(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070380
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】LEDモジュール、LEDモジュール搭載用部品及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240516BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20240516BHJP
F21S 4/10 20160101ALI20240516BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20240516BHJP
F21V 17/10 20060101ALI20240516BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20240516BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240516BHJP
F21V 15/01 20060101ALI20240516BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240516BHJP
【FI】
F21S2/00 110
H01L33/62
F21S4/10
F21V17/00 200
F21V17/10 350
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V19/00 450
F21V23/00 160
F21V15/01 360
F21V15/01 350
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180832
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】313012969
【氏名又は名称】アリストジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】中垣 忠彦
【テーマコード(参考)】
3K011
3K013
3K014
5F142
【Fターム(参考)】
3K011JA01
3K013AA01
3K013AA06
3K013BA01
3K013CA05
3K013EA13
3K014AA01
3K014BA04
5F142AA65
5F142BA32
5F142CD02
5F142CG03
5F142CG45
5F142DB12
5F142DB24
(57)【要約】
【課題】はんだ付けにより直列に連結されるLEDモジュールの構造及び製造工程を改変させることにより、従来の対候性などの耐久性を損なわず、搬送時及び製造時の作業者の負担を軽減させることができるLEDモジュール及びLEDモジュール搭載用部品並びにそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】LEDチップが配置された基板と、LEDチップを覆うレンズ部材と、基板上に配置された、外部電源と電気的に接続するための端子部と、端子部と接続されるリード線と、基板、レンズ部材、及び端子部を収容するケースと、を有するLEDモジュールであって、レンズ部材を含む部位を封止する第1封止部と、第1封止部と離隔され、端子部とリード線との接続部位を封止する第2封止部とを有する、LEDモジュール。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDチップが配置された基板と、
前記LEDチップを覆うレンズ部材と、
前記基板上に配置された、外部電源と電気的に接続するための端子部と、
前記端子部と接続されるリード線と、
前記基板、レンズ部材、及び端子部を収容するケースと、
を有するLEDモジュールであって、
前記レンズ部材を含む部位を封止する第1封止部と、
前記第1封止部と離隔され、前記端子部と前記リード線との接続部位を封止する第2封止部とを有する、
前記LEDモジュール。
【請求項2】
前記端子部と前記リード線とがはんだ付けにより接続される、請求項1に記載のLEDモジュール。
【請求項3】
前記第1封止部と前記第2封止部とを離隔する仕切り部を有する、請求項1のLEDモジュール。
【請求項4】
前記端子部上に配置されるコードカバーを有する請求項1のLEDモジュール。
【請求項5】
前記レンズ部材が前記仕切り部を含む、請求項3のLEDモジュール。
【請求項6】
JIS C0920:2003に準じて、保護等級IP67を満たす請求項1~5のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項7】
LEDチップが配置された基板と、
前記LEDチップを覆うレンズ部材と、
前記基板上に配置された、外部電源と電気的に接続するための端子部と
前記基板、レンズ部材、及び端子部を収容するケースと、
を有し、
前記レンズ部材を含む部位を封止し、前記端子部と離隔される第1封止部、
を有する、LEDモジュール搭載用部品。
【請求項8】
前記第1封止部と前記端子部とが仕切り部により離隔されている、請求項7のLEDモジュール搭載用部品。
【請求項9】
前記レンズ部材が前記仕切り部を含む、請求項8のLEDモジュール搭載用部品。
【請求項10】
LEDチップが搭載された基板をケース内に配置すること、
LEDチップ上にレンズ部材を配置すること、
前記レンズ部材を含む部分であって、外部電源と電気的に接続するために基板上に設けられた端子部を含まない部分を封止すること、
を含む、LEDモジュール搭載用部品の製造方法。
【請求項11】
請求項7のLEDモジュール搭載用部品の端子部と、前記リード線とをはんだ付けすることで電気的に接続させること、を含む、LEDモジュールの製造方法。
【請求項12】
前記端子部と前記リード線の接続部位を封止すること、
を含む、請求項11に記載のLEDモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDモジュール、LEDモジュール搭載用部品及びそれらの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、照明装置に用いられる光源としては、白熱ランプ、蛍光ランプ等が用いられるが、近年では発光ダイオード(Light emittingd iode:LED)等のLED素子が採用されている。LED素子を用いた適用分野としては、照明産業が代表的であり、照明以外にも、看板や電光掲示板などの分野でも広く用いられている。
【0003】
看板や電光掲示板に使用される場合、遠くからでも容易に識別できるように、看板周縁部や看板底面、文字看板裏面などに多数個のLEDモジュールを直列で連結することにより目立たせるようにされている。
【0004】
LEDモジュールは、通常、ケース内に単数又は複数のLED素子を備える回路基板を搭載し、電線に直列で接続させた構成として用いられていることが多い。
【0005】
このような形態で用いられるLEDモジュールは、屋外に設置されることが多く、湿気及び雨水流入を防止するために、樹脂などにより封止が施されている。さらに外部電源とリード線などを介して電気的に接続する場合、野外などの過酷な環境でも通電を確保し長期間安定的に機能させなければならない。そのためLEDモジュールに設けられた端子とリード線等との接続部位は、強固にはんだ付けされたうえで、樹脂などにより封止されることが好ましい。
【0006】
図1は、従来の複数のLEDモジュールを連結させた態様を示す模式図である。このように複数のLEDモジュールが直列にはんだ付けにより複数個連結された場合、その全長は大きなものとなる。特に大型の電光掲示板などの表示部分全体を満遍なく、且つ、均一の明るさで照明するために、たとえば、LEDモジュールの数が数百またはそれ以上に及ぶこともある。はんだ付けによるLEDモジュールの連結は工場内で行われるため、連結後は多数のLEDモジュールとリード線とを一体に取り扱わなければならない。したがって、この連結済みLEDモジュールを搬送する際には非常に大きなスペースを要することになる。
【0007】
また、搬送時のみならずはんだ付けなどの製造工程においても、他のリード線が繋がった状態で作業をしなければならず、作業者に過度の負担を強いるという問題があった。
【0008】
こうして生産されたLEDモジュールが使用される際も、リード線の長さは工場での生産時に既に決定されている。したがって、様々な設置条件に不満無く使用できるようにするためには、特定の設置場所によっては必要としない長さの製品を使用しなければならない場合がある。そのため、使用する現場においても、効率的な設置に支障があるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、はんだ付けにより直列的に連結されるLEDモジュールの構造及び製造工程を改良することにより、従来の耐候性などの耐久性を損なわず、かつ搬送時及び製造時の作業者の負担を軽減させることができるLEDモジュール及びLEDモジュール搭載用部品並びにそれらの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態の一態様におけるLEDモジュールは、LEDチップが配置された基板と、LEDチップを覆うレンズ部材と、基板上に配置された、外部電源と電気的に接続するための端子部と、端子部と接続されるリード線と、基板、レンズ部材及び端子部を収容するケースと、を有し、レンズ部材を含む部位を封止する第1封止部と、第1封止部と離隔され、端子部とリード線との接続部位を封止する第2封止部とを有する。
【0011】
本発明の実施形態の一態様におけるLEDモジュールは、端子部と前記リード線とがはんだ付けにより接続される。
【0012】
本発明の実施形態の一態様におけるLEDモジュールは、第1封止部と第2封止部とを離隔する仕切り部を有する。
【0013】
本発明の実施形態の一態様におけるLEDモジュールは、前記端子部上に配置されるコードカバーを有する。
【0014】
本発明の実施形態の一態様におけるLEDモジュールは、レンズ部材が仕切り部を含む。
【0015】
本発明の実施形態の一態様におけるLEDモジュールは、JIS C0920:2003に準じて、保護等級IP67(防浸形)を満たす。
【0016】
本発明の実施形態の一態様におけるLEDモジュール搭載用部品は、LEDチップが配置された基板と、LEDチップを覆うレンズ部材と、基板上に配置された、外部電源と電気的に接続するための端子部と、基板、レンズ部材、及び端子部を収容するケースとを有し、
レンズ部材を含む部位を封止し、端子部と離隔される第1封止部を有する。
【0017】
本発明の実施形態の一態様におけるLEDモジュール搭載用部品は、第1封止部と端子部とが仕切り部により離隔されている。
【0018】
本発明の実施形態の一態様におけるLEDモジュール搭載用部品は、レンズ部材が仕切り部を含む。
【0019】
本発明の実施形態の一態様におけるLEDモジュール搭載用部品の製造方法は、LEDチップが搭載された基板をケース内に配置すること、LEDチップ上にレンズ部を配置すること、前記レンズ部材を含む部分であって外部電源と電気的に接続するために基板上に設けられた端子部を含まない部分を封止すること、を含む。
【0020】
本発明の実施形態の一態様におけるLEDモジュールの製造方法は、LEDモジュール搭載用部品の端子部と、リード線とをはんだ付けすることで電気的に接続させること、を含む。
【0021】
本発明の実施形態の一態様におけるLEDモジュールの製造方法は、さらに端子部とリード線の接続部位を封止することを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、従来のLEDモジュールに求められる耐候性などの特性を損なわず、搬送時及び製造時の作業者の負担を軽減させることができる。また、LEDモジュールのリード線のはんだ付けを出荷直前に行うことにより、設置場所ごとに適切な長さを有するリード線を有するLEDモジュールを提供することが可能となる。これにより設置場所に合わせて不要なリード線を切断し収納する作業を必要としなくなり、効率的に設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】従来のリード線で接続されたLEDモジュールを表す模式図である。
【
図2A】本発明の実施形態における一態様のLEDモジュールの斜視図である。
【
図2B】本発明の実施形態における一態様のLEDモジュールの斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態における一態様のLEDモジュールの分解図である。
【
図4】本発明の実施形態の一態様の封止済みのLEDモジュール搭載用部品の模式図である。
【
図5】本発明の実施形態の一態様の封止済みのLEDモジュールの模式図である。
【
図6】従来のLEDモジュールの製造工程を示す工程図である。
【
図7】本発明の実施形態の一態様のLEDモジュールの製造工程を示す工程図である。
【
図8】本発明の実施形態における別の態様のLEDモジュールの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<LEDモジュールの構造>
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図2Aは、本発明の実施形態の一態様のLEDモジュールを外観についての斜視図である。
LEDモジュール1の外殻はケース20で覆われており、ケース20内にレンズ部材10が嵌め込まれている。レンズ部材10の両脇には端子部120が儲けられ、リード線80が端子部120に取り付けられることにより、LEDモジュール1が外部電源と電気的に接続されることができる。レンズ部材10と端子部120との間には仕切り部30が設けられる。仕切り部30の詳細については、後述する。
【0025】
図2Bは、
図2AのLEDモジュールにおいて、端子部120を保護するコードカバー70を設置した態様を表す。本発明のLEDモジュールは出荷される際に端子部120を保護するため、コードカバー70で端子部120を覆った状態で出荷される。
【0026】
図3は
図1のLEDモジュールの分解図である。
LEDモジュールは、外殻であるケース20内に各構成部品が収容されている。
【0027】
ケース20は、防水性及び電気的絶縁性を有するほか、野外の掲示板などに使用される場合には一定の耐候性、耐湿性、耐熱性などの耐久性が要求される。したがって、例えば、ナイロン、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート、ポリカーボネート等の比較的耐候性、耐湿性、耐熱性などに優れる熱可塑性樹脂を成形することにより作製される。ケース20内にはLEDチップ100が設けられる基板90を収容することができ、LEDチップ100から発光された光が、外部に放出されるようになっている。
【0028】
基板90上には、例えば金、銀、銅、白金、亜鉛、スズ、ニッケル、カドミウム、クロム、およびそれらを含む合金などの導電性材料からなるプリント回路が形成されている。そして、このプリント回路に対して、LEDチップ及び他のチップがはんだ付けにより接続固定されている。
【0029】
本発明の実施形態において使用される基板90は、LEDモジュール1の製造時の後述の樹脂による封止工程やLEDチップ100の発光に伴う発熱時でもプリント回路との密着性に優れ、導電性金属回路の脱離、剥離が抑制される材料であることが好ましい。
【0030】
図3において基板90の形状は平面状であるが、立体状であってもよい。基板90は、LEDチップと接続する金属回路を表面に有しており、金属回路は、3次元回路であってもよい。
【0031】
基板90の四隅には、例えば銅などの導電性材料が露出した端子部120が設けられている。この端子部120に外部電源と接続されているリード線80などの導電性部品を接続させることにより、外部電源からの電流をLEDモジュール1内へ取り入れることができる。
【0032】
端子部120は、基板90の両側端部にそれぞれ一対の負極端子と正極端子を有することができる。ただし、端子部120の位置は基板90における相対する端部に限定されるものではなく、LEDモジュール1の用途に応じ任意の場所に設置することができる。
【0033】
本発明の実施形態においては、特にLEDモジュール1が野外の看板や電光掲示板などに使用されることを想定している。したがって、温度や雨風などにより接触が不良になることを避けるため、端子部120とリード線80などの導電性部材との接合は、はんだ付けなどの不可逆的な接合により行われることが好ましい。
【0034】
基板90には、回路に流れる電流を制限するためチップ抵抗110を設置してもよい。チップ抵抗110のサイズや定格電力、定格周囲温度はLEDモジュールが使用される環境により、適宜選択することができる。
【0035】
基板90をケース20にはめ込む際に、基板90の裏側(回路がプリントされる側の裏側)に高熱伝導性部材からなるヒートシンク40を設け、LEDチップ100の発光にともなう熱を放出させる構造としてもよい。その際、
図2の例のようにケース20の一部を開放し、放熱効率を向上させる構造としてもよい。
【0036】
基板90上に配置されたLEDチップ100上には、透明なレンズ部材10が被せられている。そして、LEDチップ100からの発光は、レンズ部材10を通じて、外部に拡散放出されるようになっている。レンズ部材10はLEDチップ100から発光された光を外部に拡散させるため通常は凸レンズが一体で形成された形状である。しかし、レンズ部材10の形状はLEDモジュールが使用される用途により、平面状、非球面形状など適宜選択することができる。レンズ部材10はポリカーボネート、アクリルなどの透明プラスチック、ガラスなどを使用することができる。
【0037】
本発明の実施形態において、レンズ部材10と端子部120との間には、仕切り部30を配置する。仕切り部30は後述するLEDモジュール製造における封止工程において、レンズ部材10及びその周辺の封止に用いられた樹脂が端子部120にまで漏れることを防ぎ、端子部120を封止箇所から離隔する部材である。仕切り部30はレンズ部材10の一部として含まれていてもよく、又は仕切り部材として独立した部材であってもよい。しかし、部品数の減少による構成の簡略化のため、レンズ部材10が仕切り部30を有する態様であることが好ましい。
【0038】
本発明の実施形態において、端子部120とリード線80との接続部位を保護するために、コードカバー70を有することができる。コードカバー70はケース20に固定されてもよく、そのためケース20の側部などにコードカバー取り付け部75などを設けてもよい。
【0039】
本発明の実施形態において、LEDモジュールは看板や電光掲示板などに任意の方法により施工できる。例えば、ケース20の裏面に取付部60を設け、掲示板などの表示装置に固定してもよい。取付部の態様は特に限定されるものではなく、取り付けられる表示装置の材質や形状により適宜変更することができる、取付部としては、例えば両面テープ、磁石、マジックテープ(登録商標)など公知の取り付け手段を使用できる。
【0040】
<LEDモジュールの封止>
図4は、本発明の実施形態における一態様のLEDモジュールに使用されるLEDモジュール搭載用部品を示す概略図である。
【0041】
本発明の実施形態における一態様のLEDモジュール1は、LEDチップを載置し、プリント回路が形成され、及び端子部120が形成されている基板90上に、仕切り部30を有するレンズ部材10を搭載した状態でケース20に嵌め込まれる。そしてケース20に嵌め込まれた状態で樹脂により封止される。封止は、端子部120を含まない部分対して行われる。以下、本明細書中において、端子部120を含まない部分についてされる封止を第1封止と呼び、第1封止された部分を第1封止部分と呼ぶ。
【0042】
この第1封止は、LEDチップ100及びLEDチップ100の配線やプリント回路などを水分や汚染物質などから保護し、LEDモジュール1の劣化を防ぐものである。また、上述のように仕切り部30を設けているときは、第1封止は仕切り部30によりその外側へ樹脂が流出するのを止められるため、LEDモジュール内1の2つの仕切り部30の間の空間に限定して行われる。
【0043】
第1封止は、レンズ部材10及び基板90の間に樹脂などの封止剤を充填させ、又はレンズ部材10及び基板90の周囲を被覆することにより行われる。LEDチップ100及びプリント回路の劣化が防止できれば封止の態様は限定されるものではなく、LEDモジュール1の形状により適宜変更できる。
【0044】
第1封止は直接又は間接的にLEDチップを覆うこととなるため、透光性の樹脂であることが好ましい。また、透光性のフィラーなども適宜混合させることができる。
【0045】
第1封止に使用できる樹脂は、その作業性から外部の刺激により硬化する樹脂であることが好ましく、例えば熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂が使用できる。第1封止に使用できる樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0046】
第1封止部分は、端子部120を含まない。これは端子部120を封止してしまうと、封止の前に端子部120をリード線80とはんだ付けしなければならず、後工程の検査や、出荷時の搬送にて複数個のLEDモジュールがリード線80に連結された状態で取り扱わなければならず、作業性が著しく悪化するからである。
【0047】
図4に示される態様は、第1封止がされ、端子部が露出した状態のLEDモジュールの半製品を表す。そして半製品をLEDモジュール搭載用部品として出荷してもよい。LEDモジュール搭載用部品はリード線80がついていないため、搬送が容易であり且つ搬送時の破損なども防ぐことができ、さらに保管スペースも大きく削減でき、全体としての製造コストを削減することもできる。
【0048】
前述のように、本発明の実施形態におけるLEDモジュールは屋外で使用されることが想定されるため、一定の防水特性を備えていることが好ましい。具体的には、第1及び第2封止がされたLEDモジュールの形態において、JIS C0920:2003に準じて、保護等級IP67(防浸形)を満足することが好ましい。
【0049】
また、完成品であるLEDモジュールにおいてリード線80を付けた状態で行っていた通電試験などの品質検査も、LEDモジュール搭載用部品の状態で行えば作業者の負担も大きく削減することができる。
【0050】
例えば、LEDモジュール搭載用部品を多量にストックしておき、施工場所に近い工場などで、看板や電光掲示板などの形体に応じて、必要な数及び長さでリード線と適宜はんだ付けして利用することもできる。
【0051】
LEDモジュール搭載用部品からLEDモジュール1を製造する際には、リード線80の先端と端子部120とをはんだ付けにより接続し、その後、リード線80の先端と端子部120との接続箇所を封止する。以下、本明細書中において、当該リード線80の先端と端子部120との接続箇所への封止を第2封止と呼び、第2封止が行われている部分を第2封止部分と呼ぶ。
【0052】
第2封止部分は、リード線80の先端と端子部120との接続箇所を局所的に覆うものでもよく、又はケース20内に残存する第1封止部分以外の部分を全て埋めてしまってもよい。
【0053】
前述のとおり、リード線80の先端と端子部120の接続箇所の保護にコードカバー70を使用する場合は、コードカバー70と端子部120との隙間に樹脂を充填してもよいし、コードカバー70を覆うように樹脂で被覆してもよい。
【0054】
第2封止はリード線80の先端と端子部120との接続箇所を保護するものであり、レンズ部材10を覆うものではないため、必ずしも透光性樹脂でなくともよい。また、第2封止に使用できる樹脂は、第1封止と同様に、その作業性から外部の刺激により硬化する樹脂であることが好ましく、例えば熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂が使用できる。第2封止に使用できる樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0055】
このように、LEDモジュール1の作製過程で、いったんリード線80をはんだ付けせずにLEDモジュール1内の封止部分を分割することで、取扱容易なLEDモジュール搭載用部品として流通させることができるようになり、作業の負担、保管スペース、製造量を大幅に削減できる。
【0056】
例えば、LEDモジュール1を国外で製造していた場合、各国での受注に応じリード線のついた状態の膨大な量のLEDモジュールを輸出しなければならないところ、本発明の実施形態によるLEDモジュールを使用することにより、最終的なはんだ付け工程能力を輸出先の国で確保できれば、作業の負担、保管スペース、製造量を大幅に削減できる。
【0057】
<LEDモジュールの製造工程>
本発明の実施形態における一態様のLEDモジュールの製造工程について説明する。
図6は従来のLEDモジュールの製造工程を示す工程図である。
【0058】
回路がプリントされた基板90上に、LEDチップ100やチップ抵抗110などのチップを取り付ける(ステップ:S101)。その後、基板90上に設けられた端子部120とリード線80とをはんだ付けにより接続する(ステップ:S102)。以後、基板90はリード線80と分離できない状態となる。
【0059】
基板90をケース20へ取り付け(ステップ:S103)、レンズ部材10、基板90及びケース20に樹脂を充填する(ステップ:S104)。さらに端子部120とリード線80の接続部位に樹脂を充填し(ステップ:S105)、その後、硬化させる(ステップ:S106)。その後、通電検査、外観検査などを行った後に(ステップ:S107)、LEDモジュールとして出荷される。
【0060】
従来の方法によると、ステップS103以降の工程は全てLEDモジュール1にリード線80が付いた状態で作業や搬送作業を行わなければならず、作業性が非常に悪い。
【0061】
図7は、本発明の実施形態における一態様のLEDモジュール1の製造工程を示す工程図である。
従来の方法と同様に、LEDチップ100やチップ抵抗110などのチップを取り付け(ステップ:S201)、その後、基板90とリード線80とをはんだ付けせずに、基板90をケース20に取り付ける(ステップ:S202)。レンズ10、基板90及びケース20を樹脂で充填し(ステップ:S203)、その後硬化させる(ステップ:S204)。その後、通電検査、外観検査などを行った後に(ステップ:S205)、LEDモジュール搭載用部品として出荷される(ステップ:S206)。
【0062】
出荷先にてLEDモジュール搭載用部品を受け入れ(ステップS301)、LEDモジュール1を使用する用途に合わせ、必要な分量だけLEDモジュール搭載用部品の端子部120とリード線80とはんだ付けにより接続する(ステップS302)。その後、端子部120とリード線80の接続部位を樹脂で封止し(ステップ:S303)、その後硬化させる(ステップ:S304)。その後、通電検査、外観検査などを行った後に(ステップ:S305)、LEDモジュール1として出荷される。
【0063】
従来の方法によると、LED搭載用部品を出荷する工程(ステップ:S206)までは基板90にリード線80が接続されていない状態で封止や搬送作業ができるので、従来の方法に比べ作業性が向上している。
【0064】
(変形例)
図8に示すように、本発明の実施態様におけるLEDモジュール及びLEDモジュール搭載用部品では、レンズ部材と仕切り部が別々の部材であってもよい。
【0065】
以上のように本発明の実施形態を説明したが、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。そして、この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1:LEDモジュール、10:レンズ部材、20:ケース、30:仕切り部、40:ヒートシンク、60:取付部、70:コードカバー、80:リード線、90:基板、100:LEDチップ、110:チップ抵抗、120:端子部