(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070315
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】ガスセンサ及びガスセンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/409 20060101AFI20240516BHJP
G01N 27/41 20060101ALI20240516BHJP
G01N 27/419 20060101ALI20240516BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
G01N27/409 100
G01N27/41 325H
G01N27/419 327H
G01N27/416 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180711
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】牧野 美好
(72)【発明者】
【氏名】田畑 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】山口 明彦
【テーマコード(参考)】
2G004
【Fターム(参考)】
2G004BB04
2G004BC02
2G004BF19
2G004BF20
2G004BF27
2G004BJ03
2G004BM07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】内筒と筒状部位とを溶接するときに発生する異物が連結箇所に存在すると、外筒とハウジングとの連結を干渉、接触不良、異物に起因するガス発生、振動による損傷が生じる可能性がある。
【解決手段】ガスセンサ10及び該ガスセンサ10の製造方法では、ハウジング36の筒状部位44の先端に位置する嵌合部位48が内筒38の先端部58に圧入される。ハウジング36内には、センサ素子12が収容される。内筒38と嵌合部位48とは、外筒40で覆われる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部位を有するハウジングと、
前記筒状部位の先端に位置する嵌合部位が圧入される先端部を有する内筒と、
前記内筒と前記嵌合部位とを覆う外筒と、
前記ハウジング内に収容されたセンサ素子と、
を備える、ガスセンサ。
【請求項2】
請求項1記載のガスセンサにおいて、
前記嵌合部位と前記先端部と前記外筒とは、レーザ溶接によって接合されている、ガスセンサ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のガスセンサにおいて、
前記先端部に圧入されていない状態における前記嵌合部位の外径をL1、前記嵌合部位が圧入されていない状態における前記先端部の内径をL2としたとき、0.05mm≦(L1-L2)≦0.25mmである、ガスセンサ。
【請求項4】
請求項1又は2記載のガスセンサにおいて、
前記筒状部位の軸線方向における前記嵌合部位の寸法は、前記軸線方向における前記ハウジングの全長の8.0%~20.0%である、ガスセンサ。
【請求項5】
ハウジングの筒状部位の先端に位置する嵌合部位を内筒の先端部に圧入する工程と、
前記ハウジング内にセンサ素子を収容する工程と、
前記内筒と前記嵌合部位とを外筒で覆う工程と、
を有する、ガスセンサの製造方法。
【請求項6】
請求項5記載のガスセンサの製造方法において、
前記嵌合部位と前記先端部と前記外筒とをレーザ溶接によって接合する工程をさらに有する、ガスセンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスセンサ及びガスセンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガスセンサが開示されている。ガスセンサは、ハウジング、内筒、外筒及びセンサ素子を備える。ハウジングは、筒状部位を有する。ハウジングには、センサ素子が収容されている。内筒は、溶接によって、筒状部位に連結される。外筒は、内筒と、内筒及び筒状部位の連結箇所とを覆うように、ハウジングに連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内筒と筒状部位とを溶接するときに、スパッタ等の異物が発生する可能性がある。このような異物が内筒及び筒状部位の連結箇所に存在すると、外筒とハウジングとの連結を干渉する可能性がある。また、異物が残った状態でガスセンサを製造すると、センサ素子の電極部と、該電極部に接触するコンタクトとの間に異物が付着し、接触不良を起こす可能性がある。さらに、ガスセンサの内部に異物が残った状態でガスセンサが加熱されると、異物に起因するガスがガスセンサの内部に発生する可能性がある。さらにまた、ガスセンサの内部に異物が残った状態でガスセンサに振動が加わると、異物との衝突によって、センサ素子等のガスセンサの構成部品が損傷する可能性がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様を以下に例示する。
[項目1]
筒状部位を有するハウジングと、前記筒状部位の先端に位置する嵌合部位が圧入される先端部を有する内筒と、前記内筒と前記嵌合部位とを覆う外筒と、前記ハウジング内に収容されたセンサ素子と、を備える、ガスセンサ。
[項目2]
項目1に記載のガスセンサにおいて、前記嵌合部位と前記先端部と前記外筒とは、レーザ溶接によって接合されている、ガスセンサ。
[項目3]
項目1又は2に記載のガスセンサにおいて、前記先端部に圧入されていない状態における前記嵌合部位の外径をL1、前記嵌合部位が圧入されていない状態における前記先端部の内径をL2としたとき、0.05mm≦(L1-L2)≦0.25mmである、ガスセンサ。
[項目4]
項目1~3のいずれか1項に記載のガスセンサにおいて、前記筒状部位の軸線方向における前記嵌合部位の寸法は、前記軸線方向における前記ハウジングの全長の8.0%~20.0%である、ガスセンサ。
[項目5]
ハウジングの筒状部位の先端に位置する嵌合部位を内筒の先端部に圧入する工程と、前記ハウジング内にセンサ素子を収容する工程と、前記内筒と前記嵌合部位とを外筒で覆う工程と、を有する、ガスセンサの製造方法。
[項目6]
項目5に記載のガスセンサの製造方法において、前記嵌合部位と前記先端部と前記外筒とをレーザ溶接によって接合する工程をさらに有する、ガスセンサの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、圧入によって内筒の先端部とハウジングの筒状部位とを嵌合するので、スパッタ等の異物が発生することを防止することができる。これにより、溶接による接合工数を低減することができると共に、外筒とハウジングとを良好に連結することができる。また、ガスセンサを製造するときに、センサの内部に異物が残ることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態に係るガスセンサ10の断面図である。ガスセンサ10は、被測定ガス中の所定のガス成分を測定するためのセンサである。ガスセンサ10は、例えば、車両の排気管11等の配管に取り付けられる。車両の動作中、排気管11には、排気ガスが流れる。ガスセンサ10は、被測定ガスである排気ガスに含まれるNOx、O
2等のガス成分を測定する。ガスセンサ10は、センサ素子12と、保護カバー14と、センサ組立体16とを備える。
【0010】
センサ素子12の形状は、長尺な平板状である。以下の説明では、センサ素子12の長手方向(
図1の上下方向)を前後方向とする。また、センサ素子12の厚み方向(
図1の左右方向)を上下方向とする。さらに、センサ素子12の幅方向(上下方向及び前後方向に垂直な方向)を左右方向とする。また、以下の説明では、センサ素子12等の前端部を先端部と呼称する場合がある。さらに、センサ素子12等の後端部を基端部と呼称する場合がある。
【0011】
センサ素子12は、複数のセラミックス基板(不図示)を積層して形成される。セラミックス基板は、ジルコニア(ZrO2)等の酸素イオン伝導性固体電解質層からなる。
【0012】
センサ素子12の表面18には、複数の電極部(不図示)が設けられる。具体的には、センサ素子12の表面18のうち、上面20において、センサ素子12の基端部22の箇所には、複数の電極部が形成されている。また、センサ素子12の表面18のうち、底面24において、センサ素子12の基端部22の箇所には、複数の電極部が形成されている。
【0013】
保護カバー14は、第1保護カバー26と第2保護カバー28とを有する。第1保護カバー26及び第2保護カバー28は、金属製である。第1保護カバー26及び第2保護カバー28の材料は、例えば、ステンレス鋼である。
【0014】
第1保護カバー26は、筒状の部材である。第1保護カバー26は、センサ素子12の先端部30を覆う。第2保護カバー28は、有底筒状の部材である。第2保護カバー28は、第1保護カバー26の外側で、第1保護カバー26とセンサ素子12の先端部30とを覆う。すなわち、第1保護カバー26は、センサ素子12の先端部30に対する内側の保護カバーである。第2保護カバー28は、センサ素子12の先端部30に対する外側の保護カバーである。
【0015】
第1保護カバー26の先端には、第1保護カバー孔32が形成されている。第2保護カバー28の側壁には、複数の第2保護カバー孔34が形成されている。被測定ガスは、第2保護カバー孔34と第1保護カバー孔32とを介して、センサ素子12の先端部30が収容される内部空間に流れ込む。センサ素子12は、内部空間に流れ込んだ被測定ガスに含まれる所定のガス成分を測定する。
【0016】
センサ組立体16は、ハウジング36と、内筒38と、外筒40と、コネクタ42とを有する。
【0017】
ハウジング36は、金属製の筒状部材である。具体的には、ハウジング36は、前後方向に延びる筒状部位44を有する。ハウジング36の基端部46である筒状部位44の先端には、段差部としての嵌合部位48が形成されている。
【0018】
センサ素子12は、ハウジング36の内方を挿通している。センサ素子12の先端部30は、ハウジング36の先端部50から前方に突出している。センサ素子12の基端部22は、ハウジング36の基端部46(嵌合部位48)から後方に突出している。
【0019】
第1保護カバー26は、圧入等によって、ハウジング36の先端部50の外側に固定されている。第2保護カバー28は、溶接によって、第1保護カバー26を覆うように、ハウジング36の先端部50の外側に固定されている。
【0020】
筒状部位44の外周面には、スクリューナット52が設けられている。スクリューナット52の外周面には雄ネジ部が形成されている。排気管11に形成された孔には、筒状の固定用部材53が取り付けられている。固定用部材53の内側には、雌ネジ部が形成されている。スクリューナット52の雄ネジ部と、固定用部材53の雌ネジ部とが螺合することにより、ガスセンサ10を排気管11に取り付けることができる。
【0021】
内筒38は、筒状の金属製の部材である。具体的には、内筒38は、本体部54と、連結部56と、先端部58とを有する。本体部54は、前後方向に延びる筒状部である。連結部56は、本体部54の前端に連結された円環部である。連結部56は、本体部54の前端から内筒38の径方向外側に突出している。先端部58は、連結部56の外縁に連結された筒状部である。先端部58は、連結部56の外縁から前方に延びている。
【0022】
内筒38の先端部58は、ハウジング36の嵌合部位48が圧入されることで、ハウジング36の基端部46に固定される。これにより、ハウジング36と内筒38とは、同軸に連結される。
【0023】
図2Aに示すように、内筒38の先端部58に圧入されていない状態における嵌合部位48の外径をL1とする。また、嵌合部位48が圧入されていない状態における内筒38の先端部58の内径をL2とする。この場合、嵌合部位48の外径L1は、内筒38の先端部58の内径L2よりも大きい(L1>L2)。詳しくは、0.05mm≦(L1-L2)≦0.25mmであることが望ましい。これにより、内筒38の先端部58にハウジング36の嵌合部位48を良好に圧入することができる(
図2B参照)。この結果、先端部58と嵌合部位48とを良好に嵌合させることができる。
【0024】
また、筒状部位44の軸線方向である前後方向における嵌合部位48の寸法をL3とする。前後方向におけるハウジング36の全長をL4とする。この場合、嵌合部位48の寸法L3は、ハウジング36の全長L4の8.0%~20.0%であることが望ましい(0.080≦L3/L4≦0.200)。これにより、先端部58と嵌合部位48との嵌合状態を良好に維持することができる。
【0025】
図1に示すように、ハウジング36及び内筒38の内側には、3つのセラミックスサポータ60が前後方向に間隔を隔てて配されている。センサ素子12は、3つのセラミックスサポータ60及び内筒38を貫通して、ハウジング36を挿通している。
【0026】
各セラミックスサポータ60の間には、タルク等のセラミックス粉体62が充填されている。内筒38の基端部の内側には、セラミックスサポータ60と隣接するように、メタルリンク64が配されている。セラミックス粉体62は、メタルリンク64と、ハウジング36の内壁と、内筒38の内壁と、3つのセラミックスサポータ60とによって、封止されている。
【0027】
外筒40は、筒状の金属製の部材である。外筒40の基端部には、開口端66が形成されている。外筒40は、コネクタ42と、センサ素子12の一部と、内筒38と、嵌合部位48と、筒状部位44の一部とを覆っている。外筒40は、ハウジング36及び内筒38と同軸に配されている。嵌合部位48と、内筒38の先端部58と、外筒40とは、溶接によって接合されている。詳しくは、嵌合部位48と、内筒38の先端部58と、外筒40とは、レーザ溶接によって接合されている。従って、外筒40は、レーザ溶接によって、ハウジング36の筒状部位44に固定される。
【0028】
コネクタ42は、複数のコンタクト68と、一対のハウジング70と、クランプ72とを有する。一対のハウジング70の各々は、前後方向に延びている。一対のハウジング70は、センサ素子12を挟む。ハウジング70は、アルミナ焼結体等のセラミックス製のハウジングである。複数のコンタクト68は、前後方向に延びる金属製の部材である。複数のコンタクト68は、センサ素子12と一対のハウジング70との間に配されている。複数のコンタクト68は、複数の電極部に接触する。クランプ72は、一対のハウジング70を挟持する金属製の部材である。
【0029】
複数のコンタクト68は、複数の電極部に接触することで、複数の電極部と電気的に接続される。複数のコンタクト68には、複数のリード線74が接続されている。複数のリード線74は、複数のコンタクト68を介して、複数の電極部と導通している。これにより、外部からリード線74及びコネクタ42を介してセンサ素子12に電圧を印加することができる。また、ガス成分の濃度に応じた起電力又は電流をセンサ素子12が生成したときに、起電力又は電力をコネクタ42及びリード線74を介して外部に出力することができる。
【0030】
複数のリード線74は、外筒40の開口端66から外部に引き出されている。外筒40と複数のリード線74との隙間は、ゴム栓76によって封止されている。
【0031】
本実施形態に係るガスセンサ10は、下記のようにして製造される。
【0032】
先ず、ハウジング36と内筒38とを連結する。具体的には、
図2Aに示すように、ハウジング36の嵌合部位48と、内筒38の先端部58とを向かい合わせる。次に、ハウジング36の嵌合部位48を内筒38の先端部58に圧入する。上記のように、L1>L2、且つ、0.05mm≦(L1-L2)≦0.25mmである。これにより、
図2Bに示すように、内筒38の先端部58にハウジング36の嵌合部位48を良好に圧入することができる。この結果、先端部58と嵌合部位48とを良好に嵌合させることができる。また、嵌合部位48の寸法L3がハウジング36の全長L4の8.0%~20.0%の範囲内であるため、先端部58と嵌合部位48との嵌合状態を良好に維持することができる。
【0033】
次に、
図3Aに示すように、ハウジング36及び内筒38の内側に、セラミックスサポータ60及びセラミックス粉体62を充填する。次に、内筒38の内側にメタルリンク64を配することで、セラミックス粉体62を封止する。
【0034】
次に、センサ素子12をセラミックスサポータ60及びセラミックス粉体62に貫通させることで、ハウジング36及び内筒38の内側にセンサ素子12を収容する。これにより、センサ素子12の基端部22が内筒38の基端部から後方に突出すると共に、センサ素子12の先端部30がハウジング36の先端部50から前方に突出する。
【0035】
次に、ハウジング36に第1保護カバー26(
図1参照)を取り付ける。その後、ハウジング36に第2保護カバー28を取り付ける。
【0036】
次に、
図3Bに示すように、筒状部位44にスクリューナット52を取り付ける。次に、内筒38と嵌合部位48とを外筒40で覆う。具体的には、内筒38の基端部と、外筒40の先端部とを向かい合わせる。次に、
図4Aに示すように、外筒40をハウジング36の筒状部位44に嵌め込む。これにより、センサ素子12の一部と、内筒38と、嵌合部位48と、筒状部位44の一部とが外筒40で覆われる。
【0037】
次に、
図4Bに示すように、ハウジング36の嵌合部位48と、内筒38の先端部58と、外筒40とを、レーザ溶接によって接合する。具体的には、レーザ照射部78から外筒40の外周面にレーザ光80を照射する。より詳しくは、外筒40のうち、嵌合部位48及び先端部58と向かい合っている箇所に、レーザ光80を照射する。これにより、ハウジング36と内筒38と外筒40とが接合され、外筒40がハウジング36に固定される。
【0038】
次に、複数のリード線74(
図1参照)をゴム栓76の貫通孔に通す。次に、コンタクト68とリード線74とを電気的に導通させる。
【0039】
次に、2つのハウジング70の各々に複数のコンタクト68を配置する。
【0040】
次に、センサ素子12の基端部22を2つのハウジング70で挟み込む。これにより、複数のコンタクト68が複数の電極部と接触可能になる。
【0041】
次に、クランプ72によって2つのハウジング70を挟持する。これにより、センサ素子12が複数のコンタクト68を押圧するので、複数のコンタクト68は、ハウジング70に押圧される。この結果、センサ素子12の複数の電極部は、複数のコンタクト68を介してリード線74と導通する。
【0042】
次に、ゴム栓76を開口端66から外筒40内に挿入し、外筒40とゴム栓76とをカシメ加工によって縮径することで、ゴム栓76を外筒40に固定する。
【0043】
以上の工程によって、ガスセンサ10が製造される。
【0044】
上記の実施形態から把握し得る発明について、以下に記載する。
【0045】
本発明の第1の態様は、筒状部位(44)を有するハウジング(36)と、前記筒状部位の先端に位置する嵌合部位(48)が圧入される先端部(58)を有する内筒(38)と、前記内筒と前記嵌合部位とを覆う外筒(40)と、前記ハウジング内に収容されたセンサ素子(12)と、を備える、ガスセンサ(10)である。
【0046】
本発明によれば、圧入によって内筒の先端部とハウジングの筒状部位とを嵌合するので、スパッタ等の異物が発生することを防止することができる。これにより、溶接による接合工数を低減することができると共に、外筒とハウジングとを良好に連結することができる。また、ガスセンサを製造するときに、センサの内部に異物が残ることを抑制することができる。
【0047】
本発明の第1の態様において、前記嵌合部位と前記先端部と前記外筒とは、レーザ溶接によって接合されてもよい。
【0048】
これにより、ハウジングと内筒と外筒とを良好に接合することができる。
【0049】
本発明の第1の態様において、前記先端部に圧入されていない状態における前記嵌合部位の外径をL1、前記嵌合部位が圧入されていない状態における前記先端部の内径をL2としたとき、0.05mm≦(L1-L2)≦0.25mmであればよい。
【0050】
これにより、内筒の先端部にハウジングの嵌合部位を良好に圧入することができる。この結果、先端部と嵌合部位とを良好に嵌合することができる。
【0051】
本発明の第1の態様において、前記筒状部位の軸線方向における前記嵌合部位の寸法(L3)は、前記軸線方向における前記ハウジングの全長(L4)の8.0%~20.0%であればよい。
【0052】
これにより、内筒の先端部とハウジングの嵌合部位との嵌合状態を良好に維持することができる。
【0053】
本発明の第2の態様は、ハウジングの筒状部位の先端に位置する嵌合部位を内筒の先端部に圧入する工程と、前記ハウジング内にセンサ素子を収容する工程と、前記内筒と前記嵌合部位とを外筒で覆う工程と、を有する、ガスセンサの製造方法である。
【0054】
本発明でも、圧入によって内筒の先端部とハウジングの筒状部位とを嵌合するので、スパッタ等の異物が発生することを防止することができる。これにより、溶接による接合工数を低減することができると共に、外筒とハウジングとを良好に連結することができる。また、ガスセンサを製造するときに、センサの内部に異物が残ることを抑制することができる。
【0055】
本発明の第2の態様において、前記ガスセンサの製造方法は、前記嵌合部位と前記先端部と前記外筒とをレーザ溶接によって接合する工程をさらに有してもよい。
【0056】
これにより、ハウジングと内筒と外筒とを良好に接合することができる。
【0057】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0058】
10…ガスセンサ
12…センサ素子
36…ハウジング
38…内筒
40…外筒
44…筒状部位
48…嵌合部位
58…先端部