(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070343
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】立体造形物の製作キット及び立体造形物
(51)【国際特許分類】
A63H 33/16 20060101AFI20240516BHJP
A63H 33/00 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
A63H33/16 D
A63H33/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180763
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】522441806
【氏名又は名称】有限会社イシイエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】石井 景
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150BA42
2C150CA16
2C150FB43
2C150FB45
2C150FB47
(57)【要約】
【課題】重厚感のある立体造形物を簡単に作成できる製作キットの提供。
【解決手段】立体造形物の製作キットは、ベースプレートと、前記ベースプレートの上に重ねる1枚以上の中間プレートと、前記中間プレートの上に重ねるトッププレートと、を取り出し可能にカットされた板材を含む。前記ベースプレート、前記中間プレート及び前記トッププレートを前記板材から取り外した後、規定の順序で重ねて組み立てることで立体形状が構成され、前記立体造形物は、当該立体形状を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、前記ベースプレートの上に重ねる1枚以上の中間プレートと、前記中間プレートの上に重ねるトッププレートと、を取り出し可能にカットされた板材を含み、
前記ベースプレート、前記中間プレート及び前記トッププレートを前記板材から取り外した後、規定の順序で重ねて組み立てることで立体形状が構成される、立体造形物の製作キット。
【請求項2】
前記ベースプレートを底面とした前記立体形状の側面の形状が、重ねられた前記中間プレートの外周の形状によって形成されている請求項1の立体造形物の製作キット。
【請求項3】
前記ベースプレート、前記中間プレート及び前記トッププレートの所定位置に、組み立てガイド用の貫通孔が設けられている請求項1の立体造形物の製作キット。
【請求項4】
前記中間プレートを任意の位置で上下に分離し、前記立体造形物の断面を展示可能とした請求項1の立体造形物の製作キット。
【請求項5】
前記立体形状の表面の段差が、少なくとも前記トッププレートに設けた開口部と、前記開口部にはめ込む第2の板材の板厚と、前記開口部の深さの差により形成されている請求項1から4いずれか一の立体造形物の製作キット。
【請求項6】
所定形状にカットされたベースプレートと、
所定形状にカットされ、前記ベースプレートの上に重ねる1枚以上の中間プレートと、
所定形状にカットされ、前記中間プレートの上に重ねるトッププレートと、を規定の順序で重ねて組み立てることで構成される立体形状を含む立体造形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体造形物の製作キット及び立体造形物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、予め部品が造りこまれた厚紙から部品を取り出して、立体的作品を作成できるという紙製の組立キットの一例が開示されている。この組立キットでは部品に噛合溝と呼ばれる切込み、舌片やこれに嵌合する凹部が設けられており、組立説明書に従い、一般的な紙工作の手順で立体的作品を作成可能となっている。
【0003】
特許文献2には、一枚の板から立体感のある動物の模造品を製造する方法が開示されている。この文献では、薄板に対して切断加工、曲げ加工を駆使して、動物の体の上部や下部を断面弧状に湾曲させることで、立体感を出すことが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-113219号公報
【特許文献2】特開2021-19685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の組立キットによれば、購入者(エンドユーザー)に、ものづくりの楽しさを提供することができるが、鑑賞の対象となるような重厚感のある立体造形物を作成することは難しいという問題点がある。
【0006】
特許文献2の方法では、手で曲げるための道具が必要となるほか、板厚上の制限がある。さらに、特許文献2の方法では、あくまで、動物の体の上部や下部を断面弧状に湾曲させることを特徴としており、例えば、筐型の要素を含む立体造形物を作成することができないという問題点がある。
【0007】
本発明は、重厚感のある立体造形物を簡単に作成できる立体造形物の製作キット及びその立体造形物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の視点によれば、ベースプレートと、前記ベースプレートの上に重ねる1枚以上の中間プレートと、前記中間プレートの上に重ねるトッププレートと、を取り出し可能にカットされた板材を含み、前記ベースプレート、前記中間プレート及び前記トッププレートを前記板材から取り外した後、規定の順序で重ねて組み立てることで立体形状が構成される、立体造形物の製作キットが提供される。
【0009】
第2の視点によれば、所定形状にカットされたベースプレートと、所定形状にカットされ、前記ベースプレートの上に重ねる1枚以上の中間プレートと、所定形状にカットされ、前記中間プレートの上に重ねるトッププレートと、を規定の順序で重ねて組み立てることで構成される立体形状を含む立体造形物が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、重厚感のある立体造形物を簡単に作成できる立体造形物の製作キット及びその立体造形物を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態の立体造形物の斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態の立体造形物の分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態の立体造形物の分解斜視図(一部の中間プレートを省略)である。
【
図4】本発明の第1の実施形態の立体造形物の製作キットの一部を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態の立体造形物の製作キットの別の一部を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態の立体造形物の製作キットの別の一部を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態の立体造形物の台座部分の分解斜視図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態の立体造形物の台座部分の斜視図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態の立体造形物の斜視図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態の立体造形物の屋根を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態の立体造形物を上下に2分した状態を示す斜視図である。
【
図12】本発明の第3の実施形態の立体造形物の斜視図である。
【
図13】本発明の第3の実施形態の立体造形物の車輪状フレームの分解斜視図である。
【
図14】本発明の第3の実施形態の立体造形物の分解斜視図である。
【
図15】本発明の第3の実施形態の立体造形物の製作キットの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
続いて、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の立体造形物の斜視図である。
図1を参照すると、ベースプレート11と、前記ベースプレート11の上に重ねる1枚以上の中間プレート12と、前記中間プレートの上に重ねるトッププレート13と、を規定の順序で重ねて組み立てることで構成された立体形状を含む立体造形物(金属製ギター)10aが示されている。
【0013】
この立体造形物(金属製ギター)10aの主要部を構成する前記ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13の周縁部の所定位置には、前記ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13を貫通する貫通孔14が設けられている。これらの貫通孔14は、組み立てる過程では、組み立てガイド用のガイド孔として利用できる。最終的には、これらの貫通孔14を用いて、長ボルト及びナットで前記ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13を固定することで、ベースプレート11を底面とした立体形状(ギターのボディ)の側面が形成される。具体的には、立体造形物(金属製ギター)10aのボディ側面の形状は、前記ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13の外周の形状(カット形状)によって形成される。
【0014】
また、
図1の例では、立体造形物(金属製ギター)10aのネック先端のヘッド16には、ペグ用の穴が6か所設けられている。また、立体造形物(金属製ギター)10aのブリッジ(
図2のブリッジパーツ15-2参照)には、弦を通す6つの孔が設けられ、かつ、ブリッジパーツ15-2自体が取り外し可能となっている。したがって、この立体造形物(金属製ギター)10aに弦を張ることも可能となっている。
【0015】
図2は、立体造形物(金属製ギター)10aの分解斜視図である。
図3は、
図2から中間プレート12の一部を省略し(上から数えて奇数番を省略)、中間プレート12の形状が見えるようにした分解斜視図である。
図2、
図3の各部品に設けられた小孔は貫通孔14又は隣接する部品とネジ止めするための孔を示している。本実施形態の例では、14枚の中間プレート12を重ねることで、ボディの側面板の形状が形成されている。この中間プレートの輪郭(外周縁)の形状や重ねる順序を変えることで、ボディの形状を自由に変えることができる。例えば、上から数えて7-8枚目の中間プレート12の幅(ボディの幅方向)が一番短くなるように、幅を変えた中間プレート12の組み合わせを用いた場合、ボディの側面板が凹んだボディのギターを作ることができる。反対に、上から数えて7-8枚目の中間プレート12の幅(ボディの幅方向)が一番長くなるように、幅を変えた中間プレート12の組み合わせを用いた場合、ボディの側面板が膨らんだボディのギターを作ることができる。もちろん、幅を同一の中間プレート12の組み合わせを用いた場合、一般的なギターと同様に、ボディの側面板がストレートになっているボディのギターを作ることができる。
【0016】
また、
図2、
図3の例では、トッププレート13及びその下の上層の中間プレート12には、開口部が設けられており、サドル保持パーツ15-1、ブリッジパーツ15-2、ピックガードパーツ17を収容し、ネジで固定することが可能となっている。このとき、トッププレート13の板厚よりも、ブリッジパーツ15-2として使用する板材(第2の板材)の板厚が大きくなるように、板材を選択することで、ギターのブリッジと、ボディ表面との微細な高さの違いを表現することもできる。同様に、トッププレート13の板厚よりも、ピックガードパーツ17として使用する板材(第2の板材)の板厚が大きくなるように、板材を選択することで、ピックガードと、ボディ表面との微細な高さの違いを表現することもできる。また、逆に、立体造形物の微細な凹みは、上記トッププレート13に開口部を設け、上記トッププレート13よりも薄い板材(第2の板材)をはめ込むことで実現することができる。
【0017】
また、
図2、
図3の例では、ギターのネック表面のフレットパターンは梯子状の穴を空けたネックパーツ18によって構成されているが、ネックに溝を形成し、フレット相当の棒状部材を差し込む形を採ることもできる。
【0018】
前記ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13の素材は、特に限定されないが、鉄、アルミ、ステンレス、銅、真鍮、チタンなど金属類を好適に用いることができる。また、異種の材料を適宜組み合わせ、意匠性を高めることもできる。例えば、ボディの素材にアルミを用い、ネック部分の素材に銅を用いることで、軽くて高級感のある立体造形物(金属製ギター)10a構成することができる。また、アルミを用いる場合、アルマイト加工を行うことで酸化を防止するとともに、各部品に任意のカラーを付けることもできる。
【0019】
上記した立体造形物(金属製ギター)10aは、完成品として工場内で組み立てて出荷する形態を採ることもできるが、より望ましい形態において、未組立の製作キットとして販売することができる。
【0020】
図4~
図6は、本発明の第1の実施形態の立体造形物(金属製ギター)の製作キットの一部を示す図である。本実施形態の立体造形物(金属製ギター)の製作キットは、上述したベースプレート11、中間プレート12、トッププレート13及びその他の部品を取り出し可能にカットした必要数の板材20によって構成することができる。ベースプレート11、中間プレート12、トッププレート13及びその他の部品は、板材20とブリッジ等で接続されている。このようにすることで、製作キットの購入者が、特別な工具を使わずに、板材20のフレームから各部品を取り出せるようになる。また、
図4~
図6に示す板材20の周縁部(四隅)には、貫通孔14が設けられている。この貫通孔14の用途については後述する。
【0021】
図4は、トッププレート13と、その下に配置される中間プレート12が造りこまれた板材20を示している。
図4の例では、シートの番号を示す「I」と、部品の番号を示す「2」、「3」等が刻印されており、製作キットの購入者が説明書を見て容易に組み立てできるようになっている。
【0022】
図5は、ベースプレート11と、中間プレート12が造りこまれた板材20を示している。
図6は、2つの中間プレート12と、ヘッド16と、サドル保持パーツ15-1とが造りこまれた板材20を示している。
図6に表されたように、中間プレート12の空洞となる部分を利用して、その他部品を割り付けることで、全体としての板材20の枚数を減らすことが可能となっている。なお、符号32は、後記するギタースタンド部品Bである。
【0023】
上記のような板材20の厚さは、立体造形物の種類や表現したい高さ方向の形状、製作キットの作成の難易度等によって選択することができる。例えば、
図1~
図3の立体造形物(金属製ギター)の場合、2mmの板を14枚重ねることで、約28mmの高さを持つボディを形成している。このように厚めの板(例えば、1.5mm~2.00mm等)を選択することで、部品点数を減らすとともに、輸送時の変形を抑えることが可能となる。
【0024】
さらに、厚めの板(例えば、1.5mm~2.00mm等)を選択することで、部品を取り出した後のフレームを、再分解時の部品収納ケースとして使用することもできる。なお、一定以上の厚さの板材をカットする場合、高出力のレーザー加工機を用いてその製造効率を高めることができる。もちろん、板材20のカットは、レーザー加工機以外にも、ターレットパンチプレス機やエッチングを用いて行うこともできる。
【0025】
さらに、本実施形態では、部品を取り出した後のフレームを用いて、立体造形物(金属製ギター)の台座を構成することが可能となっている。
図7、
図8は、本実施形態の立体造形物(金属製ギター)の台座部分の分解斜視図及び斜視図である。
図7、
図8に示されたとおり、9枚の板材20を重ねて構成された台座、ギタースタンド部品A31及びギタースタンド部品B32によってギタースタンドが構成されている。この台座を構成する板材20の周縁部(四隅)にも、貫通孔14が設けられている。この貫通孔14にボルトやピンを挿入し、ガイド孔として用いて、板材20を重ねた後、最上段の板材20に、ギタースタンド部品A31及びギタースタンド部品B32を差し込むことでギタースタンドが完成する。この台座を構成する9枚の板材20のうち、中間の板材は、ベースプレート11、中間プレート12、トッププレート13等を取り出した後のフレームによって構成されている。また、
図8に示すように、板材20は、規定の順序で重ねると台形の立体形状を待つ台座となるようにカットされている。この台座自体もまた、ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13によって構成されていると把握することもできる。
【0026】
以上のように本実施形態の製作キットでは、部品を取り出した後のフレームを廃棄せず、台座として再利用することが可能となっている。
【0027】
以上説明したように、本実施形態によれば、ドライバー等の身近な工具と、簡単な組み立て作業で、鑑賞の対象となるような重厚感のある立体造形物(金属製ギター)を作成することが可能となる。なお、上記した実施形態では、貫通孔14、ボルト及びナットを用いて、ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13を固定するものとして説明したが、ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13の固定手段はこれらに限られない。例えば、ナットの代わりに、ベースプレート11の穴に雌ネジを切っておいてもよい。また、貫通孔14、ボルト及びナットの代わりに、接着剤、磁石、バンド、溶接等を用いて、ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13を固定する構成も採用可能である。
【0028】
[第2の実施形態]
続いて、ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13が分離可能であることを利用して、上下に分離可能な立体造形物(住宅模型)を作成した第2の実施形態について説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態の立体造形物(住宅模型)の斜視図である。
図10は、立体造形物(住宅模型)の屋根を取り外した状態を示す斜視図である。立体造形物の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるので、以下、その相違点を中心に説明する。
【0029】
図9、
図10に表されたように、第2の実施形態の立体造形物(住宅模型)10bは、第1の実施形態と同様に、ベースプレート11と、前記ベースプレート11の上に重ねる1枚以上の中間プレート12と、前記中間プレートの上に重ねるトッププレート13と、を規定の順序で重ねて組み立てられている。
【0030】
本実施形態においても、ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13の周縁部には、前記ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13を貫通する貫通孔14が設けられている。これらの貫通孔は、組み立てる過程ではガイド孔として利用できる。最終的には、これらの貫通孔14を用いて、長ボルト及びナットで前記ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13を固定することで、ベースプレート11を底面とした前記立体形状の側面(住宅の壁)が形成される。
【0031】
第2の実施形態の立体造形物(住宅模型)10bでは、ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13の内側(室内側)に、垂直溝を形成する窪み13-1(
図11の符号12-1も同様)が設けられている。本実施形態の立体造形物(住宅模型)10bでは、これらの窪みによって形成される垂直溝に住宅内部の壁19を上から差し込むことで、住宅内部の壁19等を取り付け可能となっている。
【0032】
本実施形態の立体造形物(住宅模型)10bは、複数の板材を重ねた構造であることを利用して、
図11に示すように、任意の階層で、立体造形物(住宅模型)10bを上下に分離し、その内部の構造等を自由に閲覧できるようになっている。例えば、
図11の例では、1階の天井面のすぐ下で、立体造形物(住宅模型)10bを、2階部10b-1と、1階部10b-2とに分けている。これにより、間取りなどを確認することが可能となっている。もちろん、その他の階層で立体造形物(住宅模型)10bを分離し、観察することも可能となっている。
【0033】
上記のような第2の実施形態の立体造形物(住宅模型)10bによれば、任意の位置で、上下に分離し、その断面や内部を展示可能な模型等を作ることが可能となる。もちろん、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13を取り出した後のフレームを台座(住宅模型の展示台)として使えるようにしてもよい。
【0034】
上記した立体造形物(住宅模型)10bは、完成品として工場内で組み立てて出荷する形態を採ることもできるが、より望ましい形態において、立体造形物(住宅模型)10bの製作キットとして提供することもできる。特に、住宅の間取りの検討中の顧客や、住宅を購入した顧客に、立体造形物(住宅模型)10bを提供することで、これらの顧客に、住宅の間取りや天井の高さ等を確認させることが可能となる。
【0035】
なお、
図9~
図11の例においては、立体造形物(住宅模型)10bの屋根部分は、傾斜部分を正確に再現するため別のパーツで構成したが、屋根部分もベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13を重ねた形態で構成することもできる。また、
図9~
図11の例では、住宅の壁はストレートになっているが、ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13として厚めの板を用い、かつ、それぞれのエッジをラウンド加工とすることで、ログハウス調の住宅の製作キットとすることもできる。
【0036】
また、上記した実施形態では、貫通孔14、ボルト及びナットを用いて、ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13を固定する形態のほか、例えば、ナットの代わりに、ベースプレート11や住宅の基礎となるパーツの穴に雌ネジを切っておいてもよい。また、貫通孔14、ボルト及びナットの代わりに、磁石等を用いて、ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13を固定する構成も採用可能である。また、ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13は必ずしも固定する必要はない。例えば、貫通孔14にピン等を挿入したり、ピンを立てたプレートを基礎プレートとして用いたりすることで、これらの部材の水平方向の移動を抑止する形態も採用することができる。
【0037】
[第3の実施形態]
本発明におけるベースプレート、前記中間プレート及び前記トッププレートを重ねる方向(積層方向)は、鉛直方向に限られない。続いて、ベースプレート11、中間プレート12及びトッププレート13を用いて観覧車模型の車輪状のフレームを構成した第3の実施形態について説明する。
図12は、本発明の第3の実施形態の立体造形物(観覧車模型)の斜視図である。
図13は、立体造形物(観覧車模型)の車輪状フレームの分解斜視図である。
【0038】
図12、
図13に表されたように、第3の実施形態の立体造形物(観覧車模型)10cの車輪状フレーム10c1は、ベースプレート11と、前記ベースプレート11の上に重ねる1枚以上の中間プレート12と、前記中間プレートの上に重ねるトッププレート13と、を規定の順序で重ねて組みたてることで構成されている。
【0039】
このような車輪状フレーム10c1を2つ組み立てた後、
図14に示すように、両者を、ゴンドラを吊り下げるパイプ部材等で結合することで、観覧車模型の車輪状パーツ(ホイール)が完成する。また、
図14の例では、観覧車模型のその他部品もレーザー加工機でカットした部品を組み立てて構成されている。また、このような観覧車模型は、単に眺めて楽しむだけでなく、モーターを配置し、ギヤで減速することで、実際の観覧車と同様に動かすことも可能となっている。
【0040】
第3の実施形態の立体造形物(観覧車)10cは、第1、第2の実施形態と同様に完成品として提供するほか、立体造形物(観覧車)10cの製作キットとして提供することもできる。
図15は、車輪状フレーム10c1を構成する中間プレート12と、観覧車のゴンドラの側壁27、28が造りこまれた板材20を示している。
図15に表されたように、中間プレート12の空洞となる部分を利用して、その他の部品を割り付けることで、全体としての板材20の枚数を減らすことが可能となっている。
【0041】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示した立体造形物や各部品の形状や板材20への割付例は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0042】
また、上記した実施形態では、立体造形物が、ギター、住宅模型、観覧車模型である例を挙げて説明したが、本発明を適用して製作可能な立体造形物はこれらに限定されるものではない。例えば、歴史的建造物や各地のランドマークを含む各種の建造物、楽器類、静物などをモチーフにした立体造形物を作成することができる。
【0043】
また、上記した実施形態では、立体造形物が金属で作られているものとして説明したが、板材からカット可能な素材であれば、その素材は限定されない。例えば、プラスチック、木、紙等を用いて、同様に、ベースプレート、中間プレート、トッププレートを重ねた(積層した)立体造形物として実現することも可能である。
【0044】
なお、上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【符号の説明】
【0045】
10a 立体造形物(金属製ギター)
10b 立体造形物(住宅模型)
10c 立体造形物(観覧車模型)
10c1 車輪状フレーム
11 ベースプレート
12 中間プレート
12-1、13-1 窪み
13 トッププレート
14 貫通孔
15-1 サドル保持パーツ
15-2 ブリッジパーツ
16 ヘッド
17 ピックガードパーツ
18 ネックパーツ
20 板材
27、28 ゴンドラの側壁
31 ギタースタンド部品A
32 ギタースタンド部品B