(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070198
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】積層型電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
H01G4/30 201N
H01G4/30 515
H01G4/30 512
H01G4/30 517
H01G4/30 201L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029905
(22)【出願日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0149437
(32)【優先日】2022-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウン ソク
(72)【発明者】
【氏名】クォン、テ ギュン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ソ ヒョン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC04
5E001AD04
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AH01
5E001AH05
5E001AH09
5E001AJ02
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE05
5E082EE23
5E082FF05
5E082FG03
5E082FG04
5E082FG26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】工程効率性に優れ、誘電体パターン、内部電極パターン及び外部電極パターン間の界面安定性を向上させて不良率を減少させる積層型電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】方法は、誘電体物質及び光硬化性樹脂を含むセラミックインクを吐出して誘電体パターン11-2、4を形成する工程と、内部電極用導電性粒子及び光硬化性樹脂を含む第1金属インクを吐出して内部電極パターン21-3、22-5を形成する工程と、外部電極用導電性粒子及び光硬化性樹脂を含む第2金属インクを吐出して外部電極パターン31-1~5、32-1~5を形成する工程の少なくとも一つの工程を行って一つの層を成す層パターンを得る第1段階と、層パターンに紫外線を照射して層パターンを硬化させて硬化された層パターンを得る第2段階と、第1、第2段階を複数回行って複数の硬化した層パターンが積層された積層体を得る段階と、積層体を焼成する焼成段階と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、前記本体の外部に配置される外部電極を含む積層型電子部品の製造方法であって、
誘電体物質及び光硬化性樹脂を含むセラミックインクを吐出して誘電体パターンを形成する工程、内部電極用導電性粒子及び光硬化性樹脂を含む第1金属インクを吐出して内部電極パターンを形成する工程、及び外部電極用導電性粒子及び光硬化性樹脂を含む第2金属インクを吐出して外部電極パターンを形成する工程の少なくとも一つの工程を行い、一つの層を成す層パターンを得る第1段階と、
前記層パターンに紫外線を照射して層パターンを硬化させて硬化された層パターンを得る第2段階と、
前記第1段階及び前記第2段階を複数回行って複数の硬化された層パターンが積層された積層体を得る段階と、
前記積層体を焼成して前記積層型電子部品を得る焼成段階と、を含む、積層型電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記外部電極パターンを形成する工程は、前記誘電体パターンの一端に配置される第1外部電極パターンを形成する工程及び前記誘電体パターンの他端に配置される第2外部電極パターンを形成する工程を含み、
前記複数の第1段階の少なくとも一部は、前記第1外部電極パターンを形成する工程、前記第2外部電極パターンを形成する工程、及び前記誘電体パターンを形成する工程を全て含んで行われる、請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記内部電極パターンを形成する工程は、前記誘電体パターンを挟んで交互に配置される第1内部電極パターン及び第2内部電極パターンのいずれか一つを形成する工程を含み、
前記外部電極パターンを形成する工程は、前記第1内部電極パターンの一端に配置される第1外部電極パターンを形成する工程及び前記第1内部電極パターンと離隔する第2外部電極パターンを形成する工程を含み、
前記複数の第1段階の少なくとも一部は、前記第1外部電極パターンを形成する工程、前記第2外部電極パターンを形成する工程、及び前記第1内部電極パターンを形成する工程を全て含んで行われる、請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記複数の第1段階の少なくとも一部は、前記セラミックインクを吐出して前記第1内部電極パターンと前記第2外部電極パターンとの間に配置される第1段差吸収パターンを形成する工程をさらに含んで行われる、請求項3に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記第1段階の少なくとも一部は、前記第2段階と同時に行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記複数の第1段階の少なくとも一部は、有機物質を含む有機インクを吐出して前記積層体の外形の少なくとも一部を成す支持パターンを形成する工程をさらに含んで行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記焼成段階は、前記支持パターンを消失させる工程を含む、請求項6に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記光硬化性樹脂は、オリゴマー、モノマー、及び光重合開始剤を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項9】
前記第1金属インク及び第2金属インクのそれぞれは、セラミック共材を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子機器の部品として用いられることができる。コンピュータ、モバイル機器など、各種電子機器が小型化、高出力化され、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。
【0004】
従来には、積層セラミックキャパシタを製造する方法として、スクリーン印刷法やグラビア印刷法などが用いられた。但し、スクリーン印刷法及びグラビア印刷法の場合、パターン印刷、積層、切断、可塑、焼成、研磨、及び外部電極塗布などの様々な工程を経てクラックなどの不良を誘発することがある。また、スクリーン印刷法及びグラビア印刷法としては、誘電体層及び内部電極の薄層化に限界があり、成形のためのPETフィルムなどの消耗品と残りの内部電極用ペースト及び誘電体スラリーなどが発生して工程効率性が劣るという問題点がある。
【0005】
このような限界を克服するために、最近インクジェット(inkjet)印刷法を用いた積層セラミックキャパシタの製造方法が提案されてきた。但し、このようなインクジェット印刷法を用いて後述する誘電体パターン、内部電極パターン及び外部電極パターンを形成する場合、各パターンが互いに混ざり合う現象が発生することがあり、これによって積層型電子部品の形状不良が発生することがある。したがって、誘電体パターン、内部電極パターン及び外部電極パターン間の界面安定性を確保して工程効率性を向上させ、不良率を減少させることができる積層セラミックキャパシタの製造方法に関する研究が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の様々な目的の一つは、工程効率性に優れた積層型電子部品の製造方法を提供することである。
【0007】
本発明の様々な目的の一つは、誘電体パターン、内部電極パターン及び外部電極パターン間の界面安定性を向上させて不良率を減少させた積層型電子部品の製造方法を提供することである。
【0008】
但し、本発明の目的は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、上記本体の外部に配置される外部電極を含む積層型電子部品の製造方法であって、誘電体物質及び光硬化性樹脂を含むセラミックインクを吐出して誘電体パターンを形成する工程、内部電極用導電性粒子及び光硬化性樹脂を含む第1金属インクを吐出して内部電極パターンを形成する工程、及び外部電極用導電性粒子及び光硬化性樹脂を含む第2金属インクを吐出して外部電極パターンを形成する工程の少なくとも一つの工程を行って、一つの層を成す層パターンを得る第1段階、上記層パターンに紫外線を照射して層パターンを硬化させて硬化された層パターンを得る第2段階、上記第1及び第2段階を複数回行って複数の硬化された層パターンが積層された積層体を得る段階、及び上記積層体を焼成して上記積層型電子部品を得る焼成段階を含む積層型電子部品の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の様々な効果の一つとして、工程効率性に優れた積層型電子部品の製造方法を提供することができる。
【0011】
本発明の様々な効果の一つとして、誘電体パターン、内部電極パターン及び外部電極パターン間の界面安定性を向上させて不良率を減少された積層型電子部品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による製造方法によって製造される積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
【
図2】
図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法が含む第1及び第2段階を複数回行って積層体を得る過程を概略的に示した断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法が含む第1及び第2段階を複数回行って積層体を得る過程を概略的に示した断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法が含む第1及び第2段階を行って硬化された層パターンを得る過程を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一符号で示される要素は同一要素である。
【0014】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されるものではない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0015】
図面において、第1方向は厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義されることができる。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態による製造方法によって製造される積層型電子部品を概略的に示した斜視図であり、
図2は、
図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
【0017】
以下、
図1及び
図2を参照して、本発明の一実施形態による製造方法によって製造される積層型電子部品100について簡略に説明する。
【0018】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。本体110は、第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面1、2と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4、第1面から第4面1、2、3、4と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6を含むことができる。
【0019】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。本体110を形成する複数の誘電体層111は、焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0020】
誘電体層111の平均厚さは特に限定する必要はない。例えば、後述するセラミックインクの吐出量及び/または吐出回数を調節することで、積層型電子部品100の所望の特性や用途に応じて誘電体層111の平均厚さを任意に設定することができる。誘電体層111の平均厚さは、例えば、10μm以下、0.4μm以下、または積層型電子部品の超小型化及び高容量化のために300nm以下であることができる。
【0021】
ここで、誘電体層111の平均厚さは、内部電極121、122間に配置される誘電体層111の第1方向の平均サイズを意味する。誘電体層111の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いてスキャンして測定することができる。より具体的には、一つの誘電体層111の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、後述する容量形成部で指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0022】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に配置されることができ、例えば、互いに異なる極性を有する一対の電極である第1内部電極121と第2内部電極122が誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置されることができる。複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122は、その間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0023】
複数の第1内部電極121は、それぞれ第4面4と離隔して第3面3と連結されるように配置されることができる。また、複数の第2内部電極122は、それぞれ第3面3と離隔して第4面4と連結されるように配置されることができる。
【0024】
内部電極121、122の平均厚さは特に限定する必要はない。例えば、後述する内部電極用導電性粒子を含む第1金属インクの吐出量及び/または吐出回数を調節することで、積層型電子部品100の所望の特性や用途に応じて内部電極121、122の平均厚さを任意設定することができる。内部電極121、122の平均厚さは、例えば、3μm以下、0.4μm以下、または積層型電子部品の超小型化及び高容量化のために300nm以下であることもできる。
【0025】
従来のスクリーン印刷法及びグラビア印刷法などの場合、内部電極用導電性粒子を含む導電性ペーストと印刷版などを用いて内部電極パターンを形成した。但し、印刷版を用いて内部電極パターンを形成する場合、印刷圧力によって内部電極パターンに変形が発生するという問題点が発生する可能性がある。また、焼成前の内部電極パターンを正確に印刷することが困難であるため、内部電極の薄層化に限界がある。一方、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法の場合、例えば、インクジェット(inkjet)方式で内部電極用導電性粒子を含む第1金属インクを吐出して内部電極パターンを形成するため、300nm以下の薄い厚さを有する内部電極を実現することができる。
【0026】
内部電極121、122の平均厚さは、内部電極121、122の第1方向のサイズを意味する。ここで、内部電極121、122の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いてスキャンして測定することができる。より具体的には、一つの内部電極121、122の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、後述する容量形成部で指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の内部電極121、122に拡張して平均値を測定すると、内部電極121、122の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0027】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含んで容量が形成される容量形成部と、容量形成部の第1方向に向かい合う両断面上にそれぞれ配置される第1カバー部112及び第2カバー部113を含むことができる。カバー部112、113は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。カバー部112、113は、内部電極を含まないことを除いては、誘電体層111と同じ構成を有することができる。
【0028】
外部電極131、132は、本体110の第3面及び第4面3、4に配置されることができ、上記第1面、第2面、第5面及び第6面の一部上に延びることができる。また、外部電極131、132は、複数の第1内部電極121と連結される第1外部電極131及び複数の第2内部電極122と連結される第2外部電極132を含むことができる。
【0029】
このとき、第1外部電極131のうち本体の第3面に配置された領域を第1接続部、上記第1接続部から上記本体の第1面、第2面、第5面及び第6面の一部に延長して配置された領域を第1バンド部と定義することができる。また、第2外部電極132のうち本体の第4面に配置された領域を第2接続部、上記第2接続部から上記本体の第1面、第2面、第5面及び第6面の一部に延長して配置された領域を第2バンド部と定義することができる。
【0030】
本発明の一実施形態による製造方法によって製造された積層型電子部品100の誘電体層111、内部電極121、122及び外部電極131、132のそれぞれは、光硬化性樹脂を含むことができる。後述するように、誘電体層111、内部電極121、122及び外部電極131、132を形成するセラミックインク、第1金属インク及び第2金属インクに含まれた光硬化性樹脂の一部が誘電体層111、内部電極121、122及び外部電極131、132のそれぞれに残存することができる。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、上記光硬化性樹脂は焼成過程で全て燃焼して誘電体層111、内部電極121、122及び/または外部電極131、132に残存しないこともできる。
【0031】
本発明の一実施形態による製造方法によって製造された積層型電子部品の内部電極121、122及び外部電極131、132のそれぞれは、セラミック共材を含むことができる。後述するように、本発明の一実施形態による製造方法は、誘電体層111、内部電極121、122及び外部電極131、132を同時に焼成することができる。このとき、内部電極121、122及び外部電極131、132に含まれたセラミック共材は誘電体層111に比べて焼成速度が速い内部電極121、122及び外部電極131、132の焼成を遅延させる役割を果たすことができる。
【0032】
図3及び
図4は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法に含まれる第1及び第2段階を複数回行って積層体を得る過程を概略的に示した断面図である。
【0033】
以下では、
図3及び
図4を参照して上述した積層型電子部品の製造方法について説明する。
【0034】
本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、誘電体層111、及び上記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極121、122を含む本体110と、上記本体の外部に配置される外部電極131、132を含む積層型電子部品100の製造方法として、誘電体物質及び光硬化性樹脂を含むセラミックインクを吐出して誘電体パターン11-2、11-4、11-6を形成する工程、内部電極用導電性粒子及び光硬化性樹脂を含む第1金属インクを吐出して内部電極パターン21-3、22-5を形成する工程、及び外部電極用導電性粒子及び光硬化性樹脂を含む第2金属インクを吐出して外部電極パターン31-1~31-6、32-1~32-6を形成する工程の少なくとも一つの工程を行って一つの層を成す層パターンを得る第1段階、上記層パターンに紫外線を照射して層パターンを硬化させて硬化された層パターンを得る第2段階、上記第1及び第2段階を複数回行って複数の硬化された層パターンが積層された積層体10を得る段階及び上記積層体を焼成して上記積層型電子部品を得る焼成段階を含むことができる。
【0035】
まず、誘電体パターンを形成するセラミックインク、内部電極パターンを形成する第1金属インク、外部電極パターンを形成する第2金属インク、及び支持パターン41-1を形成する有機インクをそれぞれ設ける。上記誘電体パターンは焼成によって誘電体層111を形成し、内部電極パターンは焼成によって内部電極121、122を形成し、外部電極パターンは焼成によって外部電極131、132を形成することができる。上記支持パターンは、後述するように、積層体10の外形の少なくとも一部を成すことができ、積層体10の形状を維持する役割を果たすことができる。
【0036】
上記セラミックインクは、誘電体物質及び光硬化性樹脂を含むことができる。誘電体物質は十分な静電容量を提供することができれば特に制限されないが、例えば、BaTiO3、SrTiO3、CaZrO3、MgO、SiO2、Al2O3、Cr2O3、MnO2、Y2O3、CaTi、ZrO3、SrZrO3、BaTi及びCaO3のうち一つ以上を含むことができる。
【0037】
上記セラミックインクの全体積に対する誘電体物質の体積比率は、特に限定する必要はないが、例えば30%~90%であることができる。上記セラミックインクの全体積に対する誘電体物質の体積比率が30%未満である場合、後述する層パターンが隣接する他の層パターンと混ざり合う現象が発生する可能性がある。上記セラミックインクの全体積に対する誘電体物質の体積比率が90%超過である場合、上記セラミックインクの流動性が非常に低下して、円滑なインクジェット印刷を妨害する可能性がある。
【0038】
上記第1金属インクは、内部電極用導電性粒子及び光硬化性樹脂を含むことができ、上記第2金属インクは、外部電極用導電性粒子及び光硬化性樹脂を含むことができる。上記内部電極用導電性粒子及び外部電極用導電性粒子としては、例えば、Ni、Cu、Pd、Ag、Au、Pt、Sn、W、Ti及びAlの少なくとも一つを含む導電性粒子を用いることができ、内部電極用導電性粒子と外部電極用導電性粒子は互いに異なることができ、互いに同一であることもできる。
【0039】
上記第1金属インク及び第2金属インクのそれぞれは、セラミック共材を含むことができる。第1及び第2金属インクに含まれたセラミック共材は、焼成を遅延させる役割を果たすことができる。これにより、本発明の一実施形態によって製造された積層体10の誘電体パターン、内部電極パターン及び外部電極パターンは同時に焼成することができる。
【0040】
上記第1金属インクの全体積に対する内部電極用導電性粒子の体積比率及び上記第2金属インクの全体積に対する外部電極用導電性粒子の体積比率は、特に限定する必要はないが、例えば、それぞれ30%~90%であることができる。
【0041】
上記第1及び第2金属インクの全体積に対する内部電極用導電性粒子及び外部電極用導電性粒子の体積比率が30%未満である場合、後述する層パターンが隣接する他の層パターンと混ざり合う現象が発生することがある。上記第1及び第2金属インクの全体積に対する内部電極用導電性粒子及び外部電極用導電性粒子の体積比率が90%超過である場合、上記第1及び第2金属インクの流動性が非常に低下して円滑なインクジェット印刷を妨害する可能性がある。
【0042】
上記有機インクは、有機物質及び光硬化性樹脂を含むことができる。上記有機インクに含まれる有機物質は、例えば、キナクリドン系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キノフタロン系、ペリレン系、及びジオキサジン系のうち一つ以上を含むことができる。但し、本発明はこれに限定されず、上記有機物質は積層体10の形状を維持する役割を果たすことができ、焼成によって消失できればよい。
【0043】
上記セラミックインク、第1金属インク、第2金属インク、及び有機インクのそれぞれに含まれる光硬化性樹脂は、オリゴマー、モノマー、及び光重合開始剤を含むことができる。上記光硬化性樹脂は、特定の波長領域の光によって硬化されることができ、紫外線によって硬化されることができる紫外線(UV;Ultra Violet)硬化性樹脂であることが好ましい。
【0044】
上記オリゴマーは、光重合反応により高分子結合を形成し、特に限定する必要はないが、例えば、ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系及びアクリル系樹脂のうち一つ以上を含むことができる。
【0045】
上記モノマーは、上記オリゴマーの架橋剤及び/または希釈剤としての役割を果たし、特に限定する必要はないが、例えば、2-エチルヘキシルアセテート(2-Ethyl Hexyl Acetate)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-Hydroxy Ethyl Acrylate)、2-ヒドロキシプロピルアクリレート(2-Hydroxy Propyl Acrylate)、2-ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェイト(2-Hydroxy Ethyl Acryloyl Phosphate)、1,4-ブタンジオールジアクリレート(1,3-Butandiol Diacrylate)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-Hexandiol Diacrylate)、ジエチレングリコールジアクリレート(Diethylene Glycol Diacrylate)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(Neopentyl Glycol Diacrylate)、ポリエチレングリコール400ジアクリレート(Poly Ethylene 400 Diacrylate)、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート(Hydroxy Piperidinoic Acid Ester Neopentyl Glycol Diacrylate)、トリメチロールプロパントリアクリレート(Trimethylol Propane Triacrylate)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(Pentaerythritol Triacrylate)及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(Dipentaerithritol Hexa Acrylate)の一つ以上を含むことができる。
【0046】
上記光重合開始剤は、紫外線などの光を吸収することで光重合を開始する役割を果たし、特に限定する必要はないが、2,2-ジエトキシアセトフェノン(2,2-Diethoxy Acetophenone)、1-(4-isopropyl phenyl)-2-hydroxy-2-methyl propane)-1-one、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(2,2-dimethoxy-2-phenyl-acetophenone)、ヒドロキシシクロヘキシルフェニル(Hydroxy-cyclohexyl-phenyl)、ベンゾフェノン(Benzophenone)、2-クロロチオキサントン(2-Chloro-thixoanthone)、ベンゾインイソブチルエーテル(benzoin isobutyl ether)及びベンゾインイソプロピルエーテル(benzoin isopropyl ether)のうち一つ以上を含むことができる。
【0047】
上記セラミックインク、第1金属インク、第2金属インク、有機インクのそれぞれは、工程上の必要に応じて溶剤及び分散剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0048】
以下では、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法のうち、上記第1段階及び第2段階を複数回行って、複数の硬化された層パターンが積層された積層体を得る段階について詳細に説明する。セラミックインク、第1金属インク、第2金属インク及び有機インクのそれぞれは、インクジェット方式で吐出でき、以下で重複する説明は省略する。
【0049】
まず、
図3の(a)のように第2金属インクを吐出して外部電極パターン31-1、32-1を形成する工程及び有機インクを吐出して支持パターン41-1を形成する工程を行って、一つの層を成す一つ目の層パターンを得る第1段階を実行することができる。このとき、第1外部電極パターン31-1は、焼成後の第1外部電極131の一部となり、第2外部電極パターン32-1は、焼成後の第2外部電極132の一部となり得る。
【0050】
支持パターン41-1は、上記積層体の外形の少なくとも一部を成すことができる。支持パターン41-1は、例えば、上記一つ目の層パターンに含まれて積層される誘電体パターン及び内部電極パターンを支持し、上記積層体の形状を維持する役割を果たすことができる。
【0051】
次に、外部電極パターン31-1、32-1及び支持パターン41-1を含む層パターンに紫外線を照射して上記層パターンを硬化させて硬化された層パターンを得る第2段階を実行することができる。このとき、上記第2金属インク及び有機インクにそれぞれ含まれた光硬化性樹脂によって、上記層パターンは迅速に硬化されることができる。
【0052】
すなわち、一つ目の層パターン上に二つ目の層パターンを形成する前に、上記一つ目の層パターンに紫外線を照射して上記一つ目の層パターンを迅速に硬化させることができる。これにより、互いに層パターンが混ざり合う現象を防止し、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法によって積層される上記誘電体パターン、内部電極パターン及び外部電極パターン間の界面安定性を向上させて不良率を減少させた積層型電子部品の製造方法を提供することができる。
【0053】
次に、
図3の(b)のように第2金属インクを吐出して外部電極パターン31-2、32-2を形成する工程及びセラミックインクを吐出して誘電体パターン11-2を形成する工程を行って二つ目の層パターンを得る第1段階を実行することができる。上記誘電体パターン11-2は、焼成後の第2カバー部113になり得る。
【0054】
このとき、外部電極パターンを形成する工程は、誘電体パターン11-2の一端に配置される第1外部電極パターン31-2を形成する工程及び誘電体パターン11-2の他端に配置される第2外部電極パターン32-2を形成する工程を含むことができる。
【0055】
このとき、複数の第1段階の少なくとも一部、例えば、二つ目の層パターンを得る第1段階は、第1外部電極パターン31-2を形成する工程、第2外部電極パターン32-2を形成する工程及び誘電体パターン11-2を形成する工程を全て含んで行うことができる。
【0056】
例えば、印刷方向が第2方向である場合、二つ目の層パターンを得る第1段階は、順次行われる第1外部電極パターン31-2を形成する工程、誘電体パターン11-2を形成する工程及び第2外部電極パターン32-2を形成する工程を全て含んで行うことができる。
【0057】
また、印刷方向が第3方向である場合、二つ目の層パターンを得る第1段階は、同時に行われる第1外部電極パターン31-2を形成する工程、誘電体パターン11-2を形成する工程及び第2外部電極パターン32-2を形成する工程を全て含んで行うことができる。
【0058】
すなわち、第1外部電極パターン31-2を形成する工程、第2外部電極パターン32-2を形成する工程、及び誘電体パターン11-2を形成する工程を全て含んで行うことで、一つの層パターンを簡単な工程によって得られることができ、これにより工程効率性に優れる積層型電子部品の製造方法を提供することができる。
【0059】
この後、外部電極パターン31-2、32-2及び誘電体パターン11-2を含む二つ目の層パターンに紫外線を照射して硬化された層パターンを得る第2段階を実行することができる。このとき、上記第2金属インク及びセラミックインクにそれぞれ含まれた光硬化性樹脂により、上記層パターンは迅速に硬化されることができる。上述したように、上記複数の第1段階間に第2段階を実行することで積層される誘電体パターン、内部電極パターン及び外部電極パターン間の界面安定性を向上させ、不良率を減少させた積層型電子部品の製造方法を提供することができる。以下、上記第2段階に対する重複する説明は省略する。
【0060】
次に、
図3の(c)のように、第2金属インクを吐出して外部電極パターン31-3、32-3を形成する工程及び第1金属インクを吐出して第1内部電極パターン21-3を形成する工程を行って三つ目の層パターンを得る第1段階と上記三つ目の層パターンを硬化させる第2段階を行うことができる。
【0061】
次に、
図3の(d)のように、第2金属インクを吐出して外部電極パターン31-4、32-4を形成する工程及びセラミックインクを吐出して誘電体パターン11-4を形成する工程を行って四つ目の層パターンを得る第1段階と上記四つ目の層パターンを硬化させる第2段階を行うことができる。
【0062】
次に、
図3の(e)のように、第2金属インクを吐出して外部電極パターン31-5、32-5を形成する工程及び第1金属インクを吐出して第2内部電極パターン22-5を形成する工程を行って五つ目の層パターンを得る第1段階と上記五つ目の層パターンを硬化させる第2段階を行うことができる。
【0063】
図3の(c)~(e)を参照すると、内部電極パターンを形成する工程は、誘電体パターン11-4を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極パターン21-3、22-5のいずれか一つを形成する工程を含むことができる。
【0064】
このとき、
図3の(c)を参照すると、外部電極パターンを形成する工程は、上記第1内部電極パターン21-3の一端に配置される第1外部電極パターン31-3を形成する工程及び上記第1内部電極パターン21-3と離隔する第2外部電極パターン32-3を形成する工程を含むことができる。
【0065】
このとき、複数の第1段階の少なくとも一部、例えば、三つ目の層パターンを得る第1段階は、第1外部電極パターン31-3を形成する工程、第2外部電極パターン32-3を形成する工程及び上記第1内部電極パターン21-3を形成する工程を全て含んで行うことができる。
【0066】
例えば、印刷方向が第2方向である場合、三つ目の層パターンを得る第1段階は、順次行われる第1外部電極パターン31-3を形成する工程、第1内部電極パターン21-3を形成する工程及び第2外部電極パターン32-3を形成する工程を全て含んで行うことができる。
【0067】
また、印刷方向が第3方向である場合、三つ目の層パターンを得る第1段階は、同時に行われる第1外部電極パターン31-3を形成する工程、第1内部電極パターン21-3を形成する工程及び第2外部電極パターン32-3を形成する工程を全て含んで行うことができる。
【0068】
すなわち、第1外部電極パターン31-3を形成する工程、第2外部電極パターン32-3を形成する工程、及び第1内部電極パターン21-3を形成する工程を全て含んで行うことで、一つの層パターンを簡単な工程によって得られることができ、これにより工程効率性に優れた積層型電子部品の製造方法を提供することができる。
【0069】
同様に、
図3の(e)を参照すると、外部電極パターンを形成する工程は、上記第2内部電極パターン22-5と離隔する第1外部電極パターン31-5を形成する工程及び上記第2内部電極パターン22-5の一端に配置される第2外部電極パターン32-5を形成する工程を含むことができる。
【0070】
このとき、複数の第1段階の少なくとも一部、例えば五つ目の層パターンを得る第1段階は、第1外部電極パターン31-5を形成する工程、第2外部電極パターン32-5を形成する工程及び上記第2内部電極パターン22-5を形成する工程を全て含んで行うことができる。
【0071】
すなわち、第1外部電極パターン31-5を形成する工程、第2外部電極パターン32-5を形成する工程、及び第2内部電極パターン11-5を形成する工程を全て含んで行うことで、一つの層パターンを簡単な工程によって得られることができ、これにより工程効率性に優れた積層型電子部品の製造方法を提供することができる。
【0072】
また、
図3の(c)を参照すると、複数の第1段階の少なくとも一部、例えば、三つ目の層パターンを得る第1段階は、セラミックインクを吐出して第1内部電極パターン21-3と第2外部電極パターン32-3との間に配置される第1段差吸収パターン51-3を形成する工程をさらに含むことができる。同様に、
図3の(e)を参照すると、複数の第1段階の少なくとも一部、例えば、五つ目の層パターンを得る第1段階は、セラミックインクを吐出して第2内部電極パターン22-5と第1外部電極パターン31-5との間に配置される第2段差吸収パターン52-5を形成する工程をさらに含んで行うことができる。
【0073】
第1段差吸収パターン51-3は、第1内部電極パターン21-3の厚さによって発生する段差を吸収する役割を果たすことができ、第2段差吸収パターン52-5は、第2内部電極パターン22-5の厚さによって生じる段差を吸収する役割を果たすことができる。特に、本発明の一実施形態によると、インクジェット方式で上記セラミックインクを吐出して簡単に段差吸収パターン51-3、52-5を形成することができ、これによって積層型電子部品の形状不良などを防止することができる。
【0074】
次に、
図3の(c)~(e)に示された工程を所定回数繰り返した後、
図4の(f)のように、上記第2金属インクを吐出して外部電極パターン31-6、32-6を形成する工程及びセラミックインクを吐出して誘電体パターン11-6を形成する工程を行って最終の層パターンを得る第1段階と上記最終の層パターンを硬化させる第2段階を行うことができる。このとき、上記誘電体パターン11-6は、焼成後の第1カバー部112がなり得る。
【0075】
この後、
図4の(g)のように、上記第2金属インクを吐出して焼成後の本体110の第1面に延びる外部電極131、132のバンド部となる外部電極パターン31-7、32-7を形成し、上記外部電極パターン31-7、32-7を硬化させることで、複数の硬化された層パターンが積層された積層体10を得ることができる。
【0076】
図3及び
図4を参照すると、支持パターン41-1は一つ目の層パターンにのみ含まれているが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記複数の第1段階の少なくとも2回以上の第1段階は、有機インクを吐出してセラミック積層体10の外形の少なくとも一部を成す支持パターンを形成する工程を含むこともでき、支持パターンは例えば、積層体10の第2方向に向かい合う両断面及び/または第3方向に向かい合う両断面の少なくとも一部上にも配置され、積層体10の形状を維持する役割をより効果的に果たすこともできる。
【0077】
図5は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法が含む第1及び第2段階を行って硬化された層パターンを得る過程を概略的に示した断面図である。
【0078】
図5を参照すると、印刷装置60及び紫外線照射装置70は、上記層パターンが形成される領域上に配置され、印刷方向に沿って共に移動することができる。印刷装置60は、第1金属インク用インクジェットヘッド62を含むことができ、図示してはいないが、セラミックインク用インクジェットヘッド、第2金属インク用インクジェットヘッド、及び有機インク用インクジェットヘッドをそれぞれ含むことが好ましい。
【0079】
一方、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法の場合、上記第1段階及び第2段階を順次実行することもできるが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記第1段階の少なくとも一部は、上記第2段階と同時に実行することができる。
【0080】
例えば、
図5のように、第1金属インク62aを吐出して第1内部電極パターン21-3を形成する工程を行い、層パターンを得る第1段階の実行する間に既に形成された同じ層パターンの第1内部電極パターン21-3に紫外線を照射して第2段階を実行することもできる。すなわち、上記層パターンを得る第1段階の少なくとも一部は、紫外線を照射して硬化された層パターンを得る第2段階と同時に実行することができる。
【0081】
これにより、印刷工程と硬化工程を同時に行って積層型電子部品の工程効率性を向上させることができる。また、上記層パターンをすぐ硬化させることで、積層された上記層パターン同士に互いに混ざり合う現象を防止し、結果的に誘電体パターン、内部電極パターン、及び外部電極パターン間の界面安定性を確保して不良率を減少させた積層型電子部品の製造方法を提供することができる。
【0082】
本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、上述した工程を経て形成された積層体10を焼成して積層型電子部品を得る焼成段階を含むことができる。積層体10を焼成することで
図1及び
図2に示された積層型電子部品100を得ることができる。
【0083】
上記焼成段階において焼成温度は特に制限されないが、上記焼成段階の少なくとも一部は、支持パターン41-1を消失させることができる一定温度以上の温度で積層体10を焼成する工程を含むことができる。これにより、上記焼成段階は、支持パターン41-1を消失させる工程を含むことができる。
【0084】
積層型電子部品の製造過程において、積層体10の形状を維持する役割を果たす支持パターン41-1を別途の工程なしに焼成によって消失させて積層型電子部品の製造を効率的に進行することができる。
【0085】
以上では、積層型電子部品の製造方法の一例として、一つの積層型電子部品を形成する方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数個の積層体を同時に形成した後、切断及び焼成して複数個の積層型電子部品を形成することもできる。
【0086】
本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0087】
また、「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態で説明された事項が他の一実施形態で説明されていなくても、他の一実施形態でその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連した説明であると理解することができる。
【符号の説明】
【0088】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
10 積層体
11-2、11-4、11-6 誘電体パターン
21-3、22-5 内部電極パターン
31-1~31-7、32-1~32-7 外部電極パターン
41-1 支持パターン
51-3、52-5 段差吸収パターン
60 印刷装置
62 第1金属インク用インクジェットヘッド
62a 第1金属インク
70 紫外線照射装置