IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 王子ホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-巻付検出装置、巻付検出方法 図1
  • 特開-巻付検出装置、巻付検出方法 図2
  • 特開-巻付検出装置、巻付検出方法 図3
  • 特開-巻付検出装置、巻付検出方法 図4
  • 特開-巻付検出装置、巻付検出方法 図5
  • 特開-巻付検出装置、巻付検出方法 図6
  • 特開-巻付検出装置、巻付検出方法 図7
  • 特開-巻付検出装置、巻付検出方法 図8
  • 特開-巻付検出装置、巻付検出方法 図9
  • 特開-巻付検出装置、巻付検出方法 図10
  • 特開-巻付検出装置、巻付検出方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007035
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】巻付検出装置、巻付検出方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/06 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
B65H7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108195
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 哲
(72)【発明者】
【氏名】篠木 靖夫
【テーマコード(参考)】
3F048
【Fターム(参考)】
3F048AA00
3F048AB10
3F048BA15
3F048BB02
3F048BC03
3F048DA06
3F048DC11
(57)【要約】
【課題】ローラへの部材の巻付を高精度で検出することを目的とする。
【解決手段】搬送経路上を移動するシート状の部材と、前記シート状の部材と当接し押圧する、前記部材とは色彩が異なるロールと、を、有する搬送装置を監視する巻付検出装置であって、前記ロールの表面像を、広帯域の波長で検出する第1の光センサと、前記第1の光センサが検出したデータを処理し、前記ロール上に前記部材が存在するかを判断する制御部と、異常を報知する報知部と、を、備え、前記ロールの表面に、前記搬送経路から外れた前記部材が存在することを検出した場合に、前記報知部から報知を行う、巻付検出装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路上を移動するシート状の部材と、前記シート状の部材と当接し押圧する、前記部材とは色彩が異なるロールと、を、有する搬送装置を監視する巻付検出装置であって、
前記ロールの表面像を、広帯域の波長で検出する第1の光センサと、
前記第1の光センサが検出したデータを処理し、前記ロール上に前記部材が存在するかを判断する制御部と、
異常を報知する報知部と、
を、備え、
前記ロールの表面に、前記搬送経路から外れた前記部材が存在することを検出した場合に、
前記報知部から報知を行う、
巻付検出装置。
【請求項2】
前記第1の光センサは、前記ロールの幅方向全体の表面像を取得する、
請求項1に記載の巻付検出装置。
【請求項3】
前記第1の光センサに対して定期的に空気を噴射する第1の空気噴射部を更に備える、
請求項1または2に記載の巻付検出装置。
【請求項4】
前記搬送経路上の前記ロールを通過する前記シート状の部材に対して空気を噴射する第2の空気噴射部を更に備える、
請求項1または2に記載の巻付検出装置。
【請求項5】
前記搬送経路は、前記部材とは色彩が異なり、
前記搬送経路の表面像を、広帯域の波長で検出する第2の光センサを更に備え、
前記制御部は、前記第2の光センサが検出したデータを処理し、前記搬送経路の移動に応じて前記部材が定期的に移動しているか否かを判断し、
前記搬送経路の移動に応じて前記部材が定期的に移動していない場合に、前記報知部から報知を行う、
請求項1または2に記載の巻付検出装置。
【請求項6】
搬送経路を移動するシート状の部材と、
前記搬送経路に設けられ、前記部材と当接し押圧する、前記シート状の部材とは色彩が異なるロールと、
を備える搬送装置において、
広帯域の波長を検出可能な第1の光センサで、前記ロールの表面像を検出するロール表面像取得ステップと、
制御部で、前記第1の光センサの検出したデータを処理し、前記ロール上に前記部材が存在するかを判断する巻付判断ステップと、
前記ロールの表面に、前記搬送経路から外れた前記部材が存在することを検出した場合に、報知部から報知を行う報知ステップと、
を、含む、
巻付検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻付検出装置、巻付検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
おむつやマスク等の衛生物品を製造する際に、搬送路においてシート状の部材とロールとを当接させて搬送する工程を有する搬送装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-92893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送路において、部材とロールを当接させる際、特に、部材が裁断済みであって個別に移動しやすい場合には、部材がロールに巻き付くことがある。部材が巻き付くと、ロールは部材を正常に加工できなくなり、不良の原因となる。また、巻き付きが発生したロールには部材が巻き付きやすくなり、連続して巻き付きが発生して取り除くが困難になり、最終的には製造装置の破損に繋がることがある。このため、ロールへの部材の巻き付きをなるべく早く検出して警報を発報すると共に、製造装置を停止させることが求められている。
【0005】
部材の巻き付きを検出するため、一例としては近赤外線を投射し、反射光を計測する距離計を設けることが考えられる。しかし、ロールの厚みの変化が閾値を超えて、距離計により巻き付きを検出できる状態では、既に複数枚の巻き付きが発生している可能性がある。この状態では複数の部材が不良となる他、ロールから複数の部材を取り除くのに時間を要し、製造効率が低下する。更に、距離計による方法では、ロール及び搬送路との関係でセンサの位置が制限され、適切な検出が困難となることがあった。また、ロールの傍にセンサを設ける必要があるため、部材から発生する繊維粉でロールやセンサが汚れて検出精度が低下することがあった。
【0006】
本発明は、ロールへの部材の巻付を高精度で検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、ロールから離れた位置に広帯域の波長を検出するセンサを設けた。
【0008】
本発明は、具体的には、搬送経路上を移動するシート状の部材と、前記シート状の部材と当接し押圧する、前記部材とは色彩が異なるロールと、を、有する搬送装置を監視する巻付検出装置であって、前記ロールの表面像を、広帯域の波長で検出する第1の光センサと、前記第1の光センサが検出したデータを処理し、前記ロール上に前記部材が存在するかを判断する制御部と、異常を報知する報知部と、を、備え、前記ロールの表面に、前記搬送経路から外れた前記部材が存在することを検出した場合に、前記報知部から報知を行う、巻付検出装置である。
【0009】
前記第1の光センサは、前記ロールの幅方向全体の表面像を取得してよい。
【0010】
前記第1の光センサに対して定期的に空気を噴射する空気噴射部を更に備えてよい。
【0011】
前記搬送経路上の前記ロールを通過する前記シート状の部材に対して空気を噴射する第2の空気噴射部を更に備えてよい。
【0012】
前記搬送経路は、前記部材とは色彩が異なり、前記搬送経路の表面像を、広帯域の波長で検出する第2の光センサを更に備え、前記制御部は、前記第2の光センサが検出したデータを処理し、前記搬送経路の移動に応じて前記部材が定期的に移動しているか否かを判断し、前記搬送経路の移動に応じて前記部材が定期的に移動していない場合に、前記報知部から報知を行ってよい。
【0013】
更に、本発明を巻付検出方法の側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、搬送経路を移動するシート状の部材と、前記搬送経路に設けられ、前記部材と当接し押圧する、前記シート状の部材とは色彩が異なるロールと、を備える搬送装置において、広帯域の波長を検出可能な第1の光センサで、前記ロールの表面像を検出するロール表面像取得ステップと、制御部で、前記第1の光センサの検出したデータを処理し、前記ロール上に前記部材が存在するかを判断する巻付判断ステップと、前記ロールの表面に、前記搬送経路から外れた前記部材が存在することを検出した場合に、報知部から報知を行う報知ステップと、を、含む、巻付検出方法であってよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ロールへの部材の巻付を高精度で検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、搬送装置の外観を示す図である。
図2図2は、搬送装置を監視する、第1の実施形態に係る巻付検出装置を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る巻付検出装置の構成を示すブロック図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る巻付検出装置の動作を示す流れ図である。
図5図5は、搬送装置を監視する、第1の実施形態に係る巻付検出装置の応用例を示す図である。
図6図6は、搬送装置を監視する、第2の実施形態に係る搬送装置とセンサを示す図である。
図7図7は、搬送装置を監視する、第2の実施形態の巻付検出装置の動作を示す流れ図である。
図8図8は、搬送装置を監視する、第3の実施形態に係る巻付検出装置を示す図である。
図9図9は、搬送装置を監視する、第4の実施形態に係る巻付検出装置を示す図である。
図10図10は、第4の実施形態の巻付検出装置の動作を示す流れ図である。
図11図11は、搬送装置を監視する、第5の実施形態に係る巻付検出装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る巻付検出装置および巻付検出方法について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0017】
<第1の実施形態>
図1は、搬送装置の外観を示す図である。搬送装置1は、コンベア2に載置された部材
5を一定方向に搬送する装置である。図1に示す例では、コンベア2は図面の奥側から手前側に移動する搬送経路または搬送路を形成しており、コンベア2の移動に伴って、部材5も図面の奥側から手前側に移動する。コンベア2は、例えばベルトコンベアであってよく、その表面は樹脂系やゴム系の素材で形成されていてよい。部材5は、一例としては、おむつやマスク等の衛生物品、または後の工程でおむつやマスク等の衛生物品の一部となる、パルプ繊維または樹脂繊維、もしくはパルプ繊維と樹脂繊維を積層した構造を含むシート状の部材である。コンベア2の搬送経路上には、プレスロール3が設けられている。プレスロール3は、搬送経路上を流れる部材5と当接し、これを押圧するロールである。プレスロール3の表面には刻印が付されていてもよく、この場合、プレスロール3が部材5を押圧する際に、刻印が部材5に転写される。プレスロール3のコンベア2を介した反対側には、プレスロール3と反対方向に回転する支持ロール4が設けられている。プレスロール3の押圧面において支持ロール4がコンベア2を下支えすることにより、プレスロール3は部材5を効果的に押圧する。
【0018】
部材5は、特にその重量が小さい場合には、プレスロール3を通過中にプレスロール3に付着することがある。プレスロール3に付着した部材5は、コンベア2から離れてプレスロール3の表面に巻き付く。プレスロール3の表面に巻き付いた部材5はコンベア2上には残らないことから、部材5を他の部材と組み合わせて製品化する場合などは他の製造工程との同期を取る必要が生まれ、生産効率が低下する。また、表面に部材5が巻き付いたプレスロール3は、部材5を適切に加工できなくなるため、部材5が巻き付いている状態のプレスロール3を通過した部材5は不良品として破棄対象となることがある。このため、プレスロール3に部材5が巻き付いたことを迅速に検出する必要がある。
【0019】
ここで、部材5の表面の色彩は、一例としては白色である。一方、プレスロール3は、一例としては金属製であるが、その表面がゴム等でコーティングされていてよい。プレスロール3の表面は、部材5とは異なる色彩を有しており、一例としては黒色または濃灰色である。コンベア2も、部材5とは異なる色彩を有していてよい。
【0020】
図2は、搬送装置を監視する、第1の実施形態に係る巻付検出装置を示す図である。図2では、図1に示した搬送装置1を側面から観察しており、部材5はコンベア2の移動に伴い、図2の紙面左側から右側に向けて移動する。搬送装置1の近傍には、巻付検出装置100が設けられている。巻付検出装置100は、センサ10を備えている。センサ10は、搬送装置1の、プレスロール3から一定程度離れた位置に、プレスロール3の表面の幅方向全体を検出範囲とするように1または複数設けられている。センサ10は、受光部を有する光センサであって、広帯域の波長に対応し、任意の波長で観察対象の物品の色彩を検出可能である。この構成により、センサ10は、プレスロール3の表面像を取得でき、プレスロール3の表面の色彩の変化を検出できる。すなわち、センサ10は、プレスロール3に部材5が巻き付いて、プレスロール3の色が変化したことを検出可能である。センサ10は、本開示における第1の光センサの一例である。
【0021】
外部を覆われた製造装置の内部のように、環境光を用いて色彩を検出困難な工程で使用する場合には、センサ10として光電センサを用いることができる、光電センサは受光部に加えて発光部を有し、検出範囲に光を照射し、受光部により反射光を検出するセンサであり、環境光に影響されずに対象を監視可能である。発光部には、一例としては白色LEDを用いることができる。白色LEDが発光する光は複数波長を含んでいる。更に、センサ10の受光部として、CCDやCMOS等の、一定の受光面を有するイメージセンサを用いることができる。受光部が一定の受光面を有することにより、プレスロール3の色彩変化を比較的広範囲で検出可能である。検出範囲を面とするセンサを用いる場合、取得できる表面像は撮像画像となる。
【0022】
従来技術では、プレスロール3への部材5の巻き付きを検出するために、プレスロール3の表面にレーザや近赤外線等の光を照射し、照射方向を走査して反射光が計測されるまでの時間を計測する、所謂飛行時間法を利用する距離計が用いられていた。このような距離計では、正確な距離を計測するため、センサをプレスロール3に隣接させる必要があった。また、プレスロール3の表面に微細な凹凸がある場合に誤検出を起こすことがあり、誤検出を防ぐために検出精度を低下させた場合には、部材5が非常に薄い場合などに巻き付きを正しく検出できないことがあった。
【0023】
このように、所謂飛行時間法を用いる場合には、プレスロール3への部材5の巻き付きが複数発生し、プレスロール3の径が閾値を超えて変化した場合に初めて巻き付きの検出が可能となる。巻き付きが複数発生している状態では、複数の部材5が不良となってしまうという問題がある。また、部材5がプレスロール3に多重に巻き付いた状態では、部材5をプレスロール3から全て取り除くために時間を要し、ライン稼働効率が低下する。更に、部材5はパルプ繊維または樹脂繊維を含んでいるため、搬送中に部材5から離脱した繊維粉がプレスロール3の表面やセンサに付着することで検出精度が低下することがあった。
【0024】
一方、第1の実施形態に係る構成では、センサ10をプレスロール3から十分に離れた位置に配置でき、繊維粉の影響を抑えることができる。また、距離でなく色彩の変化で巻き付きを検出するため、プレスロール3がある程度汚れている状態でも、部材5の巻き付きを正しく検出することができる。また、第1の実施形態に係る構成では、プレスロール3の表面の色彩が変化した瞬間に巻き付きを判断して製造装置を非常停止することができるため、不良な部材5の発生を最小限に抑えることができる。
【0025】
巻付検出装置100は、センサ10の他に、制御部20と、報知部30とを備えている。制御部20は、所謂コンピュータであって、センサ10が検出したプレスロール3の表面像を解析し、プレスロール3に部材5が巻き付いているか否かを判定する。報知部30は、プレスロール3に部材5が巻き付いた場合にオペレータ等に報知を行う。
【0026】
図3は、第1の実施形態に係る巻付検出装置の構成を示すブロック図である。巻付検出装置は、センサ10と、制御部20と、報知部30とを有している。センサ10は、上述した通り、プレスロール3の表面の色彩を検出する色検出センサである。センサ10は、一例としては、検出範囲を赤、緑、青のような複数波長域で計測することで、プレスロール3の表面の色彩を検出する。
【0027】
制御部20は、所謂コンピュータであって、通信部21と、演算部22と、主記憶23と、補助記憶24とを有している。制御部20は、単数または複数設けられたセンサ10の動作を制御する。通信部21は、複数のセンサ10との通信を行う。演算部22は、単数または複数のセンサ10の制御を行うとともに、主記憶23から読み出したプログラムの指示に基づいてセンサ10が取得したプレスロール3の表面像を解析し、プレスロール3の色彩変化を検出し、部材5の巻き付きを検出した場合には、報知部30に異常情報を送信する。主記憶23は、演算部22が実行するプログラムやキャッシュを格納する高速読み出し可能な揮発性の半導体メモリである。補助記憶24は、主記憶23に読み出されて演算部22により実行される検出プログラムを格納する大容量記憶装置であり、一例としてはハードディスクや不揮発性の半導体メモリが挙げられる。なお、センサ10自体がASIC等で構成される解析専用のコンピュータを搭載し、各波長域で取得したデータを合成して1枚の画像データを生成し、これを制御部20に送信してもよい。
【0028】
第1の実施形態では、プレスロール3の表面の色彩は黒または濃灰色であり、部材5の表面の色彩は白色である。このため、各波長域においてプレスロール3の表面の明度が急
増した場合には、プレスロール3に部材5が巻き付いていることを検出できる。
【0029】
なお、補助記憶24には予め部材5の形態について学習した学習済みモデルが記憶され、演算部22は、補助記憶24から読み出されて主記憶23に展開された学習済みモデルからの指令に従って、ニューラルネットワークの入力層に入力されたプレスロール3の撮像画像データに対して演算を行い、プレスロール3の表面に部材5が存在しているか否かを判断してもよい。このように構成することで、プレスロール3やセンサ10が一定程度汚れていても部材5の巻き付きを検出できる。また、このような学習済みモデルを用いることで、プレスロール3の表面を黒または濃灰色に、部材5の表面の色彩を白色に限定するなどして、プレスロール3と部材5の色彩を大きく変える必要がなくなる。
【0030】
報知部30は、制御部20から異常情報を受け付け、所定の処理を行う。例えば、音声や発光によりオペレータに異常を通知してもよく、図示しないライン制御装置に異常信号を送信し、オペレータにより部材5の巻き付きが解消されるまで、搬送装置1を一時停止してもよい。なお、制御部20は製造ライン制御装置を兼ねていてもよく、この場合、制御部20はプレスロール3への部材5の巻き付き検出の他、搬送装置1を含む製造ラインの稼働状態全体を制御する。
【0031】
図4は、第1の実施形態に係る巻付検出装置の動作を示す流れ図である。巻付検出装置100は、搬送装置1が稼働し、プレスロール3が回転している間、検出処理を繰り返し実行する(ステップS100)。センサ10は、プレスロール3の表面像を取得する(ステップS101)。ステップS101では、表面像の取得は、複数波長域において行われる。プレスロール3の幅全体において表面像を取得するため、必要に応じて複数のセンサ10が用いられる。ステップS101は、本開示におけるロール表面像取得ステップに該当する。
【0032】
センサ10からデータを取得した制御部20は、取得したデータを解析し、プレスロール3の表面に部材5が存在するかを判断する(ステップS102)。ステップS102は、本開示における巻付判断ステップに相当する。ステップS102において、プレスロール3の表面に部材5が検出された場合(ステップS102でYES)、プレスロール3に部材5が巻き付いている状態であると判断できるため、制御部20は報知部30に異常情報を送信する(ステップS103)。報知部30は、オペレータに異常を通知してよい。また、搬送装置1、また製造ラインの制御装置に対して異常信号を送信してもよい。制御部20が搬送装置1や製造ラインの制御装置を兼ねている場合には、制御部20は、巻き付きが解消されるまでの間、搬送装置1の駆動や製造ラインの稼働を一時停止する(END)。ステップS103は、本開示における報知ステップに相当する。プレスロール3の表面に部材5が検出されない場合には(ステップS102でNO)、制御部20は、プレスロール3が回転している間、プレスロール3の表面監視を継続する。
【0033】
図5は、搬送装置を監視する、第1の実施形態に係る巻付検出装置の応用例を示す図である。本図に示す形態でも、搬送装置1および巻付検出装置100は、図2に示す構成と同様である。本図では、センサ10に向けてエア配管6が配置されており、エアノズル7がセンサ10の受光部に向けて配置されている。エア配管6には定期的に圧縮空気が供給され、エアノズル7から、センサ10の受光部に向けて噴射される。すなわち、エア配管6とエアノズル7は、センサ10に対して空気を噴出する第1の空気噴射部として機能する。
【0034】
既に述べた通り、部材5は繊維を含むシート状の部材であり、搬送装置1を含む製造工程において繊維粉が発生することがある。発生した繊維粉は搬送装置1の稼働に伴い空中を移動してセンサ10の受光部に付着することがある。センサ10は、プレスロール3か
ら十分に離れた位置に配置されており、比較的繊維粉の影響を受けにくい。しかしそれでも粉塵化した繊維粉が受光部に付着し、徐々に蓄積して検出精度を低下させることがある。
【0035】
そこで、センサ10の受光部に向けてエアノズル7から定期的に空気を噴射することでセンサ10の受光部に繊維粉が蓄積するのを防止し、プレスロール3への部材5の巻き付き検出能力を保つことができる。このような空気噴射は、本開示における空気噴射ステップに相当する。
【0036】
なお、エアノズル7は、センサ10の受光部のみならず、プレスロール3に向けて配置されていてもよい。上述の通り、プレスロール3の表面の色彩は部材5とは異なるが、部材5から発生する繊維粉がプレスロール3の表面に付着することにより徐々に変色し、部材5の表面の色彩に近くなることがある。プレスロール3と部材5の表面の色彩が近くなると、プレスロール3に巻き付いた部材5の検出が困難になる。エアノズル7をプレスロール3の表面に向けて配置することで、プレスロール3の表面に付着した繊維粉を空気圧により取り除いて、プレスロール3と部材5の表面の色彩の差を維持できる。このため、制御部20が、センサ10を介して巻き付きを検出しやすくなる。プレスロール3の表面には部材5が存在しないことが正常であり、エアノズル7によりプレスロール3の表面に空気を噴出する構成にしても、コンベア2上を移動する部材5には影響がない。
【0037】
<第2の実施形態>
図6は、搬送装置を監視する、第2の実施形態に係る巻付検出装置を示す図である。第2の実施形態でも、搬送装置1のコンベア2およびプレスロール3、支持ロール4の構成およびその動作は、第1の実施形態と同様である。但し、第2の実施形態では、コンベア2の表面は、プレスロール3の表面と同様に、部材5の表面とは異なる色彩を有している。コンベア2の色彩は、一例としては黒または濃灰色であり、部材5の表面の色彩は、一例としては白色である。
【0038】
巻付検出装置101は、第1の実施形態と同様の構成のセンサ10を備えている。巻付検出装置101は、センサ10に加えて、更に、1または複数のセンサ11を備えている。センサ11は、プレスロール3を通過した後の、コンベア2の表面の幅方向全体を検出範囲としている。第2の実施形態では、コンベア2の表面の色彩は部材5とは異なる。このため、巻付検出装置101が有する制御部20は、センサ11を用いて、センサ10を用いる場合と同様に、コンベア2に部材5が存在するか否かを判断できる。センサ11は、本開示における第2の光センサの一例である。
【0039】
プレスロール3の表面に部材5が巻き付くと、プレスロール3を通過したコンベア2上のあるべき場所には部材5が存在しないことになる。制御部20は、センサ11を介して、コンベア2の上に部材5が定期的に出現しているか否かを判断する。換言すれば、制御部20は、部材5がコンベア2上を定期的に移動しているか否かを判断する。制御部20は、プレスロール3の表面に部材5を検出した場合の他、プレスロール3を通過したコンベア2上を移動する部材5の出現間隔が閾値を超えた場合にも、報知部30に異常情報を送信する。このように、第2の実施形態では、プレスロール3の表面と、プレスロール3を通過したコンベアの両方について、部材5の存在を検出する。この構成により、第2の実施形態に係る巻付検出装置では、プレスロール3の表面に部材5が巻き付いたにも関わらずセンサ10が巻き付きを検知できなかった場合でも、コンベア2上のあるべき場所に部材5が存在しないことを検出することで、巻き付きを検出可能となる。よって、第2の実施形態では、第1の実施形態に比べて巻き付き検出精度が向上する。
【0040】
第2の実施形態においても、第1の実施形態の応用例に示すようにエア配管6とエアノ
ズル7を設け、センサ10およびセンサ11の受光部に向けて定期的に空気を噴射して良い。また、プレスロール3の表面にも定期的に空気を噴射して良い。センサの受光部やプレスロール3の表面に定期的に空気を噴射することで、センサの受光部やプレスロールが繊維粉で汚れるのを防ぎ、検出精度を保持できる。
【0041】
図7は、第2の実施形態の巻付検出装置の動作を示す流れ図である。第2の実施形態の巻付検出装置も、搬送装置1が稼働し、プレスロール3が回転している間、検出処理を繰り返し実行する(ステップS200)。センサ10は、プレスロール3の表面像を取得する(ステップS201)。表面像の取得プロセスは、第1の実施形態と同様である。
【0042】
センサ10からデータを取得した制御部20は、取得したデータを解析し、プレスロール3の表面に部材5が存在するかを判断する(ステップS202)。プレスロール3の表面に部材5が検出された場合(ステップS202でYES)、プレスロール3に部材5が巻き付いている状態であると判断できるため、制御部20は報知部30に異常情報を送信する(ステップS205)。プレスロール3の表面に部材5が検出されない場合(ステップS202でNO)、制御部20は、コンベア2の監視に進む。
【0043】
第2の実施形態では、制御部20は、コンベア2についてもその表面像の取得を行う(ステップS203)。ステップS203は、本開示における搬送路表面像取得ステップに相当する。次に、制御部20は、プレスロール3を通過した後のコンベア2を、センサ11を介して監視し、部材5の出現間隔を判断する(ステップS204)。第2の実施形態では、部材5の表面の色彩とコンベア2の表面の色彩が異なるため、制御部20は、プレスロール3の表面に巻き付いた部材5を検出するのと同様の手法で、コンベア2上の部材5の存在を検出可能である。ステップS204は、本開示における搬送路判断ステップに該当する。
【0044】
制御部20が有している補助記憶24には、コンベア2上を部材5が移動する間隔に関する情報が事前に登録されており、主記憶23に読み出されて利用される。制御部20が有している演算部22は、コンベア2上を移動する部材5を検出するとともに主記憶23から当該情報を読み出し、別途入手したコンベア2の移動速度をも参照して、部材5の時間的な出現間隔を計算する。制御部20は、想定される間隔でコンベア2の上に部材5が出現したかを判断することになる。コンベア2の上に想定間隔で部材5が出現しなかった場合(ステップS204でNO)、部材5がプレスロール3の表面に巻き付いたことが判断できる。制御部20は、このような状況を検知した場合には、プレスロール3の表面に部材5が巻き付いていることが検出できた場合と同様に、報知部30に異常情報を送信する(ステップS205)。
【0045】
報知部30は、オペレータに異常を通知してよい。また、搬送装置1、また製造ラインの制御装置に対して異常信号を送信してもよい。制御部20が搬送装置1や製造ラインの制御装置を兼ねている場合には、制御部20は、巻き付きが解消されるまでの間、搬送装置1の駆動や製造ラインの稼働を一時停止する(END)。プレスロール3に部材5が巻き付いておらず、コンベア2上に想定の間隔で部材5が検出できている場合には(ステップS204でYES)、制御部20は、プレスロール3が回転している間、センサ10とセンサ11による監視を継続する。
【0046】
<第3の実施形態>
図8は、搬送装置を監視する、第3の実施形態に係る巻付検出装置を示す図である。第3の実施形態に係る搬送装置1Aのラインは、カッターロール3Cと、アンビルロール4Aとを備えている。カッターロール3Cは、表面に刃Cを有するロータリーカッターである。アンビルロール4Aは、カッターロール3Cと素材5Mを挟んで対向する側に設けら
れるロールである。アンビルロール4Aは、カッターロール3Cと逆方向に回転し、カッターロール3Cの刃Cと噛み合うロールである。搬送装置は、カッターロール3Cとアンビルロール4Aの間を通過する素材5Mを切断し、部材5に加工することができる。
【0047】
刃Cは、必ずしも直線状である必要はなく、湾曲していてよい。刃Cが湾曲していることにより、様々な形態の部材5を製造可能である。また、刃Cは、素材5Mを打ち抜いて部材5を形成する、所謂ロータリーダイカッターであってもよい。また、刃Cを発熱させて、素材5Mを溶断することで部材5に加工してもよい。
【0048】
プレスロール3とは違い、カッターロール3Cは、アンビルロール4Aとの間を通過する素材5Mを切断して部材5に加工する。また、溶断により部材5を加工する場合には、加工された部材5の端部は粘性を持つことがある。このため、部材5がカッターロール3Cに巻き付いてしまう可能性はより高まる。
【0049】
そこで、第3の実施形態においても、カッターロール3Cの表面の幅方向全体を検出範囲とするセンサ10を備える、第1の実施形態と同様の巻付検出装置100を設け、カッターロール3Cへの部材5の巻き付きを検出できる。検出手法としては、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。なお、巻付検出装置100に代えて、第2の実施形態に示す巻付検出装置101を設け、カッターロール3Cの外周面と、切断加工がなされてコンベア2上を移動する部材5の存在を判断してもよい。
【0050】
<第4の実施形態>
図9は、搬送装置を監視する、第4の実施形態に係る巻付検出装置を示す図である。第4の実施形態に係る搬送装置1Bのラインには、第1の実施形態、第2の実施形態と同様に、部材5を圧縮するプレスロール3と支持ロール4が設けられている。コンベア2は、プレスロール3の前後で分かれており、プレスロール3に対して部材5を送り込むコンベア2Aと、圧縮済みの部材5を移動させるコンベア2Bとを有している。
【0051】
プレスロール3と支持ロール4が存在している位置では、コンベア2は存在していない。コンベア2Aによってプレスロール3と支持ロール4との間隙に搬送された部材5は、プレスロール3と支持ロール4の外周面によって圧縮されながらプレスロール3と支持ロール4の回転力を伝達されてコンベア2Bに向かって移動する。コンベア2Bの搬送面に乗った圧縮済みの部材5は、次の工程に向けてコンベア2B上を移動する。
【0052】
第4の実施形態のように、部材5を、コンベア2を挟まずにプレスロール3と支持ロール4によって圧縮することにより、部材5に対する加工をより確実に行うことができる。その反面、部材5と支持ロール4との間にコンベア2が存在していないことから、部材5がプレスロール3の表面に巻き付く可能性と、支持ロール4の表面に巻き付く可能性の両方が生じ得る。第4の実施形態では、部材5がプレスロール3に巻き付いた場合に加えて、部材5が支持ロール4に巻き付いた場合にも製造不良となるため、これを早期に検知する必要性が生じる。
【0053】
そこで、第4の実施形態では、プレスロール3の表面の幅方向全体を検出範囲とするセンサ10を備える、第1の実施形態と同様の巻付検出装置100に加えて、支持ロール4の幅方向全体を検出範囲とするセンサ12を備える、巻付検出装置102を配置する。巻付検出装置102の制御部20や報知部30の構成は、巻付検出装置100と同一とすることができる。この構成により、部材5がプレスロール3に巻き付いた場合にも、支持ロール4に巻き付いた場合にも、巻き付きを早期に検知可能である。
【0054】
なお、第4の実施形態では、プレスロール3の表面の幅方向全体を監視する巻付検出装
置100と、支持ロール4の表面の幅方向全体を監視する巻付検出装置102を設けているが、巻付検出装置102を設けない構成も考えられる。この場合、巻付検出装置100にセンサ10に加えてセンサ12を接続し、プレスロール3と支持ロール4の表面の両方の幅方向全体を監視する。
【0055】
図10は、第4の実施形態の巻付検出装置の動作を示す流れ図である。第4の実施形態の巻付検出装置100,102も、搬送装置1Bが稼働し、プレスロール3と支持ロール4が回転している間、検出処理を繰り返し実行する(ステップS300)。センサ10は、プレスロール3の表面像を取得する(ステップS301)。表面像の取得プロセスは、第1の実施形態と同様である。
【0056】
センサ10からデータを取得した巻付検出装置100の制御部20は、取得したデータを解析し、プレスロール3の表面に部材5が存在するかを判断する(ステップS302)。プレスロール3の表面に部材5が検出された場合(ステップS302でYES)、プレスロール3に部材5が巻き付いている状態であると判断できるため、制御部20は報知部30に異常情報を送信する(ステップS305)。プレスロール3の表面に部材5が検出されない場合(ステップS302でNO)、巻付検出装置102により支持ロール4の監視を行う(ステップS303)。
【0057】
センサ12からデータを取得した巻付検出装置102の制御部20は、取得したデータを解析し、支持ロール4の表面に部材5が存在するかを判断する(ステップS304)。プレスロール3の表面に部材5が検出された場合(ステップS304でYES)、プレスロール3に部材5が巻き付いている状態であると判断できるため、制御部20は報知部30に対して異常情報を送信する(ステップS305)。
【0058】
報知部30は、オペレータに異常を通知してよい。また、搬送装置1B、また製造ラインの制御装置に対して異常信号を送信してもよい。制御部20が搬送装置1Bや製造ラインの制御装置を兼ねている場合には、制御部20は、巻き付きが解消されるまでの間、搬送装置1の駆動や製造ラインの稼働を一時停止する(END)。プレスロール3の外周面にも支持ロール4の外周面にも部材5が検出されなかった場合には、巻付検出装置100と巻付検出装置102の制御部20は、プレスロール3と支持ロール4が回転している間、センサ10とセンサ12による監視を継続する。
【0059】
<第5の実施形態>
図11は、搬送装置を監視する、第5の実施形態に係る巻付検出装置を示す図である。巻付検出装置100を設けることで、プレスロール3に部材5が複数巻付くことによる部材5の損失を抑制することができ、巻き付きにより適切な加工が行えずに後の工程において不良品として排除され、最終的に廃棄される衛生物品を削減可能である。とはいえ、巻付検出装置100は、プレスロール3への部材5の巻き付きを阻止できるわけではない。巻付検出装置100の報知により製造装置が停止し、オペレータが部材5を排除している間、製造装置は衛生物品を製造できない。また、プレスロール3に巻き付いた部材5自体は排除する必要があるため、廃棄物が発生してしまう。このため、プレスロール3への部材5の巻付きを抑制し、それでもプレスロール3に部材5が巻き付いた場合には迅速に検出して複数の巻付きを防止することがより好適である。
【0060】
第5の実施形態に係る搬送装置1Cのラインおよび巻付検出装置100の構成は、第1の実施形態と同様である。また、エア配管6およびエアノズル7の配置および機能は、第1の実施形態の応用例と同様である。第5の実施形態では、これらに加えて、プレスロール3の外周面に向けてエア配管8が設けられている。エア配管8の先端には、エアノズル9が設けられており、エアノズル9は、プレスロール3直下のコンベア2に向けて配置さ
れている。
【0061】
エア配管8には、部材5の移動間隔と同期して圧縮空気が供給されて、プレスロール3直下においてコンベア2上を移動する部材5に対して、エアノズル9を介して上方から空気を噴出するように配置されている。エア配管8とエアノズル9は、部材5に対して空気を噴出する第2の空気噴射部として機能する。
【0062】
コンベア2上を移動してプレスロール3によって押圧された部材5は押圧後に反り返り、これがプレスロール3の表面への付着の原因となることがある。そこで、第5の実施形態では、部材5がプレスロール3によって押圧された直後にエア配管8とエアノズル9により上方から空気を噴射する。プレスロール3を通過した部材5は、その直後に噴出された空気により上方からコンベア2の搬送面に押し付けられるため、部材5がコンベア2から浮き上がってプレスロール3の外周に巻き付くのを抑制できる。なお、巻付き防止をしているにも関わらず部材5がプレスロール3の外周面に巻き付いた場合には、巻付検出装置100により迅速に検出されて製造装置が停止する。
【0063】
第5の実施形態に係るエア配管8とエアノズル9の構成は、コンベア2が連続している各実施形態と組み合わせて使用することができる。また、エアノズル9をプレスロール3の表面に向けておくことで、部材5の一部がプレスロール3等に巻き付いた直後にこれを剥離させる構成も考えられる。第5の実施形態の構成では、プレスロール3等に部材5が巻き付いたことを迅速に検出できる上に、部材5の巻付き自体を抑制できるため、より好適であると言える。
【0064】
これらの実施形態に係る巻付検出装置を用いると、搬送装置に設けられたプレスロール3等への部材5の巻付を発生時点で迅速に検出できる。また、巻付検出装置はプレスロール3等への巻き付きが発生した場合に即座に検出可能であり、搬送装置を迅速に停止に導くことができる。この構成により、巻き付きにより適切な加工が行えずに後の工程において不良品として排除され、最終的に廃棄される衛生物品を削減することができる。また、衛生物品の製造歩留まりを向上させることができるため、原材料の消費量を削減可能である。
【0065】
更に、これらの実施形態に係る巻付検出装置を用いれば、プレスロール3等に部材5が巻き付いているにも関わらず搬送装置が稼働を続け、プレスロール3等に巻き付いた部材5がプレスロール3等の外周面に蓄積し、部材5の排除が困難になることがない。加えて、製造装置に巻き付いた部材5に起因する機械故障の可能性を抑制できる。
【0066】
以上、本実施形態について説明したが、本発明の内容は上記実施の形態に限られるものではない。例えば、第2の実施形態において、センサ10を設けない構成を取ることが考えられる。この場合、制御部20は、部材5の表面とは表面の色彩が異なるコンベア2の表面に、部材5が定期的に現れるか否かを監視する。制御部20は、部材5の出現間隔が閾値を超えた場合に巻き付きが発生したと判断し、報知部30に報知指示を送る。このようにコンベア2の表面像から部材5を検出するだけでも、部材5がコンベア2上のあるべき場所にないことを検出できる。このような例としては、部材5がプレスロール3に巻き付いた場合、また、プレスロール3に巻き付きこそしなかったものの位置ずれを起こしてコンベア2上のあるべき場所から逸脱したことが考えられる。部材5が一定間隔でコンベア2上を移動することが想定されている場合には、制御部20はこのような形態においても異常を検知可能である。
【0067】
また、第2の実施形態において、プレスロール3通過前にもコンベア2上を監視する、センサ11と同様なセンサを設けてよい。予め部材5を検出してコンベア2上の位置と対
応付けることで、プレスロール3を通過後、部材5がコンベア2上のあるべき場所にないことをより正確に検出可能になる。また、センサ11では、予め別のセンサで検出済みの部材5があるべき場所に存在するか否かを監視することになるため、本開示に係る巻付検出装置を、部材5の出現間隔が一定ではない搬送経路にも応用可能である。
【0068】
以上で開示した実施形態やその応用例は、それぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0069】
1,1A,1B・・搬送装置
2,2A,2B・・コンベア
3・・プレスロール
4・・支持ロール
5・・部材
6,8・・エア配管
7,9・・エアノズル
10,11,12・・センサ
20・・制御部
21・・通信部
22・・演算部
23・・主記憶
24・・補助記憶
30・・報知部
100,101,102・・巻付検出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11