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特開2024-70342測定パターン、測定パターンセット、算出プログラムおよび算出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070342
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】測定パターン、測定パターンセット、算出プログラムおよび算出方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20240516BHJP
   G01R 27/28 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
G01R31/26 B
G01R27/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180761
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】菊池 憲
【テーマコード(参考)】
2G003
2G028
【Fターム(参考)】
2G003AA02
2G003AE03
2G003AH05
2G028AA01
2G028BB13
2G028BF05
2G028CG30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高周波特性の精度を向上させる測定パターンを提供する。
【解決手段】測定パターンは、高周波信号が入力する第1入力電極と、高周波信号が出力する第1出力電極と、基準電位が供給される第1基準電極と、を備える第1素子の高周波特性を測定する測定パターンであって、第2入力電極14と、第2出力電極16と、第2基準電極12と、を備える第2素子35と、第2入力電極14に接続し、第2入力電極14の第2方向に設けられた入力パッド44と、第2出力電極16に接続し、第2出力電極16の第2方向の反対方向に設けられた出力パッド46と、第2基準電極12に接続され、第1方向から見て入力パッド44から出力パッド46まで設けられ、仮想直線36に対し線対称である平面形状を有する基準パッド42と、を備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号が入力する第1入力電極と、高周波信号が出力する第1出力電極と、基準電位が供給され、第1方向から見て前記第1入力電極および前記第1出力電極と重なり、前記第1方向に延伸するいずれの仮想直線に対しても非線対称である平面形状を有する第1基準電極と、を備える第1素子の高周波特性を測定する測定パターンであって、
前記第1素子のうち前記第1方向に直交する第2方向における少なくとも一部の領域内の前記第1入力電極の平面形状に相当する平面形状を有する第2入力電極と、前記少なくとも一部の領域内の前記第1出力電極の平面形状に相当する平面形状を有する第2出力電極と、前記第1方向から見て前記第2入力電極および前記第2出力電極と重なり、前記第1方向に延伸する仮想直線に対し線対称である平面形状を有する第2基準電極と、を備える第2素子と、
前記第2入力電極に接続し、前記第2入力電極の前記第2方向に設けられた入力パッドと、
前記第2出力電極に接続し、前記第2出力電極の前記第2方向の反対方向に設けられた出力パッドと、
前記第2基準電極に接続され、前記第1方向から見て前記入力パッドから前記出力パッドまで設けられ、前記仮想直線に対し線対称である平面形状を有する基準パッドと、
を備える測定パターン。
【請求項2】
前記第1入力電極、前記第1出力電極および前記第1基準電極は前記第2方向に延伸し、
前記第1素子は、前記第2方向に配列された第1領域および第2領域を有し、前記第2領域における前記第1基準電極の前記第1方向における幅は、第1領域における前記第1基準電極の前記第1方向における幅より狭い請求項1に記載の測定パターン。
【請求項3】
前記第1素子は基板上に設けられ、前記第1領域における前記第1基準電極は、基板を貫通するバイアホールを介し、前記基板の下面に設けられた金属層と電気的に接続され、前記第2領域における前記第1基準電極は、前記第1領域における前記第1基準電極および前記バイアホールを介し、前記金属層と電気的に接続され、前記第2領域にはバイアホールは設けられていない請求項2に記載の測定パターン。
【請求項4】
前記第1素子は、前記第2領域において、前記第2方向に延伸し、前記第1方向から見て前記第1基準電極および前記第1入力電極と重なる配線を備え、
前記第1出力電極と前記配線は、前記第1方向において前記第1基準電極を挟み、
前記第2方向における1または複数の箇所において、前記配線と前記第1入力電極とは電気的に接続され、前記第1領域には前記配線は設けられていない請求項2または請求項3に記載の測定パターン。
【請求項5】
前記第1素子はトランジスタであり、前記第1入力電極、前記第1出力電極および前記第1基準電極は、それぞれゲート電極、ドレイン電極およびソース電極である請求項2または請求項3に記載の測定パターン。
【請求項6】
前記第1基準電極は、前記第1入力電極および前記第1出力電極を挟むように一対設けられ、
前記第2基準電極は、前記第2入力電極および前記第2出力電極を挟むように一対設けられている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の測定パターン。
【請求項7】
前記基準パッドおよび前記入力パッドには第1高周波プローブが接触し、前記基準パッドおよび前記出力パッドには第2高周波プローブが接触する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の測定パターン。
【請求項8】
請求項2または請求項3に記載の測定パターンであって、前記第2入力電極および前記第2出力電極の平面形状は前記第1領域における前記第1入力電極および前記第1出力電極の平面形状にそれぞれ相当する第1測定パターンと、
請求項2または請求項3に記載の測定パターンであって、前記第2入力電極および前記第2出力電極の平面形状は前記第2領域のうち前記第2方向における少なくとも一部の領域内の前記第1入力電極および前記第1出力電極の平面形状にそれぞれ相当する第2測定パターンと、
を備える測定パターンセット。
【請求項9】
コンピュータを、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の測定パターンを用い測定された前記第2素子の第1高周波特性を取得し、シミュレーションにより算出され、前記第1素子と前記第2素子との形状の差の部分の少なくとも一部における第2高周波特性を取得する取得部と、
前記第1高周波特性および前記第2高周波特性に基づき、前記第1素子の高周波特性を算出する算出部と、
として機能させるための算出プログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
請求項2または請求項3に記載の測定パターンを用い測定された前記第2素子の第1高周波特性を取得し、シミュレーションにより算出された前記第2領域における前記第1基準電極に相当する伝送線路の第2高周波特性を取得する取得部と、
前記第1高周波特性および前記第2高周波特性に基づき、前記第1素子の高周波特性を算出する算出部と、
として機能させるための算出プログラム。
【請求項11】
コンピュータを、
請求項3に記載の測定パターンを用い測定された前記第2素子の第1高周波特性を取得し、シミュレーションにより算出された前記第1領域における前記バイアホールの第2高周波特性を取得する取得部と、
前記第1高周波特性および前記第2高周波特性に基づき、前記第1素子の高周波特性を算出する算出部と、
として機能させるための算出プログラム。
【請求項12】
コンピュータを、
請求項4に記載の測定パターンを用い測定された前記第2素子の第1高周波特性を取得し、シミュレーションにより算出された前記配線に相当する伝送線路の第2高周波特性を取得する取得部と、
前記第1高周波特性および前記第2高周波特性に基づき、前記第1素子の高周波特性を算出する算出部と、
として機能させるための算出プログラム。
【請求項13】
コンピュータを、
請求項8に記載の測定パターンセットのうち第1測定パターンを用い測定された前記第2素子の第1高周波特性を取得し、前記測定パターンセットのうち第2測定パターンを用い測定された前記第2素子の第2高周波特性を取得し、シミュレーションにより算出された前記第2領域における前記第1基準電極に相当する伝送線路の第3高周波特性を取得する取得部と、
前記第1高周波特性、前記第2高周波特性および前記第3高周波特性に基づき、前記第1素子の高周波特性を算出する算出部と、
として機能させるための算出プログラム。
【請求項14】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の測定パターンを用い測定された前記第2素子の第1高周波特性を取得するステップと、
シミュレーションにより算出され、前記第1素子と前記第2素子との形状の差の部分の少なくとも一部における第2高周波特性を取得するステップと、
前記第1高周波特性および前記第2高周波特性に基づき、前記第1素子の高周波特性を算出するステップと、
を含む算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定パターン、測定パターンセット、算出プログラムおよび算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタ等の高周波素子を用いた高周波回路の設計には、高周波素子の高周波特性を表現するモデルを用いる。高周波素子の高周波特性の測定は、高周波信号が入力する入力パッドと基準電位が供給される基準パッドとに高周波プローブを接触させ、高周波信号が出力する出力パッドと基準パッドとに高周波プローブを接触させることにより行う(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-287839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高周波素子が非対称な場合、基準パッドが非対称となる。このため、高周波素子の高周波素子を測定するときに用いる基準パッドの影響を除去することが難しくなる。これにより、高周波素子を用いた高周波回路の設計に用いる高周波特性のモデルの精度が低下する。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みなされたものであり、高周波特性の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態は、高周波信号が入力する第1入力電極と、高周波信号が出力する第1出力電極と、基準電位が供給され、第1方向から見て前記第1入力電極および前記第1出力電極と重なり、前記第1方向に延伸するいずれの仮想直線に対しても非線対称である平面形状を有する第1基準電極と、を備える第1素子の高周波特性を測定する測定パターンであって、前記第1素子のうち前記第1方向に直交する第2方向における少なくとも一部の領域内の前記第1入力電極の平面形状に相当する平面形状を有する第2入力電極と、前記少なくとも一部の領域内の前記第1出力電極の平面形状に相当する平面形状を有する第2出力電極と、前記第1方向から見て前記第2入力電極および前記第2出力電極と重なり、前記第1方向に延伸する仮想直線に対し線対称である平面形状を有する第2基準電極と、を備える第2素子と、前記第2入力電極に接続し、前記第2入力電極の前記第2方向に設けられた入力パッドと、前記第2出力電極に接続し、前記第2出力電極の前記第2方向の反対方向に設けられた出力パッドと、前記第2基準電極に接続され、前記第1方向から見て前記入力パッドから前記出力パッドまで設けられ、前記仮想直線に対し線対称である平面形状を有する基準パッドと、を備える測定パターンである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、高周波特性の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1におけるFETの平面図である。
図2図2は、実施例1におけるユニットセルの平面図である。
図3図3は、図2におけるA-A断面図である。
図4図4は、図2におけるB-B断面図である。
図5図5は、実施例1における測定パターンを示す平面図である。
図6図6は、実施例1におけるコンピュータのブロック図である。
図7図7は、実施例1におけるユニットセルの平面図である。
図8図8は、実施例1におけるユニットセルの等価回路を示す回路図である。
図9図9は、実施例1における算出装置の機能ブロック図である。
図10図10は、実施例1におけるユニットセルの高周波特性を算出する算出方法を示すフローチャートである。
図11図11は、図10のステップS10において、コンピュータが取得するFETの高周波特性の測定および算出方法の例を示すフローチャートである。
図12図12は、実施例1における測定パターンの平面図である。
図13図13は、FET35の等価回路を示す回路図である。
図14図14は、図10のステップS16における調整の方法を示すフローチャートである。
図15図15は、実施例1の変形例1における測定パターンの平面図である。
図16図16は、実施例1の変形例1における測定パターンの平面図である。
図17図17は、実施例1の変形例1におけるFET33の等価回路を示す回路図である。
図18図18は、実施例1の変形例1におけるFET35の等価回路を示す回路図である。
図19図19は、実施例1の変形例1における図10のステップS10において、コンピュータが取得するFETの高周波特性の測定および算出方法の例を示すフローチャートである。
図20図20は、実施例1の変形例2における測定パターンの平面図である。
図21図21は、実施例1の変形例2における図10のステップS10において、コンピュータが取得するFETの高周波特性の測定および算出方法の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の一実施形態は、高周波信号が入力する第1入力電極と、高周波信号が出力する第1出力電極と、基準電位が供給され、第1方向から見て前記第1入力電極および前記第1出力電極と重なり、前記第1方向に延伸するいずれの仮想直線に対しても非線対称である平面形状を有する第1基準電極と、を備える第1素子の高周波特性を測定する測定パターンであって、前記第1素子のうち前記第1方向に直交する第2方向における少なくとも一部の領域内の前記第1入力電極の平面形状に相当する平面形状を有する第2入力電極と、前記少なくとも一部の領域内の前記第1出力電極の平面形状に相当する平面形状を有する第2出力電極と、前記第1方向から見て前記第2入力電極および前記第2出力電極と重なり、前記第1方向に延伸する仮想直線に対し線対称である平面形状を有する第2基準電極と、を備える第2素子と、前記第2入力電極に接続し、前記第2入力電極の前記第2方向に設けられた入力パッドと、前記第2出力電極に接続し、前記第2出力電極の前記第2方向の反対方向に設けられた出力パッドと、前記第2基準電極に接続され、前記第1方向から見て前記入力パッドから前記出力パッドまで設けられ、前記仮想直線に対し線対称である平面形状を有する基準パッドと、を備える測定パターンである。これにより、高周波特性の精度を向上させることができる。
(2)上記(1)において、前記第1入力電極、前記第1出力電極および前記第1基準電極は前記第2方向に延伸し、前記第1素子は、前記第2方向に配列された第1領域および第2領域を有し、前記第2領域における前記第1基準電極の前記第1方向における幅は、第1領域における前記第1基準電極の前記第1方向における幅より狭くてもよい。
(3)上記(2)において、前記第1素子は基板上に設けられ、前記第1領域における前記第1基準電極は、基板を貫通するバイアホールを介し、前記基板の下面に設けられた金属層と電気的に接続され、前記第2領域における前記第1基準電極は、前記第1領域における前記第1基準電極および前記バイアホールを介し、前記金属層と電気的に接続され、前記第2領域にはバイアホールは設けられていなくてもよい。
(4)上記(2)において、前記第1素子は、前記第2領域において、前記第2方向に延伸し、前記第1方向から見て前記第1基準電極および前記第1入力電極と重なる配線を備え、前記第1出力電極と前記配線は、前記第1方向において前記第1基準電極を挟み、前記第2方向における1または複数の箇所において、前記配線と前記第1入力電極とは電気的に接続され、前記第1領域には前記配線は設けられていなくてもよい。
(5)上記(2)から(4)のいずれかにおいて、前記第1素子はトランジスタであり、前記第1入力電極、前記第1出力電極および前記第1基準電極は、それぞれゲート電極、ドレイン電極およびソース電極であってもよい。
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記第1基準電極は、前記第1入力電極および前記第1出力電極を挟むように一対設けられ、前記第2基準電極は、前記第2入力電極および前記第2出力電極を挟むように一対設けられていてもよい。
(7)上記(1)から(6)のいずれかにおいて、前記基準パッドおよび前記入力パッドには第1高周波プローブが接触し、前記基準パッドおよび前記出力パッドには第2高周波プローブが接触してもよい。
(8)測定パターンセットは、上記(2)から(5)のいずれかの測定パターンであって、前記第2入力電極および前記第2出力電極の平面形状は前記第1領域における前記第1入力電極および前記第1出力電極の平面形状にそれぞれ相当する第1測定パターンと、上記(2)から(5)のいずれかの測定パターンであって、前記第2入力電極および前記第2出力電極の平面形状は前記第2領域のうち前記第2方向における少なくとも一部の領域内の前記第1入力電極および前記第1出力電極の平面形状にそれぞれ相当する第2測定パターンと、を備えてもよい。
(9)算出プログラムは、コンピュータを、上記(1)から(7)のいずれかの測定パターンを用い測定された前記第2素子の第1高周波特性を取得し、シミュレーションにより算出され、前記第1素子と前記第2素子との形状の差の部分の少なくとも一部における第2高周波特性を取得する取得部と、前記第1高周波特性および前記第2高周波特性に基づき、前記第1素子の高周波特性を算出する算出部と、として機能させるための算出プログラムでもよい。
(10)算出プログラムは、コンピュータを、上記(2)から(5)のいずれかの測定パターンを用い測定された前記第2素子の第1高周波特性を取得し、シミュレーションにより算出された前記第2領域における前記第1基準電極に相当する伝送線路の第2高周波特性を取得する取得部と、前記第1高周波特性および前記第2高周波特性に基づき、前記第1素子の高周波特性を算出する算出部と、として機能させるための算出プログラムでもよい。
(11)算出プログラムは、コンピュータを、上記(3)の測定パターンを用い測定された前記第2素子の第1高周波特性を取得し、シミュレーションにより算出された前記第1領域における前記バイアホールの第2高周波特性を取得する取得部と、前記第1高周波特性および前記第2高周波特性に基づき、前記第1素子の高周波特性を算出する算出部と、として機能させるための算出プログラムでもよい。
(12)算出プログラムは、コンピュータを、上記(4)の測定パターンを用い測定された前記第2素子の第1高周波特性を取得し、シミュレーションにより算出された前記配線に相当する伝送線路の第2高周波特性を取得する取得部と、前記第1高周波特性および前記第2高周波特性に基づき、前記第1素子の高周波特性を算出する算出部と、
として機能させるための算出プログラムでもよい。
(13)算出プログラムは、コンピュータを、上記(8)の測定パターンセットのうち第1測定パターンを用い測定された前記第2素子の第1高周波特性を取得し、前記測定パターンセットのうち第2測定パターンを用い測定された前記第2素子の第2高周波特性を取得し、シミュレーションにより算出された前記第2領域における前記第1基準電極に相当する伝送線路の第3高周波特性を取得する取得部と、前記第1高周波特性、前記第2高周波特性および前記第3高周波特性に基づき、前記第1素子の高周波特性を算出する算出部と、として機能させるための算出プログラムでもよい。
(14)算出方法は、(1)から(7)のいずれかの測定パターンを用い測定された前記第2素子の第1高周波特性を取得するステップと、シミュレーションにより算出され、前記第1素子と前記第2素子との形状の差の部分の少なくとも一部における第2高周波特性を取得するステップと、前記第1高周波特性および前記第2高周波特性に基づき、前記第1素子の高周波特性を算出するステップと、を含む算出方法でもよい。
【0010】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態にかかる測定パターン、測定パターンセット、算出プログラムおよび算出方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0011】
以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。算出装置は、コンピュータを備えて構成され、算出装置の各機能は、コンピュータの記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムがコンピュータのCPU(Central Processing Unit)によって実行されることで発揮される。コンピュータプログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)またはDVD(Digital Versatile Disc)などの記憶媒体に記憶させることができる。
【0012】
[実施例1]
実施例1では、高周波素子としてFET(Field Effect Transistor)の高周波特性のモデル(例えば大信号モデル)を構築するための測定パターンおよび算出プログラムについて説明する。
【0013】
[モデル化するFETの構造]
まず、モデル化するFETの構造を説明する。図1は、実施例1におけるFETの平面図である。基板10の上面の法線方向をZ方向、フィンガ状のソース電極12、ゲート電極14およびドレイン電極16の延伸する方向をY方向(第1方向に直交する第2方向)、配列する方向をX方向(第1方向)とする。
【0014】
図1に示すように、FET100では、基板10の上面に活性領域11が設けられている。活性領域11以外の領域は非活性領域である。基板10の活性領域上に複数のソース電極12、複数のゲート電極14および複数のドレイン電極16が設けられている。複数のソース電極12と複数のドレイン電極16とは、X方向において1つずつ交互に設けられている。1つのソース電極12と1つのドレイン電極16との間に1つのゲート電極14が設けられている。1つのソース電極12、1つのドレイン電極16および1つのゲート電極14は単位FET37を形成する。複数の単位FET37はX方向に配列する。単位FET37はY方向に配列する領域34と32とを有する。
【0015】
領域34および32におけるゲート電極14のX方向における幅は互いに同じであり、領域34および32におけるドレイン電極16のX方向における幅が互いに同じである。領域34におけるソース電極12の幅は、領域32におけるソース電極12の幅より小さい。領域32におけるソース電極12bにはバイアホール22が設けられている。領域34における2つのソース電極12aが領域32における1つのソース電極12bに接続されている。領域34における2つのソース電極12aの間にはY方向に延伸する配線18aが設けられている。配線18aはX方向に延伸する配線18bによりゲート電極14に接続されている。
【0016】
複数のドレイン電極16のY方向における+端はドレインバスバー26に電気的に接続されている。複数のゲート電極14および複数の配線18aはY方向における-端においてゲートバスバーに電気的に接続されている。ドレイン電極16のうちソース電極12からY方向に突き出しドレインバスバー26と接続される部分は接続部16dである。ゲート電極14のうちソース電極12からY方向に突き出しゲートバスバー24と接続される部分は接続部14dである。
【0017】
1つのドレイン電極16、ドレイン電極16を挟む一対のゲート電極14、一対のゲート電極14を挟む一対のソース電極12aおよび12b、並びに領域34において一対のソース電極12aを挟む一対の配線18aはユニットセル30を形成する。所望の個数のユニットセル30をX方向に配列させることで、複数の単位FET37を有するFETが形成される。
【0018】
[ユニットセルの構造]
図2は、実施例1におけるユニットセルの平面図である。図3および図4は、図2におけるそれぞれA-A断面図およびB-B断面図である。図2から図4に示すように、基板10は、基板10aと基板10a上に設けられた半導体層10bを備えている。基板10の下面には金属層28が設けられている。金属層28にはグランド電位等の基準電位が供給される。
【0019】
領域32における基板10上には、ソース電極12b、ゲート電極14およびドレイン電極16が設けられている。ソース電極12bの下の基板10には、基板10を貫通するバイアホール22が設けられている。ソース電極12bはバイアホール22の内面に形成された金属層28aを介し金属層28に電気的に接続されている。これにより、ソース電極12bは、金属層28と電気的に接続され短絡されている。ソース電極12bと金属層28とはほぼ同電位となり、ソース電極12bには金属層28に供給された基準電位が供給される。ドレイン電極16のうち、ソース電極12からY方向の+方向に突き出した部分は接続部16dであり、接続部16dのY方向における長さは図1の接続部16dのY方向における長さと同じである。
【0020】
領域34における基板10上には、配線18a、ソース電極12a、ゲート電極14およびドレイン電極16が設けられている。ソース電極12bにはバイアホールが設けられておらず、ソース電極12bには、ソース電極12aおよびバイアホール22を介し基準電位が供給される。Y方向におけるゲート電極14の3箇所31aから31cにおいて、配線18aは配線18bを介しゲート電極14に電気的に接続されている。配線18bとソース電極12bとは、絶縁層を介し交差し、電気的には接続されない。Y方向における箇所31aから31cの個数は1個でもよいし複数でもよい。領域34は、Y方向において箇所31aから31cを境界とする複数の領域34aから34cに分割される。ゲート電極14のうち、ソース電極12からY方向の-方向に突き出した部分は接続部14dであり、接続部14dのY方向における長さは図1の接続部14dのY方向における長さと同じである。
【0021】
FET100がGaN HEMT(Gallium Nitride High Electron Mobirity Transisitor)のような窒化物半導体装置の場合、基板10aは例えばSiC基板、ダイヤモンド基板、シリコン基板、GaN基板またはサファイア基板である。半導体層10bは例えばGaN層、AlGaN層および/またはInGaN層等の窒化物半導体層を含む。GaN HEMTの場合、半導体層10bは、GaN電子走行層と、GaN電子走行層上に設けられたAlGaNバリア層と、を含む。半導体装置が例えばGaAs系半導体装置の場合、基板10aは例えばGaAs基板である。半導体層10bは例えばGaAs層、AlGaAs層および/またはInGaAs層等の砒化物半導体層を含む。
【0022】
ソース電極12およびドレイン電極16は、例えば基板10上に設けられた密着膜(例えばチタン膜)および密着膜上に設けられたアルミニウム膜等の金属膜である。ゲート電極14および配線18aは、例えば基板10上に設けられた密着膜(例えばニッケル膜)および密着膜上に設けられた金膜等の金属膜である。
【0023】
ゲート電極14がY方向に長くなるとゲート抵抗が高くなる。ユニットセル30では、配線18aおよび18bを設けることで、Y方向においてゲート電極14に高周波信号が供給される1または複数の箇所31aから31cを設けることができる。これにより、実質的なゲート抵抗を低減できる。配線18aを設けるため、領域34において、ソース電極12aのX方向における幅を、ソース電極12bのX方向における幅より小さくすることになる。X方向に延伸する仮想直線36(仮想した直線)を仮想する。ユニットセル30(特にソース電極12)は、仮想直線36だけでなく、X方向に延伸するいずれの仮想直線36に対しても非線対称である。
【0024】
[ユニットセルの測定パターンの例]
ユニットセル30の高周波特性を測定する測定パターンについて説明する。図5は、実施例1における測定パターンを示す平面図である。図5に示すように、測定パターン110では、基板10上にユニットセル30とランチャー40が設けられている。ユニットセル30にはバイアホールは設けられていない。ランチャー40は、基準パッド42、入力パッド44および出力パッド46を備えている。基準パッド42は、X方向においてユニットセル30、入力パッド44および出力パッド46を挟むように一対設けられている。一対の基準パッド42はソース電極12bに接続される。ソース電極12aはソース電極12bを介し基準パッド42に電気的に接続される。これは、図2に示す実際のユニットセル30では、ソース電極12aはソース電極12bおよびバイアホール22を介し基準電位が供給されることに対応する。ユニットセル30の高周波特性を精度よく測定するため、基準パッド42はソース電極12bに接続される。ランチャー40は例えば金膜等の金属膜である。
【0025】
一対の基準パッド42および入力パッド44のY方向における-端付近には、それぞれグランドプローブ47aおよび信号プローブ47bを有する高周波プローブ48aが接触する。一対の基準パッド42および出力パッド46のY方向における+端付近には、それぞれグランドプローブ47aおよび信号プローブ47bを有する高周波プローブ48bが接触する。
【0026】
測定パターン110では、ユニットセル30がいずれの仮想直線36に対しても非対称なため、基準パッド42がいずれの仮想直線36に対しても非対称となる。この場合、ユニットセル30から入力パッド44の方に向かう電流リターンパス41aと、ユニットセル30から出力パッド46の方に向かう電流リターンパス41bとが非対称となる。測定パターン110を用いユニットセル30の高周波特性を測定する場合、測定された高周波特性(例えばSパラメータ)からランチャー40の高周波特性を取り除く、いわいるディエンベディング(de-embedding)を行う。ディエンベディングを行う方法としてオープン・ショート法がある。しかし、オープン・ショート法は、仮想直線36をランチャー40のY方向における中心線としたとき、ランチャー40が仮想直線36に対し線対称なことが前提であり、ランチャー40が仮想直線36に対し非対称な場合には、高周波特性の精度が低下する。
【0027】
実施例1では、ユニットセル30が非対称な場合に、ユニットセル30の高周波特性を精度よく算出するプログラムおよび算出方法を提供する。以下、実施例1におけるユニットセル30の高周波特性を算出する算出方法および測定パターンについて説明する。
【0028】
[コンピュータのブロック図]
図6は、実施例1におけるコンピュータのブロック図である。コンピュータ60は、ソフトウエアと協働しユニットセル30の高周波特性を算出する算出装置として機能する。コンピュータ60は、ユニットセル30の高周波特性を算出する算出プログラムを実行し、ユニットセル30の高周波特性を算出する算出方法を実行する。
【0029】
コンピュータ60は、プロセッサ62、メモリ64、入出力装置66および内部バス68を備えている。プロセッサ62は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、算出プログラムおよび算出方法を実行する。メモリ64は、例えば揮発性メモリまたは不揮発性メモリであり、プロセッサ62が算出プログラムおよび算出方法を実行するときに用いるデータ等を記憶する。メモリ64は、プロセッサ62が実行する算出プログラムを記憶してもよい。入出力装置66は、プロセッサ62が取得するデータを外部装置から入力し、プロセッサ62が出力するデータを外部装置に出力する。内部バス68は、プロセッサ62、メモリ64および入出力装置66を接続し、データ等を伝送する。算出プログラムは、記憶媒体65に記憶される。記憶媒体65は、例えば一時的でない有形の媒体であり、CD-ROMまたはDVD等である。
【0030】
[ユニットセルの等価回路]
図7は、実施例1におけるユニットセルの平面図である。ユニットセル30は、FET35aから35c、33、バイアホールV22、分布定数線路L12およびL18に分解できる。FET35a、35b、35cは、領域34a、34bおよび34cにおけるFETにそれぞれ対応する。FET33は領域32におけるFETに対応する。バイアホールV22は、バイアホール22内の金属層28aに対応する。分布定数線路L12は、領域34におけるソース電極12aに対応する。分布定数線路L18は、領域34における配線18aに対応する。
【0031】
図8は、実施例1におけるユニットセルの等価回路を示す回路図である。図8に示すように、ユニットセル30は、FET35a、35b、35cおよび33を有している。基準電位となる金属層28に複数のFET35a、35b、35cおよび33のソースSが共通に電気的に接続されている。ゲートバスバー24に複数のFET35a、35b、35cおよび33のゲートGが共通に電気的に接続されている。ドレインバスバー26に複数のFET35a、35b、35cおよび33のドレインDが共通に電気的に接続されている。
【0032】
ゲートバスバー24とFET35bのゲートGとの間、FET35bのゲートGとFET35cのゲートGとの間、およびFET35cのゲートGとFET33のゲートGとの間には分布定数線路L14が各々接続されている。分布定数線路L14は、ゲート電極14に相当する。ゲート電極14は細いため、線路としての高周波特性が無視できない場合には分布定数線路L14を設ける。分布定数線路L14を設けなくてもよい。
【0033】
分布定数線路L14に並列に分布定数線路L18が接続されている。分布定数線路L18は、配線18aに相当する。FET35aのソースSとFET35bのソースSとの間、FET35bのソースSとFET35cのソースSとの間、およびFET35cのソースSとFET33のソースSとの間には分布定数線路L12が各々接続されている。分布定数線路L12は、ソース電極12aに相当する。FET33のソースSと金属層28との間にインダクタL22と抵抗R22が直列に接続されている。インダクタL22と抵抗R22は、バイアホールV22に相当する。
【0034】
実施例1では、FET35aから35cおよび33の高周波特性を対称なランチャーを有する測定パターンを用い測定する。バイアホールV22、分布定数線路L12およびL18の高周波特性は電磁界解析等のシミュレーションにより算出する。
【0035】
[高周波特性算出の方法]
図9は、実施例1における算出装置の機能ブロック図である。図9に示すように、算出装置70は、取得部72、算出部74、調整部76および出力部78を備えている。コンピュータ60は、ソフトウエアと協働し、取得部72、算出部74、調整部76および出力部78として機能する。
【0036】
図10は、実施例1におけるユニットセルの高周波特性を算出する算出方法を示すフローチャートである。図10に示すように、プロセッサ62(取得部72)は、対称なランチャーを用い測定したFETの高周波特性を、入出力装置66を介し外部装置から取得する(ステップS10)。FETの高周波特性は、例えばFET35aから35cおよび33の高周波特性を含む。プロセッサ62(取得部72)は、シミュレーションにおいて算出されたバイアホールV22、分布定数線路L12およびL18の高周波特性を、入出力装置66を介し取得する(ステップS12)。
【0037】
プロセッサ62(算出部74)は、取得したFET、バイアホールV22、分布定数線路L12およびL18の高周波特性に基づき、ユニットセル30の高周波特性を算出する(ステップS14)。これにより、ユニットセル30の高周波特性を表すモデルが算出される。プロセッサ62(調整部76)は、非対称なランチャーを用い測定したユニットセル30の高周波特性を用い、算出されたユニットセル30の高周波特性を調整する(ステップS16)。ステップS16は行わなくてもよい。プロセッサ62(出力部78)は、算出したユニットセル30の高周波特性(モデル)を、入出力装置66を介し外部装置に出力する(ステップS18)。その後終了する。
【0038】
[ステップS10の例]
図11は、図10のステップS10において、コンピュータが取得するFETの高周波特性の測定および算出方法の例を示すフローチャートである。図11の処理は、人間が行ってもよいしコンピュータ60のプロセッサ62が行ってもよい。
【0039】
図11に示すように、測定パターン102を用いFET35のS(散乱)パラメータを測定する(ステップS20)。
【0040】
[測定パターンの例]
図12は、実施例1における測定パターンの平面図である。図12に示す測定パターン102は、FET35の高周波特性を測定するための測定パターンである。測定パターン102は、基板10上に設けられたFET35およびランチャー40を備えている。FET35は、図7のユニットセル30のFET35aから35cおよび33を合わせたFETに相当する。FET35におけるゲート電極14およびドレイン電極16は、ユニットセル30におけるゲート電極14およびドレイン電極16と同じ構成である。すなわち、FET35におけるゲート電極14およびドレイン電極16の平面形状、厚さおよび材料は、ユニットセル30におけるゲート電極14およびドレイン電極16の平面形状、厚さおよび材料とそれぞれ同じである。
【0041】
FET35におけるソース電極12の厚さおよび材料は、ユニットセル30におけるソース電極12の厚さおよび材料とそれぞれ同じである。FET35のソース電極12のX方向における幅はY方向において均一である。これにより、FET35およびランチャー40のY方向における中心線を仮想直線36としたとき、ソース電極12は、仮想直線36に対し線対称である。FET35には、ユニットセル30における領域32および34に相当する領域32aおよび34dが設けられている。
【0042】
ランチャー40の入力パッド44は、FET35のY方向における-方向に設けられ、FET35のゲート電極14が電気的に接続される。ゲート電極14のうちFET35と入力パッド44との接続部14dのY方向における長さは、ユニットセル30の接続部14dのY方向における長さと同じである。
【0043】
ランチャー40の出力パッド46は、FET35のY方向における+方向に設けられ、FET35のゲート電極14が電気的に接続される。ゲート電極14のうちFET35と出力パッド46との接続部16dのY方向における長さは、ユニットセル30の接続部16dのY方向における長さと同じである。
【0044】
ランチャー40の基準パッド42は、X方向においてFET35を挟むように一対設けられている。基準パッド42は、X方向から見てFET35のソース電極12の全てに接続するように設けられている。基準パッド42は、仮想直線36に対し線対称に設けられている。
【0045】
図5と同様に、一対の基準パッド42および入力パッド44のY方向における-端付近には、それぞれグランドプローブ47aおよび信号プローブ47bを有する高周波プローブ48aが接触する。一対の基準パッド42および出力パッド46のY方向における+端付近には、それぞれグランドプローブ47aおよび信号プローブ47bを有する高周波プローブ48bが接触する。高周波プローブ48aおよび48bは、信号プローブ47bをグランドプローブ47aが挟むコプレーナ型のプローブである。
【0046】
測定パターン102では、基準パッド42が仮想直線36に対し線対称なため、FET35から入力パッド44の方に向かう電流リターンパス41aと、FET35から出力パッド46の方に向かう電流リターンパス41bとが対称となる。このため、オープン・ショート法を用い、ランチャー40のディエンベディングを精度良く行うことができる。
【0047】
[FET35の等価回路]
FET35をモデル化するときの等価回路ついて説明する。図13は、FET35の等価回路を示す回路図である。図13に示すように、FET35は、ユニットセル30におけるFET35a、35b、35cおよび33を有している。基準パッド42に複数のFET35a、35b、35cおよび33のソースSが共通に電気的に接続されている。入力パッド44に複数のFET35a、35b、35cおよび33のゲートGが共通に電気的に接続されている。出力パッド46に複数のFET35a、35b、35cおよび33のドレインDが共通に電気的に接続されている。
【0048】
入力パッド44とFET35bのゲートGとの間、FET35bのゲートGとFET35cのゲートGとの間、およびFET35cのゲートGとFET33のゲートGとの間には分布定数線路L14が各々接続されている。
【0049】
図11に戻り、ステップS20において測定するSパラメータは、例えば小信号(すなわち振幅の小さい高周波信号)を用いたSパラメータである。入力パッド44をポート1とし、出力パッド46をポート2としたとき、Sパラメータは、S11、S12、S21およびS22である。Sパラメータは、例えばネットワークアナライザーを用い測定する。測定するSパラメータは、FET100の動作帯域を含む複数の周波数について行う。例えばFET100が無線通信用パワーアンプ(電力増幅器)に用いられる場合、動作帯域は0.5GHzから10GHzのいずれかの帯域である。動作帯域より十分低い周波数fminから動作帯域より大きい周波数fmaxまでをスイープし、複数の周波数においてSパラメータを測定する。ゲート電圧Vgsおよびドレイン電圧Vdsの電圧セット(Vgs、Vds)とすると、複数の電圧セット(Vgs、Vds)について、周波数をfminからfmaxまでスイープしてSパラメータを測定する。複数の電圧セットは、例えば大信号(すなわち振幅の大きい高周波信号)における負荷線付近の電圧セットとする。ステップS20において、電流-電圧特性を取得してもよい。電流-電圧特性は、例えば、ドレイン電流Ida-ドレイン電圧Vds特性である。
【0050】
ダミーパターンを用いてSパラメータを測定する(ステップS22)。ダミーパターンは、例えば図12においてFET35が設けられていないランチャー40のみのオープンパターン、およびFET35の代わりにランチャー40と同じ金属層を設けたショートパターンである。オープンパターンおよびショートパターンについて、周波数をfminからfmaxまでスイープしたSパラメータを測定する。
【0051】
ステップS22において測定したダミーパターンのSパラメータを用い、ステップS20において測定した測定パターン102のSパラメータをディエンベディングする(ステップS24)。これにより、FET35のSパラメータが算出できる。算出されるFET35の高周波特性は、例えば複数の電圧セット(Vgs、Vds)において周波数をfminからfmaxまでスイープしたSパラメータである。
【0052】
その後、ステップS24において算出された高周波特性(Sパラメータ)を用いFET35のパラメータを抽出する(ステップS26)。例えば、各電圧セット(Vgs、Vds)について、周波数がスイープされたSパラメータを用い、等価回路パラメータを抽出する。等価回路パラメータは、例えばゲート・ソース容量Cgs、ゲート・ドレン容量Cgd、ドレイン・ソース容量Cds、ゲート抵抗Riおよび相互コンダクタンスgmである。各電圧セットにおける等価回路パラメータを用い、FET35の大信号モデルのパラメータを抽出する。大信号モデルは例えばAngelovモデルである。
【0053】
ゲート電極14に対応する分布定数線路L14のパラメータを算出する(ステップS28)。分布定数線路L14のパラメータの算出は、例えば電磁界解析を用い行う。算出する分布定数線路L14のパラメータは、例えば伝送線路のパラメータであり、伝送線路の信号線路の長さおよび幅、信号線路を囲む誘電体の誘電率などである。算出する分布定数線路L14のパラメータは、Sパラメータでもよい。
【0054】
各FET35aから35cおよび33のパラメータを算出する(ステップS30)。ステップS26において算出したFET35のパラメータと、ステップS28において算出した分布定数線路L14のパラメータを用い、FET35aから35cおよび33のパラメータを算出する。例えば図13の等価回路において、FET35aから35cおよび33のパラメータを仮定する。このとき、FET35aから35cおよび33のゲート幅が同じであれば、FET35aから35cおよび33のパラメータは互いに同じである。FET35aから35cおよび33のゲート幅が異なる場合、ゲート幅に応じFET35aから35cおよび33のパラメータをスケーリングする。
【0055】
算出された分布定数線路L14のパラメータと、仮定したFET35aから35cおよび33のパラメータと、を用いFET35のパラメータを算出する。FET35のパラメータがステップS26において算出したパラメータとなるように、FET35aから35cおよび33のパラメータをフィッティングする。これにより、FET35aから35cおよび33のパラメータが算出できる。FET35aから35cおよび33のパラメータは、例えばFET35aから35cおよび33の大信号モデルのパラメータである。
【0056】
算出されたFET35aから35cおよび33のパラメータを出力する(ステップS32)。例えば、図10のステップS10において、プロセッサ62は、算出されたFET35aから35cおよび33のパラメータを取得する。
【0057】
なお、図10のステップS10において、プロセッサ62が取得するFETのパラメータは、ステップS26において算出されたFET35のパラメータでもよい。この場合、ステップS14において、プロセッサ62はステップS30のFET35aから35cおよび33のパラメータの算出を行う。
【0058】
[ステップS12の例]
ステップS12において、プロセッサ62が取得するバイアホールV22の高周波特性は、例えばバイアホールV22の3次元構造から電磁界解析を用い算出されたバイアホールV22のパラメータである。バイアホールV22のパラメータは、例えば直列接続された抵抗R22の抵抗値およびインダクタL22のインダクタンスである。プロセッサ62が取得する分布定数線路L12およびL18の高周波特性は、例えば分布定数線路L12およびL18の3次元構造から電磁界解析を用い算出された分布定数線路L12およびL18のパラメータである。分布定数線路L12およびL18のパラメータは、例えば伝送線路のパラメータであり、伝送線路の信号線路の長さおよび幅、信号線路を囲む誘電体の誘電率などである。算出する分布定数線路L12およびL18のパラメータは、Sパラメータでもよい。
【0059】
[ステップS14の例]
ステップS14において、プロセッサ62は、ステップS10において取得したFET35aから35cおよび33の高周波特性、ステップS12において取得したバイアホールV22、分布定数線路L12およびL18の高周波特性を、合成し、ユニットセル30の高周波モデルを作成する。例えば、図8における等価回路のFET35aから35cおよび33、バイアホールV22、分布定数線路L12およびL18として、FET35aから35cおよび33のパラメータ、バイアホールV22のパラメータ、分布定数線路L12、L14およびL18パラメータを用いることで、ユニットセル30の高周波信号におけるモデルが作成される。
【0060】
ステップS14において算出されるユニットセル30の高周波特性は、例えば、FET35aから35cおよび33のパラメータ、バイアホールV22のパラメータ、分布定数線路L12、L14およびL18パラメータである。ユニットセル30の高周波特性は、Sパラメータでもよい。
【0061】
[ステップS16の例]
図14は、図10のステップS16における調整の方法を示すフローチャートである。図14に示すように、プロセッサ62は、ステップS14において算出したユニットセル30の高周波特性を取得する(ステップS40)。プロセッサ62は、図5の非対称なランチャー40の高周波特性を取得する(ステップS42)。ランチャー40の高周波特性は、例えばSパラメータであり、ダミーパターンを用い測定してもよいし、電磁界解析を用い算出してもよい。
【0062】
プロセッサ62は、ステップS40において取得したユニットセル30の高周波特性と、ステップS42において取得したランチャー40の高周波特性と、を用い測定パターン110(図5参照)の高周波特性を算出する(ステップS44)。算出する測定パターン110の高周波特性は、例えば、小信号モデルの特性および大信号モデルの特性である。
【0063】
測定パターン110の高周波特性を測定する。プロセッサ62は、測定パターン110の高周波特性を取得する(ステップS46)。取得する測定パターン110の高周波特性は、例えば、小信号モデルの特性および大信号モデルの特性である。
【0064】
プロセッサ62は、ステップS44において算出した測定パターン110の高周波特性と、ステップS46において取得した測定パターン110の高周波特性と、に基づきユニットセル30の高周波特性を調整する(ステップS48)。例えば、プロセッサ62は、ステップS44において算出した測定パターン110の高周波特性と、ステップS46において取得した測定パターン110の高周波特性と、の差が小さくなるように、ユニットセル30の高周波特性を調整する。
【0065】
以上により、ユニットセル30の高周波特性が算出できる。すなわち、ユニットセル30の高周波信号におけるモデルが作成される。
【0066】
[実施例1の変形例1]
実施例1の変形例1は、実施例1のFET35の測定パターン102の代わりに、FET33の測定パターン104と、FET35aから35cを含むFET35dの測定パターン106と、を用いる例である。ユニットセル30の構成およびユニットセル30の高周波特性を算出する図10のフローチャートは実施例1と同じである。
【0067】
[測定パターンの例1]
図15は、実施例1の変形例1における測定パターンの平面図である。図15に示すように、測定パターン104は、FET33の高周波特性を測定するための測定パターンである。測定パターン104は、基板10上に設けられたFET33およびランチャー40を備えている。FET33は、図11の測定パターン102の領域32aのFETに相当する。FET33のソース電極12およびドレイン電極16は、それぞれ基準パッド42および出力パッド46に電気的に接続されている。FET33のゲート電極14は、線路14cにより入力パッド44に電気的に接続されている。ユニットセル30では、図7のように、FET33のゲート電極14とFET35cのゲート電極14とは直接接続されている。測定パターン104では、FET33のゲート電極14と入力パッド44とを直接接続できないため、線路14cを設けている。その他の測定パターン104の構成は測定パターン102と同じであり説明を省略する。
【0068】
[測定パターンの例2]
図16は、実施例1の変形例1における測定パターンの平面図である。図16に示すように、測定パターン106は、FET35dの高周波特性を測定するための測定パターンである。測定パターン106は、基板10上に設けられたFET35dおよびランチャー40を備えている。FET35dは、図12の測定パターン102の領域34dのFETに相当し、FET35aから35cを合成したFETである。FET35dのソース電極12およびゲート電極14は、それぞれ基準パッド42および入力パッド44に電気的に接続されている。FET35dのドレイン電極16は、線路16cにより出力パッド46に電気的に接続されている。測定パターン106では、FET35dのドレイン電極16と出力パッド46とを直接接続できないため、線路16cを設けている。その他の測定パターン106の構成は測定パターン102と同じであり説明を省略する。
【0069】
測定パターン104および106においてもランチャー40は仮想直線36に対し線対称である。このため、オープン・ショート法を用い、ランチャー40のディエンベディングを精度よく行うことができる。
【0070】
[FET33の等価回路]
図17は、実施例1の変形例1におけるFET33の等価回路を示す回路図である。図17に示すように、FET33は、ユニットセル30におけるFET33に相当する。基準パッド42はFET33のソースSに電気的に接続され、入力パッド44はFET33のゲートGに電気的に接続され、出力パッド46はFET33のドレインDに電気的に接続されている。
【0071】
[FET35dの等価回路]
図18は、実施例1の変形例1におけるFET35の等価回路を示す回路図である。図18に示すように、FET35dは、ユニットセル30におけるFET35a、35bおよび35cを有し、FET33を有していない。基準パッド42に複数のFET35a、35bおよび35cのソースSが共通に電気的に接続されている。入力パッド44に複数のFET35a、35bおよび35cのゲートGが共通に電気的に接続されている。出力パッド46に複数のFET35a、35bおよび35cのドレインDが共通に電気的に接続されている。その他の構成は図13のFET35の等価回路と同じ回路構成である。
【0072】
[FET33およびFET35aから35cの高周波特性の算出方法]
図10のステップS10において、コンピュータ60が取得するFETの高周波特性の測定および算出方法の例を説明する。図19は、実施例1の変形例1における図10のステップS10において、コンピュータが取得するFETの高周波特性の測定および算出方法の例を示すフローチャートである。図19の処理は、人間が行ってもよいしコンピュータ60のプロセッサ62が行ってもよい。
【0073】
図19に示すように、測定パターン104を用いFET33のSパラメータを測定する(ステップS20A)。例えば、複数の電圧セット(Vgs、Vds)について、周波数をfminからfmaxまでスイープしてSパラメータを測定する。
【0074】
ダミーパターンを用いてSパラメータを測定する(ステップS22A)。ダミーパターンは、例えばオープンパターンおよびショートパターンである。オープンパターンおよびショートパターンについて、周波数をfminからfmaxまでスイープしSパラメータを測定する。
【0075】
ステップS22Aにおいて測定したダミーパターンのSパラメータを用い、ステップS20Aにおいて測定した測定パターン104のSパラメータをディエンベディングする(ステップS24A)。ディエンベディングとしては、オープン・ショート法を用いたディエンベディングに加え、ステップS20Aにおいて測定した測定パターン104の高周波特性から線路14cの影響を取り除くディエンベディングを行ってもよい。線路14cの影響を取り除くディエンベディングには、マンガン(Mangan)法を用い測定した線路14cの高周波特性、またはシミュレーションにより算出した線路14cの高周波特性を用いる。
【0076】
ステップS24Aにおいて算出されたFET33の高周波特性(Sパラメータ)を用いFET33のパラメータを抽出する(ステップS26A)。抽出されるFET33のパラメータは、例えば等価回路パラメータおよび大信号モデルのパラメータである。
【0077】
次に、測定パターン106を用いFET35dのSパラメータを測定する(ステップS20B)。ダミーパターンを用いてSパラメータを測定する(ステップS22B)。ステップS22Bにおいて測定したダミーパターンのSパラメータを用い、ステップS20Bにおいて測定した測定パターン106のSパラメータをディエンベディングする(ステップS24B)。これにより、FET33のSパラメータが算出できる。ステップS24Aと同様に、ステップS20Bにおいて測定した測定パターン106の高周波特性から線路16cの影響を取り除くディエンベディングを行ってもよい。
【0078】
ステップS24Bにおいて算出されたFET35dの高周波特性(Sパラメータ)を用いFET35dのパラメータを抽出する(ステップS26B)。抽出されるFET35dのパラメータは、例えば等価回路パラメータおよび大信号モデルのパラメータである。
【0079】
図11のステップS28と同様に、ゲート電極14に対応する分布定数線路L14のパラメータを算出する(ステップS28)。各FET35aから35cのパラメータを算出する(ステップS30B)。FET35aから35cのパラメータの算出方法は、図11のステップS30と同様である。ステップS20BからS30Bを、ステップS20AからS26Aの先に行ってもよい。
【0080】
ステップS26Aにおいて算出されたFET33のパラメータ、およびステップS30Bにおいて算出されたFET35aから35cのパラメータを出力する(ステップS32)。図10のステップS10において、プロセッサ62は、算出されたFET35aから35cおよび33のパラメータを取得する。その後、プロセッサ62は、図10のステップS12からS18の処理を行うことで、ユニットセル30の高周波信号におけるモデルが作成される。
【0081】
[実施例1の変形例2]
実施例1の変形例2は、実施例1の変形例1のFET35dの測定パターン106の代わりに、FET35aから35cの測定パターンを用いる例である。ユニットセル30の構成およびユニットセル30の高周波特性を算出する図10のフローチャートは実施例1と同じである。
【0082】
[測定パターンの例]
図20は、実施例1の変形例2における測定パターンの平面図である。図20に示すように、測定パターン108は、FET35eの高周波特性を測定するための測定パターンである。測定パターン108は、基板10上に設けられたFET35eおよびランチャー40を備えている。FET35eは、図16の測定パターン106の領域34dのFET35aから35c(図7参照)のうち1つのFETに相当する。FET35eのソース電極12およびドレイン電極16は、それぞれ基準パッド42および出力パッド46に電気的に接続されている。FET35eのゲート電極14は、入力パッド44に電気的に接続されている。その他の測定パターン108の構成は測定パターン104および106と同じであり説明を省略する。
【0083】
[FET35eの等価回路]
FET35eの等価回路は、FET33の等価回路と同じであり説明を省略する。
【0084】
[FET33およびFET35aから35cの高周波特性の算出方法]
図10のステップS10において、コンピュータ60が取得するFETの高周波特性の測定および算出方法の例を説明する。図21は、実施例1の変形例2における図10のステップS10において、コンピュータ60が取得するFETの高周波特性の測定および算出方法の例を示すフローチャートである。図21の処理は、人間が行ってもよいしコンピュータ60のプロセッサ62が行ってもよい。
【0085】
図21に示すように、ステップS20AからS26Aの処理は実施例1の変形例1の図19と同じである。測定パターン108を用いFET35eのSパラメータを測定する(ステップS20C)。ダミーパターンを用いてSパラメータを測定する(ステップS22C)。ステップS22Cにおいて測定したダミーパターンのSパラメータを用い、ステップS22Cにおいて測定した測定パターン108のSパラメータをディエンベディングする(ステップS24C)。これにより、FET35eのSパラメータが算出できる。FET35eのSパラメータは、FET35aから35cのSパラメータに相当する。ステップS20Cにおいて測定した測定パターン108の高周波特性から線路16cの影響を取り除くディエンベディングを行ってもよい。
【0086】
ステップS24Cにおいて算出されたFET35eの高周波特性(Sパラメータ)を用いFET35aから35cのパラメータを各々抽出する(ステップS26C)。ステップS26Aにおいて算出されたFET33のパラメータ、およびステップS26Cにおいて算出されたFET35aから35cのパラメータを出力する(ステップS32)。
【0087】
図10のステップS10において、プロセッサ62は、算出されたFET35aから35cおよび33のパラメータを取得する。その後、プロセッサ62は、図10のステップS12からS18の処理を行うことで、ユニットセル30の高周波信号におけるモデルが作成される。なお、実施例1の図11および実施例1の変形例1の図19のステップS28におけるゲート電極14のパラメータの算出は、図21のステップS32の前に行ってもよいし、図10のステップS12の前に行ってもよい。
【0088】
[比較例]
ユニットセル30(第1素子)は、図2から図4のように、ゲート電極14(第1入力電極)に高周波信号が入力し、ドレイン電極(第1出力電極)から高周波信号が出力する。ソース電極12は、X方向から見て、ゲート電極14およびドレイン電極16と重なり、X方向に延伸するいずれの仮想直線36に対しても非線対称である平面形状を有する。このように、ソース電極12の平面形状が仮想直線36に対し非対称な場合、高周波特性を取得するための測定パターンのランチャー40は、図5の測定パターン110のように非対称となる。測定パターン102を用い、ユニットセル30の高周波特性のモデルを作成する場合、図5の基準パッド42における電流リターンパス41aと41bとが非対称となる。これによりディエンベディングの精度が低くなってしまう。これにより、ユニットセル30の精度の高いモデルを作成することが難しい。
【0089】
[実施例1およびその変形例について]
そこで、実施例1およびその変形例では、測定パターンとして、図12図15図16および図20の測定パターン102、104、106および108では、FET33、35、35dまたは35e(第2素子)のゲート電極14(第2入力電極)およびドレイン電極16(第2出力電極)は、図2におけるユニットセル30のうちY方向における少なくとも一部の領域内のそれぞれゲート電極14およびドレイン電極16の平面形状に相当する平面形状を有する。ソース電極12(第2基準電極)は、X方向から見てゲート電極14およびドレイン電極16と重なり、X方向に延伸する仮想直線36に対し線対称である。仮想直線36は、例えばソース電極12のY方向における中心線である。
【0090】
入力パッド44は、ゲート電極14に接続し、ゲート電極14のY方向の-方向(第2方向)に設けられ、出力パッド46は、ドレイン電極16に接続し、ドレイン電極16のY方向における+方向(第2方向の反対方向)に設けられている。そして、基準パッド42は、ソース電極12に接続され、X方向から見て入力パッド44から出力パッド46まで設けられ、仮想直線36に対し線対称である。
【0091】
図10のステップS10のように、プロセッサ62(取得部72)は、測定パターン102、104、106および108を用い測定されたFET33、35、35dまたは35eの第1高周波特性を取得する。ステップS12のように、プロセッサ62(取得部72)は、電磁界解析等のシミュレーションにより算出され、ユニットセル30とFET33、35、35dまたは35eとの形状の差の部分の少なくとも一部(バイアホールV22、分布定数線路L12およびL18)の第2高周波特性を取得する。ステップS14のように、プロセッサ62(算出部74)は、第1高周波特性および第2高周波特性に基づき、ユニットセル30の高周波特性を算出する。測定パターン102、104、106および108のように、基準パッド42がY方向において線対称な測定パターン102,104、106および108を用いることで、ディエンベディングを精度良く行うことができる。よって、ユニットセル30の高周波特性を精度よく算出でき、ユニットセル30の精度のよい高周波モデルを提供することができる。バイアホールV22、分布定数線路L12、L14およびL18等の高周波特性は、電磁界解析以外のシミュレーション手法を用いて算出してもよい。
【0092】
図2のように、ユニットセル30では、ソース電極12、ゲート電極14およびドレイン電極16はY方向に延伸する。ユニットセル30は、Y方向に配列された第1領域32および第2領域34を有し、領域34におけるソース電極12aのX方向における幅は、領域32におけるソース電極12bのXにおける幅より狭い。このようなソース電極12の構造では、図5の測定パターン110のように、基準パッド42は領域32のソース電極12bに接続させる。このため、基準パッド42がいずれの仮想直線36に対しても非対称となる。領域34におけるソース電極12aのX方向における幅は、例えば、領域32におけるソース電極12bのX方向における幅の0.9倍以下であり0.8倍以下である。
【0093】
そこで、図10のステップS12のように、プロセッサ62(取得部72)は、シミュレーションにより算出された領域34におけるソース電極に相当する伝送線路の第2高周波特性を取得する。ステップS14のように、プロセッサ62(算出部74)は、取得した第1高周波特性および第2高周波特性に基づき、ユニットセル30の高周波特性を算出する。これにより、ユニットセル30の精度のよい高周波モデルを提供することができる。
【0094】
また、図2から図4のように、領域32におけるソース電極12bは、基板10を貫通するバイアホール22を介し、基板10の下面に設けられた金属層28と電気的に接続されている。領域34におけるソース電極12aは、ソース電極12bおよびバイアホール22を介し、金属層28と電気的に接続される。領域34にはバイアホールは設けられていない。このようなソース電極12の構造では、ソース電極12aにソース電極12bを介してのみ基準電位が供給される。このため、図5の測定パターン110のように、基準パッド42は領域32のソース電極12bに接続させる。このため、基準パッド42がいずれの仮想直線36に対しても非対称となる。
【0095】
そこで、図10のステップS12のように、プロセッサ62(取得部72)は、シミュレーションにより算出された領域32におけるバイアホール22の第2高周波特性を取得する。ステップS14のように、プロセッサ62(算出部74)は、取得した第1高周波特性および第2高周波特性に基づき、ユニットセル30の高周波特性を算出する。これにより、ユニットセル30の精度のよい高周波モデルを提供することができる。
【0096】
図2のように、ユニットセル30では、領域34において、配線18aはY方向に延伸し、X方向から見てソース電極12aおよびゲート電極14と重なる。ゲート電極14と配線18aは、X方向においてソース電極12aを挟む。Y方向における1または複数の箇所において、配線18aとゲート電極14とは電気的に接続される。領域32には配線18aは設けられていない。このような配線18aを有する構造では、図5の測定パターン110のように、基準パッド42がいずれの仮想直線36に対しても非対称となる。
【0097】
そこで、図10のステップS12のように、プロセッサ62(取得部72)は、シミュレーションにより算出された配線18aに相当する伝送線路の第2高周波特性を取得する。ステップS14のように、プロセッサ62(算出部74)は、取得した第1高周波特性および第2高周波特性に基づき、ユニットセル30の高周波特性を算出する。これにより、ユニットセル30の精度のよい高周波モデルを提供することができる。
【0098】
実施例1およびその変形例では、第1素子としてトランジスタの例を説明し、第1入力電極および第2入力電極としてゲート電極14、第1出力電極および第2出力電極としてドレイン電極16、および第1基準電極および第2基準電極としてソース電極12の例を説明した。第1素子はトランジスタ以外の高周波素子でもよい。トランジスタはFET以外にもバイポーラトランジスタでもよい。
【0099】
また、ソース電極12は、ゲート電極14およびドレイン電極16を挟むように一対設けられている例を説明した。ソース電極12は、一対でなく1つでもよい。ソース電極12が一対設けられている場合、基準パッド42は一対設けられている。この場合、基準パッド42および入力パッド44にはGSGプローブである第1高周波プローブが接触し、基準パッド42および出力パッド46にはGSGプローブである第2高周波プローブが接触する。これにより、精度よく高周波特性の測定が可能となる。
【0100】
実施例1の変形例1および2のように、図15の測定パターン104(第1測定パターン)のゲート電極14およびドレイン電極16の平面形状は、図2のユニットセル30の領域32におけるゲート電極14およびドレイン電極16の平面形状にそれぞれ相当する。図16の測定パターン106および図20の測定パターン108(第2測定パターン)のゲート電極14およびドレイン電極16の平面形状は、図2のユニットセル30の領域34のうちY方向における少なくとも一部の領域(図2の領域34または領域34aから34cのいずれか1つ)におけるゲート電極14およびドレイン電極16の平面形状にそれぞれ相当する。このように、測定パターンセットとして、第1測定パターン104と第2測定パターン106または108とを備えている。
【0101】
図10のステップS10において、プロセッサ62(取得部72)は、第1測定パターン104を用い測定されたFET33の第1高周波特性と、第2測定パターン106または108を用い測定されたFET35dまたは35eの第2高周波特性を取得する。ステップS12において、プロセッサ62(取得部72)は、シミュレーションにより算出された領域34におけるソース電極12aに相当する伝送線路の第3高周波特性を取得する。ステップS14において、プロセッサ62(算出部74)は、第1高周波特性、第2高周波特性および第3高周波特性に基づき、ユニットセル30の高周波特性を算出する。これにより、ユニットセル30の精度のよい高周波モデルを提供することができる。
【0102】
実施例1では、測定パターンセットは、測定パターン102、110、測定パターン102用のオープンパターンおよびショートパターン、測定パターン110用のオープンパターンおよびショートパターンを含む。実施例1の変形例1では、測定パターンセットは、測定パターン104、106、110、測定パターン104用のオープンパターンおよびショートパターン、測定パターン106用のオープンパターンおよびショートパターン、測定パターン110用のオープンパターンおよびショートパターンを含む。実施例1の変形例2では、測定パターンセットは、測定パターン104、108、110、測定パターン104用のオープンパターンおよびショートパターン、測定パターン108用のオープンパターンおよびショートパターン、測定パターン110用のオープンパターンおよびショートパターンを含む。実施例1およびその変形例において、測定パターンセットは、測定パターン110、測定パターン110用のオープンパターンおよびショートパターンを含まなくてもよい。同じ基板10(素子基板)上に、測定パターンセットが設けられていてもよい。同じ基板10(素子基板)上に、測定パターンセットとユニットセル30を含む図1のFETが設けられていてもよい。
【0103】
なお、ソース電極12(および基準パッド42)の中心線は、ソース電極12(および基準パッド42)のうちY方向において最も+の方の箇所と最も-方向の箇所との中点を通りX方向に延伸する直線となる。他の部材においても同じである。
【0104】
ソース電極12(および基準パッド42)が仮想直線36に対し線対称とは、幾何学的な対称でなくてもよい。ソース電極12(および基準パッド42)が仮想直線36に対し線対称(略線対称)とは、図5に記載した電流リターンパス41aおよび41bによるディエンベディングの精度の低下が問題にならない程度の差を許容する。ソース電極12(および基準パッド42)が仮想直線36に対し線対称(略線対称)とは、例えば、仮想直線36のY方向における+の方のソース電極12(および基準パッド42)の平面形状と、-の方のソース電極12(および基準パッド42)の平面形状を仮想直線36に対し幾何学的に線対称に移動させた平面形状と、の差の領域の面積が、ソース電極12(および基準パッド42)の平面形状の面積の10%以下であればよい。他の部材についても同じである。
【0105】
図2のユニットセル30において、ソース電極12がいずれの仮想直線36に対しても非線対称とは、例えば、X方向に延伸するいずれの仮想直線36を仮想しても、仮想直線36のY方向における+の方の基準パッド42の平面形状と、-の方の基準パッド42の平面形状を仮想直線36に対し幾何学的に対称に移動させた平面形状と、の差の領域の面積の差が基準パッド42の平面形状の面積の10%以上となればよい。他の部材についても同じである。
【0106】
図12のFET35のゲート電極14(およびドレイン電極16)の平面形状が、図2のユニットセル30のゲート電極14(およびドレイン電極16)の平面形状に相当するとは、平面形状が幾何学的な同一でなくてもよい。図12のFET35のゲート電極14(およびドレイン電極16)の平面形状と、図2のユニットセル30のゲート電極14(およびドレイン電極16)の平面形状と、の差の領域の面積が、図12のFET35のゲート電極14(およびドレイン電極16)の平面形状の10%以下であればよい。他の測定パターンおよび部材についても同じである。
【0107】
上述の実施形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1又は複数のメモリは、上記各処理を上記1又は複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1又は複数のプロセッサは、上記1又は複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。
【0108】
上記プロセッサは、CPU、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Firld Progrm Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。例えば物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、インターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。
【0109】
上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0110】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0111】
10、10a 基板
10b 半導体層
11 活性領域
12、12a、12b ソース電極
14 ゲート電極
14c、16c 線路
14d、16d 接続部
16 ドレイン電極
18a、18b 配線
22 バイアホール
24 ゲートバスバー
26 ドレインバスバー
28、28a 金属層
30 ユニットセル
31a、31b、31c 箇所
32、34、34a、34b、34c、34d 領域
36 仮想直線
40 ランチャー
42 基準パッド
44 入力パッド
46 出力パッド
47a グランドプローブ
47b 信号プローブ
48a、48b 高周波プローブ
60 コンピュータ
62 プロセッサ
64 メモリ
65 記憶媒体
66 入出力装置
68 内部バス
100 FET
102、104,106、108、110 測定パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
高周波素子が非対称な場合、基準パッドが非対称となる。このため、高周波素子の高周波特性を測定するときに用いる基準パッドの影響を除去することが難しくなる。これにより、高周波素子を用いた高周波回路の設計に用いる高周波特性のモデルの精度が低下する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
図1図1は、実施例1におけるFETの平面図である。
図2図2は、実施例1におけるユニットセルの平面図である。
図3図3は、図2におけるA-A断面図である。
図4図4は、図2におけるB-B断面図である。
図5図5は、実施例1における測定パターンを示す平面図である。
図6図6は、実施例1におけるコンピュータのブロック図である。
図7図7は、実施例1におけるユニットセルの平面図である。
図8図8は、実施例1におけるユニットセルの等価回路を示す回路図である。
図9図9は、実施例1における算出装置の機能ブロック図である。
図10図10は、実施例1におけるユニットセルの高周波特性を算出する算出方法を示すフローチャートである。
図11図11は、図10のステップS10において、コンピュータが取得するFETの高周波特性の測定および算出方法の例を示すフローチャートである。
図12図12は、実施例1における測定パターンの平面図である。
図13図13は、FET35の等価回路を示す回路図である。
図14図14は、図10のステップS16における調整の方法を示すフローチャートである。
図15図15は、実施例1の変形例1における測定パターンの平面図である。
図16図16は、実施例1の変形例1における測定パターンの平面図である。
図17図17は、実施例1の変形例1におけるFET33の等価回路を示す回路図である。
図18図18は、実施例1の変形例1におけるFET35dの等価回路を示す回路図である。
図19図19は、実施例1の変形例1における図10のステップS10において、コンピュータが取得するFETの高周波特性の測定および算出方法の例を示すフローチャートである。
図20図20は、実施例1の変形例2における測定パターンの平面図である。
図21図21は、実施例1の変形例2における図10のステップS10において、コンピュータが取得するFETの高周波特性の測定および算出方法の例を示すフローチャートである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
領域34における基板10上には、配線18a、ソース電極12a、ゲート電極14およびドレイン電極16が設けられている。ソース電極12aにはバイアホールが設けられておらず、ソース電極12bには、ソース電極12aおよびバイアホール22を介し基準電位が供給される。Y方向におけるゲート電極14の3箇所31aから31cにおいて、配線18aは配線18bを介しゲート電極14に電気的に接続されている。配線18bとソース電極12aとは、絶縁層を介し交差し、電気的には接続されない。Y方向における箇所31aから31cの個数は1個でもよいし複数でもよい。領域34は、Y方向において箇所31aから31cを境界とする複数の領域34aから34cに分割される。ゲート電極14のうち、ソース電極12からY方向の-方向に突き出した部分は接続部14dであり、接続部14dのY方向における長さは図1の接続部14dのY方向における長さと同じである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
FET100がGaN HEMT(Gallium Nitride High Electron Mobility Transisitor)のような窒化物半導体装置の場合、基板10aは例えばSiC基板、ダイヤモンド基板、シリコン基板、GaN基板またはサファイア基板である。半導体層10bは例えばGaN層、AlGaN層および/またはInGaN層等の窒化物半導体層を含む。GaN HEMTの場合、半導体層10bは、GaN電子走行層と、GaN電子走行層上に設けられたAlGaNバリア層と、を含む。半導体装置が例えばGaAs系半導体装置の場合、基板10aは例えばGaAs基板である。半導体層10bは例えばGaAs層、AlGaAs層および/またはInGaAs層等の砒化物半導体層を含む。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
ランチャー40の出力パッド46は、FET35のY方向における+方向に設けられ、FET35のドレイン電極16が電気的に接続される。ドレイン電極16のうちFET35と出力パッド46との接続部16dのY方向における長さは、ユニットセル30の接続部16dのY方向における長さと同じである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
その後、ステップS24において算出された高周波特性(Sパラメータ)を用いFET35のパラメータを抽出する(ステップS26)。例えば、各電圧セット(Vgs、Vds)について、周波数がスイープされたSパラメータを用い、等価回路パラメータを抽出する。等価回路パラメータは、例えばゲート・ソース容量Cgs、ゲート・ドレイン容量Cgd、ドレイン・ソース容量Cds、ゲート抵抗Riおよび相互コンダクタンスgmである。各電圧セットにおける等価回路パラメータを用い、FET35の大信号モデルのパラメータを抽出する。大信号モデルは例えばAngelovモデルである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
ステップS14において算出されるユニットセル30の高周波特性は、例えば、FET35aから35cおよび33のパラメータ、バイアホールV22のパラメータ、分布定数線路L12、L14およびL18パラメータである。ユニットセル30の高周波特性は、Sパラメータでもよい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
[測定パターンの例1]
図15は、実施例1の変形例1における測定パターンの平面図である。図15に示すように、測定パターン104は、FET33の高周波特性を測定するための測定パターンである。測定パターン104は、基板10上に設けられたFET33およびランチャー40を備えている。FET33は、図12の測定パターン102の領域32aのFETに相当する。FET33のソース電極12およびドレイン電極16は、それぞれ基準パッド42および出力パッド46に電気的に接続されている。FET33のゲート電極14は、線路14cにより入力パッド44に電気的に接続されている。ユニットセル30では、図7のように、FET33のゲート電極14とFET35cのゲート電極14とは直接接続されている。測定パターン104では、FET33のゲート電極14と入力パッド44とを直接接続できないため、線路14cを設けている。その他の測定パターン104の構成は測定パターン102と同じであり説明を省略する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
[FET35dの等価回路]
図18は、実施例1の変形例1におけるFET35dの等価回路を示す回路図である。図18に示すように、FET35dは、ユニットセル30におけるFET35a、35bおよび35cを有し、FET33を有していない。基準パッド42に複数のFET35a、35bおよび35cのソースSが共通に電気的に接続されている。入力パッド44に複数のFET35a、35bおよび35cのゲートGが共通に電気的に接続されている。出力パッド46に複数のFET35a、35bおよび35cのドレインDが共通に電気的に接続されている。その他の構成は図13のFET35の等価回路と同じ回路構成である。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
次に、測定パターン106を用いFET35dのSパラメータを測定する(ステップS20B)。ダミーパターンを用いてSパラメータを測定する(ステップS22B)。ステップS22Bにおいて測定したダミーパターンのSパラメータを用い、ステップS20Bにおいて測定した測定パターン106のSパラメータをディエンベディングする(ステップS24B)。これにより、FET35dのSパラメータが算出できる。ステップS24Aと同様に、ステップS20Bにおいて測定した測定パターン106の高周波特性から線路16cの影響を取り除くディエンベディングを行ってもよい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
図21に示すように、ステップS20AからS26Aの処理は実施例1の変形例1の図19と同じである。測定パターン108を用いFET35eのSパラメータを測定する(ステップS20C)。ダミーパターンを用いてSパラメータを測定する(ステップS22C)。ステップS22Cにおいて測定したダミーパターンのSパラメータを用い、ステップS20Cにおいて測定した測定パターン108のSパラメータをディエンベディングする(ステップS24C)。これにより、FET35eのSパラメータが算出できる。FET35eのSパラメータは、FET35aから35cのSパラメータに相当する。ステップS20Cにおいて測定した測定パターン108の高周波特性から線路16cの影響を取り除くディエンベディングを行ってもよい。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
[比較例]
ユニットセル30(第1素子)は、図2から図4のように、ゲート電極14(第1入力電極)に高周波信号が入力し、ドレイン電極(第1出力電極)から高周波信号が出力する。ソース電極12は、X方向から見て、ゲート電極14およびドレイン電極16と重なり、X方向に延伸するいずれの仮想直線36に対しても非線対称である平面形状を有する。このように、ソース電極12の平面形状が仮想直線36に対し非対称な場合、高周波特性を取得するための測定パターンのランチャー40は、図5の測定パターン110のように非対称となる。測定パターン110を用い、ユニットセル30の高周波特性のモデルを作成する場合、図5の基準パッド42における電流リターンパス41aと41bとが非対称となる。これによりディエンベディングの精度が低くなってしまう。これにより、ユニットセル30の精度の高いモデルを作成することが難しい。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
図2のように、ユニットセル30では、ソース電極12、ゲート電極14およびドレイン電極16はY方向に延伸する。ユニットセル30は、Y方向に配列された第1領域32および第2領域34を有し、領域34におけるソース電極12aのX方向における幅は、領域32におけるソース電極12bのX方向における幅より狭い。このようなソース電極12の構造では、図5の測定パターン110のように、基準パッド42は領域32のソース電極12bに接続させる。このため、基準パッド42がいずれの仮想直線36に対しても非対称となる。領域34におけるソース電極12aのX方向における幅は、例えば、領域32におけるソース電極12bのX方向における幅の0.9倍以下であり0.8倍以下である。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0106
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0106】
図12のFET35のゲート電極14(およびドレイン電極16)の平面形状が、図2のユニットセル30のゲート電極14(およびドレイン電極16)の平面形状に相当するとは、平面形状が幾何学的な同一でなくてもよい。図12のFET35のゲート電極14(およびドレイン電極16)の平面形状と、図2のユニットセル30のゲート電極14(およびドレイン電極16)の平面形状と、の差の領域の面積が、図12のFET35のゲート電極14(およびドレイン電極16)の平面形状の面積の10%以下であればよい。他の測定パターンおよび部材についても同じである。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0108
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0108】
上記プロセッサは、CPU、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。例えば物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、インターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。