(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070252
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】車両用レドーム
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/42 20060101AFI20240515BHJP
G01S 7/03 20060101ALI20240515BHJP
B60R 13/00 20060101ALI20240515BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20240515BHJP
G09F 13/18 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
H01Q1/42
G01S7/03 246
B60R13/00
H01Q1/32 Z
G09F13/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023191243
(22)【出願日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】22383082
(32)【優先日】2022-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】304034738
【氏名又は名称】サニーニ・オート・グルプ・ソシエダッド・アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イズキエルド フェルナンデス ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ラゴマチーニ ロレンテ ファン カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ペラルタ モラレス ジェルソン ジェイル
(72)【発明者】
【氏名】サナフヤ クロット ジョセップ
(72)【発明者】
【氏名】マイェール プハダス アウグスト
【テーマコード(参考)】
3D024
5C096
5J046
5J070
【Fターム(参考)】
3D024BA07
3D024BA15
5C096AA05
5C096BA01
5C096CA02
5C096CA22
5C096CA32
5C096CB01
5C096CC06
5C096CD02
5C096CD23
5C096CD34
5C096FA11
5C096FA20
5J046AA12
5J046AA13
5J046MA11
5J046RA03
5J070AB24
5J070AF03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光線を導くためのライトガイドの裏面に空隙を設ける必要のない車両用レドームを提供する。
【解決手段】光源と、透明層11および有色装飾層5からなるフロントユニット9と、ライトガイド13および反射用サブユニット14からなる反射光ガイドユニット10と、を備え、フロントユニット9と反射光ガイドユニット10との間に、ライトガイド13より屈折率の低い空気層16を有する車両用レドームであって、反射用サブユニット14は反射層を備え、フロントユニット9に対向する面でライトガイド13と一体に単一部品を形成する。ライトガイドの裏面に反射用ユニットを使用することで、ライトガイドの裏面に空隙を設ける必要がなくなり、裏面の空隙を除くことでレドームの伝搬性能は向上する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源(28)と、
透明層(11)および有色装飾層5を有するフロントユニット(9)と、
ライトガイド(13)および反射用サブユニット(14)を有する反射光ガイドユニット(10)を備え、
前記フロントユニット(9)と前記反射光ガイドユニット(10)との間に前記ライトガイド(13)より屈折率の低い空気層(16)を有する車両用レドームにおいて、
前記反射用サブユニット(14)は反射層(22)を備え、前記フロントユニット(9)に対向する面で前記ライトガイド(13)と一体に単一部品を形成する、車両用レドーム。
【請求項2】
前記反射用サブユニット(14)は光取り出し構造(21)をも備える、請求項1に記載の車両用レドーム。
【請求項3】
前記反射用サブユニット(14)は保護用不透明層(23)をも備える、請求項1又は2に記載の車両用レドーム。
【請求項4】
前記反射用サブユニット(14)は1層以上の薄板状の箔(24)をも備える、先の請求項のいずれかに記載の車両用レドーム。
【請求項5】
前記反射用サブユニット(14)は2層の前記薄板状の箔(24)を備え、前記反射層(22)は前記薄板状の箔(24)の間に配置される、請求項4に記載の車両用レドーム。
【請求項6】
前記反射層(22)は物理蒸着(PVD)マグネトロンスパッタリング法或いはプラズマ化学蒸着(PECVD)法により、前記ライトガイド(13)に形成される、請求項1、2或いは3に記載の車両用レドーム。
【請求項7】
前記フロントユニット(9)は金属調装飾層(6)をも備える、先の請求項のいずれかに記載の車両用レドーム。
【請求項8】
前記フロントユニット(9)は光輝領域(7)をも備える、先の請求項のいずれかに記載の車両用レドーム。
【請求項9】
前記フロントユニット(9)および/または前記反射光ガイドユニット(10)は前記空気層(16)に向いた突起部(15)を備える、先の請求項のいずれかに記載の車両用レドーム。
【請求項10】
前記フロントユニット(9)は非被覆領域(12)をも備える、先の請求項のいずれかに記載の車両用レドーム。
【請求項11】
前記フロントユニット(9)は凹部(17)をも備える、先の請求項のいずれかに記載の車両用レドーム。
【請求項12】
前記フロントユニット(9)は前記凹部(17)の内側に凹部用レベラー(20)を埋め込んでなる、請求項11に記載の車両用レドーム。
【請求項13】
前記反射光ガイドユニット(10)は前記フロントユニット(9)の前記凹部(17)と相補するフィラー凸部(18)を備える、請求項11に記載の車両用レドーム。
【請求項14】
前記有色装飾層(5)は前記反射光ガイドユニット(10)の前記突起部(15)と相補し、前記フロントユニット(9)と前記反射光ガイドユニット(10)とを接合するための穴部(19)を備える、請求項1に記載の車両用レドーム。
【請求項15】
周辺電子機器アセンブリ(25)の周辺不透明ハウジング(26)は、接着剤あるいは溶接(29、30)により前記有色装飾層5および前記反射用サブユニット(14)に接合する、先の請求項のいずれかに記載の車両用レドーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、際立って美的な外観を呈しつつ、自動運転を可能にするセンサを保護するための車両用、特に自動車のフロントグリルの背面に配置されるレーダ装置用のレドームに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ミリ波レーダ等の無線送受信機は、車両の接触回避および適応走行制御システム用センサとして用いられてきた。
【0003】
自動車の前方にある障害物を感知し、その障害物との距離を測定するレーダシステム等において、アンテナは、最大限の性能を発揮するため、車両前面の中央に設置することが好ましいとされていた。レーダアンテナは、自動車のフロントグリル近傍に取り付けることができたが、その外観が美的でないため、見えないように隠し、また、気候や気中浮遊汚染物質等の外的環境要素から遮蔽することが好ましかった。
【0004】
レドームは運転者支援システム内の重要な機能性と、レドームが通常、製造者のロゴを表わすため、車両の美観に大いに関係する効果を兼ね備えた部品である。レドームはレーダの前面に設置されて、レーダを隠して保護し、また、フロントグリルのように車両の視認可能な位置に設置される。
【0005】
自動運転のレベルをより高水準のものとするには、レーダが発信し受信する信号を伝搬させるレドームの性能を向上させることが必要である。その一方で、昨今の美観の傾向では、特に周囲光が弱い状況でエンブレムを目立たせるため、背後から光を当てる。この2番目の機能のため、レドームは複雑になりその伝搬能力が低下する可能性がある。
【0006】
一例として、DE102017214129A1が開示する車両用エンブレムは、斜線と中心線間に規定される視野において受発信されるレーダ波が3つのメインユニットとその間の2つの空隙を横断する必要がある。新世代のレーダにおいてその性能を向上させるには、レドームは減衰および角度誤差を低減させる必要があるがこれはこうした実施形態では達成できない。
【0007】
いくつかの空隙が存在するが、その厚みを調整する手段が存在しないとレドームのレーダ波伝搬能力に悪影響を与えるため、空隙の数、空隙の厚み、そしてその厚みにバラつきがあればそのバラつき、を低減する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、光線を導くためのライトガイドの裏面に空隙を設ける必要のない車両用レドームを提供することにある。
【0009】
発明のレドームでは、前記の不利点が解決され下記の利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の車両用レドームは、請求項1に記載される。付加される任意の特徴は従属項に含まれる。
【0011】
特に、本発明の車両用レドームは、
光源と、
透明層および有色装飾層を有するフロントユニットと、
ライトガイドおよび反射用サブユニットを有する反射光ガイドユニットを備え、
前記フロントユニットと前記反射光ガイドユニットとの間に前記ライトガイドより屈折率の低い空気層を有し、
前記反射用サブユニットは反射層を備え、前記フロントユニットに対向する面で前記ライトガイドと一体に単一部品を形成する。
【0012】
さらに、前記反射用サブユニットは、
光取り出し構造、
保護用不透明層、および/または
例えば、2層の薄板状のポリマー箔といった1層以上の薄板状のポリマー箔をも備えることができ、前記反射層は前記薄板状のポリマー箔の間に取り付けられる。
【0013】
前記フロントユニットは、
穴部を設けることもできる有色装飾層、
金属調装飾層、
光輝領域、
非被覆領域および/または、
凹部をも備えることができる。
【0014】
さらに、前記フロントユニットおよび/または反射光ガイドユニットは、ライトガイドより低い屈折率を有する層である低屈折率層、に向いた突起部をも備えることができる。
【0015】
前記フロントユニットは、前記凹部の内側に凹部用レベラーを埋め込んでもよく、あるいは前記反射光ガイドユニットは前記フロントユニットの凹部と相補するフィラー凸部を備えることができる。
【0016】
前記ライトガイドの背後で単一部品をなす反射ユニットを使用することで、光線を導くためのライトガイドの裏面に空隙を設ける必要がなくなり、背後の空隙を設けないことでレドームの伝搬性能を向上させる。
【0017】
さらに、互いに向き合うフロントユニットおよび/またはライトガイドユニットの表面に突起部を設けることで、非常に薄く調整された空隙で相互を強固に一体化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
開示の内容をよりよく理解するため、図面には概略的に、また、単に非限定的な例として実施例を示す。
【
図1】本発明により構築され、本発明を具現しているレドームをグリルアセンブリ内に配置し、レドームの背面にレーダアンテナを配置した車両の部分等角図である。
【
図2】製造者のエンブレムが有色領域、金属調領域、光輝領域の対比により識別できる、レドームの正面図である。
【
図3】エンブレムの2次元の外観を提供する、視野内の2つのメインユニットの第1実施例を示す、
図2のA-Aにおける概略的断面の分解組立図である。
【
図4】エンブレムの3次元の外観を提供する、視野内の2つのメインユニットの第2実施例を示す、
図2のA-Aにおける概略的断面の分解組立図である。
【
図5】エンブレムの3次元の外観を提供する、視野内の2つのメインユニットの第3実施例を示す、
図2のA-Aにおける概略的断面の分解組立図である。
【
図6】
図3乃至
図5における細部Aの反射用サブユニットの第1実施例の概略的断面図である。
【
図7】
図3乃至
図5における細部Aの反射用サブユニットの第2実施例の概略的断面図である。
【
図8】
図3乃至
図5における細部Aの反射用サブユニットの第3実施例の概略的断面図である。
【
図9】
図3乃至
図5における細部Aの反射用サブユニットの第4実施例の概略的断面図である。
【
図10】周辺電子機器アセンブリを示す、
図2のB-Bにおける概略的断面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、図面を詳細に参照するが、図面全体を通じて同様の番号は同様の構成要素を指すのに使用されており、
図1に示されるように、参照番号1は全体を通して、自動車3のグリルアセンブリ2内に設けるよう構成された、本発明により構築され、本発明を具現している装飾レドームを指す。
【0020】
車両3の内部、装飾レドーム1の背面にこれと位置合わせされて、レーダアンテナ4が配置されている。
【0021】
図2は、レドーム1の正面図であって、ひとまとまりで、例えば、製造者のエンブレムを示す、有色装飾層5、金属調装飾層6、光輝領域7が見える。レドーム1は、不連続線で囲まれた前記視野8内で保護されたレーダアンテナ4により発信、受信される信号の伝搬性能を保持する。
【0022】
レドームの伝搬性を向上させるため、前記視野8の領域に低屈折率層16により分離される2つのメインユニットがある。「低屈折率層」というのはこの層16の屈折率が前記ライトガイドの屈折率より低いということである。前記メインユニットのひとつは前記反射光ガイドユニット10であり、前記ライトガイドの片面に高反射率を有する材料を含み、前記メインユニットのもう一つはフロントユニット9である。ユニット9および10の両者は、薄く、調整された低屈折率層16を両者の大部分の対向面間に残して接合される。前記低屈折率層16は空気を含むものであってよい。
【0023】
低屈折率層16を設けるのは光線をライトガイドを通して適切に伝搬するためである。低屈折率層16は空気により構成されるが、様々な低屈折率材でなり、空気のみでも他材料との組み合わせもある。低屈折率の適切な値は1.4より小さく、好ましくは1.2より小さい。空気の屈折率は1.0である。しかしながら、低屈折率層16は、その周囲の材料とは異なる誘電特性を有する可能性が高いため、最小の大きさで、できる限り一定の厚みとする。結果として、一方の面に高反射率材を、その対向面に低屈折率材を有する構成により、光線はライトガイドを通って導かれる。
【0024】
全般にすべての図面を通じ、各層間の相関は桁ちがいであるため層毎に厚みの縮尺比を合わせていない。一つの部品について前面、表面とあれば、車両の外部のレドームの前にいる外部オブザーバーに近い面と理解され、部品の後面、裏面とあれば、レーダ4に近い面と理解される。
【0025】
図3は、本発明のレドームの第1実施例を示す。2つのメインユニット9および10は、接合前の状態として分解組立図で示される。本実施例は、
図2におけるA-Aに沿った断面に相当し、前記視野8を示す。本実施例はエンブレムに2次元の外観を与えることができる。
【0026】
フロントユニット9は車両3の外側を向き、反射光ガイドユニット10はレーダと向かい合う。前記フロントユニット9は、可視光、および保護レーダ4により送受信される信号の両者に対し高透過性能を有する材料でなる透明層11を備える。前記透明層11は、ポリカーボネート(PC)のようなプラスチック樹脂製でよく、通常、射出成型で成形される。
【0027】
前記有色装飾層5は、前記保護レーダ4により送受信される信号に対する高い透過性を維持する一方、可視光に対しては不透過性を備える。前記有色装飾層は、幾分かの非被覆領域12を残して部分的に透明層11を覆っている。前記有色装飾層は、ホットスタンプ、パッド印刷、シルクスクリーン印刷あるいは他の製造方法で装飾を印刷して形成する。この印刷工程では、前記有色装飾層5から一部の前記非被覆領域12を残すためマスクを使用することが必要である。
【0028】
あるいは、前記有色装飾層5は、製造上、不透明な適合材料を用いることで
、前記透明層11との一体化成形工程における射出成形によって作製してもよい。前記有色装飾層5は前記透明層11の裏面上に示されている。しかしながら、前面に設置してもよい。
【0029】
前記金属調装飾層6は、前記透明層11と前記有色装飾層5とで形成されるセットの裏面(前記レーダ4に近い)に位置する。前記金属調装飾層6は、前記有色装飾層5から残された非被覆領域12を通して外部の観察者から見える。有色装飾層5と金属調装飾層6の不透明領域を組み合わせることで、
図2に示されるように昼光照明で外部の観察者からはっきり見えるようなエンブレムを形成する。
【0030】
前記金属調装飾層6は、金属、準金属およびまたはその酸化物、あるいはそれらを組み合わせて使用することで光輝性のある外観をもたらす。いかなる場合においても、前記保護レーダ4が送受信する信号の減衰を低減するよう高電気抵抗を確保する必要がある。厚みが薄く調整された層は、層の組成に応じて、例えば、物理蒸着(PVD)マグネトロンスパッタリング法、プラズマ化学蒸着(PECVD)法等により蒸着することができる。あるいは、前記金属調装飾層6は、光干渉反射をもたらすナノ多層ポリマーフィルムにより形成してもよい。
【0031】
前記金属調装飾層6は、可視光に対し部分的な透明性を有してもよいし、完全に不透明であってもよい。前者の場合、ライトガイド13から取り出された光線は前記装飾層6を通過できる。光輝領域7は、前記有色装飾層5および前記金属調装飾層6両者を縮小したり、除去したりした個所に、その範囲が定まる。
【0032】
前記光輝領域7は、前記ライトガイド13から取り出された光に対しより高い透過性がある。前記光輝領域7は、前記有色装飾層5および前記金属調装飾層6を形成する工程においてマスクを施すことによって、あるいはこれらの層を形成したのちにレーザトリミングによって、形成することができる。前記光輝領域7は光輝性を増加させ、前記金属調装飾層6の輪郭に沿うことで、前記有色装飾層5と前記金属調装飾層6との間のコントラストを高めるのに用いることができる。
【0033】
用いる材料の特性によって、前記フロントユニット9は前面に保護コーティング(図示なし)を必要とすることがある。
【0034】
前記反射光ガイドユニット10は、前記ライトガイド13および前記反射用サブユニット14を一体的に形成してなる。これについては後述する。
【0035】
前記フロントユニット9、前記反射光ガイドユニット10、あるいはこの両者には相手ユニットに向き合う表面に突起部15を備えていてもよい。この突起部15は前記有色装飾層5に対応する領域に設けられ、外部から見えにくくするか、見えなくする。この突起部15の一部はユニット9と10を接合するのに用い、それ以外の突起部15は、両ユニット9および10の接合時に向かい合う表面間に残存する低屈折率層16を調整するのに用いる。両パーツを接合する別の手法として、接合に用いられる突起部15における両ユニット間の接触領域での接着剤塗布やレーザ溶接を用いてもよい。
【0036】
図4は、本発明のレドームの第2実施例を示す。2つのメインユニット9および10は、接合前の状態として分解組立図で示される。本実施例は、
図2におけるA-Aに沿った断面に相当し、前記視野8を示す。本実施例はエンブレムに3次元の外観を与える。
【0037】
第2実施例において、第1実施例において対応する構成要素と全く同様の構成要素には同様の番号を付し、冗長な説明を省く。
【0038】
第2実施例において、前記透明層11はその裏面にいくつかの凹部17を示す。
【0039】
不透明な適合材料を用いることで、本図に示される有色装飾層5の外観は、前記透明層11と一体化する成形工程の、期待される結果により一致する。
【0040】
本実施例における前記金属調装飾層6は前記凹部17の外形に追従し、現れるエンブレムに3次元の外観を与える。
【0041】
本実施例のライトガイド13は、フロントユニット9と向き合う表面上にフィラー凸部18を備える。その目的は、レドームに求められる伝搬性能を維持するため、前記メインユニット9、10間にわずかな低屈折率層16を残し、凹部17の大部分の容積を埋めることである。
【0042】
図4の実施例は、前記ライトガイド13の前記突起部15が赤外線波を通さない材料で部分的あるいは全体的に構成できることを示している。これによりレーザ溶接工程を行う際、相手側部材への接合が容易になる。これは、製造上、赤外線不透過の適合材料を用いて、前記ライトガイド13と一体化する成形過程で射出成形により得られる。
【0043】
前記有色装飾層5は、両ユニットを結合するのに用いられる突起部15で塞がれる穴部19を備える。
【0044】
図5は、本発明のレドームの第3実施例を示す。2つのメインユニット9および10は、接合前の状態として分解組立図で示される。本実施例は、
図2におけるA-Aに沿った断面に相当し、前記視野8を示す。本実施例はエンブレムに3次元の外観を与えることができる。
【0045】
第3実施例において、第1および第2実施例において対応する構成要素と全く同様の構成要素には同様の番号を付し、冗長な説明を省く。
【0046】
第3実施例において、前記フロントユニット9は、凹部用レベラー20を備える。前記凹部用レベラー20は、前記凹部17を覆う前記金属調装飾層6と前記ライトガイド13と向き合う前記フロントユニット9の裏面の間に残された空間をふさぐ。
【0047】
この構成により、前記フロントユニット9と前記反射光ガイドユニット10との間の前記低屈折率層16のみが、両ユニット間の前記低屈折率層16を調整するのに用いられる前記突起部15によって規定されるものとなる。
【0048】
前記凹部用レベラー20の材料は、前記レーダ4が送受信するミリ波に対して前記透明層11およびライトガイド13の材料と同様の作用を示す。典型的な材料として、ポリカーボネート(PC)やポリウレタン(PU)が挙げられる。それらが透明であって、前記金属調装飾層6も可視光に対して部分的に透明性を呈する場合、前記ライトガイド13から取り出された光はそれらを通って前記レドーム1の外部に通り抜けられる。
【0049】
図6から
図9は、
図3から
図5における細部Aによる、反射用サブユニット14の種々の実施例を、それぞれ示す。
【0050】
前記反射用サブユニット14は前記ライトガイド13とともに一体の単一部品を形成する。前記反射用サブユニット14は、反対側面において前記低屈折率層16と接合する前記ライトガイド13の一方面における反射特性により前記ライトガイドを通過する光線を誘導する機能を有する。さらに、前記フロントユニット9の透明な領域あるいは部分的に透明な領域を通して光線を取り出すことができる。
【0051】
図6から
図9における光取り出し構造21は、前記ライトガイド13の裏面側、すなわち前記フロントユニット9と反対側に位置する。前記光取り出し構造21は通常、前記光輝領域7および/または前記金属調装飾層6から離れて対向するよう配置される。前記光取り出し構造21を形成する別の手法として、前記ライトガイド13の裏面や前記反射用サブユニット14の前面に施される通常白色の装飾をホットスタンプ、パッド印刷あるいはシルクスクリーン印刷で形成する。
【0052】
あるいは、マイクロテクスチャ工程を、前記ライトガイド13を製造する金型の表面の一部で前記光取り出し構造21に相当する領域に施してもよい。いずれの形成手法も前記光取り出し構造21に光取り出し機能を付与しうる。
【0053】
反射層22は、前記保護レーダ4が送受信する信号の減衰を低減させる高電気抵抗を有する、高反射性の金属、準金属およびまたはその酸化物、あるいはそれらを組み合わせて構成することができる。前記反射層22は、層の組成に応じて、例えば、物理蒸着(PVD)マグネトロンスパッタリング法、プラズマ化学蒸着(PECVD)法等により蒸着することができる。
【0054】
あるいは、前記反射層22は、光干渉反射をもたらすナノ多層ポリマーフィルムや例えばPMMAのような前記透明層11より屈折率の低い材料で形成してもよい。
【0055】
図6は、前記反射用サブユニット14の第1実施例を示す。この場合、薄板状のポリマー箔を必要とせず、前記反射層22は前記ライトガイド13の裏面に取り付けられる。
【0056】
本実施例は、マイクロテクスチャ金型を用いてライトガイドを成形する際に光取り出し構造21を形成するかあるいは先に成形されたライトガイド13の裏面を装飾することにより得ることができる。前記反射層22は、その後、装飾された裏面上に蒸着することができる。
【0057】
あるいは、本実施例は、前記反射層22フィルムの前面に前記光取り出し構造21を付けてから、その得られたものを前記ライトガイド13の裏面にインサート成形することにより得ることもできる。
【0058】
環境要因に対する耐久性の向上および/または可視光に対する不透過性の向上を図るために、保護用不透明層23を、前記反射層22の裏面に付けてもよい。
【0059】
図7は、前記反射用サブユニット14の第2実施例を示す。この場合、反射層22は薄板状のポリマー箔24の前面に配置する。前記光取り出し構造21は前記反射層22の前面に付けられ、できあがったものは前記ライトガイド13の裏面にインサート成形される。
【0060】
保護用不透明層23を、薄板状のポリマー箔24の裏面に付けて環境要因に対する耐久性の向上および/または可視光に対する不透過性の向上を図ってもよい。
【0061】
図8は、前記反射用サブユニット14の第3実施例を示す。この場合、反射層22は、薄板状のポリマー箔24の裏面に配置される。前記光取り出し構造21は前記薄板状の箔24の前面に付けられ、できあがったものは前記ライトガイド13の裏面にインサート成形される。
【0062】
環境要因に対する耐久性の向上および/または可視光に対する不透過性の向上を図るために、保護用不透明層23を、前記反射層22の裏面に付けてもよい。
【0063】
図9は、前記反射用サブユニット14の第4実施例を示す。この場合、反射層22は2つの薄板状のポリマー箔24の間に配置する。前記光取り出し構造21は前記薄板状のポリマー箔24の前面に付けられ、できあがったものは前記ライトガイド13の裏面にインサート成形される。
【0064】
環境要因に対する耐久性の向上および/または可視光に対する不透過性の向上を図るために、保護用不透明層23を、後方の薄板状のポリマー箔24の裏面に付けてもよい。
【0065】
図10は、視野8とその外側におけるレドームの構造を示す。前記視野8における構造は2つのユニットのみ、つまり前記フロントユニット9と前記反射光ガイドユニット10からなり、その間に薄い低屈折率層16、1層のみが介在する。前記視野8の外側の領域は、車両に対するレドーム1の固定部品(図示なし)を有する。また、前記視野8の外側の領域は、周辺電子機器アセンブリ25を有し、これにより、光線が前記フロントユニット9の透明領域あるいは部分的に透明な領域を介し前記光取り出し構造21によって取り出される前に前記ライトガイド13に沿って伝搬される光線を発生させる。
【0066】
前記周辺電子機器アセンブリ25は、プリント基板27および1個以上の発光ダイオード(LED)28を備えた光源28といった電子部品を保持、収容する周辺不透明ハウジング26を有する。
【0067】
前記周辺不透明ハウジング26は、通常、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)といった樹脂、或いはポリカーボネートとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの混合物(PC/ABS)のような樹脂の成形加工によって得られる。
【0068】
レドーム全体として必要な機械的安定性、電子部品に必要な密閉状態、レドームの周縁部に必要な不透過性を確保するため、前記周辺不透明ハウジング26は接着剤あるいは溶接部29により外周に沿って前記有色装飾層5に接合し、接着剤あるいは溶接部30により内周に沿って前記反射用サブユニット14の裏面に接合する。
【0069】
本発明の特定の実施例に言及したが、添付クレームに定義された保護範囲から逸脱しなければ、記載されたレドームは多くの変形例等が可能であり、また記載されている詳細はすべて他の技術的等価物と置き換え可能であることは当業者にとって明らかである。
【外国語明細書】