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特開2024-70384センサーモジュールおよびセンサーモジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070384
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】センサーモジュールおよびセンサーモジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 19/5628 20120101AFI20240516BHJP
   H10N 30/30 20230101ALI20240516BHJP
【FI】
G01C19/5628
H01L41/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180839
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】上野 仁
【テーマコード(参考)】
2F105
【Fターム(参考)】
2F105BB04
2F105BB12
2F105BB15
2F105BB17
2F105CC01
2F105CD02
2F105CD03
2F105CD05
2F105CD06
2F105CD13
(57)【要約】
【課題】製造中の前記第2物理量センサーの姿勢変化を抑制することのできるセンサーモジュールおよびセンサーモジュールの製造方法を提供すること。
【解決手段】センサーモジュールは、配線基板と、第1実装面を有する第1パッケージと、前記第1パッケージに収容されている第1検出素子と、を有し、前記第1実装面が前記配線基板に接合されている第1物理量センサーと、第2実装面を有する第2パッケージと、前記第2パッケージに収容されている第2検出素子と、を有する第2物理量センサーと、第1主面および第1側面を備え、前記第1主面に前記第2物理量センサーの前記第2実装面が接合され、前記第1側面が前記配線基板に接合されている第1支持基板と、を有し、前記第2物理量センサーと前記第1支持基板との集合体の重心は、前記第1支持基板内に位置する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
第1実装面を有する第1パッケージと、前記第1パッケージに収容されている第1検出素子と、を有し、前記第1実装面が前記配線基板に接合されている第1物理量センサーと、
第2実装面を有する第2パッケージと、前記第2パッケージに収容されている第2検出素子と、を有する第2物理量センサーと、
第1主面および第1側面を備え、前記第1主面に前記第2物理量センサーの前記第2実装面が接合され、前記第1側面が前記配線基板に接合されている第1支持基板と、を有し、
前記第2物理量センサーと前記第1支持基板との集合体の重心は、前記第1支持基板内に位置することを特徴とするセンサーモジュール。
【請求項2】
第3実装面を有する第3パッケージと、前記第3パッケージに収容されている第3検出素子と、を有する第3物理量センサーと、
第2主面および第2側面を備え、前記第2主面に前記第3物理量センサーの前記第3実装面が接合され、前記第2側面が前記配線基板に接合されている第2支持基板と、を有し、
前記第3物理量センサーと前記第2支持基板との集合体の重心は、前記第2支持基板内に位置する請求項1に記載のセンサーモジュール。
【請求項3】
前記第1支持基板は、第1側面に形成されているキャスタレーションを有し、
前記キャスタレーションは、前記第1側面の前記第1主面側に位置する第1キャスタレーションと、前記第1主面と表裏関係にある第1背面側に位置する第2キャスタレーションと、を有する請求項1に記載のセンサーモジュール。
【請求項4】
前記第2物理量センサーは、前記第1支持基板を介して前記配線基板と電気的に接続されている請求項1に記載のセンサーモジュール。
【請求項5】
前記第1パッケージは、前記第1実装面および前記第1検出素子を収容する第1凹部を有する第1ベースと、前記第1ベースに接合され前記第1凹部の開口を塞ぐ第1リッドと、を有し、
前記第2パッケージは、前記第2実装面および前記第2検出素子を収容する第2凹部を有する第2ベースと、前記第2ベースに接合され前記第2凹部の開口を塞ぐ第2リッドと、を有し、
前記配線基板、前記第1ベース、前記第2ベースおよび前記第1支持基板は、同一材料で構成されている請求項1に記載のセンサーモジュール。
【請求項6】
配線基板と、
第1実装面を有する第1パッケージと、前記第1パッケージに収容されている第1検出素子と、を有する第1物理量センサーと、
第2実装面を有する第2パッケージと、前記第2パッケージに収容されている第2検出素子と、を有する第2物理量センサーと、
第1主面および第1側面を備える第1支持基板と、を有するセンサーモジュールの製造方法であって、
前記第1支持基板の前記第1主面に前記第2物理量センサーの前記第2実装面を接合して集合体を得る集合体形成工程と、
前記配線基板に前記第1パッケージの前記第1実装面を接合する第1物理量センサー接合工程と、
前記第1側面を鉛直方向下側に向けた姿勢で前記集合体を前記配線基板に接合する集合体接合工程と、を含み、
前記集合体の重心は、前記第1支持基板内に位置することを特徴とするセンサーモジュールの製造方法。
【請求項7】
前記第1支持基板の前記第1側面を研磨する研磨工程を含む請求項6に記載のセンサーモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーモジュールおよびセンサーモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のセンサーモジュールは、配線基板と、配線基板に実装された3つのセンサー部品と、を有する。また、各センサー部品は、角速度センサーであり、パッケージと、パッケージに収容されたセンサー用振動片と、を有する。また、これら3つのセンサー部品は、互いの検出軸を直交させた姿勢で配線基板に実装されている。そのため、1つのセンサー部品は、パッケージの底面において配線基板に実装され、残り2つのセンサー部品は、パッケージの側面において配線基板に実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-051629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、パッケージには、一般的なセラミックパッケージが用いられる。一般的なパッケージは、複数のセラミックパッケージを一枚のセラミックシートで一体形成した後にダイシングや折り取りによって個片化して形成される。そのため、個片化の方法や精度によってはパッケージの側面にバリや凹凸が形成されたり、側面が斜めに傾斜したりするおそれがある。そのため、センサー部品をパッケージの側面において配線基板に実装すると、製造中にセンサー部品の姿勢変化が生じたり、酷い場合には転倒してしまったりするおそれがある。つまり、特許文献1のセンサーモジュールでは、センサー部品を理想姿勢で実装することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のセンサーモジュールは、配線基板と、
第1実装面を有する第1パッケージと、前記第1パッケージに収容されている第1検出素子と、を有し、前記第1実装面が前記配線基板に接合されている第1物理量センサーと、
第2実装面を有する第2パッケージと、前記第2パッケージに収容されている第2検出素子と、を有する第2物理量センサーと、
第1主面および第1側面を備え、前記第1主面に前記第2物理量センサーの前記第2実装面が接合され、前記第1側面が前記配線基板に接合されている第1支持基板と、を有し、
前記第2物理量センサーと前記第1支持基板との集合体の重心は、前記第1支持基板内に位置する。
【0006】
本発明のセンサーモジュールの製造方法は、配線基板と、
第1実装面を有する第1パッケージと、前記第1パッケージに収容されている第1検出素子と、を有する第1物理量センサーと、
第2実装面を有する第2パッケージと、前記第2パッケージに収容されている第2検出素子と、を有する第2物理量センサーと、
第1主面および第1側面を備える第1支持基板と、を有するセンサーモジュールの製造方法であって、
前記第1支持基板の前記第1主面に前記第2物理量センサーの前記第2実装面を接合して集合体を得る集合体形成工程と、
前記配線基板に前記第1パッケージの前記第1実装面を接合する第1物理量センサー接合工程と、
前記第1側面を鉛直方向下側に向けた姿勢で前記集合体を前記配線基板に接合する集合体接合工程と、を含み、
前記集合体の重心は、前記第1支持基板内に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係るセンサーモジュールを示す上面図である。
図2図1のセンサーモジュールからキャップを省略した上面図である。
図3図1のセンサーモジュールの下面図である。
図4】第1支持基板の正面図である。
図5】第1支持基板の断面図である。
図6】第2支持基板の正面図である。
図7】第2支持基板の断面図である。
図8】第1支持基板の変形例を示す断面図である。
図9】第1支持基板の変形例を示す断面図である。
図10】第1支持基板の変形例を示す断面図である。
図11】第1物理量センサーの断面図である。
図12図2中のA-A線断面図である。
図13】センサーモジュールの製造方法を示すフローチャートである。
図14】センサーモジュールの製造方法を説明するための上面図である。
図15】センサーモジュールの製造方法を説明するための上面図である。
図16】センサーモジュールの製造方法を説明するための上面図である。
図17】センサーモジュールの製造方法を説明するための上面図である。
図18】センサーモジュールの製造方法を説明するための上面図である。
図19】センサーモジュールの製造方法を説明するための上面図である。
図20】センサーモジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図21】第2実施形態に係るセンサーモジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のセンサーモジュールおよびセンサーモジュールの製造方法を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各図には、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸として図示している。X軸と平行な方向を「X軸方向」とも言い、Y軸と平行な方向を「Y軸方向」とも言い、Z軸と平行な方向を「Z軸方向」とも言う。また、Z軸が鉛直方向に沿っており、Z軸方向プラス側を「上」、Z軸方向マイナス側を「下」とも言う。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るセンサーモジュールを示す上面図である。図2は、図1のセンサーモジュールからキャップを省略した上面図である。図3は、図1のセンサーモジュールの下面図である。図4は、第1支持基板の正面図である。図5は、第1支持基板の断面図である。図6は、第2支持基板の正面図である。図7は、第2支持基板の断面図である。図8ないし図10は、それぞれ、第1支持基板の変形例を示す断面図である。図11は、第1物理量センサーの断面図である。図12は、図2中のA-A線断面図である。図13は、センサーモジュールの製造方法を示すフローチャートである。図14ないし図19は、センサーモジュールの製造方法を説明するための上面図である。図20は、センサーモジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【0010】
図1ないし図3に示すセンサーモジュール1は、QFP(Quad Flat Package)構造である。また、センサーモジュール1は、配線基板2と、配線基板2の上面21に接合された第1物理量センサー3z、第1支持基板8および第2支持基板9と、第1支持基板8に接合された第2物理量センサー3xと、第2支持基板9に接合された第3物理量センサー3yと、第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3yを覆うように配線基板2に被せられたキャップ10と、配線基板2の下面22に接合された電子部品6と、配線基板2から延出するリード群7と、を有する。
【0011】
≪配線基板2≫
配線基板2は、平面視形状が略正方形の板状であり、互いに表裏関係にある上面21および下面22を有する。配線基板2は、セラミック基板であり、アルミナ、チタニア等の各種セラミック材料で構成されている。これにより、高い耐食性と優れた機械的強度とを有する配線基板2となる。また、吸湿し難く耐熱性にも優れるため、例えば、センサーモジュール1の製造時に加わる熱によるダメージを受け難い。なお、配線基板2は、例えば、所定の配線パターンが形成された複数のセラミックシート(グリーンシート)を積層し、この積層体を焼結することにより製造される。ただし、配線基板2は、セラミック基板に限定されず、例えば、各種半導体基板、各種ガラス基板、各種プリント基板等を用いることもできる。
【0012】
また、図2に示すように、配線基板2の上面21には、第1物理量センサー3zと電気的に接続された端子P3zと、第1支持基板8と電気的に接続された端子P8と、第2支持基板9と電気的に接続された端子P9と、が形成されている。一方、図3に示すように、配線基板2の下面22には、電子部品6と電気的に接続された端子P6と、リード群7と電気的に接続された端子P7と、が形成されている。これら各端子P3z、P6、P7、P8、P9は、配線基板2に形成された図示しない配線を介して電気的に接続されている。
【0013】
≪第1、第2支持基板8、9≫
第1支持基板8は、第2物理量センサー3xの配線基板2への実装を中継するインターポーザー基板であり、第2支持基板9は、第3物理量センサー3yの配線基板2への実装を中継するインターポーザー基板である。これら第1、第2支持基板8、9は、互いに同一の構成である。これにより、第1、第2支持基板8、9を個別に準備する必要が無くなり、センサーモジュール1の製造コストを削減することができる。
【0014】
また、第1、第2支持基板8、9は、共に、セラミック基板であり、アルミナ、チタニア等の各種セラミック材料で構成されている。これにより、高い耐食性と優れた機械的強度とを有する第1、第2支持基板8、9となる。また、吸湿し難く、耐熱性にも優れるため、例えば、センサーモジュール1の製造時に加わる熱によるダメージを受け難い。なお、第1、第2支持基板8、9は、例えば、所定の配線パターンが形成された複数のセラミックシートを積層し、この積層体を焼結することにより製造される。ただし、第1、第2支持基板8、9は、セラミック基板に限定されず、例えば、各種半導体基板、各種ガラス基板、各種プリント基板等を用いることもできる。
【0015】
図4および図5に示すように、第1支持基板8は、平面視形状が略正方形の板状であり、第2物理量センサー3xが接合される第1主面81と、第1主面81と表裏関係にある第1背面82と、配線基板2の上面21に接合される第1側面83と、を有する。また、第1主面81には、第2物理量センサー3xと電気的に接続された複数の端子P3xが形成され、第1側面83には、配線基板2と電気的に接続された複数のキャスタレーションC1が形成されている。なお、キャスタレーションC1は、第1側面83に形成された半円状のスルーホールにメタライズ加工することにより形成される。
【0016】
キャスタレーションC1は、図示しない内部配線等を介して所定の端子P3xと電気的に接続されている。また、キャスタレーションC1は、第1主面81側に位置し、第1主面81上まで延出した複数の第1キャスタレーションC11と、第1背面82側に位置し、第1背面82上まで延出した複数の第2キャスタレーションC12と、を有する。つまり、キャスタレーションC1は、第1支持基板8の厚さ方向の両端部に分かれて形成されている。
【0017】
以上のような第1支持基板8は、第1主面81をX軸方向に向け、かつ、第1側面83を下側に向けた起立姿勢で、第1側面83において複数の導電性の接合部材B8を介して配線基板2の上面21に接合されている。また、各キャスタレーションC1は、接合部材B8を介して対応する端子P8と電気的に接続されている。前述したように、キャスタレーションC1が第1側面83の両側に形成されているため、配線基板2上での第1支持基板8の姿勢が安定する。そのため、配線基板2に対する第1支持基板8の姿勢変化、特に、Y軸まわりの傾斜を効果的に抑制することができる。また、接合部材B8がキャスタレーションC1内すなわち半円状のスルーホール内に入り込むと共に、第1主面81および第1背面82に立ち上がるフィレットを形成するため、配線基板2と第1支持基板8との接合強度をより高めることができる。
【0018】
接合部材B8は、半田であり、半田リフローによって第1支持基板8と配線基板2との機械的および電気的な接続を行っている。これにより、配線基板2への第1支持基板8の実装を容易かつ精度よく行うことができる。ただし、接合部材B8としては、半田に限定されず、例えば、金ろう、銀ろう等の各種ろう材、金バンプ、銀バンプ等の各種金属バンプ、樹脂系接着剤に導電性フィラーを分散させた各種導電性接着剤等を用いることができる。
【0019】
図6および図7に示すように、第2支持基板9は、上述した第1支持基板8と同様、平面視形状が略正方形の板状であり、第3物理量センサー3yが接合される第2主面91と、第2主面91と表裏関係にある第2背面92と、配線基板2の上面21に接合される第2側面93と、を有する。また、第2主面91には、第3物理量センサー3yと電気的に接続された複数の端子P3yが形成され、第2側面93には、配線基板2と電気的に接続された複数のキャスタレーションC2が形成されている。
【0020】
キャスタレーションC2は、図示しない内部配線等を介して所定の端子P3yと電気的に接続されている。また、キャスタレーションC2は、第2主面91側に位置し、第2主面91上まで延出した複数の第1キャスタレーションC21と、第2背面92側に位置し、第2背面92上まで延出した複数の第2キャスタレーションC22と、を含む。
【0021】
以上のような第2支持基板9は、第2主面91をY軸方向に向け、かつ、第2側面93を下側に向けた起立姿勢で、第2側面93において複数の導電性の接合部材B9を介して配線基板2の上面21に接合されている。また、各キャスタレーションC2は、接合部材B9を介して対応する端子P9と電気的に接続されている。前述したように、キャスタレーションC2が第2側面93の両側に形成されているため、配線基板2上での第2支持基板9の姿勢が安定する。そのため、配線基板2に対する第2支持基板9の姿勢変化、特に、X軸まわりの傾斜を効果的に抑制することができる。また、接合部材B9がキャスタレーションC2内に入り込むと共に、第2主面91および第2背面92に立ち上がるフィレットを形成するため、配線基板2と第2支持基板9との接合強度をより高めることができる。
【0022】
接合部材B9は、半田であり、半田リフローによって第2支持基板9と配線基板2との機械的および電気的な接続を行っている。これにより、配線基板2への第2支持基板9の実装を容易かつ精度よく行うことができる。ただし、接合部材B9としては、半田に限定されず、例えば、金ろう、銀ろう等の各種ろう材、金バンプ、銀バンプ等の各種金属バンプ、樹脂系接着剤に導電性フィラーを分散させた各種導電性接着剤等を用いることができる。
【0023】
以上、第1、第2支持基板8、9について説明した。ただし、第1支持基板8の形状としては、特に限定されず、例えば、図8ないし図10に示すように、第1主面81を有する部分8Aよりも第1側面83を有する部分8Bの方が、厚さが大きい形成であってもよい。これにより、第1側面83の面積が広くなると共に、集合体Q1の低重心化を図ることができるため、第1支持基板8の姿勢がより安定する。
【0024】
≪第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3y≫
第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3yは、それぞれ、パッケージ化された表面実装部品である。これにより、素子が剥き出しの実装部品と比べて高い機械的強度を発揮することができる。さらに、第1物理量センサー3zの配線基板2への実装、第2物理量センサー3xの第1支持基板8への実装および第3物理量センサー3yの第2支持基板9への実装が容易となる。
【0025】
第1物理量センサー3zは、Z軸まわりの角速度を検出する角速度センサーであり、第2物理量センサー3xは、X軸まわりの角速度を検出する角速度センサーであり、第3物理量センサー3yは、Y軸まわりの角速度を検出する角速度センサーである。これら第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3yは、それぞれ、後述する検出素子34の駆動周波数が異なること以外は、互いに同一の構成であり、検出軸がX軸、Y軸およびZ軸を向くように互いに姿勢を直交させて配置されている。第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3yを互いに同一の構成とすることにより、第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3yを個別に準備する必要が無くなり、センサーモジュール1の製造コストを削減することができる。
【0026】
このような第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3yは、それぞれ、パッケージ31と、パッケージ31に収容された検出素子34と、を有する。また、パッケージ31は、凹部を有し、凹部内に収容された検出素子34を支持する箱型のベース32と、凹部の開口を塞ぐようにベース32に接合されたリッド33と、を有する。このようなパッケージ31では、ベース32の底面が実装面320となっており、実装面320には検出素子34と電気的に接続された複数の接続端子321が形成されている。なお、ベース32の側面は、実装面320に対して直交するように設計されており、この側面には、各接続端子321から延びる複数のキャスタレーションが形成されている。
【0027】
また、ベース32は、アルミナ、チタニア等のセラミック材料で構成され、リッド33は、コバール等の金属材料で構成されている。これにより、ベース32とリッド33との線膨張係数差が小さくなり、熱応力の発生を効果的に抑制することができる。
【0028】
また、ベース32をセラミック材料で構成することにより、配線基板2、各第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3yのベース32および第1、第2支持基板8、9を同一材料で構成することができる。これにより、これらの線膨張係数が等しくなり、熱応力が生じ難くなる。そのため、クラック等の発生が抑制される。また、各振動素子34に熱応力が加わり難くなり、角速度検出精度の低下を抑制することもできる。そのため、信頼性の高いセンサーモジュール1となる。
【0029】
検出素子34は、例えば、駆動腕および振動腕を有する水晶振動素子である。水晶振動素子では、駆動信号を印加して駆動腕を駆動振動させた状態で検出軸まわりの角速度が加わると、コリオリの力によって検出腕に検出振動が励振される。そして、検出振動により検出腕に発生する電荷を検出信号として取り出し、取り出した検出信号に基づいて角速度を求めることができる。ただし、検出素子34の構成は、特に限定されず、例えば、静電容量型のシリコン振動素子であり、静電容量の変化に基づいて角速度を検出する構成であってもよい。
【0030】
以上、第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3yについて説明した。なお、以下では、第1物理量センサー3zのパッケージ31を「第1パッケージ31z」、ベース32を「第1ベース32z」、リッド33を「第1リッド33z」、実装面320を「第1実装面320z」、検出素子34を「第1検出素子34z」とも言う。また、第2物理量センサー3xのパッケージ31を「第2パッケージ31x」、ベース32を「第2ベース32x」、リッド33を「第2リッド33x」、実装面320を「第2実装面320x」、検出素子34を「第2検出素子34x」とも言う。また、第3物理量センサー3yのパッケージ31を「第3パッケージ31y」、ベース32を「第3ベース32y」、リッド33を「第3リッド33y」、実装面320を「第3実装面320y」、検出素子34を「第3検出素子34y」とも言う。
【0031】
図11に示すように、第1物理量センサー3zは、第1実装面320zにおいて複数の導電性の接合部材B3zを介して配線基板2の上面21に接合されている。また、第1実装面320z上の各接続端子321は、接合部材B3zを介して所定の端子P3zと電気的に接続されている。
【0032】
また、図5に示すように、第2物理量センサー3xは、第2実装面320xにおいて複数の導電性の接合部材B3xを介して第1支持基板8の第1主面81に接合されている。また、第2実装面320x上の各接続端子321は、接合部材B3xを介して所定の端子P3xと電気的に接続されている。そのため、第2物理量センサー3xは、第1支持基板8を介して配線基板2と電気的に接続される。これにより、第2物理量センサー3xと配線基板2との電気的な接続が容易となる。
【0033】
また、図7に示すように、第3物理量センサー3yは、第3実装面320yにおいて複数の導電性の接合部材B3yを介して第2支持基板9の第2主面91に接合されている。また、第3実装面320y上の各接続端子321は、接合部材B3yを介して所定の端子P3yと電気的に接続されている。そのため、第3物理量センサー3yは、第2支持基板9を介して配線基板2と電気的に接続される。これにより、第3物理量センサー3yと配線基板2との電気的な接続が容易となる。
【0034】
接合部材B3zは、半田であり、半田リフローによって第1物理量センサー3zと配線基板2との機械的および電気的な接続を行っている。これにより、配線基板2への第1物理量センサー3zの実装を容易かつ精度よく行うことができる。同様に、接合部材B3x、B3yは、それぞれ、半田であり、半田リフローによって第2、第3物理量センサー3x、3yと第1、第2支持基板8、9との機械的および電気的な接続を行っている。これにより、第1、第2支持基板8、9への第2、第3物理量センサー3x、3yの実装を容易かつ精度よく行うことができる。ただし、接合部材B3z、B3x、B3yとしては、半田に限定されず、例えば、金ろう、銀ろう等の各種ろう材、金バンプ、銀バンプ等の各種金属バンプ、樹脂系接着剤に導電性フィラーを分散させた各種導電性接着剤等を用いることができる。
【0035】
ここで、第1側面83は、十分に平滑化されている。具体的には、第1側面83は、第2物理量センサー3xの第2ベース32xの側面よりも表面粗さが小さい。さらに、第1側面83は、その傾きが高精度に制御され、図5に示すように、本実施形態では第1主面81に対して直交している。つまり、第1主面81と第1側面83とのなす角θ1が90°である。また、第1支持基板8は、第2ベース32xよりも個体差が小さい。具体的には、無作為に選択された所定個数の第1支持基板8の角θ1の90°からのずれ量の平均値Δθ1が、無作為に選択された同個数の第2ベース32xの第2実装面320xと側面とのなす角θ2の90°からのずれ量の平均値Δθ2よりも小さい。これにより、第1支持基板8を中継することなく第2物理量センサー3xを直接配線基板2に接合する場合と比べ、第2物理量センサー3xの検出軸のX軸からのずれを小さくすることができる。
【0036】
また、第1支持基板8および第2物理量センサー3xの集合体を集合体Q1としたとき、この集合体Q1の重心G1が第1支持基板8内に位置する。具体的には、第1側面83を鉛直方向下側に向けて配置したとき、鉛直方向からの平面視で、重心G1が第1側面83と重なっている。これにより、第1支持基板8の第1側面83を下側に向けた姿勢で集合体Q1を自立させることができる。そのため、センサーモジュール1の製造が容易となる。
【0037】
同様に、第2側面93は、十分に平滑化されている。具体的には、第2側面93は、第3物理量センサー3yの第3ベース32yの側面よりも表面粗さが小さい。さらに、第2側面93は、その傾きが高精度に制御され、図7に示すように、本実施形態では第2主面91に対して直交している。つまり、第2主面91と第2側面93とのなす角θ1が90°である。また、第2支持基板9は、第3ベース32yよりも個体差が小さい。
【0038】
また、第2支持基板9および第3物理量センサー3yの集合体を集合体Q2としたとき、この集合体Q2の重心G2が、第2支持基板9内に位置する。具体的には、第2側面93を鉛直方向下側に向けて配置したとき、鉛直方向からの平面視で、重心G2が第2側面93と重なっている。これにより、第2支持基板9の第2側面93を下側に向けた姿勢で集合体Q2を自立させることができる。そのため、センサーモジュール1の製造が容易となる。
【0039】
≪キャップ10≫
図12に示すように、キャップ10は、配線基板2の上面21に接合されており、配線基板2との間に第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3yを収容する。キャップ10は、ハット型であり、下面に開口する凹部を有する基部101と、基部101の下端部から外周側に突出する環状のフランジ部102と、を有する。このようなキャップ10は、凹部内に第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3yを収容するようにして配線基板2の上面21に配置され、フランジ部102が接合部材B10を介して上面21に接合されている。そして、凹部内が気密封止されている。
【0040】
このように、第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3yを収容するキャップ10を設けることで、第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3yを水分、埃、衝撃等から保護することができる。なお、本実施形態では、凹部内が大気封止されている。ただし、これに限定されず、例えば、減圧封止、陽圧封止してもよいし、窒素、アルゴン等の安定したガスに置換してもよい。
【0041】
また、キャップ10は、導電性を有し、例えば、金属材料で構成されている。特に、本実施形態では、鉄-ニッケル系合金である42アロイで構成されている。これにより、セラミック基板からなる配線基板2とキャップ10との線膨張係数差を十分に小さくすることができ、これらの線膨張係数差に起因する熱応力の発生を効果的に抑制することができる。したがって、環境温度に影響を受け難く、安定した特性を有するセンサーモジュール1となる。
【0042】
また、キャップ10は、センサーモジュール1の使用時にグランド(GND)に接続される。これにより、キャップ10が外部からの電磁ノイズを遮断するシールドとして機能し、キャップ10の内部に収容された第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3yの駆動がより安定する。ただし、キャップ10の構成材料としては、42アロイに限定されず、例えば、SUS材等の金属材料、各種セラミック材料、各種樹脂材料、シリコン等の半導体材料、各種ガラス材料等を用いることもできる。
【0043】
≪電子部品6≫
電子部品6は、パッケージ化された表面実装部品である。これにより、素子が剥き出しの実装部品と比べて高い機械的強度を発揮することができる。さらに、電子部品6の配線基板2への実装も容易となる。
【0044】
図12に示すように、電子部品6は、パッケージ61と、パッケージ61内に収容された加速度センサー4および回路素子5を有する。パッケージ61は、凹部を有する箱型のベース62と、凹部の開口を塞ぐようにベース62に接合されたリッド63と、を有する。ベース62は、アルミナ、チタニア等のセラミック材料で構成され、リッド63は、コバール等の金属材料で構成されている。
【0045】
そして、ベース62の凹部の底面に回路素子5と加速度センサー4とが重ねて実装されている。また、回路素子5は、ボンディングワイヤーを介してベース42に形成された内部端子と電気的に接続されており、加速度センサー4は、ボンディングワイヤーを介して回路素子5と電気的に接続されている。なお、パッケージ61内における加速度センサー4および回路素子5の配置は、特に限定されない。
【0046】
加速度センサー4は、X軸方向の加速度、Y軸方向の加速度およびZ軸方向の加速度をそれぞれ独立して検出することができる3軸加速度センサーである。これにより、センサーモジュール1は、X軸、Y軸およびZ軸の各軸まわりの角速度および各軸方向の加速度を検出可能な6軸複合センサーとなる。そのため、様々な電子部品に搭載可能で、利便性および需要の高いセンサーモジュール1となる。
【0047】
加速度センサー4は、パッケージ41と、パッケージ41に収納されている加速度検出素子44、45、46と、を有する。パッケージ41は、加速度検出素子44、45、46を支持するベース42と、ベース42との間に加速度検出素子44、45、46を収容するようにしてベース42に接合されたリッド43と、を有する。
【0048】
また、加速度検出素子44は、X軸方向の加速度を検出する素子であり、加速度検出素子45は、Y軸方向の加速度を検出する素子であり、加速度検出素子46は、Z軸方向の加速度を検出する素子である。これら加速度検出素子44、45、46は、ベース42に固定された固定電極と、ベース42に対して可変な可動電極と、を有するシリコン振動素子である。検出軸方向の加速度を受けると可動電極が固定電極に対し変位し、固定電極と可動電極との間に形成された静電容量が変化する。そのため、加速度検出素子44、45、46の静電容量の変化を検出信号として取り出し、取り出した検出信号に基づいて各軸方向の加速度を求めることができる。
【0049】
回路素子5は、第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3y、加速度センサー4およびリード群7と電気的に接続されている。回路素子5は、第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3yおよび加速度センサー4の駆動を制御する制御回路51と、外部との通信を行うインターフェース回路52と、を有する。
【0050】
制御回路51は、第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3yおよび加速度センサー4の駆動を独立して制御し、第1、第2、第3物理量センサー3z、3x、3yおよび加速度センサー4から出力される検出信号に基づいて、X軸、Y軸およびZ軸の各軸まわりの角速度および各軸方向の加速度を独立して検出する。インターフェース回路52は、信号の送受信を行い、外部装置からの指令を受け付けたり、検出した角速度および加速度を外部装置に出力したりする。
【0051】
このような構成の第4電子部品6は、パッケージ61の底面において導電性の接合部材B6を介して基板2の下面22に接合されている。パッケージ61の底面には回路素子5と電気的に接続された端子65が形成されており、この端子65が接合部材B6を介して端子P6と電気的に接続されている。
【0052】
以上、電子部品6について説明したが、電子部品6の構成としては、特に限定されない。例えば、パッケージ61および加速度センサー4を省略して回路素子5で構成されていてもよい。この場合、センサーモジュール1は、3軸角速度センサーとし機能する。また、パッケージ61および回路素子5を省略してもよい。この場合、センサーモジュール1が実装される外部装置に回路素子5と同様の機能を有する回路を持たせ、当該回路によってセンサーモジュール1の制御を行えばよい。また、パッケージ61を省略し、配線基板2の下面22に回路素子5と加速度センサー4とを重ねて実装してもよい。また、電子部品6は、加速度以外の物理量を検出する物理量センサーであってもよいし、物理量センサーでなくてもよい。また、電子部品6は、省略してもよい。
【0053】
≪リード群7≫
図3および図12に示すように、リード群7は、配線基板2の下面22側に位置し、導電性の接合部材B7を介して配線基板2の下面22に接合された複数のリード71を有する。複数のリード71は、配線基板2の四辺に沿ってほぼ均等に設けられている。また、複数のリード71は、接合部材B7を介して配線基板2に形成された端子P7と電気的に接続されている。
【0054】
接合部材B7は、半田であり、半田リフローによってリード71と配線基板2との機械的および電気的な接続を行っている。これにより、リード71と配線基板2との接続を容易かつ精度よく行うことができる。また、経年劣化が少なく、信頼性の高い接合部材B7となる。ただし、接合部材B7としては、半田に限定されず、例えば、金ろう、銀ろう等の各種ろう材、金バンプ、銀バンプ等の各種金属バンプ、樹脂系接着剤に導電性フィラーを分散させた各種導電性接着剤等を用いることができる。
【0055】
以上、センサーモジュール1について説明した。センサーモジュール1は、前述したように、配線基板2と、第1実装面320zを有する第1パッケージ31zと、第1パッケージ31zに収容されている第1検出素子34zと、を有し、第1実装面320zが配線基板2に接合されている第1物理量センサー3zと、第2実装面320xを有する第2パッケージ31xと、第2パッケージ31xに収容されている第2検出素子34xと、を有する第2物理量センサー3xと、第1主面81および第1側面83を備え、第1主面81に第2物理量センサー3xの第2実装面320xが接合され、第1側面83が配線基板2に接合されている第1支持基板8と、を有する。そして、第2物理量センサー3xと第1支持基板8との集合体Q1の重心G1は、第1支持基板8内に位置する。このような構成によれば、第1側面83を下側に向けた姿勢で集合体Q1を配線基板2上で自立させることができる。そのため、製造中、特に半田リフロー中の集合体Q1の転倒や姿勢変化が抑制され、第2物理量センサー3xの理想姿勢からずれを効果的に抑制することができる。
【0056】
また、前述したように、センサーモジュール1は、第3実装面320yを有する第3パッケージ31yと、第3パッケージ31yに収容されている第3検出素子34yと、を有する第3物理量センサー3yと、第2主面91および第2側面93を備え、第2主面91に第3物理量センサー3yの第3実装面320yが接合され、第2側面93が配線基板2に接合されている第2支持基板9と、を有する。そして、第3物理量センサー3yと第2支持基板9との集合体Q2の重心G2は、第2支持基板9内に位置する。このような構成によれば、第2側面93を下側に向けた姿勢で集合体Q2を配線基板2上で自立させることができる。そのため、製造中、特に半田リフロー中の集合体Q2の転倒や姿勢変化が抑制され、第3物理量センサー3yの理想姿勢からずれを効果的に抑制することができる。
【0057】
また、前述したように、第1支持基板8は、第1側面83に形成されているキャスタレーションC1を有し、キャスタレーションC1は、第1側面83の第1主面81側に位置する第1キャスタレーションC11と、第1主面81と表裏関係にある第1背面82側に位置する第2キャスタレーションC12と、を有する。このようにキャスタレーションC1を第1側面83の両側に形成することにより、配線基板2上での第1支持基板8の姿勢が安定する。また、配線基板2と第1支持基板8とを接合する接合部材B8がキャスタレーションC1内に入り込むため、配線基板2と第1支持基板8との接合強度をより高めることができる。
【0058】
また、前述したように、第2物理量センサー3xは、第1支持基板8を介して配線基板2と電気的に接続されている。これにより、第2物理量センサー3xと配線基板2との電気的な接続が容易となる。
【0059】
また、前述したように、第1パッケージ31zは、第1実装面320zおよび第1検出素子34zを収容する凹部を有する第1ベース32zと、第1ベース32zに接合され凹部の開口を塞ぐ第1リッド33zと、を有し、第2パッケージ31xは、第2実装面320xおよび第2検出素子34xを収容する凹部を有する第2ベース32xと、第2ベース32xに接合され凹部の開口を塞ぐ第2リッド33xと、を有し、配線基板2、第1ベース32z、第2ベース32xおよび第1支持基板8は、同一材料で構成されている。これにより、これらの線膨張係数が等しくなり、熱応力が生じ難くなる。そのため、クラック等の発生が抑制され、信頼性の高いセンサーモジュール1となる。
【0060】
次に、センサーモジュール1の製造方法について説明する。図13に示すように、センサーモジュール1の製造方法は、集合体形成工程S1と、研磨工程S2と、リード形成工程S3と、第1物理量センサー接合工程S4と、集合体接合工程S5と、電子部品接合工程S6と、キャップ接合工程S7と、リード整形工程S8と、を含む。以下、これら各工程S1~S8について詳細に説明する。
【0061】
[集合体形成工程S1]
本工程S1では、集合体Q1、Q2を形成する。なお、集合体Q1、Q2の形成方法は、互いに同様であるため、以下では、集合体Q1の形成方法について代表して説明し、集合体Q2の形成方法については、その説明を省略する。
【0062】
まず、所定の配線パターンが形成された複数のセラミックシートを積層し、この積層体を焼結する。これにより、図14に示すように、複数の第1支持基板8が一体形成されたセラミック基板80が得られる。次に、図15に示すように、半田リフローによって、各第1支持基板8の第1主面81に第2物理量センサー3xを接合する。具体的には、第1主面81に形成された端子P3x上に接合部材B3xとしての半田ペーストを印刷し、その上に第2物理量センサー3xを配置し、リフロー炉で加熱して半田ペーストを溶解させることで、各第1支持基板8の第1主面81に第2物理量センサー3xを接合する。このように、半田リフローを用いることにより、本工程が容易となる。
【0063】
次に、セラミック基板80から各第1支持基板8を個片化する。これにより、複数の集合体Q1が一括して得られる。なお、個片化の方法は、特に限定されず、例えば、「チョコレートブレーク」、「チップブレーク」等とも呼ばれる折り取りや、ダイシングソーやレーザーを用いたダイシング等が挙げられる。
【0064】
[研磨工程S2]
本工程S2では、集合体形成工程S1で得られた集合体Q1、Q2を研磨する。具体的には、第1、第2支持基板8、9の第1、第2側面83、93を研磨して、第1、第2側面83、93をより平坦な面とすると共に、第1、第2主面81、91とのなす角θ1を90°に合わせ込む。これにより、第2、第3物理量センサー3x、3yを目的の姿勢に合わせ込むことができる。研磨方法としては、特に限定されないが、例えば、化学機械研磨を用いることができる。なお、本工程S2は、必要に応じて行えばよく、集合体形成工程S1で十分な精度の第1、第2側面83、93を形成することができれば、省略してもよい。
【0065】
[リード形成工程S3]
本工程S3では、まず、図16に示すように、リードフレーム70を準備する。リードフレーム70は、枠状のフレーム73と、フレーム73の内側に位置し、フレーム73に支持された複数のリード71と、これら複数のリード71同士を接続するタイバー74と、を有する。次に、図17に示すように、半田リフローによって、リードフレーム70に配線基板2を接合する。ただし、接合方法は、特に限定されない。
【0066】
[第1物理量センサー接合工程S4]
本工程S4では、図18に示すように、半田リフローによって、接合部材B3zを介して配線基板2の上面21に第1物理量センサー3zを接合する。具体的には、第1物理量センサー3zの第1実装面320zを上面21に接合する。
【0067】
[集合体接合工程S5]
本工程S5では、図19に示すように、半田リフローによって、接合部材B8、B9を介して配線基板2の上面21に第2、第3物理量センサー3x、3yを接合する。具体的には、図20に示すように、まず、配線基板2の端子P8、P9上に半田ペーストである接合部材B8、B9を印刷する。次に、集合体Q1、Q2を第1、第2側面83、93を鉛直方向下側に向けた姿勢で接合部材B8、B9上に配置する。この際、集合体Q1の重心G1が第1支持基板8内に位置しているため、集合体Q1は、転倒せずに自立する。同様に、集合体Q2の重心G2が第2支持基板9内に位置しているため、集合体Q2は、転倒せずに自立する。次に、リフロー炉で加熱して接合部材B8、B9を溶解させることで、配線基板2に集合体Q1、Q2を接合する。
【0068】
前述したように、集合体Q1、Q2が自立し、第1、第2側面83、93が十分な平坦面であるため、接合部材B8、B9が溶解して集合体Q1、Q2が沈み込む際の転倒や姿勢変化を効果的に抑制することができる。また、角θ1が90°に合わせ込まれているため、第2物理量センサー3xの検出軸が自然とX軸方向に沿い、第3物理量センサー3yの検出軸が自然とY軸方向に沿う。
【0069】
なお、本工程S5は、前述した第1物理量センサー接合工程S4と同時に行ってもよい。つまり、第1物理量センサー3zおよび集合体Q1、Q2を同時に半田リフローにより配線基板2に接合してもよい。これにより、センサーモジュール1の熱履歴を低減することができる。
【0070】
[電子部品接合工程S6]
本工程S6では、半田リフローによって、接合部材B6を介して配線基板2の下面22に電子部品6を接合する。
【0071】
[キャップ接合工程S7]
本工程S7では、半田リフローによって、接合部材B10を介して配線基板2の上面21にキャップ10を接合する。
【0072】
[リード整形工程S8]
本工程では、まず、リードフレーム70からフレーム73を除去すると共に、リード71を所定の形状に折り曲げる。次に、リード71同士を接続するタイバー74をレーザーやトリム金型等によって切断する。以上により、センサーモジュール1が製造される。
【0073】
このような製造方法によれば、第2物理量センサー3xよりも外形の形成精度が高い第1支持基板8を介して第2物理量センサー3xを配線基板2に接合し、第3物理量センサー3yよりも外形の形成精度が高い第2支持基板9を介して第3物理量センサー3yを配線基板2に接合する。そのため、第2、第3物理量センサー3x、3yを直接配線基板2に接合する場合と比べて、第2、第3物理量センサー3x、3yの姿勢変化すなわち理想姿勢からずれを効果的に抑制することができる。また、集合体Q1、Q2の重心G1、G2が第1、第2支持基板8、9内に位置しているため、集合体Q1、Q2が転倒することなく配線基板2上で自立する。そのため、製造中、特に半田リフロー中の集合体Q1、Q2の転倒や姿勢変化が抑制され、第2、第3物理量センサー3x、3yの姿勢変化すなわち理想姿勢からずれを効果的に抑制することができる。
【0074】
以上、センサーモジュール1の製造方法について説明した。センサーモジュール1の製造方法は、前述したように、配線基板2と、第1実装面320zを有する第1パッケージ31zと、第1パッケージ31zに収容されている第1検出素子34zと、を有する第1物理量センサー3zと、第2実装面320xを有する第2パッケージ31xと、第2パッケージ31xに収容されている第2検出素子34xと、を有する第2物理量センサー3xと、第1主面81および第1側面83を備える第1支持基板8と、を有するセンサーモジュール1の製造方法であって、第1支持基板8の第1主面81に第2物理量センサー3xの第2実装面320xを接合して集合体Q1を得る集合体形成工程S1と、配線基板2に第1パッケージ31zの第1実装面320zを接合する第1物理量センサー接合工程S4と、第1側面83を鉛直方向下側に向けた姿勢で集合体Q1を配線基板2に接合する集合体接合工程S5と、を含み、集合体Q1の重心G1は、第1支持基板8内に位置する。このような方法によれば、第1側面83を下側に向けた姿勢で集合体Q1を配線基板2上で自立させることができる。そのため、製造中、特に集合体接合工程S5での半田リフロー中の集合体Q1の転倒や姿勢変化が抑制され、第2物理量センサー3xの理想姿勢からずれを効果的に抑制することができる。
【0075】
また、前述したように、センサーモジュール1の製造方法は、第1支持基板8の第1側面83を研磨する研磨工程S2を含む。これにより、第1側面83をより平坦な面とすると共に、第1主面81とのなす角θ1を90°に合わせ込むことができる。そのため、第2物理量センサー3xを目的の姿勢に合わせ込むことができる。
【0076】
<第2実施形態>
図21は、第2実施形態に係るセンサーモジュールを示す断面図である。
【0077】
本実施形態のセンサーモジュールは、電子部品6の構成が異なることと、モールド部Mが設けられていること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の図において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0078】
図21に示すように、本実施形態のセンサーモジュール1では、電子部品6からパッケージ61が省略されており、加速度センサー4と回路素子5とが剥き出しになっている。その替わりに、センサーモジュール1は、電子部品6をモールドするモールド部Mを有する。これにより、電子部品6を水分、埃、衝撃等から保護している。また、キャップ10は、接合部材B10ではなく、モールド部Mにより基板2に接合されている。モールド部Mを構成するモールド材としては、特に限定されず、例えば、熱硬化型のエポキシ樹脂、その他、硬化型の樹脂材料を用いることができる。また、モールド部Mは、例えば、トランスファーモールド法等によって形成することができる。
【0079】
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0080】
以上、本発明のセンサーモジュールおよびセンサーモジュールの製造方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明に、任意の目的の工程が付加されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…センサーモジュール、10…キャップ、101…基部、102…フランジ部、2…配線基板、21…上面、22…下面、3x…第2物理量センサー、3y…第3物理量センサー、3z…第1物理量センサー、31…パッケージ、31x…第2パッケージ、31y…第3パッケージ、31z…第1パッケージ、32…ベース、32x…第2ベース、32y…第3ベース、32z…第1ベース、320…実装面、320x…第2実装面、320y…第3実装面、320z…第1実装面、321…接続端子、33…リッド、33x…第2リッド、33y…第3リッド、33z…第1リッド、34…検出素子、34x…第2検出素子、34y…第3検出素子、34z…第1検出素子、4…加速度センサー、41…パッケージ、42…ベース、43…リッド、44…加速度検出素子、45…加速度検出素子、46…加速度検出素子、5…回路素子、51…制御回路、52…インターフェース回路、6…電子部品、61…パッケージ、62…ベース、63…リッド、65…端子、7…リード群、70…リードフレーム、71…リード、73…フレーム、74…タイバー、8…第1支持基板、8A…部分、8B…部分、80…セラミック基板、81…第1主面、82…第1背面、83…第1側面、9…第2支持基板、91…第2主面、92…第2背面、93…第2側面、B3x…接合部材、B3y…接合部材、B3z…接合部材、B6…接合部材、B7…接合部材、B8…接合部材、B9…接合部材、B10…接合部材、C1…キャスタレーション、C11…第1キャスタレーション、C12…第2キャスタレーション、C2…キャスタレーション、C21…第1キャスタレーション、C22…第2キャスタレーション、G1…重心、G2…重心、M…モールド部、P3x…端子、P3y…端子、P3z…端子、P6…端子、P7…端子、P8…端子、P9…端子、Q1…集合体、Q2…集合体、S1…集合体形成工程、S2…研磨工程、S3…リード形成工程、S4…第1物理量センサー接合工程、S5…集合体接合工程、S6…電子部品接合工程、S7…キャップ接合工程、S8…リード整形工程、θ1…角、θ2…角
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