(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007026
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】飲料摂取補助装置及び飲料摂取補助方法
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
B65D83/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108168
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】516047669
【氏名又は名称】共和実業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504289956
【氏名又は名称】株式会社ネットワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100148714
【弁理士】
【氏名又は名称】川浪 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100092668
【弁理士】
【氏名又は名称】川浪 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100154232
【弁理士】
【氏名又は名称】幸田 京子
(72)【発明者】
【氏名】石田 益朗
(72)【発明者】
【氏名】米山 博文
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PD21
3E014PE01
3E014PE09
3E014PE18
3E014PE19
3E014PE30
3E014PF10
(57)【要約】
【課題】ユーザが比較的自然な動作で飲料摂取の補助を受けることが可能な飲料摂取補助装置及び飲料摂取補助方法を提供する。
【解決手段】本発明の飲料摂取補助装置10において、容器本体20よりも上流側の第1上流弁60又は第2上流弁34と、容器本体20よりも下流側の下流弁50それぞれが閉状態にあるとき容器本体20の内部に密閉空間70が形成される。密閉空間70が形成された状態で、手動式エアポンプ30により密閉空間70内にエアを供給することで、密閉空間70内の圧力を上昇させる。当該圧力が上昇した状態でユーザが自らの口の押圧力により下流弁50を開くことで容器本体20内の圧力により飲料100がストロー24内を進むことで、飲料100の吸引動作を伴わなくても又は弱い吸引動作で、ユーザは飲料100を飲むことが可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を蓄積する容器本体と、
ストローと、
ユーザの手で押圧動作を行う弾性膜を有し、上流流路を介して前記容器本体側にエアを送り込む手動式エアポンプと、
前記上流流路において前記エアポンプの吸気側に配置された逆止弁である第1上流弁と、
前記上流流路において前記エアポンプの排気側に配置された逆止弁若しくは流量調整弁又はオンオフ弁である第2上流弁と、
前記ストローの先端側に配置されて、前記ユーザの口からの押圧力により開くノーマルクローズ型の下流弁と
を有し、
前記第1上流弁又は前記第2上流弁と前記下流弁それぞれが閉状態にあるとき前記容器本体の内部に密閉空間が形成される
ことを特徴とする飲料摂取補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料摂取補助装置において、
前記飲料摂取補助装置は、前記本体容器に対して着脱可能であり、前記本体容器の開口部を閉塞する容器キャップを含み、
前記上流流路及び前記ストローは、前記容器キャップを介して前記容器本体の外部と連通する
ことを特徴とする飲料摂取補助装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の飲料摂取補助装置において、
前記飲料摂取補助装置は、
前記エアポンプと前記第2上流弁の間に配置されて、前記エアポンプから供給される圧縮エアを蓄積するエアタンクと、
前記エアタンクよりも前記容器本体側に配置された前記第2上流弁としての手動式圧力調整弁と
を有することを特徴とする飲料摂取補助装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の飲料摂取補助装置において、
前記下流弁は、
前記ストローの根本側において互いに密着する密着部分を形成すると共に、前記密着部分よりも前記ストローの先端側において前記ユーザの口に押圧される口押圧部分を有する上側可動部及び下側可動部と、
前記密着部分と前記口押圧部分の間において、前記ストローの長手方向に対して垂直に配置されて前記上側可動部及び前記下側可動部に接する支点棒と
を備え、
通常時は前記上側可動部と前記下側可動部の前記密着部分により前記下流弁が閉状態となり、
前記ユーザの口からの前記押圧力が前記上側可動部及び下側可動部の前記口押圧部分に加わったとき、前記密着部分の前記上側可動部及び下側可動部が離間して前記下流弁が開く
ことを特徴とする飲料摂取補助装置。
【請求項5】
請求項4に記載の飲料摂取補助装置において、
前記上側可動部及び前記下側可動部は、前記ストローの長手方向に対して垂直方向に延在する
ことを特徴とする飲料摂取補助装置。
【請求項6】
飲料を蓄積する容器本体と、ストローとを有する飲料摂取装置に取り付け可能な飲料摂取補助装置であって、
ユーザの手で押圧動作を行う弾性膜を有し、上流流路を介して前記容器本体内にエアを送り込むエアポンプと、
前記上流流路において前記エアポンプよりも吸気側に配置された逆止弁である第1上流弁と、
前記上流流路において前記エアポンプよりも排気側に配置された逆止弁若しくは流量調整弁又はオンオフ弁である第2上流弁と、
前記ストローの先端側に配置されて、前記ユーザの口からの押圧力により開くノーマルクローズ型の下流弁と
を有し、
前記第1上流弁又は前記第2上流弁と前記下流弁それぞれが閉状態にあるとき前記容器本体の内部に密閉空間が形成される
を有することを特徴とする飲料摂取補助装置。
【請求項7】
ストローを有する容器本体に蓄積された飲料の摂取を補助する飲料摂取補助方法であって、
上流流路を介して前記容器本体内にエアを送り込むエアポンプと、
前記上流流路において前記エアポンプよりも吸気側に配置された逆止弁である第1上流弁と、
前記上流流路において前記エアポンプよりも排気側に配置された逆止弁若しくは流量調整弁又はオンオフ弁である第2上流弁と、
前記ストローの先端側に配置されて、前記ユーザの口からの押圧力により開くノーマルクローズ型の下流弁と
を設ける準備ステップと、
前記第1上流弁又は前記第2上流弁と前記下流弁それぞれを閉状態として前記容器本体の内部に密閉空間を形成する密閉空間形成ステップと、
前記エアポンプにより前記上流流路を介して前記容器本体側に圧縮エアを送り込む圧縮エア供給ステップと、
前記圧縮エアを前記容器本体内に供給して前記容器本体の内部圧力を上昇させる内部圧力上昇ステップと、
前記ユーザの口から前記下流弁に対する押圧力の付与に伴って前記下流弁が開かれた際、前記圧縮エアからの圧力により、前記ストローを介しての前記飲料の放出を促進させることを許容する飲料放出促進ステップと
を有することを特徴とする飲料摂取補助方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、肺活量の低下した者(高齢者等)又は手等に障害を有する者による飲料摂取を補助する飲料摂取補助装置及び飲料摂取補助方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、人又は動物が摂取する流体用に使用可能なディスペンサ器具を提供することを目的としている([0003])。当該目的を達成するため、特許文献1(要約)の流体用ディスペンサ器具(1)は、ディスペンサ器具上に設置され且つ出口開口部を有するバルブ(3)を備えており、バルブの出口開口部に接続されたチューブ(4)を有する。チューブは少なくとも部分的に柔軟で、チューブは通常完全にキャップ(2)のケーシング内に伸び、使用する前にチューブは少なくとも部分的にキャップのケーシングの外側に移動可能である。
【0003】
特許文献1において、ディスペンサ器具としてのエアゾール(1)は、バルブ(3)によって頭部が閉鎖された、それ自体は既知の金属管によって形成される([0032])。また、エアゾールは、飲料と高圧ガスを組み合わせて使用するものである([0040])。ユーザは、チューブ(4)を口の中に入れた状態で、キャップ(2)の上側に配置された操作要素(7)を押し下げることでバルブ(3)を開放させてエアゾールの内容物を摂取することができる([0036]、[0038])。内容物が圧力をかけられているエアゾールとは別に、内容物が圧力をかけずに収容される他のタイプのディスペンサ器具の場合、ポンプ機能によって内容物をチューブへと付勢することもできるとされている([0041])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、特許文献1では、飲料と高圧ガスを組み合わせるエアゾールの場合、ユーザは、チューブ(4)を口の中に入れた状態で、キャップ(2)の上側に配置された操作要素(7)を押し下げることでバルブ(3)を開放させてエアゾールの内容物を摂取することができる([0036]、[0038])。しかしながら、チューブ(4)(又はストロー)を口の中に入れた状態でキャップ(2)上側の操作要素(7)を押し下げることは操作性が高いとは言い難い。また、エアゾール以外のタイプでは、ポンプ機能を用いることができるともされているが([0041])、ポンプ機能の詳細については開示されていない。
【0006】
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、ユーザが比較的自然な動作で飲料摂取の補助を受けることが可能な飲料摂取補助装置及び飲料摂取補助方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る飲料摂取補助装置は、
飲料を蓄積する容器本体と、
ストローと、
ユーザの手で押圧動作を行う弾性膜を有し、上流流路を介して前記容器本体側にエアを送り込む手動式エアポンプと、
前記上流流路において前記エアポンプの吸気側に配置された逆止弁である第1上流弁と、
前記上流流路において前記エアポンプの排気側に配置された逆止弁若しくは流量調整弁又はオンオフ弁である第2上流弁と、
前記ストローの先端側に配置されて、前記ユーザの口からの押圧力により開くノーマルクローズ型の下流弁と
を有し、
前記第1上流弁又は前記第2上流弁と前記下流弁それぞれが閉状態にあるとき前記容器本体の内部に密閉空間が形成される
ことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、容器本体よりも上流側の弁(第1上流弁又は第2上流弁)と容器本体よりも下流側の弁(下流弁)それぞれが閉状態にあるとき容器本体の内部に密閉空間が形成される。そして、この密閉空間が形成された状態で、手動式エアポンプにより密閉空間内にエアを供給することで、密閉空間内の圧力を上昇させることができる。また、圧力が上昇した状態でユーザが自らの口の押圧力(歯により噛む場合を含み得る。)により下流弁を開くことで容器本体内の圧力により飲料がストロー内を進むことで、飲料の吸引動作を伴わなくても又は弱い吸引動作で、ユーザは飲料を飲むことが可能となる。従って、口により下流弁の押圧動作を行うことができるが飲料の吸引動作を行うことが困難なユーザ(吸引力が低い場合を含む。)であっても飲料を飲むことが容易となる。
【0009】
或いは、例えば、手等に障害があるために容器本体を持って飲料を摂取することが困難な者のためにストローを長くするような場合、ストローの長さ増大に伴って、ストローを介して飲料を吸うために必要な吸引力も増大する。本発明によれば、容器本体内の圧力が上昇した状態でユーザが自らの口の押圧力により下流弁を開くことで容器本体内の圧力により飲料がストロー内を進むことで、飲料の吸引動作を伴わなくても又は弱い吸引動作で、ユーザは飲料を飲むことが可能となる。そのため、ストローを通常よりも長くした状態で、上記のような障害がある者が飲料を摂取することを容易とすることができる。
【0010】
また、本発明の構成は、電気的な構成要素(電気回路、電池等)を必須としない。そのため、電力供給なしで、飲料の摂取を補助することが可能となる。
【0011】
前記飲料摂取補助装置は、前記本体容器に対して着脱可能であり、前記本体容器の開口部を閉塞する容器キャップを含んでもよい。また、前記上流流路及び前記ストローは、前記容器キャップを介して前記容器本体の外部と連通してもよい。これにより、容器キャップを取り外すことで、飲料の補充、本体容器内の洗浄等が容易となる。
【0012】
前記飲料摂取補助装置は、前記エアポンプと前記第2上流弁の間に配置されて、前記エアポンプから供給される圧縮エアを蓄積するエアタンクと、前記エアタンクよりも前記容器本体側に配置された前記第2上流弁としての手動式圧力調整弁とを有してもよい。
【0013】
これにより、容器本体の上流側のエアタンクにおいて、容器本体とは別に圧縮エアを蓄積しておき、必要に応じて、圧縮エアを容器本体内に供給可能となる。従って、手動式エアポンプを操作するタイミングと、圧縮エアを容器本体内に供給するタイミングをずらすことを可能とすることで、操作性を向上することができる。また、手動式圧力調整弁を用いることで、容器本体内の圧力の微調整が行い易くなる。
【0014】
前記下流弁は、前記ストローの根本側において互いに密着する密着部分を形成すると共に、前記密着部分よりも前記ストローの先端側において前記ユーザの口に押圧される口押圧部分を有する上側可動部及び下側可動部と、前記密着部分と前記口押圧部分の間において、前記ストローの長手方向に対して垂直に配置されて前記上側可動部及び前記下側可動部に接する支点棒とを備えてもよい。また、通常時は前記上側可動部と前記下側可動部の前記密着部分により前記下流弁が閉状態となってもよい。さらに、前記ユーザの口からの前記押圧力が前記上側可動部及び下側可動部の前記口押圧部分に加わったとき、前記密着部分の前記上側可動部及び下側可動部が離間して前記下流弁が開いてもよい。これにより、口押圧部分が力点として、支点棒が支点として、密着部分が作用点として機能して、てこの原理を用いて下流弁を開くことが可能となる。
【0015】
前記上側可動部及び前記下側可動部は、前記ストローの長手方向に対して垂直方向に延在してもよい。これにより、ユーザが口を当てる位置及び方向を認識し易くなる。
【0016】
本発明の別の態様に係る飲料摂取補助装置は、飲料を蓄積する容器本体と、ストローとを有する飲料摂取装置に取り付け可能なものであって、
ユーザの手で押圧動作を行う弾性膜を有し、上流流路を介して前記容器本体内にエアを送り込むエアポンプと、
前記上流流路において前記エアポンプよりも吸気側に配置された逆止弁である第1上流弁と、
前記上流流路において前記エアポンプよりも排気側に配置された逆止弁若しくは流量調整弁又はオンオフ弁である第2上流弁と、
前記ストローの先端側に配置されて、前記ユーザの口からの押圧力により開くノーマルクローズ型の下流弁と
を有し、
前記第1上流弁又は前記第2上流弁と前記下流弁それぞれが閉状態にあるとき前記容器本体の内部に密閉空間が形成される
を有することを特徴とする。
【0017】
本発明のさらに別の態様に係る飲料摂取補助方法は、ストローを有する容器本体に蓄積された飲料の摂取を補助する方法であって、
上流流路を介して前記容器本体内にエアを送り込むエアポンプと、
前記上流流路において前記エアポンプよりも吸気側に配置された逆止弁である第1上流弁と、
前記上流流路において前記エアポンプよりも排気側に配置された逆止弁若しくは流量調整弁又はオンオフ弁である第2上流弁と、
前記ストローの先端側に配置されて、前記ユーザの口からの押圧力により開くノーマルクローズ型の下流弁と
を設ける準備ステップと、
前記第1上流弁又は前記第2上流弁と前記下流弁それぞれを閉状態として前記容器本体の内部に密閉空間を形成する密閉空間形成ステップと、
前記エアポンプにより前記上流流路を介して前記容器本体側に圧縮エアを送り込む圧縮エア供給ステップと、
前記圧縮エアを前記容器本体内に供給して前記容器本体の内部圧力を上昇させる内部圧力上昇ステップと、
前記ユーザの口から前記下流弁に対する押圧力の付与に伴って前記下流弁が開かれた際、前記圧縮エアからの圧力により、前記ストローを介しての前記飲料の放出を促進させることを許容する飲料放出促進ステップと
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユーザが比較的自然な動作で飲料摂取の補助を受けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る飲料摂取補助装置の概略構成図である。
【
図2】前記実施形態の前記ストロー弁の閉状態の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3(A)は、前記実施形態のストロー弁の閉状態の一例を示す正面図であり、
図3(B)は、前記実施形態の前記ストロー弁の開状態の一例を示す正面図である。
【
図4】前記実施形態に係る前記飲料摂取補助装置の利用方法を示すフローチャートである。
【
図5】変形例に係るストロー弁及びその周辺の斜視図である。
【
図6】
図6(A)は、前記変形例に係る前記ストロー弁の閉状態の一例を示す側面断面図であり、
図6(B)は、前記変形例に係る前記ストロー弁の開状態の一例を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<A.一実施形態>
[A-1.一実施形態の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る飲料摂取補助装置10の概略構成図である。飲料摂取補助装置10(以下「補助装置10」ともいう。)は、肺活量の低下した者(高齢者等)又は手等に障害を有する者による飲料摂取を補助する装置である。補助装置10は、容器本体20と、容器キャップ22(以下「キャップ22」ともいう。)と、ストロー24と、ジョイントチューブ26と、ストロー弁ユニット28と、ゴム球30と、エアタンク32と、圧力調整弁34と、エア供給チューブ36とを有する。ゴム球30、エアタンク32、圧力調整弁34及びエア供給チューブ36は上流流路38を形成する。なお、容器本体20(及びキャップ22)並びにストロー24を飲料摂取装置と位置付け、それ以外の構成要素を補助装置10と位置付けてもよい。
【0021】
容器本体20は、飲料100を蓄積するものであり、その上部に容器本体20の開口部を閉塞するキャップ22が取り付けられる。本実施形態の容器本体20は、略円筒状のボトルであるが、その他の形状(例えば、略四角筒状)であってもよい。キャップ22は、ねじ構造により容器本体20の上部に着脱自在である。キャップ22は、容器本体20の一部と見ることもできる。ストロー24及びエア供給チューブ36は、キャップ22を介して容器本体20の外部と連通する。ストロー24は、キャップ22を貫通して容器本体20の内部と外部を連通する。ストロー24には、ジョイントチューブ26を介してストロー弁ユニット28が取り付けられる。ストロー弁ユニット28には、ノーマルクローズ型のストロー弁50が設けられる。
【0022】
ゴム球30(弾性膜)は、圧縮エアをエアタンク32に送出する手動式エアポンプとして機能する。ゴム球30の吸気側にはゴム球吸気弁60(第1上流弁)が設けられると共に、ゴム球30の排気側にはゴム球排気弁62が設けられる。ゴム球吸気弁60及びゴム球排気弁62は逆止弁である。ユーザが、ゴム球30を握ると(すなわち、ユーザの手でゴム球30に押圧動作を行うと)、ゴム球30が潰れると共にゴム球排気弁62が開いて、エアタンク32内に圧縮エアが供給される(この際、ゴム球吸気弁60は閉状態である。)。ユーザが、ゴム球30を離すと(すなわち、ゴム球30への押圧力を開放すると)、潰れていたゴム球30が自己の復元力により元に戻ると共にゴム球吸気弁60が開いて、ゴム球30の外部からゴム球30の内部にエアが吸引される(この際、ゴム球排気弁62は閉状態である。)。
【0023】
エアタンク32は、ゴム球30と圧力調整弁34の間に配置されて、ゴム球30からの圧縮エアを蓄積する。圧力調整弁34(第2上流弁)は、ゴム球30の排気側(すなわち、ゴム球30よりも容器本体20側)に配置されており、エアタンク32から容器本体20への圧縮エアの供給量を手動で調整可能である。エア供給チューブ36は、圧力調整弁34(又はエアタンク32)と容器本体20とを連通する。エア供給チューブ36は、例えば、キャップ22に連結する硬質のチューブと、当該硬質のチューブに連結する柔軟性の高いチューブとから構成してもよい。
【0024】
図2は、本実施形態のストロー弁50の閉状態の一例を示す斜視図である。
図3(A)は、本実施形態のストロー弁50の閉状態の一例を示す正面図であり、
図3(B)は、本実施形態のストロー弁50の開状態の一例を示す正面図である。ストロー弁50(下流弁)は、ストロー24の先端側に配置されたノーマルクローズ型の弁であり、本実施形態では、左断片52Lと右断片52Rを有する。
【0025】
ストロー弁50は、ユーザの口(歯の場合を含み得る。)からの押圧力54(
図3(B))により開く。すなわち、ストロー弁50の上下から押圧力54が加わると、左断片52Lと右断片52Rが押しつぶされて開口部56が生じる。本実施形態のストロー弁50は、ストロー弁ユニット28に一体的に組み込まれるが、ストロー弁ユニット28(或いはストロー24若しくはジョイントチューブ26)に対して後付けで取り付ける形式であってもよい。
【0026】
本実施形態では、ゴム球吸気弁60若しくはゴム球排気弁62又は圧力調整弁34が閉状態であり且つストロー弁50が閉状態にあるとき容器本体20の内部に密閉空間70(
図1)が形成される。
【0027】
[A-2.本実施形態の利用方法]
図4は、本実施形態に係る飲料摂取補助装置10の利用方法を示すフローチャートである。まずステップS11において、ユーザは、飲料摂取補助装置10を組み立てる。すなわち、キャップ22を介してストロー24の一端側(根本側)を容器本体20の内部に配置する。また、ストロー24の他端側(先端側)にジョイントチューブ26を取り付けると共に、ジョイントチューブ26にストロー弁ユニット28を取り付ける。さらに、キャップ22を介してエア供給チューブ36の一端側を容器本体20の内部に配置する。さらにまた、エア供給チューブ36の他端側を圧力調整弁34に取り付ける。加えて、ゴム球30をエアタンク32に取り付ける。圧力調整弁34は閉状態としておく。これにより、容器本体20内部に密閉空間70が形成される。なお、上記組立ての一部又は全部は、工場出荷時に行っておき、ユーザ使用時には組立ての一部又は全部を省略可能としてもよい。
【0028】
ステップS12において、ユーザは、ゴム球30を握ること(換言すると、ゴム球30に対する手動押圧動作を行うこと)によりエアタンク32内に圧縮エアを蓄積する。この際、圧力調整弁34が閉状態であれば、圧縮エアは、エアタンク32内のみに蓄積し、容器本体20にはこの時点では供給されない。
【0029】
ステップS13において、ユーザは、圧力調整弁34を手動で開いてエアタンク32内の圧縮エアを容器本体20内部に供給することにより、容器本体20内部の圧力を上昇させる。容器本体20内部の圧力が上昇すると、容器本体20内の飲料100がストロー24の内部に向かって流れ込むように付勢される。これにより、ストロー24内の液面高さが変化することで、容器本体20内の圧力を視認することが可能となる。
【0030】
なお、エアタンク32内の圧縮エアを全て開放しても、容器本体20内の圧力が十分に上昇しなかった場合、ユーザは、圧力調整弁34を開状態から閉状態に移行させた後、ステップS12、S13を繰り返してもよい。或いは、例えば、容器本体20内の圧力が所定値に到達するまでは、圧力調整弁34を開状態としつつ、ゴム球30から容器本体20内に圧縮エアを供給してもよい。そして、容器本体20内の圧力が前記所定値に到達すると、手動により圧力調整弁34を閉状態とした後、エアタンク32内を容器本体20内よりも高圧にしておき、容器本体20内の圧力を微調整するような利用も可能である。
【0031】
容器本体20内の圧力が十分に上昇した状態で、ユーザは、ストロー弁50に対して口の押圧動作(歯による噛む動作であってもよい。)を行うことでストロー弁50を開く(
図3(B)参照)。これにより、ストロー24(並びにジョイントチューブ26及びストロー弁ユニット28)を介して、飲料100がユーザの口に流れ込む。従って、ユーザは、ストロー24を介しての飲料100の吸引動作をすることなく、又は弱い吸引動作で、飲料100を摂取することが可能となる。
【0032】
なお、ここでは、ゴム球30及び圧力調整弁34を操作する主体と、ストロー弁50に対する口の押圧動作を行って飲料100を摂取する主体を同一人物として説明したが、前者の主体と後者の主体は異なっていてもよい。
【0033】
[A-3.本実施形態の効果]
本実施形態によれば、容器本体20よりも上流側の弁(ゴム球吸気弁60(第1上流弁)若しくはゴム球排気弁62又は圧力調整弁34(第2上流弁))と、容器本体20よりも下流側の弁(ストロー弁50(下流弁))それぞれが閉状態にあるとき容器本体20の内部に密閉空間70が形成される(
図1参照)。そして、この密閉空間70が形成された状態で、ゴム球30(手動式エアポンプ)により密閉空間70内にエアを供給することで、密閉空間70内の圧力を上昇させることができる。また、密閉空間70内の圧力が上昇した状態でユーザが自らの口の押圧力(歯により噛む場合を含み得る。)によりストロー弁50を開くことで容器本体20内の圧力により飲料100がストロー24内を進むことで、飲料100の吸引動作を伴わなくても又は弱い吸引動作で、ユーザは飲料100を飲むことが可能となる。従って、口によりストロー弁50の押圧動作を行うことができるが飲料100の吸引動作を行うことが困難なユーザ(吸引力が低い場合を含む。)であっても飲料100を飲むことが容易となる。
【0034】
或いは、例えば、手等に障害があるために容器本体20を持って飲料100を摂取することが困難な者のためにストロー24を長くするような場合(例えば、ジョイントチューブ26とストロー弁ユニット28をストロー24に接続する場合)、ストロー24の長さ増大に伴って、ストロー24を介して飲料100を吸うために必要な吸引力も増大する。本実施形態によれば、容器本体20内の圧力が上昇した状態でユーザが自らの口の押圧力54(
図3(B))によりストロー弁50を開くことで容器本体20内の圧力により飲料100がストロー24内を進むことで、飲料100の吸引動作を伴わなくても又は弱い吸引動作で、ユーザは飲料100を飲むことが可能となる。そのため、ストロー24を通常よりも長くした状態で、上記のような障害がある者が飲料100を摂取することを容易とすることができる。
【0035】
また、本実施形態の構成は、電気的な構成要素(電気回路、電池等)を必須としない(
図1)。そのため、電力供給なしで、飲料100の摂取を補助することが可能となる。
【0036】
本実施形態において、飲料摂取補助装置10は、本体容器20に対して着脱可能であり、本体容器20の開口部を閉塞する容器キャップ22を含む(
図1)。また、エア供給チューブ36(又は上流流路38)及びストロー24は、容器キャップ22を介して容器本体20の外部と連通する(
図1)。これにより、容器キャップ22を取り外すことで、飲料100の補充、本体容器20内の洗浄等が容易となる。
【0037】
本実施形態において、飲料摂取補助装置10は、ゴム球30(エアポンプ)と圧力調整弁34(第2上流弁)の間に配置されて、ゴム球30から供給される圧縮エアを蓄積するエアタンク32と、エアタンク32よりも容器本体20側に配置された手動式圧力調整弁34(第2上流弁)とを有する(
図1)。これにより、容器本体20の上流側のエアタンク32において、容器本体20とは別に圧縮エアを蓄積しておき、必要に応じて、圧縮エアを容器本体20内に供給可能となる。従って、ゴム球30(手動式エアポンプ)を操作するタイミングと、圧縮エアを容器本体20内に供給するタイミングをずらすことを可能とすることで、操作性を向上することができる。また、手動式圧力調整弁34を用いることで、容器本体20内の圧力の微調整が行い易くなる。
【0038】
<B.変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0039】
上記実施形態では、容器本体20に加えてキャップ22を設けた(
図1)。しかしながら、例えば、密閉された容器本体20の圧力を上昇させることでストロー24を介しての飲料摂取を補助する観点に着目すれば、これに限らない。例えば、容器本体20を使い捨てタイプとして、キャップ22を設けないことも可能である。或いは、キャップ22の代わりに、蓋等を設けることも可能である。
【0040】
上記実施形態では、容器本体20内に供給される圧縮エアを生成するエアポンプとしてゴム球30を設いた(
図1)。しかしながら、例えば、密閉された容器本体20の圧力を上昇させることでストロー24を介しての飲料摂取を補助する観点に着目すれば、これに限らず、その他のエアポンプを用いてもよい。そのような他のエアポンプとしては、例えば、蛇腹状の手動式エアポンプ、又は電動式エアポンプを用いることも可能である。
【0041】
上記実施形態では、エアタンク32及び圧力調整弁34を設けた(
図1)。しかしながら、例えば、密閉された容器本体20の圧力を上昇させることでストロー24を介しての飲料摂取を補助する観点に着目すれば、これに限らず、エアタンク32及び圧力調整弁34を省略してもよい。
【0042】
上記実施形態では、ストロー24にジョイントチューブ26及びストロー弁ユニット28を取り付ける構成とした(
図1)。しかしながら、例えば、密閉された容器本体20の圧力を上昇させることでストロー24を介しての飲料摂取を補助する観点に着目すれば、これに限らない。例えば、ジョイントチューブ26を省略することも可能である。或いは、ストロー弁50をストロー24の内部に設けること(並びに後付け式のジョイントチューブ26及びストロー弁ユニット28を省略すること)も可能である。
【0043】
上記実施形態では、ストロー弁50の構成を
図2、
図3(A)及び
図3(B)に記載のようなものとした。しかしながら、例えば、密閉された容器本体20の圧力を上昇させることでストロー24を介しての飲料摂取を補助する観点に着目すれば、これに限らない。
【0044】
図5は、変形例に係るストロー弁80及びその周辺の斜視図である。
図6(A)は、変形例に係るストロー弁80の閉状態の一例を示す側面断面図であり、
図6(B)は、変形例に係るストロー弁80の開状態の一例を示す側面断面図である。
図5、
図6(A)及び
図6(B)に示すストロー弁80(下流弁)は、ストロー弁ユニット28aに設けられ、上側可動部82U、下側可動部82D及び支点棒84を有する。
【0045】
上側可動部82U及び下側可動部82Dは、ストロー24の根本側において互いに密着する密着部分86(
図6(A))を形成すると共に、密着部分86よりもストロー24の先端側においてユーザの口に押圧される口押圧部分88を有する。支点棒84は、密着部分86と口押圧部分88の間において、ストロー24の長手方向に対して垂直に配置されて上側可動部82U及び下側可動部82Dに接する。本変形例の支点棒84は、飲料100の動きを妨げないように、ストロー弁ユニット28aの左右に1本ずつ設けている。或いは、支点棒84は、中央部分を細くし、両脇部分を太くして1本で構成してもよい。或いは、支点棒84は、左右方向において太さが等しい棒状であってもよい。
【0046】
通常時は上側可動部82Uと下側可動部82Dの密着部分86によりストロー弁80が閉状態となる(
図6(A))。また、ユーザの口からの押圧力90(
図6(B))が上側可動部82U及び下側可動部82Dの口押圧部分88に加わったとき、密着部分86の上側可動部82U及び下側可動部82Dが離間して開口部92が生じることでストロー弁80が開く。これにより、口押圧部分88が力点として、支点棒84が支点として、密着部分86が作用点として機能して、てこの原理を用いて(換言すると、比較的弱い押圧力で)ストロー弁80を開くことが可能となる。
【0047】
また、
図5からわかるように、上側可動部82U及び下側可動部82Dは、ストロー24の長手方向に対して垂直方向に延在する。これにより、ユーザが口を当てる位置及び方向を認識し易くなる。
【符号の説明】
【0048】
10…飲料摂取補助装置 20…容器本体
22…容器キャップ 24…ストロー
30…ゴム球(手動式エアポンプ) 32…エアタンク
34…手動式圧力調整弁(第2上流弁) 38…上流経路
50…ストロー弁(下流弁) 54…押圧力
60…ゴム球吸気弁(第1上流弁) 62…ゴム球排気弁
70…密閉空間 80…ストロー弁(下流弁)
82D…下側可動部 82U…上側可動部
84…支点棒 86…密着部分
88…口押圧部分 90…押圧力
100…飲料