(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070368
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】インテークマニホールド
(51)【国際特許分類】
F02M 35/10 20060101AFI20240516BHJP
F02M 35/104 20060101ALI20240516BHJP
F02M 35/112 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
F02M35/10 301P
F02M35/104 A
F02M35/112
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180811
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】小池 佑一
(57)【要約】
【課題】構造の簡素化、軽量化、型成形する際の成形性の向上を図り、サージタンクに連通する連通路を備えたインテークマニホールドを提供する。
【解決手段】吸気を一時的に貯留するサージタンクm1、サージタンクから湾曲して延出しサージタンクの周りに離隔して配置される複数の分岐管m2、サージタンクと複数の分岐管の間に介在して両者を連結する連結部m3,130,140,m4,150、サージタンク内の吸気の状態量を検出し又は吸気に通じる機能部品6を取り付ける取付開口部370、サージタンクから取付開口部まで連通する連通路141,160aを備えたインテークマニホールドにおいて、連通路141は連結部140を含む領域に形成されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気を一時的に貯留するサージタンクと、前記サージタンクから湾曲して延出し前記サージタンクの周りに離隔して配置される複数の分岐管と、前記サージタンクと前記複数の分岐管の間に介在して両者を連結する連結部と、前記サージタンク内の吸気の状態量を検出し又は吸気に通じる機能部品を取り付ける取付開口部と、前記サージタンクから前記取付開口部まで連通する連通路と、を備え、
前記連通路は、前記連結部を含む領域に形成されている、
ことを特徴とするインテークマニホールド。
【請求項2】
前記連通路は、前記複数の分岐管同士の間を含む領域に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテークマニホールド。
【請求項3】
前記連通路は、屈曲して形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のインテークマニホールド。
【請求項4】
前記連結部は、前記サージタンクと前記複数の分岐管との間に介在する少なくとも一つリブ板と、前記リブ板に隣接する筒状部を含み、
前記連通路は、前記筒状部に形成された貫通路を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一つに記載のインテークマニホールド。
【請求項5】
前記サージタンクは、所定の軸線方向に長尺に形成され、
前記複数の分岐管は、前記軸線方向に配列され、
前記リブ板は、前記軸線方向に延在する、
ことを特徴とする請求項4に記載のインテークマニホールド。
【請求項6】
前記サージタンクは、前記軸線方向の一端側において、スロットル装置を取り付けるフランジ部を含み、
前記筒状部は、前記軸線方向に対して垂直な方向において、前記フランジ部から外れた位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項5に記載のインテークマニホールド。
【請求項7】
前記サージタンクの内側壁を画定する内側タンク半殻部、前記複数の分岐管の内側壁を画定する複数の内側管半殻部、及び前記連結部を含む内側成形部材と、
前記サージタンクの外側壁を画定する外側タンク半殻部及び前記複数の分岐管の外側壁の一部を画定する複数の外側管半殻部を含む第1外側成形部材と、
前記複数の分岐管の外側壁の一部を画定する複数の外側管半殻部及び前記取付開口部を含む第2外側成形部材を含み、
前記内側成形部材を挟み込むように、前記内側成形部材に対して前記第1外側成形部材と前記第2外側成形部材とが接合されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテークマニホールド。
【請求項8】
前記内側成形部材は、前記複数の内側管半殻部の隣り合う同士の間において、前記連通路の内側壁を画定する内側通路半殻部を含み、
前記第2外側成形部材は、前記複数の外側管半殻部の隣り合う同士の間において、前記連通路の外側壁を画定する外側通路半殻部を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載のインテークマニホールド。
【請求項9】
前記連通路は、屈曲して形成されている、
ことを特徴とする請求項8に記載のインテークマニホールド。
【請求項10】
前記連結部は、前記内側タンク半殻部と前記複数の内側管半殻部との間に介在する少なくとも一つのリブ板と、前記リブ板に隣接する筒状部を含み、
前記連通路は、前記筒状部に形成された貫通路を含む、
ことを特徴とする請求項7ないし9いずれか一つに記載のインテークマニホールド。
【請求項11】
前記内側成形部材は、前記複数の内側管半殻部の隣り合う同士の間において、前記連通路の内側壁を画定する内側通路半殻部を含み、
前記第2外側成形部材は、前記複数の外側管半殻部の隣り合う同士の間において、前記連通路の外側壁を画定する外側通路半殻部を含み、
前記連結部は、前記内側タンク半殻部と前記複数の内側管半殻部との間に介在する少なくとも一つのリブ板と、前記リブ板に隣接する筒状部を含み、
前記連通路は、前記筒状部に形成された貫通路を含み、
前記内側通路半殻部は、凹状断面をなす溝通路を画定し、
前記外側通路半殻部は、前記溝通路を閉塞する閉塞板部と、前記溝通路の内壁と隙間をおいて前記閉塞板部から環状に突出して前記溝通路の底壁に当接し前記貫通路と前記取付開口部を連通させる環状壁部を有する、
ことを特徴とする請求項7に記載のインテークマニホールド。
【請求項12】
前記内側成形部材、前記第1外側成形部材、及び前記第2外側成形部材は、樹脂材料を用いて型成形されている、
ことを特徴とする請求項7に記載のインテークマニホールド。
【請求項13】
前記機能部品は、吸気の圧力を検出する圧力センサである、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテークマニホールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載されるエンジンの吸気系に適用されるインテークマニホールドに関し、特にサージタンク及び複数の分岐管を備えたインテークマニホールドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインテークマニホールドとしては、吸気を貯留するサージタンク(サージタンク部)と、内燃機関の吸気ポートとサージタンクとを繋ぐ複数の分岐管(吸気管部)と、サージタンク内の吸気圧を測定する吸気圧センサを取り付ける取付部と、分岐管同士の間を連結する補強部とを備え、補強部において、サージタンクから取付部まで繋がる吸気圧測定用孔が形成された、樹脂製インテークマニホールドが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このインテークマニホールドは、樹脂製の二つの分割体を接合して形成され、サージタンクから延出する二つの分岐管の間の付根領域において、二つの分割体により吸気圧測定用孔を画定するものである。
【0004】
また、他のインテークマニホールドとしては、空気取入口を有するサージタンクと、サージタンクに一端が接続されて水平対向エンジンの吸気ポートに他端側が接続される左右の分岐管(吸気管)と、サージタンクの外周部に形成されてサージタンク内の圧力を測定するための圧力測定部とを備えた樹脂製のインテークマニホールドが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
このインテークマニホールドは、樹脂製の上部形成体及び下部形成体を接合して形成され、圧力測定部は、サージタンクの外縁領域において、上部形成体に形成された上部カバーと下形成体に形成された下部カバーとを接合することで、吸気を通す通路を画定するものである。
【0006】
ところで、上記従来のインテークマニホールドにおいては、複数の分岐管(吸気管又は吸気管部)が、サージタンクから平行に左右に延出する構成において、分岐管同士の間の領域又はサージタンクの外縁部領域に、サージタンクに通じる通路又は吸気圧測定用孔を形成するものであり、サージタンクの周りを取り囲むように湾曲して配置される複数の分岐管を備える構成において同様の通路又は吸気圧測定用孔を形成するものではない。
したがって、サージタンクの周りを取り囲むように配置される複数の分岐管を備えるインテークマニホールドにおいて、構造の複雑化、型成形する際の駄肉や重量化等を抑制して、サージタンクに連通する連通路を形成することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5328563号公報
【特許文献2】特許第6915409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化、軽量化、型成形する際の成形性の向上を図り、サージタンクに連通する連通路を備えたインテークマニホールドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のインテークマニホールドは、吸気を一時的に貯留するサージタンクと、サージタンクから湾曲して延出しサージタンクの周りに離隔して配置される複数の分岐管と、サージタンクと複数の分岐管の間に介在して両者を連結する連結部と、サージタンク内の吸気の状態量を検出し又は吸気に通じる機能部品を取り付ける取付開口部と、サージタンクから取付開口部まで連通する連通路とを備え、連通路は、連結部を含む領域に形成されている、構成となっている。
【0010】
上記インテークマニホールドにおいて、連通路は、複数の分岐管同士の間を含む領域に形成されている、構成を採用してもよい。
【0011】
上記インテークマニホールドにおいて、連通路は、屈曲して形成されている、構成を採用してもよい。
【0012】
上記インテークマニホールドにおいて、連結部は、サージタンクと複数の分岐管との間に介在する少なくとも一つリブ板と、リブ板に隣接する筒状部を含み、連通路は、筒状部に形成された貫通路を含む、構成を採用してもよい。
【0013】
上記インテークマニホールドにおいて、サージタンクは所定の軸線方向に長尺に形成され、複数の分岐管は軸線方向に配列され、リブ板は軸線方向に延在する、構成を採用してもよい。
【0014】
上記インテークマニホールドにおいて、サージタンクは、軸線方向の一端側において、スロットル装置を取り付けるフランジ部を含み、筒状部は、軸線方向に対して垂直な方向において、フランジ部から外れた位置に配置されている、構成を採用してもよい。
【0015】
上記インテークマニホールドにおいて、サージタンクの内側壁を画定する内側タンク半殻部、複数の分岐管の内側壁を画定する複数の内側管半殻部、及び連結部を含む内側成形部材と、サージタンクの外側壁を画定する外側タンク半殻部及び複数の分岐管の外側壁の一部を画定する複数の外側管半殻部を含む第1外側成形部材と、複数の分岐管の外側壁の一部を画定する複数の外側管半殻部及び取付開口部を含む第2外側成形部材を含み、内側成形部材を挟み込むように、内側成形部材に対して第1外側成形部材と第2外側成形部材とが接合されている、構成を採用してもよい。
【0016】
上記インテークマニホールドにおいて、内側成形部材は、複数の内側管半殻部の隣り合う同士の間において、連通路の内側壁を画定する内側通路半殻部を含み、第2外側成形部材は、複数の外側管半殻部の隣り合う同士の間において、連通路の外側壁を画定する外側通路半殻部を含む、構成を採用してもよい。
【0017】
上記内側通路半殻部及び外側通路半殻部を含むインテークマニホールドにおいて、連通路は屈曲して形成されている、構成を採用してもよい。
【0018】
上記内側成形部材、第1外側成形部材及び第2外側成形部材を含むインテークマニホールドにおいて、連結部は、内側タンク半殻部と複数の内側管半殻部との間に介在する少なくとも一つのリブ板と、リブ板に隣接する筒状部を含み、連通路は、筒状部に形成された貫通路を含む、構成を採用してもよい。
【0019】
上記内側成形部材、第1外側成形部材及び第2外側成形部材を含むインテークマニホールドにおいて、内側成形部材は、複数の内側管半殻部の隣り合う同士の間において、連通路の内側壁を画定する内側通路半殻部を含み、第2外側成形部材は、複数の外側管半殻部の隣り合う同士の間において、連通路の外側壁を画定する外側通路半殻部を含み、連結部は、内側タンク半殻部と複数の内側管半殻部との間に介在する少なくとも一つのリブ板と、リブ板に隣接する筒状部を含み、連通路は、筒状部に形成された貫通路を含み、内側通路半殻部は、凹状断面をなす溝通路を画定し、外側通路半殻部は、溝通路を閉塞する閉塞板部と、溝通路の内壁と隙間をおいて閉塞板部から環状に突出して溝通路の底壁に当接し貫通路と取付開口部を連通させる環状壁部を有する、構成を採用してもよい。
【0020】
上記インテークマニホールドにおいて、内側成形部材、第1外側成形部材、及び第2外側成形部材は、樹脂材料を用いて型成形されている、構成を採用してもよい。
【0021】
上記インテークマニホールドにおいて、機能部品は、吸気の圧力を検出する圧力センサである、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0022】
上記構成をなすインテークマニホールドによれば、構造の簡素化、軽量化、型成形する際の成形性の向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係るインテークマニホールドを備えた内燃エンジン及び吸気システムを示す模式図である。
【
図2】一実施形態に係るインテークマニホールドを上方斜めから視た外観斜視図である。
【
図3】一実施形態に係るインテークマニホールドを下方斜めから視た外観斜視図である。
【
図4】一実施形態に係るインテークマニホールドを側方から視た側面図である。
【
図5】一実施形態に係るインテークマニホールドにおいて、所定の軸線方向に長尺なサージタンク及び分岐管を、軸線に交差する面で切断した斜視断面図である。
【
図6】一実施形態に係るインテークマニホールドにおいて、所定の軸線方向に長尺なサージタンク及び分岐管を、軸線に交差する面で切断した斜視断面図である。
【
図7】一実施形態に係るインテークマニホールドを分解して、一方向斜めから視た分解斜視図である。
【
図8】一実施形態に係るインテークマニホールドを分解して、他方向斜めから視た分解斜視図である。
【
図9】一実施形態に係るインテークマニホールドにおいて、所定の軸線方向に長尺なサージタンク、分岐管、連結部としての筒状部、取付開口部、連通路を、軸線に交差する面で切断した斜視断面図である。
【
図10】一実施形態に係るインテークマニホールドを構成する内側成形部材を示すものであり、一方向から視た外観斜視図である。
【
図11】一実施形態に係るインテークマニホールドを構成する内側成形部材を示すものであり、所定の軸線方向に長尺なサージタンクを構成する内側タンク半殻部、連結部としての筒状部、連通路を、軸線に交差する面で切断した斜視断面図である。
【
図12】一実施形態に係るインテークマニホールドにおいて、所定の軸線方向に長尺なサージタンクに設けられたフランジ部と連結部をなす筒状部との位置関係を示すものであり、軸線に平行な面で切断した断面図である。
【
図13】一実施形態に係るインテークマニホールドを構成する第2外側成形部材を示すものであり、複数の分岐管の外側壁の一部を画定する外側管半殻部を内側から視た外観斜視図である。
【
図14】一実施形態に係るインテークマニホールドを構成する第2外側成形部材を示すものであり、連通路を画定する環状壁部及び取付開口部の領域で切断した断面図である。
【
図15】一実施形態に係るインテークマニホールドにおいて、連通路の領域を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本発明のインテークマニホールドは、一例として自動車に搭載される三気筒の内燃エンジンEの吸気システムにおいて、エアクリーナより下流側でシリンダヘッドに組み付けられるものである。
内燃エンジンEは、
図1に示すように、シリンダブロック1、シリンダヘッド2、シリンダヘッド2の排気ポートに接続されたエキゾーストマニホールド3、シリンダヘッド2の吸気ポートに接続されたインテークマニホールドM等を備えている。
インテークマニホールドMには、スロットル装置4、吸気ダクト5、圧力センサ6、ブローバイホース7、燃料パージホース8、ブレーキブースターホース9、EGRパイプ(不図示)が接続されている。
【0025】
一実施形態に係るインテークマニホールドMは、型成形された三つの成形部材が接合されたものであり、組付け後の完成品としては、
図2ないし
図6に示すように、所定の軸線S方向に長尺に形成されて吸気を一時的に貯留するサージタンクm1、サージタンクm1から湾曲して延出しサージタンクm1の周りに離隔して配置される複数(ここでは三つ)の分岐管m2、サージタンクm1と複数の分岐管m2の間に介在して両者を連結する連結部m3(複数のリブ板及び筒状部)及び連結部m4(複数のリブ板)等を備えている。
ここで、連結部m3は、軸線S方向に型抜きされて形成され、連結部m4は、軸線Sに垂直な方向に型抜きされて形成されている。このように、型抜き方向の異なる連結部m3,m4を設けることにより、連結部全体としての機械的強度を高めることができる。
【0026】
サージタンクm1は、軸線S方向に長尺でかつ軸線Sに垂直な断面が略長楕円又は略矩形をなす形態、すなわち、略直方体をなすように形成されている。
三つの分岐管m2は、サージタンクm1から離隔してサージタンクm1の周りを取り囲むように、軸線S方向に配列して形成されている。
このように、三つの分岐管m2がサージタンクm1から離隔して配置されることにより、サージタンクm1と三つの分岐管m2との間には、連結部m3,m4により区切られた複数の空間Spが形成されている。
【0027】
インテークマニホールドMは、樹脂材料によりそれぞれ型成形された、内側成形部材100、第1外側成形部材200、及び第2外側成形部材300により構成されている。すなわち、インテークマニホールドMは、内側成形部材100を挟み込むように、内側成形部材100に対して第1外側成形部材200及び第2外側成形部材300を両外側から接合する、例えば振動溶着等により接合することで形成されている。
尚、ここでは、インテークマニホールドMを外観したときに、その中心側寄りを「内側」と称し、「内側」と対向する側を「外側」と称する。
【0028】
内側成形部材100は、
図5ないし
図11に示すように、内側タンク半殻部110、内側管半殻部120、連結部m3としてのリブ板130及び筒状部140、連結部m4としてのリブ板150、内側通路半殻部160、フランジ部170、接合部181,182、フランジ部170の周りにおいて接続パイプ191,192を備えている。
【0029】
内側タンク半殻部110は、サージタンクm1を二分割したときの内側壁110aを画定する一方の殻部を形成するものであり、軸線S方向に対して垂直なX方向において開口する。
内側管半殻部120は、三つの分岐管m2を二分割したときの内側壁120aを画定する一方の殻部を形成するものであり、
図7及び
図8に示すように、三つの内側管半殻部、すなわち、第1内側管半殻部121、第2内側管半殻部122、第3内側管半殻部123を含む。
【0030】
リブ板130は、互いに離隔して配置された内側タンク半殻部110と内側管半殻部120との間に介在して両者を連結するべく、軸線S方向に延在する薄板状に形成されており、六つのリブ板、すなわち、
図6及び
図9に示すように、リブ板131,132,133,134,135,136を含む。
【0031】
筒状部140は、互いに離隔して配置された内側タンク半殻部110と内側管半殻部120との間に介在して両者を連結するものであり、
図6に示すように、リブ板133に隣接するように形成され、又、
図11に示すように、その内部において連通路としての貫通路141を画定する。貫通路141は、X方向に伸長して、内側壁110aと内側通路半殻部160の底壁161とを貫通する。
【0032】
リブ板150は、互いに離隔して配置された内側タンク半殻部110と内側管半殻部120との間に介在して両者を連結するべく、軸線S方向に対して垂直な方向に延在する薄板状に形成されており、
図8に示すように、相互に間隔をおいて配置された複数のリブ板を含む。
【0033】
内側通路半殻部160は、
図10に示すように、隣り合う第2内側管半殻部122と第3内側管半殻部123との間において両者を連結すると共にサージタンクm1と複数の分岐管m2とを連結する連結部の一部として形成され、連通路の内側壁を画定するものである。すなわち、内側通路半殻部160は、内側壁としての底壁161及び底壁161に対して直立する内壁162を備え、凹状断面をなす溝通路160aを画定する。
【0034】
フランジ部170は、円形状の開口部171、三つのネジ穴172を備え、内側タンク半殻部110の軸線S方向の一側部に形成されている。そして、フランジ部170には、スロットル装置4が接合されてネジにより締結される。
【0035】
接合部181は、
図8に示すように、内側タンク半殻部110の開口を輪郭付ける外縁部181aと、第1外側成形部材200と対向する側における内側管半殻部120の三つの外縁部181b、三つの環状部181cにより構成されている。
接合部182は、
図7に示すように、第2外側成形部材300と対向する側における内側管半殻部120の三つの外縁部182b、内側通路半殻部160の開口を輪郭付ける二つの外縁部182cにより構成されている。
【0036】
接続パイプ191は、燃料パージホース8が接続されるものであり、軸線S方向に伸長する円筒状に形成されている。
接続パイプ192は、ブレーキブースターホース9が接続されるものであり、軸線S方向に対して垂直な方向に伸長する円筒状に形成されている。
【0037】
上記構成をなす内側成形部材100において、スロットル装置4を取り付けるフランジ部170は、サージタンクm1の軸線S方向の一端側に対応する内側タンク半殻部110の一端側に配置され、連通路としての貫通路141を画定する筒状部140は、
図12に示すように、連結部としてのリブ板133に隣接すると共に軸線S方向に対して垂直な方向においてフランジ部170から距離Hだけ外れた位置に配置されている。
仮に、筒状部140とフランジ部170とが軸線S方向に対して垂直な方向において重なるように配置されると、軸線S方向において型を抜く場合に、筒状部140とフランジ部170の間を型抜きすることができず、駄肉を生じて、重量化を招くことになる。
ここでは、上記のように、筒状部140が軸線S方向に対して垂直な方向においてフランジ部170から外れて配置されているため、駄肉を生じないように軸線S方向に型抜きを行うことができ、軽量化を達成することができる。
また、筒状部140は、内側タンク半殻部110と複数の内側管半殻部120との間で単独で配置されるのではなく、一つのリブ板133に隣接して一体的に形成されているため、構造を簡素化でき、型抜きを容易に行うことができる。
【0038】
第1外側成形部材200は、
図3ないし
図9に示すように、外側タンク半殻部210、外側管半殻部220、連結部m3としてのリブ板230、連結部m4としてのリブ板250、分岐管m2の一部を形成する三つの管部260、フランジ部270、接合部280、外側タンク半殻部210の領域において接続パイプ290を備えている。
【0039】
外側タンク半殻部210は、サージタンクm1を二分割したときの外側壁210aを画定する他方の殻部を形成するものであり、軸線S方向に対して垂直なX方向において開口する。
外側タンク半殻部210は、内側成形部材100の内側タンク半殻部110と接合されて、吸気を一時的に貯留するための所定容積をなすサージタンクm1を画定する。
【0040】
外側管半殻部220は、三つの分岐管m2を二分割したときの外側壁の一部の外側壁220aを画定する他方の殻部を形成するものであり、三つの外側管半殻部、すなわち、第1外側管半殻部221、第2外側管半殻部222、第3外側管半殻部223を含む。
第1外側管半殻部221は、内側成形部材100の第1内側管半殻部121の一部と接合されて分岐管m2の一部を画定する。
第2外側管半殻部222は、内側成形部材100の第2内側管半殻部122の一部と接合されて分岐管m2の一部を画定する。
第3外側管半殻部223は、内側成形部材100の第3内側管半殻部123の一部と接合されて分岐管m2の一部を画定する。
【0041】
リブ板230は、互いに離隔して配置された外側タンク半殻部210と三つの管部260との間に介在して両者を連結するべく、軸線S方向に延在する薄板状に形成されており、
図5ないし
図7に示すように、三つのリブ板231,232,233を含む。
【0042】
リブ板250は、互いに離隔して配置された外側タンク半殻部210と管部260との間に介在して両者を連結するべく、軸線S方向に対して垂直な方向に延在する薄板状に形成されており、
図3及び
図8に示すように、相互に間隔をおいて配置された複数のリブ板を含む。
三つの管部260は、三つの分岐管m2の下流端側の領域を形成するものであり、
図8に示すように、フランジ部270に連続するように形成されている。
【0043】
フランジ部270は、内燃エンジンEのシリンダヘッド2に接合されてボルトにより固定されるものであり、四つのボルト孔271を備えている。
接合部280は、
図7に示すように、外側タンク半殻部210の開口を輪郭付ける外縁部281と、外側管半殻部220の三つの外縁部282、三つの管部260の端部に形成された三つの環状部283により構成されている。
接続パイプ290は、ブローバイホース7が接続されるものであり、軸線S方向に対して垂直な方向に伸長する円筒状に形成されている。
【0044】
第2外側成形部材300は、
図7ないし
図9、
図13、
図14に示すように、外側管半殻部320、外側通路半殻部360、取付開口部370、接合部380を備えている。
外側管半殻部320は、三つの分岐管m2を二分割したときの外側壁の一部の外側壁320aを画定する他方の殻部を形成するものであり、三つの外側管半殻部、すなわち、第1外側管半殻部321、第2外側管半殻部322、第3外側管半殻部323を含む。
第1外側管半殻部321は、内側成形部材100の第1内側管半殻部121の一部と接合されて分岐管m2の一部を画定する。
第2外側管半殻部322は、内側成形部材100の第2内側管半殻部122の一部と接合されて分岐管m2の一部を画定する。
第3外側管半殻部323は、内側成形部材100の第3内側管半殻部123の一部と接合されて分岐管m2の一部を画定する。
【0045】
外側通路半殻部360は、連通路の外側壁を画定するものであり、
図7、
図9、
図13、
図14に示すように、隣り合う第2外側管半殻部322と第3外側管半殻部323との間において、第2外側管半殻部322と第3外側管半殻部323とを連結すると共に組付け後においてサージタンクm1と複数の分岐管m2とを連結する連結部の一部として形成されている。そして、外側通路半殻部360は、内側成形部材100の内側通路半殻部160と協働してその内側に連通路の一部を画定する。
すなわち、外側通路半殻部360は、
図13ないし
図15に示すように、閉塞板部361と、環状壁部362を備えている。閉塞板部361は、内側成形部材100の溝通路160aを閉塞するように形成されている。環状壁部362は、溝通路160aの内壁162と隙間Cをおいて閉塞板部361から環状に突出して溝通路160aの底壁161に当接し、貫通路141と取付開口部370を連通させるように形成されている。
【0046】
このように、環状壁部362を設けることにより、貫通路141から取付開口部370までの連通路の通路面積を所望に応じて調整する、例えば、連通路の通路面積が一定となるように調整することができる。また、環状壁部362は、
図15に示すように、内側通路半殻部160の内壁162と隙間Cをおいて形成されているため、内側成形部材100の接合部(外縁部182b,182c)と第2外側成形部材300の接合部(外縁部381,382)とが溶着により接合された際に発生したバリ等を、隙間Cに閉じ込めて連通路内に入り込むのを防止することができる。
また、連通路は、貫通路141から取付開口部370までの経路がクランク状に屈曲して形成されている。これによれば、貫通路141の延長線上において取付開口部が配置される場合に比べて、サージタンクm1内に発生した油汚れ等のスラッジを捕獲するトラップ機能を持たせることができ、取付開口部370に取り付けられる機能部品(例えば、圧力センサ6)の汚れ等を防止して所期の機能を維持することができる。
【0047】
取付開口部370は、円筒状の貫通孔として形成され、圧力センサ6のセンサ部が挿入されるようになっている。
また、取付開口部370の周りには、
図7及び
図9に示すように、圧力センサ6のフランジを接合する接合部371、圧力センサ6をネジで締結するネジ穴372が形成されている。
【0048】
接合部380は、
図13に示すように、内側成形部材100の三つの内側管半殻部121,122,123の接合部180(外縁部182b,182c)と接合されるものであり、三つの外縁部182bに対応する三つの外縁部381、二つの外縁部182cに対応する二つの外縁部382により構成されている。
【0049】
上記構成をなす内側成形部材100、第1外側成形部材200、及び第2外側成形部材300は、それぞれ樹脂材料を用いて型成形された後に、
図7及び
図8に示すように、内側成形部材100をX方向の両外側から挟み込むようにして、内側成形部材100に対して第1外側成形部材200及び第2外側成形部材300が接合され、振動溶着等により相互に固着される。
【0050】
上記構成をなすインテークマニホールドMによれば、吸気を一時的に貯留するサージタンクm1と、サージタンクm1から湾曲して延出しサージタンクm1の周りに離隔して配置される複数の分岐管m2と、サージタンクm1と複数の分岐管m2の間に介在して両者を連結する連結部m3,m4と、サージタンクm1内の吸気の状態量を検出し又は吸気に通じる機能部品(ここでは、例えば圧力センサ6)を取り付ける取付開口部370と、サージタンクm1から取付開口部370まで連通する連通路を備え、連通路は連結部m3を含む領域に形成されている。
これによれば、複数の分岐管m2が、サージタンクm1から湾曲して延出しサージタンクm1の周りに離隔してすなわち空間Spをおいて配置されているため、両者が接触して配置される場合に比べて外気に曝される表面積を大きくすることができ、蓄熱を抑制して放熱を促進することができ、吸気の温度上昇を抑制することができる。また、空間Spを設けることを前提に、連通路が連結部m3を含む領域に形成されるため、連結部に対して連結機能の他に通路機能を付加することで、構造の簡素化、型成形の容易化、駄肉の抑制、軽量化等を達成することができる。
【0051】
また、上記構成において、連通路が複数の分岐管m2同士の間を含む領域に形成されているため、連通路の配置の自由度が増し、所望されるレイアウトが可能になる。
また、上記構成において、連通路が屈曲して形成されていることにより、サージタンクm1に発生したスラッジ等が下流側の取付開口部370に向けて流れ込むのを抑制することができる。
【0052】
また、上記構成において、連結部m3は、サージタンクm1と複数の分岐管m2との間に介在する少なくとも一つリブ板130(133)と、リブ板133に隣接する筒状部140を含み、連通路は筒状部140に形成された貫通路141を含む。
これによれば、リブ板133と筒状部140が隣接して一体的に形成されるため、機械的強度を確保しつつ、構造を簡素化でき、型成形の容易化を達成することができる。
【0053】
また、上記構成において、サージタンクm1は所定の軸線S方向に長尺に形成され、複数の分岐管m2は軸線S方向に配列され、リブ板130は軸線S方向に延在する。
これによれば、サージタンクm1として所望される容積を確保しつつ、全体としての小型化を達成することができ、特に、リブ板130が軸線S方向に延在する形態をなすため、軸線S方向への型抜きが容易でかつ機械的強度を確保することができる。
【0054】
また、上記構成において、サージタンクm1は、軸線S方向の一端側において、スロットル装置4を取り付けるフランジ部170を含み、筒状部140は、軸線S方向に対して垂直な方向において、フランジ部170から外れた位置に配置されている。
これによれば、軸線S方向において型を抜く場合に、筒状部140とフランジ部170とが重ならないため、駄肉を生じないように型抜きを行うことができ、軽量化を達成することができる。
【0055】
また、上記構成において、サージタンクm1の内側壁110aを画定する内側タンク半殻部110、複数の分岐管m2の内側壁120aを画定する複数の内側管半殻部120、及び連結部m3を含む内側成形部材100と、サージタンクm1の外側壁210aを画定する外側タンク半殻部210及び複数の分岐管m2の外側壁の一部(の外側壁)220aを画定する複数の外側管半殻部220を含む第1外側成形部材200と、複数の分岐管m2の外側壁の一部(の外側壁)320aを画定する複数の外側管半殻部320及び取付開口部370を含む第2外側成形部材300を含み、内側成形部材100を挟み込むように、内側成形部材100に対して第1外側成形部材200と第2外側成形部材300とが接合されている。
これによれば、インテークマニホールドMを型成形する際に、型成形が容易で、比較的に少ない部品数で構成することができる。
【0056】
また、上記構成において、内側成形部材100は、複数の内側管半殻部120の隣り合う同士の間において、連通路の内側壁を画定する内側通路半殻部160を含み、第2外側成形部材300は、複数の外側管半殻部320の隣り合う同士の間において、連通路の外側壁を画定する外側通路半殻部360を含む。
これによれば、内側成形部材100と第2外側成形部材300とを接合して組み付けるだけで、内側通路半殻部160と外側通路半殻部360とで囲まれた領域内に連通路を形成することができる。
【0057】
以上述べたように、本発明のインテークマニホールドMによれば、構造の簡素化、軽量化、型成形する際の成形性の向上を達成することができる。
【0058】
上記実施形態においては、取付開口部370に取り付ける機能部品として、サージタンクm1内の吸気の圧力を検出する圧力センサ6を示したが、これに限定されるものではなく、サージタンクm1内の吸気の温度を検出する温度センサ、サージタンクm1内の吸気に通じて負圧を外部に引き出す接続コネクタ等を採用してもよい。
【0059】
上記実施形態においては、サージタンクm1から取付開口部370まで連通する連通路として、筒状部140の貫通路141、内側通路半殻部160及び外側通路半殻部360により画定される通路を含むクランク状に屈曲した連通路を示したが、これに限定されるものではなく、貫通路141を直線的に延長した領域に取付開口部を設けて、連通路を直線的に形成してもよい。
【0060】
上記実施形態においては、サージタンクm1と複数の分岐管m2の間に介在して両者を連結する連結部m3として、複数のリブ板130と、一つのリブ板133に隣接する筒状部140を示したが、これに限定されるものではなく、機械的強度が確保される場合は、一つのリブ板及び当該リブ板に隣接する筒状部を採用してもよく、又、一つのリブ板を厚めに形成して、当該リブ板に連通路としての貫通路を設けてもよい。
【0061】
上記実施形態においては、インテークマニホールドMを構成する部材として、内側成形部材100、第1外側成形部材200、及び第2外側成形部材300の三つの部材を示したが、これに限定されるものではなく、型成形が可能であれば、二つの部材、又は四つ以上の部材により構成する形態を採用してもよい。
【0062】
上記実施形態においては、インテークマニホールドMを、樹脂材料を用いて金型等で型成形する場合を示したが、これに限定されるものではなく、アルミニウム材料等の金属材料を用いて型成形する構成において、本発明を採用してもよい。
また、型成形には、注入成形に限らず、ブロー成形等を採用してもよい。
【0063】
上記実施形態においては、インテークマニホールドMを複数の成形部材により構成する場合を示したが、これに限定されるものではなく、一つの成形品として、例えば、ロストワックス法等により内部構造を成形する構成において、本発明を採用してもよい。
【0064】
上記実施形態においては、インテークマニホールドとして、サージタンクm1から湾曲して延出しサージタンクm1の周りに離隔して配置される複数の分岐管m2として、三つの分岐管を含むインテークマニホールドMを示したが、これに限定されるものではなく、二つ又四つ以上の分岐管を備えたインテークマニホールドにおいて、本発明を採用してもよい。
【0065】
以上述べたように、本発明のインテークマニホールドは、構造の簡素化、軽量化、型成形する際の成形性の向上を達成することができるため、自動車等に搭載の内燃エンジンに適用できるのは勿論のこと、自動二輪車に搭載の内燃エンジン又はその他の車両に搭載の内燃エンジンにおいても有用である。
【符号の説明】
【0066】
E 内燃エンジン
M インテークマニホールド
S 軸線
m1 サージタンク
m2 複数の分岐管
m3,m4 連結部
Sp 空間
4 スロットル装置
6 圧力センサ(機能部品)
100 内側成形部材
110 内側タンク半殻部
110a 内側壁
120 内側管半殻部
121 第1内側管半殻部
122 第2内側管半殻部
123 第3内側管半殻部
130(131,132,133,134,135,136) リブ板(連結部)
140 筒状部(連結部)
141 貫通路(連通路)
150 リブ板(連結部)
160 内側通路半殻部(連通路の内側壁)
160a 溝通路
161 底壁
162 内壁
170 フランジ部
181,182 接合部
181a,181b,182a,182b,182c 外縁部
181c 環状部
191,192 接続パイプ
200 第1外側成形部材
210 外側タンク半殻部
210a 外側壁
220 外側管半殻部
220a 外側壁(分岐管の外側壁の一部)
221 第1外側管半殻部
222 第2外側管半殻部
223 第3外側管半殻部
230 リブ板(連結部)
250 リブ板(連結部)
260 管部(分岐管の一部)
280 接合部
281,282 外縁部
283 環状部
290 接続パイプ
300 第2外側成形部材
320 外側管半殻部
320a 外側壁(分岐管の外側壁の一部)
321 第1外側管半殻部
322 第2外側管半殻部
323 第3外側管半殻部
360 外側通路半殻部(連通路の外側壁)
361 閉塞板部
362 環状壁部
C 隙間
370 取付開口部
380 接合部
381,382 外縁部