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特開2024-70229量子鍵配送方法及び量子鍵配送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070229
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】量子鍵配送方法及び量子鍵配送システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/70 20130101AFI20240515BHJP
   H04B 10/291 20130101ALI20240515BHJP
   H04L 9/12 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
H04B10/70
H04B10/291
H04L9/12
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023179521
(22)【出願日】2023-10-18
(31)【優先権主張番号】22206735
(32)【優先日】2022-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521124319
【氏名又は名称】テラ クアンタム アーゲー
【氏名又は名称原語表記】TERRA QUANTUM AG
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】ヴャトキン・ミハイル
(72)【発明者】
【氏名】グトル・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】キルサーノフ・ニキータ
(72)【発明者】
【氏名】ズダーノヴァ・エカチェリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ヤロヴィコフ・ミハイル
(72)【発明者】
【氏名】スミルノフ・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ベズルチェンコ・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】レソヴィク・ゴルデイ
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AB11
5K102PB11
5K102PH13
5K102PH48
5K102RD28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光信号を増幅する際の潜在的な盗聴に対する安全性を向上させる量子鍵配送方法を提供する。
【解決手段】方法は、第1データ処理装置11と第2データ処理装置12との間で光信号を伝送するための伝送路10及び伝送路に配置された光増幅器14を備え、光増幅器がアクティブファイバセクション15とポンピングデバイス16とを備える量子鍵配送システムであって、光増幅器の目標最大利得と目標動作利得との間の比を決定し、目標の最大信号パワーを有する光信号が最大でも目標最大利得で増幅されるようにアクティブファイバセクションの長さを決定し、目標最大利得と目標動作利得との比に従って光信号を目標動作利得で増幅するように最大ポンピングパワー未満のポンピングデバイスの動作ポンピングパワーを決定してポンピングデバイスを動作させ、光増幅器を介して光信号を増幅することを含む量子鍵配送によって、データ処理装置間の共有鍵を決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子鍵配送方法であって、前記方法は次の構成を備えるシステムによって実現可能であって、
第1データ処理装置(11)と第2データ処理装置(12)との間で光信号を伝送する伝送路(10)と、
前記伝送路(10)上に設置された光増幅器(14)と、前記光増幅器(14)はアクティブファイバセクション(15)とポンピングデバイス(16)とを備え、
前記方法は、
前記光増幅器(14)の目標最大利得と目標動作利得との間の比を決定することと、
目標最大信号パワーを有する前記光信号が前記目標最大利得で増幅されるように、アクティブファイバセクション長を決定することと、
前記目標最大利得と前記目標動作利得との間で決定された前記比にしたがって前記光信号が目標動作利得で増幅されるように、最大ポンピングパワー未満の前記ポンピングデバイス(16)の動作ポンピングパワーを決定することと、
前記ポンピングデバイス(16)を前記動作ポンピングパワーで動作させることにより、前記光増幅器(14)を介して前記光信号を増幅することを含む量子鍵配送によって、前記第1データ処理装置(11)と前記第2データ処理装置(12)との間の共有鍵を決定することとを含む、
量子鍵配送方法。
【請求項2】
前記目標最大利得と前記目標動作利得との間の前記比は、前記伝送路(10)に関連する光信号漏洩から、好ましくは検出可能な最小光信号漏洩から決定される、
請求項1に記載の量子鍵配送方法。
【請求項3】
前記目標最大利得と前記目標動作利得との間の前記比は、1+10-7と1+10-1との間である、
請求項1又は2に記載の量子鍵配送方法。
【請求項4】
前記目標最大利得は、前記アクティブファイバセクション(15)における総反転分布に対応する達成可能な最大利得である、及び/又は前記目標最大利得は、前記最大ポンピングパワーでの利得である、
請求項1又は2に記載の量子鍵配送方法。
【請求項5】
さらに、前記伝送路(10)に沿った光信号損失、好ましくは前記伝送路(10)に沿った位置に応じた光信号損失を決定することを含む、
請求項1又は2に記載の量子鍵配送方法。
【請求項6】
さらに、前記光信号の最大信号強度、前記光信号の最大光子数、前記光信号のパルス幅及び前記光信号の信号周波数のうちの少なくとも1つから前記目標最大信号パワーを決定することを含む、
請求項1又は2に記載の量子鍵配送方法。
【請求項7】
前記アクティブファイバセクション長を決定することが、
前記アクティブファイバセクション(15)に初期長を与えることと、
前記ポンピングデバイス(16)を最大ポンピングパワーで動作させることと、
利得値を繰り返し決定し、前記利得値が前記目標最大利得に等しくなるまで前記アクティブファイバセクション(15)長を調整することと、
前記利得値が前記目標最大利得に等しい前記アクティブファイバセクション(15)長として前記アクティブファイバセクション長を決定することとを含む、
請求項1又は2に記載の量子鍵配送方法。
【請求項8】
前記アクティブファイバセクション長を決定することが、前記目標最大利得、前記最大ポンピングパワー及び最大信号パワーに応じた関数を介して前記アクティブファイバセクション長を決定することを含み、好ましくは、Gmaxを前記目標最大利得、Pp,maxを前記最大ポンピングパワー、Ps,maxを前記最大信号パワー、dをPp,max及びPs,maxに依存する関数として、前記アクティブファイバセクション長をl=lnGmax/d(Pp,max, Ps,max)として決定することを含む、
請求項1又は2に記載の量子鍵配送方法。
【請求項9】
前記共有鍵を決定するための前記光信号は、前記目標最大信号パワー以下の信号パワーを含む、
請求項1又は2に記載の量子鍵配送方法。
【請求項10】
さらに、前記アクティブファイバセクション(15)に、エルビウム‐ドープファイバセクション、ツリウム‐ドープファイバセクション、ネオジム‐ドープファイバセクション、及びイッテルビウム‐ドープファイバセクションのうちの少なくとも1つを設けることを含む、
請求項1又は2に記載の量子鍵配送方法。
【請求項11】
さらに、光アイソレータ及びタップカプラを備えない前記伝送路(10)を設けることを含む、
請求項1又は2に記載の量子鍵配送方法。
【請求項12】
さらに、双方向光増幅器として前記光増幅器(14)を提供することを含む、
請求項1又は2に記載の量子鍵配送方法。
【請求項13】
前記光信号は、前記光増幅器(14)のスペクトル利得偏差が10%以下、好ましくは1%以下となるような信号波長範囲内で放射される、
請求項1又は2に記載の量子鍵配送方法。
【請求項14】
さらに、複数の光増幅器(14)、各光増幅器はさらなるポンピングデバイス(16)と前記アクティブファイバセクション長を有するさらなるアクティブファイバセクション(15)とを備える、を前記伝送路(12)に配置することを含み、
前記共有鍵を決定することが、前記動作ポンピングパワーでさらなる前記ポンピングデバイス(16)を動作させることによって、前記複数の光増幅器(14)を介して前記光信号を増幅することを含む、
請求項1又は2に記載の量子鍵配送方法。
【請求項15】
さらに、前記複数の光増幅器(14)を、2つの隣接する光増幅器(14)の間の距離が30kmと200kmとの間、好ましくは30kmと60kmとの間になるように配置する、ことを含む
請求項14に記載の量子鍵配送方法。
【請求項16】
第1データ処理装置(11)と第2データ処理装置(12)との間で光信号を伝送するための伝送路(10)を備える量子鍵配送のためのシステムであって、
前記システムは、さらに、アクティブファイバセクション(15)及びポンピングデバイス(16)を備え、前記伝送路(10)に配置された光増幅器(14)を備え、
請求項1又は2に記載の量子鍵配送方法を実行するように構成されたシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、量子鍵配送方法及び量子鍵配送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
量子鍵配送(QKB)は、通信及び認証中のセキュリティを強化することで、2者間で対称鍵を秘密裏に共有する方法を提供する。しかしながら、既存のQKBプロトコルは、多くの場合、数キロメートル以内の通信に制限されている。特に、量子信号を運ぶ情報は一般に長距離にわたって減衰するため、信号を増幅するための量子チャネルに沿った中継器が必要である。
【0003】
例えば、米国特許第11165570B2号には、増幅された光セクションを備えたQKB用通信ネットワークノードを動作させる方法が記載されている。実際のQKBの実現は通常、中間の信頼できるノードに依存するため、セキュリティが大幅に侵害される可能性がありうる。
【0004】
米国特許第2003/0035204A1号には、ポンピング源として増幅自然放出を使用し、それによって2段Lバンドエルビウム‐ドープファイバ増幅器の増幅能力を高めることが記載されている。エルビウム‐ドープファイバの長さに対する利得を表すグラフが示されている。米国特許第11271358B2号は、活性ドープ光ファイバにおける加熱の制御に関する。
【発明の概要】
【0005】
本開示の目的は、特に光信号を増幅する際の潜在的な盗聴に対する安全性の向上に関して、量子鍵配送のための改良された技術を提供することである。
【0006】
この問題を解決するために、独立請求項に従って、量子鍵配送のための方法及びシステムが提供される。さらなる実施形態は、従属請求項に開示されている。
【0007】
一態様によれば、量子鍵配送のための(光信号を増幅するための)方法が提供され、この方法は、第1データ処理装置と第2データ処理装置との間で光信号を伝送するための伝送路を備えるシステムにおいて実現可能である。光増幅器は、アクティブファイバセクションとポンピングデバイスを備える。この方法は、目標最大利欲と目標動作利得との間の比を決定することと、目標の最大信号パワーを有する光信号が最大でも目標の最大利得で増幅されるように、アクティブファイバセクションの長さを決定することと、目標最大利得と目標動作利得との間で決定された比にしたがって光信号が目標動作利得で増幅されるように、最大ポンピングパワー未満のポンピングデバイスの動作ポンピングパワーを決定することと、動作ポンピングパワーでポンピングデバイスを動作させ、光増幅器を介して光信号を増幅する量子鍵配送により、第1データ処理装置と第2データ処理装置との間の共有鍵を決定することを含む。
【0008】
別の態様によれば、量子鍵配送のための(光信号を増幅するための)システムが提供され、このシステムは、第1データ処理装置と第2データ処理装置との間で光信号を伝送するための伝送路を備え、このシステムはさらに、アクティブファイバセクションとポンピングデバイスを備える伝送路に配置された光増幅器を備え、このシステムは、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法を実行するように構成されている。
【0009】
その結果、ポンピングデバイスにアクセスする可能性のある盗聴者が光信号の一部を転用させるためにポンピングパワーを効果的に操作することを防止することにより、量子鍵配送を安全に実行することができる。同時に、不必要に高いレベルのエネルギー消費を回避することができる。
【0010】
目標最大利得Gmaxと目標動作利得Gopとの間の比Gmax/Gopは、伝送路に関連する光信号漏洩から、好ましくは検出可能な最小光信号漏洩r minから決定できる。目標最大利得Gmaxと目標動作利得Gopとの間の比Gmax/Gopは、1+10-7から1+10-1の間、好ましくは1+10-6から1+10-2の間、より好ましくは1+10-5から1+10-3の間でありうる。
【0011】
目標最大利得Gmaxと目標動作利得Gopとの間の差は、検出可能な最小光信号漏洩r min(目標動作利得Gopの倍率)に等しくてもよい。検出可能な最小光信号漏洩r minは伝送路の長さに依存しうる。隣接する光増幅器間の距離(増幅器間)が50km、伝送路長が1000kmの場合、目標最大利得Gmaxと目標動作利得Gopとの間の差は、10-6に等しくてもよい。伝送路長が40,000kmの場合、10-5に等しくてもよい。したがって、ポンピングデバイスは、ポンピングデバイスが可能な最大利得に近い値で規則的に動作することができる。これにより、盗聴者がポンピングパワーを増加させて光信号を部分的に転用させる可能性を制限することができる。
【0012】
目標動作利得は、3から100の間、好ましくは5から20の間、より好ましくは9から11の間でありうる。最大動作利得は、3+10-6から100+10-3の間、好ましくは5+10-6から20+10-3の間、より好ましくは9+10-6と11+10-3の間でありうる。
【0013】
目標最大利得は、アクティブファイバセクションにおける総反転分布に対応する達成可能な最大利得であってもよい。目標最大利得は。最大ポンピングパワーでの利得であってもよい。
【0014】
目標最大利得Gmaxは、目標動作利得Gopと、光信号変動又は光子変動(特に、光信号の生成及び/又は増幅中に生じる変動)から決定される検出可能な最小光信号漏洩r minの値とから決定できる。目標動作利得Gopは、伝送路に沿った信号損失(特に、第1データ処理装置及び/又は第2データ処理装置から光増幅器への信号損失、又は、光増幅器から別の光増幅器への信号損失)を示す伝送係数から決定できる。
【0015】
検出可能な最小光信号漏洩r minは、伝送路に沿った自然損失により生じる最小漏洩でもよい。検出可能な最小光信号漏洩r minは、光信号変動の値と光信号のパルス当たりの光子数との比に等しくてもよい。検出可能な最小光信号漏洩r minは、伝送路における光増幅器の数、光信号/光パルス当たりの初期光子数n、及び伝送確率Tのうちの少なくとも一つから決定されてもよい。たとえば、検出可能な最小光信号漏洩r minは、r min=√(MG/n)(又は、その周囲の間隔内)として決定されてもよい。ここで、Mは伝送路の光増幅器の数、nは光信号/光パルス当たりの初期光子の数、Tは2つの隣接する光増幅器間の伝送路セクションの伝送確率である。検出可能な最小光信号漏洩r minは、10-4から10-8の間、好ましくは10-5から10-6の間でありうる。初期光子数nは、たとえば、1010から1016の間、好ましくは1013から1016の間でありうる。伝送確率は、距離ごとの光子数の減少の逆数でもよい。
【0016】
アクティブファイバセクションの長さは、ポンピングデバイスのポンピングパワー及び/又はポンピングデバイスの任意のポンピングパワーとは無関係に、目標最大信号パワーを有する光信号が最大でも目標最大利得で増幅されるように決定されると規定してもよい。ポンピングパワーは、ポンピングデバイスの達成可能な最大ポンピングパワー及び/又は光ファイバコンポーネントの損傷及び/又は光ファイバ内の非線形プロセスによって制限されうる。
【0017】
目標最大利得Gmaxは、δG=Gop・r minとして、Gmax=Gop+δGとして決定できる。したがって、目標最大利得Gmaxは、Gmax=Gop+Gop・r minとして決定できる。
【0018】
あるいは、目標最大利得Gmaxは、検出可能な最小光信号漏洩とは無関係に固定されてもよい。
【0019】
この方法はさらに、伝送路に沿った光信号損失、好ましくは伝送路に沿った位置に応じた光信号損失を決定する(及び/又は監視する)ことを含んでもよい。つまり、光信号損失は、伝送路に沿った位置の関数として決定されうる。特に、伝送路に沿った各位置について、対応する光信号損失を決定することができる。したがって、光信号損失は信号損失プロファイルに対応しうる。
【0020】
光信号損失は、光時間領域反射率測定法によって測定できる。光信号損失は、共有鍵の決定中、決定前、及び/又は決定後に決定されてよい。光信号損失は繰り返し測定することができる。たとえば、光信号損失は、10nsから50s、好ましくは10nsから10s、特に100nsから100ms、500nsから500ms、100msから1000ms、0.5msから5s、5sから10sのうちの一つの時間間隔内で繰り返し決定されうる。
【0021】
この方法は、光信号損失に基づいて侵入イベントを決定すること及び/又は光信号損失に基づいて共有鍵の決定を中止(終了)することを含んでもよい。この方法は、光信号損失に基づいて共有鍵を破棄することを含んでもよい。
【0022】
この方法は、さらに、光信号の最大信号強度、光信号の(パルス当たりの)最大光子数、光信号の(最小)パルス持続時間、光信号の(最大)信号周波数(又は(最小)信号波長)のうちの少なくても1つから目標最大信号パワーを決定することを含んでもよい。
【0023】
たとえば、目標最大信号パワーは、パルス当たりの(最大)光子数N、信号波長λ、信号周波数ν、信号パルス持続時間tとして、Ps,max=Nhν/tもしくは、Ps,max=Nhc/(λ)で決定できる。信号パルス持続時間tは、たとえば、0.1nsと1μsとの間でありうる。信号波長λは、たとえば、300nmから2500nmの間であってもよい。
【0024】
最大信号強度及び/又はパルス当たりの最大光子数は、第1データ処理装置と第2データ処理装置との間の距離、隣接する光増幅器間の距離、及び検出可能な最小光信号漏洩によって決定できる。
【0025】
アクティブファイバセクションの長さを決定することには、アクティブファイバセクションに初期長さを与えること、最大ポンピングパワーでポンピングデバイスを動作させること、利得値を繰り返し決定し、利得値が目標最大利得に等しくなるまでアクティブファイバセクションの長さを調整すること、アクティブファイバセクションの長さを、利得値が目標最大利得に等しいアクティブファイバセクションの長さとして設定することのうち少なくとも一つが含まれる。結果として、アクティブファイバセクションの長さをより高い精度で決定することができる。
【0026】
初期長さは、アクティブファイバセクションの長さの初期推定値よりも、たとえば1%と20%の間、好ましくは5%と15%の間、より好ましくは9%と11%の間の係数だけ長くてもよい。
【0027】
最大ポンピングパワーは、ポンピングデバイスによって達成可能な最大ポンピングパワーであってもよい。したがって、最大ポンピングパワーはポンピングデバイスに依存しうる。
【0028】
アクティブファイバセクションの長さの調整は、アクティブファイバセクションを短縮及び/又は延長すること、例えば、アクティブファイバセクションを連続的に切断することを含んでもよい。利得値は、たとえば、光増幅器への入力信号強度(及び/又はパルス当たりの光子数)及び光増幅器からの出力信号強度(及び/又はパルス当たりの光子数)から決定できる。
【0029】
ポンピングデバイスは、ダイオード及び/又はレーザであってもよい。ポンピングデバイスは、ポンピング波長を有する放射線を放射するように構成されうる。
【0030】
アクティブファイバセクション長を決定することは、目標最大利得、最大ポンピングパワー、及び最大信号パワーに応じた関数を介してアクティブファイバセクション長を決定することを含み、好ましくは、アクティブファイバセクション長をl=lnGmax/d(Pp,max, Ps,max)として決定する。ここで、Gmaxは目標最大利得、Pp,maxは最大ポンピングパワー、Ps,maxは最大信号パワー、dはPp,maxとPs,maxに依存する関数である。したがって、アクティブファイバセクション長を迅速かつ効率的に決定できる。
【0031】
関数dは、準安定状態集団n、吸収断面積σ(ν)、ドーパント濃度ρ、最大信号パワーPs,max、最大ポンピングパワーPp,max、及び信号周波数νとして、d(Pp,max,Ps,max)=σ(ν)ρ((η+1)n(Pp,max,Ps,max)-1)でありうる。特に、アクティブファイバセクション長lは、l=lnGmax/σ(ν)ρ((η+1)n(Pp,max,Ps,max)-1)として決定できる。
【0032】
準安定状態の母集団は、ドーパント濃度ρ、ポンピング放射周波数ν、信号周波数ν、η=σ(ν)/σ(ν)、η=σ(ν)/σ(ν)、発光断面積σ(ν)、σ(ν)、吸収断面積σ(ν)、σ(ν)、最大信号パワーPs,max、最大ポンピングパワーPp,max及び飽和パワーPsat、Psatとして、n(Pp,max,Ps,max)=ρ(Pp,max/Psat+(1/1+η)Ps,max/Psat)/(1+Ps,max/Psat+Pp,max/Psat)でありうる。
【0033】
発光及び吸収断面積σ(ν)、σ(ν)、σ(ν)、σ(ν)は、発光スペクトル及び吸収スペクトル(例えば、スペクトル分析から)を介して、及び好ましくはその後のドーパント濃度ρによる除算によって決定できる。
【0034】
動作ポンピングパワーPp,opを決定することは、ポンピングデバイスを動作ポンピングパワーで動作させるときに、光信号が目標動作利得で増幅されるまで、利得値を反復的に決定し、ポンピングデバイスを調整することを含んでもよい。さらに又は代わりに、動作ポンピングパワーは、信号最大パワー、目標動作利得、及びアクティブファイバセクション長に依存した式によって決定することができる。
【0035】
共有鍵を決定するための光信号は、目標信号パワー以下の信号パワーを含んでもよい。
【0036】
この方法は、エルビウム‐ドープファイバセクション、ツリウム‐ドープファイバセクション、ネオジム‐ドープファイバセクション、及びイッテルビウム‐ドープファイバセクションのうちの少なくとも1つをアクティブファイバセクションに提供することをさらに含んでもよい。
【0037】
この方法は、光アイソレータのない、及び/又はタップカプラのない伝送路を提供することをさらに含んでもよい。
【0038】
特に、第1データ処理装置と第2データ処理装置との間のすべての光ファイバセクションは、光アイソレータ及び/又はタップカプラなしで提供されてもよい。
【0039】
この方法は、光増幅器を双方向光増幅器として提供することをさらに含んでもよい。その結果、光信号は、同じ光ファイバを介して、第1データ処理装置から第2データ処理装置へ、及び第2データ処理装置から第1データ処理装置へ送信されうる。
【0040】
光信号は、光増幅器のスペクトル利得偏差が10%以下、好ましくは1%以下となるような信号波長範囲内で放射される。これにより、光増幅器の利得の安定性を制御することができる。スペクトル利得偏差は、信号波長を変化させたときに起こりうる(相対的な)利得偏差を示しうる。
【0041】
光信号は、例えば、1200nmから1600nmまで、好ましくは、1526nmから1534nmまで、より好ましくは、1529nmから1531nmまでの信号波長範囲内で放射されうる。
【0042】
この方法は、伝送路に複数の光増幅器を配置することをさらに備えてもよく、各光増幅器は、(さらなる)ポンピングデバイスと、アクティブファイバセクション長を有する(さらなる)アクティブファイバセクションとを備える。好ましくは、共有鍵を決定することは、動作ポンピングパワーでさらなるポンピングデバイスのそれぞれを動作させることによって、複数の光増幅器を介して光信号を増幅することを含んでもよい。したがって、より長い伝送路に沿った効果的な信号伝送が提供されうる。
【0043】
この方法は、2つの隣接する光増幅器間の光増幅距離が30kmと200kmとの間、好ましくは30kmと60kmの間となるように複数の光増幅器を配置することをさらに含んでもよい。
【0044】
この方法は、伝送路(特に第1データ処理装置と第2データ処理装置との間で光信号を伝送するため)を設けること、光増幅器を設けること、光増幅器を伝送路に配置すること、光増幅器にアクティブファイバセクション及び/又はポンピングデバイスを提供することのうち少なくとも1つを含んでもよい。伝送路は、光ファイバ及び/又は複数の光ファイバセクションを備え、及び/又は提供してもよい。光ファイバ(セクション)はパッシブファイバ(セクション)を含んでもよい。光ファイバ(セクション)は、たとえば、SMF‐28ファイバ(セクション)を含んでもよい。
【0045】
アクティブファイバセクションは伝送路の一部であってもよい。アクティブファイバセクションは、例えば、スプライス接続を介して、伝送路の光ファイバ(セクション)に接続されてもよい。ポンピングデバイスは、供給(光)ファイバ及び/又は結合要素を介して、伝送路、特にアクティブファイバセクション、に結合されてもよい。特に、ポンピングデバイスから放出されるポンピング放射線は、供給ファイバを通過することができ、及び/又は(その後)結合要素を介して伝送路に供給されることができる。結合要素は、異なる波長を有する放射線、及び/又は異なる光ファイバからの放射線を単一の光ファイバに導くように構成されてもよい。結合要素は、例えば、波長分割多重(WDM)システム/要素であってもよい。供給ファイバはパッシブファイバであってもよい。供給ファイバは、ポンピング波長における放射線の最大透過率を備えるように構成されてもよい。たとえば、供給ファイバはHI1060FLEXファイバであってもよい。
【0046】
ポンピングデバイスは、ダイオード及び/又はレーザを含む。ポンピングデバイスは、アクティブファイバセクションのポンピング波長で放射線を放出するように構成されてもよい。
【0047】
伝送路は、カプセル化化合物で(少なくとも部分的に又は完全に)封止されてもよい。特に、伝送路及び/又は光増幅器及び/又はポンピングデバイス及び/又は供給ファイバの光ファイバ(セクション)は、カプセル化化合物で(少なくとも部分的に又は完全に)封止されてもよい。カプセル化化合物はシリコンベースであってもよい。カプセル化化合物はさらに、金属粒子、たとえば、アルミニウム粒子を含んでもよい。伝送路の長さは60kmから40,000kmでありうる。
【0048】
システムは、第1及び第2データ処理装置及び/又はさらなるデータ処理装置を備えてもよいし、備えなくてもよい。この方法は、データ処理装置、例えば第1、第2、及び/又はさらなるデータ処理装置において実行されうる。アクティブファイバセクション長の決定及び/又は動作ポンピングパワーの決定は、第1、第2、及び/又はさらなるデータ処理装置などのデータ処理装置で実行されてもよいし、実行されなくてもよい。第1、第2、及び/又はさらなるデータ処理装置は、光増幅器、特にポンピングデバイスに接続されうる。
【0049】
光信号は、第1及び/又は第2データ処理装置から発せられうる。
【0050】
共有鍵を決定することは、乱数発生器を使用して第1データ処理装置内のビットシーケンスを決定すること、ビットシーケンスを光信号にエンコードすること、伝送路を介して光信号を第2データ処理装置に送信すること、動作ポンピングパワーとアクティブファイバセクション長を備える光増幅器によって光信号を増幅すること、第2データ処理装置によって光信号を受信及び測定すること、第1及び/又は第2データ処理装置における(受信された)ビットシーケンスから決定的ではない信号ビットを破棄すること、第1及び/又は第2データ処理装置により、ビットシーケンス及び/又は受信ビットシーケンスの一部を古典チャネルを介して開示して、ビットシーケンス及び受信ビットシーケンスに対してエラー訂正を実行すること、プライバシー増幅を使用して、エラー訂正されたビットシーケンスから共有鍵に対応する増幅されたキーシーケンスを決定することのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0051】
量子鍵配送方法に関する前述の実施形態は、量子鍵配送システムにも対応して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
以下では、一例として、図面を参照して実施形態を説明する。
図1】量子鍵配送システムと盗聴装置の配置を示す図
図2】エルビウム‐ドープアクティブファイバセクションにおける光の増幅を示すエネルギー図
図3】信号波長の関数としての利得係数のプロットを示す図
図4】量子鍵配送方法のグラフ表示を示す図
図5】異なる信号パワーに対するポンピングパワーの関数としての光増幅器の利得のプロットを示す図
図6】量子鍵配送によって共有鍵を決定するための方法のステップを示す図
図7】光学的時間領域反射率測定から得られたリフレクトグラムを示す図
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1には、量子鍵配送のためのシステム及び盗聴装置13(「イブ」)を含む構成の図が示されている。このシステムは、第1データ処理装置11(「アリス」)と、第2データ処理装置12(「ボブ」)との間で光信号、特に古典信号及び/又は量子信号を伝送するための光ファイバを備えた伝送路10を備える。光ファイバは、例えば、SMF‐28ファイバを含んでもよい。
【0054】
アクティブファイバセクション15及びポンピングデバイス16を備えた少なくとも一つの光増幅器14が、伝送路10に提供/配置/設置されてもよい。特に、複数の光増幅器14が伝送路10に提供されてもよい。光増幅器14は、例えば、30kmと200kmとの間、好ましくは30kmと100kmとの間、より好ましくは30kmと60kmとの間の増幅器間隔で、伝送路10に沿って等距離に配意することができる。増幅器間隔を広げることによって、個々の光増幅器14間のクロストークを軽減又は防止できる。光増幅器14のいずれかと、第1及び第2データ処理装置11、12のいずれかとの間の距離は少なくとも30kmであってもよい。
【0055】
第1データ処理装置11は、第1プロセッサ11aと第1メモリ11bとを備えてもよく、第2データ処理装置12は、第2プロセッサ12aと第2メモリ12bとを備えてもよい。第1及び第2データ処理装置11、12は、システムの一部であってもよいし一部でなくてもよい。第1データ処理装置11及び第2データ処理装置12は、伝送路10に接続される。伝送路10は、量子信号を伝送するように構成された量子チャネルを備えてもよい。さらに、古典信号を伝達するように構成された古典チャネルが提供されてもよい。古典チャネルは、伝送路10内に設けられても、別個に設けられてもよい。
【0056】
このシステムは、複数のさらなるデータ処理装置、特に、第3プロセッサ及び第3メモリ(図示せず)を備えた第3データ処理装置を備えてもよい。第3データ処理装置は、伝送路10に接続されてもよい。さらに又は代わりに、第3データ処理装置は、さらなる通信チャネルを介して、古典信号及び/又は量子信号を第1データ処理装置11及び/又は第2データ処理装置12と交換することができる。システムがステップを実行するように構成される場合、そのようなステップは、例えば、第1データ処理装置11、第2データ処理装置12及び第3データ処理装置のうちの少なくとも1つで実行されうる。
【0057】
盗聴プロセッサ13a及び盗聴メモリ13bを備えた盗聴装置13は、伝送路10、特にポンピングデバイス16にアクセスする可能性のあるシステム外部の装置を表す。盗聴装置13は、伝送路10を介して送信される光信号が盗聴装置13によって少なくとも部分的に受信及び/又は再送信されるように、伝送路10に配置されてもよい。また、盗聴装置13はさらなる通信チャネルにアクセスしてもよい。
【0058】
第1メモリ11b、第2メモリ12b、第3メモリ及び盗聴メモリ13bはそれぞれ、量子信号を記憶する量子メモリと古典信号を記憶する古典メモリとを含んでもよい。量子メモリは、オプティカル・ディレイ・ライン、コントロールド・リバーシブル・インホモジーニアス・ブローデニング(CRIB)、デュアン‐ルーキン‐シラック‐ゾラー(DLCZ)スキーム、リヴァイバル・オブ・サイレンスド・エコー(ROSE)、及び/又はハイブリッド・フォトン・エコー・リフェーズ(HYPER)を使用して提供されうる。
【0059】
第1データ処理装置11、第2データ処理装置12、第3データ処理装置、及び盗聴処理装置13は、それぞれ、光信号を介して量子状態を送信及び/又は受信する手段を備えてもよい。
【0060】
(a)光増幅
光信号は、誘導放出による光増幅により増幅/反復される。光増幅は、光増幅器14のアクティブファイバ(セクション)15で行われる。アクティブファイバセクション15は、例えば、ポンピングデバイス16を介して980nmのポンピング波長でポンピングされ、約1530nmの増幅信号波長を含むEr3+ドープファイバでもよい。さらに又は代わりに、ツリウム‐ドープファイバ(1450nmから1490nmでポンピングされる)、ネオジム‐ドープファイバ(1300nmでポンピングされる)、又はイッテルビウム‐ドープファイバ(1000nmでポンピングされる)を使用してもよい。エルビウム‐ドープファイバの採用は、増幅された信号波長が標準的なシリカファイバの伝送窓によく適合するという点で有利である。
【0061】
図2には、エルビウム‐ドープファイバセクションであるアクティブファイバセクション14における光の増幅を示すエネルギー図が示されている。ポンピングデバイス16から放出される980nmのポンピング波長を有するポンピング放射線20は、エルビウム‐ドープファイバセクションで吸収され、その結果、エルビウムイオンは基底状態21(15/2)から緩和時間τ32≒20μsで短寿命状態23(11/2)に遷移する。エルビウムイオンは、短寿命状態23から、より長い緩和時間τ21≒10msで準安定状態22(13/2)まで非放射的に緩和する。
【0062】
エルビウム‐ドープファイバセクションを通過する光信号/光パルスは、光信号の一部として追加された光子24の一貫して同期した放出とともに、準安定状態22から基底状態21への刺激された遷移を引き起こす。結果として生じる信号増幅の大きさは、エルビウムイオンの濃度、アクティブファイバセクション14の長さ、及びポンピング放射線の強さに依存する。
【0063】
利得(増幅率)は特に入力信号の波長に依存する。図3は、信号波長(nm)の関数として、(ファイバ長に依存する)利得係数をm-1単位でプロットしたものである。信号波長の動作範囲は、利得係数の比較的平坦なピーク領域を構成する1530nm付近の領域に制限されうる。特に、1529nmから1531nmまでの信号波長範囲30の利得係数は、1%のスペクトル利得偏差31をもたらし、1526nmから1534nmまでの信号波長範囲30は、10%のスペクトル利得偏差31をもたらす。
【0064】
図1に戻って参照すると、ポンピングデバイス16からのポンピング放射線20は、供給ファイバ17及び波長分割多重(WDM)素子などの結合素子18を介して、伝送路10、特にアクティブファイバセクション15に供給される。したがって、光増幅が行われるアクティブファイバセクション15には、ドーパント原子を励起するために必要なポンピング放射線20が供給される。WDM素子は、異なる波長の放射を単一の光ファイバに導くためのビームスプリッタ状の装置であり、アクティブファイバセクション15及びポンピングデバイス16に接続される。ポンピングデバイス16は、例えば、ダイオード又はレーザであってもよく、特にポンピング波長の放射線を放射するように構成されている。
【0065】
エルビウム‐ドープアクティブファイバセクション14の場合、ポンピングデバイス16は980nmの波長で動作し、この波長に対して最適化されたパッシブHI1060FLEXファイバを介してWDMに接続できる。増幅は、1530nm付近の波長の光信号に対して行われる。不要な局所損失を約0.1%に抑えるために、すべてのファイバ接続(たとえば、伝送路のアクティブファイバセクションとパッシブファイバセクションとの間)が接続されうる。
【0066】
伝送路10は、金属粉末(たとえば、アルミニウム)を混同した(たとえば、シリコンベースの)封止化合物で封止することができる。カプセル化化合物は、(過熱を防ぐために)高い熱伝導率を有していてもよい。カプセル化化合物により、外部からの機械的侵入を実質的に複雑にし(特に、検出されずに)、環境への放射線の漏洩を抑制することができる。金属粉末により、ファイバの外に漏れる光信号が熱として拡散される。その結果、光信号が漏洩しても解読できなくなる。
【0067】
標準的な光増幅器の設定とは異なり、このシステムには光アイソレータやタップカプラが含まれていない。アイソレータは、光を一方向にのみ通過させるように構成され、通常、光増幅器14が実質的にレーザになる可能性があるアクティブファイバセクション15内での多重反射のリスクを最小限に抑えるために使用される。
【0068】
タップカプラは、通常、光増幅器14(特に、入力及び出力パワー、動作モード及び利得係数)を監視するために、光パルスの約1%を光検出器に向ける。この部分は盗聴者によって盗まれる可能性がありうる。
【0069】
この方法は、アイソレータやタップカプラを使用しないため、後方反射を軽減し、アクティブファイバセクション15での任意のレーザ発振モードを回避することを、接続のみに依存しうる。
【0070】
(b)量子鍵配送用光増幅器の動作
図4には、量子鍵配送方法のグラフ表示が示されている。
【0071】
最初に(ステップ40)、第1データ処理装置11と第2データ処理装置12との間で光信号を伝送するための伝送路10が設けられ、アクティブファイバセクション15及びポンピングデバイス16を備えた光増幅器14は、伝送路10上に配置される。
【0072】
光増幅器14の利得/増幅率Gは、ポンピング放射線の力(ポンピングパワー)P、アクティブファイバ(セクション)の長さl、及びアクティブファイバセクション15内のドーパント原子の濃度にも依存する。光増幅器14に対する盗聴者による攻撃の可能性としては、ポンピングパワーPを増加させ、その結果得られる増幅された光信号の剰余分を転用させることが考えられる。言い換えると、盗聴装置13は、光増幅器14にアクセスし、その増幅能力を“オーバークロック”することによって、光信号のコピーを提供しうる。
【0073】
この種の攻撃は次のように防ぐことができる。
【0074】
光増幅器14の目標最大利得Gmaxと目標動作利得Gopとの間の比Gmax/Gopは、検出可能な最小光信号漏洩r min及び/又は光信号を測定する分解能から決定される。検出可能な最小光信号漏洩r minは、光信号変動の値とパルス当たりの光子数との比から決定できる。さらに、アクティブファイバセクション長lは、第1又は第2データ処理装置11、12から目標最大信号パワーPs,maxで放射される光信号が、任意のポンピングパワーに対して最大でも目標最大利得Gmaxで増幅されるように決定される(ステップ41)。
【0075】
次のステップ42では、ポンピングデバイス16の動作ポンピングパワーPp,opが、目標最大利得Gmaxと目標動作利得Gopとの間で決定された比Gmax/Gopにしたがって、目標最大利得Gmaxより小さい目標動作利得Gopで光信号が増幅されるように決定される。
【0076】
上述のようにアクティブファイバセクション長l(ステップ41)及び動作ポンピングパワーPp,op(ステップ42)を決定した後、第1データ処理装置11と第2データ処理装置12との間の共有鍵は、動作ポンピングパワーでポンピングデバイス16を動作させることによって、光増幅器14を介して、光信号(第1又は第2データ処理装置11、12から発せられる)を増幅することを含む量子鍵配送によって決定される(ステップ43)。
【0077】
アクティブファイバセクション15は、目標最大利得Gmaxで光信号を増幅するために必要な最小(最適)数のドーパントイオンを正確に含む。光増幅器14が十分に大きなポンピングパワーで動作すると仮定すると、ほぼすべてのドーパント原子が逆に配置されており、ポンピングパワーをさらに増加しても、利得の増加は無視できる。したがって、上記の攻撃は無効になる。
【0078】
アクティブファイバセクション15内のドーパント原子の最適な数は、以下に説明するように、アクティブファイバセクション長lを調整することによって決定できる。アクティブファイバセクション15の位置zにおける第2エネルギー準位、準安定状態22、の個数は次の式で得られる。
【0079】
【数1】
【0080】
ここで、ドーパント濃度をρ、ポンピング放射周波数をν、信号周波数をν、比をη=σ(ν)/σ(ν)、η=σ(ν)/σ(ν)、放出断面積をσ(ν)、σ(ν)、吸収断面積σ(ν)、σ(ν)、(局所的な)ポンピングパワーをP(z)、(局所的な)信号パワーをP(z)、及び飽和パワーをPsat(ν)、Psat(ν)とする。
【0081】
放出断面積σ(ν)、σ(ν)及び吸収断面積σ(ν)、σ(ν)は、ドーパントイオンが周波数ν又はνの光子をそれぞれ放出又は吸収する確率に相当する。σ(ν)、σ(ν)、σ(ν)及びσ(ν)の値は、発光と吸収スペクトル(たとえば、スペクトル分析から)及びその後のドーパント濃度ρによる除算を介して決定できる。発光スペクトルは、入力光信号がないがポンピングされているアクティブファイバセクション15の出力スペクトルである(特に、G≒10の場合、約500mWの大きなポンピングパワーが使用されうる)。吸収スペクトルは、ポンピングを行わない場合のアクティブファイバセクション15の入力スペクトルと出力スペクトルとの差に相当する。
【0082】
信号の飽和パワーPsat(ν)とポンプの飽和パワーPsat(ν)は、次のように決定できる。
【0083】
【数2】
【0084】
ここで、ωはモードパワー半径(つまり、ファイバコア半径、ファイバコアとクラッドの屈折率、及び信号波長に依存する光ファイバ内の信号パワー分布の半径)、τは準安定状態22から基底状態21までの緩和時間(通常、シリカ中のエルビウムの場合は10ms)である。nがアクティブファイバに沿って一定値に近い場合、増幅率/利得Gは、次のように決定できる。
【0085】
【数3】
【0086】
が一定値に近い場合の条件は、P>>Psat(ν)のときに成立する。
【0087】
アクティブファイバセクション長lは、次のように決定できる。
【0088】
【数4】
【0089】
分母σ(ν)ρ・((η+1)n-1)は、特定のアクティブファイバセクション長lに対して、出力光信号光子数と入力信号光子数の比として利得Gを決定し、式(4)を使用することによって決定できる。本質的に完全な反転分布を提供するために、ポンピングパワーは特に大きくてもよく、例えばG≒10の場合、ポンピングパワーは500mW以上であってもよい。
【0090】
利得Gは信号パワーPに依存し、信号パワーPの値が大きいほど小さくなるため、目標最大利得Gmax及び目標動作利得Gopは、意図された(目標)最大信号パワーPs,maxに対して決定できる。量子相対エントロピーの単調性により、信号パワーPが小さい光信号がより多く増幅されるという事実は、それらをより区別しやすくするものではない。したがって、盗聴者は増幅された光信号から許容される以上の情報を抽出することはできない。特に、信号強度は、光信号の一部が転用/窃盗されたものとして検出された場合に、0ビットの光信号と1ビットの光信号との区別がつきにくくなるように、第1データ処理装置11及び/又は第2データ処理装置12によって低減できる。
【0091】
最大ポンピングパワーPp,maxは、典型的には、ポンピングデバイス16の物理的容量及び/又は電子的に設定された制限によって制限される。盗聴者は別のポンピングデバイスをアクティブファイバセクション15に接続しようとするかもしれないが、これは物理的な回線制御によって検出されうる。さらに、封止材を貫通する必要がありえ、これにより機器が損傷しうる。したがって、盗聴者は、光増幅器14のポンピングデバイス16のポンピングパワーを最大でも物理的限界まで増加させることによってのみ、利得Gを操作するように制限されうる。
【0092】
伝送路長が1000kmの例示的な伝送路10では、パルス当たりの光子数Nは約10光子から10光子までの範囲でありえ、信号パルス時間はt=0.8nsでありえ、これはP=Nhν/tの信号パワーPに相当する。信号波長λ=c/ν=1530nmの場合、信号パワーPは最大10.81μWとなりうる。増幅器間隔が50kmである、すなわち50kmごとに光増幅器14を配置すると、光子数は、2つの光増幅器14の間で10分の1に減少する(伝送係数T=0.1)。これに応じて、単一の光増幅器14の目標動作利得Gopは、光信号の減衰を補填するため、Gop=10でなければならない。
【0093】
最初にn=1014光子を持つ光パルスの場合、光子数は50km後にTn=1013に減少する。光増幅器14は光子数をGTn=1014に戻すが、ノイズも付加する。光子はポアソン統計に従うため、増幅器付近の光信号の変動は、δn=√(T・n)≒3×10である。これらの変動は、光増幅器14によって係数Gで増幅され、その結果、δn≒G・√(T・n)≒3×10となる。
【0094】
それぞれが独立して変動に寄与する複数のM個の光増幅器14を通過すると、合計の変動は√(M)倍に増加する。例えば、長さ20000kmの伝送路10上の400個の光増幅器14の場合、変動は20倍に増加する。
【0095】
したがって、第2データ処理装置12における変動はδn≒√(M)δn≒6×10となる。よって、検出可能な最小(光信号)漏洩r minは、r min≒δn/n≒10-5となる。
【0096】
目標動作利得Gopが10の場合、盗聴者が利用できる可能性のある剰余はδG=10-4をこえるべきではないので、δG/G≒r min≒10-5(単一アンプの場合、r min≒10-7)となる。したがって、アクティブファイバセクション長lは、最大ポンピングパワーPp,maxで対応する利得G(目標最大利得Gmax)が、10+10-4に等しくなるようなものでなければならない(ただし、目標動作利得Gopは10)。
【0097】
アクティブファイバセクション長lは、G=Gmax及びP=Pp,maxとして、式(4)によって決定できる。アクティブファイバセクション長lは、(1)アクティブファイバセクションに初期長さlinit(たとえば、アクティブファイバセクション長lの初期の概算値の110%)を与え、(2)最大ポンピングパワーPp,max(ポンピングデバイス16に依存する)でポンピングデバイス16を動作させ、利得Gを決定し、(3)アクティブファイバセクション15の長さを調整する(例えば、減少する)ことによっても決定できる。これは、利得Gが目標最大利得Gmaxに等しくなるまで繰り返し実行される。それから、アクティブファイバセクション長lは、利得Gが目標最大利得Gmaxに等しいアクティブファイバセクション長として設定される。
【0098】
アクティブファイバセクション長lを定めると(ステップ41)、ステップ42によって動作ポンピングパワーPp,opを以下のように決定できる。動作ポンピングパワーPp,opは、最大ポンピングパワーPp,maxよりも小さい。ポンピングデバイス16は、最大の反転分布を保証するために、最大ポンピングパワーPp,maxでQKDの間に動作させることもできる。しかし、これには、高いエネルギー消費と機器の劣化(特に、(アクティブ)光ファイバ及びポンピングデバイス16の)を伴いうる。提案された方法によれば、動作ポンピングパワーPp,opは、ポンピングデバイス16にアクセスした盗聴者がポンピングパワーをどれだけ増加させたとしても伝送路コントロールで検出可能な最小漏洩r minより大きな光信号の割合を抽出することができないように決定できる。
【0099】
図5は、異なる信号パワーPに対する定められたアクティブファイバセクション長lにおけるポンピングパワー(ポンプパワー)Wの関数として、光増幅器14の利得GをdBでプロットしたものを示す。この例では、光増幅器14のポンピングパワーは400mWに制限される(Pp,max=400mW)。目標動作利得Gopは水平線50で示され、目標最大利得Gmaxは水平線51で示される。
【0100】
(最適な)動作ポンピングパワーPp,opは、各信号パワー固有の曲線と水平線50の交点に相当する。Pp,opの具体的な値は、G=Gop及びlをステップ41によって決定されたものとして、式(1)~式(3)によって決定できる。式(3)のnが、式(1)によると、ポンピングパワーPと信号パワーPに依存することに注意する。異なる信号パワーに対する最適な動作ポンピングパワーPp,opは、垂直線52~55で示されている。図5では、次のパラメータが使用された。σ(ν)=8.23×10-25、σ(ν)=7.2×10-25、σ(ν)=4.93×10-25、σ(ν)=1×10-25、λ=1530nm、λ=980nm、τ=10ms、ρ=1×10-25、ω=1.68μm、ω=1.41μm。
【0101】
与えられた目標最大光子数N及び目標最大信号パワーPs,maxに対して、次の動作ポンピングパワーPp,opが決定される。
【0102】
【表1】
【0103】
ステップ41によってアクティブファイバセクション長lを定め、ステップ42によって動作ポンピングパワーPp,opを定めた後、第1データ処理装置11と第2データ処理装置12との間の共有鍵は、第1データ処理装置11と第2データ処理装置12との間で伝えられる光信号に対応して増幅することを含む、ステップ43による量子鍵配送によって決定できる。
【0104】
(c)共有鍵決定のステップ
図6には、ステップ43に対応する量子鍵配送によって共有鍵を決定するための(サブ)ステップのグラフ表示が示されている。第1データ処理装置11と第2データ処理装置12は、認証された(パブリック)古典チャネルを介して接続され、伝送路10の光ファイバは量子チャネルとして機能する。
【0105】
初期ステップ60では、伝送路10(特にその光ファイバセグメント)の初期内部損失プロファイルが決定され、これは本質的に伝送路10における自然な信号損失を表す。この準備的なステップでは、伝送路10に盗聴者がアクセスしていないことが保証されるべきである。初期損失プロファイルは、認証された古典通信チャネルを介して第1及び第2データ処理装置11、12の間で共有されうる。
【0106】
第1ステップ61では、伝送路10の物理的損失制御が(例えば、第1及び第2データ処理装置10、11によって)実行される。特に、内部損失プロファイルが決定され、好ましくは、古典チャネルを介して第1データ処理装置11と第2データ処理装置12との間で共有される。
【0107】
このように更新された内部損失プロファイルを初期の内部損失プロファイルと比較することによって、盗聴者によって補足された可能性がある信号の部分rを決定しうる。たとえば、光増幅器14を含まない伝送路10のセクションにおいて、このセクションにおける自然信号損失がrで表され、盗聴者が信号の傍受された部分rを傍受した場合、次の関係を介して総損失rから傍受された部分rを導出することができる。
【0108】
【数5】
【0109】
傍受された部分rが大きくなりすぎて、正規のユーザーが盗聴者に対する情報上の優位性を失った場合、プロトコルは終了する。プロトコルの終了は、伝送路10の長さと2つの光増幅器14の間の距離に依存する。プロトコルは、特に、実行キーレートが目標キーレート値を下回る場合に、終了されうる。
【0110】
第2ステップ62では、乱数発生器を使用して、シーケンス長Lのビットシーケンスが第1データ処理装置11で決定される。
【0111】
第3ステップ63において、ビットシーケンスは一連のLキー信号パルス(コヒーレント光パルス)を含む光信号にエンコードされ、光信号が(伝送路10を介して)第2データ処理装置12に伝えられる。
【0112】
信号ビット0及び1は、それぞれコヒーレント状態|γ〉及び|γ〉に対応する。0及び1の信号ビットをコヒーレント状態|γ〉及び|γ〉のパラメータにエンコードする特定の方法は異なっていてもよい。たとえば、信号ビットは、異なる強度/光子数及び同じ位相を有するコヒーレント光パルスにエンコードされてもよく、あるいは、同じ強度及び異なる位相を有するコヒーレント光パルスにエンコードされてもよい。
【0113】
比較的高い信号強度を有する光信号は、盗聴者が利用できる信号の割合が小さく、盗聴装置13が光子の量子数のみを取得することができる限り、すなわち、測定精度が量子ノイズによって覆い隠される限り、使用されうる。強度暗号化の場合、max(|γ|,|γ|)~||γ|-|γ||の場合がこれに該当する。
【0114】
第4ステップ64では、光信号/コヒーレント光パルスは、伝送路10に沿って設けられた1つ又は複数の光増幅器14によって増幅される。それぞれの光増幅器14は、ステップ41によって決定されたアクティブファイバセクション長lのアクティブファイバセクション15を備える。さらに、それぞれの光増幅器14は、ステップ42による動作ポンピングパワーPp,opで動作し、目標動作利得Gopをもたらすポンピングデバイス16を備える。たとえ、盗聴者がポンピングパワーを動作ポンピングパワーPp,opを超えて最大ポンピングパワーPp,maxまで増加させたとしても、対応する可能性のある信号漏洩は、検出可能な最小(光信号)漏洩r minの大きさのオーダーに制限される。
【0115】
第5ステップ65において、光信号は、第2データ処理装置12によって受信され、測定される。対応する受信ビットシーケンスは、第2データ処理装置12において決定される。決定されたすべての人為的損失は、信号の傍受された部分rを表すと仮定しうる。
【0116】
第6ステップ66において、第2データ処理装置12での量子測定値が決定的ではないと判定された決定的ではない信号ビットは、第1データ処理装置11のビットシーケンス及び第2データ処理装置12の受信ビットシーケンスから破棄される。この目的のために、決定的ではない信号ビットのビット位置は、古典チャネルを介して第2データ処理装置12から第1データ処理装置11に伝えられる。
【0117】
第7ステップ67において、古典チャネルを介してビットシーケンス及び/又は受信ビットシーケンスの一部を開示することで、第1データ処理装置11及び第2データ処理装置12によって、それぞれビットシーケンス及び受信ビットシーケンスに対してエラー率を決定でき、エラーの訂正を実行できる。エラーの訂正は、例えば、低密度パリティチェック(LDPC)コードを使用して実行されうる。その結果、第1及び第2データ処理装置11、12において、エラーが訂正されたビットシーケンスが決定される。
【0118】
第8ステップ68では、プライバシー増幅を使用して、エラーが訂正されたビットシーケンスから増幅されたキーシーケンスが決定される。増幅されたキーシーケンスはエラーが訂正されたビットシーケンスよりも短く、潜在的な盗聴者は増幅されたキーシーケンスに関する情報をまったく持っていないか、無視できるほど小さい情報を持っている。増幅されたキーシーケンスは、量子鍵配送の結果としての第1データ処理装置11と第2データ処理装置12との間の共有キーシーケンスを表す。
【0119】
第1ステップ61から第8ステップ68までのステップは繰り返され(矢印69)、共有鍵の全長が、現在のアプリケーションで必要とされる長さになるまで、増幅されたキーシーケンスが(全体の)共有鍵に連結される。
【0120】
ステップ61から68までのすべての間、伝送路10は連続的に制御されうる(60a)。したがって、信号損失プロファイルが決定され、好ましくは、古典チャネルを介して第1データ処理装置11と第2のデータ処理装置12との間で共有される。伝送路10の完全性が、盗聴者が散乱損失を解読するかなりの危険性の程度まで損なわれた場合、プロトコルは終了されうる。
(d)伝送路制御
図7は、信号損失プロファイルに対応する光学的時間領域反射率測定から得られる例示的なリフレクトグラムを示す。基本的な測定は、出力100mW未満で、2μs、1550nmパルスレーザを使用して実行された。実験データは16,000回の測定が平均されている。
【0121】
リフレクトグラムは、後方散乱光信号(特に高強度光テストパルス)パワーの対数を、反射率計と対応する不連続部との間の距離の関数として示す。反射率計は、第1データ処理装置11及び/又は第2データ処理装置12の内部又はその近くに配置できる。
【0122】
伝送路10に沿った自然な信号損失は均質な散乱によるもので、線形領域70に対応するパワーの指数関数的減衰をもたらす。リフレクトグラムの特徴71から74は、リフレクトグラム曲線の指数関数的減衰からの偏差、特にリフレクトグラム曲線の鋭いピーク及び/又はドロップから構成され、伝送路10の対応する位置での信号損失を分類することを可能にする。これは初期ステップ60、鍵交換中に決定された損失と比較するために局所的な損失を特定し軽減することが重要である、において特に有用である。
【0123】
リフレクトグラムの特徴71から74は、一般に、伝送路10の不完全性に対応し、例えば、低品質の接続、曲がり、及び異なるコネクタを表しうる。このような領域からの散乱損失は、伝送路10に関して局所的に発生する。リフレクトグラムの特徴71から74のピークは、過剰な散乱に起因されえ、物理コネクタの場合、テストパルスがフレネル反射を受けることに起因する。リフレクトグラムの右側にあるノイズの多い領域75は、後方散乱信号の終わりを表す。
【0124】
さらに又は代わりに、伝送路制御は透過測定を含んでもよい。すなわち、第1データ処理装置11によって送信され、第2データ処理装置12によって受信されたテストパルスの強度が、伝送路10のそれぞれの位置での信号損失を分類するために分析される。第2データ処理装置12において受信された光信号を分析することによる分類は、第2データ処理装置12において実行されてもよい。第1データ処理装置11はまた、特に後方散乱されたテストパルス成分の測定値と第2データ処理装置12で受信されたテストパルスの測定値を組み合わせることによって、分類を実行するように構成されてもよい。
【0125】
固有の信号損失と人為的な信号損失とを区別するために、初期信号損失プロファイルが基準として使用される。再現不可能なプロファイル、すなわち伝送路10の物理的に複製不可能な構造を提供するために、(パッシブ)光ファイバセグメントは、例えば、アルミニウム、リン、窒素、又はゲルマニウムでわずかにドープされてもよい。最も一般的な盗聴攻撃は、伝播信号と補助システムを含む結合システムの量子状態のユニタリ変換に対応する。しかし、光子の方向を変える唯一の方法は、光ファイバ媒体に大幅な変更を導入することであり、これにより必然的に(初期の)リフレクトグラムからの変更が生じ、検出可能になる。
【0126】
本明細書、図面及び/又は特許請求の範囲に開示される特徴は、単独で、又はそれらの様々な組み合わせとして、様々な実施形態を実現するための材料となりうる。
図1
図2
図3
図4
図5
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【外国語明細書】
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