して第二点群データを入手する第二計測工程と、第一点群データと第二点群データとの差分を算出する差分点群データ作成工程と、差分を利用して拡張現実モデルを作成するとともに拡張現実モデルを表示手段に表示する拡張現実表示工程とを備えるトンネル施工方法。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象区間の掘削を行う第一掘進工程と、
前記計測対象区間において、3Dスキャナによりトンネル壁面の点群データを計測して第一点群データを入手する第一計測工程と、
前記計測対象区間において、3Dスキャナによりトンネル壁面の点群データを再度計測して第二点群データを入手する第二計測工程と、
前記第一点群データと前記第二点群データとの差分を算出する差分点群データ作成工程と、
前記差分を利用して拡張現実モデルを作成するとともに、前記拡張現実モデルを表示手段に表示する拡張現実表示工程と、を備えることを特徴とする、トンネル施工方法。
【請求項2】
計測対象区間の掘削を行う第一掘進工程と、
前記計測対象区間において、3Dスキャナによりトンネル壁面の点群データを計測して第一点群データを入手する第一計測工程と、
前記計測対象区間の前方の区間の掘削を行う第二掘進工程と、
前記計測対象区間において、3Dスキャナによりトンネル壁面の点群データを計測して第二点群データを入手する第二計測工程と、
前記第一点群データと前記第二点群データとの差分を算出する差分点群データ作成工程と、
前記差分を利用して拡張現実モデルを作成するとともに、前記拡張現実モデルを表示手段に表示する拡張現実表示工程と、を備えることを特徴とする、トンネル施工方法。
【請求項3】
計測対象区間の上半の掘削を行う第一掘進工程と、
前記計測対象区間において、3Dスキャナによりトンネル壁面の点群データを計測して第一点群データを入手する第一計測工程と、
前記計測対象区間の下半の掘削を行う第二掘進工程と、
前記計測対象区間において、3Dスキャナによりトンネル壁面の点群データを計測して第二点群データを入手する第二計測工程と、
前記第一点群データと前記第二点群データとの差分を算出する差分点群データ作成工程と、
前記差分を利用して拡張現実モデルを作成するとともに、前記拡張現実モデルを表示手段に表示する拡張現実表示工程と、を備えることを特徴とする、トンネル施工方法。
【請求項4】
計測対象区間の掘削を行う第一掘進工程と、
前記計測対象区間において、3Dスキャナによりトンネル壁面の点群データを計測して第一点群データを入手する第一計測工程と、
前記計測対象区間のインバートの掘削を行う第二掘進工程と、
前記計測対象区間において、3Dスキャナによりトンネル壁面の点群データを計測して第二点群データを入手する第二計測工程と、
前記第一点群データと前記第二点群データとの差分を算出する差分点群データ作成工程と、
前記差分を利用して拡張現実モデルを作成するとともに、前記拡張現実モデルを表示手段に表示する拡張現実表示工程と、を備えることを特徴とする、トンネル施工方法。
【請求項5】
前記表示手段は、携帯端末であって、
前記拡張現実表示工程では、トンネル壁面に前記拡張現実モデルを重ね合わせた映像を前記表示手段に表示することを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のトンネル施工方法。
【請求項6】
前記第一計測工程前に、前記第一掘進工程により露出した地山面に吹付けコンクリートを吹き付ける吹付工程を備えており、
前記差分は、地山の変位量であることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のトンネル施工方法。
【請求項7】
前記第一計測工程前に、
前記第一掘進工程により露出した地山面を3Dスキャナにより計測して初期点群データを入手する初期計測工程と、
前記第一掘進工程により露出した地山面に吹付けコンクリートを吹き付ける吹付工程と、をさらに備えていることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のトンネル施工方法。
【請求項8】
前記第一点群データと設計断面との差分を算出する出来形確認工程をさらに備えていることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のトンネル施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dスキャナを用いたトンネル施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル施工では、地山・坑内の変位測定(A計測)や支保部材等の応力測定(B計測)を定期的に行うことで、工事の安全性および品質を確保している。定期的にトンネルの状況を測定すれば、計測箇所近傍の地山状況を評価あるいは予測することができるとともに、支保構造の適否を判断することができる。A計測は、一定間隔(20~30m)ごとに管理断面を設定し、管理断面においてトンネルの頂部や側壁部等に設けたターゲットの座標をトータルステーション等の測距儀により測定するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
従来の変位測定では、1断面において5点程度の測定を行うのが一般的であるが、5点の測定データだけではトンネルの内空変位を面的に把握することは困難である。そのため、3Dスキャナを用いた三次元点群データの計測を行う場合がある。ところが、3Dスキャナを用いた計測であっても、二次元的な評価に止まっており、三次元的な可視化手法は確立されていない。
そこで、本出願人は、三次元的な可視化手法として、計測データから作成した画像ファイルをプロジェクターにより切羽面に投影することで、切羽と計測データとの視覚的な比較を容易にしたトンネル施工方法を開示している(特許文献2参照)。特許文献2のトンネル施工方法は、プロジェクターで切羽面に画像データを投影するため、作業前の情報共有を可能としている。
一方、作業途中に切羽面において照合確認することは困難である。また、プロジェクターによる画像ファイルの投影は、ほぼ平面形状の切羽には可能であるものの、トンネル壁面などの曲面を持つ面に対しては適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-99670号公報
【特許文献2】特許第6959020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような観点から、本発明は、3Dスキャナを用いた計測結果を視覚的に確認しながらトンネル施工を行うことを可能としたトンネル施工方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明のトンネル施工方法は、計測対象区間の掘削を行う第一掘進工程と、前記計測対象区間において3Dスキャナによりトンネル壁面の点群データを計測して第一点群データを入手する第一計測工程と、前記計測対象区間において、3Dスキャナによりトンネル壁面の点群データを再度計測して第二点群データを入手する第二計測工程と、前記第一点群データと前記第二点群データとの差分を算出する差分点群データ作成工程と、前記差分を利用して拡張現実モデルを作成するとともに前記拡張現実モデルを表示手段に表示する拡張現実表示工程とを備えている。前記拡張現実表示工程では、トンネル壁面に前記拡張現実モデルを重ね合わせた映像を携帯端末である前記表示手段に表示するのが望ましい。なお、第二計測工程を実施するタイミングは、第一計測工程後であれば、限定されるものではなく、例えば、第一計測工程を実施した後に、何らかの原因により中断していた作業を再開する際に実施してもよい。また、第二計測工程は、第一計測工程の後に、計測対象区間の前方の区間を掘削する第二掘進工程の後に実施してもよい。また、第一掘進工程において計測対象区間の上半を掘進する場合には、第二計測工程は、計測対象区間の下半を掘削する第二掘進工程後に実施すればよい。さらに、第二計測工程は、第一掘進工程において掘削した区間(計測対象区間)のインバート掘削を行う第二掘進工程後に実施してもよい。
なお、前記第一掘進工程により露出した地山面に吹付けコンクリートを吹き付ける吹付工程を前記第一計測工程前に備えている場合には、前記差分は地山の変位量である。
【0006】
かかるトンネル施工方法によれば、3Dスキャナを用いて三次元点群データを取得するため、トータルステーションを用いた計測では捉えられなかった連続的なデータを捉えることが可能となる。また、拡張現実モデルを切羽やトンネル壁面の撮影データに重ねた状態でタブレット等の表示手段に重ねて表示することができる。そのため、トンネルの施工状況や変位等を、視覚的に確認しながらトンネル施工を行うことができる。
なお、前記第一計測工程前に、前記第一掘進工程により露出した地山面を3Dスキャナにより計測して初期点群データを入手する初期計測工程と、前記第一掘進工程により露出した地山面に吹付けコンクリートを吹き付ける吹付工程とをさらに備えていてもよい。この場合には、初期点群データと第一点群データとの差分により吹付厚を算出することができる。または、初期点群データを利用して、余掘りおよびアタリの量を把握することも可能となる。
また、前記第一点群データと設計断面との差分を算出する出来形確認工程をさらに備えていれば、余掘りおよびアタリの量を把握することができ、出来形の確認が可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のトンネル施工方法によれば、3Dスキャナを用いた計測結果を視覚的に確認しながらトンネル施工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るトンネル施工方法の手順を示すフローチャートである。
図2】第一点群データと第二点群データとの差分を示すイメージ図である。
図3】表示手段に表示された拡張現実モデルをトンネル壁面の撮影データに重ねた画像のイメージ図である。
図4】他の形態に係るトンネル施工方法の概要を示す説明図であって、(a)は第一計測工程、(b)は第二計測工程である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態では、山岳トンネルの施工において、トータルステーションを用いたA計測に代えて、3Dスキャナを用いて定期的にトンネルの壁面形状を測定して内空変位を確認しながら掘進するトンネル施工方法について説明する。
本実施形態では、発破工法によりトンネルを掘削する場合について説明する。トンネルの掘削は、切羽に装薬孔を削孔して、装薬孔に爆薬を装填する装填ステップと、爆薬の発破により岩盤を破砕して掘削を行う掘削ステップと、ズリ(発破により発生した「岩石、鉱物、土砂等」の総称)を排出するズリ出しステップと、掘削により露出した地山面に吹付けコンクリートを吹き付ける吹付ステップと、ロックボルトを設置するロックボルトステップを1サイクルとする。1サイクルの掘進長は1.0~1.2m程度とする。なお、吹付ステップと同時期に鋼製支保工を設置する鋼製支保工ステップを必要とする場合もある。
【0010】
図1にトンネル施工方法を示す。本実施形態のトンネル施工方法は、図1に示すように、第一掘進工程S1と、初期計測工程S2と、吹付工程S3と、第一計測工程S4と、第二掘進工程S5と、第二計測工程S6と、差分点群データ作成工程S7と、拡張現実表示工程S8と、出来形確認工程S9とを備えている。
第一掘進工程S1は、計測対象区間の掘削を行う工程である。すなわち、装填ステップおよび掘削ステップを実施して、計測対象区間におけるトンネル掘削を行う。
初期計測工程S2は、計測対象区間において、3Dスキャナによりトンネル壁面の点群データを計測して初期点群データを入手する工程である。すなわち、3Dスキャナを用いて、トンネル壁面(地山面)の三次元座標を測定する。測定結果(初期点群データ)は、コンピュータ等の記憶手段に保存する。
【0011】
3Dスキャナによる測定は、切羽から掘削等を退避させて、孔内に3Dスキャナを据え付けた状態で行う。3Dスキャナは、測定対象物(トンネル壁面)に対してレーザー光を照射して、当該レーザー光の反射光が3Dスキャナに到達するまでの時間や、反射光の角度等を解析することにより、測定対象物の3次元データ(形状)を取得するものである。すなわち、3Dスキャナによる測定は、大量の点群データを処理することにより、面的な形状をとらえるものである。
【0012】
吹付工程S3は、第一掘進工程により露出した地山面に吹付けコンクリートを吹き付ける工程である(吹付ステップ)。吹付けコンクリートは、所定の厚みを確保できるように、トンネル壁面全体に対して行う。なお、吹付工程S3では、必要に応じて鋼製支保工を設置する場合もある。
第一計測工程S4は、計測対象区間において、3Dスキャナによりトンネル壁面の点群データを計測して第一点群データを入手する工程である。すなわち、3Dスキャナを用いて、トンネル壁面(吹付けコンクリートの表面)の三次元座標を測定する。第一計測工程S4は、切羽から吹付け機が退避してから行う。測定結果(第一点群データ)は、記憶手段に保存する。
【0013】
第二掘進工程S5は、計測対象区間の前方の区間に対して掘削を行う工程である。すなわち、装填ステップおよび掘削ステップを実施して、計測対象区間の前方の第二掘削区間におけるトンネル掘削を行う。
第二計測工程S6は、計測対象区間において、3Dスキャナによりトンネル壁面の点群データを計測して第二点群データを入手する工程である。すなわち、3Dスキャナを用いて、トンネル壁面(地山面)の三次元座標を測定する。測定結果(第二点群データ)は、記憶手段に保存する。本実施形態では、第二掘削区間における吹付けコンクリートの吹き付け後、吹付機が切羽から退避してから第二計測工程S6を実施する。なお、第二計測工程S6において3Dスキャナを用いてトンネル壁面を測定する際には、トンネル壁面にターゲットを設置しておく。ターゲットの材質や形状は、トンネル壁面の他の部分よりも変位量が大きくなる凸面を形成することが可能であれば限定されるものではない。本実施形態では、ターゲットとして、紙製の平板をトンネル壁面に貼り付けた状態で、第二点群データを入手する。
【0014】
差分点群データ作成工程S7は、第一点群データと第二点群データとの差分を算出する工程である。第一点群データと第二点群データとの差分を算出することで、第一掘進工程S1から第二掘進工程S5までの間における地山の変位量が算出される(図2参照)。差分データ(地山の変位量)は、記憶手段に保存する。なお、図2は地山の変位量を示すイメージ図である。
本実施形態では、第一点群データの各点で構成するサーフェスデータ(面データ)を作成し、「第二点群データの各点」と「第一点群データによるサーフェスデータ」の距離を求めることで、差分データを算出している。ただし、差分データの作成方法は限定されるものではない。
拡張現実表示工程S8は、差分データを利用して拡張現実モデルを作成するとともに、拡張現実モデルを表示手段に表示する工程である。本実施形態の表示手段は、タブレット端末等の携帯端末を使用する。拡張現実表示工程S8では、トンネル壁面の撮影画像に拡張現実モデルを重ね合わせた映像を表示手段に表示する(図3参照)。すなわち、切羽近傍における作業中であっても、トンネル壁面と計測データとを重ね合わせた映像を表示手段で確認することができる。このとき、変位量は、色彩で大きさを表示するのが望ましい。拡張現実モデルをトンネル壁面の撮影画像に重ねる際は、トンネル壁面に設置されたターゲットに、拡張現実モデルに現れたターゲットの凸面を重ねることにより行えばよい。なお、図3は、表示手段に表示した画像のイメージ図である。トンネル壁面と計測データとを重ね合わせた映像は、複数個所において、複数の人が同時に確認することができる。
【0015】
出来形確認工程S9は、測定データ(初期点群データ、第一点群データまたは第二点群データ)と、設計断面との差分を算出する工程である。
すなわち、初期点群データと設計掘削断面との差分を算出することで、掘削断面の設計掘削断面に対する余掘り量およびアタリ量が算出される。これをトンネル壁面の撮影画像に重ね合わせることで、設計断面に対する余掘り量およびアタリ量を可視化できる。これにより、余掘りおよびアタリの量を面的に把握することができれば、吹付けコンクリート量の算出や次掘削工程以降の余掘り管理(削孔の差し角、孔数や装薬量の調整)等に利用可能である。掘削断面が設計断面に限りなく近い形状で施工できると、吹付けコンクリート数量やズリ発生量の縮減、または施工のサイクルタイム向上等の効果が期待できる。
また、第一点群データまたは第二点群データと設計吹付断面との差分を算出することで設計吹付断面に対する余掘り量およびアタリ量を算出してもよい。吹付後のトンネル壁面の設計断面に対する余掘り量およびアタリ量を把握することができれば、覆工コンクリートのコンクリート量の算出に利用可能である。
【0016】
本実施形態のトンネル施工方法によれば、3Dスキャナを用いて三次元点群データを取得するため、トータルステーションを用いた計測では捉えられなかった連続的なデータをとらえることが可能となる。
また、切羽やトンネル壁面の撮影画像に拡張現実モデルを重ねた状態でタブレット等の表示手段に重ねて表示することができる。そのため、トンネルの施工状況や変位等を、視覚的に確認しながらトンネル施工を行うことができる。
なお、初期点群データと第一点群データとの差分を算出すれば、吹付厚の可視化が可能となる。
【0017】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
前記実施形態では、発破工法により掘進する場合について説明したが、トンネルの掘削方法は限定されるものではなく、例えば、機械式掘削工法であってもよい。
前記実施形態では、初期点群データを測定するものとしたが、初期計測工程は必要に応じて行えばよい。
前記実施形態では、吹付けコンクリートの吹き付け後にロックボルトを打設する場合について説明したが、吹付けコンクリートとロックボルトの施工順序は限定されるものではなく、例えば、吹付けコンクリートを2回に分けて吹付ける場合には、一次吹付後にロックボルトを打設し、その後、二次吹付を行ってもよい。
前記実施形態では、切羽から吹付機を退避させてから計測(第一計測工程、第二計測工程)を行うものとしたが、計測のタイミングはこれに限定されるものではなく、例えば、吹付機が切羽近傍にある状態で実施してもよい。
なお、計測対象区間を日進距離程度とする場合には、図4(a)に示すように、計測対象区間を掘進した日の作業終了時に第一計測工程を実施し、翌日の計測対象区間前方の区間(図4(b)参照)の作業終了時に第二計測工程を実施すればよい。すなわち、第一計測工程は、装填ステップ~ロックボルトステップ(または吹付ステップ)を1サイクルとする施工サイクルを複数回繰り返してから実施してもよい。なお、計測対象区間の計測延長は限定されるものではなく、3Dスキャナで計測精度を十分に確保できる範囲内で、計測延長を任意に設定すればよい。
前記実施形態では、第一掘進工程において計測対象区間の掘削を行い、第二掘進工程において計測対象区間の前方の区間を掘進するものとしたが、施工手順はこれに限定されるものではない。例えば、第一掘進工程において上半を掘削し、第二掘進工程において下半を掘削してもよい。また、第二掘進工程では、第一掘進工程において掘削した区間(計測対象区間)のインバートを掘削してもよい。
また、第二計測工程は、第二掘進工程後に限定されるものではなく、第一計測工程S4後に作業が中断した場合において、作業再開時に実施してもよい。
トンネルの支保構造は、地山状況に応じて決定するものとし、これに伴い、施工サイクルに含まれるステップは適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0018】
S1 第一掘進工程
S2 初期計測工程
S3 吹付工程
S4 第一計測工程
S5 第二掘進工程
S6 第二計測工程
S7 差分点群データ作成工程
S8 拡張現実表示工程
S9 出来形確認工程
図1
図2
図3
図4