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  • 特開-座屈拘束ブレース 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070389
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】座屈拘束ブレース
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
E04B1/58 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180845
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】長濱 温子
(72)【発明者】
【氏名】岡本 勇紀
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA33
2E125AB01
2E125AB15
2E125AC01
2E125AC13
2E125AG02
2E125AG31
2E125CA82
2E125EA25
(57)【要約】
【課題】アンボンド材を用いずに芯材と拘束材との間に所定のクリアランスを形成できる座屈拘束ブレースを提供する。
【解決手段】座屈拘束ブレース1は、芯材2と、箱状部材31内に硬化材32が充填されており、芯材2の弱軸方向に直交する各面に硬化材32を対向させて配置される拘束材3と、を備えている。そして、拘束材3の箱状部材31における対向面部310,311の各々の内面側に、繋ぎ面部から離間して位置するとともに上記硬化材32の天端から突出する複数の突出部材4を拘束材3の長辺方向に間隔をあけて備えており、上記突出部材4が上記芯材2に接触することで、上記芯材2と各拘束材3の上記硬化材32との間に所定のクリアランスが形成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に接合部を有する芯材と、
一対の対向面部と当該対向面部を繋ぐ繋ぎ面部とを有する箱状部材内に硬化材が充填されており、上記芯材の弱軸方向に直交する各面に上記硬化材を対向させて配置される拘束材と、
を備える座屈拘束ブレースであって、
上記箱状部材における上記対向面部の各々の内面側に、上記繋ぎ面部から離間して位置するとともに上記硬化材の天端から突出する複数の突出部材を上記拘束材の長辺方向に間隔をあけて備えており、上記突出部材が上記芯材に接触することで、上記芯材と各拘束材の上記硬化材との間に所定のクリアランスが形成されることを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項2】
請求項1に記載の座屈拘束ブレースにおいて、各突出部材は、一方の上記対向面部と他方の上記対向面部との間に渡る一枚板であり、これら対向面部の間隔を規定することを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項3】
請求項2に記載の座屈拘束ブレースにおいて、各突出部材の両端が上記対向面部の内面に固定されていることを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項4】
請求項2に記載の座屈拘束ブレースにおいて、2本の長尺の板部材間に上記複数の突出部材の両端が固定された梯子状部材が上記対向面部間で上記拘束材の長辺方向に延びて配置され、上記板部材が上記対向面部の内面に固定されていることを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項5】
請求項1に記載の座屈拘束ブレースにおいて、各突出部材の一端側は、一方の上記対向面部または他方の上記対向面部から離間することを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項6】
請求項5に記載の座屈拘束ブレースにおいて、各突出部材の他端側が各対向面部の内面に固定されていることを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項7】
請求項5に記載の座屈拘束ブレースにおいて、長尺の板部材に上記複数の突出部材の他端側が固定された2個の櫛歯状部材の各々が各対向面部に沿って上記拘束材の長辺方向に延びて配置され、各櫛歯状部材の板部材が上記対向面部の内面に固定されていることを特徴とする座屈拘束ブレース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、芯材を一対の拘束材によって拘束してなる座屈拘束ブレースに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、芯材を一対の拘束材によって拘束してなる座屈拘束ブレースが開示されている。この座屈拘束ブレースは、上記芯材が配置される側が開口した溝形鋼材と、この溝形鋼材内に充填したモルタルとを有する。そして、上記芯材が配置される高さ相当位置に、上記溝形鋼材の長さ方向に延びて芯材の強軸方向の端面に対向して当該芯材の移動を規制する棒状スペーサが溶接等により固定されている。また、上記座屈拘束ブレースにおいては、上記芯材の表面にアンボンド材が貼り付けられており、上記芯材と上記拘束材との間に所定のクリアランスが形成されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-32701号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記座屈拘束ブレースにおいては、上記アンボンド材の幅は芯材の幅と同幅とされており、上記芯材の幅が細かな変更幅で設計されることから、上記アンボンド材も上記芯材の幅設計に合わせた幅で作製することとしていた。このため、アンボンド材の加工手間が生じ、アンボンド材の納期遅延や歩留まりの低下を招来していた。
【0005】
この発明は、アンボンド材を用いずに芯材と拘束材との間に所定のクリアランスを形成できる座屈拘束ブレースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の座屈拘束ブレースは、端部に接合部を有する芯材と、
一対の対向面部と当該対向面部を繋ぐ繋ぎ面部とを有する箱状部材内に硬化材が充填されており、上記芯材の弱軸方向に直交する各面に上記硬化材を対向させて配置される拘束材と、
を備える座屈拘束ブレースであって、
上記箱状部材における上記対向面部の各々の内面側に、上記繋ぎ面部から離間して位置するとともに上記硬化材の天端から突出する複数の突出部材を上記拘束材の長辺方向に間隔をあけて備えており、上記突出部材が上記芯材に接触することで、上記芯材と各拘束材の上記硬化材との間に所定のクリアランスが形成されることを特徴とする。
【0007】
上記の構成であれば、上記複数の突出部材が上記芯材に接触することで、上記芯材と各拘束材の上記硬化材との間に所定のクリアランスが形成される。これにより、アンボンド材が不要になり、このアンボンド材の加工手間に起因する納期遅延等の問題を解消できる。また、上記突出部材は、上記繋ぎ面部から離間して位置するので、この離間領域を通じて上記箱状部材内の上記硬化材の一体性(非分断)が確保される。
【0008】
各突出部材は、一方の上記対向面部と他方の上記対向面部との間に渡る一枚板であり、これら対向面部の間隔を規定してもよい。これによれば、上記箱状部材における上記対向面部の間隔を規定できるので、上記対向面部の間隔の製造時の誤差の修正、上記硬化材の打設時の上記対向面部の開きの防止が図れる。また、隣り合う上記突出部材間に位置する上記硬化材の部分においては、支圧強度の向上が期待でき、上記拘束材の局部耐力向上が可能となる。
【0009】
各突出部材の両端が上記対向面部の内面に固定されていてもよい。
【0010】
或いは、2本の長尺の板部材間に上記複数の突出部材の両端が固定された梯子状部材が上記対向面部間で上記拘束材の長辺方向に延びて配置され、上記板部材が上記対向面部の内面に固定されていてもよい。これによれば、上記複数の突出部材自体を上記対向面部の内面に個別に固定するのに比べて、製作効率を向上できる。
【0011】
各突出部材の一端側は、一方の上記対向面部または他方の上記対向面部から離間してもよい。これによれば、上記突出部材は、上記対向面部の間隔規定はできないものの、アンボンド材に替わって上記芯材と上記硬化材との間のクリアランスを形成できる。
【0012】
各突出部材の他端側が各対向面部の内面に固定されていてもよい。
【0013】
或いは、長尺の板部材に上記複数の突出部材の他端側が固定された2個の櫛歯状部材の各々が各対向面部に沿って上記拘束材の長辺方向に延びて配置され、各櫛歯状部材の板部材が上記対向面部の内面に固定されていてもよい。これによれば、上記複数の突出部材自体を上記対向面部の内面に個別に固定するのに比べて、製作効率を向上できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明であれば、アンボンド材を用いずに芯材と拘束材との間に所定のクリアランスを形成できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の座屈拘束ブレースの外観を示した斜視図である。
図2図1の座屈拘束ブレースの概略の断面図である。
図3図1の座屈拘束ブレースの分解説明図である。
図4】実施形態の座屈拘束ブレースの変形例を示した図であって、同図(A)は当該座屈拘束ブレースの拘束材の概略の斜視図であり、同図(B)は、梯子状部材の概略の斜視図である。
図5】実施形態の他の変形例の座屈拘束ブレースの拘束材を示した概略の斜視図である。
図6】実施形態の他の変形例の座屈拘束ブレースの拘束材を示した概略の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1および図2に示すように、実施形態の座屈拘束ブレース1は、芯材2と、一対の拘束材3と、複数の突出部材4と、を備える。
【0017】
芯材2は、長方形状の鋼製の板状体21と、この板状体21の長辺方向の両端側に位置し、他部材との接合のための接合部22と、を有しており、上記接合部22に形成されているボルト挿通孔に通したボルトによって建物の躯体に固定される。上記接合部22は、上記板状体21の両端から延設された延設部分22aに対して直交配置で板片部22bが溶接固定されることで断面略十字形をなしている。
【0018】
拘束材3は、図3にも示すように、上記芯材2の上記板状体21の弱軸方向に直交する各面(弱軸面)にそれぞれ対向して位置する。各拘束材3は、箱状部材31と、硬化材32と、を備える。
【0019】
各箱状部材31は、例えば、一対の対向面部(立上部)310,311と当該対向面部を繋ぐ繋ぎ面部とを有する溝形鋼状に平鋼が折り曲げ加工されたものであり、上記芯材2側に開口が位置している。上記箱状部材31における一方側の対向面部311は、他方側の対向面部310よりも高さが高くされている。そして、一方の箱状部材31における対向面部311は、他方の箱状部材31における対向面部310の外側に重なっており、この重なりの箇所が溶接されることで、上記一対の拘束材3が互いに固定される。
【0020】
上記箱状部材31の長辺方向(材軸方向)の両端箇所には、当該箱状部材31の端部を形成する壁部31aが溶接固定されている。上記壁部31aの高さは、箱状部材31の低い側の対向面部の高さと同じである。上記壁部31aの中央には、上記接合部22の板片部22bにおける上記の高さが低くされた基部側との干渉を避けるように当該基部側を収容する収容凹部31bが形成されている。
【0021】
硬化材32は、箱状部材31内に充填されて硬化したものであり、例えば、モルタルまたはコンクリートである。
【0022】
棒状スペーサ35は、箱状部材31の長辺方向に長い形状を有しており、各箱状部材31の高い側の対向面部311の内面における芯材2の配置される高さ相当位置に溶接等により固定されている。
【0023】
また、上記棒状スペーサ35は、上記のように、拘束材3に配置されることで、芯材2の強軸方向の端面と当該強軸方向の端面に対向する箱状部材31の対向面部311の内面との間に位置し、芯材2の強軸方向の移動(変形)を規制する。すなわち、芯材2の強軸方向の移動を、上記棒状スペーサ35および当該棒状スペーサ35が位置する箇所の対向面部311で受け止める。
【0024】
各突出部材4は、例えば、鋼板からなり、箱状部材31における対向面部310と対向面部311の各々の内面側に、上記繋ぎ面部(箱状部材31の底部)から離間して位置するとともに硬化材32の天端から各々突出している。この例では、硬化材32の高さ位置は、低い側の対向面部310の上端位置に一致させるので、各突出部材4は、対向面部310の上端位置よりも高い位置にある。
【0025】
そして、これら複数の突出部材4は、拘束材3の長辺方向に間隔をあけて配置されており、これら突出部材4が芯材2に接触することで、芯材2と各拘束材3の硬化材32との間に所定のクリアランスが形成される。
【0026】
また、各突出部材4は、対向面部310と対向面部311との間に渡る一枚板であり、これら対向面部310,311の間隔を規定する長さを有している。
【0027】
各拘束材3において、例えば、複数の突出部材4の配置形態は互いに一致しており、両拘束材3は同じ構造を有し、両拘束材3を向かい合わせた状態で、芯材2を挟んで対をなす突出部材4は同一平面内に存在する。もちろん、芯材2を挟む一対の突出部材4が同一平面内に存在することに限定されない。
【0028】
拘束材3の製作においては、各箱状部材31内に突出部材4を対向面部310,311間に位置させて、突出部材4の各端部を溶接によって対向面部310,311の内面に固定する。すなわち、対向面部310,311に突出部材4を介在させることで、対向面部310,311間の間隔が規定の寸法となる。そして、全ての突出部材4が対向面部310,311間に固定された各箱状部材31内に、硬化材32となる例えばモルタルを充填する。各突出部材4は、箱状部材31内で上記繋ぎ面部(箱状部材31の底部)から離間して位置するので、上記モルタルは箱状部材31内で広がることができる。なお、上記離間の距離は、上記モルタル等の箱状部材31内での広がりの円滑さ、突出部材4の強度、使用材料量等を鑑みて決定することができる。
【0029】
上記の構成であれば、複数の突出部材4が芯材2に接触することで、この芯材2と各拘束材3の硬化材32との間に所定のクリアランスが形成される。これにより、アンボンド材が不要になり、このアンボンド材の加工手間に起因する納期遅延等の問題を解消できる。また、突出部材4は、上記繋ぎ面部から離間して位置するので、この離間領域を通じて箱状部材31内の硬化材32の一体性(非分断)が確保される。
【0030】
各突出部材4が、対向面部310,311間に渡る一枚板であって、これら対向面部310,311の間隔を規定する長さを有すると、各拘束材3における対向面部310,311の間隔を規定できるので、対向面部310,311の間隔の製造時の誤差の修正、硬化材32の打設時の対向面部310,311間の開きの防止が図れる。また、隣り合う突出部材4間に位置する硬化材32の部分においては、支圧強度の向上が期待でき、拘束材3の局部耐力向上が可能となる。
【0031】
上記の例では、各突出部材4の両端が対向面部310,311の内面に固定されたが、これに限らない。例えば、図4(A)および図4(B)に示すように、2本の長尺の板部材41,41間に複数の突出部材4の両端が固定された梯子状部材42が、対向面部310,311間で拘束材3の長辺方向に延びて配置され、上記の板部材41が対向面部310,311の内面に溶接等により固定されていてもよい。これによれば、上記複数の突出部材4自体を対向面部310,311の内面に個別に固定するのに比べて、製作効率を向上できる。
【0032】
また、上記の例では、各突出部材4は、対向面部310と対向面部311との間に渡る一枚板であったが、このような構造に限らない。例えば、図5に示すように、各突出部材400の一端側が、対向面部311または対向面部310から離間し、各突出部材400の他端側が、直接に対向面部310,311の内面に個別に溶接固定された構造でもよい。これによれば、突出部材400は、対向面部310,311の間隔規定はできないものの、アンボンド材に替わって芯材2と硬化材32との間のクリアランスの形成を行える。なお、各拘束材3内で当該拘束材3の短辺方向に並ぶ2枚の突出部材400,400は、図示のように、同一平面内に存在してもよいし、同一平面内に存在しなくてもよい。
【0033】
また、各突出部材400が対向面部311または対向面部310の内面に直接に固定される構造に限らない。例えば、図6に示すように、長尺の板部材401に複数の突出部材400の他端側が固定された2個の櫛歯状部材402,402の各々が各対向面部311または対向面部310に沿って上記拘束材3の長辺方向に延びて配置され、各櫛歯状部材402の板部材401が上記対向面部310,311の内面に固定されていてもよい。これによれば、複数の突出部材400自体を上記対向面部310,311の内面に個別に固定するのに比べて、製作効率を向上できる。
【0034】
また、以上の例では、各突出部材4,400の突出辺部が芯材2に線接触する構造であったが、これに限らず、各突出部材4,400の突出辺部に凹凸を形成しておくことで、各突出部材4,400が芯材2に点接触する構造とすることもできる。また、各突出部材4,400は、平板形状であったが、これに限らず、断面山形(L形)、断面溝形、断面T字形等であってもよい。
【0035】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 :座屈拘束ブレース
2 :芯材
3 :拘束材
4 :突出部材
21 :板状体
22 :接合部
22a :延設部分
22b :板片部
31 :箱状部材
31a :壁部
31b :収容凹部
32 :硬化材
35 :棒状スペーサ
41 :板部材
42 :梯子状部材
310 :対向面部
311 :対向面部
400 :突出部材
401 :板部材
402 :櫛歯状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6