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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070223
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】超音波プローブ及び超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023174159
(22)【出願日】2023-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2022180142
(32)【優先日】2022-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川俣 常雄
(72)【発明者】
【氏名】今川 健吾
(72)【発明者】
【氏名】岩下 貴之
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE01
4C601EE13
4C601GB03
4C601GB04
4C601GB08
4C601GB18
4C601GB20
4C601GB21
4C601HH22
(57)【要約】
【課題】超音波プローブの最大開口幅の低減を抑制しつつ、超音波プローブと超音波診断装置の装置本体とを接続する信号線の数を低減する。
【解決手段】振動素子アレイ40は、観念上、配列の中央側に位置する複数の中央側主振動素子50a、複数の中央側主振動素子50aよりも当該配列の第1端側に位置する複数の第1端側主振動素子50b、及び、複数の中央側主振動素子50aよりも第2端側に位置する複数の第2端側主振動素子50cに分けられる。接続回路42は、送受信回路30と中央側主振動素子50aとを接続する第1回路60、及び、送受信回路30の接続先を、第1端側主振動素子50bと第2端側主振動素子50cとの間で切り替える主振動子切替スイッチとしてのスイッチSW2が設けられた第2回路62を含んで構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に向けて超音波を照射し被検体からの反射波を受信する複数の振動素子からなる振動素子アレイと、
超音波診断装置の装置本体と前記振動素子アレイとを電気的に接続するための接続回路と、
を備え、
前記振動素子アレイは、長軸方向に配列された複数の主振動素子であって、前記配列の中央側に位置する複数の中央側主振動素子、前記複数の中央側主振動素子よりも前記配列の第1端側に位置する複数の第1端側主振動素子、及び、前記複数の中央側主振動素子よりも前記配列の前記第1端側とは反対側の第2端側に位置する複数の第2端側主振動素子からなる複数の主振動素子を含み、
前記接続回路は、前記装置本体と前記中央側主振動素子とを接続する第1回路と、前記装置本体の接続先を、前記第1端側主振動素子と前記第2端側主振動素子との間で切り替える複数の主振動子切替スイッチを有する第2回路とを含む、
ことを特徴とする超音波プローブ。
【請求項2】
各前記主振動子切替スイッチは、前記装置本体の接続先を、前記複数の第1端側主振動素子の前記配列の前記第1端側からk番目の前記第1端側主振動素子と、前記複数の第2端側主振動素子の前記複数の中央側主振動素子側からk番目の前記第2端側主振動素子との間で切り替える、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記第1回路は、第1基板に設けられ、
前記第2回路は、前記第1基板とは異なる第2基板に設けられる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記振動素子アレイは、各前記主振動素子の、前記長軸方向と直交する短軸方向の両側に配置された複数の副振動素子を含み、
前記第1回路及び前記第2回路は、それぞれ、前記主振動素子に接続された信号線と、当該主振動素子の前記短軸方向の両側に配置された前記副振動素子との間の、接続と非接続と切り替える副振動子切替スイッチを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波プローブ。
【請求項5】
請求項1に記載の超音波プローブと、
前記超音波プローブへの送信信号の送信、及び、前記超音波プローブからの受信信号に対する信号処理を行う送受信回路と、
前記主振動子切替スイッチの切替制御を行うスイッチ制御回路と、
を備え、
前記送受信回路は、前記装置本体と前記第1端側主振動素子が接続されている状態において、前記第1端側主振動素子、及び、複数の前記中央側主振動素子に対して前記送信信号を送信し、その後、前記送信信号の送信対象である複数の前記主振動素子からなる開口を前記第2端側へ移動させていき、
前記スイッチ制御回路は、前記開口の前記第2端側の端が前記中央側主振動素子の前記第2端側の端に達した場合に、前記装置本体と前記第2端側主振動素子が接続されるように前記主振動子切替スイッチを切り替え、
前記送受信回路は、前記装置本体と前記第2端側主振動素子が接続されている状態において、複数の前記中央側主振動素子、及び、前記第2端側主振動素子に対して前記送信信号を送信し、その後、前記開口を前記第2端側へ移動させていく、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
複数の前記第1端側主振動素子は、前記主振動子切替スイッチの切替制御の単位である第1端側ブロックであって、それぞれが、前記配列において連続する複数の前記第1端側主振動素子を含む複数の第1端側ブロックに分割され、
複数の前記第2端側主振動素子は、前記主振動子切替スイッチの切替制御の単位である第2端側ブロックであって、それぞれが、前記配列に応じて各前記第1端側ブロックに対応し、前記配列において連続する複数の前記第2端側主振動素子を含む、複数の第2端側ブロックに分割され、
前記送受信回路は、前記装置本体と各前記第1端側ブロックとが接続されている状態において、前記第1端側ブロック、及び、複数の前記中央側主振動素子の一部に対して前記送信信号を送信し、その後、前記送信信号の送信対象である複数の前記主振動素子からなる開口を前記第2端側へ移動させていき、
前記スイッチ制御回路は、前記開口の前記第2端側の端が前記中央側主振動素子の前記第2端側の端に達した場合に、前記装置本体と、最も前記第1端側にある前記第1端側ブロックである第1端側第1ブロックとの接続が解除され、前記装置本体と、前記中央側主振動素子に隣接する前記第2端側ブロックである第2端側第1ブロックとが接続されるように前記主振動子切替スイッチを切り替え、
前記送受信回路は、前記装置本体と、前記第1端側第1ブロック以外の前記第1端側ブロック、及び、前記第2端側第1ブロックとが接続されている状態において、前記第1端側第1ブロック以外の前記第1端側ブロック、複数の前記中央側主振動素子、及び、前記第2端側第1ブロックに含まれる複数の前記第2端側主振動素子に対して前記送信信号を送信し、その後、前記開口を前記第2端側へ移動させていく、
ことを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記開口の最大幅APmaxは、
APmax=USch-N
で表される、
ことを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。
ここで、USch=T-(B×N)であり、Tは前記複数の振動素子の数を表し、Bは前記第1端側ブロック又は前記第2端側ブロックの数を表し、Nは1つの前記第1端側ブロック又は前記第2端側ブロックに含まれる振動素子の数を表す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、超音波プローブ及び超音波診断装置の改良を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体に向けて超音波が送受波され、それにより得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成し、形成された超音波画像を表示する超音波診断装置が知られている。超音波診断装置は、超音波プローブ、装置本体、及びモニタを含んで構成されるのが一般的である。超音波プローブは、被検体に対して超音波の送受信を行うものである。装置本体は、超音波プローブに超音波を送信させるための送信信号を送信する処理、あるいは、超音波プローブからの受信信号に基づいて超音波画像を形成する処理などを行うものである。モニタは、装置本体で形成された超音波画像を表示するものである。
【0003】
近年、ワイヤレスプローブも提案されているが、装置本体と超音波プローブがケーブルで接続される場合も依然として多々ある。超音波プローブは、超音波の送受信を行うための多数の(例えば百数個など)の振動子からなる振動素子アレイを有している。したがって、装置本体が各振動子に対して送信信号を送るため、あるいは、装置本体が各振動子から受信信号を受信するために、装置本体と超音波プローブとを接続するケーブルは、多数の信号線(一般的には振動子の数に応じた本数の信号線)を有さなければならない。
【0004】
そこで、従来、装置本体と超音波プローブを接続するケーブルの信号線の数を低減するための技術が提案されている。例えば、特許文献1には、超音波プローブが有する振動素子アレイをAグループとBグループに分け、装置本体からの信号線の接続先を、Aグループの振動子とBグループの振動子とのいずれかに切り替える複数のスイッチを含む超音波プローブが開示されている。これによれば、スイッチの切り替えによって、装置本体からの1本の信号線が複数の振動子に対応可能となるため、ケーブルの信号線の数を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-152317号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、超音波プローブにおいては、超音波画像の方位分解能を向上させるべく、開口幅を大きく確保したいという要求がある。ここでの開口幅とは、振動素子アレイの並び方向の幅であり、詳しくは、振動素子アレイに含まれる振動子のうち、同時に超音波を送受信可能な一塊の振動子の数である。
【0007】
例えば特許文献1のように、振動素子アレイに含まれる複数の振動子を半分(AグループとBグループ)に分けて、装置本体からの信号線の接続先をAグループの振動子とBグループの振動子とのいずれかに切り替える場合、最大開口幅は、振動素子アレイに含まれる振動子の数の半分になってしまう。
【0008】
また、好適な超音波画像を形成すべく、超音波プローブの開口を、振動素子アレイの並び方向に向けて移動させる場合がある。例えば、特許文献1には、装置本体からの信号線が接続される振動子(超音波を送受信する振動子)を振動素子アレイの並び方向に少しずつ移動させるということが記載されている。特許文献1の例では、Aグループが#1~#192の192個の振動子を有しており、Bグループが#193~#384の192個の振動子を有している場合、#1~#192の振動子が装置本体に接続されている状態から、#1に代えて#193の振動子を装置本体に接続し、次いで、#2に代えて#194の振動子を装置本体に接続する、というようにスイッチを切り替えていく。しかしながら、このような制御を行うには、複数のスイッチを個別に制御する必要がある。したがって、この場合、装置本体と超音波プローブを接続するケーブルは、複数のスイッチの数分の制御信号線を有する必要があり、ケーブルの信号線の数が低減できない場合があり得る。
【0009】
本明細書で開示される超音波プローブの目的は、超音波プローブの最大開口幅の低減を抑制しつつ、超音波プローブと超音波診断装置の装置本体とを接続する信号線の数を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書で開示される超音波プローブは、被検体に向けて超音波を照射し被検体からの反射波を受信する複数の振動素子からなる振動素子アレイと、超音波診断装置の装置本体と前記振動素子アレイとを電気的に接続するための接続回路と、を備え、前記振動素子アレイは、長軸方向に配列された複数の主振動素子であって、前記配列の中央側に位置する複数の中央側主振動素子、前記複数の中央側主振動素子よりも前記配列の第1端側に位置する複数の第1端側主振動素子、及び、前記複数の中央側主振動素子よりも前記配列の前記第1端側とは反対側の第2端側に位置する複数の第2端側主振動素子からなる複数の主振動素子を含み、前記接続回路は、前記装置本体と前記中央側主振動素子とを接続する第1回路と、前記装置本体の接続先を、前記第1端側主振動素子と前記第2端側主振動素子との間で切り替える複数の主振動子切替スイッチを有する第2回路とを含む、ことを特徴とする。
【0011】
また、各前記主振動子切替スイッチは、前記装置本体の接続先を、前記複数の第1端側主振動素子の前記配列の前記第1端側からk番目の前記第1端側主振動素子と、前記複数の第2端側主振動素子の前記複数の中央側主振動素子側からk番目の前記第2端側主振動素子との間で切り替えるとよい。
【0012】
当該構成によれば、第2回路62によって、装置本体の接続先(装置本体と超音波プローブを接続するケーブルが有する1本の信号線の接続先)が、第1端側主振動素子と第2端側主振動素子との間で切り替えられる。したがって、第1端側主振動素子50b又は第2端側主振動素子50cの数だけ、ケーブルの信号線の本数を低減することができる。
【0013】
さらに、当該構成によれば、装置本体と第1端側主振動素子を接続した状態で、超音波プローブの開口を第1端側から第2端側方向へ移動させていき、開口の第2端側端部が中央側主振動素子の第2端側端部に到達したときに、装置本体の接続先を第1端側主振動素子から第2端側主振動素子に切り替えるように制御し、その後、開口を第2端に到達するまで第2端側へ移動させるという制御を行うことができる。これにより、複数の主振動子切替スイッチを同時に制御すればよいため、主振動子切替スイッチの制御に必要な制御信号線の数(つまりケーブルの信号線の本数)を低減しつつ、超音波プローブの開口幅の低減を抑制(開口幅を中央側主振動素子の数に応じた幅を維持する)ことができる。
【0014】
前記第1回路は、第1基板に設けられ、前記第2回路は、前記第1基板とは異なる第2基板に設けられるとよい。
【0015】
当該構成によれば、種々の数の振動素子を有する種々の超音波プローブに第1基板及び第2基板を利用することができるようになる。
【0016】
前記振動素子アレイは、各前記主振動素子の、前記長軸方向と直交する短軸方向の両側に配置された複数の副振動素子を含み、前記第1回路及び前記第2回路は、それぞれ、前記主振動素子に接続された信号線と、当該主振動素子の前記短軸方向の両側に配置された前記副振動素子との間の、接続と非接続と切り替える副振動子切替スイッチを含むとよい。
【0017】
当該構成によれば、短軸方向の開口幅の切り替えが可能となる。
【0018】
また、本明細書で開示される超音波診断装置は、請求項1に記載の超音波プローブと、前記超音波プローブへの送信信号の送信、及び、前記超音波プローブからの受信信号に対する信号処理を行う送受信回路と、前記主振動子切替スイッチの切替制御を行うスイッチ制御回路と、を備え、前記送受信回路は、前記装置本体と前記第1端側主振動素子が接続されている状態において、前記第1端側主振動素子、及び、複数の前記中央側主振動素子に対して前記送信信号を送信し、その後、前記送信信号の送信対象である複数の前記主振動素子からなる開口を前記第2端側へ移動させていき、前記スイッチ制御回路は、前記開口の前記第2端側の端が前記中央側主振動素子の前記第2端側の端に達した場合に、前記装置本体と前記第2端側主振動素子が接続されるように前記主振動子切替スイッチを切り替え、前記送受信回路は、前記装置本体と前記第2端側主振動素子が接続されている状態において、複数の前記中央側主振動素子、及び、前記第2端側主振動素子に対して前記送信信号を送信し、その後、前記開口を前記第2端側へ移動させていく、ことを特徴とする。
【0019】
複数の前記第1端側主振動素子は、前記主振動子切替スイッチの切替制御の単位である第1端側ブロックであって、それぞれが、前記配列において連続する複数の前記第1端側主振動素子を含む複数の第1端側ブロックに分割され、複数の前記第2端側主振動素子は、前記主振動子切替スイッチの切替制御の単位である第2端側ブロックであって、それぞれが、前記配列に応じて各前記第1端側ブロックに対応し、前記配列において連続する複数の前記第2端側主振動素子を含む、複数の第2端側ブロックに分割され、前記送受信回路は、前記装置本体と各前記第1端側ブロックとが接続されている状態において、前記第1端側ブロック、及び、複数の前記中央側主振動素子の一部に対して前記送信信号を送信し、その後、前記送信信号の送信対象である複数の前記主振動素子からなる開口を前記第2端側へ移動させていき、前記スイッチ制御回路は、前記開口の前記第2端側の端が前記中央側主振動素子の前記第2端側の端に達した場合に、前記装置本体と、最も前記第1端側にある前記第1端側ブロックである第1端側第1ブロックとの接続が解除され、前記装置本体と、前記中央側主振動素子に隣接する前記第2端側ブロックである第2端側第1ブロックとが接続されるように前記主振動子切替スイッチを切り替え、前記送受信回路は、前記装置本体と、前記第1端側第1ブロック以外の前記第1端側ブロック、及び、前記第2端側第1ブロックとが接続されている状態において、前記第1端側第1ブロック以外の前記第1端側ブロック、複数の前記中央側主振動素子、及び、前記第2端側第1ブロックに含まれる複数の前記第2端側主振動素子に対して前記送信信号を送信し、その後、前記開口を前記第2端側へ移動させていくとよい。
【0020】
前記開口の最大幅APmaxは、APmax=USch-Nで表されるとよい。ここで、USch=T-(B×N)であり、Tは前記複数の振動素子の数を表し、Bは前記第1端側ブロック又は前記第2端側ブロックの数を表し、Nは1つの前記第1端側ブロック又は前記第2端側ブロックに含まれる振動素子の数を表す。
【発明の効果】
【0021】
本明細書で開示される超音波プローブによれば、超音波プローブの最大開口幅の低減を抑制しつつ、超音波プローブと超音波診断装置の装置本体とを接続する信号線の数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係る超音波診断装置のブロック図である。
図2】振動素子アレイの模式図である。
図3】接続回路の回路図である。
図4】第1実施形態における、接続回路の各スイッチを制御するための制御信号線の回路図である。
図5】第1実施形態において、超音波プローブの開口が移動する様子を示す図である。
図6】第2実施形態における、複数の第1端側ブロック及び複数の第2端側ブロックを示す概念図である。
図7】第2実施形態における、第1端側ブロック、第2端側ブロック、接続回路に設けられたスイッチ、及び、スイッチを制御するための制御信号線の接続関係を示す回路図である。
図8】第2実施形態において、超音波プローブの開口が移動する様子を示す図である。
図9】開口の最大幅をUSch-Nよりも大きくした場合の開口を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置10のブロック図である。超音波診断装置10は、病院などの医療機関に設置され、超音波検査時に使用される医用装置である。
【0024】
超音波診断装置10は、被検体に対して超音波ビームを走査し、それにより得られた受信信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。例えば、超音波診断装置10は、受信信号に基づいて、走査面からの反射波の振幅強度が輝度に変換された断層画像(Bモード画像)を形成する。あるいは、超音波診断装置10は、送信波と受信波の周波数の差分(ドプラシフト)に基づいて、被検体内の組織の運動速度を表す超音波画像であるドプラ画像を形成する。
【0025】
超音波診断装置10は、超音波プローブ12、装置本体14、モニタ16、ケーブル18、及び、コネクタボックス20を含んで構成される。
【0026】
超音波プローブ12は、被検体に対して超音波の送受波を行う装置である。超音波プローブ12の詳細については後述する。
【0027】
装置本体14は、超音波プローブ12に超音波を送信させるための送信信号を送信する処理、あるいは、超音波プローブ12からの受信信号に基づいて超音波画像を形成する処理などを行う装置である。装置本体14は、種々の処理を行うための種々の回路を含んでいるが、図1には、超音波プローブ12への送信信号の送信、及び、超音波プローブ12からの受信信号に対する信号処理などを行う送受信回路30、及び、後述の接続回路42が有するスイッチの切替制御を行うスイッチ制御回路31のみが図示されている。
【0028】
モニタ16は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)などから構成される。モニタ16には、装置本体14で形成された超音波画像などが表示される。
【0029】
ケーブル18は、超音波プローブ12と装置本体14とを電気的に接続するものである。詳しくは、ケーブル18は複数の信号線を有しており、各信号線は、超音波プローブ12の振動素子アレイ40に含まれる各振動素子と、装置本体14の送受信回路30とを接続する。ケーブル18の装置本体14側には、コネクタボックス20が接続されている。装置本体14に設けられたコネクタにコネクタボックス20が取り付けられることで、ケーブル18及びコネクタボックス20を介して、超音波プローブ12と装置本体14とが接続される。また、図1に示すように、コネクタボックス20にはシフトレジスタ32が設けられている。シフトレジスタ32の機能については後述する。
【0030】
以下、超音波プローブ12の詳細について説明する。超音波プローブ12は、振動素子アレイ40及び接続回路42を含んで構成される。
【0031】
振動素子アレイ40は、被検体に向けて超音波を照射する、又は、被検体からの反射波を受信する、複数の振動素子から構成される。
【0032】
図2は、振動素子アレイ40の模式図である。振動素子アレイ40は、一方向に配列された複数の主振動素子50を含んで構成される。本明細書では、主振動素子50の配列方向を「長軸方向」と記載する。振動素子アレイ40は、例えば320個の主振動素子50を含んで構成されるが、主振動素子50の数はこれには限られない。
【0033】
長軸方向に配列された複数の主振動素子50は、観念上、配列の中央側に位置する複数の中央側主振動素子50a、複数の中央側主振動素子50aよりも当該配列の第1端側(図2では上端側)に位置する複数の第1端側主振動素子50b、及び、複数の中央側主振動素子50aよりも当該配列の第1端側とは反対側の第2端側(図2では下端側)に位置する複数の第2端側主振動素子50cに分けられる。第1端側主振動素子50bの数と、第2端側主振動素子50cの数は同数である。中央側主振動素子50aの数と、第1端側主振動素子50b又は第2端側主振動素子50cの数とは、同数であってもよいし異なる数であってもよい。
【0034】
また、本実施形態では、振動素子アレイ40は、各主振動素子50の、長軸方向と直交する短軸方向の両側に配置された複数の副振動素子52を含んで構成される。副振動素子52は、短軸方向の開口を広げる効果を発揮する。本実施形態では、副振動素子52は、各主振動素子50の両側にそれぞれ1つずつ(都合1つの主振動素子50に対して2つ)設けられているが、副振動素子52は、各主振動素子50の両側にそれぞれ複数設けられてもよい。
【0035】
上述の通り、複数の主振動素子50は長軸方向に配列されているため、複数の副振動素子52も長軸方向に配列されることになる。複数の主振動素子50は、中央側主振動素子50a、第1端側主振動素子50b、及び第2端側主振動素子50cを含むところ、同様に、複数の副振動素子52も、観念上、配列の中央側に位置する複数の中央側副振動素子52a、複数の中央側副振動素子52aよりも当該配列の第1端側(図2では上端側)に位置する複数の第1端側副振動素子52b、及び、複数の中央側副振動素子52aよりも当該配列の第1端側とは反対側の第2端側(図2では下端側)に位置する複数の第2端側副振動素子52cに分けられる。中央側副振動素子52aは、中央側主振動素子50aの短軸方向の両側に配置されたものであり、第1端側副振動素子52bは、第1端側主振動素子50bの短軸方向の両側に配置されたものであり、第2端側副振動素子52cは、第2端側主振動素子50cの短軸方向の両側に配置されたものである。
【0036】
なお、本明細書では、主振動素子50の短軸方向の両側に配置された副振動素子52を、(当該)主振動素子50に対応する副振動素子52と記載する場合がある。
【0037】
接続回路42は、送受信回路30(つまり装置本体14)からの送信信号及び振動素子アレイ40からの受信信号の信号経路において、送受信回路30と振動素子アレイ40との間に設けられる回路であり、送受信回路30と振動素子アレイ40とを電気的に接続するための回路である。具体的には、接続回路42は、振動素子アレイ40に含まれる各振動素子(主振動素子50及び副振動素子52)と、送受信回路30に接続されるケーブル18(より詳しくはケーブル18に含まれる各信号線)とを電気的に接続する回路である。
【0038】
図3は、接続回路42の回路図である。以下、図3を参照しつつ接続回路42について説明する。図3では、接続回路42の右側において、主振動素子50と、それに対応する2つの副振動素子52とが、1つの記号Mであらわされている。縦に並ぶ複数の当該記号Mが、長軸方向に配列された主振動素子50及び副振動素子52を表している。各記号Mの右側に記載された数字(#)は、主振動素子50又は副振動素子52の、配列における第1端側からの順番を表す。図3の例では、主振動素子50は、長軸方向に320個配列されている。また、図3の例では、中央側主振動素子50aは192個(#65~#256)であり、第1端側主振動素子50bは64個(#1~#64)であり、第2端側主振動素子50cは64個(#257~#320)である。
【0039】
接続回路42は、第1回路60及び第2回路62を含んで構成される。第1回路60は、送受信回路30と中央側主振動素子50aとを接続する回路であり、第2回路62は、送受信回路30の接続先を、第1端側主振動素子50bと第2端側主振動素子50cとの間で切り替える機能を有する回路である。以下、本明細書では、第1回路60又は第2回路62に含まれる各信号経路を「パターン」と呼ぶ。
【0040】
第1回路60は、送受信回路30と中央側主振動素子50aを接続する主パターン60aを含む。詳しくは、主パターン60aは、ケーブル18の送信信号線Sと中央側主振動素子50aとを接続している。したがって、コネクタボックス20が装置本体14に接続されている限り、中央側主振動素子50aは、主パターン60aによって常に送受信回路30に接続されることになる。
【0041】
また、第1回路60は、主パターン60aから分岐し、当該主パターン60aが接続された中央側主振動素子50aに対応する中央側副振動素子52aに接続される副パターン60bを含む。副パターン60bの途中には、副振動子切替スイッチとしてのスイッチSW1が設けられている。スイッチSW1は、主パターン60aと中央側副振動素子52aとの接続/非接続を切り替えるスイッチである。スイッチSW1がオンであれば、中央側主振動素子50aと、それに対応する中央側副振動素子52aとが、同一の主パターン60a(つまり同一の送信信号線S)に接続される。スイッチSW1がオフであれば、中央側副振動素子52aは、主パターン60a(つまり送信信号線S)には接続されない。
【0042】
第1回路60は、中央側主振動素子50a(又はそれに対応する中央側副振動素子52a)毎に設けられる。
【0043】
第2回路62は、ケーブル18の送信信号線Sに接続されるケーブル側パターン62aと、第1端側主振動素子50bに接続される第1端側主パターン62bと、第2端側主振動素子50cに接続される第2端側主パターン62cとを含む。ケーブル側パターン62aと、第1端側主パターン62b及び第2端側主パターン62cとの間には、主振動子切替スイッチとしてのスイッチSW2が設けられている。スイッチSW2は、ケーブル側パターン62aの接続先を、第1端側主パターン62b又は第2端側主パターン62cのいずれかに切り替えるスイッチである。換言すれば、スイッチSW2により、送受信回路30の接続先が、第1端側主振動素子50bと第2端側主振動素子50cとの間で切り替えられる。
【0044】
第2回路62は、1つの第1端側主振動素子50bと1つの第2端側主振動素子50cとの組み合わせ毎に設けられるのであるが、第2回路62が有するスイッチSW2は、送受信回路30の接続先を、主振動素子50の配列の第1端側からk番目の第1端側主振動素子50bと、当該配列の中央側主振動素子50a側からk番目の第2端側主振動素子50cとの間で切り替える。例えば、1つ目の第2回路62のスイッチSW2は、送受信回路30の接続先を、複数の主振動素子50の配列において1番目(#1)にある第1端側主振動素子50bと、当該配列において257番目(複数の第2端側主振動素子50cのうち最も中央側主振動素子50a側(配列の第1端側と言ってもよい))にある第2端側主振動素子50cとの間で切り替える。また、2つ目の第2回路62のスイッチSW2は、送受信回路30の接続先を、複数の主振動素子50の配列において2番目(#2)にある第1端側主振動素子50bと、当該配列において258番目(複数の第2端側主振動素子50cのうち中央側主振動素子50a側(配列の第1端側)から2番目)にある第2端側主振動素子50cとの間で切り替える。
【0045】
また、第2回路62は、第1端側副振動素子52bに接続される第1端側副パターン62dと、第2端側副振動素子52cに接続される第2端側副パターン62eとを含む。ケーブル側パターン62aと、第1端側副パターン62d及び第2端側副パターン62eとの間には、副振動子切替スイッチとしてのスイッチSW3が設けられている。スイッチSW3は、ケーブル側パターン62aの接続先を、第1端側副パターン62d又は第2端側副パターン62eのいずれかに切り替えるスイッチである。換言すれば、スイッチSW3により、送受信回路30の接続先が、第1端側副振動素子52bと第2端側副振動素子52cとの間で切り替えられる。
【0046】
スイッチSW2同様に、1つの第2回路62が有するスイッチSW3は、送受信回路30の接続先を、副振動素子52の配列の第1端側からk番目の第1端側副振動素子52bと、当該配列の中央側副振動素子52a側からk番目の第2端側副振動素子52cとの間で切り替える。例えば、1つ目の第2回路62のスイッチSW3は、送受信回路30の接続先を、複数の副振動素子52の配列において1番目(#1)にある第1端側副振動素子52bと、当該配列において257番目(複数の第2端側副振動素子52cのうち最も中央側副振動素子52a側(配列の第1端側と言ってもよい))にある第2端側副振動素子52cとの間で切り替える。また、2つ目の第2回路62のスイッチSW3は、送受信回路30の接続先を、複数の副振動素子52の配列において2番目(#2)にある第1端側副振動素子52bと、当該配列において258番目(複数の第2端側副振動素子52cのうち中央側副振動素子52a側(配列の第1端側)から2番目)にある第2端側副振動素子52cとの間で切り替える。
【0047】
本実施形態では、接続回路42は、複数の基板に分けて設けられる。具体的には、第1回路60は第1基板70に設けられ、第2回路62は、第1基板70とは異なる第2基板72に設けられる。本実施形態では、第1基板70には第2回路62は設けられず、第2基板72には第1回路60は設けられない。
【0048】
例えば、図3の例では、中央側主振動素子50aは192個設けられているから、第1基板70には、192個の第1回路60が設けられる。複数の第1回路60が複数の第1基板70に分けられて設けられてもよい。例えば、1つ目の第1基板70に96個の第1回路60が設けられ、2つ目の第1基板70に96個の第1回路60が設けられてもよい。この場合、超音波プローブ12には2つの第1基板70が設けられることになる。1つの第1基板70に設けられる第1回路60の数は適宜決定されてよい。
【0049】
また、図3の例では、第1端側主振動素子50bと第2端側主振動素子50cとの組み合わせは64個設けられているから、第2基板72には、64個の第2回路62が設けられる。複数の第2回路62が複数の第2基板72に分けられて設けられてもよい。例えば、1つ目の第2基板72に32個の第2回路62が設けられ、2つ目の第2基板72に32個の第2回路62が設けられてもよい。この場合、超音波プローブ12には2つの第2基板72が設けられることになる。1つの第2基板72に設けられる第2回路62の数も適宜決定されてよい。
【0050】
図4は、接続回路42の各スイッチ(SW1、SW2、SW3)を制御するための制御信号線CSの回路図である。各スイッチを制御するための制御信号は、スイッチ制御回路31から出力される。ただし、スイッチ制御回路31からはダイナミック信号の制御信号がシフトレジスタ32に出力され、当該制御信号がシフトレジスタ32にてスタティック信号に変換される。
【0051】
シフトレジスタ32からは2本の制御信号線CS1,CS2が、ケーブル18を介して接続回路42接続されている。
【0052】
制御信号線CS1は、第1基板70に設けられた複数の第1回路60が有する複数のスイッチSW1、並びに、第2基板72に設けられた複数の第2回路62が有する複数のスイッチSW3にパラレルに接続されている。これにより、シフトレジスタ32からのスイッチSW1への制御信号が、複数のスイッチSW1及び複数のスイッチSW3にパラレルに供給される。制御信号線CS1の値がH(High)である場合、スイッチSW1がオンになり、制御信号線CS1の値がL(Low)である場合、スイッチSW1がオフとなる。制御信号線CS1の値がHである場合、スイッチSW3がイネーブルになり、制御信号線CS1の値がLである場合、スイッチSW3がオフとなる。スイッチSW3がイネーブルになる、とは、ケーブル側パターン62aと、第1端側副パターン62d又は第2端側副パターン62eのいずれかとが接続された状態を意味する。スイッチSW3がオフになる、とは、ケーブル側パターン62aが、第1端側副パターン62d及び第2端側副パターン62eのいずれにも接続されない状態となることを意味する。
【0053】
本実施形態では、制御信号線CS2は、第2基板72に設けられた複数の第2回路62が有する複数のスイッチSW2及び複数のスイッチSW3にパラレルに接続されている。これにより、シフトレジスタ32からのスイッチSW2への制御信号が複数のスイッチSW2にパラレルに供給される。制御信号線CS2の値がLである場合、スイッチSW2は、ケーブル側パターン62aと第1端側主パターン62bが接続される状態となり、制御信号線CS2の値がHである場合、スイッチSW2は、ケーブル側パターン62aと第2端側主パターン62cが接続される状態となる。すなわち、複数の第2回路62が有する複数のスイッチSW2は同時に制御される。
【0054】
本実施形態では、制御信号線CS2は、複数のスイッチSW3にパラレルに接続されている。これにより、制御信号線CS2が複数のスイッチSW3にパラレルに供給される。制御信号線CS1がHであって、且つ、制御信号線CS2がLである場合、スイッチSW3は、ケーブル側パターン62aと第1端側副パターン62dが接続される状態となり、制御信号線CS1がHであって、且つ、制御信号線CS2がHである場合、スイッチSW3は、ケーブル側パターン62aと第2端側副パターン62eが接続される状態となる。すなわち、複数の第2回路62が有する複数のスイッチSW3も同時に制御される。
【0055】
本実施形態に係る超音波プローブ12の概要は以上の通りである。超音波プローブ12は、第2回路62によって、ケーブル18が有する1本の送信信号線Sが、2つの主振動素子50(第1端側主振動素子50b及び第2端側主振動素子50c)に対応することとなるため、第1端側主振動素子50b(又は第2端側主振動素子50c)の数だけ送信信号線Sの本数を低減することができる。
【0056】
また、主振動素子50の配列方向において、中央側主振動素子50aの両側にある第1端側主振動素子50bと第2端側主振動素子50cとの間で送受信回路30の接続先を切り替えることで、主振動素子50の配列方向(長軸方向)の最大開口幅の低減が抑制されている。これについて、図5を参照しつつ説明する。
【0057】
図5の例では、主振動素子50の配列の第1端側から第2端側、すなわち、主振動素子50の配列において1番目(#1)から320番目(#320)の方向へ、最大開口幅の開口A(図5の例では振動素子160個分)を移動させていく例が示されている。なお、図5には副振動素子52も図示されているが、以下の長軸方向への開口Aの移動の説明では、主振動素子50に着目して説明する。
【0058】
図5の左側の図は、開口Aが#1~#160の主振動素子50である状態を表している。この場合、スイッチ制御回路31は、制御信号線CS2をLに制御して、送受信回路30と第1端側主振動素子50b(#1~#64)を接続させる。その上で、送受信回路30は、第1端側主振動素子50bの全部(#1~#64)と、中央側主振動素子50aの一部(#65~#160)に対して送信信号を送信する。
【0059】
この状態から、スイッチ制御回路31が制御信号線CS2をLに維持したまま、送受信回路30は、開口Aの幅を維持しつつ、開口Aを徐々に主振動素子50の配列の第2端側(#320の主振動素子50側)へ移動させていく。すなわち、送受信回路30は、送信信号の送信先の主振動素子50を徐々に#320の主振動素子50側へ変更していく。やがて、開口Aの第2端側の端が中央側主振動素子50aの第2端側の端に達し、開口Aは、図5の真ん中の図のように、#97~#256の主振動素子50となる。
【0060】
この状態において、スイッチ制御回路31は、制御信号線CS2をHに変更し、送受信回路30の接続先を第1端側主振動素子50b(#1~#64)から第2端側主振動素子50c(#257~#320)に切り替える。次いで、送受信回路30は、中央側主振動素子50aの一部(#98~#256)と、第2端側主振動素子50cの1つ目(#257)と、に対して送信信号を送信する。
【0061】
以後、スイッチ制御回路31が制御信号線CS2をHに維持したまま、送受信回路30は、開口Aの幅を維持しつつ、開口Aを徐々に主振動素子50の配列の第2端側(#320の主振動素子50側)へ移動させていく。すなわち、送受信回路30は、送信信号の送信先の主振動素子50を徐々に#320の主振動素子50側へ変更していく。やがて、開口Aは、図5の右の図のように、#161~#320の主振動素子50となる。
【0062】
以上のように、本実施形態では、主振動素子50の配列方向において、中央側主振動素子50aの両側にある第1端側主振動素子50bと第2端側主振動素子50cとの間で送受信回路30の接続先を切り替えることで、開口Aの最大幅の低減を抑制することができる。且つ、第1端側主振動素子50bと第2端側主振動素子50cとの間で送受信回路30の接続先を切り替えるための複数のスイッチSW2を同時に制御すればよいため、スイッチSW2を切り替えるための制御信号線CS2は1本でよい。すなわち、本実施形態によれば、超音波プローブ12の最大開口幅の低減を抑制しつつ、ケーブル18の信号線の数を低減することが可能となっている。
【0063】
また、本実施形態では、複数の第1回路60が第1基板70に設けられ、複数の第2回路62が第2基板72に設けられている。これにより、種々の数の振動素子を有する種々の超音波プローブ12に第1基板70及び第2基板72を利用することができるようになる。例えば、96個の第1回路60が設けられた第1基板70、及び、32個の第2回路62が設けられた第2基板72を用意しておいた場合、320個の振動素子を有する超音波プローブ12には、2枚の第1基板70及び2枚の第2基板72を設ければよく、256個の振動素子を有する超音波プローブ12には、2枚の第1基板70及び1枚の第2基板72を設ければよく、160個の振動素子を有する超音波プローブ12には、1枚の第1基板70及び1枚の第2基板72を設ければよい。
【0064】
さらに、本実施形態では、スイッチSW1を制御することによって、送受信回路30に接続された主振動素子50に対応する副振動素子52も送受信回路30に接続することができる。送受信回路30の副振動素子52への接続/未接続を切り替えることによって、超音波送受信面積が可変され、超音波ビームのフォーカスを調整することが可能となる。
【0065】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る超音波診断装置10のブロック図、振動素子アレイ40の模式図、及び、接続回路42の回路図は、第1実施形態と概ね同様である。以下、主に第1実施形態との間に差異がある部分に関して、第2実施形態に係る超音波診断装置10について説明する。
【0066】
図6は、振動素子アレイ40において定義される複数の第1端側ブロック80及び複数の第2端側ブロック82を示す概念図である。第2実施形態では、複数の第1端側主振動素子50bは、観念上、複数の第1端側ブロック80に分割される。なお、各第1端側ブロック80には、複数の第1端側副振動素子52bも含まれるが、以下の説明においては、主振動素子50に着目し、副振動素子52については後述する。各第1端側ブロック80は、振動素子アレイ40の配列において連続する複数の第1端側主振動素子50bを含んで構成される。本実施形態では、図6に示すように、第1端側ブロック80は、#1~#32の第1端側主振動素子50bを含む第1端側第1ブロック80a、及び、#33~#64の第1端側主振動素子50bを含む第1端側第2ブロック80bの2つの第1端側ブロック80に分割されている。このように、本実施形態では、各第1端側ブロック80は、それぞれ32個の第1端側主振動素子50bを含んでいる。第1端側ブロック80の個数は2つに限られず、それ以上の数であってもよい。詳しくは後述するが、第1端側ブロック80は、主振動子切替スイッチとしてのスイッチSW2の切替制御の単位である。
【0067】
同様に、第2実施形態では、複数の第2端側主振動素子50cは、観念上、複数の第2端側ブロック82に分割される。第1端側ブロック80同様、各第2端側ブロック82には、複数の第2端側副振動素子52cも含まれるが、以下の説明においては、主振動素子50に着目し、副振動素子52については後述する。各第2端側ブロック82も、振動素子アレイ40の配列において連続する複数の第2端側主振動素子50cを含んで構成される。本実施形態では、図6に示すように、第2端側ブロック82は、#257~#288の第2端側主振動素子50cを含む第2端側第1ブロック82a、及び、#289~#320の第2端側主振動素子50cを含む第2端側第2ブロック82bの2つの第2端側ブロック82に分割されている。このように、本実施形態では、各第2端側ブロック82は、それぞれ32個の第2端側主振動素子50cを含んでいる。特に、各第2端側ブロック82は、振動素子アレイ40の配列に応じて、各第1端側ブロック80に対応するように設けられている。本実施形態では、第2端側ブロック82のうち最も第1端側にある(中央側主振動素子50aに隣接する)第2端側第1ブロック82aは、第1端側ブロック80のうち最も第1端側にある第1端側第1ブロック80aに対応している。また、第2端側ブロック82のうち第1端側から2番目にある第2端側第2ブロック82bは、第1端側ブロック80のうち第1端側から2番目にある第1端側第2ブロック80bに対応している。このように、第1端側ブロック80の数と第2端側ブロック82の数は同数である。また、第1端側ブロック80に含まれる第1端側主振動素子50bの数と、当該第1端側ブロック80に対応する第2端側ブロック82に含まれる第2端側主振動素子50cの数は同数となっている。第2端側ブロック82も、スイッチSW2の切替制御の単位である。
【0068】
図7は、第1端側ブロック80、第2端側ブロック82、スイッチSW2及びスイッチSW3、制御信号線CS1、並びに、スイッチSW2及びスイッチSW3を制御するための制御信号線CS2の接続関係を示す回路図である。第2実施形態においても、複数の中央側主振動素子50a(及び複数の中央側副振動素子52a)、並びに、制御信号線CS1が接続されたスイッチSW1(図4参照)が設けられているが、図7ではその図示が省略されている。
【0069】
スイッチSW2が、送受信回路30(図1参照)の接続先を、第1端側主振動素子50bと第2端側主振動素子50cとの間で切り替えるのは、第1実施形態と同様である。特に、第2実施形態では、スイッチSW2は、送受信回路30の切替先を、第1端側ブロック80に含まれる第1端側主振動素子50bと、当該第1端側ブロック80に対応する第2端側ブロック82に含まれる第2端側主振動素子50cとの間で切り替える。図7の例では、スイッチSW2-1は、第1端側第1ブロック80aに含まれる第1端側主振動素子50bと、第2端側第1ブロック82aに含まれる第2端側主振動素子50cとの間で切り替え、スイッチSW2-2は、第1端側第2ブロック80bに含まれる第1端側主振動素子50bと、第2端側第2ブロック82bに含まれる第2端側主振動素子50cとの間で切り替える。なお、図7の例では、第1端側ブロック80及び第2端側ブロック82の1セットに対して1つのスイッチSW2のみが図示されている(例えば、第1端側第1ブロック80a及び第2端側第1ブロック82aのセットに対して1つのスイッチSW2-1のみが図示されている)が、実際には、当該セットに対するスイッチSW2は、第1端側ブロック80及び第2端側ブロック82に含まれる主振動素子50の数分設けられている。本明細書では、第1端側第1ブロック80a及び第2端側第1ブロック82aのセットに対する複数のスイッチSW2をまとめてスイッチSW2-1と呼び、第1端側第2ブロック80b及び第2端側第2ブロック82bのセットに対する複数のスイッチSW2をまとめてスイッチSW2-2と呼ぶ。
【0070】
第1実施形態では、1本の制御信号線CS2が複数のスイッチSW2及び複数のスイッチSW3にパラレルに接続されていた。つまり、全てのスイッチSW2及び全てのスイッチSW3が同時に切替制御されていた。一方、第2実施形態では、第1端側ブロック80及び第2端側ブロック82の複数のセットに対応する複数のスイッチSW2それぞれに対して、別個の制御信号線CS2が設けられている。図7の例では、第1端側第1ブロック80a及び第2端側第1ブロック82aのセットに対するスイッチSW2-1にシフトレジスタ32からの制御信号を送信するための制御信号線CS2-1が設けられ、並びに、第1端側第2ブロック80b及び第2端側第2ブロック82bのセットに対するスイッチSW2-2にシフトレジスタ32からの制御信号を送信するための制御信号線CS2-2が設けられている。これにより、第2実施形態では、第1端側ブロック80及び第2端側ブロック82の各セットに対応する各スイッチSW2を個別に制御することができる。すなわち、第2実施形態では、送受信回路30の切替先を、第1端側ブロック80及び第2端側ブロック82のセット毎に個別に切り替えることができるようになっている。
【0071】
なお、本実施形態では、制御信号線CS2-1の値がLである場合、スイッチSW2-1は、送受信回路30aと第1端側第1ブロック80aに含まれる各第1端側主振動素子50bが接続される状態となり、制御信号線CS2-1の値がHである場合、スイッチSW2-1は、送受信回路30aと第2端側第1ブロック82aに含まれる各第2端側主振動素子50cが接続される状態となる。また、本実施形態では、制御信号線CS2-2の値がLである場合、スイッチSW2-2は、送受信回路30aと第1端側第2ブロック80bに含まれる各第1端側主振動素子50bが接続される状態となり、制御信号線CS2-2の値がHである場合、スイッチSW2-2は、送受信回路30aと第2端側第2ブロック82bに含まれる各第2端側主振動素子50cが接続される状態となる。
【0072】
以下、図8を参照し、第2実施形態における、開口Aを長軸方向へ移動させるための、スイッチSW2の切替制御及び送信信号の送信制御について説明する。なお、図8には副振動素子52も図示されているが、ここでも、主振動素子50に着目して説明する。
【0073】
図8の左側の図は、開口Aが#1~#224の主振動素子50である状態を表している。なお、詳しくは後述するが、主振動素子50の数が320個であり、第1端側ブロック80(又は第2端側ブロック82)の個数が2個であり、各第1端側ブロック80(又は各第2端側ブロック82)に含まれる主振動素子50の数が32個の場合、最大開口幅は、図8に示されるように、主振動素子50が224個分の幅となる。
【0074】
開口Aが#1~#224の主振動素子50である場合、スイッチ制御回路31は、制御信号線CS2-1及びCS2-2をLに制御して、送受信回路30と、第1端側ブロック80(つまり、第1端側第1ブロック80a及び第1端側第2ブロック80b)に含まれる第1端側主振動素子50b(#1~#64)を接続させる。その状態において、送受信回路30は、第1端側ブロック80に含まれる複数の第1端側主振動素子50bの全部(#1~#64)と、複数の中央側主振動素子50aの一部(#65~#224)に対して送信信号を送信する。
【0075】
この状態から、スイッチ制御回路31が制御信号線CS2-1及びCS2-2をLに維持したまま、送受信回路30は、開口Aの幅を維持しつつ、開口Aを徐々に主振動素子50の配列の第2端側(#320の主振動素子50側)へ移動させていく。すなわち、送受信回路30は、送信信号の送信先の主振動素子50を徐々に#320の主振動素子50側へ変更していく。やがて、開口Aの第2端側の端が中央側主振動素子50aの第2端側の端に達し、開口Aは、図5の真ん中の図のように、#33~#256の主振動素子50となる。
【0076】
この状態において、スイッチ制御回路31は、制御信号線CS2-2をLに維持しつつ、制御信号線CS2-1をHに変更する。そうすると、送受信回路30と第1端側第1ブロック80aに含まれる第1端側主振動素子50b(#1~#32)との接続が解除され、代わりに、送受信回路30と第2端側第1ブロック82aに含まれる第2端側主振動素子50c(#257~#288)が接続される。この状態では、送受信回路30の接続先は、第1端側第2ブロック80bに含まれる第1端側主振動素子50b(#33~#64)、中央側主振動素子50a(#65~#256)、及び、第2端側第1ブロック82aに含まれる第2端側主振動素子50c(#257~#288)となる。
【0077】
この状態において、送受信回路30は、第1端側第1ブロック80a以外の第1端側ブロック80(本例では、第1端側第2ブロック80b)に含まれる第1端側主振動素子50bの一部(#34~#64)、複数の中央側主振動素子50aの全部、及び、第2端側第1ブロック82aに含まれる1つ目の第2端側主振動素子50c(#257)に対して送信信号を送信する。
【0078】
その後、スイッチ制御回路31が制御信号線CS2-1をHに、制御信号線CS2-2をLに維持したまま、送受信回路30は、開口Aの幅を維持しつつ、開口Aを徐々に主振動素子50の配列の第2端側(#320の主振動素子50側)へ移動させていく。やがて、開口Aの第2端側の端が第2端側第1ブロック82aの第2端側の端に達し、開口Aは、図5の右側の図のように、#65~#288の主振動素子50となる。
【0079】
この状態において、スイッチ制御回路31は、制御信号線CS2-1をHに維持しつつ、制御信号線CS2-2をLに変更する。そうすると、送受信回路30と第1端側第2ブロック80bに含まれる第1端側主振動素子50b(#33~#64)との接続が解除され、代わりに、送受信回路30と第2端側第2ブロック82bに含まれる第2端側主振動素子50c(#289~#320)が接続される。この状態では、送受信回路30の接続先は、中央側主振動素子50a(#65~#256)、及び、第2端側ブロック82(つまり、第2端側第1ブロック82a及び第2端側第2ブロック82b)に含まれる第2端側主振動素子50c(#257~#320)となる。
【0080】
この状態において、送受信回路30は、複数の中央側主振動素子50aの一部(#66~#256)、第2端側第1ブロック82aに含まれる第2端側主振動素子50cの全部(#257~#288)、及び、第2端側第2ブロック82bの1つ目の第2端側主振動素子50c(#289)に対して送信信号を送信する。
【0081】
その後、スイッチ制御回路31が制御信号線CS2-1及びCS2-2をHに維持したまま、送受信回路30は、開口Aの幅を維持しつつ、開口Aを徐々に主振動素子50の配列の第2端側(#320の主振動素子50側)へ移動させていく。やがて、開口Aの第2端側の端が第2端側第2ブロック82bの第2端側の端(本実施形態では、振動素子アレイ40の第2端側の端)に達し、開口Aは、#97~#320の主振動素子50となる。
【0082】
以上のように、第2実施形態では、複数の第1端側主振動素子50bを複数の第1端側ブロック80に分割し、複数の第2端側主振動素子50cを複数の第2端側ブロック82に分割し、第1端側ブロック80及び第2端側ブロック82のセット毎に、順次、送受信回路30の接続先を切り替えながら、開口Aを移動させていく。上記の実施形態では、第1端側ブロック80及び第2端側ブロック82の数が2つであったが、第1端側ブロック80及び第2端側ブロック82の数が3つ以上である場合においても同様に、第1端側ブロック80及び第2端側ブロック82のセット毎に、順次、送受信回路30の接続先を切り替えながら、開口Aを移動させていく。
【0083】
第2実施形態では、上述の処理を行うことにより、少なくとも第1実施形態に比して、開口Aの開口幅をより広く取ることができる。具体的には、開口Aの最大幅APmaxは、以下の式1で表される。

APmax=USch-N ・・・ (式1)

式1において、USch(本明細書では装置チャンネルと呼ぶ)は、送受信回路30に同時に接続可能な複数の主振動素子50の数を表し、以下の式2で表される。

USch=T-(B×N) ・・・ (式2)

式2において、Tは、振動素子アレイ40に含まれる複数の主振動素子50の数を表し、Bは、第1端側ブロック80又は第2端側ブロック82の数を表し、Nは、1つの第1端側ブロック80又は第2端側ブロック82に含まれる主振動素子50の数を表す。
【0084】
本実施形態では、T=320、B=2、N=32であるから、USch=256となる。したがって、本実施形態における開口Aの最大幅APmaxは、256-32=224となる。
【0085】
仮に、開口Aの最大幅APmaxをUSch-Nよりも大きくした場合、図9に示すように、開口Aの第2端側の端が第2端側第1ブロック82aに入った場合に、開口Aの第1端側の端がまだ第1端側第1ブロック80a内に残ってしまう。上述のように、第1端側第1ブロック80aと第2端側第1ブロック82aは、排他的に送受信回路30に接続されるため、この場合、第1端側第1ブロック80aに含まれる第1端側主振動素子50bと、第2端側第1ブロック82aに含まれる第2端側主振動素子50cのいずれかに送信信号を送信することができなくなってしまう。図9の例では、#32と#257のいずれかに送信信号を送信することができない。これを回避するために、本実施形態では、装置チャンネルUSchから1ブロック分の主振動素子50の数を引いた値を開口Aの最大幅APmaxとしている。
【0086】
また、第2実施形態では、ケーブル18の信号線の数Cnは、USch(送信信号線Sの数)+B(制御信号線CS2の数)+1(制御信号線CS1)となる。なお、振動素子アレイ40が副振動素子52を含まないならば、第2実施形態における、ケーブル18の信号線の数Cnは、USch(送信信号線Sの数)+B(制御信号線CS2の数)となる。
【0087】
以下、第2実施形態における副振動素子52について説明する。図6に示される通り、各第1端側ブロック80は、それに含まれる第1端側主振動素子50bに対応する第1端側副振動素子52bを含み、各第2端側ブロック82は、それに含まれる第2端側主振動素子50cに対応する第2端側副振動素子52cを含む。つまり、複数の第1端側副振動素子52bも、観念上、複数の第1端側ブロック80に分割され、複数の第2端側副振動素子52cも、観念上、複数の第2端側ブロック82に分割される。
【0088】
図7に示すように、第2実施形態では、スイッチSW3は、送受信回路30の切替先を、第1端側ブロック80に含まれる第1端側副振動素子52bと、当該第1端側ブロック80に対応する第2端側ブロック82に含まれる第2端側副振動素子52cとの間で切り替える。図7の例では、スイッチSW3-1は、第1端側第1ブロック80aに含まれる第1端側副振動素子52bと、第2端側第1ブロック82aに含まれる第2端側副振動素子52cとの間で切り替え、スイッチSW3-2は、第1端側第2ブロック80bに含まれる第1端側副振動素子52bと、第2端側第2ブロック82bに含まれる第2端側副振動素子52cとの間で切り替える。なお、図7の例では、第1端側ブロック80及び第2端側ブロック82の1セットに対して1つのスイッチSW3のみが図示されている(例えば、第1端側第1ブロック80a及び第2端側第1ブロック82aのセットに対して1つのスイッチSW3-1のみが図示されている)が、実際には、当該セットに対するスイッチSW3は、第1端側ブロック80及び第2端側ブロック82に含まれる副振動素子52の対の数分設けられている。本明細書では、第1端側第1ブロック80a及び第2端側第1ブロック82aのセットに対する複数のスイッチSW3をまとめてスイッチSW3-1と呼び、第1端側第2ブロック80b及び第2端側第2ブロック82bのセットに対する複数のスイッチSW3をまとめてスイッチSW3-2と呼ぶ。
【0089】
第2実施形態においても、制御信号線CS1が複数のSW3にパラレルに接続されるのは第1実施形態と同様である。制御信号線CS1の値がHである場合、スイッチSW3がイネーブルになり、制御信号線CS1の値がLである場合、スイッチSW3がオフとなる。
【0090】
このような構造において、第1実施形態と同様に、制御信号線CS1を適宜制御することによって、超音波ビームのフォーカスを調整することが可能となる。
【0091】
例えば、図8の左側の図に示される状態、つまり、スイッチ制御回路31が、制御信号線CS2-1及びCS2-2をLに制御して、送受信回路30と、第1端側ブロック80に含まれる第1端側主振動素子50b(#1~#64)、及び、中央側主振動素子50a(#65~#256)とが接続された状態において、スイッチ制御回路31が制御信号線CS1をLからHにすれば、スイッチSW3-1及びスイッチSW3-2及びスイッチSW1(図4参照)がオンになり、第1端側ブロック80に含まれる第1端側副振動素子52b及び中央側副振動素子52aが送受信回路30に接続される。この状態において、送受信回路30は、第1端側ブロック80に含まれる第1端側副振動素子52b及び中央側副振動素子52aに送信信号を送信し、第1端側ブロック80に含まれる第1端側副振動素子52b及び中央側副振動素子52aから受信信号を受信可能となる。
【0092】
また、スイッチ制御回路31が、制御信号線CS2-1をHに、制御信号線CS2-2をLに制御して、送受信回路30と、第1端側第2ブロック80bに含まれる第1端側主振動素子50b(#33~#64)、中央側主振動素子50a(#65~#256)、及び、第2端側第1ブロック82aに含まれる第2端側主振動素子50c(#257~#288)とが接続された状態において、スイッチ制御回路31が制御信号線CS1をLからHにすれば、スイッチSW1、スイッチSW3-1、及びスイッチSW3-2がオンになり、第1端側第2ブロック80bに含まれる第1端側副振動素子52b、中央側副振動素子52a、及び、第2端側第1ブロック82aに含まれる第2端側副振動素子52cが送受信回路30に接続される。この状態において、送受信回路30は、第1端側第2ブロック80bに含まれる第1端側副振動素子52b、中央側副振動素子52a、及び、第2端側第1ブロック82aに含まれる第2端側副振動素子52cに送信信号を送信し、第1端側第2ブロック80bに含まれる第1端側副振動素子52b、中央側副振動素子52a、及び、第2端側第1ブロック82aに含まれる第2端側副振動素子52cから受信信号を受信可能となる。
【0093】
さらに、スイッチ制御回路31が、制御信号線CS2-1及びCS2-2をHに制御して、送受信回路30と、中央側主振動素子50a(#65~#256)、及び、第2端側ブロック82に含まれる第2端側主振動素子50c(#257~#320)とが接続された状態において、スイッチ制御回路31が制御信号線CS1をLからHにすれば、スイッチSW1、スイッチSW3-1、及びスイッチSW3-2がオンになり、中央側副振動素子52a、及び、第2端側ブロック82に含まれる第2端側副振動素子52cが送受信回路30に接続される。この状態において、送受信回路30は、中央側副振動素子52a、及び、第2端側ブロック82に含まれる第2端側副振動素子52cに含まれる第2端側副振動素子52cに送信信号を送信し、中央側副振動素子52a、及び、第2端側ブロック82に含まれる第2端側副振動素子52cに含まれる第2端側副振動素子52cから受信信号を受信可能となる。
【0094】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
10 超音波診断装置、12 超音波プローブ、14 装置本体、16 モニタ、18 ケーブル、20 コネクタボックス、30 送受信回路、31 スイッチ制御回路、32 シフトレジスタ、40 振動素子アレイ、42 接続回路、50 主振動素子、50a 中央側主振動素子、50b 第1端側主振動素子、50c 第2端側主振動素子、52 副振動素子、52a 中央側副振動素子、52b 第1端側副振動素子、52c 第2端側副振動素子、60 第1回路、60a 主パターン、60b 副パターン、62 第2回路、62a ケーブル側パターン、62b 第1端側主パターン、62c 第2端側主パターン、62d 第1端側副パターン、62e 第2端側副パターン、70 第1基板、72 第2基板、80 第1端側ブロック、80a 第1端側第1ブロック、80b 第1端側第2ブロック、82 第2端側ブロック、82a 第2端側第1ブロック、82b 第2端側第2ブロック、S 信号線、SW1,SW2,SW2-1,SW2-2,SW3,SW3-1,SW3-2 スイッチ、CS,CS1,CS2,CS2-1,CS2-2 制御信号線、A 開口。
図1
図2
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図5
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図7
図8
図9