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特開2024-70350充電器、更新方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070350
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】充電器、更新方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/34 20060101AFI20240516BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240516BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240516BHJP
【FI】
H02J7/34 A
H02J7/00 P
H02J7/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180776
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100124028
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 公雄
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】加悦 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】梅原 猛
(72)【発明者】
【氏名】鵜殿 直嗣
(72)【発明者】
【氏名】初川 聡
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB02
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】適切なタイミングにおいてファームウェアを更新できる充電器、更新方法およびコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】充電器は、電気自動車に搭載された蓄電池を充電する充電器であって、充電器が実行するプログラムの更新プログラムを、通信ネットワークを介して受信する通信部と、更新プログラムを記憶する記憶部と、プログラムを更新プログラムにより置換える更新処理を実行するか否かを判定する更新判定部と、更新判定部により更新処理を実行すると判定されたことを受けて、プログラムを更新プログラムにより置換える更新部とを含み、更新判定部は、充電器が電気自動車と接続されているか否かを判定し、充電器が電気自動車と接続されていなければ、更新処理を実行すると判定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車に搭載された蓄電池を充電する充電器であって、
前記充電器が実行するプログラムの更新プログラムを、通信ネットワークを介して受信する通信部と、
前記更新プログラムを記憶する記憶部と、
前記プログラムを前記更新プログラムにより置換える更新処理を実行するか否かを判定する更新判定部と、
前記更新判定部により前記更新処理を実行すると判定されたことを受けて、前記プログラムを前記更新プログラムにより置換える更新部とを含み、
前記更新判定部は、
前記充電器が前記電気自動車と接続されているか否かを判定し、
前記充電器が前記電気自動車と接続されていなければ、前記更新処理を実行すると判定する、充電器。
【請求項2】
前記蓄電池の電池残量を表す電池残量値を繰返し取得する電池残量取得部をさらに含み、
前記更新判定部は、前記充電器が前記電気自動車と接続されておらず、かつ、前記充電器が前記電気自動車と接続されていた状態において、前記電池残量取得部により最後に取得された前記電池残量値が所定のしきい値以上であれば、前記更新処理を実行すると判定する、請求項1に記載の充電器。
【請求項3】
前記通信部により受信された前記更新プログラムが、前記更新判定部による判定結果によらずに前記更新処理を実行する対象である強制更新プログラムであるか否かを判定する強制更新判定部をさらに含み、
前記強制更新判定部により、前記更新プログラムが前記強制更新プログラムであると判定されたことを受けて、前記更新部は、前記プログラムを前記更新プログラムにより置換える、請求項1または請求項2に記載の充電器。
【請求項4】
前記電気自動車と前記充電器とを接続する接続部と、
前記電気自動車と前記充電器との接続の解除を前記接続部に指示する接続解除部をさらに含み、
前記更新判定部により、前記充電器が前記電気自動車と接続されていると判定されたことを受けて、前記解除部は、前記接続部に前記解除を指示し、
前記電気自動車と前記充電器との接続が解除されたことを受けて、前記更新部は、前記プログラムを前記更新プログラムにより置換える、請求項1または請求項2に記載の充電器。
【請求項5】
前記電気自動車と前記充電器とを接続する接続部と、
前記電気自動車と前記充電器との接続の解除を前記接続部に指示する接続解除部をさらに含み、
前記強制更新判定部により、前記更新プログラムが前記強制更新プログラムであると判定され、かつ、前記更新判定部により、前記充電器が前記電気自動車と接続されていると判定されたことを受けて、前記解除部は、前記接続部に前記解除を指示し、
前記電気自動車と前記充電器との接続が解除されたことを受けて、前記更新部は、前記プログラムを前記更新プログラムにより置換える、請求項3に記載の充電器。
【請求項6】
前記更新プログラムは、前記強制更新プログラムであるか否かを表す属性情報を含み、
前記強制更新判定部は、前記更新プログラムに含まれる前記属性情報が、前記強制更新プログラムであることを表しているか否かを判定することにより、前記通信部により受信された前記更新プログラムが、前記更新判定部による判定結果によらずに前記更新処理を実行する対象である強制更新プログラムであるか否かを判定する、請求項3に記載の充電器。
【請求項7】
前記蓄電池から供給される直流電力を交流電力に変換して前記充電器の外部に出力する電力変換部をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の充電器。
【請求項8】
電気自動車に搭載された蓄電池を充電する充電器が実行するプログラムの更新方法であって、
前記充電器が実行するプログラムの更新プログラムを、通信ネットワークを介して受信する通信ステップと、
前記更新プログラムを記憶する記憶ステップと、
前記プログラムを前記更新プログラムにより置換える更新処理を実行するか否かを判定する更新判定ステップと、
前記更新判定ステップにより前記更新処理を実行すると判定されたことを受けて、前記プログラムを前記更新プログラムにより置換える更新ステップとを含み、
前記更新判定ステップは、
前記充電器が前記電気自動車と接続されているか否かを判定するステップを含み、
前記充電器が前記電気自動車と接続されていなければ、前記更新処理を実行すると判定する、更新方法。
【請求項9】
電気自動車に搭載された蓄電池を充電する充電器に搭載されるコンピュータに、
前記充電器が実行するプログラムの更新プログラムを、通信ネットワークを介して受信する通信機能と、
前記更新プログラムを記憶する記憶機能と、
前記プログラムを前記更新プログラムにより置換える更新処理を実行するか否かを判定する更新判定機能と、
前記更新判定機能により前記更新処理を実行すると判定されたことを受けて、前記プログラムを前記更新プログラムにより置換える更新機能とを実現させ、
前記更新判定機能は、
前記充電器が前記電気自動車と接続されているか否かを判定する機能を含み、
前記充電器が前記電気自動車と接続されていなければ、前記更新処理を実行すると判定する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電器、更新方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムと、負荷に供給される電力を超えた発電電力(即ち余剰電力)を蓄電池に蓄える蓄電システムとを含むハイブリッド型の電力供給システムが知られている。ハイブリッド型の電力供給システムは、太陽光発電システムの発電状態に応じて、発電された電力を系統に供給する等、系統連系が可能である。
【0003】
また、車両に搭載された車載蓄電池により家庭内の電気機器への給電を行う電力変換システムであるV2H(Vehicle to Home)が知られている。車載蓄電池を活用することにより、停電時に非常用源として電力を家庭に供給できるだけなく、蓄電池の充放電制御を適切に行うことにより電気料金を削減できる。例えば、太陽光発電システムの余剰電力と電気料金の割安な深夜時間帯の商用電力とにより車載蓄電池を充電し、太陽光発電システムが発電しておらず電気料金が割高な時間帯に車載蓄電池を放電させて家庭内の電気機器へ給電することにより電気料金の削減が可能である。
【0004】
上記のシステムが設置されて運用された後に、システムの制御部に組み込まれたプログラム(以下、ファームウェア(firmware)ともいう)を、新しいプログラムに置換える、即ち、ファームウェアを更新(以下、アップデートともいう)する必要が生じることがある。
【0005】
下記特許文献1には、車両に搭載される電池の状態の情報およびその充電装置の状態の情報を取得し、電池および充電装置を一括管理する管理システムが開示されている。この管理システムにおいては、管理端末であるパーソナルコンピュータから、充電装置を構成する充電制御ユニット等の複数のユニットにおける各種処理を実行させるソフトウェアのアップデートを一括して行う。
【0006】
また、下記特許文献2には、ネットワークに接続された複数の制御装置のプログラムの書換えを効率よく実施できるプログラム書換えシステム(具体的には、車両制御システム)が開示されている。このシステムにおいては、バッテリ制御装置がバッテリの制御に関わる通常の処理を実施しているか否かを判定し、実施していなければ、通常の書換処理を実行する。バッテリ制御装置がバッテリの制御に関わる通常の処理を実施していれば、書換え用プログラムを分割して書換えを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-15880号公報
【特許文献2】特開2013-50862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の蓄電システム等においては、太陽光発電システムが発電しておらず、また消費電力が少ない深夜の時間帯にソフトウェアをアップデートすればユーザへの影響は少ない。一方、電気自動車(即ち、EV(Electric Vehicle))の充電器は、ユーザの帰宅後の深夜に商用電力によりEVの車載蓄電池を充電するために利用される。即ち、電気料金が割安な深夜の時間帯においてできるだけ充電したいため、深夜の時間帯においては充電器の動作を止めたくない。したがって、充電器のソフトウェアのアップデートを夜間に行うことはできない。また、帰宅直後のEVの電池残量が少ない状況においては、すぐに外出する場合もあり得るので、できるだけ早く充電器により車載蓄電池の電池残量を上げておくことが好ましい。したがって、帰宅直後のタミングにおいても、充電器のソフトウェアのアップデートを行うことができない。また、太陽光発電システムが設置されていれば、日中はEVが充電器に接続されていれば、太陽光発電システムの余剰電力により車載蓄電池を充電するために充電器が利用されるので、充電器のソフトウェアのアップデートを行うことができない。特許文献1および特許文献2によっては、これらの問題を解決できない。
【0009】
したがって、本開示は、適切なタイミングにおいてファームウェアを更新できる充電器、更新方法およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示のある局面に係る充電器は、電気自動車に搭載された蓄電池を充電する充電器であって、充電器が実行するプログラムの更新プログラムを、通信ネットワークを介して受信する通信部と、更新プログラムを記憶する記憶部と、プログラムを更新プログラムにより置換える更新処理を実行するか否かを判定する更新判定部と、更新判定部により更新処理を実行すると判定されたことを受けて、プログラムを更新プログラムにより置換える更新部とを含み、更新判定部は、充電器が電気自動車と接続されているか否かを判定し、充電器が電気自動車と接続されていなければ、更新処理を実行すると判定する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、適切なタイミングにおいてファームウェアを更新できる充電器、更新方法およびコンピュータプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の実施形態に係る充電器の利用形態を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示した充電器の構成を示すブロック図である。
図3図3は、図1に示した充電器がEVと接続された状態における接続部を示すブロック図である。
図4図4は、図1に示した充電器の機能のうち、ファームウェアの更新に関する機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、ファームウェアを更新する基本動作を示すフローチャートである。
図6図6は、車載蓄電池の電池残量を考慮してファームウェアを更新する動作を示すフローチャートである。
図7図7は、ファームウェアをサーバから取得して更新する動作を示すフローチャートである。
図8図8は、図7とは異なるタイミングにおいて、ファームウェアをサーバから取得して更新する動作を示すフローチャートである。
図9図9は、ファームウェアを強制的に更新する動作を示すフローチャートである。
図10図10は、ファームウェアが所定の属性を含む場合に、ファームウェアを強制的に更新する動作を示すフローチャートである。
図11図11は、EVと充電器との接続を解除してファームウェアを更新する動作を示すフローチャートである。
図12図12は、ファームウェアを強制的に更新する際に、EVと充電器との接続を解除してファームウェアを更新する動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の実施形態の内容を列記して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組合せてもよい。
【0014】
(1)本開示の第1の局面に係る充電器は、電気自動車に搭載された蓄電池を充電する充電器であって、充電器が実行するプログラムの更新プログラムを、通信ネットワークを介して受信する通信部と、更新プログラムを記憶する記憶部と、プログラムを更新プログラムにより置換える更新処理を実行するか否かを判定する更新判定部と、更新判定部により更新処理を実行すると判定されたことを受けて、プログラムを更新プログラムにより置換える更新部とを含み、更新判定部は、充電器が電気自動車と接続されているか否かを判定し、充電器が電気自動車と接続されていなければ、更新処理を実行すると判定する。これにより、適切なタイミングにおいて充電器のファームウェア(即ちプログラム)を更新できる。
【0015】
(2)上記(1)において、充電器は、蓄電池の電池残量を表す電池残量値を繰返し取得する電池残量取得部をさらに含むことができ、更新判定部は、充電器が電気自動車と接続されておらず、かつ、充電器が電気自動車と接続されていた状態において、電池残量取得部により最後に取得された電池残量値が所定のしきい値以上であれば、更新処理を実行すると判定することができる。これにより、プログラムの更新が開始された直後に車載蓄電池を充電する必要が生じた場合に、充電できない状況になることを回避できる。EVの電池残量が少ない状態であれば、仮にEVが充電器に接続されていなくても、短時間のうちに充電する必要が生じる可能性が高い。したがって、充電器のプログラムの更新を開始してしまうと、EVを充電できない状況になる可能性が高い。EVと充電器との接続が外される前(例えば直前)に車載蓄電池の電池残量が十分あれば、短時間のうちに充電する必要が生じる可能性が低く、充電器のファームウェアの更新処理を実行しても支障が生じる可能が低い。
【0016】
(3)上記(1)または(2)において、充電器は、通信部により受信された更新プログラムが、更新判定部による判定結果によらずに更新処理を実行する対象である強制更新プログラムであるか否かを判定する強制更新判定部をさらに含んでいてもよく、強制更新判定部により、更新プログラムが強制更新プログラムであると判定されたことを受けて、更新部は、プログラムを更新プログラムにより置換えてもよい。これにより、緊急にプログラムを更新する必要がある場合、充電器の据付工事の際にプログラムを最新版にしておきたい場合等に、速やかにプログラムを更新できる。例えば、現在のプログラムに不具合があり、充電器が損傷される等の障害が発生するおそれがあるような場合、速やかにプログラムを更新すべきである。
【0017】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、充電器は、電気自動車と充電器とを接続する接続部と、電気自動車と充電器との接続の解除を接続部に指示する接続解除部をさらに含んでいてもよく、更新判定部により、充電器が電気自動車と接続されていると判定されたことを受けて、解除部は、接続部に解除を指示してもよく、電気自動車と充電器との接続が解除されたことを受けて、更新部は、プログラムを更新プログラムにより置換えてもよい。これにより、充電器とEVとが接続されたまま、プログラムの更新が実行されることを確実に回避できる。充電器をEVに接続するためのケーブルのプラグにロック機構が設けられている場合、EVと充電器とが接続している状態において、プログラムの更新が実行され、正常に更新できなかった場合、ロックが外れなくなることがある。その場合、充電器からEVを物理的に切り離すことができなくなり、EVを使用できなくなる。プログラムの更新を実行する前に、強制的に接続を解除することにより、そのような事態が生じることを回避できる。
【0018】
(5)上記(3)において、充電器は、電気自動車と充電器とを接続する接続部と、電気自動車と充電器との接続の解除を接続部に指示する接続解除部をさらに含んでいてもよく、強制更新判定部により、更新プログラムが強制更新プログラムであると判定され、かつ、更新判定部により、充電器が電気自動車と接続されていると判定されたことを受けて、解除部は、接続部に解除を指示してもよく、電気自動車と充電器との接続が解除されたことを受けて、更新部は、プログラムを更新プログラムにより置換えてもよい。これにより、充電器とEVとが接続されたまま、プログラムの強制更新が実行されることを確実に回避できる。プログラムの強制更新を実行する前に、強制的に接続を解除することにより、上記したように、ロックが外れなくなり、充電器からEVを物理的に切り離すことができず、EVを使用できなくなる事態が生じることを回避できる。
【0019】
(6)上記(3)または(5)において、更新プログラムは、強制更新プログラムであるか否かを表す属性情報を含んでいてもよく、強制更新判定部は、更新プログラムに含まれる属性情報が、強制更新プログラムであることを表しているか否かを判定することにより、通信部により受信された更新プログラムが、更新判定部による判定結果によらずに更新処理を実行する対象である強制更新プログラムであるか否かを判定してもよい。これにより、強制更新プログラムであるか否かを容易に判定できる。
【0020】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つにおいて、充電器は、蓄電池から供給される直流電力を交流電力に変換して充電器の外部に出力する電力変換部をさらに含んでいてもよい。これにより、充電器は、放電器としても機能し、住宅内の家電製品等の負荷に電力を供給できる。
【0021】
(8)本開示の第2の局面に係る更新方法は、電気自動車に搭載された蓄電池を充電する充電器が実行するプログラムの更新方法であって、充電器が実行するプログラムの更新プログラムを、通信ネットワークを介して受信する通信ステップと、更新プログラムを記憶する記憶ステップと、プログラムを更新プログラムにより置換える更新処理を実行するか否かを判定する更新判定ステップと、更新判定ステップにより更新処理を実行すると判定されたことを受けて、プログラムを更新プログラムにより置換える更新ステップとを含み、更新判定ステップは、充電器が電気自動車と接続されているか否かを判定するステップを含み、充電器が電気自動車と接続されていなければ、更新処理を実行すると判定する。これにより、適切なタイミングにおいて充電器のファームウェア(即ちプログラム)を更新できる。
【0022】
(9)本開示の第3の局面に係るコンピュータプログラムは、電気自動車に搭載された蓄電池を充電する充電器に搭載されるコンピュータに、充電器が実行するプログラムの更新プログラムを、通信ネットワークを介して受信する通信機能と、更新プログラムを記憶する記憶機能と、プログラムを更新プログラムにより置換える更新処理を実行するか否かを判定する更新判定機能と、更新判定機能により更新処理を実行すると判定されたことを受けて、プログラムを更新プログラムにより置換える更新機能とを実現させ、更新判定機能は、充電器が電気自動車と接続されているか否かを判定する機能を含み、充電器が電気自動車と接続されていなければ、更新処理を実行すると判定する。これにより、適切なタイミングにおいて充電器のファームウェア(即ちプログラム)を更新できる。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
以下の実施形態においては、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0024】
(全体構成)
図1を参照して、本開示の実施形態に係る充電器100は、住宅104の屋外(例えば、カーポート)に設置され、EV102を充電する。充電器100は、住宅104内の電気機器(例えば家電製品)である負荷122に商用電力を供給する商用電力系統190に接続されている。充電器100は、商用電力系統190から供給される交流電力(例えばAC100V)を直流電力(例えばDC200V)に変換し、当該直流電力を、EV102を充電するために出力する。充電器100は、後述するように、放電器としても機能する。そのため、充電器100は充放電器とも言える。
【0025】
EV102は、車載蓄電池110と制御部112とを含み、V2Hの機能を有する。車載蓄電池110は、リチウムイオン二次電池等の充放電可能な蓄電池である。車載蓄電池110は、直流電源として機能する。制御部112は、車載蓄電池110の現在の電池残量(即ちSOC(State Of Charge))を算出する機能、車載蓄電池110の過充電および過放電を防止する機能等を有する。制御部112は、例えばBMS(Buttery Management System)である。充電器100によりEV102の車載蓄電池110を充電する場合、充電器100の直流電力の出力端子を、ケーブル106および接続部108を介してEV102に接続する。ケーブル106は、後述するように、ケーブル106のプラグとEV102のレセプタクルとを含む。充電器100の直流電力の出力端子が車載蓄電池110の充電端子に接続され、制御部112の制御を受けて車載蓄電池110は充電される。
【0026】
住宅104には、太陽光発電システムが設置されていてもよい。太陽光発電システムは、PV(Photovoltaic)パネルおよびPCS(Power Conditioning System)を含む。PVパネルは、住宅104の屋根に設置され、直流電源として機能する。PVパネルは、PCSを介して、負荷122が接続される電気配線に接続されており、充電器100にも接続されている。PCSは、DC/ACコンバータとしての機能を有しており、PVパネルにより発電された直流電力を交流電力に変換して負荷122に供給する。充電器100は、太陽光発電システムの余剰電力によりEV102を充電できる。
【0027】
充電器100は、住宅104のルータ120に接続されている。充電器100は、ルータ120を介して、インターネット等の通信ネットワーク(以下、単にネットワークという)192に接続できる。サーバコンピュータ(以下、サーバという)194は、充電器100のファームウェア、即ち充電器100により実行されるプログラムの新しいプログラム(以下、更新ファームウェアまたは更新プログラムという)を充電器100に提供する。充電器100は、ルータ120およびネットワーク192を介してサーバ194と通信し、サーバ194から提供される更新ファームウェアをダウンロードし、適切なタイミングにおいて、充電器100が現在実行しているファームウェアを更新ファームウェアにより置換える(即ちアップデートする)。
【0028】
(充電器の構成)
図2を参照して、充電器100は、CPU(Central Processing Unit)130、メモリ132、通信部134、電力変換部136、タイマー138および操作部140を含む。CPU130は、各部を制御して充電器100としての機能を実現する。メモリ132は、書換可能な不揮発性の半導体メモリにより構成される。メモリ132は、HDD(Hard Disk Drive)等の大容量記憶装置を含んでいてもよい。メモリ132には、CPU130が実行するプログラムが記憶されている。CPU130がそのプログラムを読出して実行することにより、EV102の車載蓄電池110への充電電力の供給、車載蓄電池110からの放電電力の負荷122への供給、および、ファームウェアの更新が実現される。CPU130は、接続部108により制御部112と通信可能に接続される。なお、図示していないが、充電器100は、各部を動作させるための電力を、商用電力系統190から供給される交流電力から生成するための電源部をも含む。
【0029】
通信部134は、有線または無線通信により、ルータ120に接続する。これにより、CPU130は、ルータ120およびネットワーク192を介してサーバ194と通信でき、上記したように、充電器100のファームウェアをサーバ194からダウンロードできる。
【0030】
電力変換部136は、双方向のDC/ACコンバータとして機能する。電力変換部136は、接続部108によりEV102の車載蓄電池110と接続される。電力変換部136は、商用電力系統190および負荷122にも接続されている。電力変換部136は、CPU130による制御を受けて、商用電力系統190から供給される交流電力を直流電力に変換してEV102の車載蓄電池110に供給する。これにより、車載蓄電池110は商用電力により充電される。また、電力変換部136は、車載蓄電池110から出力される直流電力を交流電力に変換して負荷122に供給する。即ち、充電器100は、放電器としても機能し、住宅104内の家電製品等の負荷122に電力を供給できる。
【0031】
電力変換部136は、例えばスイッチング素子(例えばFET(Field Effect Transistor))を用いたブリッジ回路を含む。CPU130がメモリ132から読出したプログラム(即ちファームウェア)を実行し、電力変換部136に含まれるブリッジ回路を構成する各スイッチング素子(例えばFET)のオンオフを制御するための制御信号(例えば、FETのゲート信号)を電力変換部136に供給する。これにより、電力変換部136は、双方向のDC/ACコンバータとして機能する。
【0032】
太陽光発電システムを備えていれば、電力変換部136は、太陽光発電システムにより発電されPCSにより変換された交流電力が入力されると、車載蓄電池110を充電するための直流電力を生成して、当該直流電力を車載蓄電池110に供給する。即ち、車載蓄電池110は太陽光発電システムの発電電力(例えば余剰電力)により充電される。なお、PCSが直流電力を出力可能であり、電力変換部136がDC/DCコンバータの機能を有していれば、PVパネルにより発電された直流電力を電力変換部136に直接入力し、車載蓄電池110の充電電圧に適した電圧の直流電力に変換して車載蓄電池110を充電するように構成され得る。
【0033】
タイマー138は、CPU130からの要求を受けて、現在時刻を表す情報(以下、単に現在時刻という)をCPU130に出力する。CPU130は、タイマー138から現在時刻を取得することにより、所定のタイミングにおいて、所定の処理を実行可能になる。
【0034】
操作部140は、ユーザが、充電器100(即ちCPU130)に対して設定および指示等を入力するためのものである。操作部140は、タッチパネル等により実現される。操作部140は、液晶ディスプレイ等の表示装置の表示面の上にタッチパネルが配置されたタッチパネルディスプレイであってもよい。なお、操作部140は、充電器100とは別の装置(例えばコントローラ)として構成され、住宅104内に配置されてもよい。その場合、例えば通信部134を介して、コントローラと充電器100(即ちCPU130)との通信が行われるように構成すればよい。
【0035】
(接続部の構成)
図3を参照して、接続部108は、ケーブル106に取付けられたプラグ150と、EV102に取付けられたレセプタクル152により構成される。プラグ150およびレセプタクル152の接合部にはロック機構154が設けられている。ロック機構154は、例えば、凸部および凹部により構成されるラッチ機構と、凸部および凹部の嵌合を開放するためのユーザにより操作される操作機構と、凸部および凹部の嵌合状態を維持させるための電気的ロック機構を有している。電気的ロック機構は、例えばソレノイドを有し、ソレノイドを作動させる(即ち通電させる)ことにより、ロックされ、操作機構が操作されても凸部および凹部が嵌合した状態を開放できなくなる。これにより、充電器100をEV102と確実に接続できるので、車載蓄電池110を充電中に何らかの原因により充電器100とEV102との接続が外れることを防止できる。充電器100からの電力供給がなくなり、ソレノイドが作動しなくなれば(即ち通電されなくなれば)、操作機構の操作により凸部および凹部が嵌合した状態を開放できるようになる。
【0036】
(充電器の機能構成)
図4を参照して、充電器100におけるファームウェアを更新する機能に関して説明する。充電器100は、通信部200、記憶部202、更新判定部204、更新部206、電池残量取得部208、強制更新判定部210および接続解除部212を含む。各機能は、図2に示したCPU130、メモリ132、通信部134およびタイマー138により実現される。
【0037】
通信部200は、更新判定部204からの指示を受けて、ルータ120を介してサーバ194(図1参照)と通信し、充電器100の新しいファームウェア(即ち更新ファームウェア)があるか否かをサーバ194に問合せる。CPU130が実行するファームウェアは、例えば、電力変換部136(図2参照)を制御するためのプログラムである。例えば、通信部200は、現在メモリ132に記憶されているファームウェア(即ち、現在CPU130が実行しているファームウェア)のバージョンを表す情報(以下、バージョン情報という)をサーバ194に送信して、更新ファームウェアの有無を問合せる。サーバ194は、受信したバージョン情報を用いて、充電器100の更新ファームウェアがあるか否かを判定できる。充電器100の更新ファームウェアがサーバ194にあれば、上記したように、通信部200は、その更新ファームウェアをサーバ194からダウンロードし、記憶部202に出力する。通信部200は、通信部134(図2参照)により実現される。記憶部202は、入力される更新ファームウェアを、現在ファームウェアを記憶している領域とは別の領域に記憶する。記憶部202は、メモリ132(図2参照)により実現される。
【0038】
更新判定部204は、タイマー138から現在時刻を取得し、所定のタイミング(例えば一定の周期)において、通信部200に更新ファームウェアのダウンロードを指示する。更新判定部204は、CPU130(図2参照)により実現される。通信部200は、更新判定部204からダウンロードの指示を受けると、上記したように、充電器100の更新ファームウェアをサーバ194からダウンロードする。更新判定部204は、記憶部202にアクセスし、更新ファームウェアが記憶されたことが分かると、ファームウェアを更新するか否かを判定する。
【0039】
即ち、更新判定部204は、充電器100がEV102と接続されていれば、ファームウェアを更新しないと判定する。本実施形態においては、「充電器100がEV102と接続されている」(以下、接続状態ともいう)とは、充電器100およびEV102が物理的に互いに接続され、かつ、互いに通信状態にあることを意味する。通信状態とは、充電器100およびEV102が所定の機能(例えば、車載蓄電池110の充電、または、車載蓄電池110の放電電力の供給)を実行するために必要な通信が行われている状態を意味する。したがって、例えば、充電器100とEV102とが物理的に互いに接続されていても、互いに通信状態でなければ、ファームウェアの更新処理が実行される。上記したように、充電器100(具体的にはCPU130)は、接続部108により制御部112と通信可能に接続されるが、充電器100とEV102とが接続状態になるには、プラグ150およびレセプタクル152がロック機構154によりロックされていることが必要である。即ち、接続部108において、プラグ150およびレセプタクル152が嵌合した状態であれば、充電器100とEV102とは物理的に接続されているが、ロックされていない状態においては、充電器100とEV102とは接続状態にはならない。更新判定部204は、接続部108の状態(ロックされているか否かを表す情報を含む)に関する情報(以下、接続情報という)を取得することにより、充電器100にEV102が接続されているか否かを判定する。接続情報の取得、即ち接続部108の状態を知ることは、CPU130がEV102の制御部112と通信状態にあるか否かにより判定できる。更新判定部204は、ファームウェアを更新すると判定すれば、更新指示を更新部206に出力する。
【0040】
更新部206は、更新判定部204から更新指示が入力されると、ファームウェアの更新処理を実行する。即ち、更新部206は、更新ファームウェアにより、CPU130が実行していたファームウェアを置換える。例えば、更新部206は、記憶部202において、更新ファームウェアを、CPU130が読出して実行するファームウェアを記憶している領域に上書きし、その後、充電器100を再起動させる。再起動後、CPU130は更新ファームウェアを実行する。
【0041】
電池残量取得部208は、タイマー138(図2参照)から現在時刻を取得し、所定のタイミング(例えば一定の周期)において、EV102の制御部112から車載蓄電池110の電池残量(即ちSOC)を取得し、更新判定部204に出力する。これを受けて、更新判定部204は、充電器100およびEV102の接続情報に加えて、電池残量取得部208から入力されるSOCを考慮して、ファームウェアを更新するか否かを判定してもよい。
【0042】
強制更新判定部210は、ユーザにより操作部140が操作され、強制更新(以下、強制アップデートともいう)の設定がONにされると、ファームウェアを更新すると判定し、更新部206に更新指示を出力する。更新部206は、強制更新判定部210から更新指示が入力されると、更新判定部204から更新指示が入力された場合と同様に、ファームウェアの更新処理を実行する。即ち、更新部206は、更新ファームウェアにより、CPU130が実行していたファームウェアを置換える。その後、強制更新判定部210は、強制更新の設定をOFFにする。例えば、強制更新の要否を表すフラグをメモリ132に設け、初期状態は強制更新の設定はOFFであるとし、フラグは0であるとする。強制更新の設定がONにされると、フラグはCPU130により1にされる。強制更新判定部210は、更新部206に更新指示を出力した後、フラグを0に戻すことにより、強制更新の設定をOFFにする。
【0043】
接続解除部212は、更新判定部204および強制更新判定部210から解除指示を受けて、接続部108のロック機構154(図3参照)にロックの解除信号を出力する。これを受けて、接続部108のロック機構154のロックが解除される。例えば、ロック機構154のソレノイドが作動しなくなり、ロックが解除される。上記においては、充電器100がEV102と接続されていない場合に、ファームウェアの更新処理が実行される。
【0044】
一方、充電器100がEV102と接続されている状態において、ファームウェアの更新処理を実行することも考えられる。しかし、充電器100がEV102と接続された状態のままファームウェアの更新処理が実行されると、ファームウェアが正常に更新されなかった場合に、ロック機構154によるロックが外れなくなることがある。その場合、充電器100が使用できなくなるだけでなく、充電器100からEV102を物理的に切離すことができなくなる。この場合、EV102を使用できなくなる。そこで、本実施形態においては、更新判定部204および強制更新判定部210が、ファームウェアの更新処理を実行すると判定した場合、接続解除部212に解除指示を出力して強制的にロック機構154のロックを解除する。これにより、EV102が使用できなくなる事態が生じることを回避できる。
【0045】
上記においては、更新判定部204は所定のタイミングにおいて、通信部200に更新ファームウェアのダウンロードを指示する場合を説明したが、これに限定されない。ユーザが操作部140を操作し、ファームウェアを更新するタイミングを指示してもよい。図4において破線の矢印により示したように、ユーザによる更新の指示は、操作部140から更新判定部204に入力される。これを受けて、上記したように、更新判定部204は通信部200に更新ファームウェアのダウンロードを指示し、通信部200は、充電器100の更新ファームウェアをサーバ194からダウンロードする。
【0046】
上記においては、電池残量取得部208が制御部112から取得した車載蓄電池110の電池残量(即ちSOC)を考慮して、更新判定部204がファームウェアを更新するか否かを判定する場合を説明したが、SOCに代えて、車載蓄電池110の電圧の測定値を用いてもよい。更新判定部204は、接続部108において、充電器100に接続されている車載蓄電池110の電圧を測定し、測定値から電池残量(即ちSOC)を算出できる。
【0047】
上記においては、充電器100に対してファームウェアの強制アップデートが設定される場合を説明したが、これに限定されない。例えば、ファームウェア自体が強制アップデートされるべきファームウェア(即ち、強制更新プログラム)であるか否かを表す情報(以下、属性情報という)を含んでいてもよい。これにより、強制アップデートの対象であるか否かを容易に判定できる。
【0048】
例えば、バージョン情報に、属性情報が含まれていてもよい。例えば、バージョン情報(例えば、数字等の文字の列)の一部(例えば、文字列の末尾の文字)を属性情報に割当てる。例えば、“17354A”のバージョン情報(即ち属性情報はA)は、通常のアップデートの対象であることを表し、“17354B”のバージョン情報(即ち属性情報はB)は、強制アップデートの対象であることを表す。強制更新判定部210は、記憶部202に記憶されている更新ファームウェアのバージョン情報を読出せば、それに含まれる属性情報により、その更新ファームウェアが強制アップデートの対象であるか否かを判定できる。強制更新判定部210は、強制アップデートの対象であると判定すれば、上記したように更新部206に更新指示を出力する。
【0049】
(ファームウェアの更新動作)
図5から図12を参照して、充電器100のファームウェアの更新動作に関して具体的に説明する。図5から図12に示した処理は、充電器100のCPU130が、メモリ132に記憶されているプログラムを読出し、実行することにより実現される。以下の説明において、図4に示した機能構成を適宜参照する。
【0050】
(基本動作)
図5は、後述する図6から図12に示した処理を包含する基本的なファームウェアの更新動作を示す。図5を参照して、ステップ300において、CPU130は、ファームウェアの更新があるか否かを判定する。更新があると判定された場合、制御はステップ302に移行する。そうでなければ、本プログラムは終了する。ステップ300の処理は、例えば、上記した通信部200の機能に対応する。上記したように、通信部200は、サーバ194に充電器100の更新ファームウェアがあるか否かを問合せる。サーバ194に充電器100の更新ファームウェアがあれば、ファームウェアの更新ありと判定し、なければ更新なしと判定される。
【0051】
ステップ302において、CPU130は、充電器100がEV102と接続状態であるか否かを判定する。接続状態であると判定された場合、制御はステップ304に移行する。そうでなければ、即ち、充電器100がEV102と接続していなければ、制御はステップ306に移行する。ステップ302の処理は、上記した更新判定部204の機能に対応する。更新判定部204は、充電器100がEV102と接続されていなければ、ファームウェアを更新する指示を更新部206に出力する。
【0052】
ステップ304において、CPU130は、終了するか否かを判定する。終了すると判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、ステップ302の処理が実行される。例えば、充電器100の電源がオフされることにより、終了すると判定される。ファームウェアの更新があれば、適切なタイミングになるまで、即ち、充電器100がEV102と接続されなくなるまで待って、更新処理が実行されなければならない。
【0053】
ステップ306において、CPU130は、ファームウェアの更新処理を実行する。その後、本プログラムは終了する。ステップ306の処理は、上記した更新部206の機能に対応する。なお、更新ファームウェアをサーバ194からダウンロードするタイミングは任意である。ステップ306の処理が実行される前に更新ファームウェアがダウンロードされていればよい。
【0054】
このように、充電器100がEV102と接続されていない状態においてファームウェアの更新処理を実行することにより、適切なタイミングにおいて充電器100のファームウェア(即ちプログラム)を更新できる。
【0055】
(第1実施例)
上記したように、車載蓄電池110の電池残量(即ちSOC)に応じて、ファームウェアの更新処理を実行するか否かを判定してもよい。そのような処理を図6に示す。図6に示したフローチャートは、図5に示したフローチャートにおいて、ステップ310を追加したものである。図6において、図5と同じ符号を付したステップの処理は、図5の処理と同じである。したがって、以下においては、重複説明を繰返さず、主として異なる点に関して説明する。
【0056】
ステップ302の判定結果がNO(即ち、充電器100がEV102と接続されていない状態)であれば、ステップ310において、CPU130は、車載蓄電池110のSOCが所定のしきい値Th以上であるか否かを判定する。ステップ310の処理は、上記した更新判定部204および電池残量取得部208の機能に対応する。電池残量取得部208は、タイマー138(図2参照)から現在時刻を取得し、例えば一定の周期により、EV102の制御部112から車載蓄電池110の電池残量(即ちSOC)を取得し、更新判定部204に出力する。更新判定部204は、電池残量取得部208から入力されるSOCを考慮して、ファームウェアを更新するか否かを判定する。SOC≧Thであると判定された場合、制御はステップ306に移行する。そうでなければ、制御はステップ304に移行する。
【0057】
これにより、充電器100およびEV102が接続状態になく(ステップ302の判定結果がNO)、かつ、SOC≧Th(ステップ310の判定結果がYES)であれば、ステップ306において、ファームウェアの更新処理が実行される。したがって、ファームウェアの更新処理が開始された直後にEV102の車載蓄電池110を充電する必要が生じた場合に、充電できない状況になることを回避できる。車載蓄電池110の電池残量が少ない状態であれば、仮にEV102が充電器100に接続されていなくても、短時間のうちに充電する必要が生じる可能性が高い。そのため、充電器100のファームウェアの更新処理を開始してしまうと、EV102の車載蓄電池110を充電できない状況になる可能性が高い。一方、EV102と充電器100との接続が外される少し前(例えば直前)に車載蓄電池110の電池残量が十分あれば、短時間のうちに充電器100を充電する必要が生じる可能性が低く、充電器100のファームウェアの更新処理を実行しても支障が生じる可能が低い。
【0058】
(第2実施例)
基本動作に関して示したように、更新ファームウェアをサーバ194からダウンロードするタイミングは任意である。第2実施例においては、図7に示したように、更新処理を実行できる状態であるか否かを判定する前に、予め更新ファームウェアをダウンロードしておく。図7に示したフローチャートは、図6に示したフローチャートにおいて、ステップ320からステップ328を追加したものである。図7において、図6と同じ符号を付したステップの処理は、図6の処理と同じである。したがって、以下においては、重複説明を繰返さず、主として異なる点に関して説明する。
【0059】
ステップ320において、CPU130は、サーバ194に充電器100の更新ファームウェアの有無を問い合わせるか否かを判定する。問合せると判定された場合、制御はステップ322に移行する、そうでなければ、制御はステップ328に移行する。例えば、上記したように、一定の周期(例えば時間T)でサーバに問合せる場合、CPU130は、タイマー138から現在時刻を取得し、前回問合せたときから時間Tが経過したか否かを判定すればよい。経過したと判定した場合、制御はステップ322に移行し、経過していなければ、制御はステップ328に移行する。また、上記したように、ユーザにより操作部140が操作され、ファームウェアの更新を指示された場合に、サーバ194に問合せると判定されてもよい。ファームウェアの更新を指示されなければ、サーバ194に問合せないと判定される。
【0060】
ステップ322において、CPU130は、サーバ194に充電器100の更新ファームウェアがあるか否かを問合せる。ステップ322の処理は、上記した通信部200の機能に対応する。例えば、上記したように、CPU130は、現在実行しているファームウェアのバージョンをサーバ194に送信して、それよりも新しいファームウェアを記憶しているか否かを問合わせる。その後、制御はステップ300に移行し、サーバ194から充電器100の更新ファームウェアがあるとの通知を受信すれば、更新ありと判定され、制御はステップ324に移行する。そうでなければ、制御はステップ328に移行する。
【0061】
ステップ324において、CPU130は、サーバ194から更新ファームウェアをダウンロード済みであるか否かを判定する。ダウンロード済みであれば、制御はステップ302に移行する。そうでなければ、制御はステップ326に移行する。例えば、更新ファームウェアがダウンロードされてメモリ132に記憶された後、充電器100およびEV102が接続状態であり、かつ、SOC<Thである状態において、充電器100の電源がオフされる可能性がある。その場合には、ダウンロードされた更新ファームウェアによる更新が実行されない。その後、充電器100がオンされ、ステップ320以降の処理が実行されると、メモリ132には既に更新ファームウェアが記憶されているので、ステップ324においてYESと判定される。
【0062】
ステップ326において、CPU130は、サーバ194から更新ファームウェアをダウンロードする。ダウンロードされた更新ファームウェアはメモリ132に記憶される。ステップ326の処理は、上記した通信部200の機能に対応する。その後、制御はステップ302に移行し、上記したように、充電器100がEV102と接続されておらず、かつ、SOC≧Thである状態になれば、ファームウェアの更新処理が実行される。
【0063】
ステップ328において、CPU130は、ステップ304と同様に、終了するか否かを判定する。終了すると判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ320に戻り、上記した処理が繰返される。
【0064】
このように、更新処理を実行できる状態であるか否かを判定する前に、予め更新ファームウェアをダウンロードしておけば、適切なタイミングにおいて充電器のファームウェアを更新できる。
【0065】
(第3実施例)
第3実施例においては、第2実施例とは異なり、図8に示したように、更新処理を実行できる状態であると判定されたときに、更新ファームウェアをダウンロードする。図8に示したフローチャートは、図7に示したフローチャートにおいて、ステップ324を削除し、ステップ326の位置を変更したものである。図8において、図7と同じ符号を付したステップの処理は、図7の処理と同じである。したがって、以下においては、重複説明を繰返さず、主として異なる点に関して説明する。
【0066】
ステップ310の判定結果がYESであれば、ファームウェアの更新が可能な状態であるので、ステップ326において、CPU130は、サーバ194から更新ファームウェアをダウンロードする。その後、制御はステップ306に移行し、更新処理が実行される。
【0067】
このように、ファームウェアの更新が可能な状態になったときに、サーバ194から更新ファームウェアをダウンロードすることにより、更新されないまま更新ファームウェアがメモリ132の記憶領域を占有する状態を回避できる。
【0068】
(第4実施例)
上記したように、ファームウェアの更新処理を強制的に、即ち、充電器100およびEV102の接続状態にかかわらず実行してもよい。そのような処理を図9に示す。図9に示したフローチャートは、図6に示したフローチャートにおいて、ステップ330からステップ334を追加したものである。図9において、図6と同じ符号を付したステップの処理は、図6の処理と同じである。したがって、以下においては、重複説明を繰返さず、主として異なる点に関して説明する。
【0069】
ステップ310の判定結果がYESであれば、ステップ330において、CPU130は、強制アップデートの設定(即ち、強制更新の設定)がONであるか否かを判定する。ステップ330の処理は、上記した強制更新判定部210の機能に対応する。例えば、上記したように、メモリ132に、強制アップデートの要否を表すフラグを設け、そのフラグが1であれば、強制アップデートの設定がONであると判定する。フラグが0であれば、強制アップデートの設定はOFFであると判定する。設定がONであると判定された場合、制御はステップ332に移行する。そうでなければ(即ち、設定はOFF)、制御はステップ302に移行し、第2実施例に示したように、ファームウェアの更新が可能になれば、ファームウェアの更新処理が実行される。
【0070】
ステップ332において、CPU130は、ステップ306と同様に、ファームウェアの更新処理を実行する。その後、制御はステップ334に移行する。
【0071】
ステップ334において、CPU130は、強制アップデートの設定をOFFにする。その後、本プログラムは終了する。ステップ334の処理は、上記した強制更新判定部210の機能に対応する。強制更新判定部210は、更新部206に更新指示を出力した後、強制更新の設定をOFFにする。
【0072】
これにより、緊急にファームウェアを最新版に更新する必要がある場合、充電器100の据付工事の際にファームウェアを最新版にしておきたい場合等に、速やかにファームウェアを更新できる。例えば、現在のファームウェアに不具合があり、充電器100が損傷される等の障害が発生するおそれがあるような場合、速やかにファームウェアを更新すべきである。
【0073】
(第5実施例)
第4実施例においては、充電器100に対してファームウェアの強制更新が設定されるが、第5実施例においては、上記したように、ファームウェア自体が強制更新されるべきか否かを表す属性情報を含んでいる。例えば、ファームウェアのバージョン情報が属性情報を含んでいる。そのような場合の処理を図10に示す。図10に示したフローチャートは、図6に示したフローチャートにおいて、ステップ340を追加したものである。図10において、図6と同じ符号を付したステップの処理は、図6の処理と同じである。したがって、以下においては、重複説明を繰返さず、主として異なる点に関して説明する。
【0074】
ステップ310の判定結果がYESであれば、ステップ340において、CPU130は、強制アップデート(即ち強制更新)が必要か否かを判定する。必要であると判定された場合、制御はステップ306に移行する。この場合、ステップ302およびステップ304の判定処理を行うことなく、ステップ306により、更新処理が実行される。そうでなければ(即ち必要でない)、制御はステップ302に移行し、ステップ302およびステップ304の判定処理が実行される。ステップ340の処理は、上記した強制更新判定部210の機能に対応する。強制更新判定部210は、例えば、記憶部202に記憶されている更新ファームウェアのバージョン情報を読出し、バージョン情報に属性情報が含まれるか否かを判定する。これにより、その更新ファームウェアが強制アップデートの対象であるか否か、即ち、強制アップデートが必要か否かを判定できる。
【0075】
これにより、第4実施例と同様に、緊急にファームウェアを最新版に更新する必要がある場合、充電器100の据付工事の際にファームウェアを最新版にしておきたい場合等に、速やかにファームウェアを更新できる。
【0076】
(第6実施例)
上記したように、充電器100とEV102とが接続状態にあれば、接続を解除した後にファームウェアの更新処理を実行してもよい。そのような処理を図11に示す。図11に示したフローチャートは、図6に示したフローチャートにおいて、ステップ350からステップ356を追加したものである。図11において、図6と同じ符号を付したステップの処理は、図6の処理と同じである。したがって、以下においては、重複説明を繰返さず、主として異なる点に関して説明する。
【0077】
ステップ302の判定結果がYESであれば、ステップ350において、CPU130は、EV102との接続の解除を実行する。その後、制御はステップ352に移行する。ステップ302の判定結果がYESであれば、充電器100とEV102とが、ケーブル106および接続部108により接続されている状態(即ち接続状態)である。この状態においては、ロック機構154(図3参照)が働いており、接続部108はロックされている。ステップ350の処理は、上記した更新判定部204および接続解除部212の機能に対応する。接続解除部212は、更新判定部204から解除指示を受けて、接続部108のロック機構154にロックの解除信号を出力する。これを受けて、接続部108のロック機構154のロックが解除される。これにより、充電器100とEV102とは、接続状態ではなくなる。
【0078】
ステップ352において、CPU130は、ステップ350において実行した解除処理により、充電器100およびEV102の解除に成功したか否かを判定する。解除に成功したと判定された場合、制御はステップ354に移行する。そうでなければ、ステップ352の処理が繰返される。
【0079】
ステップ354において、CPU130は、ステップ306と同様に、ファームウェアの更新処理を実行する。その後、制御はステップ356に移行する。
【0080】
ステップ356において、CPU130は、充電器100およびEV102を再度相互に接続させる。即ち、CPU130は、ロック機構154(図3参照)を作動させてロックする。その後、本プログラムは終了する。
【0081】
これにより、充電器100がEV102と接続されたまま、ファームウェアの更新が実行されることを回避できる。充電器100をEV102に接続するための接続部108にロック機構154が設けられている場合、充電器100がEV102と接続している状態において、ファームウェアの更新が実行され、正常に更新できなかった場合、ロックが外れなくなることがある。その場合、充電器100からEV102を物理的に切り離すことが困難になり、EV102が使用できなくなる(即ち、EV102を走行させることができなくなる)。本実施例においては、ファームウェアの更新を実行する前に、接続を解除することにより、そのような事態が生じることを回避できる。また、接続状態であった充電器100およびEV102の接続を解除した後、元の接続状態に戻すことにより、接続状態において実行されていた処理を、自動的に再開させることができる。例えば、車載蓄電池110を充電していたときに、接続の解除により充電が中断された場合、再度充電を開始させることができる。
【0082】
(第7実施例)
上記したように、強制更新の設定がONである場合にも、充電器100およびEV102が接続状態にあれば、この接続を解除した後にファームウェアの強制更新を実行してもよい。そのような処理を図12に示す。図12に示すフローチャートは、図11に示したフローチャートにおいて、図9と同様にステップ330およびステップ334を追加し、さらにステップ360およびステップ364を追加し、ステップ350をステップ362により代替したものである。図12において、図9および図11と同じ符号を付したステップの処理は、図9および図11の処理と同じである。したがって、以下においては、重複説明を繰返さず、主として異なる点に関して説明する。
【0083】
ステップ330の判定結果がYESであれば、ステップ360において、CPU130は、ステップ302と同様に、充電器100がEV102と接続状態であるか否かを判定する。接続状態であると判定された場合、制御はステップ362に移行する。そうでなければ、即ち、充電器100がEV102と接続していなければ、接続を解除する処理は不要であるので、制御はステップ354に移行する。
【0084】
ステップ362において、CPU130は、ステップ360により充電器100がEV102と接続されていると判定されたことを記憶した後、ステップ350と同様に、EV102との接続の解除(即ちロックの解除)を実行する。その後、制御はステップ352に移行し、充電器100およびEV102の接続の解除(即ちロックの解除)に成功したか否かを判定する。充電器100がEV102と接続されていたことは、例えばメモリ132に記憶される。充電器100がEV102と接続されていたことを記憶するのは、後述する処理により、充電器100およびEV102を接続状態に戻すためである。
【0085】
ステップ354によりファームウェアの更新処理を実行した後、ステップ364において、CPU130は、充電器100とEV102とが接続されていたこと(接続されていたと判定されたこと)が記憶されているか否かを判定する。記憶されていると判定された場合、制御はステップ356に移行し、上記したように、充電器100をEV102と接続させる。そうでなければ、制御はステップ334に移行する。
【0086】
これにより、充電器100およびEV102が互いに接続されたまま、ファームウェアの強制アップデートが実行されることを回避できる。ファームウェアの強制アップデートを実行する前に、強制的に接続を解除することにより、上記したように、ロックが外れなくなるという不都合が生じるのを抑制できる。これにより、充電器100からEV102を物理的に切り離すことができずに、EV102を使用できなくなる事態が生じることを回避できる。また、接続状態であった充電器100およびEV102の接続を解除した後、元の接続状態に戻すことにより、接続状態において実行されていた処理を、自動的に再開させることができる。
【0087】
上記において、充電器100が、住宅104の負荷122に電力を供給する機能(即ち放電機能)を有する充放電器である場合を説明したが、これに限定されない。充電器100は、放電機能を有さない充電器であってもよい。
【0088】
上記においては、充電器100がEV102を充電する場合を説明したが、これに限定されない。EV102は、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)等の車両により代替されてもよく、充電器100がPHEVを充電してもよい。
【0089】
以上、実施の形態を説明することにより本開示を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本開示は上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本開示の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味および範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0090】
100 充電器
102 EV
104 住宅
106 ケーブル
108 接続部
110 車載蓄電池
112 制御部
120 ルータ
122 負荷
130 CPU
132 メモリ
134、200 通信部
136 電力変換部
138 タイマー
140 操作部
150 プラグ
152 レセプタクル
154 ロック機構
190 商用電力系統
192 ネットワーク
194 サーバ
202 記憶部
204 更新判定部
206 更新部
208 電池残量取得部
210 強制更新判定部
212 接続解除部
300、302、304、306、310、320、322、324、326、328、330、332、334、340、350、352、354、356、360、362、364 ステップ
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