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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007024
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】浸水検知方法および浸水検知システム
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/00 20060101AFI20240111BHJP
   G01N 22/00 20060101ALI20240111BHJP
   G01N 22/04 20060101ALI20240111BHJP
   G01S 13/88 20060101ALI20240111BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20240111BHJP
   G01C 13/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
G01W1/00 J
G01N22/00 S
G01N22/04 Z
G01S13/88
G01B21/00 T
G01C13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108150
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯村 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】大野 剛
(72)【発明者】
【氏名】高山 百合子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 一教
【テーマコード(参考)】
2F069
5J070
【Fターム(参考)】
2F069AA43
2F069BB24
2F069DD19
2F069GG04
2F069GG08
2F069GG62
2F069QQ01
5J070AB24
5J070AE07
5J070AF01
5J070BD08
(57)【要約】
【課題】浸水状況を的確に把握することができる浸水検知システムを提供する。
【解決手段】浸水検知システム1であって、検知対象面50を撮影する撮影部11と、検知対象面50に向けてミリ波を照射する照射部12と、検知対象面50で反射したミリ波の反射波を受信する受信部13と、反射波の強度に基づいて浸水範囲A2を検出する浸水検出部21と、を備えている。照射部12は、ミリ波の照射中心軸線L1に対して縦方向に扇状に広がるようにミリ波を照射可能であり、照射中心軸線L1が検知対象面50に対して傾斜するように、照射部12からミリ波が照射される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリ波の照射中心軸線が検知対象面に対して傾斜するとともに、前記照射中心軸線に対して前記ミリ波を扇状に広がるように、浸水検知システムの照射部から前記検知対象面に向けて前記ミリ波を照射する段階と、
前記浸水検知システムの受信部で受信した前記ミリ波の反射波の強度に基づいて、前記浸水検知システムの浸水検出部が浸水範囲を検出する段階と、を備えていることを特徴とする浸水検知方法。
【請求項2】
前記浸水検知システムの画像表示部に前記検知対象面の画像を表示し、
前記検知対象面の画像に、前記浸水範囲および非浸水範囲を濃淡で区画して表示することを特徴とする請求項1に記載の浸水検知方法。
【請求項3】
検知対象面を撮影する撮影部と、
前記検知対象面に向けてミリ波を照射する照射部と、
前記検知対象面で反射した前記ミリ波の反射波を受信する受信部と、
前記反射波の強度に基づいて浸水範囲を検出する浸水検出部と、を備え、
前記照射部は、前記ミリ波の照射中心軸線に対して縦方向に扇状に広がるように前記ミリ波を照射可能であり、
前記照射中心軸線が前記検知対象面に対して傾斜するように、前記照射部から前記ミリ波が照射されることを特徴とする浸水検知システム。
【請求項4】
前記照射部は、前記照射中心軸線に対して縦方向および横方向に扇状に広がるように前記ミリ波を照射可能であることを特徴とする請求項3に記載の浸水検知システム。
【請求項5】
前記撮影部で撮影した前記検知対象面の画像に、前記浸水範囲を重ねた浸水画像データを作成するデータ作成部を備えていることを特徴とする請求項3に記載の浸水検知システム。
【請求項6】
前記浸水画像データを画面に表示する画像表示部を備え、
前記画像表示部は、
前記検知対象面の画像に、前記浸水範囲および非浸水範囲を濃淡で区画して表示することを特徴とする請求項5に記載の浸水検知システム。
【請求項7】
前記浸水検出部は、
前記反射波の強度が閾値以下の場合に浸水状態と判定することを特徴とする請求項3に記載の浸水検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知対象面の浸水範囲を検知する浸水検知方法および浸水検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
雨水による道路の浸水や湧き水による建設現場の浸水など、地面の浸水を検知する浸水検知システムとしては、マイクロ波を検知対象面に対して垂直に照射し、その反射波の強度に基づいて検知対象面の水分を検出しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-235555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の浸水検知システムでは、検知対象面の1点における水分の変化を検出しており、検知対象面の水分を線的および面的に検出することができない。したがって、従来の浸水検知システムでは、検知対象面の浸水範囲と非浸水範囲との境界を判断することができないため、浸水状況を把握し難いという問題がある。
本発明は、前記した問題を解決し、検知対象面の浸水状況を的確に把握することができる浸水検知方法および浸水検知システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、浸水検知方法であって、ミリ波の照射中心軸線が検知対象面に対して傾斜するとともに、前記照射中心軸線に対して前記ミリ波を扇状に広がるように、浸水検知システムの照射部から前記検知対象面に向けて前記ミリ波を照射する段階と、前記浸水検知システムの受信部で受信した前記ミリ波の反射波の強度に基づいて、前記浸水検知システムの浸水検出部が浸水範囲を検出する段階と、を備えている。
前記課題を解決するため、本発明は、浸水検知システムであって、検知対象面を撮影する撮影部と、前記検知対象面に向けてミリ波を照射する照射部と、前記検知対象面で反射した前記ミリ波の反射波を受信する受信部と、前記反射波の強度に基づいて浸水範囲を検出する浸水検出部と、を備えている。前記照射部は、前記ミリ波の照射中心軸線に対して縦方向に扇状に広がるように前記ミリ波を照射可能であり、前記照射中心軸線が前記検知対象面に対して傾斜するように、前記照射部から前記ミリ波を照射可能である。
本発明の浸水検知方法および浸水検知システムでは、ミリ波を検知対象面に向けて照射し、その反射波の強度に基づいて浸水を検出している。ミリ波は、1mmから10mmの短い波長の電磁波であり、非常に大きな情報量を伝送することができる。また、ミリ波は、水面に対して傾斜した状態で照射したときに、反射波の強度が大きく低下する。このような特性のミリ波を用いた浸水検知方法および浸水検知システムでは、検知対象面の浸水の有無を精度良く検出することができる。
また、本発明の浸水検知方法および浸水検知システムでは、ミリ波の照射中心軸線に対して縦方向に扇状に広がるようにミリ波を照射可能であり、かつ、ミリ波の照射中心軸線が検知対象面に対して傾斜している。このようにすると、検知対象面にミリ波が線状に照射される。これにより、本発明の浸水検知方法および浸水検知システムでは、検知対象面上の線状の範囲について浸水の有無を検出することができるため、検知対象面における浸水範囲と非浸水範囲との境界を把握することができる。
なお、前記照射部から前記照射中心軸線に対して縦方向および横方向に扇状に広がるように前記ミリ波を照射してもよい。
このように、照射部から三次元的にミリ波を拡散させて照射した場合には、検知対象面上の面状の範囲について浸水の有無を検出することができるため、検知対象面における浸水範囲と非浸水範囲との境界を面的に把握することができる。
【0006】
前記した浸水検知方法において、前記浸水検知システムの画像表示部に前記検知対象面の画像を表示し、前記検知対象面の画像に、前記浸水範囲および非浸水範囲を濃淡で区画して表示することで、検知対象面における浸水範囲と非浸水範囲との境界を画像で把握することができる。
前記した浸水検知システムが、前記撮影部で撮影した前記検知対象面の画像に、前記浸水範囲を重ねた浸水画像データを作成するデータ作成部を備えている場合には、検知対象面における浸水範囲と非浸水範囲との境界を画像で把握することができる。
さらに、前記した浸水検知システムが、前記浸水画像データを画面に表示する画像表示部を備えている場合には、前記検知対象面の画像に、前記浸水範囲および非浸水範囲を濃淡で区画して表示することで、検知対象面の浸水状況を把握し易くなる。
【0007】
前記した浸水検知システムにおいて、前記浸水検出部は、前記反射波の強度が閾値以下の場合に浸水状態と判定することができる。
この構成では、検知対象面の種類や周辺環境に応じて、検知対象面における浸水と非浸水との境界となる反射波の強度を閾値に設定することで、各種の検知対象面における浸水範囲と非浸水範囲との境界を精度良く検出することができる。
【0008】
なお、本発明の浸水検知システムを用いて、検知対象面の各地点の浸水の深さを検知することもできる。例えば、検知対象面が一定の勾配の斜面など、検知対象面の各地点の高低差を把握することができる場合には、本発明の浸水検知システムによって浸水範囲と非浸水範囲との境界を検出し、その境界位置に対する各地点の高低差に基づいて、検知対象面の各地点の浸水の深さを算出することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の浸水検知方法および浸水検知システムでは、ミリ波を用いて検知対象面上の所定範囲について浸水の有無を検出しており、検知対象面における浸水範囲と非浸水範囲との境界を精度良く検出することができるため、検知対象面の浸水状況を的確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る浸水検知方法に用いられる浸水検知システムを示した側面図である。
図2】本発明の実施形態に係る浸水検知システムの実験例を示した斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る浸水検知システムの実験例の構成図である。
図4】本発明の実施形態に係る浸水検知システムの実験例による浸水検知を示した図で、検知対象面全体が非浸水状態である場合の画像である。
図5】本発明の実施形態に係る浸水検知システムの実験例による浸水検知を示した図で、検知対象面の一部が浸水状態である場合の画像である。
図6】本発明の実施形態に係る浸水検知システムを用いて検知対象面の各地点の浸水の深さを算出する構成を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る浸水検知方法に用いられる浸水検知システムを示した側面図である。
本実施形態の浸水検知方法では、図1に示すように、湧水に伴う浸水が懸念される施工中のトンネル内、未舗装で水はけが悪い仮設道路または河川敷など浸水の可能性がある検知対象面50の浸水状況を検知する。図1に示す検知対象面50では、地面からの湧水によって、表面に浸水範囲A2が形成されている。
本実施形態の浸水検知方法では、まず、ミリ波の照射中心軸線が検知対象面に対して傾斜するように、浸水検知システム1の照射部12から検知対象面50に対してミリ波を三次元的に扇状に広がるように照射する。
続いて、浸水検知システム1の受信部13(図3参照)で受信したミリ波の反射波の強度に基づいて、浸水検知システム1の浸水検出部21(図3参照)が浸水範囲A2を検出する。
さらに、浸水検知システム1の画像表示部23(図3参照)の画面25(図3参照)に、検知対象面50の画像を表示し、その検知対象面50の画像に、浸水範囲A2および非浸水範囲A1を濃淡で区画して表示する。
【0012】
図2は、本発明の実施形態に係る浸水検知システムの実験例を示した斜視図である。
次に、本実施形態の浸水検知システム1の構成について、図2に示す浸水検知システム1の実験例に基づいて説明する。
本実施形態の浸水検知システム1の実験例は、図2に示すように、試験用に製作した検知対象面50の浸水状況を検知するものである。試験用の検知対象面50は、前後方向に延びている長方形の領域である。検知対象面50の前部は水平に形成され、後部は後方に向かうに連れて下がるように傾斜している。また、試験用の検知対象面50には砂利が敷き詰められている。つまり、試験用の検知対象面50には凹凸が形成されている。そして、図2に示す検知対象面50では、後部に浸水範囲A2が設けられ、前部は乾燥した非浸水範囲A1となっている。
【0013】
図3は、本発明の実施形態に係る浸水検知システムの実験例の構成図である。
浸水検知システム1は、図3に示すように、検知対象面50を撮影するとともに、ミリ波の送受信を行うレーダー装置10と、浸水画像データを作成し、浸水画像データを画面25に表示する端末装置20と、を備えている。
【0014】
レーダー装置10は、撮影部11と、ミリ波を照射する照射部12と、ミリ波の反射波を受信する受信部13と、を備えている。
レーダー装置10は、図2に示すように、検知対象面50の前端部に立設された支柱15の上端部に取り付けられている。
撮影部11は、図3に示すように、検知対象面50を上方から撮影するカメラであり、検知対象面50の画像データは端末装置20に出力される。
照射部12は、検知対象面50に向けてミリ波を照射するものである。ミリ波は、波長が1mmから10mmで、周波数が30GHzから300GHzの電磁波である。ミリ波を水面に対して傾斜した状態で照射したときには、その反射波の強度が大きく低下する。
照射部12は、検知対象面50に向けてミリ波を照射する。照射部12の向きは、ミリ波の照射中心軸線L1が検知対象面50に対して傾斜するように設定されている。
また、照射部12は、図2に示すように、照射中心軸線L1に対してミリ波を縦方向(上下方向)および横方向(左右方向)に扇状に広がるように照射する。つまり、照射部12から照射されたミリ波は、縦横に放射状に拡散されて三次元的に広がって検知対象面50に面状に照射される。
図3に示す受信部13は、検知対象面50で反射したミリ波の反射波を受信するものである。受信部13が受信した反射波の強度は端末装置20に出力される。
【0015】
本実施形態の浸水検知システム1では、図2に示すように、検知対象面50から2mの高さにレーダー装置10が設置されている。レーダー装置10の照射部12から照射されるミリ波の照射中心軸線L1は、検知対象面50に対して30度の角度で傾斜するように設定されている。また、照射部12から照射されるミリ波は、照射中心軸線L1に対して縦方向(上下方向)にそれぞれ10度の角度で扇状に広がるとともに、照射中心軸線L1に対して横方向(左右方向)にそれぞれ約15度の角度で扇状に広がるように設定されている。
これにより、照射部12から照射されたミリ波は、検知対象面50上に面状に照射されることになる。
【0016】
端末装置20は、図3に示すように、CPU、RAM、ROM、ディスプレイなどを備えているコンピュータであり、ROMなどに記憶されたプログラムをCPUが実行することで各部の作業が実現される。
端末装置20は、浸水範囲を検出する浸水検出部21と、浸水画像データを作成するデータ作成部22と、浸水画像データを画面25に表示する画像表示部23と、を備えている。
浸水検出部21は、反射波の強度に基づいて浸水範囲A2を検出するものである。浸水検出部21は、反射波の強度が閾値以下の場合には、ミリ波が水面で反射していると判断し、反射波の強度が閾値以下となる反射領域を、浸水範囲A2であると判定する。また、浸水検出部21は、反射波の強度が閾値よりも大きい場合には、ミリ波が非浸水面(乾燥面)で反射していると判断して、反射波の強度が閾値よりも大きくなる反射領域を、非浸水範囲A1であると判定する。
なお、浸水の有無を判定するための閾値は、予め実験により設定した値であり、端末装置20に記憶されている。この閾値は、検知対象面50の種類や周辺環境に応じて設定される。
データ作成部22は、撮影部11で撮影した検知対象面50の画像に、浸水範囲A2および非浸水範囲A1を重ねた浸水画像データを作成するものである。
画像表示部23は、浸水画像データに基づいて、検知対象面50の画像上に、浸水範囲A2および非浸水範囲A1を濃淡で区画して示した画像を画面25に表示する。
本実施形態では、反射波の強度が閾値よりも大きい非浸水範囲A1を濃い色で表示し、反射波の強度が閾値以下の浸水範囲A2を無色で表示している(図5参照)。
【0017】
次に、本実施形態の実験例の浸水検知システム1を用いて、試験用の検知対象面50の浸水状況の検知する手順について説明する。
図3に示すレーダー装置10では、撮影部11によって検知対象面50を撮影し、その画像データを端末装置20に出力する。
また、レーダー装置10の照射部12から検知対象面50にミリ波を照射し、検知対象面50で反射したミリ波の反射波を受信部13によって受信する。受信部13は、反射波の強度を端末装置20に出力する。
端末装置20の浸水検出部21では、反射波の強度が閾値以下となる浸水範囲を検出し、浸水範囲A2および非浸水範囲A1のデータをデータ作成部22に出力する。
データ作成部22では、撮影部11で撮影した検知対象面50の画像データに、浸水範囲A2および非浸水範囲A1を重ねた浸水画像データを作成し、その浸水画像データを画像表示部23に出力する。
画像表示部23では、浸水画像データに基づいて、検知対象面50の画像上に、浸水範囲A2および非浸水範囲A1を濃淡で区画して示した画像を、画面25に表示する。
【0018】
図4は、本発明の実施形態に係る浸水検知システムによる浸水検知を示した図で、検知対象面全体が非浸水状態である場合の画像である。図5は、本発明の実施形態に係る浸水検知システムによる浸水検知を示した図で、検知対象面の一部が浸水状態である場合の画像である。
図4に示すように、検知対象面50全体が非浸水範囲A1(乾燥状態)である場合には、検知対象面50全体に非浸水範囲A1が濃い色で重ねられる。
図5に示すように、検知対象面50の後部に浸水範囲A2が形成されている場合には、検知対象面50の後部(画面25の上部)に浸水範囲A2が無色で重ねられ、検知対象面50の前部(画面25の下部)に非浸水範囲A1が濃い色で重ねられる。
【0019】
以上のような浸水検知システム1および浸水検知方法では、図2に示すように、ミリ波を検知対象面50に照射している。ミリ波は、非常に大きな情報量を伝送可能であるとともに、水面に対して傾斜した状態で照射したときに反射波の強度が大きく低下するため、本実施形態の浸水検知システム1および浸水検知方法では、検知対象面50の浸水の有無を精度良く検出することができる。
本実施形態の浸水検知システム1および浸水検知方法では、上下方向および左右方向に扇状に広がるようにミリ波を照射するとともに、ミリ波の照射中心軸線L1が検知対象面50に対して傾斜している。
これにより、本実施形態の浸水検知システム1および浸水検知方法では、図5に示すように、検知対象面50上の浸水の有無を面的に検出することができるため、検知対象面50における浸水範囲A2と非浸水範囲A1との境界を面的に把握することができる。
本実施形態の浸水検知システム1および浸水検知方法では、反射波の強度が閾値以下の場合に浸水範囲A2と判定している。この構成では、検知対象面50の種類や周辺環境に応じて、検知対象面50における浸水と非浸水との境界となる反射波の強度を閾値に設定することで、各種の検知対象面50における浸水範囲A2と非浸水範囲A1との境界を精度良く検出することができる。
本実施形態の浸水検知システム1および浸水検知方法では、検知対象面50の画像に、浸水範囲A2および非浸水範囲A1を濃淡で区画して、画面25に表示するため、検知対象面50の浸水状況を把握し易い。
【0020】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態の浸水検知システム1では、図2に示す照射部12から照射されるミリ波が、縦方向および横方向に扇状に広がるように構成されているが、照射部12から照射されるミリ波が縦方向のみにおいて扇状に広がるように構成してもよい。この構成では、ミリ波が検知対象面50に線状の範囲で照射されるため、検知対象面50上の線状の範囲における浸水範囲A2と非浸水範囲A1との境界を検出することができる。
また、浸水検知システム1において、照射部12の設置高さ、ミリ波の照射中心軸線L1の検知対象面50に対する傾斜角度、ミリ波が扇状に広がる角度は、限定されるものではなく、検知対象面50の状態や周辺環境に応じて適宜に設定される。
【0021】
また、浸水検知システム1において、検知対象面50が一定の勾配の斜面など、検知対象面50の各地点の高低差を把握することができる場合には、図6に示すように、浸水範囲A2と非浸水範囲A1との境界を検出し、その境界位置に対する検知対象面50の各地点の高低差に基づいて、検知対象面50の各地点の浸水の深さを算出することもできる。
検知対象面の各地点の浸水の深さを検知することもできる。例えば、本発明の浸水検知システムによって浸水範囲と非浸水範囲との境界を検出し、その境界位置に対する各地点の高低差に基づいて、検知対象面の各地点の浸水の深さを算出することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 浸水検知システム
10 レーダー装置
11 撮影部
12 照射部
13 受信部
15 支柱
20 端末装置
21 浸水検出部
22 データ作成部
23 画像表示部
25 画面
50 検知対象面
A1 非浸水範囲
A2 浸水範囲
L1 照射中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6