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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070305
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】袋体入り氷破砕物
(51)【国際特許分類】
   A23G 9/00 20060101AFI20240516BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20240516BHJP
   A23L 2/42 20060101ALI20240516BHJP
   B65D 75/68 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
A23G9/00 101
A23L2/00 Z
A23L2/42
A23L2/00 W
B65D75/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180695
(22)【出願日】2022-11-11
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 美紀子
(72)【発明者】
【氏名】翠川 裕英
(72)【発明者】
【氏名】丸田 聡
【テーマコード(参考)】
3E067
4B014
4B117
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB16
3E067AC03
3E067BA12
3E067BB14
3E067BC04
3E067CA07
3E067CA24
3E067EA18
3E067EB22
3E067EE59
3E067FA01
3E067FB20
3E067FC01
3E067GA01
3E067GD07
3E067GD10
4B014GE12
4B014GK03
4B014GL01
4B014GP12
4B014GP25
4B014GQ17
4B117LC15
4B117LE06
4B117LE10
4B117LK01
4B117LL02
4B117LP16
4B117LP17
4B117LP20
(57)【要約】
【課題】甘味料を含有する氷を破砕した氷破砕物であって、飲料やお酒に添加して用いるのに適した袋体入り氷破砕物を提供する。
【解決手段】袋体入り氷破砕物100は、合成樹脂シートからなる袋体200と、該袋体に充填された氷破砕物300とを備え、前記袋体は、開口部の内側面に互いに咬合するシールチャック210を有し、該シールチャックの長さ方向の少なくとも1箇所に溶着部213が設けられ、該シールチャックを開く箇所(211、212)を選択することにより、異なる大きさの開口部を形成できるように構成されており、前記氷破砕物は、甘味料を含有する氷を破砕したものである。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂シートからなる袋体と、
該袋体に充填された氷破砕物とを備え、
前記袋体は、開口部の内側面に互いに咬合するシールチャックを有し、該シールチャックの長さ方向の少なくとも1箇所に溶着部が設けられ、該シールチャックを開く箇所を選択することにより、異なる大きさの開口部を形成できるように構成されており、
前記氷破砕物は、甘味料を含有する氷を破砕したものであることを特徴とする袋体入り氷破砕物。
【請求項2】
前記氷破砕物の最長径が5~60mmの範囲に入るものが90%以上であり、最長径の平均値が18~29mmであり、前記袋体は、前記開口部として、前記袋体の幅方向の長さが45~105mmのものと、それより大きいものとを有している、請求項1記載の袋体入り氷破砕物。
【請求項3】
前記氷破砕物の最長径が5~35mmの範囲に入るものが90%以上であり、最長径の平均値が11~22mmであり、前記袋体は、前記開口部として、前記袋体の幅方向の長さが35~70mmのものと、それより大きいものとを有している、請求項1記載の袋体入り氷破砕物。
【請求項4】
前記袋体は、前記開口部として、前記袋体の幅方向の長さが、前記氷破砕物の平均最長径に対して、1.9~4.4倍のものと、それより大きいものとを有している、請求項1記載の袋体入り氷破砕物。
【請求項5】
前記シールチャックは、形状保持機能を有する樹脂材料で形成されている、請求項1記載の袋体入り氷破砕物。
【請求項6】
水割り用の氷として用いられる、請求項1~5のいずれかに記載の袋体入り氷破砕物。
【請求項7】
前記氷破砕物は、溶解させて水溶液としたときのブリックス値が0.5~15である、請求項1~5のいずれかに記載の袋体入り氷破砕物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば飲料用、水割り用の氷などとして好適な袋体入り氷破砕物に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料やお酒に添加して用いられる氷破砕物は、合成樹脂シートの袋に充填されて販売されており、袋としてシールチャックを有するものも利用されている。
【0003】
例えば下記特許文献1には、底部に折り畳み自在の底部シートを取付けたプラスチック製の包装用袋に、ブロック状の砕氷を封入して、前記包装用袋の底部シートを広げた状態で自立できるようにしたことを特徴とするスタンド型包装砕氷が開示されており、包装用袋としてチャックを有するものが採用されている。
【0004】
一方、出願人は、甘味料を含有する氷を破砕した氷菓として、「アイスボックス」(商品名、森永製菓株式会社製)を販売してきた。
【0005】
本発明者らは、このような氷菓をウイスキー、焼酎などの水割り用の氷として利用しようと試みたところ、冷感があって氷菓の味も味わえる美味しいアルコール飲料が得られることがわかった。
【0006】
また、下記特許文献2には、相対向した開口部の内側面に互いに咬合する合成樹脂製チャックを前記開口部の全幅に渡って設けた袋体において、前記チャックに開口幅を複数に区分する溶着部を、開口部端縁よりは少しく離間して設けたことを特徴とするチャック付袋体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3085678号公報
【特許文献2】特開平5-244874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記氷菓のような甘味料入りの氷は、水だけでできた氷に比べて、溶けやすい傾向があり、アイスペールなどに入れて、コップに補給しながら利用しようとすると、比較的短時間で溶けてしまうという問題があった。
【0009】
また、甘味料入りの氷は、溶け始めるとべたつきやすくなるので、手でつかんで氷をいれようとすると手がべとつき、トングでつかもうとしても、氷塊がくっつき合って離れにくくなったりする不都合があった。
【0010】
特許文献1のスタンド型包装砕氷は、包装用袋自体がアイスペールとなるものであり、包装袋から直接氷をコップに移すことは意図していない。
【0011】
特許文献2は、チャック付袋体について開示しているものの、本発明に係る用途については、何等開示されていない。
【0012】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、甘味料を含有する氷を破砕した氷破砕物であって、飲料やお酒に添加して用いるのに適した袋体入り氷破砕物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の袋体入り氷破砕物は、合成樹脂シートからなる袋体と、該袋体に充填された氷破砕物とを備え、前記袋体は、開口部の内側面に互いに咬合するシールチャックを有し、該シールチャックの長さ方向の少なくとも1箇所に溶着部が設けられ、該シールチャックを開く箇所を選択することにより、異なる大きさの開口部を形成できるように構成されており、前記氷破砕物は、甘味料を含有する氷を破砕したものであることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、袋体が、シールチャックの長さ方向の少なくとも1箇所に溶着部が設けられ、該シールチャックを開く箇所を選択することにより、異なる大きさの開口部を形成できるように構成されているので、開く開口部を選択することにより、袋の開口部から氷破砕物を少しずつ押出して、直接コップに入れることができる。このため、コップから溢れてしまったり、コップからそれて落ちてしまったりすることを防ぐことができる。また、甘味料入りの氷はべたつきやすいという問題があるが、選択した開口部から氷を押出すようにしてコップに入れることができるので、手を汚したり、氷どうしがくっつき合って入れにくくなったりすることを防止でき、トングなどの用具も必要なくなる。また、コップに必要量の氷破砕物を入れたら、シールチャックを閉じて冷凍庫にしまうことにより、氷破砕物が溶けることを抑制することができる。更に、アイスペールのような大き目の容器に入れたいときは、大きな開口部を開いて流出させることにより、氷破砕物を迅速に容器に充填できる。
【0015】
本発明の袋体入り氷破砕物の1つの態様においては、前記氷破砕物の最長径が5~60mmの範囲に入るものが90%以上であり、最長径の平均値が18~29mmであり、前記袋体は、前記開口部として、前記袋体の幅方向の長さが45~105mmのものと、それより大きいものとを有していることが好ましい。
【0016】
氷破砕物の最長径が5~60mmの範囲に入るものが90%以上であり、最長径の平均値が18~29mmである場合、開口部として、袋体の幅方向の長さが45~105mmのものを有していれば、該開口部から、氷破砕物を少しずつ押出すことが可能であり、コップ等の比較的小さな容器でも、例えば1個ずつ直接投入することができる。また、アイスペールなどの比較的大きな容器に氷破砕物を移すときは、上記よりも大きな開口部から流出させることにより、迅速に移すことができる。
【0017】
また、別の態様においては、前記氷破砕物の最長径が5~35mmの範囲に入るものが90%以上であり、最長径の平均値が11~22mmであり、前記袋体は、前記開口部として、前記袋体の幅方向の長さが35~70mmのものと、それより大きいものとを有していることが好ましい。
【0018】
氷破砕物の最長径が5~35mmの範囲に入るものが90%以上であり、最長径の平均値が11~22mmである場合、開口部として、袋体の幅方向の長さが35~70mmのものを有していれば、該開口部から、氷破砕物を少しずつ押出すことが可能であり、コップ等の比較的小さな容器でも、例えば1個ずつ直接投入することができる。
【0019】
また、前記袋体は、前記開口部として、前記袋体の幅方向の長さが、前記氷破砕物の平均最長径に対して、1.9~4.4倍のものと、それより大きいものとを有していることが好ましい。
【0020】
前記開口部として、前記袋体の幅方向の長さが、前記氷破砕物の平均最長径に対して、1.9~4.4倍のものを有していれば、該開口部から、氷破砕物を少しずつ押出すことが可能であり、コップ等の比較的小さな容器でも、例えば1個ずつ直接投入することができる。また、アイスペールなどの比較的大きな容器に氷破砕物を移すときは、上記よりも大きな開口部から流出させることにより、迅速に移すことができる。
【0021】
また、本発明の袋体入り氷破砕物においては、前記シールチャックは、形状保持機能を有する樹脂材料で形成されていることが好ましい。
【0022】
小さな開口部を作ることにより、シールチャックを開いても閉じやすくなり、取出しにくくなる傾向があるが、形状保持機能を有する樹脂材料で形成されたシールチャックを用いることにより、開いたときに、シールチャックが元の形状に戻りにくくなり、開口部が開かれた状態を維持するので、甘味料を含有するべとつきやすい氷破砕物であっても、取出しやすくすることができる。
【0023】
また、本発明の袋体入り氷破砕物は、水割り用の氷として用いられることが好ましい。
【0024】
本発明の袋体入り氷破砕物は、選択した開口部から氷を押出すようにしてコップに入れることができるので、手を汚したり、氷どうしがくっつき合って入れにくくなったりすることを防止でき、トングなどの用具も必要なくなるので、甘味料入りの氷を、水割り用の氷として手軽に利用することができる。
【0025】
また、前記氷破砕物は、溶解させて水溶液としたときのブリックス値が0.5~15であることが好ましい。
【0026】
ブリックス値が上記範囲であれば、飲料やお酒に混ぜたときに、適度な味を感じることができると共に、氷破砕物が凍結しにくくなったり、溶けやすくなったりすることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の袋体入り氷破砕物によれば、シールチャックを開く開口部を選択することにより、袋の開口部から氷破砕物を少しずつ押出して直接コップに入れることができるので、コップから溢れてしまったり、コップからそれて落ちてしまったり、手を汚したり、氷どうしがくっつき合って入れにくくなったりすることを防止でき、トングなどの用具も必要なくなる。また、コップに必要量の氷破砕物を入れたら、シールチャックを閉じて冷凍庫にしまうことにより、氷破砕物が溶けることを抑制することができる。更に、アイスペールのような大き目の容器に入れたいときは、大きな開口部を開いて流出させることにより、氷破砕物を迅速に容器に充填できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る袋体入り氷破砕物の一実施形態を示す斜視図。
図2】上記袋体入り氷破砕物の袋体の正面図。
図3】上記袋体の平面図。
図4】上記袋体のシールチャックの構造を示す部分拡大図。
図5】氷破砕物の氷の一例を示す斜視図。
図6】上記袋体の小さな開口部を開いて、氷破砕物をコップに直接投入する状態を示す説明図。
図7】上記袋体の大きな開口部を開いて、氷破砕物をアイスペールに直接投入する状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0030】
図1に示すように、本発明の袋体入り氷破砕物100は、合成樹脂シートからなる袋体200と、この袋体200に充填された氷破砕物300を有している。
【0031】
図2,3を併せて参照すると、袋体200は、ほぼ長方形をなす表裏一対の合成樹脂シート201を重ね合わせて、周縁を溶着部202で接合されて構成されている。合成樹脂シートの材質は、特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどの材料からなるフィルムや、該フィルムにアルミ蒸着したフィルムや、アルミ等の金属箔などを、単層で又は複数積層したものが用いられる。ただし、内側面は、熱溶着可能な材料で構成される。
【0032】
この実施形態の袋体200は、図2の上辺側が開口部となる部分である。上辺から少し離れた位置には、シールチャック210が設けられている。シールチャック210は、袋体200の両側の溶着部202に至るように幅方向(上辺と平行な方向)に伸びている。シールチャック210の途中には、シールチャックをドット状に押し潰すように溶着した接合部213が設けられ、シールチャック210は、接合部213を介して、一端側に短いチャック部211、他端側に長いチャック部212が設けられている。
【0033】
シールチャック210は、図4に示すように、凸条をなすオス部材214と、凹状をなすメス部材215とが着脱可能に嵌合する構造をなしている。
【0034】
なお、シールチャック210としては、形状保持機能を有する樹脂材料で形成されたものが好ましく採用される。形状保持機能を有する樹脂材料で形成されたシールチャックを用いることにより、開いたときに、シールチャックが元の形状に戻りにくくなり、開口部が開かれた状態を維持するので、甘味料を含有するべとつきやすい氷破砕物であっても、取出しやすくすることができる。
【0035】
形状保持機能を有するシールチャックとしては、例えば特許第6203636号公報に記載されたジッパーテープ(シールチャックと同じ意味)が好ましく使用できる。このジッパーテープは、高密度ポリエチレン樹脂100重量部に対して無機充填物0.1~40重量部を添加した樹脂組成物からできている。このジッパーテープは、出光ユニテック株式会社から販売されており、本発明では、そのような市販品を用いることもできる。
【0036】
シールチャック210より、更に上辺寄りには、シールチャック210と平行に、切断ライン220が描かれている。切断ライン220の両端には、ハサミの絵221が描かれていて、切断位置がわかりやすくなっている。また、切断ライン220の両端に対応する袋体200の両側辺部には、引裂きを容易にするノッチ223が形成されている。
【0037】
氷破砕物300は、甘味料を含有する氷を破砕してできている。甘味料を含有する氷の原料としては、例えば、砂糖、ブドウ糖、果糖などの糖類や、ステビア、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースなどの高甘味度甘味料や、グレープフルーツ、オレンジ、ブドウ、イチゴ、リンゴ、モモ、梅などの果汁などが挙げられるが、特に限定されない。その他の原料として、コーヒー、お茶などの風味原料や、香料などを添加してもよい。なお、本発明において甘味料とは、糖類や、高感度甘味料や、果汁など、甘味を含む風味を付与する材料を全て包含する意味である。
【0038】
氷破砕物330は、溶解させて水溶液としたときのブリックス値が0.5~15であることが好ましく、2~11であることがより好ましい。ブリックス値が上記範囲であれば、飲料やお酒に混ぜたときに、適度な味を感じることができると共に、氷破砕物が凍結しにくくなったり、溶けやすくなったりすることを抑制することができる。ブリックス値が0.5未満では、飲料やお酒に混ぜたときに、十分な甘味が感じにくくなり、ブリックス値が15を超えると、凍結しにくくなり、また、凍結した氷破砕物が溶けやすくなるので、製造作業性、使用上の取り扱い性が悪くなる傾向がある。
【0039】
甘味料を含有する氷は、上記のような甘味を付与する原料を水に溶解又は懸濁させ、凍結させて、破砕することにより、製造することができる。具体的には、例えば、特開平5-244874号公報に記載された方法などを採用することができる。
【0040】
氷破砕物300は、例えば図5に示すような、破砕されてできる不定形な形状をなし、最長径(最も長い部分の外径)Aと、最短径(最も短い部分の外径)Bとを有している。
【0041】
氷破砕物300として、例えば比較的大粒のものが所望される場合は、氷破砕物の最長径Aが5~60mmの範囲に入るものが90%以上であり、最長径の平均値が18~29mmであるものが好ましい。上記比較的大粒タイプのものは、水割り用の氷として特に適している。
【0042】
また、氷破砕物300として、例えば比較的小粒のものが所望される場合は、氷破砕物の最長径が5~35mmの範囲に入るものが90%以上であり、最長径の平均値が11~22mmであるものが好ましい。
【0043】
なお、最長径A、最短径Bは、氷破砕物300を1つずつ、物差しや、ノギスなどで測定することにより測定でき、それぞれの平均値は、任意に選んだ20個以上の長さを平均することによって求めることができる。
【0044】
前述したように、この実施形態の袋体200は、図2に示すように、シールチャック210が、長さ方向の途中に1つの接合部213を有し、該接合部213を介して、一端側に短いチャック部211、他端側に長いチャック部212が設けられている。
【0045】
シールチャック210の短いチャック部211の長さDは、後述する長さであることが好ましい。長いチャック部212の長さEは、短いチャック部211よりも長ければよく、特に限定されない。本発明における、開口部の、袋体の幅方向の長さとは、上記開口可能なチャック部211、212の長さと同じ意味である。
【0046】
氷破砕物の最長径が5~60mmの範囲に入るものが90%以上であり、最長径の平均値が18~29mmである、前述した比較的大粒の氷破砕物を用いる場合は、前記短いチャック部211の長さD(小さい方の開口部の、袋体の幅方向の長さ)は、45~105mmであることが好ましく、50~80mmであることがより好ましい。
【0047】
また、氷破砕物の最長径が5~35mmの範囲に入るものが90%以上であり、最長径の平均値が11~22mmである、前述した比較的小粒の氷破砕物を用いる場合は、前記短いチャック部211の長さD(小さい方の開口部の、袋体の幅方向の長さ)は、35~70mmであることが好ましく、40~70mmであることがより好ましい。
【0048】
氷破砕物300の大きさと、短いチャック部211の長さDとが、上記の設定範囲とされていれば、短いチャック部211を開いた開口部から、氷破砕物300を少しずつ押出して、直接コップに入れることができる。また、甘味料入りの氷破砕物300はべたつきやすいが、袋体200の外側から指で押して、少しずつ、例えば1個ずつ分離しながらコップに入れることができる。
【0049】
また、袋体200の短いチャック部211の長さD(小さい方の開口部の、袋体の幅方向の長さ)は、氷破砕物の平均最長径に対して、1.9~4.4倍であることが好ましく、2.1~4.2倍であることがより好ましい。
【0050】
袋体200の短いチャック部211の長さDとして、氷破砕物の平均最長径に対して、1.9~4.4倍であるものを有していれば、該開口部から、氷破砕物を少しずつ押出すことが可能であり、コップ等の比較的小さな容器でも、例えば1個ずつ直接投入することができる。
【0051】
次に、本発明の袋体入り氷破砕物100の使用方法について説明する。
【0052】
本発明の袋体入り氷破砕物100は、飲料やお酒に添加して、飲料やお酒を冷やすだけでなく、甘味や風味を付与するために好適に用いられる。
【0053】
図6は、例えばコップ400に氷破砕物300を適量添加して、ウイスキーや、焼酎などのお酒に氷破砕物300を混ぜて飲用する方法、いわゆる水割りにして飲用する方法を示している。なお、本発明において、水割りとは、ウイスキーや、焼酎などのお酒に氷破砕物300を添加したものを全て含む意味であり、水を添加しないで、いわゆるロックで飲用する場合も含むものとする。
【0054】
図6に示すように、短いチャック部211を開き、小さい方向の開口部211aを形成する。そして、この開口部211aから、氷破砕物300を少しずつ押出しながら、コップ400に直接投入する。開口部211aが比較的小さいので、氷破砕物300が一度に多量流出することがなく、流出量を調節しながら投入できるので、コップ400から溢れてしまったり、コップからそれて落ちてしまったりすることを防ぐことができる。また、甘味料入りの氷破砕物300はべたつきやすいという問題があるが、小さい方の開口部211aから氷破砕物300を押出すようにしてコップ400に入れることができるので、手を汚したり、氷どうしがくっつき合って入れにくくなったりすることを防止でき、トングなどの用具も必要なくなる。また、コップ400に必要量の氷破砕物300を入れたら、短いチャック部211を閉じて冷凍庫にしまうことにより、氷破砕物300が溶けることを抑制することができる。
【0055】
甘味料入りの氷破砕物300は、溶けやすいので、アイスペールなどに入れて使用するのは適していないが、多人数で利用する場合には、比較的短時間で消費されると考えられるので、アイスペールに入れて利用することもできる。
【0056】
図7は、アイスペール401に氷破砕物300を投入する方法を示している。この場合には、長いチャック部212を開いて、大きい方の開口部212aを形成し、大きい方の開口部212aから氷破砕物300をアイスペール401に投入する。アイスペール4101は、開口部が大きいので、大きい方の開口部212aから氷破砕物300を流出させても、溢れてしまったり、それて落ちてしまったりする虞れはなく、迅速に氷破砕物300を供給できるという利点が得られる。アイスペール401に投入された氷破砕物300は、トング402でつまんで所望の量だけコップに投入することができる。
【実施例0057】
<試験例1(大粒の氷破砕物)>
図1~4に示した袋体200を用い、氷破砕物300として、下記表1に示すものを用いた。氷破砕物300は、最長径の最大値が53.7mm、最小値が9.8mmであり、最長径の平均値が23.7mmである。
【0058】
【表1】
【0059】
袋体200は、シールチャック210の途中をシーラーで溶着して接合部213を形成する際、溶着位置を変化させて、短いチャック部211の長さDを35~105mmまで変化させた複数のものを作成した。なお、シールチャック210としては、形状保持機能を有する樹脂材料で形成されたもの(出光ユニテック株式会社製)を用いた。
【0060】
それぞれの袋体200に、氷破砕物300を充填して、短いチャック部211を開いて小さい方の開口部211aから、氷破砕物300を押出して、氷破砕物300の出しやすさを評価した。この結果を下記表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
上記表2に示すように、最長径の最大値が53.7mm、最小値が9.8mmであり、最長径の平均値が23.7mmである、比較的大粒の氷破砕物の場合、短いチャック部の長さは、45~105mmが適切であった。
【0063】
また、大粒の氷破砕物の場合、(短いチャック部の長さD/最長径の平均値)は、1.9~4.4が適切であった。
【0064】
<試験例2(比較的小粒の氷破砕物)>
図1~4に示した袋体200を用い、氷破砕物300として、下記表3に示すものを用いた。氷破砕物300は、最長径の最大値が29mm、最小値が10mmであり、最長径の平均値が16.6mmである。
【0065】
【表3】
【0066】
袋体200は、シールチャック210の途中をシーラーで溶着して接合部213を形成する際、溶着位置を変化させて、短いチャック部211の長さを30~70mmまで変化させた複数のものを作成した。
【0067】
それぞれの袋体200に、氷破砕物300を充填して、短いチャック部211を開いて小さい方の開口部211aから、氷破砕物300を押出して、氷破砕物300の出しやすさを評価した。この結果を下記表4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】
上記表4に示すように、最長径の最大値が29mm、最小値が10mmであり、最長径の平均値が16.6mmである、比較的小粒の氷破砕物の場合、短いチャック部の長さは、35~70mmが適切であった。
【0070】
また、大粒の氷破砕物の場合、(短いチャック部の長さD/最長径の平均値)は、2.1~4.2が適切であった。
【符号の説明】
【0071】
100 袋体入り氷破砕物
200 袋体
201 合成樹脂シート
202 溶着部
210 シールチャック
211 短いチャック部
211a 小さい方の開口部
212 長いチャック部
212a 大きい方の開口部
213 接合部
214 オス部材
215 メス部材
220 切断ライン
221 ハサミの絵
223 ノッチ
300 氷破砕物
400 コップ
401 アイスペール
402 トング
A 最長径
B 最短径
C シールチャックの幅方向の長さ
D 短いチャック部の長さ
E 長いチャック部の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7