(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070367
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】電子部品の通電装置
(51)【国際特許分類】
H01G 13/00 20130101AFI20240516BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
H01G13/00 361Z
H01G13/00 331C
H01G13/00 331D
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180808
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西澤 均
(72)【発明者】
【氏名】林 章浩
(72)【発明者】
【氏名】近藤 貴之
【テーマコード(参考)】
2G036
5E082
【Fターム(参考)】
2G036AA03
2G036BB02
2G036CA03
5E082AA01
5E082AB03
5E082MM11
5E082MM31
(57)【要約】
【課題】複数の電子部品の外部電極が通電端子の同じ位置に接触することにより、通電端子の摩耗や汚れが大きくなって、通電状態が悪化する。
【解決手段】電子部品の通電装置100は、外部電極を有する電子部品1を収容する収容部11が複数設けられ、収容部11に収容された電子部品1を搬送可能な搬送体10と、搬送体10を駆動可能な駆動部20と、収容部11に収容された電子部品1の外部電極と接触可能な第1の通電端子とを備える。駆動部20によって搬送体10が第1の方向に駆動されたときに、同一の第1の通電端子と接触する複数の電子部品1のそれぞれの移動軌跡には、第1の方向と直交する第2の方向における位置が異なる移動軌跡が含まれるように、収容部11が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電極を有する電子部品を収容する収容部が複数設けられ、前記収容部に収容された前記電子部品を搬送可能な搬送体と、
前記搬送体を駆動可能な駆動部と、
前記収容部に収容された前記電子部品の前記外部電極と接触可能な第1の通電端子と、
を備え、
前記駆動部によって前記搬送体が第1の方向に駆動されたときに、同一の前記第1の通電端子と接触する複数の前記電子部品それぞれの移動軌跡には、前記第1の方向と直交する第2の方向における位置が異なる前記移動軌跡が含まれるように、前記収容部が設けられていることを特徴とする電子部品の通電装置。
【請求項2】
前記収容部は、前記搬送体の第1の主面から第2の主面まで貫通した貫通孔であり、
前記第1の通電端子は、前記搬送体の前記第1の主面および前記第2の主面のうちの一方の主面側に設けられており、
前記搬送体の他方の主面側に設けられ、前記電子部品の前記外部電極と接触可能な第2の通電端子をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の通電装置。
【請求項3】
同一の前記第1の通電端子と接触する前記電子部品を収容する複数の前記収容部には、前記第2の方向における位置が異なる前記収容部が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の通電装置。
【請求項4】
前記第2の方向において、位置が異なる2つの前記収容部の間の距離は、前記第2の方向における前記収容部の寸法よりも長いことを特徴とする請求項3に記載の電子部品の通電装置。
【請求項5】
複数の前記収容部にはそれぞれ、同じ位置に吸引孔が設けられており、
前記吸引孔を介して吸引を行うことが可能な吸引機構をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の通電装置。
【請求項6】
前記第2の方向における前記収容部の寸法は、前記収容部に収容されている前記電子部品の前記第2の方向における寸法よりも大きく、
前記収容部の前記第2の方向の一端側に第1の吸引孔が設けられ、他端側に第2の吸引孔が設けられており、
前記第1の吸引孔を介した吸引と、前記第2の吸引孔を介した吸引とを切り替え可能な吸引機構をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の通電装置。
【請求項7】
前記第2の方向における前記収容部の寸法は、前記収容部に収容されている前記電子部品の前記第2の方向における寸法よりも2倍以上大きいことを特徴とする請求項6に記載の電子部品の通電装置。
【請求項8】
外部電極を有する電子部品を収容する収容部が複数設けられ、前記収容部に収容された前記電子部品を搬送可能な搬送体と、
前記搬送体を駆動可能な駆動部と、
前記収容部に収容された前記電子部品の前記外部電極と接触可能な第1の通電端子と、
を備え、
前記駆動部によって前記搬送体が駆動される方向である第1の方向と直交する第2の方向における前記収容部の寸法は、前記収容部に収容されている前記電子部品の前記第2の方向における寸法よりも大きく、
前記収容部の前記第2の方向の一端側に第1の吸引孔が設けられ、他端側に第2の吸引孔が設けられており、
前記第1の吸引孔を介した吸引と、前記第2の吸引孔を介した吸引とを切り替え可能な吸引機構をさらに備えることを特徴とする電子部品の通電装置。
【請求項9】
前記第1の通電端子は、回転可能なローラ状の形状を有することを特徴とする請求項1に記載の電子部品の通電装置。
【請求項10】
前記搬送体は、回転可能な円盤状の形状を有することを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の電子部品の通電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の通電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を一方向に搬送しながら、電子部品を通電させる装置が知られている。
【0003】
そのような装置の一例として、特許文献1には、電子部品230を通電させることによって、電子部品230の電気特性を検査する電子部品検査選別装置200が開示されている(
図18参照)。この電子部品検査選別装置200では、円盤状のテーブル210に設けられた複数の孔220のそれぞれに、電子部品230が収容された状態で、テーブル210を回転させるとともに、電子部品230の回転経路上に設けられている一対の通電端子を電子部品230の外部電極に接触させて電圧を印加することによって、電子部品230の電気特性を検査するように構成されている。また、円盤状のテーブル210に設けられている複数の孔220は、
図18に示すように、周方向に並んで設けられるとともに、円の中心から外周へと向かう方向である径方向にも並んで設けられている。径方向における位置が同じである複数の孔220にそれぞれ収容されている複数の電子部品230の外部電極は、同一の通電端子と順次接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1に記載の電子部品検査選別装置では、同一の通電端子と接触する電子部品230を収容する孔220は、径方向における位置が同じである。このため、複数の電子部品230の外部電極は、通電端子の同じ位置に接触するため、通電端子のうち、外部電極が接触する位置の摩耗や汚れが大きくなって、通電状態が悪化する。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、通電端子の摩耗や汚れを抑制することができる電子部品の通電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子部品の通電装置は、
外部電極を有する電子部品を収容する収容部が複数設けられ、前記収容部に収容された前記電子部品を搬送可能な搬送体と、
前記搬送体を駆動可能な駆動部と、
前記収容部に収容された前記電子部品の前記外部電極と接触可能な第1の通電端子と、
を備え、
前記駆動部によって前記搬送体が第1の方向に駆動されたときに、同一の前記第1の通電端子と接触する複数の前記電子部品それぞれの移動軌跡には、前記第1の方向と直交する第2の方向における位置が異なる前記移動軌跡が含まれるように、前記収容部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の別の態様における電子部品の通電装置は、
外部電極を有する電子部品を収容する収容部が複数設けられ、前記収容部に収容された前記電子部品を搬送可能な搬送体と、
前記搬送体を駆動可能な駆動部と、
前記収容部に収容された前記電子部品の前記外部電極と接触可能な第1の通電端子と、
を備え、
前記駆動部によって前記搬送体が駆動される方向である第1の方向と直交する第2の方向における前記収容部の寸法は、前記収容部に収容されている前記電子部品の前記第2の方向における寸法よりも大きく、
前記収容部の前記第2の方向の一端側に第1の吸引孔が設けられ、他端側に第2の吸引孔が設けられており、
前記第1の吸引孔を介した吸引と、前記第2の吸引孔を介した吸引とを切り替え可能な吸引機構をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電子部品の通電装置によれば、駆動部によって搬送体が第1の方向に駆動されたときに、同一の第1の通電端子と接触する複数の電子部品それぞれの移動軌跡には、第1の方向と直交する第2の方向における位置が異なる移動軌跡が含まれるように、収容部が設けられている。そのような構成により、電子部品の外部電極が第1の通電端子と接触する位置を分散させることができるので、第1の通電端子の同一箇所における摩耗や汚れを抑制することができる。これにより、摩耗や汚れに起因して、第1の通電端子と、電子部品の外部電極との間の通電状態が不良となることを抑制することができる。
【0010】
本発明の別の態様における電子部品の通電装置によれば、搬送体が駆動される方向である第1の方向と直交する第2の方向における収容部の寸法は、収容部に収容されている電子部品の第2の方向における寸法よりも大きく、収容部の第2の方向の一端側に第1の吸引孔が設けられ、他端側に第2の吸引孔が設けられており、吸引機構によって、第1の吸引孔を介した吸引と、第2の吸引孔を介した吸引とを切り替え可能である。そのような構成により、収容部に収容された電子部品の位置を変更することができるので、電子部品の外部電極が第1の通電端子と接触する位置を分散させることができ、第1の通電端子の同一箇所における摩耗や汚れを抑制することができる。これにより、摩耗や汚れに起因して、第1の通電端子と、電子部品の外部電極との間の通電状態が不良となることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態における電子部品の通電装置の構成を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図1に示す電子部品の通電装置を、通電端子が設けられている位置で切断したときの部分的な構造を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図2に示す電子部品の通電装置を、III-III線に沿って切断したときの構造を模式的に示す断面図である。
【
図4】電子部品の一例である積層セラミックコンデンサの構成を模式的に示す斜視図である。
【
図5】搬送体の第2の主面側における部分拡大図である。
【
図6】
図5に示す搬送体をVI-VI線に沿って切断したときの断面図である。
【
図7】
図5に示す搬送体をVII-VII線に沿って切断したときの断面図である。
【
図8】(a)は、第1の端子が板バネからなる場合の電子部品の通電装置の部分的な構造を模式的に示す断面図であり、(b)は、第2の端子がローラ状の形状を有する場合の電子部品の通電装置の部分的な構造を模式的に示す断面図である。
【
図9】回転方向の120°毎に3つの領域に区分けして、異なる領域における収容部の径方向における位置が異なる搬送体を模式的に示す平面図である。
【
図10】同一の第1の通電端子と接触する電子部品を収容する収容部のうち、第2の方向である径方向における位置が異なる2つの収容部の位置関係を説明するための図である。
【
図11】第1の電子部品の通電装置と、従来の電子部品の通電装置とをそれぞれ用いて絶縁抵抗を計測した電子部品の数と、絶縁抵抗の未測率との関係を示すグラフである。
【
図12】第2の実施形態における電子部品の通電装置の構成を模式的に示す平面図である。
【
図13】収容部の第2の方向における一端側の位置に保持された電子部品と、第2の方向における他端側の位置に保持された電子部品との位置関係を示す図である。
【
図14】第3の実施形態における電子部品の通電装置の構成を模式的に示す断面図であって、(a)と(b)は、同一の第1の通電端子と接触する電子部品を収容する収容部のうち、第2の方向である径方向における位置が異なる収容部に収容された電子部品が第1の通電端子と第2の通電端子にそれぞれ接触した状態を模式的に示す。
【
図15】平板状の形状を有する搬送体を模式的に示す平面図である。
【
図16】円筒状の形状を有する搬送体を模式的に示す斜視図である。
【
図17】ベルト状の形状を有する搬送体を模式的に示す斜視図である。
【
図18】特許文献1に記載の電子部品検査選別装置におけるテーブルの構成を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴を具体的に説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態における電子部品の通電装置100の構成を模式的に示す平面図である。
図2は、
図1に示す電子部品の通電装置100を、後述する通電端子が設けられている位置で切断したときの部分的な構造を模式的に示す断面図である。
図3は、
図2に示す電子部品の通電装置100を、III-III線に沿って切断したときの構造を模式的に示す断面図である。ただし、
図1では、後述する第1の通電端子30を省略している。
【0014】
第1の実施形態における電子部品の通電装置100は、搬送体10と、駆動部20と、第1の通電端子30とを備える。電子部品の通電装置100は、さらに、第2の通電端子40を備えていてもよいし、ベース部材50を備えていてもよい。
【0015】
搬送体10には、外部電極2a,2bを有する電子部品1を収容する収容部11が複数設けられている。本実施形態において、各収容部11は、搬送体10の第1の主面10aから第2の主面10bまで貫通した貫通孔である。搬送体10は、収容部11に収容された電子部品1を搬送可能である。
【0016】
搬送対象である電子部品1は、例えば、
図4に示すような積層セラミックコンデンサである。
図4に示す積層セラミックコンデンサは、全体として直方体状の形状を有し、表面に第1の外部電極2aと第2の外部電極2bとを有する。
図4に示す積層セラミックコンデンサにおいて、第1の外部電極2aおよび第2の外部電極2bは、長さ方向Lに相対する位置に設けられている。積層セラミックコンデンサの長さ方向Lの寸法は、例えば、0.1mm以上7mm以下、幅方向Wの寸法は、例えば、0.1mm以上5mm以下、厚み方向Tの寸法は、例えば、0.01mm以上4mm以下である。ただし、電子部品1が積層セラミックコンデンサに限定されることはなく、コイル、サーミスタ、多層基板などであってもよい。
【0017】
本実施形態において、搬送体10は、回転可能な円盤状の形状を有するテーブルである。搬送体10が回転可能な円盤状の形状を有することにより、電子部品の通電装置100の小型化を実現することができる。搬送体10は、例えば、ガラス、ジルコニア等のセラミックス、樹脂などからなる。搬送体10の厚みは、例えば、0.1mm以上10mm以下であり、直径は、例えば、200mm以上500mm以下である。
【0018】
上述したように、搬送体10には、複数の収容部11が設けられている。本実施形態では、搬送方向である周方向だけでなく、径方向にも複数の収容部11が並んで設けられている。ただし、収容部11が径方向には複数設けられず、周方向にのみ並んで設けられていてもよい。周方向に並んで設けられている複数の収容部11を結ぶ円の直径は、例えば、20mm以上480mm以下である。周方向に並んで設けられている複数の収容部11の数は、例えば、50個以上1000個以下であり、周方向において隣り合う収容部11同士の間隔は、例えば、0.1mm以上5mm以下である。また、径方向に並んで設けられている複数の収容部11の数は、例えば、1個以上20個以下であり、径方向において隣り合う収容部11同士の間隔は、例えば、0.1mm以上5mm以下である。
【0019】
本実施形態では、1つの収容部11に1つの電子部品1が収容される。具体的には、第1の外部電極2aおよび第2の外部電極2bのうちの一方が搬送体10の第1の主面10a側に位置し、他方が第2の主面10b側に位置する態様で、電子部品1は、収容部11に収容される。
図2に示す例では、第1の外部電極2aが搬送体10の第1の主面10a側に位置し、第2の外部電極2bが第2の主面10b側に位置している。この場合、
図2に示すように、長さ方向Lにおける第1の外部電極2aの端部は、搬送体10の第1の主面10aよりも外側に位置し、長さ方向Lにおける第2の外部電極2bの端部は、搬送体10の第2の主面10bよりも外側に位置することが好ましい。
【0020】
搬送体10の第1の主面10aと直交する方向に見たときの収容部11の形状は、例えば、円形である。その場合、円形である収容部11の直径は、電子部品1の幅方向Wの寸法の√2倍より大きく、かつ、厚み方向Tの寸法の√2倍より大きい。ただし、搬送体10の第1の主面10aと直交する方向に見たときの収容部11の形状が円形に限定されることはなく、矩形でもよいし、楕円形でもよい。収容部11の形状が矩形である場合、収容部11は、収容される電子部品1と収容部11を構成する側壁との間に、例えば、0.05mm以上の隙間が生じるような大きさを有する。
【0021】
収容部11は、搬送体10の第1の主面10a側から第2の主面10b側に向かって孔の大きさが少しずつ小さくなるテーパ形状を有していてもよい。収容部11が上述したテーパ形状を有する場合、電子部品1を振り込みなどの方法で収容部11に収容しやすくなる。
【0022】
電子部品1は、例えば、
図1に示す供給位置A1で搬送体10の第1の主面10aに供給されて収容部11に収容され、第1の方向θ、すなわち、周方向に搬送されて、通電位置A2で通電が行われる。その後、電子部品1は、排出位置A3で収容部11から排出される。供給位置A1では、例えば、振動フィーダによって、搬送体10の第1の主面10aに電子部品1が供給される。ただし、電子部品1を搬送体10の第1の主面10aに供給して収容部11に収容する方法に特に制約はない。
【0023】
駆動部20は、搬送体10を駆動可能に構成されている。駆動部20は、例えば、搬送体10の第2の主面10b側に配置されたモータであり、搬送体10の中央部に取り付けられている回転軸と連結されている。そのような構成において、モータが駆動すると、搬送体10は、回転軸を中心とする回転方向に駆動される。すなわち、本実施形態において、搬送体10の駆動方向である第1の方向θは、回転方向、すなわち、平面視で円形の搬送体10の周方向である。また、後述する第1の方向θと直交する第2の方向rは、平面視で円形の搬送体10の径方向である。
【0024】
搬送体10の駆動方法は、連続駆動でもよいし、間欠駆動でもよい。搬送体10を回転方向に駆動する際の回転速度は、例えば、1rpm以上100rpm以下である。
【0025】
本実施形態において、搬送体10の第2の主面10b側には、ベース部材50が配置されている。ベース部材50は、例えば、円盤状の形状を有するテーブルである。搬送体10は、ベース部材50の一方主面である搬送面50a上に載置されており、搬送面50a上を滑るようにして回転する。
【0026】
図5は、搬送体10の第2の主面10b側における部分拡大図である。
図6は、
図5に示す搬送体10をVI-VI線に沿って切断したときの断面図である。
図7は、
図5に示す搬送体10をVII-VII線に沿って切断したときの断面図である。
【0027】
図7に示すように、本実施形態において、ベース部材50の搬送面50a側には、円環状の吸引溝51が設けられている。また、ベース部材50の搬送面50aとは反対側の裏面50bには、吸引溝51と連通する連通孔52が設けられている。連通孔52は、吸引ポンプなどの吸引装置と連結されている。
【0028】
吸引溝51の溝幅は、例えば、0.01mm以上である。また、吸引溝51の深さは、例えば、0.01mm以上である。吸引装置による吸引圧は、例えば、-0.5kPa以上0kPa未満である。
【0029】
搬送体10の第2の主面10b側には、複数の収容部11毎に独立して、吸引孔12が設けられている。吸引孔12は、複数の収容部11のそれぞれの同じ位置に設けられている。ここでの「同じ位置」とは、収容部11を単体で見たときの同じ位置を意味する。吸引孔12は、吸引装置と、収容部11とを連通させる。すなわち、
図7に示すように、搬送体10の収容部11は、ベース部材50の吸引溝51と対向していないが、吸引孔12の一部がベース部材50の吸引溝51と対向している。そのような構造により、吸引装置から、連通孔52、吸引溝51、および、吸引孔12を介して、収容部11の第2の主面10b側の開口へと連通する吸引経路が形成される。したがって、吸引装置によって吸引が行われると、連通孔52、吸引溝51、および、吸引孔12を介して、収容部11に収容されている電子部品1が吸引される。これにより、電子部品1は、収容部11内の吸引孔12側の位置で保持されるので、電子部品1を安定的に搬送することができる。本実施形態では、吸引装置、ベース部材50の連通孔52および吸引溝51が、吸引孔12を介して吸引を行うことが可能な吸引機構を構成する。
【0030】
吸引孔12は、
図5に示すように、径方向に延びるように設けられている。吸引孔12の溝幅は、例えば、0.01mm以上、かつ、周方向に隣接する収容部11の間隔以下である。また、吸引孔12の深さは、例えば、0.01mm以上、かつ、搬送体10の厚みに対して0.1mm以上短い寸法である。
【0031】
本実施形態において、搬送体10には、共通溝13が設けられている。共通溝13は、少なくとも1つの収容部11の第2の主面10b側の開口と連通しており、第1の方向θ、すなわち、回転方向に沿って設けられている。本実施形態において、円盤状の形状を有する搬送体10は、回転方向に駆動されるため、共通溝13は、円環状に設けられている。また、本実施形態において、共通溝13は、全ての収容部11の第2の主面10b側の開口と連通しているが、一部の収容部11と連通していない構成としてもよい。
【0032】
共通溝13の溝幅は、例えば、0.01mm以上、収容部11の径方向の寸法以下である。また、共通溝13の深さは、例えば、0.01mm以上、搬送体10の厚みに対して0.1mm以上短い寸法以下である。
【0033】
ただし、共通溝13を設けずに、それぞれの収容部11に対する吸引を個別に行うように構成してもよい。
【0034】
第1の通電端子30は、電子部品1を通電させるための端子であって、搬送体10の収容部11に収容された電子部品1の外部電極2a,2bと接触可能に設けられている。第1の通電端子30は、搬送体10の第1の主面10aおよび第2の主面10bのうちの一方の主面側であって、搬送体10とは離間した位置に、固定された状態で設けられている。
【0035】
本実施形態において、第1の通電端子30は、通電位置A2において、搬送体10の第1の主面10a側に配置されており、電子部品1の第1の外部電極2aと接触する。より具体的には、駆動部20によって搬送体10が第1の方向θに駆動されている間、複数の収容部11にそれぞれ収容されている複数の電子部品1が第1の方向θに搬送されることによって、複数の電子部品1の第1の外部電極2aが順次、第1の通電端子30と接触する。
【0036】
搬送体10の周方向だけでなく、径方向にも複数の収容部11が設けられている場合、第1の通電端子30も径方向に複数配置する。
【0037】
第1の通電端子30は、例えば、搬送体10が駆動される第1の方向θに回転可能なローラ状の形状を有する(
図2、
図3参照)。具体的には、第1の通電端子30は、第2の方向rと平行な中心軸を有する円柱状の形状を有し、中心軸を中心に回転可能に構成されている。第1の通電端子30を中心軸の延伸方向と直交する平面で切断したときの断面の形状は円形である。第1の通電端子30のうち、電子部品1の第1の外部電極2aおよび第2の外部電極2bと接触する部分は、鉄、銅、銀などの金属や、鉄、銅、銀などを含む合金などの導電性材料からなる。また、第1の通電端子30のうち、電子部品1の外部電極2a,2bと接触する部分は、別の導電性材料による表面処理が施されていてもよい。
【0038】
第2の通電端子40は、第1の通電端子30とともに電子部品1を通電させるための端子であって、搬送体10の収容部11に収容された電子部品1の外部電極2a,2bと接触可能に設けられている。第2の通電端子40は、搬送体10の第1の主面10aおよび第2の主面10bのうちの他方の主面側であって、搬送体10とは離間した位置に、固定された状態で設けられている。
【0039】
本実施形態において、第2の通電端子40は、通電位置A2において、搬送体10の第2の主面10b側に配置されており、電子部品1の第2の外部電極2bと接触する。より具体的には、駆動部20によって搬送体10が第1の方向θに駆動されている間、複数の収容部11にそれぞれ収容されている複数の電子部品1が第1の方向θに搬送されることによって、複数の電子部品1の第2の外部電極2bが順次、第2の通電端子40と接触する。
【0040】
第2の通電端子40は、例えば、ベース部材50に固定された状態で設けられた固定端子である。第2の通電端子40のうち、電子部品1の第2の外部電極2bと接触する部分は、鉄、銅、銀などの金属や、鉄、銅、銀などを含む合金などの導電性材料からなる。また、第2の通電端子40のうち、電子部品1の外部電極2a,2bと接触する部分は、別の導電性材料による表面処理が施されていてもよい。
【0041】
電子部品1の第1の外部電極2aに第1の通電端子30が接触し、第2の外部電極2bに第2の通電端子40が接触することにより、第1の外部電極2aと第2の外部電極2bとの間に電圧が印加され、電子部品1が通電する。電子部品1を通電させることにより、電子部品1の電気的特性を測定したり、電子部品1である積層セラミックコンデンサを充電したりすることができる。
【0042】
なお、第1の通電端子30の形状がローラ状に限定されることはない。
図8(a)は、板バネからなる第1の通電端子30の構成を模式的に示す断面図である。
図8(a)に示す第1の通電端子30は、電子部品1の第1の外部電極2aに対して弾性的に接触する。すなわち、第1の通電端子30は、電子部品1の第1の外部電極2aと接触すると、電子部品1とは反対側に押されるが、このとき、電子部品1には、第1の通電端子30からの弾性力が印加される。そのような構成により、第1の通電端子30と電子部品1の第1の外部電極2aとの間の接続信頼性をより向上させることができる。
【0043】
また、第2の通電端子40が固定端子に限定されることはなく、第1の通電端子30と同様に、ローラ状の形状を有する端子であってもよいし(
図8(b)参照)、上述した板バネからなる端子であってもよい。
【0044】
本実施形態における電子部品の通電装置100は、搬送体10に設けられている複数の収容部11の位置に特徴がある。すなわち、駆動部20によって搬送体10が第1の方向θに駆動されたときに、同一の第1の通電端子30と接触する複数の電子部品1のそれぞれの移動軌跡には、第1の方向θと直交する第2の方向rにおける位置が異なる移動軌跡が含まれるように、収容部11が設けられている。このことについて詳しく説明する。
【0045】
本実施形態では、駆動部20によって搬送体10が駆動されたときに、同一の第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する収容部11には、第2の方向rにおける位置が異なる収容部11が含まれている。すなわち、同一の第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する複数の収容部11は、第2の方向rにおける位置が全て同じではなく、第2の方向rにおける位置が異なるものが含まれている。
【0046】
図1において、収容部11a,11b,11c,11dにそれぞれ収容される電子部品1は、同一の第1の通電端子30と接触する。収容部11e,11f,11g,11h,11iにそれぞれ収容される電子部品1は、同一の第1の通電端子30と接触する。収容部11j,11k,11l,11mにそれぞれ収容される電子部品1は、同一の第1の通電端子30と接触する。
【0047】
収容部11a,11b,11c,11dにそれぞれ収容される電子部品1は、収容部11e,11f,11g,11h,11iにそれぞれ収容される電子部品1と接触する第1の通電端子30とは接触しない。収容部11e,11f,11g,11h,11iにそれぞれ収容される電子部品1は、収容部11a,11b,11c,11dにそれぞれ収容される電子部品1と接触する第1の通電端子30とは接触せず、かつ、収容部11j,11k,11l,11mにそれぞれ収容される電子部品1と接触する第1の通電端子30とは接触しない。収容部11j,11k,11l,11mにそれぞれ収容される電子部品1は、収容部11e,11f,11g,11h,11iにそれぞれ収容される電子部品1と接触する第1の通電端子30とは接触しない。
【0048】
同一の第1の通電端子30と接触する、収容部11a,11b,11c,11dにそれぞれ収容される電子部品1のうち、収容部11a,11bにそれぞれ収容される電子部品1の移動軌跡は、収容部11c,11dにそれぞれ収容される電子部品1の移動軌跡と、第2の方向rにおける位置が異なる。すなわち、同一の第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する収容部11a,11b,11c,11dのうち、収容部11a,11bと、収容部11c,11dは、
図1に示すように、第2の方向rにおける位置が異なる。
【0049】
また、同一の第1の通電端子30と接触する、収容部11e,11f,11g,11h,11iにそれぞれ収容される電子部品1のうち、収容部11e,11fにそれぞれ収容される電子部品1の移動軌跡は、収容部11g,11h,11iにそれぞれ収容される電子部品1の移動軌跡と、第2の方向rにおける位置が異なる。すなわち、同一の第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する収容部11e,11f,11g,11h,11iのうち、収容部11e,11fと、収容部11g,11h,11iは、
図1に示すように、第2の方向rにおける位置が異なる。
【0050】
また、同一の第1の通電端子30と接触する、収容部11j,11k,11l,11mにそれぞれ収容される電子部品1のうち、収容部11jに収容される電子部品1の移動軌跡は、収容部11k,11l,11mにそれぞれ収容される電子部品1の移動軌跡と、第2の方向rにおける位置が異なる。すなわち、同一の第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する収容部11j,11k,11l,11mのうち、収容部11jと、収容部11k,11l,11mは、
図1に示すように、第2の方向rにおける位置が異なる。
【0051】
一例として、
図9に示すように、平面視で円形の搬送体10を、第1の方向θである回転方向において複数の領域B1、B2、B3に区分けし、異なる領域における収容部11の位置が第2の方向rである径方向において異なるように、収容部11を設ける。例えば、領域B1に位置する収容部11に対して、領域B2に位置する収容部11は、第2の方向rにおいて0.5mmずれた位置に設ける。また、領域B2に位置する収容部11に対して、領域B3に位置する収容部11は、第2の方向rにおいて0.5mmずれた位置に設ける。ただし、第2の方向rにずらす距離が0.5mmに限定されることはない。
【0052】
図9に示す例では、搬送体10を、回転方向の120°毎に3つの領域B1、B2、B3に区分けしている。なお、
図9では、
図1と異なり、1つの第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する複数の収容部11のみを示しており、特に、3つの領域B1、B2、B3のそれぞれに設けられている複数の収容部11の径方向の位置が異なることが分かるように、収容部11の位置を示している。
【0053】
区分けした複数の領域B1、B2、B3のうち、同一の領域内に位置する複数の収容部11の径方向における位置は同じであるが、異なる領域に位置する収容部11同士の径方向における位置は異なる。そのような構成により、同一の第1の通電端子30と接触する複数の電子部品1の移動軌跡のうち、領域B1内の収容部11に収容されている電子部品1の移動軌跡、領域B2内の収容部11に収容されている電子部品1の移動軌跡、および、領域B3内の収容部11に収容されている電子部品1の移動軌跡は、第2の方向rにおいて異なる位置に位置し、互いに完全に一致することはない。
【0054】
同一の第1の通電端子30と接触する複数の電子部品1の複数の移動軌跡は、少なくとも一部が重なってもよいし、全く重ならなくてもよい。例えば、第2の方向rにおいて位置が異なる2つの収容部11の間の距離、すなわち、収容部11を第2の方向rにずらす距離は、第2の方向rにおける収容部11の寸法よりも長い場合に、2つの電子部品1の移動軌跡は、全く重ならない。また、第2の方向rにおいて位置が異なる2つの収容部11の間の距離が第2の方向rにおける収容部11の寸法よりも短い場合、2つの電子部品1の移動軌跡は、少なくとも一部が重なることもある。ただし、第2の方向rにおいて収容部11の寸法より電子部品1の寸法の方が小さいため、収容部11を第2の方向rにずらす距離が、第2の方向rにおける電子部品1の寸法よりも長い場合、2つの電子部品1の移動軌跡は、全く重ならない。
【0055】
このように、駆動部20によって搬送体10が第1の方向θに駆動されたときに、同一の第1の通電端子30と接触する複数の電子部品1のそれぞれの移動軌跡には、第1の方向θと直交する第2の方向rにおける位置が異なる移動軌跡が含まれるように、収容部11が設けられていることにより、電子部品1の第1の外部電極2aが第1の通電端子30と接触する位置を分散させることができる。これにより、電子部品の外部電極が通電端子の同じ位置で接触する従来の構成と比べると、第1の通電端子30の同一箇所における摩耗や汚れを抑制することができるので、摩耗や汚れに起因して、第1の通電端子30と、電子部品1の第1の外部電極2aとの間の通電状態が不良となることを抑制することができる。
【0056】
また、同様の理由により、電子部品1の第2の外部電極2bが第2の通電端子40と接触する位置を分散させることができるので、第2の通電端子40の同一箇所における摩耗や汚れを抑制することができる。これにより、摩耗や汚れに起因して、第2の通電端子40と、電子部品1の第2の外部電極2bとの間の通電状態が不良となることを抑制することができる。
【0057】
特に、本実施形態では、同一の第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する複数の収容部11には、第2の方向rにおける位置が異なる収容部11が含まれているので、電子部品1の第1の外部電極2aが第1の通電端子30と接触する位置をより確実に分散させることができる。これにより、第1の通電端子30と、電子部品1の第1の外部電極2aとの間の通電状態が不良となることをより確実に抑制することができる。第2の通電端子40についても同様である。
【0058】
また、第2の方向rにおいて位置が異なる2つの収容部11の間の距離が第2の方向rにおける収容部11の寸法よりも長い構成とすることにより、2つの電子部品1の移動軌跡は、全く重ならないので、第1の通電端子30の同一箇所における摩耗や汚れをより効果的に抑制することができる。これにより、第1の通電端子30と、電子部品1の第1の外部電極2aとの間の通電状態が不良となることをより効果的に抑制することができる。第2の通電端子40についても同様である。
【0059】
上述したように、本実施形態において、搬送体10は、回転可能な円盤状の形状を有しており、電子部品1の供給位置A1、通電位置A2および排出位置A3が回転方向に設けられている。従来の電子部品の通電装置において、搬送体が取り付けられた状態で通電端子と電子部品との接触位置を変更することは容易ではないため、本実施形態における電子部品の通電装置100のように、円盤状の搬送体10が第1の通電端子30と電子部品1との接触位置を分散させる機能を有することは特に有効である。
【0060】
図9に示す例では、同一の第1の通電端子30と接触する複数の電子部品1の移動軌跡が3つとなるため、電子部品1の第1の外部電極2aが第1の通電端子30と接触する位置が3箇所に分散される。ただし、搬送体10を区分けする領域は、2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0061】
また、同一の第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する複数の収容部11のうち、第2の方向rにおける位置が異なる収容部11を、周方向に順番に配置してもよいし、ランダムに配置してもよい。
【0062】
ここで、同一の第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する複数の収容部11のうち、第2の方向rである径方向における位置が異なる2つの収容部11の位置関係について、
図10を参照しながら説明する。
【0063】
第2の方向rである径方向において、第1の通電端子30の寸法をf1、電子部品1の外部電極2a,2bの寸法をW1、収容部11の寸法をM1、第2の方向rにおいて異なる位置にある2つの収容部11の第2の方向rにおける距離をt1とすると、次式(1)~(3)の関係が成り立つ。
1.1W1≦f1≦11W1 (1)
0.1W1≦t1≦10W1 (2)
M1≦f1-t1 (3)
【0064】
ここで、本実施形態における電子部品の通電装置100と、同一の第1の通電端子と接触する電子部品を収容する複数の収容部が第2の方向rの同じ位置に設けられている従来の電子部品の通電装置とを用いて、電子部品1を通電させて絶縁抵抗を計測する実験を行った。本実施形態における電子部品の通電装置100では、
図9に示すように、平面視で円形の搬送体10を、回転方向の120°毎に3つの領域B1、B2、B3に区分けし、異なる領域における収容部11の位置が第2の方向rにおいて異なるように、収容部11を設けた。
【0065】
図11は、絶縁抵抗を計測した電子部品の数と、絶縁抵抗の未測率との関係を示すグラフである。絶縁抵抗の未測率は、第1の通電端子30および第2の通電端子40と接触した電子部品1のうち、第1の通電端子30および第2の通電端子40の汚れや摩耗に起因して、絶縁抵抗を計測することができなかった電子部品1の割合である。
【0066】
図11に示すように、従来の電子部品の通電装置では、測定を行った電子部品1の数が約700000個を超えると、絶縁抵抗の未測率が急激に上昇し、未測率は最大で0.060%を超えた。
【0067】
これに対して、本実施形態における電子部品の通電装置100では、測定を行った電子部品1の数が約120000個くらいまでは、未測率はほぼ変わらなかった。また、測定を行った電子部品1の数が約130000個を超えると、未測率が少しずつ上昇したが、未測率は最大でも0.015%以下と低かった。
【0068】
すなわち、搬送体10を、回転方向の120°毎に3つの領域B1、B2、B3に区分けした本実施形態における電子部品の通電装置100では、第1の通電端子30および第2の通電端子40の同じ位置に接触する電子部品1の数が、従来の電子部品の通電装置と比べて1/3となる。これにより、第1の通電端子30および第2の通電端子40の同一箇所における摩耗や汚れを抑制することができるので、電子部品1を通電させたときの通電状態の悪化を抑制することができ、絶縁抵抗の未測率の低下を抑制することができる。
【0069】
<第2の実施形態>
第1の実施形態における電子部品の通電装置100では、同一の第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する複数の収容部11には、搬送体10が駆動される第1の方向θと直交する第2の方向rにおける位置が異なる収容部11が含まれている。
【0070】
これに対して、第2の実施形態における電子部品の通電装置100では、同一の第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する複数の収容部11の第2の方向rにおける位置は同じである。ただし、第2の実施形態における電子部品の通電装置100では、第2の方向rにおける収容部11の寸法が収容部11に収容されている電子部品1の第2の方向rにおける寸法よりも大きく、収容部11に収容される電子部品1の位置を変更することによって、電子部品1の外部電極2a,2bが第1の通電端子30と接触する位置が分散されるように構成されている。
【0071】
図12は、第2の実施形態における電子部品の通電装置100の構成を模式的に示す平面図である。
【0072】
同一の第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する複数の収容部11の第2の方向rにおける位置は同じである。第1の実施形態と同様に、収容部11a,11b,11c,11dにそれぞれ収容される電子部品1は、同一の第1の通電端子30と接触する。収容部11e,11f,11g,11h,11iにそれぞれ収容される電子部品1は、同一の第1の通電端子30と接触する。収容部11j,11k,11l,11mにそれぞれ収容される電子部品1は、同一の第1の通電端子30と接触する。
【0073】
図12では、複数の収容部11のうち、一部の収容部11に収容されている電子部品1の収容位置を変更した状態を示している。例えば、同一の第1の通電端子30と接触する、収容部11a,11b,11c,11dにそれぞれ収容されている電子部品1のうち、収容部11a,11bにそれぞれ収容されている電子部品1は、収容部内の径方向内側に位置し、収容部11c,11dにそれぞれ収容されている電子部品1は、収容部内の径方向外側に位置する。このため、収容部11a,11bにそれぞれ収容されている電子部品1の移動軌跡は、収容部11c,11dにそれぞれ収容されている電子部品1の移動軌跡と、第2の方向rにおける位置が異なる。
【0074】
また、同一の第1の通電端子30と接触する、収容部11e,11f,11g,11h,11iにそれぞれ収容されている電子部品1のうち、収容部11e,11fにそれぞれ収容されている電子部品1は、収容部内の径方向内側に位置し、収容部11g,11h,11iにそれぞれ収容されている電子部品1は、収容部内の径方向外側に位置する。このため、収容部11e,11fにそれぞれ収容されている電子部品1の移動軌跡は、収容部11g,11h,11iにそれぞれ収容されている電子部品1の移動軌跡と、第2の方向rにおける位置が異なる。
【0075】
また、同一の第1の通電端子30と接触する、収容部11j,11k,11l,11mにそれぞれ収容されている電子部品1のうち、収容部11jに収容されている電子部品1は、収容部内の径方向内側に位置し、収容部11k,11l,11mにそれぞれ収容されている電子部品1は、収容部内の径方向外側に位置する。このため、収容部11jに収容されている電子部品1の移動軌跡は、収容部11k,11l,11mにそれぞれ収容されている電子部品1の移動軌跡と、第2の方向rにおける位置が異なる。
【0076】
本実施形態において、第2の方向rにおける収容部11の寸法は、収容部11に収容されている電子部品1の第2の方向rにおける寸法よりも2倍以上大きい。そのような構成により、収容部11の第2の方向rにおける一端側に位置する電子部品1の移動軌跡と、他端側に位置する電子部品1の移動軌跡とは、完全に重ならないので、第1の通電端子30の同一箇所における摩耗や汚れをより効果的に抑制することができる。
【0077】
本実施形態における電子部品の通電装置100では、搬送体10の収容部11に収容された状態で搬送される電子部品1の収容位置を切り替え可能に構成されている。具体的には、収容部11の第2の方向rにおける一端側に第1の吸引孔14が設けられ、他端側に第2の吸引孔15が設けられており、第1の吸引孔14を介した吸引と、第2の吸引孔15を介した吸引とを切り替え可能な吸引機構を備える(
図13参照)。すなわち、吸引機構によって、収容部11の第2の方向rにおける一端側、例えば、第2の方向rである径方向の内側から吸引を行うと、電子部品1は、収容部11の径方向内側の位置に保持され、径方向の外側から吸引を行うと、電子部品1は、収容部11の径方向外側の位置に保持される。
【0078】
例えば、
図5~
図7において、吸引機構により、電子部品1を収容部11の径方向における一端側に保持する構成を示しているが、同様の構成を、収容部11の径方向における他端側にも設ければよい。
【0079】
電子部品1の第2の方向rにおける収容位置の切り替えは、例えば、搬送体10が1周回転するたびに行ってもよいし、所定時間毎に行ってもよい。すなわち、収容位置の切り替えは、任意のタイミングで行うことができる。ただし、個々の収容部11の収容位置を切り替えることなく、搬送体10に、第2の方向rにおける一端側に第1の吸引孔14が設けられた収容部11と、第2の方向rにおける他端側に第2の吸引孔15が設けられた収容部11とを設けた構成としてもよい。すなわち、同一の第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する複数の収容部11には、第2の方向rにおける吸引孔の位置が異なるものが含まれていてもよい。
【0080】
図13は、収容部11の第2の方向rにおける一端側の位置に保持された電子部品1と、第2の方向rにおける他端側の位置に保持された電子部品1との位置関係を示す図である。第2の方向rである径方向において、第1の通電端子30の寸法をf1、電子部品1の外部電極2a,2bの寸法をW1、収容部11の寸法をM1、収容部11の第2の方向rの一端側の位置に保持された電子部品1と、第2の方向rの他端側の位置に保持された電子部品1との間の第2の方向rにおける距離をt2とすると、次式(4)~(6)の関係が成り立つ。
1.1W1≦f1≦11W1 (4)
0.1W1≦t2≦10W1 (5)
M1≦f1 (6)
【0081】
本実施形態における電子部品の通電装置100によれば、搬送体10の収容部11の内部で電子部品1を収容する位置を切り替えることにより、電子部品1が第1の通電端子30と接触する位置を分散させることができる。これにより、第1の通電端子30の同一箇所における摩耗や汚れを抑制することができ、摩耗や汚れに起因して、第1の通電端子30と、電子部品1の第1の外部電極2aとの間の通電状態が不良となることを抑制することができる。同様に、第2の通電端子40の同一箇所における摩耗や汚れを抑制することができ、摩耗や汚れに起因して、第2の通電端子40と、電子部品1の第2の外部電極2bとの間の通電状態が不良となることを抑制することができる。
【0082】
<第3の実施形態>
上述した第1の実施形態および第2の実施形態における電子部品の通電装置100では、搬送体10の一方の主面側に第1の通電端子30が設けられ、他方の主面側に第2の通電端子40が設けられている。
【0083】
これに対して、第3の実施形態における電子部品の通電装置100では、搬送体10の一方の主面側に、第1の通電端子30および第2の通電端子40が設けられている。
【0084】
ここでは、第1の実施形態における電子部品の通電装置100と同様に、同一の第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する複数の収容部11には、第2の方向rにおける位置が異なる収容部11が含まれているものとして説明する。
【0085】
図14は、第3の実施形態における電子部品の通電装置100の構成を模式的に示す断面図であって、(a)と(b)は、同一の第1の通電端子30および同一の第2の通電端子40と接触する電子部品1を収容する収容部11のうち、第2の方向rである径方向における位置が異なる収容部11に収容された電子部品1が第1の通電端子30と第2の通電端子40にそれぞれ接触した状態を模式的に示す。
【0086】
搬送体10には、複数の収容部11が設けられている。本実施形態において、複数の収容部11はそれぞれ、搬送体10の一方の主面側に設けられており、貫通孔ではなく、凹部状の形状を有する。
図14に示す例では、複数の収容部11はそれぞれ、搬送体10の第1の主面10a側に設けられている。
【0087】
電子部品1は、一方の主面に第1の外部電極2aと第2の外部電極2bとを有する。搬送体10の収容部11に収容された状態で、例えば、電子部品1の第1の外部電極2aおよび第2の外部電極2bのうちの一方の外部電極は、第2の方向rである径方向の内側に位置し、他方の外部電極は、径方向の外側に位置する。
【0088】
電子部品1の通電時に、第1の通電端子30は、電子部品1の第1の外部電極2aおよび第2の外部電極2bのうちの一方の外部電極と接触し、第2の通電端子40は、他方の外部電極と接触する。
図14に示す例では、第1の通電端子30が電子部品1の第1の外部電極2aと接触し、第2の通電端子40が第2の外部電極2bと接触した状態を示している。
【0089】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、同一の第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する収容部11には、搬送体10が駆動される第1の方向θと直交する第2の方向rにおいて、位置が異なる収容部11が含まれる。すなわち、同一の第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する複数の収容部11には、第2の方向rにおいて位置が異なる収容部11が含まれている。
【0090】
そのような構成により、本実施形態における電子部品の通電装置100も、第1の実施形態における電子部品の通電装置100と同様に、複数の電子部品1の第1の外部電極2aが同一の第1の通電端子30と接触する位置を分散させることができる。これにより、第1の通電端子30の同一箇所における摩耗や汚れを抑制することができるので、摩耗や汚れに起因して、電子部品1を通電させたときの通電状態の悪化を抑制することができる。
【0091】
なお、第3の実施形態における電子部品の通電装置において、第2の実施形態における電子部品の通電装置と同様に、同一の第1の通電端子30と接触する電子部品1を収容する複数の収容部11の第2の方向rにおける位置は同じであるが、収容部11に収容される電子部品1の位置を変更することによって、電子部品1の外部電極2a,2bが第1の通電端子30と接触する位置が分散されるように構成してもよい。
【0092】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0093】
上述した各実施形態において、搬送体10は、円盤状の形状を有するものとして説明したが、搬送体10の形状が円盤状の形状に限定されることはない。例えば、
図15に示すように、搬送体10の形状は、平板状の形状であってもよい。搬送体10の形状が平板状の形状である場合、搬送体10は、主面と平行な方向に駆動される。その場合の搬送体10の駆動速度は、例えば、0.1m/s以上10m/s以下である。
【0094】
また、
図16に示すように、搬送体10の形状は、円筒状の形状でもよい。
図16に示す搬送体10の外周面には、複数の収容部11が設けられている。この場合、搬送体10は、周方向に回転するように駆動される。
【0095】
また、
図17に示すように、搬送体10の形状は、ベルト状の形状であってもよい。
図17に示す搬送体10は、無端回転ベルト状の形状を有するが、有端ベルト状の形状を有していてもよい。
【0096】
ただし、搬送体10が円盤状または平板状の形状を有する構成によれば、円筒状またはベルト状の形状を有する構成と比べて、複数の収容部11を形成する際、加工がしやすい。
【0097】
本出願における電子部品の通電装置は、以下の通りである。
<1>.外部電極を有する電子部品を収容する収容部が複数設けられ、前記収容部に収容された前記電子部品を搬送可能な搬送体と、
前記搬送体を駆動可能な駆動部と、
前記収容部に収容された前記電子部品の前記外部電極と接触可能な第1の通電端子と、
を備え、
前記駆動部によって前記搬送体が第1の方向に駆動されたときに、同一の前記第1の通電端子と接触する複数の前記電子部品それぞれの移動軌跡には、前記第1の方向と直交する第2の方向における位置が異なる前記移動軌跡が含まれるように、前記収容部が設けられていることを特徴とする電子部品の通電装置。
<2>.前記収容部は、前記搬送体の第1の主面から第2の主面まで貫通した貫通孔であり、
前記第1の通電端子は、前記搬送体の前記第1の主面および前記第2の主面のうちの一方の主面側に設けられており、
前記搬送体の他方の主面側に設けられ、前記電子部品の前記外部電極と接触可能な第2の通電端子をさらに備えることを特徴とする<1>に記載の電子部品の通電装置。
<3>.同一の前記第1の通電端子と接触する前記電子部品を収容する複数の前記収容部には、前記第2の方向における位置が異なる前記収容部が含まれていることを特徴とする<1>または<2>に記載の電子部品の通電装置。
<4>.前記第2の方向において、位置が異なる2つの前記収容部の間の距離は、前記第2の方向における前記収容部の寸法よりも長いことを特徴とする<3>に記載の電子部品の通電装置。
<5>.複数の前記収容部にはそれぞれ、同じ位置に吸引孔が設けられており、
前記吸引孔を介して吸引を行うことが可能な吸引機構をさらに備えることを特徴とする<1>~<4>のいずれか一つに記載の電子部品の通電装置。
<6>.前記第2の方向における前記収容部の寸法は、前記収容部に収容されている前記電子部品の前記第2の方向における寸法よりも大きく、
前記収容部の前記第2の方向の一端側に第1の吸引孔が設けられ、他端側に第2の吸引孔が設けられており、
前記第1の吸引孔を介した吸引と、前記第2の吸引孔を介した吸引とを切り替え可能な吸引機構をさらに備えることを特徴とする<1>または<2>に記載の電子部品の通電装置。
<7>.前記第2の方向における前記収容部の寸法は、前記収容部に収容されている前記電子部品の前記第2の方向における寸法よりも2倍以上大きいことを特徴とする<6>に記載の電子部品の通電装置。
<8>.外部電極を有する電子部品を収容する収容部が複数設けられ、前記収容部に収容された前記電子部品を搬送可能な搬送体と、
前記搬送体を駆動可能な駆動部と、
前記収容部に収容された前記電子部品の前記外部電極と接触可能な第1の通電端子と、
を備え、
前記駆動部によって前記搬送体が駆動される方向である第1の方向と直交する第2の方向における前記収容部の寸法は、前記収容部に収容されている前記電子部品の前記第2の方向における寸法よりも大きく、
前記収容部の前記第2の方向の一端側に第1の吸引孔が設けられ、他端側に第2の吸引孔が設けられており、
前記第1の吸引孔を介した吸引と、前記第2の吸引孔を介した吸引とを切り替え可能な吸引機構をさらに備えることを特徴とする電子部品の通電装置。
<9>.前記第1の通電端子は、回転可能なローラ状の形状を有することを特徴とする請求項<1>~<8>のいずれか一つに記載の電子部品の通電装置。
<10>.前記搬送体は、回転可能な円盤状の形状を有することを特徴とする<1>~<9>のいずれか一つに記載の電子部品の通電装置。
【符号の説明】
【0098】
1 電子部品
2a 第1の外部電極
2b 第2の外部電極
10 搬送体
11 収容部
12 吸引孔
13 共通溝
14 第1の吸引孔
15 第2の吸引孔
20 駆動部
30 第1の通電端子
40 第2の通電端子
50 ベース部材
51 吸引溝
52 連通孔
100 電子部品の通電装置