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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070347
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240516BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
H01L29/80 U
H01L29/44 L
H01L29/80 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180772
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】菊池 憲
【テーマコード(参考)】
4M104
5F102
【Fターム(参考)】
4M104BB02
4M104BB14
4M104CC01
4M104FF02
4M104FF17
4M104FF27
4M104GG12
4M104HH20
5F102GB01
5F102GB02
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GJ05
5F102GJ10
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102HC10
(57)【要約】
【課題】動作を安定化させる。
【解決手段】半導体装置は、基板と、基板下に設けられた金属層と、基板上に設けられた複数のソース電極と、複数のソース電極のうち複数のソース電極の配列する方向における配列した複数のソース電極の端に最も近い第1ソース電極の1つと平面視において重なり、基板を貫通し、金属層と第1ソース電極とを電気的に接続する1または複数の第1ビア配線と、複数のソース電極のうち端に2番目に近い第2ソース電極の1つと平面視において重なり、基板を貫通し、金属層と第2ソース電極とを電気的に接続する1または複数の第2ビア配線と、を備え、第1ソース電極の1つと金属層との間における1または複数の第1ビア配線を介した第1インダクタンスは、第2ソース電極の1つと金属層の間における1または複数の第2ビア配線を介した第2インダクタンスより大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板下に設けられた金属層と、
前記基板上に設けられた複数のソース電極と、
前記複数のソース電極のうち前記複数のソース電極の配列する方向における配列した前記複数のソース電極の端に最も近い第1ソース電極の1つと平面視において重なり、前記基板を貫通し、前記金属層と前記第1ソース電極とを電気的に接続する1または複数の第1ビア配線と、
前記複数のソース電極のうち前記端に2番目に近い第2ソース電極の1つと平面視において重なり、前記基板を貫通し、前記金属層と前記第2ソース電極とを電気的に接続する1または複数の第2ビア配線と、
を備え、
前記第1ソース電極の1つと前記金属層との間における前記1または複数の第1ビア配線を介した第1インダクタンスは、前記第2ソース電極の1つと前記金属層の間における前記1または複数の第2ビア配線を介した第2インダクタンスより大きい半導体装置。
【請求項2】
前記1または複数の第1ビア配線は複数の第1ビア配線であり、
前記1または複数の第2ビア配線は複数の第2ビア配線であり、
前記複数の第1ビア配線が互いに隣接する間隔は、前記複数の第2ビア配線が互いに隣接する間隔より小さい請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の第1ビア配線の個数は前記複数の第2ビア配線の個数以下であり、
前記複数の第1ビア配線の各々が前記第1ソース電極に接触する平面視における面積は、前記複数の第2ビア配線の各々が前記第2ソース電極に接触する平面視における面積以下である請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記1または複数の第1ビア配線の個数は前記1または複数の第2ビア配線の個数より少ない請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記1または複数の第1ビア配線は複数の第1ビア配線であり、前記1または複数の第2ビア配線は複数の第2ビア配線である場合、前記複数の第1ビア配線が互いに隣接する間隔は、前記複数の第2ビア配線が互いに隣接する間隔以下であり、
前記1または複数の第1ビア配線の各々が前記第1ソース電極に接触する平面視における面積は、前記1または複数の第2ビア配線の各々が前記第2ソース電極に接触する平面視における面積以下である請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記1または複数の第1ビア配線の各々が前記第1ソース電極に接触する平面視における面積は、前記1または複数の第2ビア配線の各々が前記第2ソース電極に接触する平面視における面積より小さい請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記1または複数の第1ビア配線は複数の第1ビア配線であり、前記1または複数の第2ビア配線は複数の第2ビア配線である場合、前記複数の第1ビア配線が互いに隣接する間隔は、前記複数の第2ビア配線が互いに隣接する間隔以下であり、
前記1または複数の第1ビア配線の各々が前記第1ソース電極に接触する平面視における面積は、前記1または複数の第2ビア配線の各々が前記第2ソース電極に接触する平面視における面積以下である請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数のソース電極のうち前記端に3番目に近い第3ソース電極の1つと平面視において重なり、前記基板を貫通し、前記金属層と前記第2ソース電極とを電気的に接続する1または複数の第3ビア配線を備え、
前記第3ソース電極の1つと前記金属層の間における前記1または複数の第3ビア配線を介した第3インダクタンスは、前記第2インダクタンスより小さい請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記1または複数の第1ビア配線が1つの第1ビア配線の場合、前記第1インダクタンスは、前記1つの第1ビア配線の自己インダクタンスであり、
前記1または複数の第1ビア配線が複数の第1ビア配線の場合、前記第1インダクタンスは、前記複数の第1ビア配線の各々の自己インダクタンスを合成したインダクタンスと前記複数の第1ビア配線の間の相互インダクタンスとの和であり、
前記1または複数の第2ビア配線が1つの第2ビア配線の場合、前記第2インダクタンスは、前記1つの第2ビア配線の自己インダクタンスであり、
前記1または複数の第2ビア配線が複数の第2ビア配線の場合、前記第2インダクタンスは、前記複数の第2ビア配線の各々の自己インダクタンスを合成したインダクタンスと前記複数の第2ビア配線の間の相互インダクタンスとの和である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記基板上に設けられた複数のゲート電極と、
前記基板上に設けられた複数のドレイン電極と、
を備え、
前記複数のゲート電極の各々は、前記複数のソース電極と前記複数のドレイン電極とに挟まれる請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のソース電極、複数のゲート電極および複数のドレイン電極を有するマルチフィンガタイプの電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)において、ソース電極にバイアホールを接続することが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-150127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のソース電極のうち最も端に近いソース電極と、他のソース電極とで、ソースインダクタンスが異なることがある。これにより、高周波動作が不安定となることがある。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みなされたものであり、動作を安定化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態は、基板と、前記基板下に設けられた金属層と、前記基板上に設けられた複数のソース電極と、前記複数のソース電極のうち前記複数のソース電極の配列する方向における配列した前記複数のソース電極の端に最も近い第1ソース電極の1つと平面視において重なり、前記基板を貫通し、前記金属層と前記第1ソース電極とを電気的に接続する1または複数の第1ビア配線と、前記複数のソース電極のうち前記端に2番目に近い第2ソース電極の1つと平面視において重なり、前記基板を貫通し、前記金属層と前記第2ソース電極とを電気的に接続する1または複数の第2ビア配線と、を備え、前記第1ソース電極の1つと前記金属層との間における前記1または複数の第1ビア配線を介した第1インダクタンスは、前記第2ソース電極の1つと前記金属層の間における前記1または複数の第2ビア配線を介した第2インダクタンスより大きい半導体装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、動作を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1に係る半導体装置の平面図である。
図2図2は、図1のA-A断面図である。
図3図3は、比較例1に係る半導体装置の平面図である。
図4図4は、仮想構造1を示す平面図である。
図5図5は、仮想構造1の等価回路を示す回路図である。
図6図6は、仮想構造2を示す平面図である。
図7図7は、仮想構造2の等価回路を示す回路図である。
図8図8は、仮想構造3を示す平面図である。
図9図9は、実施例2に係る半導体装置の平面図である。
図10図10は、実施例3に係る半導体装置の平面図である。
図11図11は、実施例4に係る半導体装置の平面図である。
図12図12は、実施例5に係る半導体装置の平面図である。
図13図13は、実施例6に係る半導体装置の平面図である。
図14図14は、実施例7に係る半導体装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の詳細]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の一実施形態は、基板と、前記基板下に設けられた金属層と、前記基板上に設けられた複数のソース電極と、前記複数のソース電極のうち前記複数のソース電極の配列する方向における配列した前記複数のソース電極の端に最も近い第1ソース電極の1つと平面視において重なり、前記基板を貫通し、前記金属層と前記第1ソース電極とを電気的に接続する1または複数の第1ビア配線と、前記複数のソース電極のうち前記端に2番目に近い第2ソース電極の1つと平面視において重なり、前記基板を貫通し、前記金属層と前記第2ソース電極とを電気的に接続する1または複数の第2ビア配線と、を備え、前記第1ソース電極の1つと前記金属層との間における前記1または複数の第1ビア配線を介した第1インダクタンスは、前記第2ソース電極の1つと前記金属層の間における前記1または複数の第2ビア配線を介した第2インダクタンスより大きい半導体装置である。これにより、動作を安定化できる。
(2)上記(1)において、前記1または複数の第1ビア配線は複数の第1ビア配線であり、前記1または複数の第2ビア配線は複数の第2ビア配線であり、前記複数の第1ビア配線が互いに隣接する間隔は、前記複数の第2ビア配線が互いに隣接する間隔より小さくてもよい。
(3)上記(2)において、前記複数の第1ビア配線の個数は前記複数の第2ビア配線の個数以下であり、前記複数の第1ビア配線の各々が前記第1ソース電極に接触する平面視における面積は、前記複数の第2ビア配線の各々が前記第2ソース電極に接触する平面視における面積以下であってもよい。
(4)上記(1)において、前記1または複数の第1ビア配線の個数は前記1または複数の第2ビア配線の個数より少なくてもよい。
(5)上記(4)において、前記1または複数の第1ビア配線は複数の第1ビア配線であり、前記1または複数の第2ビア配線は複数の第2ビア配線である場合、前記複数の第1ビア配線が互いに隣接する間隔は、前記複数の第2ビア配線が互いに隣接する間隔以下であり、前記1または複数の第1ビア配線の各々が前記第1ソース電極に接触する平面視における面積は、前記1または複数の第2ビア配線の各々が前記第2ソース電極に接触する平面視における面積以下であってもよい。
(6)上記(1)において、前記1または複数の第1ビア配線の各々が前記第1ソース電極に接触する平面視における面積は、前記1または複数の第2ビア配線の各々が前記第2ソース電極に接触する平面視における面積より小さくてもよい。
(7)上記(6)において、前記1または複数の第1ビア配線は複数の第1ビア配線であり、前記1または複数の第2ビア配線は複数の第2ビア配線である場合、前記複数の第1ビア配線が互いに隣接する間隔は、前記複数の第2ビア配線が互いに隣接する間隔以下であり、
前記1または複数の第1ビア配線の各々が前記第1ソース電極に接触する平面視における面積は、前記1または複数の第2ビア配線の各々が前記第2ソース電極に接触する平面視における面積以下であってもよい。
(8)上記(1)から(7)のいずれかにおいて、前記複数のソース電極のうち前記端に3番目に近い第3ソース電極の1つと平面視において重なり、前記基板を貫通し、前記金属層と前記第2ソース電極とを電気的に接続する1または複数の第3ビア配線を備え、前記第3ソース電極の1つと前記金属層の間における前記1または複数の第3ビア配線を介した第3インダクタンスは、前記第2インダクタンスより小さくてもよい。
(9)上記(1)から(8)のいずれかにおいて、前記1または複数の第1ビア配線が1つの第1ビア配線の場合、前記第1インダクタンスは、前記1つの第1ビア配線の自己インダクタンスであり、前記1または複数の第1ビア配線が複数の第1ビア配線の場合、前記第1インダクタンスは、前記複数の第1ビア配線の各々の自己インダクタンスを合成したインダクタンスと前記複数の第1ビア配線の間の相互インダクタンスとの和であり、前記1または複数の第2ビア配線が1つの第2ビア配線の場合、前記第2インダクタンスは、前記1つの第2ビア配線の自己インダクタンスであり、前記1または複数の第2ビア配線が複数の第2ビア配線の場合、前記第2インダクタンスは、前記複数の第2ビア配線の各々の自己インダクタンスを合成したインダクタンスと前記複数の第2ビア配線の間の相互インダクタンスとの和であってもよい。
(10)上記(1)から(9)のいずれかにおいて、前記基板上に設けられた複数のゲート電極と、前記基板上に設けられた複数のドレイン電極と、を備え、前記複数のゲート電極の各々は、前記複数のソース電極と前記複数のドレイン電極とに挟まれてもよい。
【0010】
本開示の実施形態にかかる半導体装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0011】
[実施例1]
図1は、実施例1に係る半導体装置の平面図である。図2は、図1のA-A断面図である。基板10の上面の法線方向をZ方向、ソース電極12aから12c、ゲート電極14およびドレイン電極16の配列方向をX方向、延伸方向をY方向とする。図1等の平面図では、ソース電極12aから12c、ドレイン電極16およびドレインバスバー26をクロスハッチングで示している。
【0012】
図1および図2に示すように、実施例1の半導体装置100では、基板10は、基板10aと基板10a上に設けられた半導体層10bを備えている。基板10には活性領域11が設けられている。活性領域11以外の領域はイオン注入等により半導体層10bが不活性化された非活性領域である。すなわち、活性領域11は基板10内の半導体層10bが活性化された領域であり、非活性領域は半導体層10bが不活性化された領域である。FET35は活性領域11に設けられている。
【0013】
活性領域11上に複数のソース電極12aから12c(ソースフィンガ)、ゲート電極14(ゲートフィンガ)およびドレイン電極16(ドレインフィンガ)が設けられている。ソース電極12a(第1ソース電極)は、複数のソース電極12aから12cのうちX方向(ソース電極12aから12cが配列する方向)における端(配列した複数のソース電極12aから12cの端)に最も近い。ソース電極12b(第2ソース電極)は、複数のソース電極12aから12cのうちX方向における端に2番目に近い。ソース電極12c(第3ソース電極)は、複数のソース電極12aから12cのうちX方向における端に3番目に近い。
【0014】
X方向において、ドレイン電極16とソース電極12aから12cとは、1つずつ交互に設けられている。ゲート電極14は、複数のソース電極12aから12cのうち1つと、複数のドレイン電極16の1つと、の間に設けられている。これにより、ゲート電極14を挟むソース電極12aから12cとドレイン電極16とは1つの単位FET35aから35cを形成する。単位FET35aから35cは、それぞれソース電極12aから12bを有する。単位FET35aから35cはX方向に配列されている。単位FET35aから35cの個数は4個以上であればよい。
【0015】
基板10の上面における非活性領域上にゲートバスバー24およびドレインバスバー26がX方向に延伸し設けられている。複数のゲート電極14のY方向における-Y端はゲートバスバー24に接続されている。複数のドレイン電極16のY方向における+Y端はドレインバスバー26に接続されている。
【0016】
ソース電極12aから12cにはそれぞれ基板10を貫通するバイアホール22aから22cが接続する。基板10の下面に金属層28が設けられている。金属層28には、例えばグランド電位等の基準電位が供給される。バイアホール22a、22bおよび22cの側面および上面に、それぞれビア配線28a(第1ビア配線)、28b(第2ビア配線)および28c(第3ビア配線)が設けられている。すなわち、ビア配線28aから28cは、それぞれソース電極12aから12cの下の基板に設けられ、それぞれソース電極12aから12cと平面視において重なる。ビア配線28aから28cは、基板10を貫通し、金属層28とソース電極12aから12cとをそれぞれ電気的に接続し短絡させる。ビア配線28aから28cは、金属層28と同じ金属層であり、同時に形成されている。バイアホール22aから22c内のビア配線28aから28c内に空洞が設けられている。空洞内は、空気等の気体が充満している。ビア配線28aから28c内の空洞に導電体が埋め込まれていてもよい。
【0017】
1つのソース電極12aから12c内においてビア配線28aから28cはY方向に配列されている。ビア配線28aから28cの平面形状は例えば角丸四角形状である。ビア配線28aから28cの長軸方向はY方向であり、短軸はX方向である。ビア配線28aから28cの平面形状は、角丸四角形状以外に、略楕円形状、略円形状または長円形状でもよい。ビア配線28aから28cの平面面積(ソース電極12aから12cに接触する領域における面積)は、互いにほぼ同じである。ソース電極12aから12cにビア配線28aから28cが接続する領域はソース電極12aから12c内に収まる。すなわち、基板10の上面においてソース電極12aから12cの外にビア配線28aから28cは設けられていない。
【0018】
半導体装置100が例えば窒化物半導体装置の場合、基板10aは例えばSiC基板、ダイヤモンド基板、シリコン基板、GaN基板またはサファイア基板である。半導体層10bは例えばGaN層、AlGaN層および/またはInGaN層等の窒化物半導体層を含む。半導体装置100がGaN HEMT(Gallium Nitride High Electron Mobirity Transisitor)の場合、半導体層10bは、GaN電子走行層と、GaN電子走行層上に設けられたAlGaNバリア層と、を含む。半導体装置が例えばGaAs系半導体装置の場合、基板10aは例えばGaAs基板である。半導体層10bは例えばGaAs層、AlGaAs層および/またはInGaAs層等の砒化物半導体層を含む。
【0019】
ソース電極12aから12bおよびドレイン電極16は、例えば基板10上に設けられた密着膜(例えばチタン膜)および密着膜上に設けられたアルミニウム膜等の金属膜である。アルミニウム膜上に金層等の配線層が設けられていてもよい。ゲート電極14は、例えば基板10上に設けられた密着膜(例えばニッケル膜)および密着膜上に設けられた金膜等の金属膜である。金属層28およびビア配線28aから28cは、例えば金層である。
【0020】
ビア配線28aから28cのX方向における幅Vxは互いにほぼ同じであり、例えば20μmである。ビア配線28aから28cのY方向における幅Va、VbおよびVcは互いにほぼ同じであり、例えば50μmである。ビア配線28bのY方向における間隔Dbとビア配線28cのY方向における間隔Dcとは、ほぼ同じであり、例えば50μmである。ビア配線28aのY方向における間隔Daは、間隔DbおよびDcより小さく、例えば20μmである。ビア配線28aと28bとのX方向における間隔Dab、およびビア配線28bと28cとのX方向における間隔Dbcは、例えば100μmである。基板10の厚さT1は例えば100μm、ビア配線28a、28bおよび28cの厚さT2は、例えば5μmである。
【0021】
[比較例1]
図3は、比較例1に係る半導体装置の平面図である。図3に示すように、比較例1の半導体装置110では、ビア配線28aの間隔Daが間隔DbおよびDcとほぼ同じである。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0022】
[仮想構造1]
比較例1の課題について、仮想構造を用い説明する。なお、以下の仮想構造による議論は、ソース電極12aから12cのY方向の幅が高周波信号の波長より十分小さいことが条件となる。ソース電極12aから12cのY方向の幅が高周波信号の波長程度となるとソース電極12aから12cを分布定数的に表現することになり、集中定数的な表現が難しくなる。例えば半導体装置100が無線通信用パワーアンプ(電力増幅器)に用いられる場合、動作帯域は0.5GHzから10GHzのいずれかの帯域である。高周波信号の周波数(例えば増幅器の動作帯域の中心周波数)が10GHz以下の場合、ソース電極12aから12cのY方向の幅が数100μm以下であれば、上記条件を満足する。
【0023】
図4は、仮想構造1を示す平面図である。図4に示すように、ソース電極12aはバイアホール22aに設けられたビア配線28aを介しグランドに接続される。ビア配線28aは自己インダクタンス2×L1を有する。2個のビア配線28a同士は磁界結合するため、相互インダクタンスM1が生じる。
【0024】
図5は、仮想構造1の等価回路を示す回路図である。図5に示すように、ポートP1とP2との間の線路(ソース電極12aに相当する)は、ビア配線28aの抵抗Rv、自己インダクタンスL1および相互インダクタンスM1を介しグランドGndに接続される。自己インダクタンスL1は、ビア配線28aの自己インダクタンス2×L1が並列に接続されるため2×L1を合成したインダクタンスL1となる。
【0025】
[仮想構造2]
図6は、仮想構造2を示す平面図である。図6に示すように、ソース電極12aおよびソース電極12bは、それぞれバイアホール22aおよび22bに設けられたそれぞれビア配線28aおよび28bを介しグランドに接続される。ビア配線28aおよび28bは自己インダクタンス2×L1を有する。ビア配線28aと同様に、2個のビア配線28b同士は磁界結合するため、相互インダクタンスM1が生じる。さらに、ビア配線28aと28bとは磁界結合する。これにより、相互インダクタンスM2が生じる。
【0026】
図7は、仮想構造2の等価回路を示す回路図である。図7に示すように、ポートP1の線路(ソース電極12aに相当)は、抵抗Rv、自己インダクタンスL1および相互インダクタンスM1を介しノードN1に接続される。ポートP2の線路(ソース電極12bに相当)は、抵抗Rv、自己インダクタンスL1および相互インダクタンスM1を介しノードN1に接続される。ノードN1は相互インダクタンスM2を介しグランドに接続される。
【0027】
このように、仮想構造2では、仮想構造1に比べ相互インダクタンスM2の分、ソースインダクタンスが大きくなる。電磁界解析法を用い各インダクタンスをシミュレーションした。シミュレーションでは、ビア配線28aから28cの幅Vxを20μm、幅Va、VbおよびVcを50μm、ビア配線28aから28c同士の間隔Da、DbおよびDcを50μm、ビア配線28aと28bとの間隔Dabが100μm、基板10の厚さT1を100μm、ビア配線28a、28bおよび28cの厚さT2を5μm、基板10をSiC基板とした。このとき、L1=15pH、M1=5pH、M2=5pHであった。
【0028】
[仮想構造3]
図8は、仮想構造3を示す平面図である。図8に示すように、ソース電極12aから12cは、図3と同様に配列されている。隣接するソース電極のビア配線との相互インダクタンスをM2、2番目に近いソース電極のビア配線との相互インダクタンスをM3と記載する。相互インダクタンスM3は相互インダクタンスM2より小さい。
【0029】
ソース電極12aのソースインダクタンスLsaに寄与する相互インダクタンスは、ソース電極12aに隣接するソース電極12bのビア配線28bとの相互インダクタンスM2と、2つ隣のソース電極12cのビア配線28cとの相互インダクタンスM3である。ソース電極12bのソースインダクタンスLsbに寄与する相互インダクタンスは、隣接するソース電極12aのビア配線28aとの相互インダクタンスM2と、隣接するソース電極12cのビア配線28cとの相互インダクタンスM2と、2つ隣のソース電極12bのビア配線28bとのによる相互インダクタンスM3である。ソース電極12cのソースインダクタンスLscに寄与する相互インダクタンスは、2つのソース電極12bのビア配線28bとの2つの相互インダクタンスM2と、2つのソース電極12aのビア配線28aとの2つの相互インダクタンスM3である。
【0030】
このように、ソース電極12aのソースインダクタンスLsaに寄与する相互インダクタンスは、相互インダクタンスM2が1つと相互インダクタンスM3が1つである。ソース電極12bのソースインダクタンスLsbに寄与する相互インダクタンスは、相互インダクタンスM2が2つと相互インダクタンスM3が1つである。ソース電極12cのソースインダクタンスLscに寄与する相互インダクタンスは、相互インダクタンスM2が2つと相互インダクタンスM3が2つである。これらの相互インダクタンスはグランドとの間に直列接続される。以上のインダクタンスの関係を簡略化して記載すると、
Lsa=L1+M1+M2+M3
Lsb=L1+M1+2×M2+M3
Lsc=L1+M1+2×M2+2×M3
である。ソースインダクタンスの大小関係は、Lsa<Lsb<Lscとなる。相互インダクタンスM3はM2に比べ小さいため、Lsb-Lsa>Lsc-Lsbである。
【0031】
以上のように、比較例1では、単位FET35aのソースインダクタンスLsa、単位FET35bのソースインダクタンスLsb、および単位FET35cのソースインダクタンスLscが異なる。このため、半導体装置110を増幅器に用い、ゲート電極14に高周波信号が入力したとき、単位FET35aから35cの動作が不均一になる。これにより、増幅器の利得が低下してしまう。
【0032】
実施例1によれば、ビア配線28aの間隔Daが間隔DbおよびDcより小さい。これにより、ビア配線28a間の相互インダクタンスM1aは、ビア配線28b間の相互インダクタンスM1およびビア配線28c間の相互インダクタンスM1より大きくなる。すなわち
Lsa=L1+M1a+M2+M3
となる。一方、
Lsb=L1+M1+2×M2+M3
である。そこで、M1a-M1をM2程度に設定することで、LsaとLsbとをほぼ同じにできる。よって、実施例1におけるLsaとLsbの差を比較例1におけるLsaとLsbとの差より小さくできる。一方、比較例1におけるLsbとLscとの差はあまり大きくない。よって、単位FET35aから35cの動作を均一にすることができる。
【0033】
[実施例2]
図9は、実施例2に係る半導体装置の平面図である。図9に示すように、実施例2の半導体装置101では、ビア配線28aのY方向における間隔Daは、ビア配線28bのY方向における間隔Dbより小さく、間隔Dbは、ビア配線28cのY方向における間隔Dcより小さい。ビア配線28aから28cのY方向における幅Va、VbおよびVcは同じである。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0034】
実施例2における各インダクタンスの関係を簡略化して記載すると、
Lsa=L1+M1a+M2+M3
Lsb=L1+M1b+2×M2+M3
Lsc=L1+M1c+2×M2+2×M3
である。ここで、Da<Db<Dcであるため、M1a>M1b>M1cである。M1a-M1bをM2程度に設定し、M1b-M1cをM3程度に設定する。これにより、実施例2では比較例1に比べ、LsaとLsbの差およびLsbとLscの差を小さくできる。よって、単位FET35aから35cの動作をより均一にすることができる。
【0035】
[実施例3]
図10は、実施例3に係る半導体装置の平面図である。図10に示すように、実施例3の半導体装置102では、1つのソース電極12aに2個のビア配線28aが接続されている。1つのソース電極12bに3個のビア配線28bが接続されている。1つのソース電極12cに3個のビア配線28cが接続されている。間隔Da、DbおよびDcは互いにほぼ同じであり、幅Va、VbおよびVcは互いにほぼ同じである。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0036】
実施例3における各インダクタンスの関係を簡略化して記載すると、
Lsa=L1a+M1+M2+M3
Lsb=L1b+M1+2×M2+M3
Lsc=L1c+M1+2×M2+2×M3
である。1つのソース電極12aに接続されるビア配線28aは2個、1つのソース電極12bに接続されるビア配線28bは3個、1つのソース電極12cに接続されるビア配線28cは3個である。このため、L1b=L1c≒2×L1a/3となる。よって、L1a>L1b=L1cとなる。これにより、実施例3では比較例1に比べ、LsaとLsbの差を小さくできる。よって、単位FET35aから35cの動作を均一にすることができる。
【0037】
[実施例4]
図11は、実施例4に係る半導体装置の平面図である。図11に示すように、実施例4の半導体装置103では、1つのソース電極12aに2個のビア配線28aが接続されている。1つのソース電極12bに3個のビア配線28bが接続されている。1つのソース電極12cに4個のビア配線28cが接続されている。間隔Da、DbおよびDcは互いにほぼ同じであり、幅Va、VbおよびVcは互いにほぼ同じである。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0038】
実施例4における各インダクタンスの関係を簡略化して記載すると、
Lsa=L1a+M1+M2+M3
Lsb=L1b+M1+2×M2+M3
Lsc=L1c+M1+2×M2+2×M3
である。ビア配線28a、28bおよび28cの個数から、L1b≒2×L1a/3、Lsc≒L1a/2となる。よって、L1a>L1b>L1cとなる。これにより、実施例4では、比較例1に比べ、LsaとLsbの差およびLsbとLscの差を小さくできる。よって、単位FET35aから35cの動作を均一にすることができる。
【0039】
[実施例5]
図12は、実施例5に係る半導体装置の平面図である。図12に示すように、実施例5の半導体装置104では、1つのソース電極12aに2個のビア配線28aが接続されている。1つのソース電極12bに3個のビア配線28bが接続されている。1つのソース電極12cに3個のビア配線28cが接続されている。間隔Daは、DbおよびDcより小さい。幅Va、VbおよびVcは互いにほぼ同じである。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0040】
実施例5における各インダクタンスの関係を簡略化して記載すると、
Lsa=L1a+M1a+M2+M3
Lsb=L1b+M1b+2×M2+M3
Lsc=L1c+M1c+2×M2+2×M3
である。ビア配線28aの個数はビア配線28bの個数およびビア配線28cの個数より小さい。よって、L1a>L1b≒L1cである。Da<Db=Dcであるため、M1a>M1b≒M1cである。これにより、実施例5では、比較例1に比べ、LsaとLsbの差を小さくできる。よって、単位FET35aから35cの動作を均一にすることができる。
【0041】
[実施例6]
図13は、実施例6に係る半導体装置の平面図である。図13に示すように、実施例6の半導体装置105では、ビア配線28aのY方向における幅Vaは、ビア配線28bのY方向における幅Vbより小さく、幅Vbはビア配線28cのY方向における幅Vcより小さい。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0042】
実施例6における各インダクタンスの関係を簡略化して記載すると、
Lsa=L1a+M1+M2+M3
Lsb=L1b+M1+2×M2+M3
Lsc=L1c+M1+2×M2+2×M3
である。Va<Vb<Vcのため、L1a>L1b>L1cである。これにより、実施例6では、比較例1に比べ、LsaとLsbの差およびLsbとLscの差を小さくできる。よって、単位FET35aから35cの動作を均一にすることができる。
【0043】
[実施例7]
図14は、実施例7に係る半導体装置の平面図である。図14に示すように、実施例7の半導体装置106では、1つのソース電極12aに1個のビア配線28aが接続されている。1つのソース電極12bに2個のビア配線28bが接続されている。1つのソース電極12cに3個のビア配線28cが接続されている。ビア配線28aのY方向における幅Vaは、ビア配線28bのY方向における幅Vbより小さく、幅Vbはビア配線28cのY方向における幅Vcより小さい。ビア配線28bのY方向における間隔Dbは、ビア配線28cのY方向における間隔Dcより小さい。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0044】
実施例7における各インダクタンスの関係を簡略化して記載すると、
Lsa=L1a+M2+M3
Lsb=L1b+M1b+2×M2+M3
Lsc=L1c+M1c+2×M2+2×M3
である。1つのソース電極12aに接続されるビア配線28aが1個のため、LsaにM1は含まれない。Db<Dcのため、M1b>M1cである。Va<Vb<Vcのため、L1a>L1b>L1cである。これにより、実施例7では、比較例1に比べ、LsaとLsbの差およびLsbとLscの差を小さくできる。よって、単位FET35aから35cの動作を均一にすることができる。
【0045】
[実施例1から実施例7のまとめ]
実施例1から実施例7では、ソース電極12aの1つと金属層28との間における1または複数のビア配線28aを介した第1インダクタンスは、ソース電極12bの1つと金属層28との間における1または複数のビア配線28bを介した第2インダクタンスより大きい。これにより、ソース電極12aのソースインダクタンスLsaとソース電極12bのソースインダクタンスLsbとの差を比較例1より小さくできる。よって、単位FET35aから35cの動作を均一にすることができる。半導体装置100から106の利得を向上できる。
【0046】
実施例2、4、5および7のように、ソース電極12cの1つと金属層28との間における1または複数のビア配線28cを介した第3インダクタンスは、ソース電極12bの1つと金属層28との間における1または複数のビア配線28bを介した第2インダクタンスより小さい。これにより、ソース電極12bのソースインダクタンスLsbとソース電極12cのソースインダクタンスLscとの差を比較例1より小さくできる。よって、単位FET35aから35cの動作を均一にすることができる。半導体装置の利得をより向上できる。
【0047】
第1インダクタンスは、例えば、第2インダクタンスの1.05倍以上であり、1.1倍以上である。また、第1インダクタンスは、例えば、第2インダクタンスの2倍以下である。ビア配線28aの個数とビア配線28bの個数が同じ、かつVa=VbおよびDa=Dbである比較例1におけるソースインダクタンスLsaとLsbとの差に比べ、実施例1から7におけるソースインダクタンスLsaとLsbとの差が小さい。これにより、単位FET35aから35cの動作を比較例1より均一にすることができる。
【0048】
第2インダクタンスは、例えば第3インダクタンスの1.01倍以上であり、1.05倍以上である。また、第2インダクタンスは、例えば、第3インダクタンスの1.5倍以下である。比較例1におけるソースインダクタンスLsbとLscとの差に比べ、実施例2、4、5および7におけるソースインダクタンスLsaとLsbとの差が小さい。これにより、単位FET35aから35cの動作を比較例1より均一にすることができる。
【0049】
1つのソース電極12aに1つのビア配線28aが接続される場合、第1インダクタンスは、1つのビア配線28aの自己インダクタンスである。1つのソース電極12aに複数のビア配線28aが接続される場合、第1インダクタンスは、ビア配線28aの各々の自己インダクタンスを合成したインダクタンスL1と複数のビア配線28aの間の相互インダクタンスM1によるインダクタンスである。
【0050】
1つのソース電極12bに1つのビア配線28bが接続される場合、第2インダクタンスは、1つのビア配線28bの自己インダクタンスである。1つのソース電極12bに複数のビア配線28bが接続される場合、第2インダクタンスは、ビア配線28bの各々の自己インダクタンスを合成したインダクタンスL1と複数のビア配線28bの間の相互インダクタンスM1によるインダクタンスである。
【0051】
1つのソース電極12cに1つのビア配線28cが接続される場合、第3インダクタンスは、1つのビア配線28cの自己インダクタンスである。1つのソース電極12cに複数のビア配線28cが接続される場合、第3インダクタンスは、ビア配線28cの各々の自己インダクタンスを合成したインダクタンスL1と複数のビア配線28cの間の相互インダクタンスM1によるインダクタンスである。
【0052】
これらにより、ソースインダクタンスLsaとLsbとにおける相互インダクタンスM2の差を自己インダクタンスL1および相互インダクタンスM1を用い補償することができる。
【0053】
実施例1、2および5のように、複数のビア配線28aが互いに隣接する間隔Daをビア配線28bが互いに隣接する間隔Dbより小さくする。これにより、ソースインダクタンスLsaにおける相互インダクタンスM1をソースインダクタンスLsbにおける相互インダクタンスM1より大きくできる。よって、ソースインダクタンスLsaとLsbとの差を小さくできる。
【0054】
このとき、1つのソース電極12aに接続されるビア配線28aの第1個数を、1つのソース電極12bに接続されるビア配線28bの第2個数と同じまたは第2個数より少なくする。ビア配線28aの各々がソース電極12aに接触する平面視における第1面積を、ビア配線28bの各々がソース電極12bに接触する平面視における第2面積と同じまたは第2面積より小さくする。これにより、ソースインダクタンスLsaにおける自己インダクタンスL1と相互インダクタンスM1の和をソースインダクタンスLsbにおける自己インダクタンスL1と相互インダクタンスM1の和より大きくできる。
【0055】
例えば、間隔Daは、間隔Dbの0.95倍以下であり、0.9倍以下である。また、間隔Daは、例えば、間隔Dbの0.1倍以上である。ソースインダクタンスLsbとLscとの差を小さくする場合には、間隔Dbは、間隔Dcより小さく、間隔Dcの0.99倍以下であり、0.98倍以下である。また、間隔Dbは、例えば、間隔Dcの0.1倍以上である。1つのソース電極12a(12bまたは12c)に接続されるビア配線28a(28bまたは28c)が3個以上の場合、隣接するビア配線28a(28bまたは28c)の間隔は複数ある。複数の間隔の値が互いに異なる場合には、間隔Da(DbまたはDc)は複数の間隔の値の平均とする。
【0056】
実施例3、4、5および7のように、ビア配線28aの個数をビア配線28bの個数より少なくする。これにより、ソースインダクタンスLsaにおける自己インダクタンスL1をソースインダクタンスLsbにおける自己インダクタンスL1より大きくできる。よって、ソースインダクタンスLsaとLsbとの差を小さくできる。
【0057】
このとき、複数のビア配線28aが互いに隣接する間隔Daを、ビア配線28bが互いに隣接する間隔Dbと同じまたは間隔Dbより小さくする。ビア配線28aの各々がソース電極12aに接触する平面視における第1面積を、ビア配線28bの各々がソース電極12bに接触する平面視における第2面積と同じまたは第2面積より小さくする。これにより、ソースインダクタンスLsaにおける自己インダクタンスL1と相互インダクタンスM1の和をソースインダクタンスLsbにおける自己インダクタンスL1と相互インダクタンスM1の和より大きくできる。
【0058】
例えば、ソースインダクタンスLsbとLscとの差を小さくする場合には、ビア配線28bの個数をビア配線28cの個数より少なくする。
【0059】
実施例6および7のように、ビア配線28aの各々がソース電極12aに接触する平面視における第1面積を、ビア配線28bの各々がソース電極12bに接触する平面視における第2面積より小さくする。これにより、ソースインダクタンスLsaにおける自己インダクタンスL1と相互インダクタンスM1の和をソースインダクタンスLsbにおける自己インダクタンスL1と相互インダクタンスM1の和より大きくできる。
【0060】
このとき、複数のビア配線28aが互いに隣接する間隔Daを、ビア配線28bが互いに隣接する間隔Dbと同じまたは間隔Dbより小さくする。1つのソース電極12aに接続されるビア配線28aの第1個数を、1つのソース電極12bに接続されるビア配線28bの第2個数と同じまたは第2個数より少なくする。これにより、ソースインダクタンスLsaにおける自己インダクタンスL1と相互インダクタンスM1の和をソースインダクタンスLsbにおける自己インダクタンスL1と相互インダクタンスM1の和より大きくできる。
【0061】
例えば、第1面積は、第2面積の0.95倍以下であり、0.9倍以下である。また、第1面積は、例えば、第2面積の0.1倍以上である。ソースインダクタンスLsbとLscとの差を小さくする場合には、第2面積は、ビア配線28cがソース電極12cに接触する平面視における第3面積より小さく、第3面積の0.99倍以下であり、0.95倍以下である。また、第2面積は、例えば、第3面積の0.1倍以上である。1つのソース電極12a(12bまたは12c)に接続されるビア配線28a(28bまたは28c)が複数の場合、複数のビア配線28a(28bまたは28c)の面積が互いに異なる場合には、第1面積(第2面積または第3面積)は複数のビア配線28a(28bまたは28c)の面積の平均とする。
【0062】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0063】
10、10a 基板
10b 半導体層
11 活性領域
12a、12b、12c ソース電極
14 ゲート電極
16 ドレイン電極
22a、22b、22c バイアホール
24 ゲートバスバー
26 ドレインバスバー
28 金属層
28a、28b、28c ビア配線
35a、35b、35c 単位FET
100、101、102、103、104、105、106、110 半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板下に設けられた金属層と、
前記基板上に設けられた複数のソース電極と、
前記複数のソース電極のうち前記複数のソース電極の配列する方向における配列した前記複数のソース電極の端に最も近い第1ソース電極の1つと平面視において重なり、前記基板を貫通し、前記金属層と前記第1ソース電極とを電気的に接続する1または複数の第1ビア配線と、
前記複数のソース電極のうち前記端に2番目に近い第2ソース電極の1つと平面視において重なり、前記基板を貫通し、前記金属層と前記第2ソース電極とを電気的に接続する1または複数の第2ビア配線と、
を備え、
前記第1ソース電極の1つと前記金属層との間における前記1または複数の第1ビア配線を介した第1インダクタンスは、前記第2ソース電極の1つと前記金属層の間における前記1または複数の第2ビア配線を介した第2インダクタンスより大きい半導体装置。
【請求項2】
前記1または複数の第1ビア配線は複数の第1ビア配線であり、
前記1または複数の第2ビア配線は複数の第2ビア配線であり、
前記複数の第1ビア配線が互いに隣接する間隔は、前記複数の第2ビア配線が互いに隣接する間隔より小さい請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の第1ビア配線の個数は前記複数の第2ビア配線の個数以下であり、
前記複数の第1ビア配線の各々が前記第1ソース電極に接触する平面視における面積は、前記複数の第2ビア配線の各々が前記第2ソース電極に接触する平面視における面積以下である請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記1または複数の第1ビア配線の個数は前記1または複数の第2ビア配線の個数より少ない請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記1または複数の第1ビア配線は複数の第1ビア配線であり、前記1または複数の第2ビア配線は複数の第2ビア配線である場合、前記複数の第1ビア配線が互いに隣接する間隔は、前記複数の第2ビア配線が互いに隣接する間隔以下であり、
前記1または複数の第1ビア配線の各々が前記第1ソース電極に接触する平面視における面積は、前記1または複数の第2ビア配線の各々が前記第2ソース電極に接触する平面視における面積以下である請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記1または複数の第1ビア配線の各々が前記第1ソース電極に接触する平面視における面積は、前記1または複数の第2ビア配線の各々が前記第2ソース電極に接触する平面視における面積より小さい請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記1または複数の第1ビア配線の個数は前記1または複数の第2ビア配線の個数以下であり、
前記1または複数の第1ビア配線は複数の第1ビア配線であり、前記1または複数の第2ビア配線は複数の第2ビア配線である場合、前記複数の第1ビア配線が互いに隣接する間隔は、前記複数の第2ビア配線が互いに隣接する間隔以下であ請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数のソース電極のうち前記端に3番目に近い第3ソース電極の1つと平面視において重なり、前記基板を貫通し、前記金属層と前記第ソース電極とを電気的に接続する1または複数の第3ビア配線を備え、
前記第3ソース電極の1つと前記金属層の間における前記1または複数の第3ビア配線を介した第3インダクタンスは、前記第2インダクタンスより小さい請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記1または複数の第1ビア配線が1つの第1ビア配線の場合、前記第1インダクタンスは、前記1つの第1ビア配線の自己インダクタンスであり、
前記1または複数の第1ビア配線が複数の第1ビア配線の場合、前記第1インダクタンスは、前記複数の第1ビア配線の各々の自己インダクタンスを合成したインダクタンスと前記複数の第1ビア配線の間の相互インダクタンスとの和であり、
前記1または複数の第2ビア配線が1つの第2ビア配線の場合、前記第2インダクタンスは、前記1つの第2ビア配線の自己インダクタンスであり、
前記1または複数の第2ビア配線が複数の第2ビア配線の場合、前記第2インダクタンスは、前記複数の第2ビア配線の各々の自己インダクタンスを合成したインダクタンスと前記複数の第2ビア配線の間の相互インダクタンスとの和である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記基板上に設けられた複数のゲート電極と、
前記基板上に設けられた複数のドレイン電極と、
を備え、
前記複数のゲート電極の各々は、前記複数のソース電極と前記複数のドレイン電極とに挟まれる請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
[本開示の実施形態の詳細]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の一実施形態は、基板と、前記基板下に設けられた金属層と、前記基板上に設けられた複数のソース電極と、前記複数のソース電極のうち前記複数のソース電極の配列する方向における配列した前記複数のソース電極の端に最も近い第1ソース電極の1つと平面視において重なり、前記基板を貫通し、前記金属層と前記第1ソース電極とを電気的に接続する1または複数の第1ビア配線と、前記複数のソース電極のうち前記端に2番目に近い第2ソース電極の1つと平面視において重なり、前記基板を貫通し、前記金属層と前記第2ソース電極とを電気的に接続する1または複数の第2ビア配線と、を備え、前記第1ソース電極の1つと前記金属層との間における前記1または複数の第1ビア配線を介した第1インダクタンスは、前記第2ソース電極の1つと前記金属層の間における前記1または複数の第2ビア配線を介した第2インダクタンスより大きい半導体装置である。これにより、動作を安定化できる。
(2)上記(1)において、前記1または複数の第1ビア配線は複数の第1ビア配線であり、前記1または複数の第2ビア配線は複数の第2ビア配線であり、前記複数の第1ビア配線が互いに隣接する間隔は、前記複数の第2ビア配線が互いに隣接する間隔より小さくてもよい。
(3)上記(2)において、前記複数の第1ビア配線の個数は前記複数の第2ビア配線の個数以下であり、前記複数の第1ビア配線の各々が前記第1ソース電極に接触する平面視における面積は、前記複数の第2ビア配線の各々が前記第2ソース電極に接触する平面視における面積以下であってもよい。
(4)上記(1)において、前記1または複数の第1ビア配線の個数は前記1または複数の第2ビア配線の個数より少なくてもよい。
(5)上記(4)において、前記1または複数の第1ビア配線は複数の第1ビア配線であり、前記1または複数の第2ビア配線は複数の第2ビア配線である場合、前記複数の第1ビア配線が互いに隣接する間隔は、前記複数の第2ビア配線が互いに隣接する間隔以下であり、前記1または複数の第1ビア配線の各々が前記第1ソース電極に接触する平面視における面積は、前記1または複数の第2ビア配線の各々が前記第2ソース電極に接触する平面視における面積以下であってもよい。
(6)上記(1)において、前記1または複数の第1ビア配線の各々が前記第1ソース電極に接触する平面視における面積は、前記1または複数の第2ビア配線の各々が前記第2ソース電極に接触する平面視における面積より小さくてもよい。
(7)上記(6)において、前記1または複数の第1ビア配線の個数は前記1または複数の第2ビア配線の個数以下であり、前記1または複数の第1ビア配線は複数の第1ビア配線であり、前記1または複数の第2ビア配線は複数の第2ビア配線である場合、前記複数の第1ビア配線が互いに隣接する間隔は、前記複数の第2ビア配線が互いに隣接する間隔以下でってもよい。
(8)上記(1)から(7)のいずれかにおいて、前記複数のソース電極のうち前記端に3番目に近い第3ソース電極の1つと平面視において重なり、前記基板を貫通し、前記金属層と前記第ソース電極とを電気的に接続する1または複数の第3ビア配線を備え、前記第3ソース電極の1つと前記金属層の間における前記1または複数の第3ビア配線を介した第3インダクタンスは、前記第2インダクタンスより小さくてもよい。
(9)上記(1)から(8)のいずれかにおいて、前記1または複数の第1ビア配線が1つの第1ビア配線の場合、前記第1インダクタンスは、前記1つの第1ビア配線の自己インダクタンスであり、前記1または複数の第1ビア配線が複数の第1ビア配線の場合、前記第1インダクタンスは、前記複数の第1ビア配線の各々の自己インダクタンスを合成したインダクタンスと前記複数の第1ビア配線の間の相互インダクタンスとの和であり、前記1または複数の第2ビア配線が1つの第2ビア配線の場合、前記第2インダクタンスは、前記1つの第2ビア配線の自己インダクタンスであり、前記1または複数の第2ビア配線が複数の第2ビア配線の場合、前記第2インダクタンスは、前記複数の第2ビア配線の各々の自己インダクタンスを合成したインダクタンスと前記複数の第2ビア配線の間の相互インダクタンスとの和であってもよい。
(10)上記(1)から(9)のいずれかにおいて、前記基板上に設けられた複数のゲート電極と、前記基板上に設けられた複数のドレイン電極と、を備え、前記複数のゲート電極の各々は、前記複数のソース電極と前記複数のドレイン電極とに挟まれてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
X方向において、ドレイン電極16とソース電極12aから12cとは、1つずつ交互に設けられている。ゲート電極14は、複数のソース電極12aから12cのうち1つと、複数のドレイン電極16の1つと、の間に設けられている。これにより、ゲート電極14を挟むソース電極12aから12cとドレイン電極16とは1つの単位FET35aから35cを形成する。単位FET35aから35cは、それぞれソース電極12aから12cを有する。単位FET35aから35cはX方向に配列されている。単位FET35aから35cの個数は4個以上であればよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
1つのソース電極12aから12c内においてビア配線28aから28cはY方向に配列されている。ビア配線28aから28cの平面形状は例えば角丸四角形状である。ビア配線28aから28cの長軸方向はY方向であり、短軸方向はX方向である。ビア配線28aから28cの平面形状は、角丸四角形状以外に、略楕円形状、略円形状または長円形状でもよい。ビア配線28aから28cの平面面積(ソース電極12aから12cに接触する領域における面積)は、互いにほぼ同じである。ソース電極12aから12cにビア配線28aから28cが接続する領域はソース電極12aから12c内に収まる。すなわち、基板10の上面においてソース電極12aから12cの外にビア配線28aから28cは設けられていない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
ソース電極12aから12cおよびドレイン電極16は、例えば基板10上に設けられた密着膜(例えばチタン膜)および密着膜上に設けられたアルミニウム膜等の金属膜である。アルミニウム膜上に金層等の配線層が設けられていてもよい。ゲート電極14は、例えば基板10上に設けられた密着膜(例えばニッケル膜)および密着膜上に設けられた金膜等の金属膜である。金属層28およびビア配線28aから28cは、例えば金層である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
このように、仮想構造2では、仮想構造1に比べ相互インダクタンスM2の分、ソースインダクタンスが大きくなる。電磁界解析法を用い各インダクタンスをシミュレーションした。シミュレーションでは、ビア配線28aから28cの幅Vxを20μm、幅Va、VbおよびVcを50μm、ビア配線28aから28c同士の間隔Da、DbおよびDcを50μm、ビア配線28aと28bとの間隔Dab100μm、基板10の厚さT1を100μm、ビア配線28a、28bおよび28cの厚さT2を5μm、基板10をSiC基板とした。このとき、L1=15pH、M1=5pH、M2=5pHであった。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
ソース電極12aのソースインダクタンスLsaに寄与する相互インダクタンスは、ソース電極12aに隣接するソース電極12bのビア配線28bとの相互インダクタンスM2と、2つ隣のソース電極12cのビア配線28cとの相互インダクタンスM3である。ソース電極12bのソースインダクタンスLsbに寄与する相互インダクタンスは、隣接するソース電極12aのビア配線28aとの相互インダクタンスM2と、隣接するソース電極12cのビア配線28cとの相互インダクタンスM2と、2つ隣のソース電極12bのビア配線28bとの相互インダクタンスM3である。ソース電極12cのソースインダクタンスLscに寄与する相互インダクタンスは、2つのソース電極12bのビア配線28bとの2つの相互インダクタンスM2と、2つのソース電極12aのビア配線28aとの2つの相互インダクタンスM3である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
実施例4における各インダクタンスの関係を簡略化して記載すると、
Lsa=L1a+M1+M2+M3
Lsb=L1b+M1+2×M2+M3
Lsc=L1c+M1+2×M2+2×M3
である。ビア配線28a、28bおよび28cの個数から、L1b≒2×L1a/3、L1c≒L1a/2となる。よって、L1a>L1b>L1cとなる。これにより、実施例4では、比較例1に比べ、LsaとLsbの差およびLsbとLscの差を小さくできる。よって、単位FET35aから35cの動作を均一にすることができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
第2インダクタンスは、例えば第3インダクタンスの1.01倍以上であり、1.05倍以上である。また、第2インダクタンスは、例えば、第3インダクタンスの1.5倍以下である。比較例1におけるソースインダクタンスLsbとLscとの差に比べ、実施例2、4、5および7におけるソースインダクタンスLsbLscとの差が小さい。これにより、単位FET35aから35cの動作を比較例1より均一にすることができる。