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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070253
(43)【公開日】2024-05-22
(54)【発明の名称】自動車を監視する方法および自動車
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/31 20130101AFI20240515BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20240515BHJP
【FI】
B60R25/31
B60R25/24
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023191478
(22)【出願日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】10 2022 211 889.8
(32)【優先日】2022-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベルント エッテ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】単純かつより低コストの自動車の監視方法と、この方法を実施するように構成された自動車とを提供する。
【解決手段】本発明は、自動車(10)を監視する方法ならびに無線システムと、この無線システムに接続された制御ユニット(12)とを備えた自動車(10)に関する。
少なくとも1つのUWBアンテナ(14,16)の受信したインパルス応答を使用して、人物に対して自動車(10)の外側領域が監視される。監視されている外側領域(26)内で人物が特定されると、自動車(10)の盗難防護および/または破壊防護が作動させられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(10)を監視する方法であって、
前記自動車(10)は、第1のUWBアンテナ(14)と第2のUWBアンテナ(16)とを備えた送受信器を伴う無線システムならびに前記無線システムに接続された制御ユニット(12)を有しており、
前記UWBアンテナ(14,16)はさらに、Bluetooth無線信号を送信および受信するように構成されており、前記無線システムはさらに、Bluetooth通信を確立するように構成されており、
前記方法は、
・2つの前記UWBアンテナ(14,16)のうちの少なくとも1つを使用して、UWBパルスを送信し、インパルス応答を受信するように前記無線システムを駆動制御するステップと、
・受信した前記インパルス応答の結果に基づいて、人物に対して前記自動車(10)の外側領域(26)を監視するステップと、
・前記自動車(10)の盗難防護または破壊防護を、前記自動車(10)の監視されている前記外側領域(26)内で人物が特定されたという前提のもとで作動させるステップと、
を含む、
方法。
【請求項2】
前記自動車(10)の前記盗難防護および/または前記破壊防護の前記作動は、
・アラームを出力するステップ、
・前記自動車(10)の鍵をかけるように前記自動車(10)のセンタロックを駆動制御するステップ、および/または
・前記無線システムによる前記自動車(10)の前記外側領域(26)のサンプリングレートを高めるステップ
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記自動車(10)の前記盗難防護および/または前記破壊防護の前記作動を、さらに、前記自動車(10)の前記外側領域(26)において特定された人物が、前記自動車(10)の乗車領域またはアクセス領域に立っているまたは留まっているという前提のもとで実行する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記自動車(10)の前記盗難防護および/または前記破壊防護の前記作動を、さらに、前記特定された人物が認証された人物ではないという前提のもとで実行する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
人物に対する前記自動車(10)の前記外側領域(26)の前記監視を、さらに、前記自動車(10)のドアの閉鎖状態に関連して実行する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記受信したインパルス応答の前記結果に基づいて、前記自動車(10)内の人数を特定し、人物に対する前記自動車(10)の前記外側領域(26)の前記監視を、前記自動車(10)内に人がいないという前提のもとで実行する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記受信したインパルス応答の前記結果に基づいて、前記自動車(10)内で特定された1人の人物またはすべての人物が子どもまたは動物であるか否かを特定し、1人または複数人の子どもだけまたは動物だけが前記自動車(10)内に存在している場合に、アラームを出力する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記受信したインパルス応答の前記結果に基づいて、前記自動車(10)の座席占有状態を特定し、特定された前記座席占有状態に関連して、車内空間監視を実行する、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
さらに、前記第1のUWBアンテナ(14)および前記第2のUWBアンテナ(16)を使用して、チャネルインパルス応答(CIR)測定に基づく方法を実施するように前記無線システムの駆動制御を行い、人物に対する前記自動車(10)の前記外側領域(26)の前記監視を、さらに、前記CIR測定の結果に基づいて行う、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
自動車(10)であって、
前記自動車(10)は、
・無線システムを有しており、前記無線システムは、第1のUWBアンテナ(14)と第2のUWBアンテナ(16)とを備えた送受信器を含み、前記UWBアンテナ(14,16)はさらに、Bluetooth無線信号を送信および受信するように構成されており、前記無線システムはさらに、Bluetooth通信を確立するように構成されており、
・前記無線システムに接続された制御ユニット(12)を有しており、前記制御ユニット(12)は、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法を実施するように構成されている、
自動車(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車を監視する方法および自動車に関し、自動車は、無線システムと、本明細書に記載された方法を実施するように構成された、無線システムに接続された制御ユニットとを備えている。
【0002】
近年の車両には、車両の種々異なる機能のために使用される多数の内側領域センサシステムおよび外側領域センサシステムが含まれる。その際にはさらには、種々の技術が使用されることが多い。したがって、種々異なる機能を実現するために、近年の車両には、これらの種々異なる機能のうちの個々の機能をそれぞれ実現する多数の制御機器が組み込まれている。
【0003】
たとえば、米国特許出願公開第2014/0306799号明細書には、車両の近傍または車両内の侵入体を識別するためのシステムが記載されている。車両内の権限のない使用者が識別された場合には、提示されたシステムは、車両の1人または複数人の権限のある使用者への通知、車両のロック、緊急事態対応要員または警察への通知および視覚的または音響的なアラームの出力のような一連の措置を講じる。システムによる監視の実現のために、光学センサ、運動センサ、バイタルパラメータセンサ等のような多数の種々異なるセンサが必要になる。
【0004】
本出願後に公開された従来技術文献である独国特許出願公開第102021207013号明細書は、自動車の車内空間および自動車の周囲を測定するための測定ユニット、対応するシステム、方法およびコンピュータプログラムに関する。既に自動車に組み込まれているUWBアンテナを、自動車の外側領域を付加的に監視するために、監視のために一緒に利用することが想定されている。自動車の外側で、UWBアンテナのマイクロレーダー測定によって人物が検出された場合には、自動車のキーレスエントリーシステムの作動によって、この人物の権限が検査される。相応する権限が、この人物に与えられていない場合には、潜在的な自動車窃盗犯人を威嚇するために、または車両所有者に警告するために、警告をこの人物または車両所有者に出力することができる。
【0005】
問題なのは、既知の監視システムが極めて包括的かつ複雑であることである。多数のセンサシステム、技術および制御機器が必要であり、これによって、この既知のシステムは故障しやすい。さらに、監視の際に大量の電気エネルギが必要とされる。特に、盗難防護システムを実現する場合には、大量のエネルギ消費によって、比較的長い時間駐車される車両の監視が、消費される電気エネルギの欠如のために不可能になる。
【0006】
このエネルギ問題を低減させるために、米国特許出願公開第2018/0154908号明細書は、インテリジェント監視システムを提案している。このインテリジェント監視システムはここで、エネルギを節約するために、基本的にインテリジェントスリープモードで動作する。車両の内側、外側または周囲における不規則性が確認された場合にはじめて、監視システムは、自動的な監視を開始して、車両所有者への通知を行う。
【0007】
従来技術は既に、部分的な解決手段を、車両監視システムにおけるエネルギ問題に関して開示しているが、それほど複雑でなく、より省エネルギの監視システムに対する要求が依然として存在している。
【0008】
したがって、ここで、本発明の課題は、単純かつより低コストの自動車の監視方法と、この方法を実施するように構成された自動車とを提供することである。
【0009】
本発明のこの課題は、独立請求項に記載された、自動車を監視する方法および自動車によって解決される。好ましい発展形態は、関連する各従属請求項の対象である。
【0010】
第1の態様は、自動車を監視する方法に関する。自動車は、第1の超広帯域(UWB)アンテナと第2のUWBアンテナとを備えた送受信器を伴う無線システムならびに無線システムに接続された制御ユニットを有する。無線システムの送受信器は、特に、極めて大きな周波数範囲において、特に3.1GHz~10.6GHzの周波数範囲において、好ましくは3.5GHz~9GHzの周波数範囲において、特に好ましくは6GHz~8.5GHzの周波数範囲において、信号を送信および受信するように構成されている。ここで、UWBパルスの送信パワーは低い。UWB信号の帯域幅は少なくとも500MHzであり、UWB送受信器は、好ましくは、0.5mW/-41.3dBm/MHz間の送信パワーで信号を送信するように構成されている。さらに好ましくは、送受信器は、規格IEEE802.15.4(特にUWB PHY層に関する部分)に従って、かつ好ましくは規格IEEE802.15.4zに従って構成されている。このように大きな周波数範囲にわたって信号が散乱することによって、UWB信号は他の無線信号を最小限にしか妨害しない。UWBアンテナはさらに、Bluetooth無線信号を送信および受信するように構成されており、無線システムはさらに、Bluetooth通信を確立するように構成されている。
【0011】
本発明による方法のステップによれば、2つのUWBアンテナのうちの少なくとも1つを使用して、UWBパルスを送信し、インパルス応答を受信するように無線システムが駆動制御される。受信したインパルス応答の結果に基づいて、人物に対して自動車の外側領域が監視される。
【0012】
時間的に強く局在化されたUWBパルスに基づいて、送信されたこのUWBパルスへの周囲の影響から生じた自身のインパルス応答を伴う、受信したUWBパルスから、UWBパルスの伝搬経路に関する情報を抽出することが可能である。周囲の影響は、幾何学的に規定された自身の経路からUWBパルスを偏向させる物理的現象、たとえば、屈折、回折、反射または減衰に基づいている。自明のとおり、信号または信号パケットの伝搬時間は、種々異なる伝搬経路に沿って異なり、伝搬経路内または伝搬経路近傍に物体が存在していることまたは存在していないことに関連して変化する。信号または信号パケットのインパルス形状も、伝搬経路内または伝搬経路近傍に物体が存在していることまたは存在していないことに関連して影響される。したがって、この伝搬経路に沿って伝送された信号または信号パケットの測定に基づいて、有利には、伝搬経路内または伝搬経路近傍に人物および物体が存在していることまたは存在していないことを推定することができる。
【0013】
受信したインパルス応答の本発明による方法によれば、UWB信号を送信するUWBアンテナは、周囲のインパルス応答の受信も行う。この場合、サンプリングされた周囲のエコーが受信される。このようなエコーは、通常、時間的に分解された多数のエコー信号をシミュレートし、これらのエコー信号は、これらの物体および/または人物から送受信器までの距離に関連して、インパルス応答に表れる。時間的にずらされたUWBパルスにわたるエコー信号と、それらの受信したインパルス応答とを比較することによって、送受信器に関する、物体および/または人物の位置変化を推定することができる。特に、動いていない対象物または動いてはいるがバイタルパラメータを有していない対象物と人物とを区別するために、位置変化から、好ましくは運動、特に好ましくはバイタルパラメータを特定することができる。同様に好ましくは、これらのエコー信号を、振幅情報および/または位相情報に基づいて特定し、相互に比較することができる。これによって有利には、少なくとも1つのアンテナを使用して、車両の内側領域および/または外側領域を空間分解式に、また時間分解式にサンプリングすることが可能になる。当然、2つのUWBアンテナまたは車両内に組み込まれた他のUWBアンテナも、受信したインパルス応答の方法を実施することができ、これによって種々異なる角度から、車両の外側領域および/または内側領域を空間分解式に、また時間分解式にサンプリングすることができる。当然、無線システムは、好ましくは多数のUWBアンテナを含んでおり、ここで、これらのUWBアンテナは、それぞれ所望の監視されるべき、自動車の外側領域に従って自動車内に配置される。好ましくは、コストを省くために、既に自動車内に設けられているUWBアンテナが多機能に利用される。
【0014】
物体が送受信器から離れるほど、この物体に対応付けられたエコー信号が送受信器によって受信されるのは遅くなる。したがって、送受信器の到達距離は、所望の到達距離に対応する時間の後に、インパルス応答の受信が中断される、かつ/または新たなUWBパルスが送信されることによって、制限され得る。UWBパルスが送受信器を介して送信されている時間の間、送信に使用されているこの送受信器によってインパルス応答を受信することは不可能である。したがって、監視されるべき、自動車の外側領域を所期のように調整もしくは制限することができる。
【0015】
本発明による方法のさらなるステップにおいて、自動車の盗難防護または破壊防護は、自動車の監視されている外側領域内で人物が特定されたという前提のもとで作動させられる。換言すれば、UWB技術を使用して識別された、車両の外側領域内の人物に対して、車両側での反応が行われる。UWB技術の使用によって、個々のUWBアンテナの配置に応じて、車両の別の外側領域が監視され得る。この点において、この方法は、的確にかつ低コストに実現可能である。さらに、車両内に配置されたUWBアンテナによって、さらなる車両機能をUWB技術に統合することができる。これによって、自動車に組み込まれる制御機器の個数が減る。
【0016】
好ましくは、自動車の外側領域が連続的に監視される。本開示の意味において「連続的に」とは、自動車の外側領域が、UWBアンテナを介したUWBパルスの送信とインパルス応答の受信とを用いて、周期的に繰り返されるサンプリングにおいて監視されることを意味する。特に好ましくは、省エネルギの監視を可能にするために、サンプリング間の時間的な間隔は20ms~500ms、特に20ms~100msのミリ秒範囲内の値である。
【0017】
好ましい構成では、自動車の盗難防護および/または破壊防護の作動の際に、アラームが出力される、自動車の鍵をかけるように自動車のセンタロックが駆動制御される、かつ/または無線システムによる自動車の外側領域のサンプリングレートが高められることが想定されている。アラームの出力は、好ましくは光学式に、たとえばヘッドライトおよび/もしくは室内照明の作動によって、音響式に、たとえばクラクションの操作によって、もしくはオーディオファイルの再生によって、ならびに/またはたとえば既存のUWBアンテナを使用した、自動車の通信インタフェースを介した、自動車のメモリユニット内に格納されている自動車の使用者との通信によって行われる。アラームの出力は、潜在的な窃盗犯人を威嚇し、車両の使用者に警告する役割を果たし、また、運転手が自動車を離れる際に忘れた場合には、センタロックの駆動制御によって車両ドアがロックされる。無線システムのサンプリングレートを高めることによって、受信したインパルス応答の信頼性を高め、誤解釈の発生を減らすために、単位時間あたりの検出される情報密度が高められる。したがって状況に関連して、好ましくは、自動車の監視されている外側領域のより高いサンプリングレートが、マイクロ秒範囲に、たとえば10μs~1000μs、好適には100μs~500μsに設定されている。
【0018】
さらなる好ましい構成では、自動車の盗難防護および/または破壊防護の作動が、さらに、自動車の監視されている外側領域において特定された人物が、自動車の乗車領域またはアクセス領域に立っているまたは留まっているという前提のもとで実行されることが想定されている。従来の盗難状況および破壊状況に共通するのは、犯行を行うために、たとえば、開いている車両ドア、リアフラップまたは開いている窓に手を伸ばすために、運転手席側ドアの車両ロックをピッキングするために、または無理やり開けたりする等のために、犯人が少なくとも短時間立っているまたは留まっていることである。この点では、盗難防護および/または破壊防護を、特定された人物の挙動に関連して作動させ、これによって盗難防護および/または破壊防護の誤作動の数を減らすことが有意義である。自動車の乗車領域は、実質的に従来の車両ドアを形成し、他方でアクセス領域は、ウインドウ領域、ボンネットまたはリアフラップまたはトランクルームフラップ等に関する。
【0019】
さらなる好ましい構成では、自動車の盗難防護および/または破壊防護の作動が、さらに、特定された人物が認証された人物ではないという前提のもとで実行されることが想定されている。これによって、盗難防護および/または破壊防護の誤作動の数を減らすことができる。自動車による人物の認証方法は基本的に公知である。たとえば、人物の認証は、自動車との通信インタフェースを介した、人物の認証データの受信によって行われる。通信技術として、特にUWBアンテナを介したUWB通信が提供される。換言すれば、UWB通信に基づいて、自動車に接近する人物が、自動車との通信のために携帯しているトランスポンダまたは移動端末に基づいて、自動的に認証されてよい。付加的または択一的に、生体識別方法を用いて認証を行うことができる。生体識別方法は、人物を、指紋、顔、虹彩パターン等の生理学的特徴に基づいて、または声、動き、署名等のような動作様式に基づいて自動的に識別する方法である。このために、使用される生体方法に必要とされる人体の部分領域がサンプリングされる。このサンプリングは、たとえば自動車のカメラおよび/またはマイクロフォンを用いて行われる。さらに、UWBアンテナを、認証された人物のためのジェスチャ制御を実現する目的で使用することができる。
【0020】
さらなる好ましい構成では、人物に対する自動車の外側領域の監視を、さらに、自動車のドアの閉鎖状態に関連して実行することが想定されている。閉鎖状態は、車両ドアが開けられているか閉じられているかを示す。自動車の使用者は、自動車を停止して自動車から離れた後または自動車に乗車した後に、基本的に車両ドアを閉じるので、外側領域の監視の開始を選択的に、すなわち自動車のドアが閉じられている場合に、この状況にリンクさせることは有意である。したがって、監視のエネルギ消費を減らすことができる。ドアの閉鎖状態は、近年の車両では、ドアにおける(加速度)センサのセンサ信号を介して、自動車の車載コンピュータに伝送される。したがって、近年の車両には、車両ドアの閉鎖状態に関する情報が基本的に存在しており、本発明による方法のために利用され得る。しかし付加的または択一的に、ドアの閉鎖状態を、UWBセンサの受信したインパルス応答から特定することもできる。これによって、たとえばドア内のセンサを省くことができる。
【0021】
さらなる好ましい構成では、受信したインパルス応答の結果に基づいて、自動車内の人数が特定され、人物に対する自動車の外側領域の監視が、自動車内に人がいないという前提のもとで実行されることが想定されている。たとえば、受信したインパルス応答を基準インパルス応答と比較することによって、人物を特定することができる。この場合、基準インパルス応答は、空の自動車の、すなわち車内空間に人物がいない自動車のインパルス応答である。ここで、受信したインパルス応答と基準インパルス応答との間で生じた相違から、加えられたまたはずらされた物体および/または人物のような、車内空間における変化を特定することができる。人物と(大きな)対象物とを区別するために、受信したインパルス応答から、人物の動き、たとえば呼吸または心臓の鼓動、したがって人物のバイタルパラメータを、時間経過において特定することができる。したがって、自動車内に人物が存在していないことが判明すると、人物に対する自動車の外側領域の監視が開始される、または継続される。これは、犯人が通常、空の車両を選んで犯行に及ぶという事実を反映している。したがって、監視のエネルギ消費を減らすことができる。付加的または択一的に、自動車の占有状態を、座席内の圧力センサまたは車内カメラのような従来のセンサを使用して特定し、自動車の外側領域の監視を開始または継続するために使用することも可能である。
【0022】
さらなる好ましい構成では、受信したインパルス応答の結果に基づいて、自動車内で特定された1人の人物またはすべての人物が子どもまたは動物であるか否かが特定され、1人または複数人の子どもだけまたは動物だけが自動車内に存在している場合に、アラームが出力されることが想定されている。好ましくは、車両ドアがロックされてはじめて、アラームが出力される。したがって、特定された1人または複数人の子どもまたは動物が明らかに自動車内に置き忘れられて、閉じ込められている場合に、子どもの保護機能もしくは動物の保護機能を可能にするために、自動車が警告を出力する。動物、特に犬、猫等は、子どもと同様のインパルス応答を発生させるので、こうした区別は部分的に困難である。しかし、このことは問題ではない。なぜなら、動物も子どもも、大抵は車両ドアを開けることはできず、したがって特に、自動車内に単独で取り残されないように保護されなければならないからである。
【0023】
さらなる好ましい構成では、受信したインパルス応答の結果に基づいて、自動車の座席占有状態が特定され、特定された座席占有状態に関連して、車内空間監視が実行されることが想定されている。換言すれば、自動車の車内空間において少なくとも1人の人物(または1匹の動物)が特定された場合に、車内空間監視が実行される。車内空間監視は、好ましくは、安全ベルト警告、エアバッグ制御、運転手の疲労識別、緊急事象の識別のための車両内の人物の呼吸頻度および/もしくは心拍数の識別、誤使用識別ならびに/またはこれらに類似のもののような多数の機能を統合している。誤使用はたとえば、同様の挙動を伴う所望の機能が識別された場合に、たとえば対象物が車両内で移動した場合または基準インパルス応答に対してずれて検出された場合に、発生する。
【0024】
さらなる好ましい構成では、さらに、第1のUWBアンテナおよび第2のUWBアンテナを使用して、チャネルインパルス応答(CIR)測定に基づく方法を実施するように無線システムの駆動制御を行い、人物に対する自動車の外側領域の監視を、さらに、CIR測定の結果に基づいて行うことが想定されている。付加的または択一的に、ここで述べた、受信したインパルス応答に基づいて実現される機能を、CIR測定を用いて行うことができる。
【0025】
有利には、(少なくとも)2つのUWBアンテナを使用して、CIR測定を用いて周囲を空間分解式にサンプリングすることが可能である。これらのアンテナのうちの一方のアンテナを介してUWBパルスを複数回送信することによって、かつ他方のアンテナによって受信したインパルス応答に基づいて、周囲における変化、たとえば、サンプリングされるべき領域内に新たに存在する物体を、時間的にずらされたインパルス応答同士の比較によって、空間分解式に、また時間分解式に可視化することができる。このようにして、サンプリングされるべき領域内に入ってきた物体の検出を確実に行うことができる。特に、CIR測定を用いた、周囲の、特に好ましくは一定かつ/または反復的なサンプリングは、ここで、サンプリングされるべき領域の対応する監視を可能にする。好適には、UWBアンテナは、交互に、インパルス応答の受信と、CIR測定の実行とのために駆動制御される。両方のUWB技術の組み合わせは、無線システムによって行われるサンプリングの信頼性を高め、これによって誤解釈の発生が減る。したがって、監視の質ならびに自動車の盗難防護および/または破壊防護の誤作動の発生を改善することができる。
【0026】
CIR測定は、たとえば、(少なくとも)2つのUWBアンテナ間で予め定義された信号または信号パケット(いわゆるテレグラム)を送信することを含んでいる。UWBアンテナ間の信号または信号パケットの直接的な伝搬経路の他に、たとえば車両の内側領域または外側領域からの物体の反射を含む多数のさらなる伝搬経路が存在する。UWBアンテナの十分な個数および/または有利な配置に基づいて、これらの伝搬経路は、空間の広い部分、たとえば車内空間および/または車外領域の広い部分をカバーすることを可能にする。当然、多数のUWBアンテナ間でCIR測定を実行することができ、これによって、UWBアンテナの配置に関連して、対応する領域、特に自動車の車内空間および/または外側領域をサンプリングすることができる。受信したインパルス応答の上述した方法と同様に、CIR測定によって、車両内の1人または複数人の人物を、座席が識別される精度で、または座席が識別される細かさで特定することができる。同様に、CIR測定から、人物の動き、特に人物の呼吸および/または心臓の鼓動の胸部運動が分解され得る。
【0027】
さらなる態様は、無線システムと、この無線システムに接続された制御ユニットとを備えた自動車を含む。無線システムは、第1のUWBアンテナと第2のUWBアンテナとを備えた送受信器を含む。UWBアンテナはさらに、Bluetooth無線信号を送信および受信するように構成されており、無線システムはさらに、Bluetooth通信を確立するように構成されている。制御ユニットは、本明細書に記載された方法を実施するように構成されている。この方法とともに説明される特徴およびそれらの利点は、同様に自動車によって実現され得るので、互いに任意に組み合わせ可能である。
【0028】
自動車の上述した制御ユニットは、好ましくは、電気部品または電子部品またはコンポーネント(ハードウェア)によって、またはファームウェア(ASIC)によって実装されている。付加的または択一的に、制御ユニットの機能性は、適切なプログラム(ソフトウェア)の実行の際に実現される。同様に好ましくは、制御ユニットは、ハードウェア、ファームウェアおよび/またはソフトウェアの組み合わせによって実現されている。たとえば、制御ユニットの個々のコンポーネントは、個々の機能性を提供するために、別個に集積された回路として構成されている、または1つの共通の集積された回路上に配置されている。
【0029】
制御ユニットの個々のコンポーネントは、さらに好ましくは、1つまたは複数のプロセッサ上で、1つまたは複数の電子計算機器において実行され、1つまたは複数のコンピュータプログラムの実行の際に生成される1つまたは複数のプロセスとして構成されている。ここでこれらの計算機器は、好ましくは、本明細書に記載された機能性を実現するために、たとえばセンタロック、モータコントローラ等の他のコンポーネントと協働するように構成されている。コンピュータプログラムの指示は、この場合、好ましくは、たとえばRAM要素のようなメモリに格納されている。しかしコンピュータプログラムが、たとえばCD-ROM、フラッシュメモリまたはこれらに類似のもののような不揮発性メモリ媒体に格納されていてもよい。
【0030】
当業者には、さらに、複数の計算ユニット(データ処理機器)の機能性を組み合わせること、または唯一の機器に組み合わせることが可能であること、または制御ユニットの機能性を実現するために、特定のデータ処理機器の機能性が多数の機器に分散して存在し得ることが明らかである。
【0031】
本発明のさらなる態様は、コンピュータプログラムに関し、このコンピュータプログラムは、命令を含み、この命令は、コンピュータによって、たとえば第1のUWBアンテナと第2のUWBアンテナとを備えた送受信器を伴う無線システムを有する自動車の制御ユニットによって実行されるとき、これに、本発明による方法、特に自動車を監視する方法を実施させる。
【0032】
本発明のさらなる好ましい構成は、従属請求項に記載されたその他の特徴から生じる。
【0033】
本願で言及した本発明の種々異なる実施形態は、個々のケースにおいて特記しない限り、好適に相互に組み合わせ可能である。
【0034】
以降で、本発明を、実施例において、添付の図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】6つのUWBアンテナを備えた一実施形態による自動車の概略図を示す図である。
図2】さらなる実施形態による、6つのUWBアンテナを備えた自動車の概略図を示す図である。
図3】一実施形態による方法の概略図を示す図である。
【0036】
図1および図2は、それぞれ6つのUWBアンテナ14,16,18,20,22,24を備える2つの実施形態による自動車10の概略図を示す。図3を見ながら、一実施形態による、自動車10を監視する方法をより詳細に説明する。
【0037】
自動車10は、第1~第6のUWBアンテナ14,16,18,20,22,24を備える送受信器を伴う無線システムと、この無線システムに接続された制御ユニット12とを含む。制御ユニット12は、特に、図3に関連して説明する方法を実施するように構成されている。6つのUWBアンテナ14,16,18,20,22,24のうちの5つのUWBアンテナは、自動車10の5つのドアに分配されており、第6のUWBアンテナ24は、自動車10のインナーバックミラーの領域に配置されている。より正確には、助手席側ドア内に第1のUWBアンテナ14が配置されており、助手席側ドアの後方のドア内に第2のUWBアンテナ16が配置されており、リアフラップ内に第3のUWBアンテナ18が配置されており、運転手席側ドアの後方のドア内に第4のUWBアンテナ20が配置されており、運転手席側ドア内に第5のUWBアンテナ22が配置されている。UWBアンテナ14,16,18,20,22,24の個数および配置は、単に例示的な性質のものであり、良好な理解のためのものである。したがって本開示は、UWBアンテナ14,16,18,20,22,24の示された配置および個数に限定されるものではない。さらに、既に自動車10に組み込まれているUWBアンテナを利用することができる。近年の車両は部分的にUWBアンテナを有しており、これらのUWBアンテナは自動車10内に、キーレスアクセスの目的で組み込まれている。したがって既に組み込まれているUWBアンテナを多機能に使用することができ、コストを省くことができる。
【0038】
図1において破線で描かれている、UWBアンテナ14,16,18,20,22,24の周囲の円は、UWBパルスの送信およびインパルス応答の受信のためにこれらがそれぞれ駆動制御される場合、各UWBアンテナ14,16,18,20,22,24の例示的な到達距離を表している。各UWBアンテナ14,16,18,20,22,24の到達距離、換言すれば、例示的に描かれた円の半径は1メートルである。基本的には、0.1メートル~1.5メートルの到達距離の場合に、良好な結果が得られる。例示的に配置された6つのUWBアンテナ14,16,18,20,22,24を使用して、自動車10の車内空間が完全にカバーされ、かつ自動車10の外側領域26が少なくとも部分的にカバーされることが直観的に示されている。車外空間26のカバーは、特に自動車10の乗車領域およびアクセス領域、すなわち実質的に、車両ドアおよびトランクルームフラップの手前の領域を含んでいる。UWBアンテナ14,16,18,20,22,24の到達距離を、より大きく(またはより小さく)調整することもでき、これによって、たとえば車両カバー全体を、UWBアンテナ14,16,18,20,22,24によってカバーすることができるということが自明であり、これによって、たとえば車両カバー全体の破壊による損害を監視することができる。
【0039】
図2による自動車10の実施形態は、図1に示された実施形態とは、UWBアンテナ14,16,18,20,22,24が、UWBパルスの送信および個々のインパルス応答の受信のために駆動制御されるのではなく、むしろCIR測定を実行するために駆動制御されるという点においてのみ相違している。矢印は、UWBアンテナ14,16,18,20,22,24間の考えられる直接的な伝搬経路のうちの幾つかを示している。見やすくするために、UWBアンテナ14,16,18,20,22,24間の考えられる直接的な伝搬経路のすべてが再現されているわけではないことに言及しておく。換言すれば、各UWBアンテナ14,16,18,20,22,24間の伝搬経路に沿って、人物および物体に関する情報を得るために、CIR測定が他の、特にすべてのUWBアンテナ14,16,18,20,22,24の間で行われ得ることが明らかである。さらに、図2に示されているように、自動車10の外側領域26をCIR測定でサンプリングできないわけではない。むしろ、個々のUWBアンテナ14,16,18,20,22,24のUWBパルスはすべての空間方向において送信されるので、外側領域26の影響も、幾何学的に規定された自身の経路からUWBパルスを偏向させ、たとえば、屈折、回折、反射または減衰によって偏向させ、したがってこれらは、別の、特に隣接するUWBアンテナ14,16,18,20,22,24によって受信される。したがって、CIR測定によって、自動車10の外側領域26の人物も監視することができる。
【0040】
UWBアンテナ14,16,18,20,22,24を、図1に示した実施形態または図2に示した実施形態に従って駆動制御することができるだけでなく、むしろUWBアンテナ14,16,18,20,22,24をそれぞれ交互に、図1に示した実施形態および図2に示した実施形態に従って駆動制御することもできる。2つのUWB技術(受信したインパルス応答およびCIR測定)の組み合わせによって、無線システムによって行われるサンプリングの信頼性が高められ、これによって誤解釈の発生がさらに低減される。
【0041】
自動車10は、制御ユニット12および無線システムに接続されている通信インタフェースをさらに含む。UWBアンテナ14,16,18,20,22,24のそれぞれは、好ましくは、ディスプレイを有するハウジング内に配置されている。ディスプレイおよびUWBアンテナ14,16,18,20,22,24は、好ましくは自動車10の金属構造の上方、たとえば車両ドアの上方で、車両ウィンドウガラスの後方に配置されている。このことは、ディスプレイを外側から見ることができ、UWBアンテナ14,16,18,20,22,24が自動車10の外側領域26においてより良好な到達距離を有するという利点を有する。
【0042】
幾つかの実施形態では、自動車10は、さらに1つまたは複数の加速度センサを含む。加速度センサによって、たとえば、車両ドアの閉鎖状態または自動車10における、特にUWB測定によってカバーされていない領域における破壊活動を検出することができる。UWBアンテナ14,16,18,20,22,24は、好ましくはさらに、Bluetooth無線信号を送信および受信するように構成されている。この場合、無線システムは、自動車10の使用者のトランスポンダまたは移動端末のような、車両周囲に存在する通信手段とのUWB通信またはBluetooth通信を確立するように駆動制御され得る。Bluetooth通信は、好ましくは、2.402GHz~2.480GHzの公知の周波数帯域で行われる。好ましくは、Bluetooth-Low-Energy無線技術が想定されている。この通信を用いることによって、自動車10の使用者の認証データを自動車10に伝送することができる。さらに、飛行時間測定によって、自動車10に対する使用者の距離および相対位置を特定することができる。
【0043】
図3は、一実施形態による、自動車10を監視する方法の概略図を示す。第1の方法ステップ50では、車両ドアの閉鎖状態が検査される。これはたとえば、車両ドアに組み込まれた加速度センサを使用して行われる。すべての車両ドアが閉鎖されたことを検査が示した後、第2の方法ステップ52が実行される。
【0044】
第2の方法ステップでは、UWBアンテナ14,16,18,20,22,24が、UWBパルスの送信およびインパルス応答の受信と、CIR測定の実行とのために交互に駆動制御される。受信したインパルス応答の結果およびCIR測定の結果に基づいて、自動車10内の人数が特定される。このことは、好ましくは、受信したインパルス応答と、自動車10のメモリ内に格納されている、空の自動車10の基準インパルス応答との比較を用いて、さらにCIR測定と、自動車10のメモリ内に格納されている、空の自動車10の基準CIR測定との比較を用いて行われる。この比較によって、違いが、人物ではなく、自動車10内のずれた静的な対象物に起因すべきことが示された場合には、最後のインパルス応答が新たな基準インパルス応答としてメモリに格納され、最後のCIR測定が新たな基準CIR測定としてメモリに格納される。
【0045】
第2の方法ステップ52において、自動車10内に人物が存在していないことが特定された場合には、第3の方法ステップ54が行われる。第3の方法ステップ54では、UWBアンテナ14,16,18,20,22,24が、UWBパルスの送信およびインパルス応答の受信と、CIR測定の実行とのために交互に駆動制御される。
【0046】
第4の方法ステップ56では、自動車10の外側領域26が、受信したインパルス応答の結果と、人物に対するCIR測定の結果とに基づいて監視される。第4の方法ステップ56によって、自動車10の監視されている外側領域26内に人物が存在していないことが示された場合、この方法は第3の方法ステップ54に戻る。
【0047】
これに対して、自動車10の監視されている外側領域26内に人物が存在していることが識別されると、この人物が認証されているか否かが検査される。このために、たとえば、特定された人物の認証データが、UWB通信またはBluetooth通信を用いて自動車10に伝送されたか否かが検査される(第5の方法ステップ58)。そうである場合には、この方法は、第3の方法ステップ54に戻る。
【0048】
これに対して、第5の方法ステップ58によって、特定された人物の認証データが存在していないことが示された場合、自動車10の盗難防護および破壊防護が作動させられる(第6の方法ステップ60)。このために、自動車10の認証されている使用者に、自動車10の通信インタフェースを使用してアラームが出力され、車両ドアがロックされているか否かが検査される。ロックされていない場合には、車両ドアをロックするようにセンタロックが駆動制御される。
【0049】
自動車10の盗難防護および破壊防護が作動させられている場合、特定された人物が、自動車10の監視されている外側領域26を離れたか否か、または別の人物が外側領域26に入ったか否かを検査するために、20msの時間間隔で第3の方法ステップ54が繰り返される。盗難防護および破壊防護が作動させられている場合に、車両ドアの閉鎖状態が変化したことが識別されると、この方法は、第1の方法ステップ50に戻る。
【0050】
第2の方法ステップ52が、自動車10内で少なくとも1人の人物が識別されたことを示すと、第7の方法ステップ62が実行される。第7の方法ステップ62では、UWBアンテナ14,16,18,20,22,24が、UWBパルスの送信およびインパルス応答の受信と、CIR測定の実行とのために交互に駆動制御され、受信したインパルス応答の結果およびCIR測定の結果から、自動車10内で特定された人物が子どもであるかまたは動物であるか否かが検査される。
【0051】
子どもまたは動物でない場合には、第8の方法ステップ64が実行される。ここでは、受信したインパルス応答の結果およびCIR測定の結果に基づいて、自動車10の座席占有状態が特定され、特定された座席占有状態に関連して、車内空間監視が実行される。車内空間監視は、UWBパルスの送信およびインパルス応答の受信と、CIR測定の実行とのためにUWBアンテナ14,16,18,20,22,24を交互に駆動制御することによって行われる。車内空間監視では、安全ベルト警告、エアバッグ制御、運転手の疲労識別、緊急事象の識別のための車両内の人物の呼吸頻度および/もしくは心拍数の識別、ジェスチャ制御を目的としたジェスチャ識別、誤使用識別ならびに/またはこれらに類似のもののような種々異なる機能が実行される。UWBアンテナ14,16,18,20,22,24および相応の評価を使用して上述の機能を実現することができることによって、種々異なるセンサおよび制御機器のような、種々異なる機能を満たすために必要になるであろう多数の部品を省くことができる。特に、自動車10の車内空間をサンプリングするための超音波センサ、傾斜センサおよびそれらの制御機器は省かれる。さらに、座席占有状態を特定するための座席占有マットまたは座席占有センサや、安全ベルト警告およびエアバッグを制御するためのさらなる制御機器は不要である。また、子どもの識別に際して通常のレーダーセンサ、たとえば70GHzレーダーセンサを省くこともできる。車内空間監視が作動させられている場合に、車両ドアの閉鎖状態が変化したことが識別されると、この方法は第1の方法ステップ50に戻る。
【0052】
これに対して、第7の方法ステップ62によって、この人物が、自動車10内に単独で留まっている子どもまたは動物であることが示された場合には、第9の方法ステップ66が実行される。ここでは、自動車10内に子どもまたは動物が取り残されているという情報を伴うアラームが、自動車10の通信インタフェースを使用して、メモリ内に格納されている自動車10の使用者に出力される。車両ドアの閉鎖状態が変化した場合、この方法は、第1の方法ステップ50に戻る。
【符号の説明】
【0053】
10 自動車
12 制御ユニット
14 第1のUWBアンテナ
16 第2のUWBアンテナ
18 第3のUWBアンテナ
20 第4のUWBアンテナ
22 第5のUWBアンテナ
24 第6のUWBアンテナ
26 自動車の外側領域
50 第1の方法ステップ
52 第2の方法ステップ
54 第3の方法ステップ
56 第4の方法ステップ
58 第5の方法ステップ
60 第6の方法ステップ
62 第7の方法ステップ
64 第8の方法ステップ
66 第9の方法ステップ
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(10)を監視する方法であって、
前記自動車(10)は、第1のUWBアンテナ(14)と第2のUWBアンテナ(16)とを備えた送受信器を伴う無線システムならびに前記無線システムに接続された制御ユニット(12)を有しており、
前記UWBアンテナ(14,16)はさらに、Bluetooth無線信号を送信および受信するように構成されており、前記無線システムはさらに、Bluetooth通信を確立するように構成されており、
前記方法は、
・2つの前記UWBアンテナ(14,16)のうちの少なくとも1つを使用して、UWBパルスを送信し、インパルス応答を受信するように前記無線システムを駆動制御するステップと、
・受信した前記インパルス応答の結果に基づいて、人物に対して前記自動車(10)の外側領域(26)を監視するステップと、
・前記自動車(10)の盗難防護または破壊防護を、前記自動車(10)の監視されている前記外側領域(26)内で人物が特定されたという前提のもとで作動させるステップと、
を含む、
方法。
【請求項2】
前記自動車(10)の前記盗難防護および/または前記破壊防護の前記作動は、
・アラームを出力するステップ、
・前記自動車(10)の鍵をかけるように前記自動車(10)のセンタロックを駆動制御するステップ。および/または
・前記無線システムによる前記自動車(10)の前記外側領域(26)のサンプリングレートを高めるステップ
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記自動車(10)の前記盗難防護および/または前記破壊防護の前記作動を、さらに、前記自動車(10)の前記外側領域(26)において特定された人物が、前記自動車(10)の乗車領域またはアクセス領域に立っているまたは留まっているという前提のもとで実行する、請求項記載の方法。
【請求項4】
前記自動車(10)の前記盗難防護および/または前記破壊防護の前記作動を、さらに、前記特定された人物が認証された人物ではないという前提のもとで実行する、請求項記載の方法。
【請求項5】
人物に対する前記自動車(10)の前記外側領域(26)の前記監視を、さらに、前記自動車(10)のドアの閉鎖状態に関連して実行する、請求項記載の方法。
【請求項6】
前記受信したインパルス応答の前記結果に基づいて、前記自動車(10)内の人数を特定し、人物に対する前記自動車(10)の前記外側領域(26)の前記監視を、前記自動車(10)内に人がいないという前提のもとで実行する、請求項記載の方法。
【請求項7】
前記受信したインパルス応答の前記結果に基づいて、前記自動車(10)内で特定された1人の人物またはすべての人物が子どもまたは動物であるか否かを特定し、1人または複数人の子どもだけまたは動物だけが前記自動車(10)内に存在している場合に、アラームを出力する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記受信したインパルス応答の前記結果に基づいて、前記自動車(10)の座席占有状態を特定し、特定された前記座席占有状態に関連して、車内空間監視を実行する、請求項記載の方法。
【請求項9】
さらに、前記第1のUWBアンテナ(14)および前記第2のUWBアンテナ(16)を使用して、チャネルインパルス応答(CIR)測定に基づく方法を実施するように前記無線システムの駆動制御を行い、人物に対する前記自動車(10)の前記外側領域(26)の前記監視を、さらに、前記CIR測定の結果に基づいて行う、請求項記載の方法。
【請求項10】
自動車(10)であって、
前記自動車(10)は、
・無線システムを有しており、前記無線システムは、第1のUWBアンテナ(14)と第2のUWBアンテナ(16)とを備えた送受信器を含み、前記UWBアンテナ(14,16)はさらに、Bluetooth無線信号を送信および受信するように構成されており、前記無線システムはさらに、Bluetooth通信を確立するように構成されており、
・前記無線システムに接続された制御ユニット(12)を有しており、前記制御ユニット(12)は、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法を実施するように構成されている、
自動車(10)。
【外国語明細書】