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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070236
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】飛翔体用座台及び飛翔体発射システム
(51)【国際特許分類】
   B64D 1/02 20060101AFI20240515BHJP
   B64D 9/00 20060101ALI20240515BHJP
   B64D 17/80 20060101ALI20240515BHJP
   B64D 17/78 20060101ALI20240515BHJP
   B64D 17/64 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
B64D1/02
B64D9/00
B64D17/80
B64D17/78
B64D17/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023185637
(22)【出願日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】P 2022180332
(32)【優先日】2022-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【弁理士】
【氏名又は名称】池見 智治
(72)【発明者】
【氏名】神▲徳▼ 隆博
(72)【発明者】
【氏名】白井 竜弥
(72)【発明者】
【氏名】平井 瑞生
(57)【要約】
【課題】飛翔体用座台と飛翔体との分離が、より適切なタイミングでなされるようにすること。
【解決手段】飛翔体用座台40は、座台本体42と、拘束位置から解放位置に位置変更可能なホルダ80と、ホルダを拘束位置に留める規制位置から、ホルダが解放位置に位置変更するのを許容する規制解除位置に位置変更可能なホルダ規制機構60と、座台本体に回動可能に支持された回動支持部54と抽出傘連結部とを含み、回動支持部の周りに回動することで、待機位置から座台本体に対して斜めになる斜め位置に位置変更するメインレバー50と、抽出傘連結部に連結され、空中における展開によってメインレバーを介して、飛翔体用座台に、飛翔体の発射方向への引張荷重を与える抽出傘と、メインレバーが斜め位置に向かう力を、ホルダ規制機構を規制位置から規制解除位置に位置変更させる力としてホルダ規制機構に伝達する伝達機構70とを備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機から飛翔体と共に発射される飛翔体用座台であって、
前記飛翔体の長手方向に沿って延びる長尺形状に形成され、一方主面側に前記飛翔体を支持する支持面を有する座台本体と、
前記飛翔体を前記支持面上に拘束する拘束位置から前記支持面からの前記飛翔体の解放を許容する解放位置に位置変更可能なホルダと、
前記ホルダを前記拘束位置に留める規制位置から、前記ホルダが前記拘束位置から前記解放位置に位置変更するのを許容する規制解除位置に位置変更可能なホルダ規制機構と、
長尺形状に形成されたメインレバーであって、前記座台本体に回動可能に支持された回動支持部と抽出傘連結部とを含み、前記回動支持部と前記抽出傘連結部とが前記メインレバーの長手方向に沿って離れて位置し、前記回動支持部の周りに回動することで、前記座台本体に沿う待機位置から前記座台本体に対して斜めになる斜め位置に位置変更するメインレバーと、
前記抽出傘連結部に連結され、空中における展開によって前記メインレバーを介して、前記飛翔体用座台に、前記飛翔体の発射方向への引張荷重を与える抽出傘と、
前記メインレバーが前記斜め位置に向かう力を、前記ホルダ規制機構を前記規制位置から前記規制解除位置に位置変更させる力として前記ホルダ規制機構に伝達する伝達機構と、
を備える飛翔体用座台。
【請求項2】
請求項1に記載の飛翔体用座台であって、
前記座台本体は、前記ホルダを支持するホルダ支持部を含み、
前記ホルダは、前記ホルダ支持部によって、前記飛翔体のうち前記座台本体側に位置する係止対象部を係止する前記拘束位置と、前記係止対象部に対する係止を解除する前記解放位置との間で位置変更可能に支持されるフックである、飛翔体用座台。
【請求項3】
請求項2に記載の飛翔体用座台であって、
前記座台本体は、前記飛翔体側を向く飛翔体向き面を含み、
前記座台本体は、前記飛翔体向き面よりも前記飛翔体の近くに位置する前記支持面で前記飛翔体を支持する飛翔体位置決め部をさらに含む、飛翔体用座台。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の飛翔体用座台であって、
前記フックは、前記ホルダ規制機構と接触する接触部を有し、
前記フックを前記解放位置に向けて付勢する付勢体をさらに備え、
前記ホルダ規制機構は、
前記フックを前記拘束位置に留めるように前記接触部に接触するフック規制部と、
前記メインレバーの変位を受けて前記フックを前記拘束位置に留める状態を解除するフック規制解除部と、を含む、飛翔体用座台。
【請求項5】
請求項4に記載の飛翔体用座台であって、
前記フックは、互いに平行な回動軸周りに回動可能な第1フックと第2フックとを有し、
前記フック規制部は、前記第1フックを前記拘束位置に留める第1フック規制部と、前記第2フックを前記拘束位置に留める第2フック規制部とを有し、
前記ホルダ規制機構は、前記第1フック規制部と前記第2フック規制部とに連結された連結リンク要素を含み、
前記フック規制解除部が前記メインレバーの変位を受けると、前記連結リンク要素が前記第1フック規制部と前記第2フック規制部とを同期移動させて、前記第1フックと前記第2フックとを前記拘束位置に留める状態を解除する、飛翔体用座台。
【請求項6】
請求項2または請求項3に記載の飛翔体用座台であって、
前記座台本体に支持されて、ワイヤ端部保持位置と、ワイヤ端部解放位置との間で位置変更するアーミングロックバーと、
前記アーミングロックバーが前記ワイヤ端部保持位置に位置する状態で、アーミングワイヤの延出端部を保持し、前記アーミングロックバーが前記ワイヤ端部解放位置に位置する状態で、前記アーミングワイヤの延出端部を解放する、ワイヤ端部保持機構と、
をさらに備える、飛翔体用座台。
【請求項7】
請求項6に記載の飛翔体用座台であって、
前記ワイヤ端部保持機構は、
第1ワイヤ保持体と、
前記第1ワイヤ保持体に接触する接触位置と、前記第1ワイヤ保持体から離れる離間位置との間で移動する第2ワイヤ保持体と、
前記第2ワイヤ保持体を前記第1ワイヤ保持体に向けて付勢するワイヤ保持用付勢体と、
前記接触位置から前記離間位置への前記第2ワイヤ保持体の移動を規制する保持体固定位置と、前記接触位置から前記離間位置への前記第2ワイヤ保持体の移動を許容する保持体解放位置との間で移動する移動規制部材と、
前記アーミングロックバーの変位を受けて前記移動規制部材を前記保持体固定位置から前記保持体解放位置に向けて移動させるワイヤ用伝達機構と、
含む、飛翔体用座台。
【請求項8】
請求項7に記載の飛翔体用座台であって、
前記第1ワイヤ保持体または前記第2ワイヤ保持体は、先端側に向けて徐々に細くなる先細り形状部分を有する、飛翔体用座台。
【請求項9】
請求項1記載の飛翔体用座台であって、
前記ホルダ規制機構は、前記ホルダを前記拘束位置に留めるオーバーセンタリンク機構であり、
前記オーバーセンタリンク機構は、リンク回動軸を介して連結された複数のリンク要素を含み、前記複数のリンク要素が前記座台本体と前記ホルダとの間に介在した状態でオーバーセンタ状態となって前記ホルダを前記拘束位置に留める、飛翔体用座台。
【請求項10】
請求項9記載の飛翔体用座台であって、
前記ホルダ規制機構は、前記オーバーセンタリンク機構として、第1隣接オーバーセンタリンク機構と第2隣接オーバーセンタリンク機構とを含み、
前記第1隣接オーバーセンタリンク機構の前記リンク回動軸と前記第2隣接オーバーセンタリンク機構の前記リンク回動軸とが同一直線上に位置しており、
前記ホルダ規制機構は、前記第1隣接オーバーセンタリンク機構の前記リンク回動軸と前記第2隣接オーバーセンタリンク機構の前記リンク回動軸とを連結する連結軸をさらに含む、飛翔体用座台。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の飛翔体用座台であって、
前記ホルダ規制機構は、前記オーバーセンタリンク機構として、第1対向オーバーセンタリンク機構と第2対向オーバーセンタリンク機構とを含み、
前記第1対向オーバーセンタリンク機構の前記リンク回動軸と前記第2対向オーバーセンタリンク機構の前記リンク回動軸とが互いに平行であり、
前記ホルダ規制機構は、前記第1対向オーバーセンタリンク機構の前記リンク回動軸から突出する第1突出軸と、前記第2対向オーバーセンタリンク機構の前記リンク回動軸から突出する第2突出軸とをさらに含み、
前記第1突出軸と前記第2突出軸とが互いに平行であり、
前記伝達機構は、前記第1突出軸と前記第2突出軸とに一括して力を伝達する伝達バーを含む、飛翔体用座台。
【請求項12】
請求項1、請求項9及び請求項10のいずれか1項に記載の飛翔体用座台であって、
前記伝達機構は、
前記メインレバーの回動に伴って回転する伝達軸と、
前記伝達軸からその軸方向に対して交差する方向に延出し、前記伝達軸の回転に応じて回動して、前記ホルダ規制機構に力を伝達する伝達レバーと、
を含む、飛翔体用座台。
【請求項13】
請求項12に記載の飛翔体用座台であって、
前記伝達機構は、第1伝達用リンク要素と前記第1伝達用リンク要素に連結された第2伝達用リンク要素とを含み、前記第1伝達用リンク要素が前記メインレバーに連結され、前記第2伝達用リンク要素が前記伝達軸に連結されたメインレバーリンク機構である、飛翔体用座台。
【請求項14】
請求項12に記載の飛翔体用座台であって、
前記伝達軸は、周方向において部分的な凸部を有し、
前記伝達レバーと前記伝達機構のうちの一方が、前記伝達軸が回動可能に挿通される挿通孔と、前記挿通孔の周りで部分的に位置する受部とを有し、
前記メインレバーが前記待機位置から前記斜め位置に回動する途中で、前記凸部が前記受部に接触して前記伝達レバーを回動させる、飛翔体用座台。
【請求項15】
請求項9又は請求項10に記載の飛翔体用座台であって、
前記ホルダ規制機構が前記規制位置に位置する状態で、前記オーバーセンタリンク機構と、前記座台本体若しくは前記ホルダとの間に介在する楔部をさらに備え、
前記メインレバーが前記待機位置から前記斜め位置に回動開始後、前記楔部が前記オーバーセンタリンク機構と、前記座台本体若しくは前記ホルダとの間から離脱する、飛翔体用座台。
【請求項16】
請求項1、請求項9及び請求項10のいずれか1項に記載の飛翔体用座台であって、
前記ホルダを、前記拘束位置から前記解放位置に向けて付勢する付勢体をさらに備える、飛翔体用座台。
【請求項17】
請求項1、請求項9及び請求項10のいずれか1項に記載の飛翔体用座台であって、
前記ホルダが、前記座台本体の両側に設けられ、前記座台本体の上側で開閉可能な一対の分割ホルダを含み、
前記一対の分割ホルダが、それらの合せ目に、前記飛翔体のうち前記座台本体の反対側に突出する飛翔体側凸部を受け入れる位置決め凹部を有する、飛翔体用座台。
【請求項18】
請求項1、請求項9及び請求項10のいずれか1項に記載の飛翔体用座台であって、
前記ホルダは、前記座台本体に対して前記飛翔体を介して対向する位置に設けられた座台側アンビリカルコネクタを有し、
前記メインレバーが前記待機位置から前記斜め位置に回動することで引っ張られる引張り力伝達部と、
前記引張り力伝達部が引っ張られると、前記座台側アンビリカルコネクタを前記飛翔体から離れる方向に移動させる中間伝達部と、
を含むアンビリカルコネクタ分離機構をさらに備える、飛翔体用座台。
【請求項19】
請求項1、請求項9及び請求項10のいずれか1項に記載の飛翔体用座台であって、
前記座台本体及び前記メインレバーの一方に、前記メインレバー又は前記座台本体に係止して前記メインレバーを前記待機位置に保つメインレバー規制位置と、前記メインレバー又は前記座台本体からの係止を解除して前記メインレバーを前記待機位置から前記斜め位置に移動可能にするメインレバー規制解除位置との間で位置変更可能なメインレバーロックバーをさらに備える、飛翔体用座台。
【請求項20】
航空機に搭載される飛翔体発射システムであって、
請求項1、請求項2、請求項3、請求項9及び請求項10のいずれか1項に記載の飛翔体用座台と、
前記飛翔体用座台を格納する格納部と、
前記抽出傘を格納し、前記抽出傘を放出する放出部と、
前記放出部による前記抽出傘の放出動作を制御する発射指令装置と、
を備える飛翔体発射システム。
【請求項21】
請求項20に記載の飛翔体発射システムであって、
前記飛翔体用座台は、前記座台本体及び前記メインレバーの一方に、前記メインレバー又は前記座台本体に係止して前記メインレバーを前記待機位置に保つメインレバー規制位置と、前記メインレバー又は前記座台本体からの係止を解除して前記メインレバーを前記待機位置から前記斜め位置に移動可能にするメインレバー規制解除位置との間で位置変更可能なメインレバーロックバーをさらに備え、
前記格納部から前記航空機外に向けて移動する前記飛翔体用座台の移動経路の途中に位置し、前記移動経路に沿って移動する前記飛翔体用座台の前記メインレバーロックバーに接触して前記メインレバーロックバーの位置を切替える切替位置と、前記移動経路に沿って移動する前記飛翔体用座台の前記メインレバーロックバーとの接触を回避する切替回避位置との間で移動可能な切替作動片を含むメインレバー切替部をさらに備え、
前記発射指令装置は、前記メインレバー切替部を制御して前記切替作動片の位置を制御する、飛翔体発射システム。
【請求項22】
航空機に搭載される飛翔体発射システムであって、
請求項6に記載の飛翔体用座台と、
前記飛翔体用座台を格納する格納部と、
前記抽出傘を格納し、前記抽出傘を放出する放出部と、
前記放出部による前記抽出傘の放出動作を制御する発射指令装置と、
前記格納部から前記航空機外に向けて移動する前記飛翔体用座台の移動経路の途中に位置し、前記移動経路に沿って移動する前記飛翔体用座台の前記アーミングロックバーに接触して前記アーミングロックバーの位置を切替える切替位置と、前記移動経路に沿って移動する前記飛翔体用座台の前記アーミングロックバーとの接触を回避する切替回避位置との間で移動可能な切替作動片を含むアーミングロックバー切替部をさらに備え、
前記発射指令装置は、前記アーミングロックバー切替部を制御して前記切替作動片の位置を制御する、飛翔体発射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、飛翔体用座台及び飛翔体発射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、解放コントローラとしてタイマ、方位検出器、姿勢検出部、プロセッサ等が利用されること、当該解放コントローラからの信号に従って解放機構が作動されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/116110号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここにおいて、飛翔体用座台と飛翔体との分離が、より適切なタイミングでなされることが要請されている。
【0005】
そこで、本開示は、飛翔体用座台と飛翔体との分離が、より適切なタイミングでなされるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
飛翔体用座台は、航空機から飛翔体と共に発射される飛翔体用座台であって、前記飛翔体の長手方向に沿って延びる長尺形状に形成され、一方主面側に前記飛翔体を支持する支持面を有する座台本体と、前記飛翔体を前記支持面上に拘束する拘束位置から前記支持面からの前記飛翔体の解放を許容する解放位置に位置変更可能なホルダと、前記ホルダを前記拘束位置に留める規制位置から、前記ホルダが前記拘束位置から前記解放位置に位置変更するのを許容する規制解除位置に位置変更可能なホルダ規制機構と、長尺形状に形成されたメインレバーであって、前記座台本体に回動可能に支持された回動支持部と抽出傘連結部と、を含み、前記回動支持部と前記抽出傘連結部とが前記メインレバーの長手方向に沿って離れて位置し、前記回動支持部の周りに回動することで、前記座台本体に沿う待機位置から前記座台本体に対して斜めになる斜め位置に位置変更するメインレバーと、前記抽出傘連結部に連結され、空中における展開によって前記メインレバーを介して、前記飛翔体用座台に、前記飛翔体の発射方向への引張荷重を与える抽出傘と、前記メインレバーが前記斜め位置に向かう力を、前記ホルダ規制機構を前記規制位置から前記規制解除位置に位置変更させる力として前記ホルダ規制機構に伝達する伝達機構と、を備える。
【0007】
また、飛翔体発射システムは、航空機に搭載される飛翔体発射システムであって、上記飛翔体用座台と、前記飛翔体用座台を格納する格納部と、前記抽出傘を格納し、前記抽出傘を放出する放出部と、前記放出部による前記抽出傘の放出動作を制御する発射指令装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
この飛翔体用座台によると、飛翔体用座台と飛翔体との分離が、より適切なタイミングでなされる。
【0009】
また、飛翔体発射システムによると、発射指令装置の指令に応じて放出部から抽出傘を放出すると、飛翔体用座台及び飛翔体が、格納部から発射される。発射された飛翔体用座台と飛翔体は、より適切なタイミングで分離される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は飛翔体発射システムが搭載された航空機を示す説明図である。
図2図2は航空機から発射される飛翔体の姿勢変化を説明するための図である。
図3図3は飛翔体及び飛翔体用座台を示す斜視図である。
図4図4は飛翔体及び飛翔体用座台を示す斜視図である。
図5図5は飛翔体及び飛翔体用座台を示す斜視図である。
図6図6は飛翔体用座台の部分斜視図である。
図7図7は飛翔体用座台の部分斜視図である。
図8図8は飛翔体用座台の部分斜視図である。
図9図9図3のIX-IX線断面図である。
図10図10は飛翔体用座台の延在方向中間部を示す部分斜視図である。
図11図11は飛翔体が載置された飛翔体用座台を示す側面図である。
図12図12は飛翔体が載置された飛翔体用座台を示す側面図である。
図13図13はメインレバーが傾き始める第1途中段階における飛翔体用座台の断面図である。
図14図14はメインレバーがさらに大きく傾いた第2途中段階における飛翔体用座台の断面図である。
図15図15は第2途中状態における飛翔体用座台の部分斜視図である。
図16図16は伝達機構の部分拡大斜視図である。
図17図17はホルダが解放位置に位置する状態における飛翔体用座台の断面図である。
図18図18は発射時におけるストッパ装置及びメインレバー切替部の動作を示す説明図である。
図19図19は第2実施形態に係る飛翔体発射システムを示す説明図である。
図20図20は第3実施形態に係る飛翔体及び飛翔体用座台を示す斜視図である。
図21図21は飛翔体用座台の部分斜視図である。
図22図22は飛翔体が飛翔体用座台から分離した状態を示す斜視図である。
図23図23は飛翔体用座台を示す部分分解斜視図である。
図24図24はメインレバーが座台本体に対して待機位置から斜め位置に回動する状態を説明する図である。
図25図25はメインレバーが座台本体に対して待機位置から斜め位置に回動する状態を説明する図である。
図26図26はホルダ、ホルダ規制機構及び伝達機構を示す概略図である。
図27図27はホルダ、ホルダ規制機構及び伝達機構を示す概略図である。
図28図28はワイヤ保持本体機構の内部構造を示す概略図である。
図29図29はワイヤ保持本体機構の動作を説明するための図である。
図30図30は飛翔体発射システムが搭載された航空機を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係る飛翔体用座台及び飛翔体発射システムについて説明する。図1は飛翔体発射システム30が搭載された航空機10を示す説明図である。
【0012】
航空機10及び飛翔体発射システム30の全体構成について説明する。航空機10は、地上よりも上を飛行する機械である。航空機10は、機体12を備える。機体12内に荷室13が設けられる。荷室13の後方が開口しており、当該開口が扉14によって開閉可能に閉じられている。扉14が開状態になると、閉状態の際に荷室13に対向していた面が荷室13の床と同一面上に一致する状態となり、座台40が引出される際に当該座台40を支える。なお、航空機10の推進装置は、プロペラの回転によって推力を生じる装置であってもよいし、ジェットエンジンであってもよいし、ロケットエンジンであってもよく、特に限定されない。
【0013】
本実施形態において、説明の便宜上、飛翔体20及び飛翔体用座台40が航空機10に搭載された状態を想定し、航空機10の進行方向を前、その逆方向を後ろという場合がある。また、飛翔体用座台40の座台本体42上に飛翔体20が載置されている状態を想定し、飛翔体用座台40側を下、その反対側を上という場合がある。また、当該上下方向を前提として前を向いた状態を基準にして、左右が参照される場合がある。
【0014】
飛翔体発射システム30は、航空機10に搭載されるシステムである。飛翔体発射システム30は、飛翔体用座台40と、格納部32と、放出部33と、発射指令装置34とを備える。
【0015】
飛翔体用座台40は、飛翔体20を支持する座台である。以下、単に座台40という場合がある。座台40は、航空機10の荷室13内で飛翔体20を支持する。また、座台40は、飛翔体20と共に航空機10から発射される。
【0016】
ここで、飛翔体20とは、地上よりも上、例えば、大気中、地球表層及び宇宙空間を飛翔する物体である。本実施形態では、飛翔体20は細長い形状である。例えば、飛翔体20の長手方向中間部は、幅方向寸法よりも高さ寸法が小さい扁平な六角柱形状部分の角が丸められた形状に形成されていてもよい。この場合、飛翔体20は六角柱形状部分の下向きの底面が座台40を向いた状態で、座台40上に載置支持されてもよい。なお飛翔体20が座台40に支持される部分は六角柱形状部分の底面に限定されず、例えば六角形状部分の側面又は丸められた角部分が支持されてもよい。飛翔体20の一端部は、外側に向うに連れて徐々に細くなる形状であってもよい。飛翔体20の他端部も、外側に向うに連れて徐々に細くなる形状であってもよい。飛翔体20が航空機10から発射された後、飛翔体20と座台40とが分離することで、飛翔体20は、予定された経路に沿って飛翔するのに適した状態となる。例えば、飛翔体20は推進装置及び翼等を有していてもよい。この場合において、飛翔体20が座台40と分離することで、飛翔体20は、推進装置及び翼による制御の下、予定された経路に沿って飛翔し易い。
【0017】
格納部32は、荷室13内で座台40を格納する部分である。格納部32は、座台40を支持しかつ格納部32の後方に向けて座台40を移動させるためのレールであってもよい。格納部32は、飛翔体用座台を収納するボックス状部分であってもよい。格納部32がボックス状であれば、座台40を上下複数段で支持し易い。本実施形態では、格納部32は、レールである。
【0018】
放出部33は、抽出傘28を格納し、飛翔体20の発射時に当該抽出傘28を放出する。例えば、放出部33は、荷室13内における座台40よりも後方位置に設置される。例えば、扉14に座台40及び飛翔体20が通過可能なゲート15が形成されており、当該ゲート15上に放出部33が固定される。
【0019】
放出部33は、例えば、一方側が開口する箱状の箱本体と、当該開口を開閉可能に閉じる蓋とを含む。箱本体は、折畳まれた抽出傘28を格納可能な大きさに形成される。蓋は、例えば、ソレノイドアクチュエータ等のアクチュエータを含むロック機構によって、ロック状態とロック解除状態とに切替えられる。ロック状態では、蓋が箱本体の開口を閉じた状態に保たれる。ロック解除状態では、蓋は箱本体の開口を開く。折畳まれた抽出傘28は、例えば、コイルバネ等の付勢部材によって開口側に付勢された状態で、箱本体内に格納される。この格納状態で、蓋が箱本体の開口を閉じ、かつ、ロック機構によって閉状態に保たれる。
【0020】
そして、ロック機構に対する制御によって蓋が開かれると、付勢部材によって折畳まれた抽出傘28が箱本体の開口から外方に押出される。押出された抽出傘28は、荷室13の後方の開口から外側に放出されて、大気中で展開することができる。
【0021】
発射指令装置34は、放出部33により抽出傘28の放出動作を制御する装置である。発射指令装置34は、例えば、プロセッサと記憶装置等を備えるコンピュータである。発射指令装置34は、スイッチ等を含むマンマシンインタフェースを備えてもよい。発射指令装置34は制御信号を発して、ロック機構を制御する。その結果、放出部33から抽出傘28が放出される。
【0022】
なお、抽出傘28を放出するための構成は上記例に限られない。例えば、風圧、重力又は爆圧等によって、抽出傘28が航空機10外に放出されてもよい。この場合、発射指令装置34は、抽出傘28に対して風圧、重力又は爆圧等を作用させる各種要素を機能させる制御信号を出力する。また、発射指令装置は、放出部33を動作させる電気スイッチであってもよい。
【0023】
飛翔体発射システム30は、格納部32において座台40を一定位置に停止させるストッパ装置35を備えてもよい。ストッパ装置35は、例えば、格納部32における座台40の通過経路に対して進退可能なストッパと、当該ストッパを進退駆動するソレノイドアクチュエータ等のアクチュエータとを含む。ストッパが進出移動している状態で、当該ストッパが座台40に接触することで、格納部32において座台40が一定位置に停止する。ストッパは、座台40に対して少なくとも発射時の進行方向前側から接触していることが好ましい。本実施形態では、座台40の発射時の進行方向前側は航空機10の後ろ側である。
【0024】
飛翔体発射システム30は、メインレバー切替部36を備えてもよい。メインレバー切替部36は、座台40のメインレバー50に備えられるメインレバーロックバー58を操作することで、座台40からの飛翔体20の分離可否を制御する。
【0025】
上記発射指令装置34は、ストッパ装置35及びメインレバー切替部36のうちの一方又は両方を制御してもよい。
【0026】
飛翔体発射システム30は、飛翔体20に対する動作指令を与える飛翔体制御用コントローラを備えていてもよい。飛翔体制御用コントローラは、発射指令装置34によって実現されてもよいし、発射指令装置34とは別のコンピュータによって実現されてもよい。ここでは、飛翔体制御用コントローラが、発射指令装置34によって実現される例が説明される。
【0027】
飛翔体制御用コントローラは、アンビリカルケーブル37を介して座台側アンビリカルコネクタ38に接続されている。以下、単にコネクタ38という場合がある。コネクタ38は、飛翔体側アンビリカルコネクタ24に接続されている。以下、単にコネクタ24という場合がある。
【0028】
図2を参照して航空機10から飛翔体20及び座台40が発射される際において、飛翔体20の姿勢変化について説明する。
【0029】
航空機10の荷室13内に、飛翔体20及び座台40が格納されている。荷室13の後方の扉14が開き、荷室13の後方開口から抽出傘28が放出される。抽出傘28は、例えばナイロンやケブラー(登録商標)等の布片を半球状に縫い合わせたものであるが、形状及び材質は特に限定されない。抽出傘28は、空中で展開されることで空気抵抗を受け、座台40に相対的な制動を生じさせる。放出された抽出傘28は、航空機10の後方で展開する。抽出傘28は、座台40にワイヤ28Wによって連結されている。このため、航空機10の後方で展開した抽出傘28は、座台40を飛翔体20と共に航空機10の後方に引出す。
【0030】
引出途中において、飛翔体20及び座台40は、図2の矢符P1に示すように、座台40の後端が荷室13から外に引出され、座台40の残部が荷室13の床上に残った状態を経る。なお、荷室13の床とは、座台40が引出される際に当該座台40を支える部分であり、開いた扉14上を含む場合がある。
【0031】
上記状態では、座台40のうちの前寄りの部分が荷室13の床によって支えられた状態で、座台40のうちの後端寄りの部分が重力によって荷室13の床よりも下がる状態となる。このため、座台40及び飛翔体20は、前端を後端よりも上に位置させるように傾いた状態となる。以下、この状態を機首上げ状態という場合がある。
【0032】
抽出傘28によって座台40及び飛翔体20が航空機10からさらに引出されて、座台40のうちの前寄りの部分が荷室13の床から離脱する。この状態を、座台40及び飛翔体20が航空機10から発射された状態と呼ぶ。このとき、座台40に対する抽出傘28の連結箇所は、座台40及び飛翔体20の重心よりも下側に位置している。このため、抽出傘28が座台40に対する連結箇所を後方に引っ張ると、飛翔体20は、重心周りに回動し、前端と後端が同じ高さに戻る。飛翔体20は慣性により更に重心回りに回動するため、図2の矢符P2に示すように、前端を後端よりも下に位置させるように傾いた状態となる。以下、この状態を機首下げ状態という場合がある。このとき、メインレバー50は抽出傘28に引っ張られるため、座台40から離れるように回動する。
【0033】
発射からさらに時間が経過すると、抽出傘28は、飛翔体20の前寄り部分を後方に引っ張るため、図2の矢符P3に示すように、飛翔体20の傾きが大きくなっていく。また同時に、飛翔体20に対するメインレバー50の傾きも大きくなっていく。
【0034】
本実施形態では、航空機10から発射される過程で、飛翔体20が機首上げ状態を経て機首下げ状態に移行し、さらに、機首下げの角度が大きくなる。この一連の動作を利用して、座台40と飛翔体20との分離が、より適切なタイミングでなされるようにする技術を開示する。
【0035】
座台40の全体構成について説明する。図3から図5は飛翔体20及び座台40を示す斜視図である。図3及び図4では座台40によって飛翔体20が拘束された状態が示されている。図3において座台本体42から離れる方向に回動したメインレバー50が2点鎖線で示されている。図5では座台40から飛翔体20が分離可能な状態が示されている。図6は座台40の部分斜視図である。図6では座台40の延在方向中間部が示される。図6においてホルダ80の一部が省略されている。
【0036】
座台40は、座台本体42と、ホルダ80と、メインレバー50と、ホルダ規制機構60と、伝達機構70と、抽出傘28とを備える。
【0037】
座台本体42は、飛翔体20の長手方向に沿って延びる長尺形状に形成されている。本実施形態では、座台本体42は、長尺板状に形成されている。座台本体42の長さは、飛翔体20の長さと同じ程度又は飛翔体20の長さよりも大きくてもよい。座台本体42の幅は、飛翔体20の幅と同じ程度又は飛翔体20の幅よりも大きくてもよい。なお、座台本体42は、板状部材を持たないフレーム部材のみで構成された骨格構造であってもよい。
【0038】
座台本体42の一方主面側に、飛翔体20を支持する支持面43Fが設けられる。本実施形態では、座台本体42は、直方体状の載置ブロック43を含む。本実施形態では、2つの載置ブロック43が座台本体42の上側で前後方向に間隔をあけて位置する。載置ブロック43の延在方向は、座台本体42の幅方向に沿っている。各載置ブロック43の上向き面が支持面43Fである。飛翔体20が載置ブロック43の支持面43F上に載置支持される。なお、座台本体42が飛翔体20を支持する形態は上記に限定されない。例えば、載置ブロック43を左右一対として内側がV字状となるように形成し、飛翔体20下方の左右を拘束するように支持してもよい。また座台本体42が載置ブロック43に代えて左右一対のローラを備え、飛翔体20と線接触し左右を拘束するように支持してもよい。さらに、載置ブロック43が省略され、座台本体42の主面に飛翔体20が支持されてもよい。
【0039】
ホルダ80は、飛翔体20を座台本体42上で拘束する。ホルダ80は、座台本体42に対して拘束位置から解放位置に向けて位置変更可能に支持されている。ホルダ80が拘束位置に位置する座台40を図3及び図4に示す。ホルダ80が解放位置に位置する座台40を図5に示す。拘束位置に位置するホルダ80は、飛翔体20を支持面43F上で拘束する。この状態では、座台40は飛翔体20と合体した状態で航空機10から発射され得る。ホルダ80が解放位置に位置する状態では、支持面43Fからの飛翔体20の解放が許容された状態となる。この状態では、飛翔体20は、座台40から分離して飛翔することができる。
【0040】
メインレバー50は、長尺形状に形成されている。メインレバー50は、座台本体42に回動可能に支持された回動支持部54と、抽出傘連結部55とを含む。回動支持部54と抽出傘連結部55とは、メインレバー50の長手方向に沿って離れて位置する。本実施形態では、メインレバー50の前端が回動支持部54であり、メインレバー50の後端が抽出傘連結部である。
【0041】
回動支持部54は座台本体42に回転可能に支持されている。メインレバー50が回動支持部54周りに回動することで、座台本体42に対するメインレバー50の角度が変更される。メインレバー50が座台本体42に沿う状態が待機位置である。メインレバー50が待機位置に位置する座台40を図4に示す。メインレバー50が座台本体42に対して斜めに姿勢が斜め位置である。メインレバー50が斜め位置に位置する座台40を図5に示す。
【0042】
抽出傘連結部55は、抽出傘28から延出するワイヤ28Wが連結される部分である。飛翔体20及び座台40が航空機10から発射された後、飛翔体20及び座台40が慣性により更に機首下げ方向に回動する。一方で、抽出傘28が抽出傘連結部55を引っ張るので、メインレバー50が待機位置から斜め位置に位置変更される。
【0043】
ホルダ規制機構60は、上記ホルダ80を拘束位置に留めるように規制する機構である。ホルダ規制機構60による規制が解除されると、ホルダ80は、拘束位置から解放位置に位置変更できる。
【0044】
伝達機構70は、メインレバー50が斜め位置に向う力を、ホルダ規制機構60を規制解除状態にする力としてホルダ規制機構60に伝達する機構である。
【0045】
抽出傘28は、空中で空気抵抗を受けるように展開することで、航空機10に対する相対的な制動を生じさせる。抽出傘28は、ワイヤ28Wを介して抽出傘連結部55に連結されている。抽出傘28が空中で展開することによって、推進する航空機10に対して座台40が後方に引っ張られる。これにより、抽出傘28は、メインレバー50を介して、座台40に、飛翔体20の発射方向への引張荷重を与える。発射方向は、例えば、水平方向である。
【0046】
初期状態では、ホルダ80が飛翔体20を拘束しており、当該拘束状態がホルダ規制機構60によって維持されている。飛翔体20が座台40と共に航空機10から発射されると、展開した抽出傘28によって抽出傘連結部55が引っ張られる。メインレバー50を介して座台本体42が後方に引っ張られると、座台本体42及び飛翔体20が機首下げ状態となり、メインレバー50は、座台本体42に対して待機位置から斜め位置に相対的に位置変更する。メインレバー50が斜め位置に向う力が、伝達機構70によってホルダ規制機構60に伝達される。これにより、ホルダ規制機構60によるホルダ80の規制が解除される。すると、ホルダ80は、解放位置に移動し、飛翔体20は、座台40から分離できるようになる。
【0047】
本実施形態の各部構成についてより具体的に説明する。
【0048】
座台40について説明する。図7は座台40の部分斜視図である。図6では座台40の延在方向中間部が示される。図7においてメインレバー50が座台40から分離した状態が示されている。
【0049】
図4から図6に示すように、座台40の座台本体42は、前板部44と、後板部45と、連結板部46とを含む。前板部44と後板部45とは細長い長方形板状に形成されている。前板部44の後方延長上に、後板部45が位置する。連結板部46が前板部44と後板部45とを連結している。例えば、連結板部46が前板部44の後端部上面と後板部45の前端部上面とに重ね合わされて、前板部44及び後板部45にねじ止又は溶接等によって固定されている。なお、座台本体42が板状部材を持たないフレーム部材のみで構成された骨格構造である場合は、前板部44、後板部45及び連結板部46はそれぞれがフレーム部材のみで構成される。前板部44の延在方向中間部と後板部45の延在方向中間部とに、上記載置ブロック43が設けられる。なお、前方及び後方の載置ブロック43の位置は上記に限定されない。
【0050】
座台40の延在方向中間部の両側部にホルダ支持部47が設けられる。例えば、連結板部46の幅方向両側部にホルダ支持部47が設けられる。ホルダ支持部47にホルダ80を回動可能に支持するための軸47Sが挿通される孔が形成される。ホルダ支持部47の下部に部分的な凸部47Pが形成されている。前板部44の後端部と後板部45の前端部との両側面と凸部47Pとの間に、前後方向に沿って延在し、前後及び下方に開口する溝47S1が形成されている。当該溝47S1に連結軸63Eが配置される。
【0051】
前板部44の後端部の両側に幅方向中央に向けて凹む凹部44Sが形成されている。後板部45の前端部の両側に幅方向中央に向けて凹む凹部45Sが形成されている。凹部44S及び45Sは下方及び横外方向に開口している。ホルダ80の基端部の一部及びホルダ規制機構60が当該凹部44S、45S内に配置され得る。
【0052】
凹部44S、45Sの上の少なくとも一部は連結板部46によって覆われている。連結板部46によって、凹部44S、45S内のホルダ規制機構60の位置が規制され得る。凹部44S、45Sのうち座台40の幅方向中央側の面に、幅方向外側に向けて突出する軸支片44P、45Pが突設されている。軸支片44P、45Pによって、ホルダ規制機構60の部品が回動可能に支持される。
【0053】
前板部44の後縁と後板部45の前縁との間に、座台40の幅方向に延在する溝47S2が形成されている。当該溝47S2内に伝達バー79が配置される。溝47S2は、溝47S1を越えて凸部47Pに延びていてもよい。
【0054】
前板部44の後端部の幅方向中間位置にスリット44S1が形成されている。スリット44S1は、上下に貫通し、かつ、前後方向に長いスリットである。伝達機構70のリンク要素が本スリット44S1を上下に貫通するように配置される。
【0055】
前板部44の後端部のうちスリット44S1の両外側に2つのスリット44S2が形成されている。スリット44S2は、上下に貫通し、かつ、前後方向に長いスリットである。スリット44S2は、溝47S2を越えて後板部45の前端部に延びていてもよい。伝達機構70の2つの伝達レバー74が本2つのスリット44S2に配置される。
【0056】
なお、図6図7及び図9に示すように、スリット44S1、44S2は、連結板部46にも達している。このため、伝達機構70のリンク要素及び伝達レバー74は、座台本体42を上下に貫通するように移動することができる。
【0057】
前板部44の底面に、前後方向に沿って延びる滑体41が設けられる。滑体41は、座台40が、荷室13の床を円滑に滑っていくことができるようにする部分である。滑体41の下面は、待機位置に位置するメインレバー50の下面と同じ高さに位置することが好ましい。
【0058】
前板部44の底面にメインレバー50を回転可能に支持する支軸部48が設けられる。例えば、支軸部48は、前板部44の幅方向中央であって、後ろ寄りの位置に設けられる。
【0059】
後板部45の後端部に、上下方向に貫通する凹部42Sが形成される。凹部42Sは、例えば、後板部45の後縁の幅方向中央から前側に延びるスリット状に形成される。メインレバー50の後端部の抽出傘連結部55が当該凹部42Sを通って座台40の上側に突出できる。
【0060】
メインレバー50は、図4図5図7に示すように、2つの縦長尺部51と、3つの横連結部52とを備える。2つの縦長尺部51が前後方向に沿って配置されている。2つの縦長尺部51が左右方向に間隔をあけた状態で3つの横連結部52によって連結されている。
【0061】
2つの縦長尺部51の前端は、前方に向って徐々に幅狭となるV字状の前連結部52Fによって連結されている。前連結部52Fの前端部が軸を有する回動支持部54であり、当該回動支持部54の軸が支軸部48に回転可能に支持されている。
【0062】
座台40は、メインレバー50を回動可能に支持すればよく、支持のための構成は上記例に限られない。座台40は、複数の支軸部を有していてもよい。支軸部は、座台40の底面よりも上に位置していてもよい。
【0063】
待機位置では、メインレバー50は、座台40のうち支軸部48よりも後方の下面に接して後方に向って延びている。この状態では、メインレバー50の延在方向は、座台40の延在方向に沿っている。
【0064】
メインレバー50の長さ寸法は、例えば、上記待機位置で座台40の後端部に達する程度の大きさである。待機位置において、メインレバー50の後端が座台40の後縁を後方に越えてもよいし、座台40の後縁よりも手前に位置していてもよい。
【0065】
抽出傘連結部55は、最も後の横連結部52から後方に向って延びている。より具体的には、抽出傘連結部55は長尺形状に形成されている。メインレバー50が待機位置に位置する状態において、抽出傘連結部55は、例えば横連結部52から斜め上後方に向うように延びている。但し、抽出傘連結部55は横連結部52と同じ高さで後方に向かうように延びてもよい。メインレバー50が待機位置に位置する状態において、抽出傘連結部55は、凹部42Sを通って座台40の上方に突出する。抽出傘連結部55の先端にワイヤ28Wが連結される。抽出傘連結部55の長さ、角度等が調整されると、座台本体42を機首下げするためのピッチモーメントが調整される。そこで、抽出傘連結部55は、メインレバー50に対して別体とされてねじ止又は溶接等で後付可能とされてもよい。これにより、ピッチモーメントの調整のために好ましい形状の抽出傘連結部55を、基本設計が共通するメインレバー50に後付することができる。
【0066】
メインレバー50の延在方向中間部に伝達機構70が連結される。例えば、上記前連結部52Fの後の横連結部52に伝達用連結片52Pが突設され、当該伝達用連結片52Pに伝達機構70が連結される。また、メインレバー50の延在方向中間部に引張り力伝達部92が連結される。メインレバー50が待機位置から斜め位置に回動することで、上記伝達機構70及び引張り力伝達部92が引っ張られる。
【0067】
メインレバー50に、メインレバーロックバー58が設けられる。例えば、メインレバーロックバー58は、図8に示すように、縦長尺部51の長手方向中間部に位置変更可能に支持される。メインレバーロックバー58が上記ロック受部49に係止する姿勢となることで、メインレバー50が待機位置に維持される。メインレバーロックバー58がロック受部49から係止解除されることで、メインレバー50が待機位置から斜め位置に位置変更できる。
【0068】
なお、メインレバー50は下記構成によって座台本体42に対して待機位置に維持されてもよい。図8は座台40の斜め下からの斜視図である。
【0069】
すなわち、メインレバー50の縦長尺部51の長手方向中間部、ここでは後寄りの位置にメインレバーロックバー58が位置変更可能に支持される。より具体的には、メインレバー50の延在方向中間部に上側及び左右側に開口する凹部51gが形成されている。当該凹部51gに長尺状のメインレバーロックバー58が縦長尺部51に直交する軸、ここでは上下方向に沿う軸周りに回転可能に支持されている。
【0070】
メインレバーロックバー58は、メインレバー規制位置とメインレバー規制解除位置との間で位置変更可能である。メインレバー規制位置は、座台本体42に係止してメインレバー50を待機位置に保つ位置である。本実施形態では、メインレバー規制位置は、メインレバーロックバー58を縦長尺部51に対して交差している。より具体的には、メインレバー規制位置は、メインレバーロックバー58を縦長尺部51に対して直交させる位置である。この状態では、メインレバーロックバー58が縦長尺部51の左右の少なくとも一方から突出し、座台本体42に係止できる。メインレバー規制解除位置は、座台本体からの係止を解除してメインレバー50を待機位置から斜め位置に移動可能にする位置である。本実施形態では、メインレバー規制解除位置は、メインレバーロックバー58を縦長尺部51の延在方向に沿わせる位置である。この状態では、メインレバーロックバー58が凹部51g内に納まっており、縦長尺部51の左右両側からはみ出ないようになっている。
【0071】
座台本体42が、メインレバーロックバー58が係止可能なロック受部49を備える。ロック受部49は、後板部45の下面の後ろ寄りの位置に突設されている。ロック受部49は、後板部45の幅方向に間隔をあけて2つ設けられる。ロック受部49は、待機位置における縦長尺部51のうち凹部51gの隣の位置、例えば、内側の隣に位置している。ロック受部49は、例えば、後方及び内側に開口する受凹部49gを有している。
【0072】
メインレバーロックバー58が上記メインレバー規制位置に位置すると、当該メインレバーロックバー58の一端部が受凹部49g内に入り込んで、ロック受部49に係止する。この状態では、メインレバーロックバー58が後板部45から離れる方向へ移動することが規制されるので、メインレバー50が待機位置から斜め位置に移動しないように規制される。メインレバー50がメインレバー規制解除位置に移動すると、メインレバーロックバー58が受凹部49gから脱しロック受部49との係止が解除される。このため、メインレバーロックバー58が後板部45から離れる方向へ移動でき、メインレバー50が待機位置から斜め位置に移動できる。
【0073】
なお、上記とは逆に、メインレバー50にロック受部が設けられ、座台本体42に、ロック受部に係止するメインレバー規制位置と当該係止を解除するメインレバー規制解除位置との間で位置変更可能なメインレバーロックバーが設けられてもよい。
【0074】
ホルダ80について説明する。図9図3のIX-IX線断面図である。図9において飛翔体20が2点鎖線で示される。図10は座台40の延在方向中間部を示す斜視図である。図10ではホルダ80の一部と座台本体42とが省略されている。
【0075】
図3から図7及び図9に示すように、ホルダ80は、座台本体42の両側に設けられ、座台本体42の上側で開閉可能な一対の分割ホルダ82を含む。なお、複数組の分割ホルダが座台本体42の前後に分れて設けられてもよい。
【0076】
分割ホルダ82は、回動支持部83と、飛翔体拘束部84と、規制用延長部86とを備える。
【0077】
ホルダ80が拘束位置に位置する状態では、飛翔体拘束部84が座台本体42の両側から上方に突出して、座台本体42上の飛翔体20を拘束する。ホルダ80が解放位置に位置する状態では、飛翔体拘束部84が座台本体42の両側外方に展開して、座台本体42上の飛翔体20の拘束を解除する。回動支持部83は、飛翔体拘束部84の基端に位置し、当該飛翔体拘束部84を座台本体42に対して回動可能に支持する。
【0078】
規制用延長部86は、回動支持部83に対して飛翔体拘束部84とは反対側に延出する部分である。図9に示すように、ホルダ80が拘束位置に位置する状態で、規制用延長部86は、回動支持部83から下側に延出する。この状態で、ホルダ規制機構60が規制用延長部86と座台本体42との間に介在することで、規制用延長部86が座台本体42の幅方向中央に移動することが規制される。これにより、分割ホルダ82が展開する方向に回動することが規制される。
【0079】
より具体的には、飛翔体拘束部84は、側板部84aと、天井部84bとを含む。ホルダ80が拘束位置に位置する状態で、側板部84aは、座台40の側部から上方向に向って延出し、飛翔体20の側部を覆う。
【0080】
ホルダ80が拘束位置に位置する状態で、天井部84bは、側板部84aの先端側から座台40の幅方向中央に向って延出する。一対の分割ホルダ82が拘束位置に位置する状態で、天井部84bの先端部同士が対向した状態となる。天井部84bの先端部の前後端に位置決め片84bpが突出している。図5に示すように、飛翔体20のうち座台本体42とは反対側に飛翔体側凸部22が突出している。左右の位置決め片84bpは、前後方向に位置ずれしている。一対の分割ホルダ82が拘束位置に位置する状態で、左右の位置決め片84bpが前後に離れて位置する。これにより、一対の分割ホルダ82のうちの合せ目に、飛翔体側凸部22を受入れる位置決め凹部82gが形成される。図3に示すように、飛翔体側凸部22が一対の分割ホルダ82の位置決め片84bpによって前後方向に挟まれることで、飛翔体20が前後方向において位置決めされる。
【0081】
天井部84bから内側に向けて飛翔体位置決め部84pが突出している。一対の分割ホルダ82が拘束位置に位置する状態で、飛翔体位置決め部84pが飛翔体20の左右両側部に斜め上方から接することができる。これにより、飛翔体20が座台本体42に向けて押付けられると共に、左右方向において一定位置に支持される。
【0082】
本実施形態では、一方の分割ホルダ82のうち天井部84bの先端部の前寄りの位置に、前後方向に離れて位置する一対の支点部81が設けられている。ホルダ80は、座台本体42に対して飛翔体20を介して対向する位置に設けられたコネクタ38を有している。一対の分割ホルダ82が拘束位置に位置する状態で、一対の支点部81は、座台40の幅方向中央位置で天井部84bの先端部から上方向に突出している。中間伝達部96が一方の支点部81を支持点として揺動することで、コネクタ38がコネクタ24から抜かれる。
【0083】
分割ホルダ82の基端部のうち前後方向に離れた2箇所から回動支持部83が突出している。2つの回動支持部83は、ホルダ支持部47の前後位置に配置される。軸47Sが2つの回動支持部83及びホルダ支持部47を前後方向に貫通することで、座台40に対して分割ホルダ82が回動可能に支持される。
【0084】
規制用延長部86は、回動支持部83から側板部84aとは反対側に延出している。分割ホルダ82が拘束位置に位置する状態で、規制用延長部86は、凹部44S、45S内に入り込み、凹部44S、45Sの幅方向奥側側面と左右方向において対向する位置に配置される。分割ホルダ82が拘束位置に位置する状態で、規制用延長部86が幅方向内側に移動しないように規制することで、分割ホルダ82が拘束位置に維持される。
【0085】
なお、本実施形態では、規制用延長部86の内向き部分に、リンク要素62を受入れる凹部86gが形成されている。分割ホルダ82が拘束位置に位置する状態で、凹部86gは、下端よりも上側部分が凹む形状に形成されており、リンク要素62の先端部が凹部86gに嵌った状態で、下方に滑り落ち難くなっている。
【0086】
ホルダ80は、拘束位置から解放位置に向けて付勢する付勢体88によって付勢されていてもよい。付勢体88は、例えば、座台本体42に対して分割ホルダ82を開く方向に付勢するように、上記軸47Sに外嵌めされた捻りコイルバネであってもよい。付勢体は当該例に限られず、その他、座台とホルダとの間にホルダを開く方向に付勢するように圧縮状態又は伸張状態で介在するコイルバネであってもよい。付勢体は板ばね、ゴム等であってもよい。
【0087】
ここで、コネクタ38を、コネクタ24から抜くための構成について説明する。図11及び図12は飛翔体20が載置された座台40を示す側面図である。図11は初期状態を示し、図12はコネクタ38が抜かれた状態を示している。
【0088】
図3図5図11及び図12に示すように、飛翔体20のうち座台本体42とは反対側にコネクタ24が設けられている。コネクタ24は、ホルダ80よりも前方に離れて位置している。
【0089】
ホルダ80は、コネクタ38を有している。コネクタ38は、座台本体42に対して飛翔体20を介して対向する位置に設けられている。本実施形態では、コネクタ38は、コネクタ24に対して上下の接続方向で接続されている。コネクタ38とコネクタ24とを上下方向に離すと、両コネクタ24、38の接続状態が解除される。
【0090】
例えば、コネクタ38は、アンビリカルケーブル37を介して飛翔体発射システム30におけるコンピュータに接続されている。上記したように、コンピュータは、発射指令装置34であってもよい。飛翔体20の飛翔動作に関する制御情報が当該コンピュータによって生成され、当該制御情報がコネクタ24、38を介して飛翔体20に与えられる。発射後においては、コネクタ24、38の接続は不要となる。したがって、飛翔体20と座台40との円滑な分離を促進するため、コネクタ38をコネクタ24から抜いておいてもよい。なお、飛翔体発射システム30におけるコンピュータとコネクタ38間の物理的な接続解除は、座台40の移動等を利用した別途の分離構造によって実現されるとよい。
【0091】
座台40は、アンビリカルコネクタ分離機構90を備えている。アンビリカルコネクタ分離機構90は、引張り力伝達部92と、中間伝達部96とを含む。
【0092】
引張り力伝達部92は、メインレバー50が待機位置から斜め位置に回動することで引っ張られる部分である。より具体的には、引張り力伝達部92は、伝達支持フレーム93と、伝達ワイヤ95とを備える。
【0093】
伝達支持フレーム93は、第1長尺部93aと、当該第1長尺部93aに対して曲った状態で連なる第2長尺部93bとを備える。本実施形態では、第1長尺部93aと第2長尺部93bとは直角をなしており、伝達支持フレーム93全体としてL字状をなしている。
【0094】
分割ホルダ82は、第1長尺部93aを上下方向に沿って移動可能に支持する可動支持体94を備える。本実施形態では、分割ホルダ82の側板部84aの前縁に可動支持体94が位置する。可動支持体94に上下方向に沿って支持貫通孔94hが形成されている。第1長尺部93aが支持貫通孔94hに上から挿入されることで、第1長尺部93aが上下方向に沿って移動可能に支持される。
【0095】
第1長尺部93aの上端が可動支持体94の上方に突出している。第2長尺部93bが第1長尺部93aの上端から幅方向内側に向い、一対の分割ホルダ82の合せ目の前側に向っている。第2長尺部93bの先端は、上記一対の支点部81の間に位置している。
【0096】
第2長尺部93bの先端に、中間伝達部96を回動可能に支持する支持部93cが設けられている。
【0097】
伝達ワイヤ95の一端はメインレバー50の長手方向中間部に連結されている。伝達ワイヤ95の他端は支持貫通孔94hの下方開口を通って当該支持貫通孔94hに導かれる。伝達ワイヤ95の他端は、支持貫通孔94h内で第1長尺部93aの下端に連結されている。そしてメインレバー50が待機位置から斜め位置に回動すると、伝達ワイヤ95が下方に引っ張られ、伝達支持フレーム93も下方に引っ張られる。これにより、第2長尺部93bの先端の支持部93cが一対の支点部81間において下方に移動する。
【0098】
中間伝達部96は、引張り力伝達部92が引っ張られると、コネクタ38を飛翔体20から離れる方向に移動させる。
【0099】
ここでは、中間伝達部96は長尺部材である。中間伝達部96の一端は上記支持部93cに対して左右方向に沿う軸周りに回動可能に支持されている。中間伝達部96は支持部93cから前方に向い、前側の支点部81上を通ってさらに前側に延びる。中間伝達部96の前端にコネクタ38が支持されている。
【0100】
図11に示すように、初期状態においては、中間伝達部96のうちコネクタ38を支持する前端は、支持部93cによって支持された後端よりも下がっている。この状態において、コネクタ38がコネクタ24に接続されている。
【0101】
座台40が飛翔体20と共に航空機10から発射された後、メインレバー50が待機位置から斜め位置に回動すると、上記引張り力伝達部92が下方に引っ張られ、中間伝達部96のうち支持部93cによって支持された後端が下がる。中間伝達部96の延在方向中間部が前側の支点部81によって支持されているので、当該支持箇所を支点として中間伝達部96がその前端を上に変位させるように揺動する。すると、コネクタ38がコネクタ24に対して上に移動する。これにより、図12に示すように、コネクタ38がコネクタ24に対して引抜かれる。
【0102】
本実施形態では、追加中間伝達部97が設けられる。追加中間伝達部97は長尺部材である。追加中間伝達部97の一端は上記支持部93cに対して左右方向に沿う軸周りに回動可能に支持されている。追加中間伝達部97は支持部93cから後方に向い、後側の支点部81上を通ってさらに後側に延びる。追加中間伝達部97の後端にアーミングワイヤWAが支持されている。
【0103】
アーミングワイヤWAは、飛翔体20に挿入されているワイヤである。例えば、アーミングワイヤWAが飛翔体20に挿入されている状態では、飛翔体20が持つ機能の少なくとも一部が実現不能な状態となる。アーミングワイヤWAが飛翔体20から引抜かれた状態では、飛翔体20が持つ機能の少なくとも一部が実現可能な状態となることが想定される。
【0104】
アーミングワイヤWAの一端部は飛翔体20に挿入されており、アーミングワイヤWAの他端部は飛翔体20から上方に出て上記追加中間伝達部97の後端に支持されている。
【0105】
図11に示すように、初期状態においては、追加中間伝達部97のうちアーミングワイヤWAを支持する後端は、支持部93cによって支持された前端よりも下がっている。この状態において、アーミングワイヤWAの一端が飛翔体20に挿入された状態となっている。
【0106】
座台40が飛翔体20と共に航空機10から発射された後、メインレバー50が待機位置から斜め位置に回動すると、上記引張り力伝達部92が下方に引っ張られ、追加中間伝達部97のうち支持部93cによって支持された前端が下がる。追加中間伝達部97の延在方向中間部が後側の支点部81によって支持されているので、当該支持箇所を支点として追加中間伝達部97がその後端を上に変位させるように揺動する。すると、アーミングワイヤWAが飛翔体20から上方に引抜かれる。
【0107】
上記座台40が後側の支点部81、追加中間伝達部97及びアーミングワイヤWAを備えることは必須ではない。
【0108】
ホルダ規制機構60について説明する。図6図7図9及び図10に示すように、ホルダ規制機構60は、規制位置から規制解除位置に向けて位置変更可能に構成されている。規制位置では、ホルダ規制機構60は、ホルダ80を拘束位置に留める。規制解除位置では、ホルダ規制機構60は、ホルダ80が拘束位置から解放位置に位置変更するのを許容する状態となる。
【0109】
ホルダ規制機構60は、例えば、リンク回動軸63を介して連結された複数のリンク要素61、62を含み、複数のリンク要素61、62が座台本体42とホルダ80との間に介在した状態でオーバーセンタ状態となってホルダ80を拘束位置に留めるオーバーセンタリンク機構64を備えてもよい。
【0110】
ここで、一般的なオーバーセンタリンク機構とは、複数のリンク要素を回動軸によって連結されるリンクが、リンク要素の曲げ状態に応じて第1状態と第2状態とをとることができる。なお、ここでのリンク要素の曲げ状態とは、連結されるリンク要素間における曲げ状態、即ち、前記回動軸周りのリンク要素の回転状態であり、個々のリンク要素自体の変形を意味するものでは無い。オーバーセンタリンク機構を第1状態から第2状態に移行させるために力を加えてリンク要素等の部品を変位させる場合、変位があるピーク位置を超えると第2状態に移行し、変位がピーク位置に達しなければ第1状態に戻る。本実施形態では、規制用延長部86の凹部86gを座台本体42の内側に移動しようとしたときに、第1状態ではリンク回動軸63が上方に移動しようとし、第2状態ではリンク回動軸63が下方に移動しようとする。
【0111】
本実施形態では、ホルダ規制機構60は、2つのリンク要素61、62を含む。2つのリンク要素61、62が座台本体42とホルダ80との間に介在した状態でオーバーセンタ状態となってホルダ80を拘束位置に留める。
【0112】
本実施形態におけるオーバーセンタリンク機構64は、2つのリンク要素61、62を前提とし、2つのリンク要素61、61が一直線に並ぶ状態で圧縮方向に力が加わる構成を有する。オーバーセンタリンク機構64は、2つのリンク要素61、62が直線状態を越えて曲ると、反対側に戻るように曲り難くなる。オーバーセンタリンク機構64は、この特徴を利用して、2つのリンク要素61、62の曲げ状態を一定に保つ構成である。かかるオーバーセンタリンク機構64が拘束位置の分割ホルダ82の規制用延長部86と座台本体42との間に介在することで、分割ホルダ82が拘束位置に留められる。
【0113】
より具体的には、リンク要素61は、長尺部材であり、リンク要素61の一端が座台本体42の凹部44Sの軸支片44Pによって回動可能に支持される。リンク要素61の回動軸は、前後方向に沿っている。リンク要素61は、軸支片44Pから凹部44S内において外側に向う姿勢と、軸支片44Pから凹部44Sを出て下方に向う姿勢との間で回動可能である。なお、凹部45Sの軸支片45P及び凹部45Sについても同様である。以降の記述では、凹部44Sの軸支片44P及び凹部44Sを代表に説明を行う。
【0114】
リンク要素62は、長尺部材であり、リンク要素62の一端がリンク要素61の他端にリンク回動軸63を介して回動可能に連結されている。リンク回動軸63は、前後方向に沿っている。
【0115】
初期状態では、リンク要素61の一端が軸支片44Pによって座台本体42に対して一定位置に支持されている。リンク要素62の他端は、分割ホルダ82の規制用延長部86の凹部86gに接した状態となっている。リンク要素61、62が直線状態とされた状態で、リンク要素61の一端の軸支位置とリンク要素62の先端部との距離をリンク長さとする。座台本体42において軸支片44Pの軸支位置と凹部86gの内面との距離をリンク支持長さとする。リンク長さは、リンク支持長さよりも大きい。よって、初期状態では、リンク要素61、62のリンク回動軸63の中心が、リンク要素61の軸支位置とリンク要素62が凹部86gに最も強く押付けられる位置とを結ぶ仮想センターラインSを越えて拘束角度に曲っている。図9図13及び図14において仮想センターラインSが点線で示される。ここでは、リンク要素61、62は、上向きに凸となるように曲っており、曲った部分が連結板部46の下面に当っている。よって、拘束角度は、リンク要素61、62の曲った部分が連結板部46の下面に当る角度である。リンク要素61、62が第1状態となり、連結板部46の下面にあたっている状態が、ホルダ規制機構60が規制位置に位置する状態である。つまり、第1状態は、リンク回動軸63が仮想センターラインSより上に位置する状態であり、第2状態はリンク回動軸63が仮想センターラインSより下に位置する状態である。
【0116】
第1状態では、リンク要素61、62は拘束角度をさらに小さくするように曲り難く、また逆方向にも曲り難い状態である。第1状態では、規制用延長部86が座台本体42の内側に移動しようとすると、リンク要素61、62はリンク回動軸63が連結板部46の下面に押し付けられる方向に曲がろうとする。しかし、連結板部46の下面によってリンク回動軸63の移動が妨げられる。これにより、分割ホルダ82が拘束位置に維持される。
【0117】
リンク要素61、62が連結板部46ではない他の部分に当ることによって、拘束角度が規制されてもよい。例えば、リンク要素61、62の少なくとも一方に他方に当って拘束角度を規制する片が設けられてもよい。
【0118】
このホルダ規制機構60では、リンク回動軸63に力が加わり、リンク回動軸63が仮想センターラインSを下に越えるまで移動すると、リンク要素61、62が下側に凸となる方向に曲って第2状態に移行する。リンク要素61、62が第2状態となっている状態が、ホルダ規制機構60が規制解除位置に位置する状態である。第2状態では、規制用延長部86が座台本体42の内側に移動しようとすると、リンク要素61、62はリンク回動軸63が連結板部46の下面から離れる方向に曲がろうとする。これにより、ホルダ規制機構60が座台本体42と規制用延長部86との間に介在する状態から脱する。すると、規制用延長部86は座台本体42の内側に容易に移動でき、分割ホルダ82が開くことができる。
【0119】
本実施形態では、座台本体42において前後方向に2つの凹部44S、45Sが形成されており、前後複数の凹部44S、45Sのそれぞれにオーバーセンタリンク機構64が配置されている。前後方向に複数のオーバーセンタリンク機構64のうちの1つを第1隣接オーバーセンタリンク機構、他の1つの第2隣接オーバーセンタリンク機構と称してもよい。例えば、前側のオーバーセンタリンク機構64を第1隣接オーバーセンタリンク機構、後側のオーバーセンタリンク機構64を第2隣接オーバーセンタリンク機構と称してもよい。
【0120】
図10に示すように、前側のオーバーセンタリンク機構64のリンク回動軸63と、後側のオーバーセンタリンク機構64のリンク回動軸63とは、同一直線上に位置しており、それらの前後のリンク回動軸63が連結軸63Eによって連結されている。連結軸63Eは、前後のリンク回動軸63を結ぶように前後方向に沿って延びている。図7に示すように、連結軸63Eは、溝47S1内で座台本体42の上下方向に移動することができる。
【0121】
このため、連結軸63Eを下方に押すと、図15に示すように前後のリンク回動軸63に一括して下方に移動させる力を作用させることができる。
【0122】
また、本実施形態では、座台本体42において左右一対の凹部44Sが形成されており、左右一対の凹部44Sのそれぞれにオーバーセンタリンク機構64が配置されている。左右のオーバーセンタリンク機構64のうちの一方を、第1対向オーバーセンタリンク機構、他方を第2対向オーバーセンタリンク機構と称してもよい。例えば、右側のオーバーセンタリンク機構64を第1対向オーバーセンタリンク機構、左側のオーバーセンタリンク機構64を第2対向オーバーセンタリンク機構と称してもよい。
【0123】
右側のオーバーセンタリンク機構64のリンク回動軸63と、左側のオーバーセンタリンク機構64のリンク回動軸63とは、互いに平行である。右側のオーバーセンタリンク機構64のリンク回動軸63から上記連結軸63Eが突出しており、この点において、右側の連結軸63Eは、リンク回動軸63から突出する第1突出軸と把握されてもよい。また、左側のオーバーセンタリンク機構64のリンク回動軸63から上記連結軸63Eが突出しており、この点において、左側の連結軸63Eは、リンク回動軸63から突出する第2突出軸と把握されてもよい。
【0124】
右側の連結軸63Eと、左側の連結軸63Eとは互いに平行であり、後述する伝達バー79によって一括して左右の連結軸63Eに力が伝達される。
【0125】
また、座台40は、楔部59を備える。楔部59は、ホルダ規制機構60が規制位置に位置する状態で、オーバーセンタリンク機構64と座台本体42との間に介在する部分である。図7に示すように、本実施形態では、メインレバー50の縦長尺部51から座台本体42側に突出するように楔部59が設けられている。楔部59の先端部のうち凹部44S、45Sの奥側の面に当る内向き部分は当該面形状に応じて平面となっている。楔部59の先端部のうちリンク要素61に当る外向き部分はリンク要素61の端部表面形状に応じて弧状曲面形状となっていてもよい。
【0126】
メインレバー50が座台本体42に対して規制位置に位置し、かつ、リンク要素61、62が座台本体42と規制用延長部86との間に第1状態で介在する状態では、楔部59がリンク要素61と凹部44S、45Sの奥側の面との間に押込まれた状態となっている。これにより、ホルダ規制機構60の遊びが、楔部59が押込まれた部分に寄せられるので、リンク要素61、62が第2状態へと状態変更する遊びが抑制される。もって、ホルダ規制機構60が規制位置に位置する状態に保たれ易くなる。
【0127】
そして、メインレバー50が座台本体42に対して斜め位置に回動すると、楔部59が座台本体42とリンク要素61との間から下方に離脱する。これにより、ホルダ規制機構60に遊びが復活する。
【0128】
座台40は、上記楔部59に代えて又は加えて、リンク要素62と規制用延長部86との間に介在する楔部を備えてもよい。
【0129】
伝達機構70について説明する。図9及び図10に示すように、伝達機構70は、メインレバー50が斜め位置に向かう力を、ホルダ規制機構60を規制位置から規制解除位置に位置変更させる力としてホルダ規制機構60に伝達する。
【0130】
本実施形態では、伝達機構70は、伝達軸72と、伝達レバー74とを含む。
【0131】
伝達軸72は、メインレバー50の回動に伴って回動するシャフトである。例えば、伝達軸72は、連結板部46上であって、スリット44S1、44S2の前寄りの位置に回転可能に支持されている。伝達軸72は、左右方向に沿っている。
【0132】
メインレバー50の回動は、メインレバーリンク機構76を介して伝達軸72に伝達される。メインレバーリンク機構76は、第1伝達用リンク要素76aと第2伝達用リンク要素76bとを含む。第1伝達用リンク要素76aは長尺部材であり、メインレバー50に回動可能に連結されている。例えば、第1伝達用リンク要素76aの一端が前連結部52Fの後側の横連結部52に回動可能に連結される。第2伝達用リンク要素76bは長尺部材であり、第2伝達用リンク要素76bの一端は、伝達軸72の回転と一緒に回動するように、伝達軸72に連結されている。第1伝達用リンク要素76aが第2伝達用リンク要素76bに連結されている。第1伝達用リンク要素76aと第2伝達用リンク要素76bとは直接連結されてもよいし、他のリンク要素等を介して間接的に連結されてもよい。図10に示すように、本実施形態では、第1伝達用リンク要素76aは、中継リンク要素76cを介して第2伝達用リンク要素76bに連結されている。
【0133】
メインレバーリンク機構76は、スリット44S1を通って座台本体42の上下を貫通するように配置される。
【0134】
初期状態では、第2伝達用リンク要素76bは、伝達軸72から後方に延びている。中継リンク要素76cは、第2伝達用リンク要素76bの後端からスリット44S1内を通って下方向に延びて、第1伝達用リンク要素76aの後端部に連結されている。
【0135】
そして、メインレバー50が待機位置から斜め位置に移動すると、第1伝達用リンク要素76aが下方に移動し、中継リンク要素76cが下方に引っ張られ、第2伝達用リンク要素76bの後端が下がる。これにより、メインレバー50の回動に伴って伝達軸72が回動する。
【0136】
なお、メインレバーの回動は、ギヤ又はワイヤ等を介して伝達軸に伝達されてもよい。
【0137】
伝達レバー74は、伝達軸72からその軸方向に対して交差する方向、ここでは、後方に向って突出している。そして、伝達軸72の回転に応じて伝達軸72周りに回転して、ホルダ規制機構60に力を伝達する。
【0138】
例えば、2つの伝達レバー74が、上記第2伝達用リンク要素76bの左右両側に設けられる。初期状態において、2つの伝達レバー74は、伝達軸72から後方に向って延びて、スリット44S2の上方に位置する。
【0139】
伝達レバー74のうち先端寄りの部分の下方に伝達バー79が配置される。伝達バー79は、左右の連結軸63Eに掛渡すように配置されている。より具体的には、左右の溝47S1に連結軸63Eが配置されており、当該左右の溝47S1の前後方向中間部に交差する溝47S2に左右方向に沿って伝達バー79が配置される。
【0140】
伝達バー79の両端は、連結軸63Eの前後方向中間部に載置支持されている。伝達バー79の両端の下部には、連結軸63Eが嵌る凹部が形成されていてもよい。
【0141】
初期状態では、伝達レバー74は、伝達バー79よりも上、例えば、連結板部46の上面よりも上に位置している。伝達バー79は、伝達レバー74により下方に押えられない位置、例えば、連結板部46の下面よりも下に位置している。
【0142】
そして、メインレバー50の回動によって伝達軸72が回転すると、伝達レバー74が回動する。これにより、伝達レバー74がスリット44S2を通って下方に移動し、伝達バー79を下方に押す。すると、伝達バー79は、左右の連結軸63Eを一括して下方に押す。
【0143】
本実施形態では、メインレバー50の回動による回動開始後に遅れて伝達レバー74を回転させる。そのための構成については、後に説明する。
【0144】
座台40及び飛翔体20が航空機10から発射された後の動作について説明する。
【0145】
飛翔体20及び座台40が航空機10に搭載されている初期状態においては、図7及び図9に示すように、メインレバー50が座台本体42に対して待機位置に位置し、ホルダ80が拘束位置に位置し、ホルダ規制機構60が規制位置に位置する状態となっている。このため、ホルダ80は拘束位置に位置する状態に保たれている。また、メインレバーロックバー58は、図8に示すように、メインレバー規制位置に位置しており、メインレバー50は待機位置に位置するように保たれている。
【0146】
さらに、コネクタ38がコネクタ24に接続されると共に、アーミングワイヤWAが飛翔体20に挿入された状態となっている。
【0147】
抽出傘28はワイヤ28Wを介して抽出傘連結部55に連結されている。抽出傘28は、放出部33に格納されている。
【0148】
発射指令装置34の指令に応じて放出部33から抽出傘28が放出される。抽出傘28は、荷室13の後方開口を通って機体12の後方に出て、大気中で展開する。すると、抽出傘28は、座台40及び飛翔体20を航空機10の後方に引っ張り出す。
【0149】
なお、荷室13のフロアには、滑体41及び縦長尺部51をガイドするガイド体が設けられてもよい。座台40は、当該ガイド体によって安定した経路を通って荷室13の後方に移動する。ガイド体は、例えば、複数のローラにより構成されてもよい。
【0150】
図18に示すように、荷室13のフロアには、ストッパ装置35が設けられる。ストッパ装置35は、ストッパ35aと、当該ストッパ35aを移動させるアクチュエータ35bを含む。初期状態では、ストッパ35aが座台40の後方に位置しており、座台40の後方への移動を規制している。上記抽出傘28の放出に合わせて、発射指令装置34からストッパ装置35に指令が与えられ、ストッパ35aが座台40の後方から退避移動する。アクチュエータは、例えば、油圧シリンダ等の流体シリンダ又は電動アクチュエータであってもよい。
【0151】
また、荷室13のフロアには、メインレバー切替部36が設けられてもよい。メインレバー切替部36は、切替作動片36aと、当該切替作動片36aを移動させるアクチュエータ36bとを含む。切替作動片36aは、切替位置と切替回避位置との間で移動可能である。アクチュエータ36bは、例えば、油圧シリンダ等の流体シリンダ又は電動アクチュエータであってもよい。アクチュエータ36bの駆動によって切替作動片36aが移動する。
【0152】
切替位置は、格納部32から航空機10外に向けて移動する座台40の移動経路の途中に位置し、当該移動経路に沿って移動する座台40のメインレバーロックバー58に接触してメインレバーロックバー58の位置を切替える位置である。より具体的には、切替位置は、発射時の縦長尺部51の移動経路の隣であってロック受部49とは反対側の位置である。メインレバーロックバー58がメインレバー規制位置に位置していると、発射時にメインレバーロックバー58の端部が切替位置の切替作動片36aに接する。これにより、切替作動片36aに対する座台40の発射方向への移動によって、メインレバーロックバー58の端部が座台40に対して相対的に前方に押され、メインレバーロックバー58が規制解除位置に移動する。
【0153】
切替回避位置は、上記移動経路に沿って移動する座台40のメインレバーロックバー58との接触を回避する位置である。より具体的には、切替回避位置は、上記切替位置から座台40の移動方向に対して交差する方向に離れる位置である。例えば、切替回避位置は、フロアの上面よりも下側の位置である。
【0154】
切替作動片36aが切替回避位置に位置していると、メインレバーロックバー58がメインレバー規制位置に位置していても、メインレバーロックバー58は切替作動片36aに接しない。このため、メインレバーロックバー58が規制位置に位置したまま、座台40及び飛翔体20が発射される。
【0155】
なお、切替作動片36aは、切替位置及び切替回避位置のいずれが初期状態であってもよい。
【0156】
上記抽出傘28の放出に合わせて、必要に応じて発射指令装置34によってアクチュエータ36bに指令が与えられて、切替作動片36aが切替位置又は切替回避位置に選択的に位置する状態となる。
【0157】
切替作動片36aが切替位置に位置していれば、座台40から飛翔体20が分離できる状態となり、切替作動片36aが切替回避位置に位置していれば、座台40から飛翔体20が分離できない状態となる。前者の場合、飛翔体20及び座台40は、抽出傘28によって航空機10から引出された後、分離する。そして、飛翔体20が飛翔し、座台40は落下していくことが想定される。後者の場合、飛翔体20及び座台40は、合体したまま抽出傘28によって航空機10から引出されて落下していくことが想定される。
【0158】
発射後に、座台40から飛翔体20が分離する動作について説明を続ける。
【0159】
抽出傘28によって、座台40が航空機10から引っ張り出される。図2の矢符P1に示すように、航空機10から引っ張り出された座台40及び飛翔体20は、一旦機首上げ状態となる。その後、図2の矢符P2に示すように、抽出傘28がさらに座台本体42の下部を引っ張り、座台本体42及び飛翔体20は機首下げ状態となる。座台本体42が機首下げ状態となるので、メインレバー50は、座台本体42に対して斜めとなる。
【0160】
座台本体42に対してメインレバー50が傾き始める第1途中段階で、コネクタ38がコネクタ24から抜かれる。
【0161】
すなわち、図12に示すように、メインレバー50が座台本体42に対して傾くことで、引張り力伝達部92が下方に引っ張られる。すると、中間伝達部96のうち支持部93cによって支持されている端部が下方に引っ張られる。これにより、中間伝達部96の前端のコネクタ38が上側に移動し、コネクタ24から引抜かれる。この際、アーミングワイヤWAも飛翔体20から引抜かれる。
【0162】
メインレバー50が座台本体42に対して斜めとなることで、図13に示すように、楔部59が座台本体42とリンク要素61との間から下方に離脱する。これにより、ホルダ規制機構60に遊びが復活し、リンク要素61、62が第1状態から第2状態に移行し易くなる。
【0163】
なお、コネクタ38が上方に移動するタイミングと、楔部59が下方に移動するタイミングは、同時であってもよし、前後にずれていてもよい。両タイミングはいずれが先であってもよい。
【0164】
抽出傘28がメインレバー50を介して座台本体42の支軸部48をさらに後方に引っ張ると、座台本体42がさらに大きく傾く。これにより、図5に示すように、座台本体42に対するメインレバー50の角度がさらに大きくなる第2途中段階となる。
【0165】
メインレバー50がさらに大きく傾くことで、横連結部52が座台本体42の下方に離れる。これにより、メインレバーリンク機構76が下方に引っ張られ、第1伝達用リンク要素76aの先端が下方に下がり、伝達軸72が回転する。つまり、メインレバー50の回転に応じて伝達軸72が回転する。
【0166】
伝達レバー74が伝達軸72に連結されており、伝達軸72の回転によって伝達レバー74が回動する。伝達軸72の回転に応じて伝達レバー74が回動するとは、伝達軸72の回転中の少なくとも一部で伝達レバー74が回動する場合を含む。伝達軸72の回転に遅れて伝達レバー74が回動することが好ましく、次の構成が採用されてもよい。
【0167】
すなわち、図16に示すように、伝達軸72は、周方向において部分的な凸部72Pを有している。凸部72Pは、伝達レバー74の隣に位置する。凸部72Pは、伝達軸72の上記回転方向前側に向く押圧面72Pfを有している。
【0168】
伝達レバー74に上記伝達軸72が挿通される挿通孔74hが形成されている。伝達レバー74のうち上記挿通孔74hの周りで部分的に位置する受部74Pが形成されている。受部74Pに、押圧面72Pfと対向可能な受面74Pfが形成されている。初期状態においては、押圧面72Pfと受面74Pfとは、伝達軸72の周方向において間隔をあけて配置されている。
【0169】
そして、メインレバー50の回動によって伝達軸72が回転すると、凸部72Pが回転し、押圧面72Pfが上記受面74Pfに接する。当該接触が生じるタイミングは、メインレバー50が待機位置から斜め位置に回動する途中である。これにより、伝達軸72が伝達レバー74を押し、伝達レバー74が回動し始める。
【0170】
伝達軸72の回転に遅れて伝達レバー74が回動することで、コネクタ24、38の接続解除がなされた適切なタイミングで、座台本体42から飛翔体20が分離することができる。
【0171】
なお、伝達レバーが伝達軸72に対して一緒に回転するように連結されていてもよい。この場合、第2伝達用リンク要素76bが伝達軸72に対して貫通孔を介して相対回転可能に連結されると共に上記受部74Pに対応する受部が形成されてもよい。この場合、第2伝達用リンク要素76bが回動し始めが後の途中段階で、受部が伝達軸の凸部に当接する。これにより、メインレバーの回動開始後に遅れて伝達軸を回転させ、もって、遅れて伝達レバーを回動させることができる。
【0172】
なお、伝達レバー及び第2伝達用リンク要素76bの両方が伝達軸に対して一緒に回転するように連結されていてもよい。この場合でも、伝達レバーと伝達バーとの間に適切な間隔を設けることで、伝達軸の回転に遅れてホルダ規制機構の規制を解除できる。よって、メインレバー50の回動に伴って伝達軸72が回転するとは、メインレバー50が回動する少なくとも一部の動作中に伝達軸72が回転する場合を含む。
【0173】
図14及び図15に示すように、伝達レバー74が回動すると、伝達レバー74が伝達バー79を下方に押す。伝達バー79の両端は、左右の連結軸63E上に接している。このため、伝達バー79が押下げられると、左右の連結軸63Eが押下げられる。
【0174】
左の連結軸63Eは、左側の前後のリンク回動軸63に繋がっており、右の連結軸63Eは、右側の前後のリンク回動軸63に繋がっている。このため、前後左右の4つのオーバーセンタリンク機構64のリンク回動軸63が下方に押されて仮想センターラインSを越えるまで変位する。これにより、それぞれのオーバーセンタリンク機構64が上記第1状態から第2状態に移行する。これにより、ホルダ規制機構60は、ホルダ80が拘束位置から解放位置に位置変更するのを許容する状態となる。
【0175】
ホルダ規制機構60による規制が解除されると、図17に示すように、一対の分割ホルダ82が拘束位置から解放位置に移動する。なお、リンク要素61、62は、凹部44S、45Sから脱した状態となってもよい。一対の分割ホルダ82が解放位置に位置することで、飛翔体20を座台40上で拘束する状態が解かれ、飛翔体20は、座台40から分離できる状態となる。この後、飛翔体20は、座台40から離れて飛翔し、座台40は、そのまま落下していく。
【0176】
以上のように構成された座台40及び飛翔体発射システム30によると、抽出傘28によって座台40が飛翔体20と共に航空機10から発射される。発射後、抽出傘28は、メインレバー50を介して座台本体42の支軸部48を後方に引っ張るので、座台本体42は機首下げ状態となる。すると、メインレバー50は、座台本体42から見て斜め位置に向かうように回動する。この際、メインレバー50が座台40に対して相対的に斜め位置となる方向に向う力が、伝達機構70を介して、ホルダ規制機構60に伝達される。この際の力は、ホルダ規制機構60を規制位置から規制解除位置に位置変更させる力として、ホルダ規制機構60に作用する。これにより、ホルダ80が解放位置に位置変更でき、ホルダ80による飛翔体20の拘束状態が解除される。もって、座台40と飛翔体20との分離が発射後の適切なタイミングでなされる。
【0177】
分離のための電気的な制御装置等を座台40に搭載しなくてもよいので、低コスト化が可能であり、かつ、制御装置のアーキテクチャの秘匿性を保ち易い。
【0178】
また、ホルダ規制機構60は、ホルダ80を拘束位置に留めるオーバーセンタリンク機構64であれば、当該オーバーセンタリンク機構64がオーバーセンタ状態となることで、ホルダ80を拘束位置により確実に留めることができる。
【0179】
ホルダ規制機構60が、オーバーセンタリンク機構64として、前後の第1隣接オーバーセンタリンク機構と第2隣接オーバーセンタリンク機構とを含み、それらのリンク回動軸63が同一直線上に位置して、連結軸63Eによって連結されている。このため、複数のオーバーセンタリンク機構64が一括して動作し易い。本実施形態では、前後のオーバーセンタリンク機構64が一括して規制位置から規制解除位置に移動し易い。
【0180】
また、ホルダ規制機構60は、オーバーセンタリンク機構64として、左右の第1対向オーバーセンタリンク機構と第2対向オーバーセンタリンク機構とを含み、それらの左右のリンク回動軸63が互いに平行であり、左右のリンク回動軸63から第1突出軸及び第2突出軸として連結軸63Eが突出している。左右の連結軸63Eが互いに平行であり、伝達機構70は、左右の連結軸63Eに一括して力を伝達する伝達バー79を含む。このため、伝達バー79を移動させることで、左右の連結軸63Eを一括して移動させて、左右のオーバーセンタリンク機構64を一括して規制位置から規制解除位置に移動させ易い。
【0181】
また、伝達機構70は、メインレバー50の回動に伴って回転する伝達軸72と、当該伝達軸72の回転に応じて回動する伝達レバー74を含む。これにより、伝達軸72の回転によって伝達レバー74の先端を大きく変位させることができる。このため、伝達レバー74の大きな変位によって、オーバーセンタリンク機構64が規制位置から規制解除位置に位置変更し易い。
【0182】
また、伝達機構70は、第1伝達用リンク要素76aと第2伝達用リンク要素76bとを含むメインレバーリンク機構76を含むため、メインレバーリンク機構76の設置位置、要素76a、76bの長さ等によって、メインレバー50の回動に対する伝達軸72の回転量が容易に調整される。
【0183】
また、伝達軸72は、周方向において部分的な凸部72Pを有し、伝達レバー74が受部74Pを有している。そして、メインレバー50が回動し始めてから凸部72Pと受部74Pとが当って伝達レバー74を回動させて、ホルダ規制機構60を動作させることができる。これにより、メインレバー50の回動開始後に遅れて、ホルダ規制機構60を規制解除位置に位置させることが容易となる。メインレバーリンク機構76に受部74Pに対応する受部が設けられても、同様の効果が得られる。
【0184】
また、ホルダ規制機構60が規制位置に位置する状態で、楔部59がオーバーセンタリンク機構64と座台本体42又はホルダ80との間に介在する。楔部59によって、オーバーセンタリンク機構64の各部の遊びの部分が寄せられて回動を許す空間がなくなることで、ホルダ規制機構60が規制位置に位置する状態に保たれ易くなる。メインレバー50が回動すると、楔部59が上記間から離脱する。すると、オーバーセンタリンク機構64の各部の遊びの部分が復活し、規制解除位置に位置し易くなる。
【0185】
また、付勢体88によって、ホルダ80が拘束位置から解放位置に向けて付勢されている。これにより、ホルダ80がより確実に解放位置に向けて移動する。
【0186】
一対の分割ホルダ82が、それらの合せ目に位置決め凹部82gを有している。このため、飛翔体20の飛翔体側凸部22が当該位置決め凹部82gに嵌ることによって、飛翔体20が座台本体42上で一定位置に保持され易い。
【0187】
また、分割ホルダ82が位置決め凹部82gを形成し、かつ、飛翔体位置決め部84pを有している。よって、一対の分割ホルダ82が座台本体42上の飛翔体20を、前後左右に方向に位置決めし、かつ、座台本体42から離れないように位置決めしている。このため、飛翔体20の大きさ、形状が当初の設計から変更された場合でも、座台本体42については当初の設計のまま、分割ホルダを変更することで、当該飛翔体の変更に容易に対応できる。
【0188】
また、座台本体42に対してメインレバー50が回動すると、引張り力伝達部92が引っ張られて中間伝達部96がコネクタ38をコネクタ24から引抜いて分離させる。このため、メインレバー50の回動によって、コネクタ38を、飛翔体20から分離させることができる。
【0189】
メインレバー50の開度に応じてコネクタ38が引っ張られる構成であるため、コネクタ38からの飛翔体20の分離タイミングと、コネクタ38の分離タイミングとの調整が容易である。例えば、コネクタ38の分離後に、飛翔体20が分離されるようにする調整が容易である。
【0190】
また、座台40は、メインレバー規制位置とメインレバー規制解除位置との間で位置変更可能なメインレバーロックバー58を備える。このため、座台40が飛翔体20と共に発射されるときに、メインレバーロックバー58の位置調整によって、メインレバーを待機位置に保って飛翔体20が分離されないようにすることもできるし、メインレバー50を斜め位置に移動可能にして飛翔体20が分離できるようにもできる。
【0191】
また、この飛翔体発射システム30によると、発射指令装置34の指令に応じて抽出傘28を抽出すると、抽出傘28の引張り力によって、が座台40及び飛翔体発射システム30が格納部32から容易に発射される。
【0192】
また、飛翔体発射システム30が、メインレバー切替部36を備えており、座台40及び飛翔体20の発射時に、発射指令装置34がメインレバー切替部36を制御することによって、メインレバーロックバー58の位置を切替える。このため、座台40及び飛翔体20の発射時に、座台40と飛翔体20とを分離させるかどうかを制御して、当該発射を行うことができる。
【0193】
{第2実施形態}
第2実施形態に係る飛翔体発射システムについて説明する。図19は第2実施形態に係る飛翔体発射システム130を示す説明図である。なお、本第2実施形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0194】
この飛翔体発射システム30の格納部132は、前後方向に2つの座台40及び飛翔体20を備えている。後方の座台40及び飛翔体20は、第1実施形態で説明したのと同様構成によって発射される。即ち、後方の座台40を引出す抽出傘28が放出部33に格納されている。当該放出部33から抽出傘28が放出されることによって、後方の座台40及び飛翔体20が格納部132の後方に引出される。なお、座台40及び飛翔体20は、前後方向に3つ以上備えられていてもよい。
【0195】
前方の座台40に連結された抽出傘28は、後方の座台40によって支持されている。後方の座台40による抽出傘28の支持力は、後方の座台40の後方移動時には、当該抽出傘28を一緒に後方に移動させることができ、かつ、停止している前方の座台40と後方に発射される座台40との間にワイヤ28Wを介してテンションが作用すると、当該テンションによって前方用の抽出傘28と後方の座台40とが分離できる程度に設定されている。そのような支持力は、例えば、接着剤による固定力の調整、若しくは、ブラケット又はねじの形状設計による破壊強度の調整等によって設定され得る。
【0196】
第2実施形態によると、後方の座台40及び飛翔体20については、(a)、(b)、(c)に示すよう状態のように、上記第1実施形態と同様に発射される。
【0197】
前方の座台40及び飛翔体20の出射動作について説明する。(b)に示すように、後方の座台40の発射時に、当該座台40の前端部に支持された抽出傘28が当該座台40と共に格納部132の後方に引出される。
【0198】
(c)に示すように、後方の座台40がさらに後方に移動し、前方の座台40と後方の座台40との間でワイヤ28Wに張力が作用する状態になると、抽出傘28が後方の座台40から分離する。抽出傘28は、大気中で展開する。
【0199】
(d)に示すように、展開した抽出傘28は、前方の座台40を飛翔体20と共に後方に引っ張る。これにより、前方の座台40及び飛翔体20も、格納部32の後方に引出され、後方の座台40及び飛翔体20と同様に航空機10に発射される。
【0200】
{第3実施形態}
第3実施形態に係る飛翔体用座台240について説明する。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号が付されてその説明が省略される場合がある。また、本実施形態に係る飛翔体用座台240については、第1実施形態に係る飛翔体用座台40との相違点が中心に説明される。
【0201】
図20は飛翔体220及び飛翔体用座台240を示す斜視図である。図21は飛翔体用座台240の部分斜視図である。図22は飛翔体220が飛翔体用座台240から分離した状態を示す斜視図である。図23は飛翔体用座台240を示す部分分解斜視図である。
【0202】
飛翔体用座台240は、飛翔体用座台40と同様に、航空機10から飛翔体220と共に発射される。
【0203】
飛翔体220は、飛翔体20と同様に細長い形状である。飛翔体20との相違点を説明すると、飛翔体220は、係止対象部222を含む。係止対象部222は、飛翔体用座台240のホルダ280が係止する部分である。例えば、係止対象部222は、飛翔体220から突出する部分であってもよい。本実施形態では、係止対象部222は、図22図26および図27に示すように、一対の側部222aと、棒状部222bとを含む。一対の側部222aは、飛翔体220の幅方向において離れた位置で、飛翔体220の本体から突出する。棒状部222bは、飛翔体220の幅方向に沿って延び、一対の側部222aの先端部を連結する。棒状部222bは、飛翔体220の本体から離れて位置する。ホルダ280は、飛翔体220の本体と棒状部222bとの間に入り込んで、棒状部222bに係止する。
【0204】
係止対象部222は上記形状でなくてもよい。係止対象部は、飛翔体用座台側のフックが係止できる形状であればよい。例えば、上記係止対象部222の棒状部222bが飛翔体220の長手方向に沿っていてもよい。また、例えば、係止対象部は、飛翔体の本体からT字状またはL字状に突出する形状であってもよい。
【0205】
上記係止対象部222は、飛翔体220の本体の長手方向中間部に位置する。なお、係止対象部222の位置は飛翔体220の本体の長手方向中間部に限られず、飛翔体220の長手方向における重心付近に位置すればよい。飛翔体220は、複数の係止対象部222を備えてもよい。本実施形態では、飛翔体220は、2つの係止対象部222を備える。2つの係止対象部222は、飛翔体用座台240との長手方向において離れて位置する。飛翔体220の長手方向において離れた位置の係止対象部222によって、飛翔体用座台240上に飛翔体220が支持される。このため、飛翔体用座台240に対する飛翔体220の位置及び姿勢が安定し易い。
【0206】
また、本実施形態では、係止対象部222は、飛翔体220の幅方向中央に位置する。複数の係止対象部が飛翔体の幅方向において離れて位置してもよい。
【0207】
飛翔体220が飛翔体用座台240上に支持されたとき、係止対象部222は、飛翔体用座台240側に配置される。つまり、係止対象部222は、飛翔体用座台240側を向く。
【0208】
飛翔体側アンビリカルコネクタ24は、飛翔体220の周りにおいて係止対象部222と同じ側に位置する。つまり、飛翔体220が飛翔体用座台240上に支持されたとき、コネクタ24は、飛翔体用座台240側に配置される。つまり、コネクタ24は、係止対象部222と同じく、飛翔体用座台240側を向く。本実施形態では、コネクタ24は、飛翔体220の本体の長手方向において、係止対象部222よりも後側に位置する。飛翔体側アンビリカルコネクタは、係止対象部よりも前側に位置していてもよいし、複数の係止対象部222の間に位置していてもよい。
【0209】
アーミングワイヤWAが、飛翔体220に挿入されている。アーミングワイヤWAの一端部は、飛翔体220の周りのうち係止対象部222と同じ側の部分に挿入されている。アーミングワイヤWAの他端部は、飛翔体220から係止対象部222と同じ側に延出している。つまり、飛翔体220が飛翔体用座台240上に支持されたとき、アーミングワイヤWAも、係止対象部222及びコネクタ24と同様に、飛翔体用座台240側に延出する。本実施形態では、アーミングワイヤWAは、飛翔体220の幅方向中央からずれた位置、ここでは、左側にずれて位置する。ただし、アーミングワイヤWAの延出位置は、例えば飛翔体220の幅方向中央であってもよい。
【0210】
飛翔体用座台240は、上記飛翔体用座台40と同様に飛翔体220を支持する座台である。以下、単に座台240という場合がある。座台240は、座台本体242と、ホルダ280と、メインレバー250と、ホルダ規制機構260と、伝達機構270と、抽出傘28とを備える。
【0211】
座台本体242は、飛翔体220の長手方向に沿って延びる長尺形状に形成されている。座台本体242は、一方主面側に飛翔体220を支持する支持面246fを有する。ここで、一方主面は、座台本体242に対して飛翔体220が配置される側の面である。
【0212】
ホルダ280は、ホルダ80と同様に、飛翔体220を座台本体242上で拘束する。ホルダ280は、座台本体242に支持されている。ホルダ280は、座台本体242に対して拘束位置から解放位置に向けて位置変更する。但し、ホルダ280は、ホルダ80とは異なり、飛翔体220を座台本体242側から拘束する。
【0213】
メインレバー250は、メインレバー50と同様に、長尺形状に形成されている。メインレバー250は、回動支持部254と、抽出傘連結部255とを含む。回動支持部254は回動支持部54に、抽出傘連結部255は抽出傘連結部55にそれぞれ対応する。
【0214】
メインレバー250が待機位置に位置する座台状態が図20の実線、図21及び図22に示される。メインレバー250が斜め位置に位置する状態が図10の2点鎖線及び図23に示される。
【0215】
ホルダ規制機構260は、ホルダ280を拘束位置に留めるように規制する機構である。ホルダ規制機構260による規制が解除されると、ホルダ280は、拘束位置から解放位置に位置変更する。ホルダ280がホルダ80の構成と異なることに応じて、ホルダ規制機構260の構成は、ホルダ規制機構60の構成とは異なっている。
【0216】
伝達機構270は、伝達機構70と同様に、メインレバー250が斜め位置に向う力を、ホルダ規制機構260を規制解除状態にする力としてホルダ規制機構260に伝達する機構である。
【0217】
抽出傘28に係る構成は、第1実施形態で説明された抽出傘28と同じである。
【0218】
第1実施形態と同様に、初期状態では、ホルダ280が飛翔体220を拘束しており、当該拘束状態がホルダ規制機構260によって維持されている。飛翔体220が座台240と共に航空機10から発射されると、展開した抽出傘28によって抽出傘連結部255が引っ張られる。抽出傘連結部255が引っ張られることによってメインレバー250を介して座台本体242が後方に引っ張られると、座台本体242及び飛翔体220が機首下げ状態となる。この結果、メインレバー250は、座台本体242に対して待機位置から斜め位置に相対的に位置変更する。メインレバー250が斜め位置に向う力が、伝達機構270によってホルダ規制機構260に伝達される。これにより、ホルダ規制機構260によるホルダ280の規制が解除される。すると、ホルダ280は、解放位置に移動し、飛翔体220は、座台240から分離する。
【0219】
本実施形態の各部構成についてより具体的に説明する。
【0220】
座台本体242は、フレーム部243と、板部244と、ホルダ支持部245と、飛翔体位置決め部246とを備える。
【0221】
フレーム部243は、一対の縦フレーム243aと、複数の横フレーム243bとを備える。複数の横フレーム243bは、一対の縦フレーム243aを平行状態で連結している。このため、フレーム部243は、はしご状の構造を有している。
【0222】
複数の横フレーム243bのうちフレーム部243の長手方向中間に位置する2つの横フレーム243bが、中間縦フレーム243cによって連結されている。本実施形態では、2つの中間縦フレーム243cが、2つの横フレーム243bを連結している。中間縦フレーム243cの中央が、フレーム部243の幅方向中央に位置する。
【0223】
フレーム部243は、滑体243sを備えてもよい。例えば、フレーム部243の縦フレーム243aのうち前寄りの部分に、床に対する滑りをよくするための滑体243sが固定されてもよい。
【0224】
板部244は、長方形板状である。板部244は、フレーム部243の一方主面側に固定される。板部244のうち中間縦フレーム243cに対応する部分に開口244hが形成されている。開口244hは、例えば、長方形開口である。
【0225】
座台本体242の長手方向中間部に支軸部242aが設けられる。支軸部242aは、メインレバー250の前端部を回動可能に支持する。本実施形態では、支軸部242aは、滑体243sの後端部に設けられる。
【0226】
座台本体242に、アーミングロックバー258が支持されている。例えば、滑体243sのうち支軸部242aよりも前側の位置にアーミングロックバー258が支持されている。
【0227】
より具体的には、一対の滑体243s間に掛渡されるようにシャフト259が支持されている。シャフト259は、一対の滑体243s間に、自己の中心軸周りに回転可能に支持されている。シャフト259の端部は滑体243sの外側に突出する。シャフト259の端部にアーミングロックバー258が連結されている。シャフト259とアーミングロックバー258とは相対回転不能に連結されている。アーミングロックバー258がシャフト259の中心軸周りに回動することで、シャフト259も回転する。本実施形態では、一対の滑体243sのそれぞれの外向き面に、アーミングロックバー258が配置される。
【0228】
アーミングロックバー258は、ワイヤ端部保持位置と、ワイヤ端部解放位置との間で位置変更する。例えば、図24に示すように、アーミングロックバー258が上下方向に沿う位置がワイヤ端部解放位置である。また、図25に示すように、アーミングロックバー258が前後方向に沿う位置がワイヤ端部保持位置である。ワイヤ端部解放位置及びワイヤ端部保持位置が上記位置であることは必須ではない。ワイヤ端部解放位置は、ワイヤ端部保持位置よりも座台本体242の長手方向に対して大きく傾いた位置であってもよい。
【0229】
アーミングロックバー258の位置に応じて、アーミングワイヤWAの延出端部を保持する状態と、アーミングワイヤWAの延出端部を解放する状態とが切替えられる。
【0230】
ホルダ支持部245は、ホルダ280を支持する。例えば、ホルダ支持部245は、前後方向に長い直方体状である。ホルダ支持部245は、フレーム部243によって一定位置に支持される。例えば、ホルダ支持部245は、上記2つの中間縦フレーム243cの間で一定位置に支持される。
【0231】
ホルダ支持部245は、フレーム部243から突出し、開口244hを通って、板部244の一方主面側より突出する。ホルダ支持部245によって支持されたホルダ280が座台本体242の一方主面側で飛翔体220を支持する。
【0232】
板部244及びホルダ支持部245のうちフレーム部243とは反対側の面が、座台本体242のうち飛翔体220側を向く飛翔体向き面244fである。
【0233】
飛翔体位置決め部246は、支持面246fを有しており、当該支持面246fで飛翔体220を支持する。飛翔体位置決め部246の数は任意であるが、左右方向に複数、前後方向にも複数設けられると、飛翔体220を安定して支持できる。
【0234】
本実施形態では、ホルダ支持部245の左右両側部のそれぞれにおいて、前後に離れる2箇所から飛翔体位置決め部246が突出している。つまり、4つの飛翔体位置決め部246が、前後左右に離れる4箇所に位置している。
【0235】
各飛翔体位置決め部246は、座台本体242の幅方向中央から右または左に遠ざかる程、飛翔体向き面244fに対する距離を大きくするように傾斜している。各飛翔体位置決め部246の先端部は、ホルダ支持部245のうち飛翔体220側の面を越えて上側に突出している。飛翔体位置決め部246のうち先端側に位置し、かつ、飛翔体220側を向く面が支持面246fである。支持面246fは、飛翔体向き面244fよりも飛翔体220の近く、すなわち、上側に位置している。支持面246fが、飛翔体向き面244fから離れた位置で飛翔体220を支持することで、飛翔体220を安定した姿勢で支持し易い。例えば、左右の支持面246fが、飛翔体220のうち座台本体242側を向く部分を、幅方向中央に対して離れた両側位置で支持できる。これにより、飛翔体220が飛翔体向き面244f上で転がり難く安定した姿勢で支持され易い。
【0236】
飛翔体位置決め部246は、回転により飛翔体220に近づく方向に移動するネジを有していてもよい。この場合、ネジのうち飛翔体220に接する部分が支持面である。ホルダ280が係止対象部222に係止した状態で、ネジが締付けられ飛翔体220に近づくことで、飛翔体220と飛翔体位置決め部246との隙間が詰められ、飛翔体220ががたつき難くなる。かかる構成は、スウェイブレースと呼ばれる構成であってもよい。
【0237】
座台本体242のうち飛翔体220を向く部分に座台側アンビリカルコネクタ38が配置されてもよい。より具体的には、座台本体242のうち飛翔体220のコネクタ24に対向する位置に、コネクタ38が配置されてもよい。座台本体242に支持された飛翔体220のコネクタ24は、座台本体242側を向いて当該コネクタ38に接続されるとよい。飛翔体220が座台本体242から分離する際には、飛翔体220が座台本体242から分離しようとする力によって、コネクタ24がコネクタ38から抜かれるとよい。
【0238】
座台本体242と飛翔体220とが対向する方向に沿って、コネクタ24とコネクタ38とが接続されていれば、座台本体242に対する飛翔体220の分離によって、コネクタ24がコネクタ38から円滑に引抜かれ得る。
【0239】
メインレバー250は、メインレバー50と同様に、一対の縦長尺部251と、複数の横連結部252とを備える。一対の縦長尺部251が並列状態で複数の横連結部252によって連結されている。つまり、メインレバー250は、はしご状の構造を有している。
【0240】
メインレバー250の前端部に位置する回動支持部254が座台本体242の長手方向中間部に回動可能に支持される。例えば、回動支持部254は、滑体243sの後端部の支軸部242aに回動可能に支持される。
【0241】
待機位置では、メインレバー250は、滑体243sの後端部から後方に向って延びている。この状態では、滑体243sの下面とメインレバー250の下面とが同一面上に位置する。座台240は、滑体243sの下面とメインレバー250の下面とを、床に接触させつつ、安定して当該床上を滑っていくことができる。
【0242】
複数の横連結部252のうち最も後端に位置する横連結部252に、抽出傘連結部55に対応する抽出傘連結部255が支持される。抽出傘連結部255の先端に抽出傘28から延びるワイヤ28Wが連結される。
【0243】
図24及び図25はメインレバー250が座台本体242に対して待機位置から斜め位置に回動することを説明する図である。図24ではアーミングロックバー258はワイヤ端部解放位置に位置している。図25ではアーミングロックバー258はワイヤ端部保持位置に位置している。図24及び図25において、待機位置に位置するメインレバー250が実線で示され、斜め位置に位置するメインレバー250が2点鎖線で示されている。
【0244】
メインレバー250の延在方向中間部に伝達機構270が連結される。例えば、前から2番目の横連結部252に伝達機構270が連結される。メインレバー250が待機位置から斜め位置に回動することで、メインレバー250のうち回動支持部254よりも後側の部分が座台本体242から下方に離れる。これにより、上記伝達機構270の下端部が下方に引っ張られる。本実施形態では、アーミングロックバー258の位置に拘らず、伝達機構270の下端部が下方に引っ張られる。
【0245】
ホルダ280、ホルダ規制機構260及び伝達機構270について説明する。図26及び図27はホルダ280、ホルダ規制機構260及び伝達機構270を示す概略図である。図26はホルダ280が拘束位置に位置し、かつ、ホルダ規制機構260が規制位置に位置している状態を示す。図27はホルダ280が解放位置に位置し、かつ、ホルダ規制機構260が規制解除位置に位置する状態を示す。なお、図26及び図27において、十字マークは、ホルダ支持部245に対して一定位置に位置する支軸部を示している。
【0246】
ホルダ280及びホルダ規制機構260は、ホルダ支持部245に支持されている。伝達機構270は、ホルダ規制機構260とメインレバー250との間に介在し、メインレバー250が斜め位置に向かう力を、ホルダ規制機構260を位置変更させる力としてホルダ規制機構260に伝達する。
【0247】
各部構成について説明する。ホルダ280は、ホルダ支持部245によって、拘束位置と解放位置との間で位置変更可能に支持されたフックである。ホルダ280の拘束位置は、飛翔体220の係止対象部222を係止する位置である。ホルダ280の解放位置は、係止対象部222に対する係止を解除する位置である。
【0248】
ホルダ支持部245の上部に開口245hが形成されている。ホルダ280は、当該開口245hから上方に突出可能なようにホルダ支持部245によって支持される。
【0249】
より具体的には、ホルダ280は、基部282と、フック本体283と、接触部284と、付勢力受部285とを備える。
【0250】
基部282は、ホルダ支持部245のハウジング245a内のうち開口245hの下側位置で回動可能に支持される。基部282を支持する回転軸は、例えば、座台240の幅方向に沿う。
【0251】
フック本体283は基部282からから突出している。フック本体283は、係止対象部222に係合する形状である。本実施形態では、フック本体283は、延出部283aと、止め部283bとを含む。延出部283aは、基部282から離れる方向に向う。止め部283bは、当該延出部283aの先端部から延出部283aに交差する方向に向う。ここでは、止め部283bは、当該延出部283aの先端部から延出部283aに直交する方向に向かう。
【0252】
ホルダ280が拘束位置に位置するとき、フック本体283は開口245hから上方に突出し、止め部283bは基部282に対して上方から対向する。止め部283bと基部282との間の空間の後側に上記延出部283aが位置する。ホルダ支持部245のうち開口245hの前側部分に突部245Pが突出している。止め部283bと基部282との間の空間の前側に、ホルダ支持部245から突出する突部245Pが位置する。
【0253】
図26に示すように、ホルダ280が拘束位置に位置する状態で、係止対象部222の棒状部222bが、止め部283bと基部282と延出部283aと突部245Pとで囲まれる空間に配置される。これにより、係止対象部222がホルダ280に係止した状態に保たれる。
【0254】
図27に示すように、ホルダ280が基部282の支軸周りに回動し、フック本体283が基部282の真上から離れる位置に配置される。例えば、フック本体283が基部282の後方に位置するように、ホルダ280が回動する。すると、フック本体283の止め部283bと、突部245Pとの間に、棒状部222bが通過可能な隙間が形成される。これにより、係止対象部222がホルダ280から離脱する。
【0255】
ホルダ280は、付勢体286によって解放位置に向けて付勢されている。付勢力受部285は、ホルダ280の支軸とは異なる位置、ここでは、基部282を挟んでフック本体283とは反対側に突出している。付勢力受部285とホルダ280における付勢体連結部との間に付勢体286が介装されている。付勢体286は、例えば、コイルばねである。ホルダ280が拘束位置に位置する状態で、付勢体286が伸張されている。付勢体286の圧縮方向の付勢力によって、フック本体283が解放位置に向けて付勢されている。
【0256】
接触部284は、ホルダ規制機構260と接触する部分である。本実施形態では、接触部284は、基部282から、上記フック本体283及び付勢力受部285とは異なる方向に突出している。ホルダ280が拘束位置に位置する状態で、ホルダ規制機構260が、ホルダ280の解放位置への位置変更を規制する側から接触部284に接触する。
【0257】
ホルダ支持部245は、当接片245P1を有していてもよい。当接片245P1は、ホルダ280が拘束位置に位置する状態で、ホルダ規制機構260とは反対側から接触部284に接触する。これにより、ホルダ280が、拘束位置から解放位置とは反対側に回動することが規制される。
【0258】
より具体的には、ホルダ280が拘束位置に位置するとき、接触部284は、後方に向って突出する。このとき、ホルダ規制機構260が接触部284に下側から接触する。これにより、ホルダ280が拘束位置を越えて解放位置とは反対側に回動することが規制される。
【0259】
本実施形態では、座台240は、複数のホルダ280を備える。本実施形態においては、座台240は、前後に間隔をあけて位置する2つのホルダ280を備える。以下の説明において、前側のホルダ280を第1フック280A、後側のホルダ280を第2フック280Bと記載する場合がある。第1フック280A及び第2フック280Bは、互いに同じ姿勢でホルダ支持部245によって支持されている。このため、第1フック280A及び第2フック280Bは、互いに平行な回動軸周りに回動可能に支持されている。
【0260】
第1フック280Aが前側の係止対象部222に係止し、第2フック280Bが後側の係止対象部222に係止することで、飛翔体220が前後離れた位置で安定して係止保持される。
【0261】
ホルダ規制機構260は、フック規制部261と、フック規制解除部263とを含む。
【0262】
フック規制部261は、接触部284に接触することで、フック280A、280Bを拘束位置に留める。例えば、フック規制部261は、長尺部材である。フック規制部261の長手方向中間部が、拘束位置に位置するフック280A、280Bのうち接触部284の下側に位置する回動軸周りに回動可能に支持されている。なお、フック規制部261を回動可能に支持する軸部Q1は、ホルダ支持部245において一定位置に支持されている。このため、フック規制部261は、ホルダ支持部245において一定位置の回動軸周りに回動する。
【0263】
拘束位置に位置する接触部284と軸部Q1の中心軸との距離は、軸部Q1の中心軸とフック規制部261のうち接触部284側の端部との距離よりも小さい。但し、その距離差は、各部の僅かな変位または変形を利用して、フック規制部261が接触部284との接触状態を経て回動できる範囲に設定される。
【0264】
フック規制部261は、拘束位置に位置する接触部284と軸部Q1の中心軸とを最短距離で結ぶラインL1よりも、ホルダ280の支軸寄りの位置で、接触部284に接触して、フック280A、280Bを拘束位置に留める。
【0265】
フック規制部261は、第1フック280A及び第2フック280Bのそれぞれに対応するように設けられる。以下では、フック規制部261は、第1フック280Aを拘束位置に留める第1フック規制部261Aと、第2フック280Bを拘束位置に留める第2フック規制部261Bとに区別して記載されることがある。
【0266】
ホルダ規制機構260は、上記第1フック規制部261Aと、第2フック規制部261Bとに連結された連結リンク要素262を含む。連結リンク要素262は、長尺部材である。第1フック規制部261A及び第2フック規制部261Bのうち接触部284とは反対側の端部が、連結リンク要素262に回動可能に連結されている。連結リンク要素262に対する第1フック規制部261A及び第2フック規制部261Bの連結箇所は、連結リンク要素262の長手方向に対して離れている。第1フック規制部261A及び第2フック規制部261Bは、互いに並行状態を保ったまま、連結リンク要素262に対する角度を変更できる。なお、連結リンク要素262に対する第1フック規制部261A及び第2フック規制部261Bの連結軸は、ホルダ支持部245において一定位置に拘束されない可動軸である。
【0267】
ホルダ支持部245は、当接片245P2を有していてもよい。当接片245P2は、フック規制部261A、261Bのうち接触部284への接触部分が上記ラインL1から離れる方向に移動しないように規制する当接片である。当接片245P2は、連結リンク要素262に接触してもよいし、フック規制部261A、261Bのそれぞれに接触してもよい。本実施形態では、拘束位置に位置するフック280A、280Bの接触部284にフック規制部261A、261Bが接触するとき、連結リンク要素262の後端部に接触する位置に当接片245P2が配置される。これにより、連結リンク要素262がさらに後方に移動することが規制され、フック規制部261A、261Bが後方に移動するように回動することが規制される。もって、フック規制部261A、261Bが接触部284に接触した状態が保たれる。
【0268】
図26に示すように、フック280A、280Bが拘束位置に位置するとき、フック規制部261A、261Bの上端部は接触部284に下側から接触する。この状態で、接触部284の上向き部分が当接片245P1に接すると共に、連結リンク要素262の後端部が当接片245P2に接触する。これにより、フック280A、280Bが拘束位置に保たれ、かつ、ホルダ規制機構260が規制位置に保たれる。
【0269】
連結リンク要素262を前側に移動させると、フック規制部261A、261Bが支軸周りに回動し、フック規制部261A、261Bの上端部を、上記ラインL1を越えて接触部284から離れるように移動させる力が作用する。当該力が、フック規制部261A、261Bのうち軸部Q1と上端部間の部分が、軸部Q1と接触部284との間を越えるのに必要な力を上回ると、フック規制部261A、261Bの上端部が接触部284から離れるように移動する。これにより、図27に示すように、ホルダ規制機構260が規制解除位置に移動する。また、フック280A、280Bは、拘束位置から解放位置に移動する。
【0270】
上記フック規制部261A、261B及び連結リンク要素262のそれぞれはリンク要素の一例である。つまり、フック規制部261A、261B及び連結リンク要素262は、複数のリンク要素が回動軸によって連結されたリンク機構を構成している。また、フック規制部261A、261B及び連結リンク要素262が規制位置に位置する状態を第1状態、規制解除位置に位置する状態を第2状態とすると、フック規制部261A、261B及び連結リンク要素262は、リンク要素の曲げ状態に応じて第1状態と第2状態とをとることができるリンク機構の一例である。
【0271】
また、フック規制部261A、261B及び連結リンク要素262によって構成されるリンク機構は、第1状態から第2状態に移行させるために力を加えてリンク要素等の部品を変位させる場合、変位があるピーク位置を超えると第2状態に移行し、変位がピーク位置に達しなければ第1状態に戻る。よって、フック規制部261A、261B及び連結リンク要素262によって構成されるリンク機構は、第1実施形態で説明したオーバーセンタリンク機構の一例である。
【0272】
フック規制解除部263は、メインレバー250の変位を、伝達機構270を介して受けて、フック280A、280Bを拘束位置に留める状態を解除する。
【0273】
本実施形態では、フック規制解除部263は、第1端部263aと第2端部263bとを有する。第1端部263aが連結リンク要素262に回動可能に連結され、第2端部263bが伝達機構270に回動可能に連結されている。フック規制解除部263のうち第1端部263aと第2端部263bとの間の部分が、ホルダ支持部245に対して一定位置の軸部Q2に回動可能に支持されている。本実施形態では、第1端部263aと第2端部263bとが軸部Q2に対して互いに交差する方向に延出している。
【0274】
第2端部263bが軸部Q2中心軸周りに回動すると、その回動に伴って第1端部263aも軸部Q2の中心軸周りに回動する。第1端部263aの回動に伴って、連結リンク要素262も前後方向に移動する。第1端部263aが弧状に移動することに伴って、連結リンク要素262が円滑に移動できるように、第1端部263aにはその長手方向に沿った長孔が形成され、連結リンク要素262に突設されたピンが当該長孔に沿って移動可能に嵌め込まれていてもよい。
【0275】
フック規制解除部263がメインレバー250の変位を受けると、連結リンク要素262が第1フック規制部261Aと第2フック規制部261Bとを同期移動させる。これにより、第1フック280Aと第2フック280Bとを拘束位置に留める状態が同期して解除される。
【0276】
なお、フック280A、280Bの回動軸周りにおいて、接触部の位置は任意である。例えば、フック本体283とは反対側の位置に接触部が位置してもよい。また、接触部に対するフック規制部の接触方向も任意である。
【0277】
また、フック規制解除部がメインレバー250の変位を受けて、フックを拘束位置に留める状態を解除するための構成も任意である。例えば、フック規制部または連結リンク要素を含むホルダ規制機構が、コイルばね等の付勢体によって規制位置から規制解除位置に付勢されていてもよい。また、フック規制解除部は、初期状態において、ホルダ規制機構を規制位置に留めるように、当該ホルダ規制機構に接触しており、メインレバー250の変位を受けて、当該ホルダ規制機構に対する接触状態を解除する構成であってもよい。この場合、フック規制解除部がホルダ規制機構に対する接触状態を解除することで、ホルダ規制機構が規制解除位置に移動し、ホルダが拘束位置から解放位置に移動する。
【0278】
伝達機構270は、複数のリンク要素271を備える。複数のリンク要素271のそれぞれは長尺部材であり、一列に連なるように相対回動可能に連結されている。伝達機構270の上端部は上記第2端部263bに回動可能に連結され、伝達機構270の下端部はメインレバー250の横連結部252に回動可能に連結されている。
【0279】
そして、メインレバー250が待機位置に位置する状態では、複数のリンク要素271同士が曲った状態に保たれている。メインレバー250が斜め位置に移動すると、伝達機構270の下端部が下方に移動し、メインレバー250のうち伝達機構270の連結箇所と第2端部263bとの距離が、複数のリンク要素271を直線状態に伸した長さよりも大きくなる。すると、伝達機構270が直線状に伸びて、第2端部263bを、軸部Q2の中心軸周りにおいて下方に移動させる。
【0280】
なお、複数のリンク要素271は、本実施形態では3つであるが、2つ以上であればよい。伝達機構270はリンク要素の連結体によって構成される必要は無く、ワイヤまたはチェーンであってもよい。
【0281】
図21から図25に示すように、座台240は、ワイヤ端部保持機構290を備えてもよい。
【0282】
ワイヤ端部保持機構290は、アーミングロックバー258がワイヤ端部保持位置に位置するとき、アーミングワイヤWAの延出端部を保持する。ワイヤ端部保持機構290は、アーミングロックバー258がワイヤ端部解放位置に位置するとき、アーミングワイヤWAの延出端部を解放する。
【0283】
ワイヤ端部保持機構290は、ワイヤ保持本体機構291と、ワイヤ用伝達機構274とを備える。
【0284】
ワイヤ保持本体機構291は、座台本体242に支持されている。ワイヤ保持本体機構291は、座台本体242のうち飛翔体220から延出するアーミングワイヤWAに対向する位置に配置される。本実施形態では、ホルダ支持部245の一側部にワイヤ保持本体機構291が支持されている。なお、ワイヤ保持本体機構291は、ホルダ支持部245に埋没していてもよい。ワイヤ保持本体機構291の数は任意である。本実施形態では、飛翔体220に対して、飛翔体220の長手方向に離れて3つのアーミングワイヤWAが延出している。当該3つのアーミングワイヤWAに対応して、3つのワイヤ保持本体機構291が前後方向に離れて3つの位置に配置される。
【0285】
飛翔体220から延出するアーミングワイヤWAが座台本体242側に向いワイヤ保持本体機構291内に導かれる。アーミングワイヤWAの延出端部が解放可能にワイヤ保持本体機構291に保持される。
【0286】
ワイヤ用伝達機構274は、アーミングロックバー258の変位を受けて、ワイヤ保持本体機構291によるアーミングワイヤWAの延出端部の保持状態を切替える力を伝達する機構である。
【0287】
より具体的には、図24及び図25に示すように、ワイヤ用伝達機構274は、回動片275と、中間伝達部276と、延長伝達部277と、切替レバー278とを備える。
【0288】
回動片275は、アーミングロックバー258が連結されたシャフト259の長手方向中間部に支持されている。回動片275は、シャフト259に対して相対回転不能に支持されている。このため、アーミングロックバー258の回動に伴って回動片275が回動できる。
【0289】
本実施形態では、アーミングロックバー258がワイヤ端部保持位置に位置する状態における回動片275の先端部は、アーミングロックバー258がワイヤ端部解放位置に位置する状態における回動片275の先端部よりも、ワイヤ保持本体機構291から離れている。
【0290】
より具体的には、図24に示すように、アーミングロックバー258が上下方向に沿ってワイヤ端部解放位置に位置するとき、回動片275は、シャフト259から後方に向って延びる。図25に示すように、アーミングロックバー258が前後方向に沿ってワイヤ端部保持位置に位置するとき、回動片275は、シャフト259から下方に向って延びる。
【0291】
切替レバー278は、ワイヤ保持本体機構291から延出している。本実施形態では、3つのワイヤ保持本体機構291のそれぞれから下方に延出している。
【0292】
中間伝達部276は長尺棒状部材である。中間伝達部276の一端部は、回動片275の先端部に回動可能に連結されている。中間伝達部276の他端部は切替レバー278の下端部に回動可能に連結されている。ここでは、前後方向に沿って3つの切替レバー278が並んでおり、最も前側の切替レバー278の下端部に、中間伝達部276の他端部が連結されている。
【0293】
最も前側の切替レバー278の下端部と、その後に続く他の切替レバー278の下端部とは、延長伝達部277とによって連結されている。このため、複数の切替レバー278の下端部は、延長伝達部277によって相互に連結されており、複数の切替レバー278は延長伝達部277の移動に応じて同期して傾くことができる。
【0294】
図24に示すように、アーミングロックバー258がワイヤ端部解放位置に位置する状態では、回動片275がシャフト259から後方に延びている。回動片275の先端部と最も前側の切替レバー278とが中間伝達部276によって連結されている。最も前側の切替レバー278と、他の切替レバー278とは延長伝達部277によって連結されている。
【0295】
アーミングロックバー258がワイヤ端部解放位置に位置するとき、複数の切替レバー278は、回動片275の位置に応じて中間伝達部276及び延長伝達部277による規制下、一定の姿勢に保たれる。一定の姿勢とは、例えば、ワイヤ保持本体機構291から真下に向けて延びる状態である。
【0296】
図25に示すように、アーミングロックバー258がワイヤ端部保持位置に位置するとき、回動片275がシャフト259から下方に延びる。このため、中間伝達部276が前方に移動し、最も前側の切替レバー278の下端部が前方に移動する。延長伝達部277によって他の切替レバー278の下端部も前方に引っ張られる。このため、例えば、複数の切替レバー278は、下端部が前方に移動した傾斜状態となる。
【0297】
アーミングロックバー258の位置変更によって、切替レバー278が変位することによって、ワイヤ保持本体機構291におけるアーミングワイヤWAの延出端部の保持状態が切替えられる。
【0298】
図28はワイヤ保持本体機構291の内部構造を示す概略図である。図28のうち(a)で示される部分は、アーミングワイヤWAの延出端部がワイヤ保持本体機構291から解放可能な状態を示しており、図28のうち(b)で示される部分は、アーミングワイヤWAの延出端部がワイヤ保持本体機構291によって保持された状態を示している。図29はワイヤ保持本体機構291の動作を説明するための図である。図29において右側の1b、2b、3b、4bは、図28で示されたワイヤ保持本体機構291と同じ視線方向からの変化を示している。図29において左側の1a、2a、3a、4aは、図29の1bにおけるa―a線断面における変化を示している。
【0299】
ワイヤ保持本体機構291は、第1ワイヤ保持体292と、第2ワイヤ保持体293と、ワイヤ保持用付勢体294と、移動規制部材295とを備える。
【0300】
第1ワイヤ保持体292は、ワイヤ保持本体機構291のハウジング291a内において一定位置に支持されている。第1ワイヤ保持体292は、第2ワイヤ保持体293が押付けられる受面292fを有する。例えば、第1ワイヤ保持体292は、円柱状である。第1ワイヤ保持体292の一端側の面が受面292fである。当該受面292fをハウジング291a内に向けた姿勢で、第1ワイヤ保持体292がハウジング291a内で支持される。
【0301】
第2ワイヤ保持体293は、ハウジング291a内に組み込まれて、第1ワイヤ保持体292に接触する接触位置と、第1ワイヤ保持体292から離れる離間位置との間で移動する。第2ワイヤ保持体293が接触位置に位置する状態が図29の1a、3a及び4aに示される。第2ワイヤ保持体293が離間位置に位置する状態が図29の2aに示される。
【0302】
ワイヤ保持用付勢体294は、第2ワイヤ保持体293を第1ワイヤ保持体292に向けて付勢する。ワイヤ保持用付勢体294は、例えば、コイルばねである。第2ワイヤ保持体293の一端部が、第1ワイヤ保持体292と間隔をあけて対向する位置でハウジング291a内に支持される。ワイヤ保持用付勢体294は、ハウジング291aに対する固定端から第1ワイヤ保持体292に向うように突出する姿勢で保持される。ワイヤ保持用付勢体294の他端に第2ワイヤ保持体293が支持されている。
【0303】
第2ワイヤ保持体293がワイヤ保持用付勢体294の伸縮方向に移動可能に支持されることによって、第2ワイヤ保持体293が接触位置と離間位置との間で移動可能に支持される。ワイヤ保持用付勢体294の伸長状態における長さは、第2ワイヤ保持体293を第1ワイヤ保持体292に押付けることができる程度の長さに設定されている。よって、第2ワイヤ保持体293は、ワイヤ保持用付勢体294の付勢力によって、常時、第1ワイヤ保持体292に向けて付勢されている。つまり、通常状態では、第2ワイヤ保持体293は接触位置に位置している。第2ワイヤ保持体293は、ワイヤ保持用付勢体294の付勢力に抗して、当該ワイヤ保持用付勢体294を収縮させることで、第1ワイヤ保持体292から離れた位置に移動できる。これにより、第2ワイヤ保持体293は離間位置に移動できる。
【0304】
第2ワイヤ保持体293は、先端側に向けて徐々に細くなる先細り形状部分293aを有していてもよい。例えば、第2ワイヤ保持体293は、円錐形状であってもよい。この場合において、円錐形状の先端が丸まっていてもよい。
【0305】
先細り形状部分は円錐形状でなくてもよく、多角形錐形状、球体または楕円体の部分形状であってもよい。また、第2ワイヤ保持体が先細り形状部分を有していることは必須ではなく、第1ワイヤ保持体に対して面接触する面を有していてもよい。また、第1ワイヤ保持体が先細り形状部分を有していてもよい。
【0306】
なお、第2ワイヤ保持体293の移動経路を規制するガイドが設けられてもよい。
【0307】
移動規制部材295は、保持体固定位置と保持体解放位置との間で移動する部材である。保持体固定位置は、接触位置から離間位置への第2ワイヤ保持体の移動を規制する位置である。保持体解放位置は、接触位置から離間位置への第2ワイヤ保持体の移動を許容する位置である。
【0308】
より具体的には、移動規制部材295は、基部295aと、規制片295bとを含む。基部295aは、例えば、直方体状である。基部295aが、ハウジング291aに組込まれたガイド295gによって移動可能に支持される。規制片295bは、基部295aから、接触位置に位置する第2ワイヤ保持体293の背面側に向けて突出する。なお、第2ワイヤ保持体293の背面は、第1ワイヤ保持体292とは反対側の面である。
【0309】
移動規制部材295は、間隔をあけて並列する2つの規制片295bを有していてもよい。ワイヤ保持用付勢体294の先端部が、第2ワイヤ保持体293の背面の中央に連結されており、2つの規制片295bがワイヤ保持用付勢体294を避けた2箇所で、第2ワイヤ保持体293の背面に接触してもよい。
【0310】
保持体固定位置は、図29の1b、2b及び3bに示すように、第2ワイヤ保持体293が接触位置に位置するとき、上記規制片295bを第2ワイヤ保持体293の背面に接触させる位置である。保持体解放位置は、図29の4bに示すように、保持体固定位置から第2ワイヤ保持体293の移動方向に交差する方向、例えば、直交する方向において、第2ワイヤ保持体293の背面から離れる方向にずれた位置である。
【0311】
上記切替レバー278のうち中間伝達部276または延長伝達部277とは反対側の端部が上記移動規制部材295に回動可能に連結されている。切替レバー278の長手方向中間部が、ハウジング291a内において一定位置に位置する軸部278Qに回動可能に支持されている。切替レバー278の下端部はハウジング291aから延出して中間伝達部276または延長伝達部277に回動可能に連結されている。
【0312】
付勢体279は、移動規制部材295が保持体解放位置側に位置するときには、位置規制部材295を保持体解放位置に移動させる側に切替レバー278を付勢する。また、付勢体279は、移動規制部材295が保持体固定位置側に位置するときには、位置規制部材295を保持体固定位置に移動させる側に切替レバー278を付勢する。付勢体279による切替レバー278の付勢方向は、移動規制部材295が保持体解放位置と保持体固定位置との中間に位置する中立位置を基準に切替えられる。例えば、切替レバー278のうち軸部278Qによって支持された箇所と下端部との間の部分と、ハウジング291aにおける一定箇所との間に付勢体279が伸長状態で配置される。付勢体279は、例えば、コイルバネである。図28の(a)部分に示すように、移動規制部材295が保持体解放位置側に位置し、付勢体279の両端の連結箇所を結ぶ直線より上側に軸部278Qが位置する状態では、付勢体279の収縮力によって、位置規制部材295を保持体解放位置に移動させる側に切替レバー278が付勢される。また、図28の(b)部分に示すように、移動規制部材295が保持体固定位置側に位置し、付勢体279の両端の連結箇所を結ぶ直線より下側に軸部278Qが位置する状態では、付勢体279の収縮力によって、位置規制部材295を保持体固定位置に移動させる側に切替レバー278が付勢される。よって、中立位置を境界として、移動規制部材295は保持体解放位置または保持体固定位置に安定して位置できる。
【0313】
上記したように、アーミングロックバー258が変位すると、中間伝達部276及び延長伝達部277がアーミングロックバー258側に引っ張られる。すると、切替レバー278の下端部がアーミングロックバー258側に引っ張られ、付勢体279の付勢力に抗して、切替レバー278が軸部278Qの周りに回転する。すると、移動規制部材295は保持体解放位置から保持体固定位置に向けて移動する。移動規制部材295が保持体固定位置側に移動すると、付勢体279による付勢力によって移動規制部材295が保持体固定位置側に付勢される。このように、ワイヤ用伝達機構274は、アーミングロックバー258の変位を受けて上記移動規制部材295を保持体解放位置から保持体固定位置に向けて移動させることができる。
【0314】
移動規制部材295が保持体解放位置に位置する状態では、図29の1a、2a及び3aに示すように、第2ワイヤ保持体293は第1ワイヤ保持体292に向けて付勢された状態で、当該第1ワイヤ保持体292に接した状態となっている。
【0315】
アーミングワイヤWAの延出端部は輪をなす輪部分WRを有している。図29の2a及び2bに示すように、輪部分WRの一部を、第1ワイヤ保持体292と第2ワイヤ保持体293との間に挿入すると、第2ワイヤ保持体293が第1ワイヤ保持体292から退避移動する。これにより、輪部分WRの内側に第1ワイヤ保持体292と第2ワイヤ保持体293とを配置でき、アーミングワイヤWAの延出端部が仮保持される。
【0316】
飛翔体220が座台240にセットされる際に、アーミングワイヤWAの延出端部がワイヤ保持本体機構291に挿入され、輪部分WRが上記のようにセットされて仮保持される。
【0317】
移動規制部材295が保持体解放位置に位置する状態が継続している場合、第2ワイヤ保持体293は、ワイヤ保持用付勢体294の付勢力に抗して、第1ワイヤ保持体292から離れる方向に移動できる。よって、アーミングワイヤWAが強い力で引かれると、図29の3a及び3bに示すように、輪部分WRの一部が第1ワイヤ保持体292と第2ワイヤ保持体293との間に入り込み、第2ワイヤ保持体293が押退けられて第1ワイヤ保持体292から離れる方向に移動できる。これにより、輪部分WRは、第1ワイヤ保持体292と第2ワイヤ保持体293の間を抜けて、解放される。
【0318】
特に、第2ワイヤ保持体293が先細り形状部分293aを有していれば、輪部分WRが先細り形状部分293aの外周面に押し当てられると、当該輪部分WRが第1ワイヤ保持体292と第2ワイヤ保持体293との間に入り込み易くなる。また、輪部分WRを先細り形状部分293aに押し当てる力は、第1ワイヤ保持体292を第2ワイヤ保持体293から離す方向に移動させる力として作用し易い。よって、アーミングワイヤWAが第1ワイヤ保持体292と第2ワイヤ保持体293との間を通って抜け出易くなる。
【0319】
移動規制部材295が保持体固定位置に位置すると、第2ワイヤ保持体293は第1ワイヤ保持体292から離れる方向に移動できなくなる。よって、アーミングワイヤWAが強い力で引かれても、図29の4a及び4bに示すように、輪部分WRの一部が第1ワイヤ保持体292と第2ワイヤ保持体293との間に入り込んで抜けることができない。よって、アーミングワイヤWAの延出端部が固定された状態に保たれる。アーミングワイヤWAの延出端部がワイヤ保持本体機構291に保持された状態に保たれるので、アーミングワイヤWAは座台240と共に移動する。座台240から飛翔体220が分離する際、アーミングワイヤWAは飛翔体220から引抜かれる。
【0320】
図30は上記座台240を飛翔体220と共に射出するための飛翔体発射システム230が搭載された航空機10を示す説明図である。
【0321】
航空機10は第1実施形態で説明したのと同様に、地上よりも上を飛行する機械である。
【0322】
飛翔体発射システム230は、次の点を除き、第1実施形態で説明した飛翔体発射システム30と同様構成とすることができる。飛翔体発射システム30との相違点を説明すると、飛翔体発射システム230は、メインレバー切替部36の代りに、アーミングロックバー切替部236を備える。
【0323】
アーミングロックバー切替部236は、切替作動片236aを含む。切替作動片236aは、格納部32から航空機10外に向けて移動する座台240の移動経路の途中に位置している。切替作動片236aは、切替位置と切替退避位置との間で移動可能に構成されている。切替位置は、移動経路に沿って移動する座台240のアーミングロックバー258に接触してアーミングロックバー258の位置を切替える位置である。切替回避位置は、移動経路に沿って移動する座台240のアーミングロックバー258との接触を回避する位置である。
【0324】
当該切替作動片236aを含むアーミングロックバー切替部236として、上記メインレバー切替部36における切替作動片36aを、アーミングロックバー258の位置に応じて変更したものを利用できる。
【0325】
本実施形態では、初期搭載状態では、アーミングロックバー258は、ワイヤ端部解放位置に位置し、シャフト259から下方に向う状態となっている。このため、切替位置では、切替作動片236aを、シャフト259から垂下がるアーミングロックバー258の下端部の移動軌跡上に配置するとよい。また、切替退避位置では、切替作動片236aを、シャフト259から垂下がるアーミングロックバー258の下端部の移動軌跡上から横または下に退避する位置に配置するとよい。
【0326】
アーミングロックバー切替部236のその他の構成は、上記メインレバー切替部36と同様構成とすることができる。
【0327】
そして、発射指令装置34は、アーミングロックバー切替部236を制御して切替作動片236aの位置を制御できる。切替作動片236aの位置制御に応じて、アーミングロックバー258の位置が制御され、アーミングワイヤWAの延出端部が保持される状態と、保持が解除される状態とに切替えられる。
【0328】
座台240及び飛翔体220が航空機10から発射される際の動作について説明する。ここでは、主に第1実施形態における動作との違いが中心に説明される。
【0329】
飛翔体220及び座台240が航空機10に搭載されている初期状態においては、メインレバー250が座台本体242に対して待機位置に位置し、ホルダ280が拘束位置に位置し、ホルダ規制機構260が規制位置に位置する状態となっている。このため、ホルダ280は飛翔体220の係止対象部222に係止した状態に保たれている。また、アーミングロックバー258は、図20及び図24に示すように、ワイヤ端部解放位置に位置している。さらに、コネクタ38がコネクタ24に接続されると共に、アーミングワイヤWAが飛翔体220に挿入された状態となっている。
【0330】
発射指令装置34の指令に応じて抽出傘28が放出される。抽出傘28は、機体12の後方の大気中で展開し、座台240及び飛翔体220を航空機10の後方に引っ張り出す。
【0331】
座台240が荷室を移動する際、切替作動片236aが切替位置に位置していれば、アーミングロックバー258は、ワイヤ端部保持位置に切替えられる。切替作動片236aが切替退避位置に位置していれば、アーミングロックバー258は、ワイヤ端部解放位置に位置したままとなる。
【0332】
抽出傘28によって、座台240が航空機10から引っ張り出された後、座台本体242に対するメインレバー250の挙動は、第1実施形態において図2を参照して説明した挙動と同じである。
【0333】
座台本体242に対してメインレバー250が傾き始める途中段階で、図24または図25に示すように、伝達機構270が下方に引っ張られる。すると、図27に示すように、伝達機構270の下方への動きが、フック規制解除部263を介して、後方への動きに変換して連結リンク要素262に伝達される。連結リンク要素262が後方に移動することで、第1フック規制部261Aと第2フック規制部261Bとが同期して規制位置から規制解除位置に移動する。これにより、第1フック280Aと第2フック280Bが同期して拘束位置から解放位置に移動し、飛翔体220の係止対象部222に対する係止が解除される。すると、座台本体242から飛翔体220が分離することができる。
【0334】
座台本体242から飛翔体220が分離する際に、コネクタ38がコネクタ24から抜かれる。
【0335】
また、アーミングロックバー258がワイヤ端部保持位置に切替えられている場合、アーミングワイヤWAの延出端部は、ワイヤ端部保持機構290によって座台本体242に保持されている。よって、座台本体242に対する飛翔体220の分離に伴って、アーミングワイヤWAは飛翔体220から引抜かれる。
【0336】
アーミングロックバー258がワイヤ端部解放位置に位置する場合、アーミングワイヤWAの延出端部は、ワイヤ端部保持機構290から離脱可能な状態となっている。よって、座台本体242に対する飛翔体220の分離に伴って、アーミングワイヤWAはワイヤ端部保持機構290から抜出て、飛翔体220側に残ったままとなる。
【0337】
この後、飛翔体220は、座台240から離れて飛翔し、座台240は、そのまま落下していく。
【0338】
以上のように構成された座台240及び飛翔体発射システム230によると、第1実施形態と同様に、メインレバー250が座台240に対して相対的に斜め位置となる方向に向う力が、伝達機構270を介して、ホルダ規制機構260に伝達される。この際の力は、ホルダ規制機構260を規制位置から規制解除位置に位置変更させる力として、ホルダ規制機構260に作用する。これにより、ホルダ280が解放位置に位置変更でき、ホルダ280による飛翔体220の拘束状態が解除される。もって、座台240と飛翔体220との分離が発射後の適切なタイミングでなされる。
【0339】
また、ホルダ280は、飛翔体220の係止対象部222に係止するフック280A、280Bであり、当該フック280A、280Bは、座台本体242と飛翔体220との間で、係止対象部222に係脱し、飛翔体220を拘束したり解放したりできる。このため、飛翔体の周りを囲んで保持する場合と比較して、飛翔体220の外形状に影響され難い。
【0340】
また、座台本体242は、飛翔体向き面244fよりも飛翔体220の近くに位置する支持面246fで飛翔体220を支持する飛翔体位置決め部246を含む。このため、飛翔体220の立体的形状に合わせて飛翔体向き面244fから離れた位置で、飛翔体位置決め部246によって飛翔体220を安定して支持し易い。
【0341】
また、ホルダ規制機構260は、フック280A、280Bを、拘束位置に留めるようにフック280A、280Bの接触部284に接触するフック規制部261A、261Bと、メインレバー250の変位を受けてフック280A、280Bを拘束位置に留める状態を解除するフック規制解除部263とを含む。このため、フック規制部261A、261Bが接触部284に接触することで、フック280A、280Bが拘束位置に留まり易い。また、フック規制解除部263は、メインレバー250の変位を受けて、フック規制部261A、261Bがフック280A、280Bを拘束位置に留める状態を解除できる。
【0342】
また、ホルダ280は、第1フック280Aと第2フック280Bとを有し、フック規制部261は、第1フック規制部261Aと第2フック規制部261Bとを有し、ホルダ規制機構260は、連結リンク要素262含み、メインレバー250の変位によって、連結リンク要素262が第1フック規制部261Aと第2フック規制部とを同期移動させて、第1フック280Aと第2フック280Bとを拘束位置に留める状態を解除する。
【0343】
このため、第1フック280Aと第2フック280Bとによって飛翔体220を安定して拘束できる。また、連結リンク要素262によって、第1フック規制部261Aと第2フック規制部261Bとが同期移動して、第1フック280Aと第2フック280Bとを拘束位置に留める状態を解除するため、飛翔体220が円滑に飛翔体用座台240から解放される。
【0344】
また、アーミングロックバー258の位置変更によって、ワイヤ端部保持機構290がアーミングワイヤWAの延出端部を保持する状態と、アーミングワイヤWAの延出端部を解放する状態とを切替えできる。
【0345】
具体的には、ワイヤ保持用付勢体294によって第2ワイヤ保持体293を第1ワイヤ保持体292に向けて付勢し、かつ、移動規制部材295によって第2ワイヤ保持体293が第1ワイヤ保持体292に接触した状態に保たれる。これにより、アーミングワイヤWAの端部を第2ワイヤ保持体293に引っ掛けて保持する状態に保てる。このため、飛翔体用座台240から分離する飛翔体220からアーミングワイヤWAを引抜ける。
【0346】
また、移動規制部材295が保持体解放位置に位置していると、第2ワイヤ保持体293はワイヤ保持用付勢体294の付勢力に抗して第1ワイヤ保持体292から離れる方向に移動できる。アーミングワイヤWAの端部が強く引っ張られれば、アーミングワイヤWAの端部は、第1ワイヤ保持体292と、当該第1ワイヤ保持体292から離れた第2ワイヤ保持体293との間を通って抜出てワイヤ端部保持機構290から解放され得る。このため、飛翔体用座台240から分離する飛翔体220に、アーミングワイヤWAを挿入したままの状態とすることができる。
【0347】
また、第1ワイヤ保持体292または第2ワイヤ保持体293が、先端側に向けて徐々に細くなる先細り形状部分293aを有していれば、アーミングワイヤWAの端部が強く引っ張られると、当該アーミングワイヤWAの端部が先細り形状部分293aに接触して、第1ワイヤ保持体292と第2ワイヤ保持体293との間に入り込み易くなり、第2ワイヤ保持体293が第1ワイヤ保持体292から離れる方向に移動し易くなる。これにより、アーミングワイヤWAの端部が円滑に解放される。
【0348】
また、飛翔体発射システム230が、アーミングロックバー切替部236を備えることで、発射指令装置34の制御によって、アーミングワイヤWAを飛翔体用座台240に保持した状態とするか解放させるかを制御することができる。
【0349】
{変形例}
なお、第1実施形態では、前後に複数のオーバーセンタリンク機構64が設けられる例が説明された。前後のオーバーセンタリンク機構64の各リンク要素61、62が一体化された部材として構成されてもよい。
【0350】
第1実施形態において、リンク要素62が規制用延長部86に回動可能に支持されていてもよい。また、リンク要素62が規制用延長部86に回動可能に支持され、リンク要素61が座台本体42に対して分離可能に押し当てられていてもよい。また、リンク要素61、62の両方が座台本体42及び規制用延長部86に対して回動可能に支持されず、それらの間に圧縮状態で介在していてもよい。
【0351】
第1実施形態において、メインレバー50が待機位置から斜め位置に移動すれば、メインレバー50の少なくとも一部は、座台本体42から離れる。このため、メインレバー50の少なくとも一部が座台本体42から離れる移動を、力の伝達機構によって、上記リンク回動軸63に伝達して、リンク回動軸63を下方に移動させれば、ホルダ規制機構60が規制位置から規制解除位置に移動する。かかる伝達機構としては、上記例に限られず、各種伝達機構が用いられ得る。例えば、伝達機構70は、メインレバーとリンク回動軸とを結ぶワイヤ又はリンクであってもよい。例えば、伝達機構70は、メインレバー50の上方に鉤型に突出させ、メインレバー50の移動により、回転軸63又は連結軸63Eを下方に引掛けてもよい。この構成によると、鉤型と回転軸63又は連結軸の間隙により、ホルダ規制機構60が遅れて作動し適切なタイミングで、座台本体42から飛翔体20が分離することができる。
【0352】
第1実施形態において、飛翔体20のコネクタ24は、ホルダ80よりも後方に離れて位置していてもよい。この場合、アンビリカルコネクタ分離機構90はホルダ80より後方に取り付く。
【0353】
第3実施形態において、座台240は、第1実施形態で説明したメインレバーロックバー58を備えてもよい。この場合、アーミングワイヤの延出端部がメインレバーに支持されていてもよい。これにより、メインレバー250が待機位置に保たれればアーミングワイヤが飛翔体から引抜かれず、メインレバー250が斜め位置に移動すると、アーミングワイヤが飛翔体から引抜かれ得る。よって、アーミングロックバー258およびアーミング保持機構は省略されてもよい。
【0354】
上記各実施形態において、格納部32、132が左右に並べて配置され、座台40及び飛翔体20が左右に並べて配置されてもよい。
【0355】
上記各実施形態において、格納部32、132が上下に重ねて配置され、座台40及び飛翔体20が上下に並べて配置されてもよい。
【0356】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0357】
本明細書及び図面は下記の各態様を開示している。
【0358】
第1の態様は、航空機から飛翔体と共に発射される飛翔体用座台であって、前記飛翔体の長手方向に沿って延びる長尺形状に形成され、一方主面側に前記飛翔体を支持する支持面を有する座台本体と、前記飛翔体を前記支持面上に拘束する拘束位置から前記支持面からの前記飛翔体の解放を許容する解放位置に位置変更可能なホルダと、前記ホルダを前記拘束位置に留める規制位置から、前記ホルダが前記拘束位置から前記解放位置に位置変更するのを許容する規制解除位置に位置変更可能なホルダ規制機構と、長尺形状に形成されたメインレバーであって、前記座台本体に回動可能に支持された回動支持部と抽出傘連結部とを含み、前記回動支持部と前記抽出傘連結部とが前記メインレバーの長手方向に沿って離れて位置し、前記回動支持部の周りに回動することで、前記座台本体に沿う待機位置から前記座台本体に対して斜めになる斜め位置に位置変更するメインレバーと、前記抽出傘連結部に連結され、空中における展開によって前記メインレバーを介して、前記飛翔体用座台に、前記飛翔体の発射方向への引張荷重を与える抽出傘と、前記メインレバーが前記斜め位置に向かう力を、前記ホルダ規制機構を前記規制位置から前記規制解除位置に位置変更させる力として前記ホルダ規制機構に伝達する伝達機構と、を備える。
【0359】
この飛翔体用座台によると、抽出傘によって飛翔体用座台が航空機から発射されると、抽出傘によってメインレバーが座台本体から見て斜め位置に向かうように回動する。すると、メインレバーが座台に対して相対的に斜め位置となる方向に向う力が、伝達機構を介して、ホルダ規制機構を規制位置から規制解除位置に位置変更させる力として、ホルダ規制機構に伝達される。これにより、ホルダが解放位置に位置変更でき、ホルダによる飛翔体の拘束状態が解除される。もって、飛翔体用座台と飛翔体との分離が、より適切なタイミングでなされる。
【0360】
第2の態様は、第1の態様に係る飛翔体用座台であって、前記座台本体は、前記ホルダを支持するホルダ支持部を含み、前記ホルダは、前記ホルダ支持部によって、前記飛翔体のうち前記座台本体側に位置する係止対象部を係止する前記拘束位置と、前記係止対象部に対する係止を解除する前記解放位置との間で位置変更可能に支持されるフックであってもよい。
【0361】
これにより、この飛翔体用座台によると、座台本体と飛翔体との間で、フックを飛翔体の係止対象部に係脱することで、飛翔体を拘束したり解放したりできる。このため、飛翔体の外形状に影響され難い。
【0362】
第3の態様は、第2の態様に係る飛翔体用座台であって、前記座台本体は、前記飛翔体側を向く飛翔体向き面を含み、前記座台本体は、前記飛翔体向き面よりも前記飛翔体の近くに位置する前記支持面で前記飛翔体を支持する飛翔体位置決め部をさらに含む。
【0363】
これにより、飛翔体向き面から離れた位置で、飛翔体位置決め部によって飛翔体を安定して支持し易い。
【0364】
第4の態様は、第2または第3の態様に係る飛翔体用座台であって、前記フックは、前記ホルダ規制機構と接触する接触部を有し、前記フックを前記解放位置に向けて付勢する付勢体をさらに備え、前記ホルダ規制機構は、前記フックを前記拘束位置に留めるように前記接触部に接触するフック規制部と、前記メインレバーの変位を受けて前記フックを前記拘束位置に留める状態を解除するフック規制解除部と、を含んでもよい。
【0365】
これにより、フック規制部が接触部に接触することで、フックを拘束位置に留めることができる。フック規制解除部は、メインレバーの変位を受けて、フック規制部がフックを拘束位置に留める状態を解除できる。
【0366】
第5の態様は、第4の態様に係る飛翔体用座台であって、前記フックは、互いに平行な回動軸周りに回動可能な第1フックと第2フックとを有し、前記フック規制部は、前記第1フックを前記拘束位置に留める第1フック規制部と、前記第2フックを前記拘束位置に留める第2フック規制部とを有し、前記ホルダ規制機構は、前記第1フック規制部と前記第2フック規制部とに連結された連結リンク要素を含み、前記フック規制解除部が前記メインレバーの変位を受けると、前記連結リンク要素が前記第1フック規制部と前記第2フック規制部とを同期移動させて、前記第1フックと前記第2フックとを前記拘束位置に留める状態を解除するものである。
【0367】
これにより、第1フックと第2フックとによって飛翔体を安定して拘束できる。連結リンク要素によって、第1フック規制部と第2フック規制部とが同期移動して、第1フックと第2フックとを拘束位置に留める状態を解除するため、飛翔体が円滑に飛翔体用座台から解放される。
【0368】
第6の態様は、第2から第5のいずれか1つの態様に係る飛翔体用座台であって、前記座台本体に支持されて、ワイヤ端部保持位置と、ワイヤ端部解放位置との間で位置変更するアーミングロックバーと、前記アーミングロックバーが前記ワイヤ端部保持位置に位置する状態で、アーミングワイヤの延出端部を保持し、前記アーミングロックバーが前記ワイヤ端部解放位置に位置する状態で、前記アーミングワイヤの延出端部を解放する、ワイヤ端部保持機構と、をさらに備える。
【0369】
これにより、アーミングロックバーの変位によって、アーミングワイヤの端部を保持する状態を切替えできる。
【0370】
第7の態様は、第6の態様に係る飛翔体用座台であって、前記ワイヤ端部保持機構は、第1ワイヤ保持体と、前記第1ワイヤ保持体に接触する接触位置と、前記第1ワイヤ保持体から離れる離間位置との間で移動する第2ワイヤ保持体と、前記第2ワイヤ保持体を前記第1ワイヤ保持体に向けて付勢するワイヤ保持用付勢体と、前記接触位置から前記離間位置への前記第2ワイヤ保持体の移動を規制する保持体固定位置と、前記接触位置から前記離間位置への前記第2ワイヤ保持体の移動を許容する保持体解放位置との間で移動する移動規制部材と、前記アーミングロックバーの変位を受けて前記移動規制部材を前記保持体固定位置から前記保持体解放位置に向けて移動させるワイヤ用伝達機構と、含むものである。
【0371】
これにより、ワイヤ保持用付勢体によって第2ワイヤ保持体を第1ワイヤ保持体に向けて付勢し、かつ、移動規制部材によって第2ワイヤ保持体が第1ワイヤ保持体に接触した状態に保たれる。これにより、アーミングワイヤの端部を第2ワイヤ保持体に引っ掛けて保持する状態に保てる。このため、飛翔体用座台から分離する飛翔体からアーミングワイヤを引抜ける。
【0372】
また、移動規制部材が保持体解放位置に移動すると、第2ワイヤ保持体はワイヤ保持用付勢体の付勢力に抗して第1ワイヤ保持体から離れる方向に移動できる。アーミングワイヤの端部が強く引っ張られれば、アーミングワイヤの端部は、第1ワイヤ保持体と、当該第1ワイヤ保持体から離れた第2ワイヤ保持体との間を通って抜出てワイヤ端部保持機構から解放され得る。このため、飛翔体用座台から分離する飛翔体に、アーミングワイヤを挿入したままの状態とすることができる。
【0373】
第8の態様は、第7の態様に係る飛翔体用座台であって、前記第1ワイヤ保持体または前記第2ワイヤ保持体は、先端側に向けて徐々に細くなる先細り形状部分を有する。
【0374】
これにより、アーミングワイヤの端部が強く引っ張られると、当該アーミングワイヤの端部が先細り形状部分に接触して、第1ワイヤ保持体と第2ワイヤ保持体との間に入り込み易くなり、第2ワイヤ保持体が第1ワイヤ保持体から離れる方向に移動し易くなる。これにより、アーミングワイヤの端部が円滑に解放される。
【0375】
第9の態様は、第1の態様に係る飛翔体用座台であって、前記ホルダ規制機構は、前記ホルダを前記拘束位置に留めるオーバーセンタリンク機構であり、前記オーバーセンタリンク機構は、リンク回動軸を介して連結された複数のリンク要素を含み、前記複数のリンク要素が前記座台本体と前記ホルダとの間に介在した状態でオーバーセンタ状態となって前記ホルダを前記拘束位置に留める。
【0376】
第9の態様によると、オーバーセンタリンク機構がオーバーセンタ状態となることで、ホルダを拘束位置により確実に留めることができる。
【0377】
第10の態様は、第9の態様に係る飛翔体用座台であって、前記ホルダ規制機構は、前記オーバーセンタリンク機構として、第1隣接オーバーセンタリンク機構と第2隣接オーバーセンタリンク機構とを含み、前記第1隣接オーバーセンタリンク機構の前記リンク回動軸と前記第2隣接オーバーセンタリンク機構の前記リンク回動軸とが同一直線上に位置しており、前記ホルダ規制機構は、前記第1隣接オーバーセンタリンク機構の前記リンク回動軸と前記第2隣接オーバーセンタリンク機構の前記リンク回動軸とを連結する連結軸をさらに含む。
【0378】
第10の態様によると、第1隣接オーバーセンタリンク機構のリンク回動軸と第2隣接オーバーセンタリンク機構のリンク回動軸とが同一直線上に位置し、連結軸によって連結されているため、第1隣接オーバーセンタリンク機構と第2隣接オーバーセンタリンク機構とが一括して動作し易い。
【0379】
第11の態様は、第9又は第10の態様に係る飛翔体用座台であって、前記ホルダ規制機構は、前記オーバーセンタリンク機構として、第1対向オーバーセンタリンク機構と第2対向オーバーセンタリンク機構とを含み、前記第1対向オーバーセンタリンク機構の前記リンク回動軸と前記第2対向オーバーセンタリンク機構の前記リンク回動軸とが互いに平行であり、前記ホルダ規制機構は、前記第1対向オーバーセンタリンク機構の前記リンク回動軸から突出する第1突出軸と、前記第2対向オーバーセンタリンク機構の前記リンク回動軸から突出する第2突出軸と、をさらに含み、前記第1突出軸と前記第2突出軸とが互いに平行であり、前記伝達機構は、前記第1突出軸と前記第2突出軸とに一括して力を伝達する伝達バーを含む。
【0380】
第11の態様によると、第1隣接オーバーセンタリンク機構のリンク回動軸と第2隣接オーバーセンタリンク機構のリンク回動軸とが平行である場合に、伝達バーから第1突出軸と第2突出軸とを経由して複数のリンク回動軸に一括して力を伝達することによって、第1対向オーバーセンタリンク機構と第2対向オーバーセンタリンク機構とが一括して動作し易い。
【0381】
第12の態様は、第1、第9から第11のいずれか1つの態様に係る飛翔体用座台であって、前記伝達機構は、前記メインレバーの回動に伴って回転する伝達軸と、前記伝達軸からその軸方向に対して交差する方向に延出し、前記伝達軸の回転に応じて回動して、前記ホルダ規制機構に力を伝達する伝達レバーと、を含む。
【0382】
第12の態様によると、伝達軸の回動に応じて伝達レバーを大きく変位させることができる。このため、伝達レバーの変位によってホルダ規制機構が動作し易い。
【0383】
第13の態様は、第12の態様に係る飛翔体用座台であって、前記伝達機構は、第1伝達用リンク要素と前記第1伝達用リンク要素に連結された第2伝達用リンク要素とを含み、前記第1伝達用リンク要素が前記メインレバーに連結され、前記第2伝達用リンク要素が前記伝達軸に連結されたメインレバーリンク機構とされている。
【0384】
第13の態様によると、メインレバーリンク機構の設置位置、長さ等によって、メインレバーの回動に対する伝達軸の回転量が調整される。
【0385】
第14の態様は、第12又は第13の態様に係る飛翔体用座台であって、前記伝達軸は、周方向において部分的な凸部を有し、前記伝達レバーと前記伝達機構のうちの一方が、前記伝達軸が回動可能に挿通される挿通孔と、前記挿通孔の周りで部分的に位置する受部とを有し、前記メインレバーが前記待機位置から前記斜め位置に回動する途中で、前記凸部が前記受部に接触して前記伝達レバーを回動させるものである。
【0386】
第14の態様によると、メインレバーが回動し始めてから伝達レバーを回動させて、ホルダ規制機構を動作させることができる。これにより、メインレバー回動開始後に遅れて、ホルダ規制機構を規制解除位置に位置させることができる。
【0387】
第15の態様は、第9から第14のいずれか1つの態様に係る飛翔体用座台であって、前記ホルダ規制機構が前記規制位置に位置する状態で、前記オーバーセンタリンク機構と、前記座台本体若しくは前記ホルダとの間に介在する楔部をさらに備え、前記メインレバーが前記待機位置から前記斜め位置に回動開始後、前記楔部が前記オーバーセンタリンク機構と、前記座台本体若しくは前記ホルダとの間から離脱するものである。
【0388】
第15の態様によると、楔部によって、オーバーセンタリンク機構各部の遊びの部分が寄せられて回動を許す空間がなくなることで、ホルダ規制機構が規制位置に位置する状態に保たれる。
【0389】
第16の態様は、第1から第15のいずれか1つの態様に係る飛翔体用座台であって、前記ホルダを、前記拘束位置から前記解放位置に向けて付勢する付勢体をさらに備える。
【0390】
第16の態様によると、ホルダがより確実に解放位置に向けて移動する。
【0391】
第17の態様は、第1、第9から第16のいずれか1つの態様に係る飛翔体用座台であって、前記ホルダが、前記座台本体の両側に設けられ、前記座台本体の上側で開閉可能な一対の分割ホルダを含み、前記一対の分割ホルダが、それらの合せ目に、前記飛翔体のうち前記座台本体の反対側に突出する飛翔体側凸部を受け入れる位置決め凹部を有する。
【0392】
この場合、飛翔体側凸部が一対の分割ホルダの位置決め凹部に嵌まることによって、飛翔体が座台本体上で一定位置に保持される。
【0393】
第18の態様は、第1、第9から第17のいずれか1つの態様に係る飛翔体用座台であって、前記ホルダは、前記座台本体に対して前記飛翔体を介して対向する位置に設けられた座台側アンビリカルコネクタを有し、前記メインレバーが前記待機位置から前記斜め位置に回動することで引っ張られる引張り力伝達部と、前記引張り力伝達部が引っ張られると、前記座台側アンビリカルコネクタを前記飛翔体から離れる方向に移動させる中間伝達部と、を含むアンビリカルコネクタ分離機構をさらに備える。
【0394】
これにより、メインレバーが斜め位置に回動することで、座台側アンビリカルコネクタを、飛翔体から分離させることができる。
【0395】
第19の態様は、第1から第18のいずれか1つの態様に係る飛翔体用座台であって、前記座台本体及び前記メインレバーの一方に、前記メインレバー又は前記座台本体に係止して前記メインレバーを前記待機位置に保つメインレバー規制位置と、前記メインレバー又は前記座台本体からの係止を解除して前記メインレバーを前記待機位置から前記斜め位置に移動可能にするメインレバー規制解除位置との間で位置変更可能なメインレバーロックバーをさらに備える。
【0396】
第19の態様によると、飛翔体用座台が飛翔体と共に発射されるときに、メインレバーロックバーの位置によって、メインレバーを待機位置に保つ状態と、斜め位置に移動可能にする状態とに切り替えられる。
【0397】
第20の態様に係る飛翔体発射システムは、航空機に搭載される飛翔体発射システムであって、第1から第19のいずれか1つの態様に係る飛翔体用座台と、前記飛翔体用座台を格納する格納部と、前記抽出傘を格納し、前記抽出傘を放出する放出部と、前記放出部による前記抽出傘の放出動作を制御する発射指令装置と、を備える。
【0398】
この飛翔体発射システムによると、発射指令装置に指令に応じて放出部から抽出傘を放出すると、飛翔体用座台及び飛翔体が、格納部から発射される。
【0399】
第21の態様は、第20の態様に係る飛翔体発射システムであって、前記飛翔体用座台は、前記座台本体及び前記メインレバーの一方に、前記メインレバー又は前記座台本体に係止して前記メインレバーを前記待機位置に保つメインレバー規制位置と、前記メインレバー又は前記座台本体からの係止を解除して前記メインレバーを前記待機位置から前記斜め位置に移動可能にするメインレバー規制解除位置との間で位置変更可能なメインレバーロックバーをさらに備え、前記格納部から前記航空機外に向けて移動する前記飛翔体用座台の移動経路の途中に位置し、前記移動経路に沿って移動する前記飛翔体用座台の前記メインレバーロックバーに接触して前記メインレバーロックバーの位置を切替える切替位置と、前記移動経路に沿って移動する前記飛翔体用座台の前記メインレバーロックバーとの接触を回避する切替回避位置との間で移動可能な切替作動片を含むメインレバー切替部をさらに備え、前記発射指令装置は、前記メインレバー切替部を制御して前記切替作動片の位置を制御する。
【0400】
この場合、飛翔体発射システムの発射指令装置の制御によって、飛翔体用座台及び飛翔体の発射時に、飛翔体用座台と飛翔体とを分離させるかどうかを制御することができる。
【0401】
第22の態様は、航空機に搭載される飛翔体発射システムであって、第6から第8のいずれか1つの飛翔体用座台と、前記飛翔体用座台を格納する格納部と、前記抽出傘を格納し、前記抽出傘を放出する放出部と、前記放出部による前記抽出傘の放出動作を制御する発射指令装置と、前記格納部から前記航空機外に向けて移動する前記飛翔体用座台の移動経路の途中に位置し、前記移動経路に沿って移動する前記飛翔体用座台の前記アーミングロックバーに接触して前記アーミングロックバーの位置を切替える切替位置と、前記移動経路に沿って移動する前記飛翔体用座台の前記アーミングロックバーとの接触を回避する切替回避位置との間で移動可能な切替作動片を含むアーミングロックバー切替部をさらに備え、前記発射指令装置は、前記アーミングロックバー切替部を制御して前記切替作動片の位置を制御する、飛翔体発射システムである。
【0402】
これにより、飛翔体発射システムの発射指令装置の制御によって、アーミングワイヤを飛翔体用座台に保持した状態とするか解放させるかを制御することができる。
【0403】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0404】
10 航空機
20、220 飛翔体
22 飛翔体側凸部
24 飛翔体側アンビリカルコネクタ
28 抽出傘
30、130、230 飛翔体発射システム
32、132 格納部
33 放出部
34 発射指令装置
36 メインレバー切替部
36a 切替作動片
38 座台側アンビリカルコネクタ
40、240 飛翔体用座台
42、242 座台本体
43F 支持面
50、250 メインレバー
54、254 回動支持部
55、255 抽出傘連結部
58 メインレバーロックバー
59 楔部
60、260 ホルダ規制機構
61、62 リンク要素
63 リンク回動軸
63E 連結軸
64 オーバーセンタリンク機構
70 伝達機構
72 伝達軸
72P 凸部
74 伝達レバー
74P 受部
74h 挿通孔
76 メインレバーリンク機構
76a 第1伝達用リンク要素
76b 第2伝達用リンク要素
79 伝達バー
80 ホルダ
82 分割ホルダ
82g 位置決め凹部
83 回動支持部
88 付勢体
90 アンビリカルコネクタ分離機構
92 引張り力伝達部
96 中間伝達部
222 係止対象部
236 アーミングロックバー切替部
236a 切替作動片
244f 飛翔体向き面
245 ホルダ支持部
246 飛翔体位置決め部
246f 支持面
258 アーミングロックバー
261 フック規制部
261A 第1フック規制部
261B 第2フック規制部
262 連結リンク要素
263 フック規制解除部
270 伝達機構
274 ワイヤ用伝達機構
278 切替レバー
279 付勢体
280 ホルダ
280A 第1フック
280B 第2フック
284 接触部
285 付勢力受部
286 付勢体
290 ワイヤ端部保持機構
291 ワイヤ保持本体機構
292 第1ワイヤ保持体
293 第2ワイヤ保持体
293a 先細り形状部分
294 ワイヤ保持用付勢体
295 移動規制部材
WA アーミングワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
図12
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図15
図16
図17
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図19
図20
図21
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図26
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図28
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図30