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  • 特開-ドリップ吸収シート 図1
  • 特開-ドリップ吸収シート 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070187
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】ドリップ吸収シート
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/26 20060101AFI20240515BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
B65D81/26 H
B65D85/50 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022192343
(22)【出願日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】591287233
【氏名又は名称】ベストプロダクツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井原 徳久
【テーマコード(参考)】
3E035
3E067
【Fターム(参考)】
3E035AA04
3E035AA05
3E035AB03
3E035BC02
3E035BD03
3E035CA07
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB02
3E067AB04
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067CA09
3E067EA09
3E067GB09
(57)【要約】
【課題】 肉や魚から滲みだしたドリップを吸収する機能は有していながらも、一旦吸収したドリップが再び肉や魚に接触することがなく、しかも表面に少量のドリップが残存していても肉や魚の入ったトレイ入り商品の見た目が悪くなることがないドリップ吸収シートに関するものである。
【解決手段】 表面が合成樹脂フィルム1、裏面が透過性膜2であって、四辺が接合されてなる袋の内部にシート状吸収体3が封入された形状のドリップ吸収シート10において、食品接触面である表面の合成樹脂フィルム1が着色されており、且つドリップ透過用の孔を有していないことを特徴とするドリップ吸収シート10であり、特に合成樹脂フィルム1が黒色、緑色、ピンク色、または乳白色いずれかに着色されていることが好ましい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が合成樹脂フィルム1、裏面が透過性膜2であって、四辺が接合されてなる袋の内部にシート状吸収体3が封入された形状のドリップ吸収シート10において、食品接触面である表面の合成樹脂フィルム1が着色されており、且つドリップ透過用の孔を有していないことを特徴とするドリップ吸収シート10。
【請求項2】
前記合成樹脂フィルム1が黒色、緑色、ピンク色、または乳白色のいずれかに着色されていることを特徴とする請求項1記載のドリップ吸収シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉や魚などの食品から滲出するドリップを吸収するドリップ吸収シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、肉や魚を小分けしてトレイに入れラップフィルムで包装して販売することがスーパーマーケットなどで行われている。ところで、このトレイ入りの肉や魚を陳列棚に長時間放置すると肉や魚から滲みだしたドリップがトレイに溜まり、細菌が繁殖しやすい溜まったドリップに接触することで肉や魚の鮮度が低下するという問題や、ドリップの赤色によって商品自体の見た目を損なうという問題があった。このようなことから、通常、肉や魚をトレイに入れる場合は、肉や魚の下にドリップ吸収シートを敷いてドリップを吸収させることが行われていた。
【0003】
ドリップ吸収シートとしては、パルプなどの親水性繊維で形成された不織布やウレタンフォームのシートからなる単層のものよく使用されている。しかしながら、単層のドリップ吸収シートは、表面が常にドリップで濡れた状態となっているばかりか、荷重がかかると吸収したドリップが内部から滲みだすのでドリップが肉や魚に接触してしまうという問題があった。また、ドリップ吸収シートがドリップを吸収してドリップの色に染まるので見た目も悪くなるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するものとして、例えば、微細な孔を形成したプラスチックフィルムを、不織布からなる吸収体に貼り合わせた二層構造のドリップ吸収フィルが提案されている。これは、滲みだしたドリップはフィルムの微細な孔を通って吸収体に移行するので、肉や魚の食品はドリップとは直接接触しないというものである。更に、特許文献1には、吸収体と網体とを具備してなるドリップ吸収シートが上記微細な孔を形成したフィルムに比べてドリップを速やかに吸収体に吸収させることができることが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、特許文献1のドリップ吸収シートでは、厚さ方向に荷重がかけられた際に一旦吸収したドリップが網体の穴を通って食品側に戻って接触してしまうという問題があり、それを解決するものとして、吸収シートに吸収されたドリップが、食品に戻りにくい形状の液透過性シートを使用したドリップ吸収シートが記載されている。
【0006】
以上述べたように、これまで提案されたドリップ吸収シートは、食品とドリップを含む吸収体とが直接接触しないように吸収体表面にフィルムを積層すること、そしてどの様な孔を形成すれば、肉や魚からドリップを速やかに吸収体に向かって透過させ、しかも吸収体側から食品側へのドリップの逆流はし難くなるか工夫したものであった。しかしながら、いかなる形状、構造としたとしてもドリップが逆流するのを完全に防止することは困難であった。また、少量のドリップがドリップ吸収シート表面に残存することを防止することも不可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平09-086569号公報
【特許文献2】特許第6320613号号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、肉や魚の食品から滲みだしたドリップを吸収する機能は有していながらも、一旦吸収したドリップが再び食品と接触することがなく、しかも表面に少量のドリップが残存していた場合でも食品の入ったトレイ入り商品の見た目が悪くなることがないドリップ吸収シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討した結果、ドリップ吸収シート表面の合成樹脂フィルムの上に肉や魚を置いた場合、合成樹脂フィルムにドリップ透過用の孔を設けなくても、滲みだしたドリップの大部分が合成樹脂フィルム表面を流れて裏面の透過性膜を通してシート状吸収体に吸収されること、一度吸収体が吸収したドリップは逆流して食品に接触することがないことを見いだした。更に、合成樹脂フィルムが着色されているので、着色した色によっては合成樹脂フィルム表面に少量のドリップが残存している場合であっても着色の効果でドリップの赤色を目立たなくすることができることを見いだし本発明にいたった。
【0010】
すなわち、本発明によれば、上記課題を解決するための手段として、
[1]表面が合成樹脂フィルム1、裏面が透過性膜2であって、四辺が接合されてなる袋の内部にシート状吸収体3が封入された形状のドリップ吸収シート10において、食品接触面である表面の合成樹脂フィルム1が着色されており、且つドリップ透過用の孔を有していないことを特徴とするドリップ吸収シート10が提供され、
[2]前記合成樹脂フィルム1が黒色、緑色、ピンク色、または乳白色いずれかに着色されていることを特徴とする[1]記載のドリップ吸収シートが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明のドリップ吸収シート10は肉や魚の食品から滲みだしたドリップを十分に吸収除去することができるだけでなく、表面の合成樹脂フィルム1にドリップ透過用の孔を設けていないので一度吸収したドリップが逆流して食品に接触する恐れが全くない。更に、合成樹脂フィルムの表面に少量のドリップが残存した場合であっても合成樹脂フィルム1の着色の効果でドリップに起因する見た目の低下が防止できる。また、付加的効果として、ドリップ透過用の孔を設けていないので孔に起因する凹部にドリップがたまりやすくなるということがないという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のドリップ吸収シート10の概略平面図である。
図2図1のX-X’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明のドリップ吸収シート10の表面(食品接触面)に使用する合成樹脂フィルム1としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルムなどの各種合成樹脂フィルムが挙げられ、これらは単層又は積層して使用することができる。これらの中でも袋を形成する上でヒートシールが容易なポリエチレンフィルムを使用するのが望ましい。さて、本発明においては合成樹脂フィルム1が着色されていることを必須要件とするものであるが、着色の方法は、フィルムを押出成形する際に、合成樹脂の原料ペレットと着色剤マスターバッチを混合するのが一般的である。また、合成樹脂フィルム表面に所望する色で印刷することによっても着色することができる。なお、印刷で着色する場合は必ずしもベタ印刷でなくても、メッシュ柄、ストライブ柄に印刷して多少の空白部分が存在しても特に問題はない。なお、印刷によって着色する場合は、印刷面を内側にしてラミネート加工したものを使用するのが好ましい。
【0014】
合成樹脂フィルム1の着色の色については特に制限はないが、残存するドリップが目立ちにくい色、或いはトレイ入り商品を陳列した際に美観、清潔感を感じさせる色とするのが望ましく、黒色、緑色、ピンク色、乳白色のいずれかとするのが好ましい。特に、ドリップの存在を目立ちにくくするためには黒色又は緑色とするのが好ましく、陳列時の美観を向上させる効果を求める場合は、ピンク色又は乳白色にするのが好ましい。
【0015】
更にまた、本発明においては表面の合成樹脂フィルム1には、ドリップ透過用の孔を設けないことを特徴とするものであるが、本発明の趣旨を損なわない程度(逆流を起こすことがほぼないと考えられる程度)の微細な孔を少量有する合成樹脂フィルム1であることを特に排除するものではないことを付け加えておく。
【0016】
本発明のドリップ吸収シート10の裏面に使用する透過性膜2としては、ドリップが透過可能な膜であれば特に制限はないが入手が容易な不織布を使用するのが好ましく、特にヒートシール可能な材質を含む不織布を使用するのが好ましい。
【0017】
本発明のドリップ吸収シート10で使用するシート状吸収体3としては、シート状であって自重の何倍ものドリップを吸収可能なものであれば特に制限はなく、従来から単層のドリップ吸収シートとして使用されているパルプなどの親水性繊維で形成された不織布やウレタンフォームのシートのほか、高吸水性ポリマーとパルプからなるシート状のものなどが特に制限なく使用できる。
【0018】
さて、本発明のドリップ吸収シート10は、図1及び図2に示すように表面が合成樹脂フィルム1、裏面が透過性膜2であって、四辺が接合されてなる袋の内部にシート状吸収体3が封入された形状である。
【実施例0019】
本発明のドリップ吸収シート10は、例えば、以下の方法によって製造することができる。まず、合成樹脂フィルム1としてはポリエチレンフィルム(厚み25μm、黒色に着色)を、透過性膜2としては不織布(目付20g/m、ポリエチレン、ポリプロピレン)を使用し、シート状吸収体には寸法55mm×110mmにカットしたエアーレイド不織布(目付50g/m、パルプ)を使用した。
【0020】
ドリップ吸収シート10の製造手順は、まず、透過性膜2としての不織布上にシート状吸収体3としてのエアーレイド不織布を載置し、その上部を合成樹脂フィルム1としてのポリエチレンフィルムで覆う。次いで、不織布と合成樹脂フィルムとを熱融着させた後、余分な不織布、合成樹脂フィルムをトリミングする。そのようにして、熱融着部4によって四辺が接合されてなる袋の内部にシート状吸収体3が封入された図1図2に示す本発明のドリップ吸収シート10を製造することができる。上述した原材料を使用した場合は例えば、寸法70mm×160mmのドリップ吸収シート10(内部のシート状吸収体の寸法は55mm×110mm)が得られる。
【0021】
トレイに本発明のドリップ吸収シート10を敷き、その上に肉の切り身を載置してラップフィルムで覆った商品をショーケースに陳列して放置した。8時間後に観察したが外眼の変化はほとんどなく、美観の低下も感じられなかった。その後ラップフィルムを剥し、肉を除去すると使用したドリップ吸収シート10は大量のドリップを吸収していた。また、ドリップ吸収シート10の表面をティッシュペーパーで拭うと少量のドリップが表面に残存していることが分かった。以上のことから、本発明のドリップ吸収シート10はドリップ透過用の孔を設けていなくても十分ドリップを除去する機能を有していること、表面に少量のドリップが残存していても外観はほとんど変化しないことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明のドリップ吸収シート10によってトレイに入れた肉や魚入りの商品が滲みだしたドリップに触れることなく、しかも外観を損なわずに陳列できるようになったので、スーパーマーケットなどの小売り業界で肉や魚を小分けして販売することがますます容易になった。
【符号の説明】
【0023】
1 合成樹脂フィルム
2 透過性膜
3 シート状吸収体
4 熱融着部
10 本発明のドリップ吸水シート
図1
図2