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特開2024-70208車両用シート及び車両用シートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070208
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】車両用シート及び車両用シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/14 20060101AFI20240515BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20240515BHJP
   A47C 7/72 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
B60N2/14
B60N2/90
A47C7/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104529
(22)【出願日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】63/424,238
(32)【優先日】2022-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 晃
(72)【発明者】
【氏名】水野 恵輔
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JD01
3B087BA07
3B087DE08
3B087DE09
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】回転装置を有する車両用シートにおいて、シート本体の回転時に乗員に注意喚起を行う。
【解決手段】車両用シート(1)は、シート本体10と、シート本体をフロア7に鉛直軸(A)を中心として回転可能に支持する回転装置11と、シート本体に設けられた表示装置と、回転装置及び表示装置を制御する制御装置64とを有する。制御装置は、回転装置の作動状態に応じて、表示装置を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートであって、
シート本体と、
前記シート本体をフロアに鉛直軸を中心として回転可能に支持する回転装置と、
前記シート本体に設けられた表示装置と、
前記回転装置及び前記表示装置を制御する制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記回転装置の作動状態に応じて、前記表示装置を制御する車両用シート。
【請求項2】
前記制御装置は、前記回転装置の回転方向に応じて、前記表示装置に前記シート本体の回転方向を表示させる請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記制御装置は、前記回転装置の作動開始前に、前記表示装置に前記シート本体が回転を開始することを表す第1注意表示を表示させる請求項1に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記シート本体には、前記シート本体の周囲の物体の位置を検出するセンサが設けられ、
前記制御装置は、前記センサから取得した前記物体の位置に基づいて、前記シート本体と前記物体との衝突の可能性を推定し、前記シート本体が前記物体に衝突する前記可能性がある場合に、前記表示装置に前記シート本体が衝突することを表す第2注意表示を表示させる請求項1に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記シート本体は、前記回転装置に支持されたシートクッションと、前記シートクッションの後部から上方に延びるシートバックとを有し、
前記表示装置は、前記シートバックの後面に設けられた第1表示装置を含む請求項1~4のいずれか1つの項に記載の車両用シート。
【請求項6】
前記第1表示装置は、左右方向に配列された複数の発光部を有し、
前記制御装置は、前記回転装置の回転方向に応じて、複数の前記発光部を、前記左右方向に順番に点灯させる請求項5に記載の車両用シート。
【請求項7】
前記シート本体は、前記シートバックの上部に設けられたヘッドレストを有し、
前記表示装置は、前記ヘッドレストの後面に設けられた第2表示装置を含む請求項5に記載の車両用シート。
【請求項8】
前記シートクッションは、中央部と、前記中央部の左右に設けられ、前記中央部に対して上方に突出した左右の土手部とを有し、
前記表示装置は、前記シートクッションの左右の前記土手部の少なくとも一方に設けられた第3表示装置を含む請求項5に記載の車両用シート。
【請求項9】
前記第3表示装置は、前記土手部の上面に設けられ、前後方向に延びている請求項8に記載の車両用シート。
【請求項10】
前記シート本体は、前記シートクッションの下部に取り付けられ、前記回転装置の周囲に配置されるカバーを有し、
前記表示装置は、前記カバーの後面に設けられた第4表示装置を含む請求項5に記載の車両用シート。
【請求項11】
車両用シートの製造方法であって、
シート本体に表示装置を設ける工程と、
回転装置を介して前記シート本体を、鉛直軸を中心として回転可能にフロアに支持させる工程と、
前記回転装置の作動状態に応じて前記表示装置を制御する制御装置を前記シート本体に設ける工程とを有する製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シート及び車両用シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フロアに対して鉛直軸回りに回転可能な車両用シート装置が開示されている。車両用シート装置は、フロアにスライド装置を介して設けられたベース部と、シートクッションに設けられ、ベース部に回転可能に支持された回転部と、ベース部に対して回転部を回転させる電動アクチュエータとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-132093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転装置によってシート本体が回転するときには、シート本体との接触を避けるために、他のシートに着席した乗員に注意喚起が行われることが好ましい。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、回転装置を有する車両用シートにおいて、シート本体の回転時に乗員に注意喚起を行うことを課題とする。また、シート本体の回転時に乗員に注意喚起を行う車両用シートの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、車両用シート(1)であって、シート本体(10)と、前記シート本体をフロア(7)に鉛直軸を中心として回転可能に支持する回転装置(11)と、前記シート本体に設けられた表示装置と、前記回転装置及び前記表示装置を制御する制御装置(64)とを有し、前記制御装置は、前記回転装置の作動状態に応じて、前記表示装置を制御する。
【0007】
この態様によれば、回転装置を有する車両用シートは、シート本体の回転時に表示装置によって乗員に注意喚起を行うことができる。
【0008】
上記の態様において、前記制御装置は、前記回転装置の回転方向に応じて、前記表示装置に前記シート本体の回転方向を表示させてもよい。
【0009】
この態様によれば、表示装置はシート本体の回転方向に応じた表示を行うことができる。
【0010】
上記の態様において、前記制御装置は、前記回転装置の作動開始前に、前記表示装置に前記シート本体が回転を開始することを表す第1注意表示を表示させてもよい。
【0011】
この態様によれば、表示装置はシート本体が回転を開始することを乗員に注意喚起することができる。
【0012】
上記の態様において、前記シート本体には、前記シート本体の周囲の物体の位置を検出するセンサ(72)が設けられ、前記制御装置は、前記センサから取得した前記物体の位置に基づいて、前記シート本体と前記物体との衝突の可能性を推定し、前記シート本体が前記物体に衝突する前記可能性がある場合に、前記表示装置に前記シート本体が衝突することを表す第2注意表示を表示させてもよい。
【0013】
この態様によれば、表示装置はシート本体が他の物体と衝突する可能性があることを乗員に注意喚起することができる。
【0014】
上記の態様において、前記シート本体は、前記回転装置に支持されたシートクッション(12)と、前記シートクッションの後部から上方に延びるシートバック(13)とを有し、前記表示装置は、前記シートバックの後面に設けられた第1表示装置(54)を含んでもよい。
【0015】
この態様によれば、シート本体の後方に存在する乗員に注意喚起することができる。
【0016】
上記の態様において、前記第1表示装置は、左右方向に配列された複数の発光部(55)を有し、前記制御装置は、前記回転装置の回転方向に応じて、複数の前記発光部を、前記左右方向に順番に点灯させてもよい。
【0017】
この態様によれば、シート本体の後方に存在する乗員にシートの回転方向を伝えることができる。
【0018】
上記の態様において、前記シート本体は、前記シートバックの上部に設けられたヘッドレスト(14)を有し、前記表示装置は、前記ヘッドレストの後面に設けられた第2表示装置(70)を含んでもよい。
【0019】
この態様によれば、シート本体の後方に存在する乗員に注意喚起することができる。
【0020】
上記の態様において、前記シートクッションは、中央部(12A)と、前記中央部の左右に設けられ、前記中央部に対して上方に突出した左右の土手部(12B)とを有し、前記表示装置は、前記シートクッションの左右の前記土手部の少なくとも一方に設けられた第3表示装置(71)を含んでもよい。
【0021】
この態様によれば、シート本体の側方に存在する乗員に注意喚起することができる。また、シート本体に着座した乗員も回転方向を確認することができる。
【0022】
上記の態様において、前記第3表示装置は、前記土手部の上面に設けられ、前後方向に延びてもよい。
【0023】
この態様によれば、シート本体の側方に存在する乗員に注意喚起することができる。また、シート本体に着座した乗員も回転方向を確認することができる。
【0024】
上記の態様において、前記シート本体は、前記シートクッションの下部に取り付けられ、前記回転装置の周囲に配置されるカバー(50)を有し、前記表示装置は、前記カバーの後面に設けられた第4表示装置(74)を含んでもよい。
【0025】
この態様によれば、シート本体の後方に存在する乗員に注意喚起することができる。
【0026】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、車両用シートの製造方法であって、シート本体に表示装置を設ける工程と、回転装置を介して前記シート本体を、鉛直軸を中心として回転可能にフロアに支持させる工程と、前記回転装置の作動状態に応じて前記表示装置を制御する制御装置を前記シート本体に設ける工程とを有する。
【0027】
この態様によれば、シート本体の回転時に乗員に注意喚起を行う車両用シートの製造方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、車両用シート(1)であって、シート本体(10)と、前記シート本体をフロア(7)に鉛直軸を中心として回転可能に支持する回転装置(11)と、前記シート本体に設けられた表示装置と、前記回転装置及び前記表示装置を制御する制御装置(64)とを有し、前記制御装置は、前記回転装置の作動状態に応じて、前記表示装置を制御する。
【0029】
この態様によれば、回転装置を有する車両用シートは、シート本体の回転時に表示装置によって乗員に注意喚起を行うことができる。
【0030】
上記の態様において、前記制御装置は、前記回転装置の回転方向に応じて、前記表示装置に前記シート本体の回転方向を表示させてもよい。
【0031】
この態様によれば、表示装置はシート本体の回転方向に応じた表示を行うことができる。
【0032】
上記の態様において、前記制御装置は、前記回転装置の作動開始前に、前記表示装置に前記シート本体が回転を開始することを表す第1注意表示を表示させてもよい。
【0033】
この態様によれば、表示装置はシート本体が回転を開始することを乗員に注意喚起することができる。
【0034】
上記の態様において、前記シート本体には、前記シート本体の周囲の物体の位置を検出するセンサ(72)が設けられ、前記制御装置は、前記センサから取得した前記物体の位置に基づいて、前記シート本体と前記物体との衝突の可能性を推定し、前記シート本体が前記物体に衝突する前記可能性がある場合に、前記表示装置に前記シート本体が衝突することを表す第2注意表示を表示させてもよい。
【0035】
この態様によれば、表示装置はシート本体が他の物体と衝突する可能性があることを乗員に注意喚起することができる。
【0036】
上記の態様において、前記シート本体は、前記回転装置に支持されたシートクッション(12)と、前記シートクッションの後部から上方に延びるシートバック(13)とを有し、前記表示装置は、前記シートバックの後面に設けられた第1表示装置(54)を含んでもよい。
【0037】
この態様によれば、シート本体の後方に存在する乗員に注意喚起することができる。
【0038】
上記の態様において、前記第1表示装置は、左右方向に配列された複数の発光部(55)を有し、前記制御装置は、前記回転装置の回転方向に応じて、複数の前記発光部を、前記左右方向に順番に点灯させてもよい。
【0039】
この態様によれば、シート本体の後方に存在する乗員にシートの回転方向を伝えることができる。
【0040】
上記の態様において、前記シート本体は、前記シートバックの上部に設けられたヘッドレスト(14)を有し、前記表示装置は、前記ヘッドレストの後面に設けられた第2表示装置(70)を含んでもよい。
【0041】
この態様によれば、シート本体の後方に存在する乗員に注意喚起することができる。
【0042】
上記の態様において、前記シートクッションは、中央部(12A)と、前記中央部の左右に設けられ、前記中央部に対して上方に突出した左右の土手部(12B)とを有し、前記表示装置は、前記シートクッションの左右の前記土手部の少なくとも一方に設けられた第3表示装置(71)を含んでもよい。
【0043】
この態様によれば、シート本体の側方に存在する乗員に注意喚起することができる。また、シート本体に着座した乗員も回転方向を確認することができる。
【0044】
上記の態様において、前記第3表示装置は、前記土手部の上面に設けられ、前後方向に延びてもよい。
【0045】
この態様によれば、シート本体の側方に存在する乗員に注意喚起することができる。また、シート本体に着座した乗員も回転方向を確認することができる。
【0046】
上記の態様において、前記シート本体は、前記シートクッションの下部に取り付けられ、前記回転装置の周囲に配置されるカバー(50)を有し、前記表示装置は、前記カバーの後面に設けられた第4表示装置(74)を含んでもよい。
【0047】
この態様によれば、シート本体の後方に存在する乗員に注意喚起することができる。
【0048】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、車両用シートの製造方法であって、シート本体に表示装置を設ける工程と、回転装置を介して前記シート本体を、鉛直軸を中心として回転可能にフロアに支持させる工程と、前記回転装置の作動状態に応じて前記表示装置を制御する制御装置を前記シート本体に設ける工程とを有する。
【0049】
この態様によれば、シート本体の回転時に乗員に注意喚起を行う車両用シートの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】実施形態に係るシートを備えた車両の平面図
図2】第1表示装置を含むシートの斜視図
図3】回転装置の断面図
図4】第1表示装置を含むシートの制御系を示すブロック図
図5】制御装置が実行する回転制御の手順を示すフロー図
図6】第1表示装置の各種表示を示す図
図7】第1表示装置の変形例を示す図
図8】第2表示装置を含むシートの斜視図
図9】第3表示装置を含むシートの斜視図
図10】第3表示装置を含むシートの制御系を示すブロック図
図11】第2注意表示を示す図
図12】第4表示装置を含むシートの斜視図
図13】ディスプレイを含むシートの斜視図
図14】ディスプレイを含むシートの制御系を示すブロック図
図15】ディスプレイに表示される各種表示を示す図
図16】ディスプレイに表示される第2注意表示の変形例を示す図
図17】シートを備えた車両の車室の斜視図
図18】エアセルを含むシートを備えた車両の平面図
図19】制御装置が実行する回転制御を示す平面図
図20】制御装置が実行する回転制御の変形例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用シートを自動車のシート1に適用した実施形態について説明する。以下の説明では、シート1が設けられる車両2を基準として前後、左右、上下を定める。
【0052】
図1に示すように、車両2は、車体3と車体3の内部に設けられた車室4とを有する。車体3は例えばサイドシルを含む車両2のフレーム5と、乗員が外部と車室4とを行き来するためのドア6とを有する公知の構成であってよい。シート1は車室4の底部を画定するフロア7に設けられている。車両2のフロア7には、前列右側シート1A、前列左側シート1B、中列右側シート1C、中列左側シート1D、及び後列シート1Eが設けられている。前列右側シート1A、前列左側シート1B、中列右側シート1C、及び中列左側シート1Dは1人掛けのシート1である。後列シート1Eは、2人掛けのシート1である。前列右側シート1Aは運転席シートである。前列右側シート1A、前列左側シート1B、中列右側シート1C、及び中列左側シート1Dは、同一の構成であるとよい。実施形態では前列左側シート1Bについて説明する。
【0053】
図1及び図2に示すように、シート1は、シート本体10と、シート本体10をフロア7に鉛直軸(軸線A)を中心として回転可能に支持する回転装置11とを有する。シート本体10は、回転装置11に支持されるシートクッション12と、シートクッション12の後部から上方に延びるシートバック13とを有する。またシート本体10は、シートバック13の上部に設けられたヘッドレスト14を有する。シート本体10は、シートバック13の上部に結合されたヘッドレスト14を有する。シートバック13は、シートクッション12に回動可能に支持されている。
【0054】
シート1は、シート本体10をフロア7に前後に移動可能に支持するスライド装置16を更に有する。スライド装置16はフロア7に結合されている。回転装置11は、スライド装置16の上側に設けられている。
【0055】
シートクッション12は、中央部12Aと、中央部12Aの左右に設けられ、中央部12Aに対して上方に突出した左右の土手部12Bとを有する。シートクッション12は、例えば骨格をなすシートクッションフレームと、シートクッションフレームに支持されるシートクッションパッド19と、シートクッションパッド19の外面に被せられた表皮材20とを有する。シートクッションフレームは、例えば左右一対のシートクッションサイドメンバ21(図3参照)と、左右のシートクッションサイドメンバ21の前端に結合したフロントメンバと、左右のシートクッションサイドメンバ21の後端に結合したリアメンバとを有する公知の構成であってよい。シートクッション12は、左右のシートクッションサイドメンバ21のそれぞれを左右外方から覆うシートクッションサイドカバー22を更に有する。シートクッションサイドカバー22は例えば樹脂材から形成されてよい。
【0056】
シートバック13は、骨格をなすシートバックフレームと、シートバックフレームに支持されるシートバックパッド24と、シートバックパッド24の外面に被せられた表皮材20とを有する。シートバックフレームは、例えば上下に延びる左右1対のシートバックサイドメンバと、左右のシートバックサイドメンバの上端に結合したアッパメンバと、左右のシートバックサイドメンバの下端に結合したロアメンバとを有する公知の構成であってよい。
【0057】
シートバック13は、シートバックフレームの後部に設けられたシートバックカバー25を更に有する。シートバックカバー25は、シートバックフレームの後部に結合されている。シートバックカバー25は、シートバック13の後部の外面を形成する。シートバックカバー25は例えば樹脂材から形成されてよい。
【0058】
図3に示すように、スライド装置16は、前後に延びる左右一対のロアレール27と、各ロアレール27に前後にスライド移動可能に支持された左右一対のアッパレール28とを有する。スライド装置16は、例えばアッパレール28に設けられた電動モータと、電動モータに回転可能に接続されたねじ山と、アッパレール28に設けられ、ねじ山に係合するねじ孔とを有する公知の電動スライド装置であってよい。各ロアレール27は、前後のフットを介してフロア7に結合されている。各アッパレール28は回転装置11に結合されている。
【0059】
回転装置11は、スライド装置16を介してフロア7に設けられたベース部29と、シートクッションサイドメンバ21を介してシートクッション12に設けられた回転部30と、ベース部29に対して回転部30を回転させる電動アクチュエータ31とを有する。また、回転装置11はベース部29に対する回転部30の角度を検出する角度センサ32(図4参照)を有する。角度センサ32は例えばロータリーエンコーダ等であってよい。
【0060】
ベース部29は、面が上下を向き、左右に延びたベースプレート33を有する。ベースプレート33は、左右方向における中央に設けられた円板状のセンタプレート34と、センタプレート34の左縁及び右縁にそれぞれ結合されたサイドプレート35とを有する。ベースプレート33は、金属板によって形成されているとよい。各サイドプレート35とセンタプレート34とはボルト及びナットによって締結されているとよい。他の実施形態では、センタプレート34及び左右のサイドプレート35は、連続した金属板によって形成されてもよい。
【0061】
センタプレート34の中央には、厚み方向に貫通する円形の第1軸受孔36が形成されている。第1軸受孔36は、上下に延びる軸線Aを中心としている。
【0062】
ベースプレート33の左端は、左側のアッパレール28に結合されている。ベースプレート33の右端は、右側のアッパレール28に結合されている。スライド装置16によって、ベースプレート33はフロア7に対して前後に移動可能に支持されている。
【0063】
回転部30は、ベースプレート33の上面に回転可能に支持された回転板37と、回転板37とシートクッション12とを結合する固定ブラケット38とを有する。回転板37及び固定ブラケット38は金属板によって形成されている。回転板37と固定ブラケット38とはボルト及びナットによって締結されているとよい。
【0064】
回転板37は、面が上下を向く円板状に形成されている。回転板37は、センタプレート34の上面に軸受39を介して支持されている。軸受39は、軸線Aを中心とした環状に形成されている。軸受39は、センタプレート34の外周部の上面と、回転板37の外周部の下面との間に配置されている。軸受39は、スラスト軸受であるとよい。本実施形態では、軸受39はボールベアリングである。
【0065】
回転板37の中央には、厚み方向に貫通する円形の第2軸受孔40が形成されている。第2軸受孔40は、軸線Aを中心としている。センタプレート34の第1軸受孔36及び回転板37の第2軸受孔40には、支持筒41が挿入されている。
【0066】
固定ブラケット38は、面が上下を向く板状に形成されている。固定ブラケット38は、上方から見て、回転板37よりも大きく形成されているとよい。固定ブラケット38は、左右のサイドプレート35と上下方向において対向している。固定ブラケット38は、ボルト及びナット等の締結具によって左右のシートクッションサイドメンバ21に結合される。
【0067】
電動アクチュエータ31は、電動モータ43を有する。電動モータ43は、モータケース44によってセンタプレート34の下面に結合されている。電動モータ43の出力軸43Aはセンタプレート34を貫通して上方に延びている。
【0068】
回転板37には、軸線Aを中心とするギヤ45が結合されている。電動アクチュエータ31の出力軸43Aにはギヤ45と噛み合うピニオン46が設けられている。これにより、電動アクチュエータ31が駆動することによって、センタプレート34に対して回転板37が回転する。
【0069】
図2に示すように、シート本体10は、シートクッション12の下部に取り付けられ、回転装置11の周囲に配置されるカバー50を有する。カバー50は、ロアカバー51及びアッパカバー52を有する。ロアカバー51は回転部30の固定ブラケット38に結合されてよい。アッパカバー52は、ベース部29のサイドプレート35に結合されてよい。ロアカバー51は、回転装置11のベース部29及び左右のアッパレール28に周囲に配置されているとよい。アッパカバー52は、回転部30の周囲に配置されているとよい。アッパカバー52は、軸線Aを中心としてロアカバー51に対して回転可能に配置されている。ロアカバー51及びアッパカバー52は、例えば樹脂材から形成されてよい。
【0070】
シート本体10には第1表示装置54が設けられている。第1表示装置54は、シート1の状態を乗員に視覚的に報知するための装置である。第1表示装置54は、シート本体10の回転方向、シート本体10の回転速度、シート本体10の回転開始時期、回転時にシート本体10と周囲の障害物との衝突の可能性の少なくとも1つを表示する。第1表示装置54は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等のディスプレイや、LED等の複数の発光部を有する表示器であるとよい。本実施形態では、第1表示装置54は、左右方向に配列された複数の発光部55を有する。
【0071】
第1表示装置54は複数の発光部55が設けられたケーシング56を有する。ケーシング56は、左右方向に延びている。複数の発光部55は、ケーシング56の後面に左右方向に並んで配置されている。
【0072】
発光部55は、例えば複数の光源と、光源からの光を透過させる透光部とを有する公知の構成であってよい。複数の光源のそれぞれは、異なる発光色を有するとよい。透光部には、所定の文字や記号が形成されている。光源の発光により、対応する文字や記号が点灯する。発光色及び文字や記号を組み合わせることにより、発光部55はシート1の状態を乗員に視覚的に伝える。
【0073】
本実施形態では7つの発光部55が設けられている。また発光部55は異なる2つの発光色を有する。7つの発光部55のうちの1つは円記号58を有する。残りの6つの発光部55は三角形記号59を有する。6つの三角形記号59のうち、3つの三角形記号59は右を向く。残りの3つの三角形記号59は左を向く。円記号58は、ケーシング56の左右方向の中央部に配置されている。右を向く3つの三角形記号59は円記号58の右方に並んで配置されている。左を向く3つの三角形記号59は円記号58の左方に並んで配置されている。
【0074】
図2に示すように、第1表示装置54は、シートバック13の後面に設けられている。第1表示装置54は、発光部55に設けられた記号58、59がシートバックカバー25に設けられた開口から露出するように設けられてよい。第1表示装置54は、ケーシング56がシートバック13の開口に嵌め込まれてシートバック13に設けられてよい。或いはケーシング56は左右のシートバックサイドメンバに結合されてもよい。発光部55に設けられた記号は、シートバックカバー25の面に対して同一平面上に配置されるとよい。これにより発光部55の発光により点灯した記号58、59は、シート1の後方に存在する乗員に視認される。
【0075】
シート1は、回転装置11の操作を受け付けるための第1入力装置62を有する。第1入力装置62は、例えばタッチパネルディスプレイや、メカニカルスイッチであるとよい。本実施形態では、第1入力装置62は、メカニカルスイッチである。第1入力装置62は右のシートクッションサイドカバー22に設けられている。
【0076】
図4に示すように、シート1は、回転装置11、及び第1表示装置54を制御する制御装置64を更に有する。本実施形態では、第1入力装置62、回転装置11及び第1表示装置54が制御装置64に接続されている。制御装置64は、演算処理装置(CPU、MPU等のプロセッサ)、記憶装置(ROM、RAM等のメモリ)を備え、シート1の回転に必要な各種処理を実行するように構成されたコンピュータからなる。制御装置64が各種処理を実行するように構成されているとは、制御装置64を構成する演算処理装置(プロセッサ)が、第1入力装置62の操作入力に従って、記憶装置(メモリ)から必要なデータ及びアプリケーションソフトウェアを読み取り、当該ソフトウェアに従って当該所定の演算処理を実行するようにプログラムされていることを意味する。
【0077】
図2に戻り、第1入力装置62は、シート本体10を右回転させる右回転スイッチ62A、及びシート本体10を左回転させる左回転スイッチ62Bを有する。第1入力装置62は、右回転スイッチ62Aが乗員によって押されたとき、所定の角度までシート本体10を右回転に回転させる右回転信号を制御装置64に出力する。また第1入力装置62は、左回転スイッチ62Bが乗員によって押されたとき、所定の角度までシート本体10を左回転に回転させる左回転信号を制御装置64に出力する。所定の角度は90度であってよい。
【0078】
以上のように構成された車両シート1の製造方法を説明する。
【0079】
最初にシート本体10が用意される。シートクッションパッド19及びシートバックパッド24は、対応するフレームに取り付けられる。具体的にはシートクッションパッド19はシートクッションフレームの上方から被せられる。またシートバックパッド24はシートバックフレームの前方から被せられる。表皮材20が各パッド19、24及び各フレームに被せられる。
【0080】
第1表示装置54がシートバックカバー25に取り付けられる。具体的には第1表示装置54は、予め形成されたシートバックカバー25の開口にシートバックカバー25の裏面側から嵌め込まれてよい。シートバックカバー25は、第1表示装置54が取り付けられた状態で、シートバックフレームの後方から被せられる。シートクッションサイドカバー22が対応するシートクッションサイドメンバ21を左右外方から被せられる。以上により第1表示装置54が取り付けられたシート本体10が用意される。
【0081】
次にシート本体10に制御装置64が取り付けられる。制御装置64は、シートクッションフレームに取り付けられてもよく、シートバックフレームに取り付けられてもよい。
【0082】
次にシート本体10がフロア7に取り付けられる。具体的にはまず、回転装置11がシート本体10に取り付けられる。回転装置11の固定ブラケット38が、ボルト及びナット等の締結具によって左右のシートクッションフレームのシートクッションサイドメンバ21に結合されるとよい。
【0083】
次にスライド装置16が回転装置11に取り付けられる。具体的には、回転装置11のベースプレート33の左端が、スライド装置16の左側のアッパレール28に結合されるとよい。また回転装置11のベースプレート33の右端が、スライド装置16の右側のアッパレール28に結合されるとよい。
【0084】
次にスライド装置16がフロア7に取り付けられる。具体的には、スライド装置16のロアレール27がフロア7に取り付けられるとよい。以上によりシート本体10はフロア7に支持される。
【0085】
次に第1表示装置54、回転装置11及びスライド装置16が制御装置64に接続される。
【0086】
なお、シート本体10をフロア7に支持させる工程の手順は上記に限定されない。例えば、シート本体10に回転装置11が取り付けられ、フロア7にスライド装置16が取り付けられてもよい。その後、回転装置11とスライド装置16とが結合されてよい。また、フロア7に回転装置11がスライド装置16を介して取り付けられてもよい。その後、回転装置11にシート本体10が取り付けられてもよい。制御装置64は、シート本体10がフロア7に取り付けられた後に、シート本体10に取り付けられてもよい。
【0087】
図5及び図6に示すように制御装置64は、第1入力装置62から回転信号を受けたとき、シート本体10を回転させる回転装置11の回転制御を実行する。また制御装置64は、回転装置11の作動状態に応じて、第1表示装置54を制御する。図5に示すように、最初に、制御装置64は第1表示装置54にシート本体10が回転を開始することを表す第1注意表示を表示させる(ST1)。第1注意表示は所定の時間の間、表示されるとよい。所定の時間は例えば1秒間から3秒間程度であってよい。本実施形態では図6(A)に示すように、制御装置64が第1入力装置62からシート本体10を右回転させる右回転信号を受けたとき、第1注意表示は、円記号58及び右を向く3つの三角形記号59の点灯により表示される。発光色は2つのうちの一方の色であってよい。回転装置11の作動開始前に、第1表示装置54に第1注意表示を表示させることにより、第1表示装置54は、シート本体10が回転を開始することを乗員に注意喚起することができる。
【0088】
次に制御装置64は、回転装置11の回転方向に応じて、第1表示装置54にシート本体10の回転方向を表示させる。本実施形態では制御装置64は、第1表示装置54に複数の発光部55を左右方向に順番に点灯させる回転表示を表示させる(ST2)。回転表示は、第1注意表示が表示される所定の時間の経過後に、表示されるとよい。本実施形態では図6(B)に示すように、シート本体10の右回転を表す右回転表示は、右を向く3つの三角形記号59を円記号58に近い順番に点灯させることにより表示される。円記号58に最も遠い三角形記号59の点灯後、制御装置64は円記号58に最も近い三角形記号59を点灯させるとよい。発光色は、第1注意表示に使用される色と同じであってよい。これにより、第1表示装置54はシート本体10の右回転に応じた表示を行うことができる。従ってシート本体10の後方に存在する乗員にシート1の回転方向を伝えることができる。
【0089】
また制御装置64は、第1注意表示が表示される所定の時間が経過した後、回転装置11の電動モータ43を対応する回転方向に回転させる(ST3)。即ち制御装置64は、第1入力装置62から右回転信号を受けたとき、シート本体10を右回転させるように電動モータ43を回転させる。また制御装置64は、第1入力装置62から左回転信号を受けたとき、シート本体10を左回転させるように電動モータ43を回転させる。
【0090】
制御装置64は、角度センサ32に基づいて、シート本体10の回転角度が所定の角度に達したと判定した場合(ST4の判定結果がYes)、回転表示を停止させる(ST5)。角度センサ32は、シート本体10が回転する前の状態を基準にシート本体10の回転角度を検出するとよい。所定の角度は、例えば70度から80度程度であってよい。
【0091】
制御装置64は、回転表示の停止後に、第1表示装置54に回転制御の実行の停止を表す停止表示を表示させる(ST6)。停止表示は所定の時間の間表示されるとよい。所定の時間は、1秒から3秒程度であってよい。本実施形態では図6(C)に示すように、停止表示は、円記号58の点灯により表示される。発光色は、第1注意表示及び右回転表示に使用される色と同じであってよい。制御装置64は、角度センサ32に基づいて、シート本体10の回転角度が90度に達したと判定した場合(ST7の判定結果がYes)、電動モータ43の回転を停止させる(ST8)。これにより第1表示装置54は、回転制御(シート本体10の回転)が停止することを乗員に注意喚起することができる。
【0092】
制御装置64が第1入力装置62から左回転信号を受けたとき、第1注意表示は、円記号58及び左を向く3つの三角形記号59の点灯により表示されるとよい。シート本体10の左回転を表す左回転表示は、左を向く3つの三角形記号59を円記号58に近い順番に点灯させることにより表示されるとよい。円記号58に最も遠い三角形記号59の点灯後、制御装置64は円記号58に最も近い三角形記号59を点灯させるとよい。停止表示は、円記号58の点灯により表示されるとよい。左回転制御における各表示の発光色は、右回転制御における各表示に使用される発光色と同じであってよい。
【0093】
以上のように制御装置64は、シート本体10の回転の状況に応じて、第1注意表示、回転表示及び停止表示を第1表示装置54に表示させることにより、シート本体10の後方に存在する乗員に注意喚起を行うことができる。
【0094】
発光部55の数及び記号は、変更してもよい。例えば、図7に示すように、ケーシング56の中央部に配置される円記号58の右方には、右を指す4つの矢印記号68が並んで配置されている。また円記号58の左方には、左を指す4つの矢印記号68が並んで配置されている。制御装置64は、右回転制御の各表示において右を指す矢印記号68を点灯させるとよい。また制御装置64は、左回転制御の各表示において左を指す矢印記号68を点灯させるとよい。これによりシート本体10の後方に存在する乗員にシート本体10の回転する方向をより分かり易く伝えることができる。
【0095】
表示装置の位置は、変更してもよい。例えば、図8に示すように、表示装置はヘッドレスト14の後面に設けられた第2表示装置70を有してもよい。第2表示装置70の構成は第1表示装置54と同様である。第2表示装置70は、ケーシング56がヘッドレスト14のパッドに設けられた凹部に収容されてヘッドレスト14に設けられてよい。発光部55はヘッドレスト14の表皮材20に設けられた開口から露出するように設けられてよい。これによりシート本体10の後方に存在する乗員に注意喚起を行うことができる。
【0096】
また、図9に示すように、表示装置はシートクッション12の左右の土手部12Bの少なくとも一方に設けられた第3表示装置71を有してもよい。第3表示装置71の構成は第1表示装置54と同様である。第3表示装置71は、土手部12Bの上面に設けられ、前後方向に延びている。この様態において、6つの三角形記号59のうち、円記号58の前方に並んで配置される3つの三角形記号59は前を向く。円記号58の後方に並んで配置される残りの3つの三角形記号59は後を向く。第3表示装置71は、ケーシング56がシートクッションパッド19に設けられた凹部に収容されて土手部12Bに設けられてよい。発光部55はシートクッション12の表皮材20に設けられた開口から露出するように設けられてよい。
【0097】
シート本体10の右回転を表す右回転表示は、後を向く3つの三角形記号59を円記号58に近い順番に点灯させることにより表示されるとよい。またシート本体10の左回転を表す左回転表示は、前を向く3つの三角形記号59を円記号58に近い順番に点灯させることにより表示されるとよい。これらによりシート本体10の側方に存在する乗員に注意喚起することができる。また、シート本体10に着座した乗員も回転方向を確認することができる。
【0098】
シート本体10には、シート本体10の周囲の物体の位置を検出するセンサとしての距離センサ72が設けられてよい。距離センサ72は、左右のシートクッションサイドカバー22の前端部に設けられている。距離センサ72は例えばレーダセンサ、ソナーセンサ、静電容量センサ、カメラ等であってよい。本実施形態では距離センサ72は、ソナーセンサである。
【0099】
図10に示すように、距離センサ72は制御装置64に接続されている。距離センサ72は、超音波をシート本体10の周辺の所定の範囲に出射するとともに、物体によって反射した反射波を受信する。距離センサ72は、超音波の送信から受信までの時間に基づいて立体物の有無及び立体物までの距離を検出する検出結果を制御装置64に送信する。
【0100】
制御装置64は、第1入力装置62から回転信号を受けたとき、シート本体10を回転させる回転装置11の回転制御を実行する。最初に制御装置64は、距離センサ72から取得した物体の位置に基づいて、シート本体10と物体との衝突の可能性を推定する。制御装置64は、シート本体10が回転するとき、シート本体10の回転軌道の内側に物体を検出した場合に、シート本体10と物体との衝突の可能性があることを推定するとよい。制御装置64は、シート本体10と物体との衝突の可能性があると判定した場合、第3表示装置71にシート本体10が衝突することを表す第2注意表示を表示させる。本実施形態では図11に示すように、第2注意表示は、円記号58の点灯により表示される。このとき発光色は、第1注意表示、回転表示及び停止表示に使用される発光色と異なる他方の発光色であってよい。これにより第3表示装置71はシート本体10が他の物体と衝突する可能性があることを乗員に注意喚起することができる。制御装置64は、シート本体10と物体との衝突の可能性がないと判定した場合、制御装置64は前述した回転制御を実行するとよい。
【0101】
距離センサ72により、表示装置はシート本体10が他の物体と衝突する可能性があることを乗員に注意喚起することができる。
【0102】
表示装置の位置は、更に変更してもよい。例えば、図12に示すように、表示装置は回転装置11の周囲に配置されるカバー50の後面に設けられた第4表示装置74を有してもよい。第4表示装置74の構成は第1表示装置54と同様である。第4装置は、発光部55がアッパカバー52に設けられた開口から露出するように設けられてよい。第4表示装置74により、シート本体10の後方に存在する乗員に注意喚起することができる。
【0103】
図13に示すように、表示装置は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等のディスプレイ75であってよい。ディスプレイ75は、シートバックカバー25の下部に配置されていてよい。ディスプレイ75の中央には、シート本体10を上方から見た形状をなすシートアイコン76が表示されているとよい。シート本体10の周囲の物体の位置を検出する距離センサ72は、左右のシートクッションサイドメンバ21の前端部及び後端部に設けられている。
【0104】
シート1は、スライド装置16の操作を受け付けるための第2入力装置78を有する。本実施形態では、第2入力装置78は、メカニカルスイッチである。第2入力装置78は右のシートクッションサイドカバー22に設けられている。第2入力装置78は、シート本体10を前方に移動させる前移動スイッチ78A、及びシート本体10を後方に移動させる後移動スイッチ78Bを有する。
【0105】
図14に示すように、距離センサ72、第1入力装置62、第2入力装置78、回転装置11及びスライド装置16は制御装置64に接続されている。第2入力装置78は、前移動スイッチ78Aが乗員によって押されている間、前移動信号を制御装置64に出力する。また第2入力装置78は、後移動スイッチ78Bが乗員によって押されている間、後移動信号を制御装置64に出力する。
【0106】
シート本体10が回転を開始することを表す第1注意表示では、ディスプレイ75にシートアイコン76の左右の両側方に回転の向きを示す2つの矢印アイコン79が表示されるとよい。例えば図15に示すように、シート本体10を左回転させるとき、第1注意表示では、ディスプレイ75の右側に上方且つ左方を指す矢印アイコン79が表示され、ディスプレイ75の左側に下方且つ右方を指す矢印アイコン79が表示されるとよい。
【0107】
シート本体10が回転していることを表す回転表示は、シートアイコン76の左右両側方に表示された矢印アイコン79の点滅により表示されてよい。
【0108】
シート本体10が物体に衝突する可能性があることを表す第2注意表示では、ディスプレイ75に衝突危険アイコン80が表示されるとよい。また第2注意表示は、ディスプレイ75に表示させる衝突危険アイコン80の位置に応じて、シート本体10と物体との衝突可能性の箇所を示すとよい。例えば図15に示すように、シート本体10の前方且つ左方においてシート本体10と物体との衝突可能性がある場合、衝突危険アイコン80はディスプレイ75の上側且つ左側に表示されるとよい。
【0109】
シート本体10の回転が完了することを表す停止表示は、シートアイコン76の左右両側方に表示された矢印アイコン79の消灯により表示されるとよい。
【0110】
制御装置64は、第2入力装置78からの信号に基づいて、シート本体10を移動させる移動制御を実行するとよい。このとき制御装置64は、ディスプレイ75にシート本体10が移動を開始することを表す第3注意表示を表示させるとよい。例えば図15に示すように、シート本体10を後方に移動させるとき、第3注意表示では、ディスプレイ75の下側に下を指す矢印アイコン81が表示されるとよい。シート本体10が移動していることを表す移動表示は、ディスプレイ75の下側に表示された矢印アイコン81の点滅により表示されてよい。シート本体10の移動が完了することを表す移動停止表示は、ディスプレイ75の下側に表示された矢印アイコン81の消灯により表示されるとよい。
【0111】
ディスプレイ75の形状及びシート本体10が物体に衝突する可能性があることを表す第2注意表示は、変更してもよい。例えば図16に示すように、ディスプレイ75は左右方向に長い形状に形成されてよい。第2注意表示は、シート本体10が物体に衝突する可能性に加え、シート本体10に衝突する可能性のある物体のおおよその位置、及びシート本体10の回転が行われないことを乗員に報知してよい。第2注意表示は、例えば衝突危険アイコン80に加え、シート本体10の回転の禁止を表す回転禁止アイコン82と複数の矢印アイコン83との点灯により表示されてよい。矢印アイコン83は、シート本体10とシート本体10に衝突する可能性のある物体との位置関係を乗員に視覚的に伝えるためのアイコンであってよい。
【0112】
回転禁止アイコン82は、ディスプレイ75の左右方向の中央部に配置される。回転禁止アイコン82は、円状の記号の内に「NG」の文字が含まれて形成されてよい。
【0113】
衝突危険アイコン80は、シート本体10に対するシート本体10に衝突する可能性のある物体の位置を示すとよい。衝突する可能性のある物体がシート本体10の右方にあるとき、衝突危険アイコン80は、回転禁止アイコン82の右方に表示されるとよい。衝突する可能性のある物体がシート本体10の左方にあるとき、衝突危険アイコン80は、回転禁止アイコン82の左方に表示されるとよい。
【0114】
矢印アイコン83は、回転禁止アイコン82と衝突危険アイコン80との間に表示されるとよい。表示される矢印アイコン79の数は、距離センサ72に基づいてシート本体10とシート本体10に衝突する可能性のある物体との距離に応じて変更されるとよい。例えば図16に示すように、シート本体10に衝突する可能性のある物体がシート本体10から遠い位置にあるとき、回転禁止アイコン82と衝突危険アイコン80との間に3つの矢印アイコン79が表示されるとよい。これらにより、乗員はシート本体10に衝突する可能性のある物体のおおよその位置を把握できる。
【0115】
本実施形態では表示装置はシート本体10に設けられていたが、シート本体10の周辺に設けられたその他のいかなる構造体に設けられていてもよい。例えば図17に示すように、ディスプレイ75はインストルメントパネル84、ドアトリム85、リアサイドトリム86、又はルーフ87(天井)に設けられていてもよい。ディスプレイ75には、複数のシート1のそれぞれを上方から見た図形に対応するシートアイコン76が表示されてよい。所定のシート1が回転又は移動するとき、対応するシートアイコン76に各種表示が表示されるとよい。これにより乗員は各シート1の状態を認識できる。
【0116】
図18に示すように、シート本体10には、シート本体10の回転中に、着座した乗員の姿勢を支えるためのサポート部が設けられてもよい。本実施形態では、サポート部は、空気の供給により膨張する複数のエアセル88である。膨脹したエアセル88は、シート1に着座した乗員を押圧する。エアセル88は、左右の土手部12B及びシートバック13の左右の両側に設けられている。土手部12Bに設けられるエアセル88の上部は、空気の供給により上方且つ左右内方に向けて膨張する。シートバック13に設けられるエアセル88の前部は、空気の供給により前方且つ左右内方に向けて膨張する。エアセル88は、エアセル88に空気を供給する供給装置(不図示)を介して制御装置64に接続されてよい。
【0117】
図19に示すように、制御装置64は、シート本体10の回転に応じてエアセル88を膨張させるとよい。図19(A)に示すように、制御装置64は、第1入力装置62から回転信号を受けていないとき、エアセル88を膨脹させない。制御装置64は、第1入力装置62から所定の回転信号を受けたとき、対応する回転制御を実行する。例えば図19(B)に示すように、制御装置64は、左回転制御を実行するとき、土手部12Bの右側及びシートバック13の右側に設けられた2つのエアセル88の膨張を開始する。図19(C)に示すように、制御装置64は、2つのエアセル88の膨張を開始した後、シート本体10を左回転させる。制御装置64は、シート本体10の回転中、シート本体10の回転角度が大きくなるにつれて、右側の2つのエアセル88を大きくさせるとよい。図19(D)に示すように、制御装置64は、シート本体10の回転が終了するとき、右側に設けられた2つのエアセル88の膨張を停止する。図19(E)に示すように、シート本体10の回転が完了したとき、全てのエアセル88の膨張が解除されているとよい。
【0118】
以上のように制御装置64は、シート本体10を回転させるとき、シート本体10の回転方向と反対側のエアセル88を膨張させる。これによりエアセル88は、シート本体10の回転開始又は回転中に、シート本体10に着座した乗員がシート本体10の回転方向と反対側に傾かないよう乗員の姿勢を支える。
【0119】
他の実施形態では、制御装置64は、シート本体10の回転が終了するとき、シート本体10の回転方向と同じ側のエアセル88を膨張させてもよい。これによりエアセル88は、シート本体10の回転が完了したとき、シート本体10に着座した乗員がシート本体10の回転方向と同じ側に傾かないよう乗員の姿勢を支える。
【0120】
エアセル88の配置は、変更してもよい。例えば図20に示すように、シート本体10はシートバック13の左右の両側部に設けられた対応するアームレスト90を有する。アームレスト90は、骨格をなすアームレストフレームと、アームレストフレームに支持されるアームレストパッドと、アームレストパッドの外面に被せられた表皮材20とを有する公知の構成であってよい。エアセル88は、左右のアームレスト90にも設けられている。アームレスト90に設けられるエアセル88の左右の内側部は、空気の供給により左右内方に向けて膨張する。
【0121】
図20(A)に示すように、制御装置64は、第1入力装置62から回転信号を受けていないとき、エアセル88を膨脹させない。図20(B)に示すように、制御装置64は、例えば左回転制御を実行するとき、土手部12Bの右側、シートバック13の右側及びアームレスト90の右側に設けられた3つのエアセル88の膨張を開始する。図20(C)に示すように、制御装置64は、右側の3つのエアセル88の膨張を開始した後、シート本体10を左回転させる。図20(D)に示すように、制御装置64は、シート本体10の回転が終了するとき、右側の3つのエアセル88の膨張を停止する。図20(E)に示すように、シート本体10の回転が完了したとき、全てのエアセル88の膨張が解除されているとよい。
【0122】
他の実施形態では、サポート部は、シートバックパッド24を前方に押し出す装置であるとよい。例えば、サポート部は、シートバックフレームに回動可能に支持された可動フレームと、可動フレームを回動させるモータとを有するとよい。可動フレームが前方に回動することによって、シートバックパッド24が前方に突出し、乗員の側部を前方に押すとよい。また、サポート部は、シートバックフレームとシートバックパッド24との間に設けられたエアシリンダであってもよい。エアシリンダが前方に伸びることによって、シートバックパッド24が前方に突出し、乗員の側部を前方に押すとよい。
【0123】
サポート部は、アームレスト90であってもよい。アームレスト90は、例えばシートバック13に対して回動させる回動機構及びシートバック13に対するアームレスト90の角度を検出するアームレスト角度センサを有する公知の構成であってよい。回動機構及びアームレスト角度センサは制御装置64に接続されてよい。制御装置64は、回転制御を実行するとき、アームレスト角度センサに基づいて、アームレスト90が水平方向に延びる位置になるように回動機構を回動させるとよい。このとき制御装置64は、シート本体10の回転方向と反対側のアームレスト90の回動機構を回動させるとよい。これによりアームレスト90は、シート本体10の回転中に、シート本体10に着座した乗員がシート本体10の回転方向と反対側に傾かないよう乗員の姿勢を支える。
【0124】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、表示装置は、第1表示装置54、第2表示装置70、第3表示装置71、第4表示装置74及びディスプレイ75を組み合わせてシート1に複数設けられてよい。制御装置64にはシート本体10の回転速度を検出する速度センサが接続されてよい。制御装置64は、速度センサに基づいて、シート本体10の回転開始時における回転速度をシート本体10の回転中における回転速度よりも小さくしてもよい。また第1入力装置62は、シート本体10の回転速度を変更する複数の速度スイッチを有してよい。更に制御装置64には、シートクッション12に掛かる重量を検出する重量センサが接続されてよい。制御装置64は、シート本体10に着座する乗員又はシート本体10に積載する荷物の重量に応じて、シート本体10の回転速度を変更してもよい。重量センサが所定の閾値を超えたとき、制御装置64は表示装置にシート本体10の回転を禁止するための注意表示を表示させてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 :シート(車両用シート)
7 :フロア
10 :シート本体
11 :回転装置
12 :シートクッション
12A :中央部
12B :土手部
13 :シートバック
14 :ヘッドレスト
50 :カバー
54 :第1表示装置
55 :発光部
64 :制御装置
70 :第2表示装置
71 :第3表示装置
72 :距離センサ
74 :第4表示装置
A :軸線(鉛直軸)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20