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特開2024-70399画像処理装置、印刷システムおよび画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070399
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】画像処理装置、印刷システムおよび画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240516BHJP
   G06T 15/04 20110101ALI20240516BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20240516BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
G06F3/12 353
G06F3/12 308
G06F3/12 344
G06F3/12 378
G06T15/04
H04N1/60
B41J21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180862
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 充裕
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 崇廣
(72)【発明者】
【氏名】大野 拓也
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐子
【テーマコード(参考)】
2C187
5B080
5C079
【Fターム(参考)】
2C187AC05
2C187AC08
2C187AD14
2C187AE01
2C187AF03
2C187AG15
2C187CD12
2C187CD17
2C187GA03
5B080AA13
5B080AA19
5B080FA02
5B080GA22
5C079KA18
5C079LA40
5C079LB01
5C079MA05
5C079MA17
5C079NA01
5C079NA29
5C079PA03
5C079PA05
(57)【要約】
【課題】印刷媒体の表面と裏面との質感を再現可能な技術を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、画像データを取得する画像データ取得部と、画像が印刷される印刷媒体の種類を含む印刷条件を取得する印刷条件取得部と、印刷媒体の質感を表す質感パラメーターを取得するパラメーター取得部と、画像データに印刷条件に応じた色変換を施す色変換部と、印刷媒体の形状を表す3Dオブジェクトの表面と裏面との少なくとも一方に色変換が施された画像データを対応付け、かつ、3Dオブジェクトの表面と裏面とに質感パラメーターを対応付けてレンダリングを実行することにより、画像が印刷された印刷媒体を表すレンダリング画像を生成するレンダリング部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを取得する画像データ取得部と、
画像が印刷される印刷媒体の種類を含む印刷条件を取得する印刷条件取得部と、
前記印刷媒体の質感を表す質感パラメーターを取得するパラメーター取得部と、
前記画像データに前記印刷条件に応じた色変換を施す色変換部と、
前記印刷媒体の形状を表す3Dオブジェクトの表面と裏面との少なくとも一方に前記色変換が施された前記画像データを対応付け、かつ、前記3Dオブジェクトの表面と裏面とに前記質感パラメーターを対応付けてレンダリングを実行することにより、画像が印刷された前記印刷媒体を表すレンダリング画像を生成するレンダリング部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記画像データ取得部は、前記印刷媒体の表面に印刷される画像の表面画像データと、前記印刷媒体の裏面に予め表されている画像の裏面画像データとを取得し、
前記レンダリング部は、前記3Dオブジェクトの表面に前記色変換が施された前記表面画像データを対応付け、前記3Dオブジェクトの裏面に前記裏面画像データを対応付ける、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像データ取得部は、前記印刷媒体の表面に印刷される画像の表面画像データと、前記印刷媒体の裏面に印刷される画像の裏面画像データとを取得し、
前記レンダリング部は、前記3Dオブジェクトの表面に前記色変換が施された前記表面画像データを対応付け、前記3Dオブジェクトの裏面に前記色変換が施された前記裏面画像データを対応付ける、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記パラメーター取得部は、前記印刷媒体の表面の質感を表す表面質感パラメーターと、前記印刷媒体の裏面の質感を表す裏面質感パラメーターとを取得し、
前記レンダリング部は、前記3Dオブジェクトの表面に前記表面質感パラメーターを対応付け、前記3Dオブジェクトの裏面に前記裏面質感パラメーターを対応付ける、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記3Dオブジェクトは、前記3Dオブジェクトの表面と裏面とを構成するポリゴンを備える、
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記3Dオブジェクトは、前記3Dオブジェクトの表面を構成する表面用ポリゴンと、前記表面用ポリゴンと背中合わせに配置されており、前記3Dオブジェクトの裏面を構成する裏面用ポリゴンと、を備える、
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記3Dオブジェクトの裏面に対応付けられる前記画像データに前記色変換を施すか否かを選択する選択部を備える、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置によって生成された前記レンダリング画像を表示する表示装置と、
前記印刷媒体に画像を印刷する印刷装置と、
を備える、印刷システム。
【請求項9】
画像データを取得する画像データ取得機能と、
画像が印刷される印刷媒体の種類を含む印刷条件を取得する印刷条件取得機能と、
前記印刷媒体の質感を表す質感パラメーターを取得するパラメーター取得機能と、
前記画像データに前記印刷条件に応じた色変換を施す色変換機能と、
前記印刷媒体の形状を表す3Dオブジェクトの表面と裏面との少なくとも一方に前記色変換が施された前記画像データを対応付け、かつ、前記3Dオブジェクトの表面と裏面とに前記質感パラメーターを対応付けてレンダリングを実行することにより、画像が印刷された前記印刷媒体を表すレンダリング画像を生成するレンダリング機能と、
をコンピューターに実行させる、画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、印刷システムおよび画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、両面印刷により表面と裏面とに画像が印刷された印刷媒体のプレビュー画像をディスプレイに表示させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-234671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、表面と裏面とに画像が印刷された印刷媒体のプレビュー画像をディスプレイに表示させることができるが、プレビュー画像には印刷媒体の質感が再現されていない。したがって、印刷媒体の表面と裏面との質感を再現可能な技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、画像処理装置が提供される。この画像処理装置は、画像データを取得する画像データ取得部と、画像が印刷される印刷媒体の種類を含む印刷条件を取得する印刷条件取得部と、前記印刷媒体の質感を表す質感パラメーターを取得するパラメーター取得部と、前記画像データに前記印刷条件に応じた色変換を施す色変換部と、前記印刷媒体の形状を表す3Dオブジェクトの表面と裏面との少なくとも一方に前記色変換が施された前記画像データを対応付け、かつ、前記3Dオブジェクトの表面と裏面とに前記質感パラメーターを対応付けてレンダリングを実行することにより、画像が印刷された前記印刷媒体を表すレンダリング画像を生成するレンダリング部と、を備える。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、印刷システムが提供される。この印刷システムは、前記第1の形態の前記画像処理装置と、前記画像処理装置によって生成された前記レンダリング画像を表示する表示装置と、前記印刷媒体に画像を印刷する印刷装置と、を備える。
【0007】
本開示の第3の形態によれば、画像処理プログラムが提供される。この画像処理プログラムは、画像データを取得する画像データ取得機能と、画像が印刷される印刷媒体の種類を含む印刷条件を取得する印刷条件取得機能と、前記印刷媒体の質感を表す質感パラメーターを取得するパラメーター取得機能と、前記画像データに前記印刷条件に応じた色変換を施す色変換機能と、前記印刷媒体の形状を表す3Dオブジェクトの表面と裏面との少なくとも一方に前記色変換が施された前記画像データを対応付け、かつ、前記3Dオブジェクトの表面と裏面とに前記質感パラメーターを対応付けてレンダリングを実行することにより、画像が印刷された前記印刷媒体を表すレンダリング画像を生成するレンダリング機能と、をコンピューターに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の印刷システムの構成を示す説明図。
図2】画像処理装置の構成を示す説明図。
図3】レンダリング部の構成を示す説明図。
図4】画像が印刷された印刷媒体の一例を示す説明図。
図5】画像データ入力用ユーザーインターフェースの第1の例を示す説明図。
図6】画像データ入力用ユーザーインターフェースの第2の例を示す説明図。
図7】3Dオブジェクトの表面を観察する様子を模式的に示す説明図。
図8】表面観察時に表示されるレンダリング画像を模式的に示す説明図。
図9】3Dオブジェクトの裏面を観察する様子を模式的に示す説明図。
図10】裏面観察時に表示されるレンダリング画像を模式的に示す説明図。
図11】第2実施形態の画像処理装置において3Dオブジェクトの表面を観察する様子を模式的に示す説明図。
図12】第2実施形態の画像処理装置において3Dオブジェクトの裏面を観察する様子を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態の画像処理装置100を備える印刷システム10の構成を示す説明図である。印刷システム10は、画像処理装置100と、入力装置200と、表示装置300と、印刷装置400とを備えている。画像処理装置100は、物理ベースレンダリング(以下、単にレンダリングという)により、画像が印刷された印刷媒体を表すレンダリング画像を生成して、レンダリング画像を表示装置300に表示させる。印刷媒体は、例えば、普通紙や光沢紙やマット紙などの印刷用紙である。印刷媒体は、印刷用紙に限られず、例えば、布や、プラスチックシートなどでもよい。表面の質感と裏面の質感とが異なる印刷媒体が用いられてもよいし、表面の質感と裏面の質感とが同じ印刷媒体が用いられてもよい。
【0010】
画像処理装置100は、プロセッサー101と、メモリー102と、入出力インターフェース103と、内部バス104とを備えている。プロセッサー101、メモリー102、および、入出力インターフェース103は、内部バス104を介して、双方向に通信可能に接続されている。入力装置200、表示装置300、および、印刷装置400は、有線通信あるいは無線通信により画像処理装置100の入出力インターフェース103に接続されている。入力装置200は、例えば、キーボードやマウスであり、表示装置300は、例えば、液晶ディスプレイである。入力装置200および表示装置300は、タッチパネルとして一体化されていてもよい。印刷装置400は、例えば、インクジェットプリンターであり、印刷媒体に画像を印刷する。
【0011】
図2は、画像処理装置100の構成を示す説明図である。画像処理装置100は、画像データ取得部110と、印刷条件取得部120と、入力プロファイル取得部131と、メディアプロファイル取得部132と、共通色空間プロファイル取得部133と、カラーマネージメントシステム140と、パラメーター取得部150と、レンダリング部160とを備えている。画像データ取得部110、印刷条件取得部120、各プロファイル取得部131~133、カラーマネージメントシステム140、パラメーター取得部150、および、レンダリング部160は、メモリー102に予め記憶されている画像処理プログラムPGをプロセッサー101が実行することによりソフトウェア的に実現される。なお、カラーマネージメントシステム140のことを色変換部140と呼ぶことがある。
【0012】
画像データ取得部110は、画像データを取得する。本実施形態では、画像データには、表面画像データと、裏面画像データとが含まれる。表面画像データは、印刷媒体の表面に印刷される画像を表す画像データである。裏面画像データは、印刷媒体の裏面に印刷される画像、あるいは、印刷媒体の裏面に予め形成されているロゴなどの画像を表す画像データである。以下の説明では、印刷媒体に印刷される画像のことを印刷画像と呼び、印刷媒体に予め形成されている画像のことを既成画像と呼び、印刷画像と既成画像とを特に区別せずに説明する場合には単に画像と呼ぶ。画像データ取得部110により取得された画像データは、カラーマネージメントシステム140に送信される。
【0013】
印刷条件取得部120は、印刷媒体の種類を含む印刷条件を取得する。印刷条件には、印刷媒体の種類の他に、例えば、印刷の解像度や、片面印刷で印刷するか両面印刷で印刷するかなどの条件が含まれる。印刷条件取得部120により取得された印刷条件は、各プロファイル取得部131~133、カラーマネージメントシステム140、および、パラメーター取得部150に送信される。
【0014】
入力プロファイル取得部131は、機器に依存する色空間から機器に非依存の色空間への色変換に用いられるICCプロファイルである入力プロファイルを取得する。機器に依存する色空間は、例えば、RGB色空間などである。機器に非依存の色空間は、例えば、L(以下、単にLabと記載する)色空間や、XYZ色空間などである。メディアプロファイル取得部132は、機器に非依存の色空間から印刷用の機器に依存する色空間への色変換に用いられるICCプロファイルであるメディアプロファイルを取得する。印刷用の機器に依存する色空間は、例えば、CMYK色空間などである。共通色空間プロファイル取得部133は、機器に非依存の色空間からレンダリング用の色空間への色変換に用いられるICCプロファイルである共通色空間プロファイルを取得する。レンダリング用の色空間は、例えば、sRGBや、AdobeRGBや、Display-P3などである。各プロファイル取得部131~133は、メモリー102に予め記憶されている各プロファイルを取得する。各プロファイル取得部131~133によって取得された各プロファイルは、カラーマネージメントシステム140に送信される。なお、各プロファイル取得部131~133は、例えば、ネットワークを介して外部サーバーから各プロファイルを取得してもよい。
【0015】
カラーマネージメントシステム140は、印刷画像の画像データには、入力プロファイルを用いた機器に非依存の色空間への色変換、メディアプロファイルを用いた印刷用の機器に依存する色空間への色変換、メディアプロファイルを用いた機器に非依存の色空間への色変換、共通色空間プロファイルを用いたレンダリング用の色空間への色変換の順に、印刷条件に応じた色変換を施す。メディアプロファイルを用いた色変換の後に共通色空間プロファイルを用いた色変換が施されることにより、レンダリング用の色空間に色変換された画像データの色彩値は、印刷により表現可能な範囲内に収められる。本実施形態では、カラーマネージメントシステム140は、既成画像の画像データには、入力プロファイルを用いた機器に非依存の色空間への色変換、共通色空間プロファイルを用いたレンダリング用の色空間への色変換の順に、色変換を施す。すなわち、カラーマネージメントシステム140は、既成画像を表す画像データには、メディアプロファイルを用いた色変換を施さない。なお、既成画像の画像データの色空間が元々レンダリング用の色空間と同じである場合には、既成画像の画像データには、カラーマネージメントシステム140による色変換が施されなくてもよい。以下の説明では、メディアプロファイルを用いた色変換を経てレンダリング用の色空間への色変換が施された画像データのことをマネージド画像データと呼び、メディアプロファイルを用いた色変換を経ずにレンダリング用の色空間への色変換が施された画像データのこと、および、カラーマネージメントシステム140による色変換が施されていない画像データであって、画像データの色空間がレンダリング用の色空間と同じである画像データのことを原画像データと呼び、マネージド画像データと原画像データとを特に区別せずに説明する場合には単に画像データと呼ぶ。マネージド画像データおよび原画像データは、レンダリング部160に送信される。
【0016】
パラメーター取得部150は、レンダリングに用いられる各種パラメーターを取得する。レンダリングに用いられる各種パラメーターには、例えば、3Dオブジェクト情報や、カメラ情報や、照明情報や、質感パラメーターなどが含まれる。3Dオブジェクト情報は、仮想空間に配置される3Dオブジェクトに関するパラメーターである。3Dオブジェクトは、印刷媒体の形状を模擬して予め作成されている。3Dオブジェクトは、複数のポリゴンによって構成されている。本実施形態では、3Dオブジェクトは、厚みのない板状に構成されている。各ポリゴンの表面により3Dオブジェクトの表面が構成されており、各ポリゴンの裏面により3Dオブジェクトの裏面が構成されている。ここで、ポリゴンの表面とは、ポリゴンの法線ベクトルが向く側の面であり、3Dオブジェクトの表面とは、印刷媒体の表面に対応する面であり、3Dオブジェクトの裏面とは、印刷媒体の裏面に対応する面である。カメラ情報は、仮想空間に配置されたカメラの位置および向きに関するパラメーターである。照明情報は、仮想空間に配置された光源の種類や位置や向きや色や光度(光量)に関するパラメーターである。光源の種類には、例えば、蛍光灯や、白熱電球などが含まれる。
【0017】
質感パラメーターは、印刷媒体の質感を表すパラメーターである。本実施形態では、質感パラメーターには、表面質感パラメーターと、裏面質感パラメーターとが含まれている。表面質感パラメーターは、印刷媒体の表面の質感を表す質感パラメーターであり、裏面質感パラメーターは、印刷媒体の裏面の質感を表す質感パラメーターである。表面の質感と裏面の質感とが異なる印刷媒体が用いられる場合には、表面質感パラメーターの内容と裏面質感パラメーターの内容とは、少なくとも一部が互いに異なる。表面の質感と裏面の質感とが同じ印刷媒体が用いられる場合には、表面質感パラメーターの内容と裏面質感パラメーターの内容とが同じであることが好ましい。この場合、表面質感パラメーターと裏面質感パラメーターとが別々ではなく一纏めにされていてもよい。各質感パラメーターには、例えば、印刷媒体の地色に関するベースカラー(Base Color)や、印刷媒体の滑らかさを表す滑らかさ(Smoothness)や、印刷媒体の光沢感を表す金属性(Metallic)や、法線マップ(Normal Map)や、高さマップ(Height Map)などが含まれる。各質感パラメーターには、滑らかさに代えて、印刷媒体の粗さを表す粗さ(Roughness)が含まれてもよい。法線マップ、および、高さマップは、光の反射に影響する印刷媒体の微小な凹凸面(マイクロファセット)を表現するために用いられる。法線マップは、微小な凹凸面の法線ベクトルの分布を表すテクスチャーであり、高さマップは、微小な凹凸面の高さの分布を表すテクスチャーである。微小な凹凸を表現するために3Dオブジェクトを構成するポリゴンのサイズを小さくすると、ポリゴンの数が膨大になり、レンダリングの計算負荷が大きくなる。法線マップや高さマップを用いることにより、ポリゴンのサイズを小さくしなくても、微小な凹凸面による光の反射への影響を表現することが可能になる。
【0018】
パラメーター取得部150は、メモリー102に予め記憶されている各種パラメーターを取得する。パラメーター取得部150によって取得された各種パラメーターは、レンダリング部160に送信される。なお、パラメーター取得部150は、例えば、ネットワークを介して外部サーバーから各種パラメーターを取得してもよい。
【0019】
レンダリング部160は、画像データと各種パラメーターとを用いたレンダリングを実行することにより、画像が印刷された印刷媒体を表すレンダリング画像を生成する。本実施形態では、レンダリング部160は、3Dオブジェクトの表面と裏面との少なくとも一方にマネージド画像データを対応付け、かつ、3Dオブジェクトの表面と裏面とに質感パラメーターを対応付けてレンダリングを実行する。具体的には、片面印刷の場合には、レンダリング部160は、印刷媒体の表面に印刷される印刷画像のマネージド画像データと、印刷媒体の表面の質感を表す表面質感パラメーターとを3Dオブジェクトの表面に対応付け、かつ、印刷媒体の裏面に予め形成されている既成画像の原画像データと、印刷媒体の裏面の質感を表す裏面質感パラメーターとを3Dオブジェクトの裏面に対応付けて、レンダリングを実行する。両面印刷の場合には、レンダリング部160は、印刷媒体の表面に印刷される印刷画像のマネージド画像データと、印刷媒体の表面の質感を表す表面質感パラメーターとを3Dオブジェクトの表面に対応付け、かつ、印刷媒体の裏面に印刷される印刷画像のマネージド画像データと、印刷媒体の裏面の質感を表す裏面質感パラメーターとを3Dオブジェクトの裏面に対応付けて、レンダリングを実行する。
【0020】
図3は、レンダリング部160の構成を示す説明図である。レンダリング部160は、頂点パイプラインVPLと、ラスタライザーRRZと、ピクセルパイプラインPPLと、ポスト処理部PSTとを備えている。本実施形態では、頂点パイプラインVPLは、頂点シェーダーVSと、ジオメトリーシェーダーGSとを備えており、ピクセルパイプラインPPLは、ピクセルシェーダーPSと、レンダーバックエンドRBEとを備えている。
【0021】
頂点シェーダーVSは、3Dオブジェクト情報とカメラ情報と照明情報とを用いて、3Dオブジェクトを構成する各ポリゴンの頂点の座標変換や、各ポリゴンの法線ベクトルの算出や、陰影処理や、テクスチャーマッピング座標(UV座標)の算出などを実行する。座標変換には、3Dオブジェクトの座標系であるローカル座標系(モデル座標系ともいう)から仮想空間の座標系であるワールド座標系(グローバル座標系ともいう)への座標変換であるモデル変換と、ワールド座標系から仮想空間に配置されたカメラの座標系であるビュー座標系(カメラ座標系ともいう)への座標変換であるビュー変換と、ビュー座標系からカメラから視たシーンが投影されるスクリーンの座標系であるスクリーン座標系(クリッピング座標系ともいう)への座標変換である投影変換とが含まれる。上述した座標変換の一部は、ジオメトリーシェーダーGSによって実行されてもよい。頂点シェーダーVSの処理結果は、ジオメトリーシェーダーGSに送信される。
【0022】
ジオメトリーシェーダーGSは、3Dオブジェクトの頂点の集合を加工する。ジオメトリーシェーダーGSは、頂点数を増減させることにより、ポリゴンを点や線に変換したり、点や線をポリゴンに変換したりすることができる。ジオメトリーシェーダーGSの処理結果は、ラスタライザーRRZに送信される。なお、他の実施形態では、レンダリング部160にジオメトリーシェーダーGSが設けられていなくてもよい。この場合、頂点シェーダーVSの処理結果がラスタライザーRRZに送信される。
【0023】
ラスタライザーRRZは、ラスタライズ処理を実行することにより、頂点パイプラインVPLの処理結果からピクセルごとの描画情報を生成する。ラスタライザーRRZの処理結果は、ピクセルシェーダーPSに送信される。
【0024】
ピクセルシェーダーPSは、ラスタライズ処理が施された3Dオブジェクトと画像データと質感パラメーターとを用いてライティング処理を実行することにより、ピクセルごとの色を算出する。本実施形態では、3Dオブジェクトの表面は、各ポリゴンの表面により構成されており、3Dオブジェクトの裏面は、各ポリゴンの裏面により構成されているので、ピクセルシェーダーPSは、各ポリゴンの表面に表面画像データと表面質感パラメーターとを対応付け、各ポリゴンの裏面に裏面画像データと裏面質感パラメーターとを対応付けて、ライティング処理を実行する。ライティング処理において光の反射を計算するための関数には、例えば、ディスニー原則BRDFを用いることができる。本実施形態では、レンダリング部160は、カメラに裏面を向けているポリゴンを描画対象から除外する背面カリング機能を有している。レンダリング部160が背面カリング機能を有している場合には、レンダリング部160は、背面カリング機能がオフの状態で処理を実行する。このため、カメラの視野内の各ポリゴンの裏面は、描画対象から除外されない。ピクセルシェーダーPSの処理結果は、レンダーバックエンドRBEに送信される。
【0025】
レンダーバックエンドRBEは、ピクセルシェーダーPSにより生成されたピクセルデータをメモリー102の表示用領域に書き込むか否かを判断する。レンダーバックエンドRBEがメモリー102に書き込むと判断した場合には、ピクセルデータは描画対象として保存され、レンダーバックエンドRBEがメモリー102に書き込むと判断しなかった場合には、ピクセルデータは描画対象として保存されない。書き込むか否かの判断には、例えば、アルファテストや、深度テストや、ステンシルテストなどが用いられる。ピクセルデータがメモリー102に書き込まれることにより、パイプライン処理は終了する。
【0026】
ポスト処理部PSTは、メモリー102に保存されたピクセルデータからなるレンダリング画像に対して、例えば、アンチエイリアスや、アンビエントオクルージョンや、スクリーンスペースリフレクションや、被写界深度の処理などのポスト処理を実行することにより、レンダリング画像の見た目の改善を図る。
【0027】
図4は、画像が印刷された印刷媒体の一例を示す説明図である。この例では、印刷媒体は、印刷用紙であり、印刷媒体の表面には印刷装置400により印刷画像が印刷されており、印刷媒体の裏面にはロゴの既成画像が形成されている。印刷媒体の裏面には、印刷により既成画像が形成された後、裏面全体にコーティングが施されている。
【0028】
図5は、画像データ入力用のユーザーインターフェースUIの第1の例を示す説明図である。図5のユーザーインターフェースUIは、例えば、表示装置300に表示される。図5のユーザーインターフェースUIは、片面印刷用である。図5のユーザーインターフェースUIには、画像データを入力するための入力領域が1つ設けられている。画像データ取得部110は、ユーザーインターフェースUIに入力された印刷画像の画像データを表面画像データとして取得し、印刷媒体の種類に応じた既成画像の画像データを裏面画像データとして取得する。
【0029】
図6は、画像データ入力用のユーザーインターフェースUIの第2の例を示す説明図である。図6のユーザーインターフェースUIは、例えば、表示装置300に表示される。図6のユーザーインターフェースUIは、片面印刷にも両面印刷にも用いることができる。図6のユーザーインターフェースUIには、画像データを入力するための領域が2つ設けられている。画像データ取得部110は、2つの領域のうち、左側の領域に入力された画像の画像データを表面画像データとして取得し、右側の領域に入力された画像の画像データを表面画像データとして取得する。したがって、片面印刷の場合には、左側の領域を介して、印刷媒体の表面に印刷される印刷画像の画像データを入力することができ、右側の領域を介して、印刷媒体の裏面に形成されている既成画像の画像データを入力することができる。両面印刷の場合には、左側の領域を介して、印刷媒体の表面に印刷される印刷画像の画像データを入力することができ、右側の領域を介して、印刷媒体の裏面に印刷される印刷画像の画像データを入力することができる。
【0030】
図6のユーザーインターフェースUIには、裏面画像データにメディアプロファイルを用いた色変換を施すか否かを選択するための選択部SLが設けられている。カラーマネージメントシステム140は、選択部SLにより裏面画像データに色変換を施すことが選択された場合には、裏面画像データに表されている画像が印刷画像であるか既成画像であるかにかかわらず、裏面画像データに入力プロファイルとメディアプロファイルと共通色空間プロファイルとを用いた色変換を施し、選択部SLにより裏面画像データにメディアプロファイルを用いた色変換を施さないことが選択された場合には、裏面画像データに表されている画像が印刷画像であるか既成画像であるかにかかわらず、裏面画像データに入力プロファイルと共通色空間プロファイルとを用いた色変換を施すように構成されてもよい。
【0031】
図7は、3DオブジェクトOBJの表面を観察する様子を模式的に示す説明図であり、図8は、3DオブジェクトOBJの表面観察時に表示装置300に表示されるレンダリング画像を模式的に示す説明図である。図9は、3DオブジェクトOBJの裏面を観察する様子を模式的に示す説明図であり、図10は、3DオブジェクトOBJの裏面観察時に表示装置300に表示されるレンダリング画像を模式的に示す説明図である。
【0032】
図7および図8では、便宜上、1枚のポリゴンPLにより構成されている3DオブジェクトOBJが図示されている。本実施形態では、ポリゴンPLは、3DオブジェクトOBJの表面を構成するとともに3DオブジェクトOBJの裏面をも構成している。ポリゴンPLの法線ベクトルNpが向く側の面であるポリゴンPLの表面により3DオブジェクトOBJの表面が構成されており、ポリゴンPLの裏面により3DオブジェクトOBJの裏面が構成されている。図7および図8には、カメラCMの視線が破線の矢印で表されている。図7および図8には図示されていないが、3DオブジェクトOBJは、光源からの光に照らされている。
【0033】
図7に示すように、3DオブジェクトOBJの表面にカメラCMを向けると、レンダリング部160は、図8に示すように、カメラCMを通して3DオブジェクトOBJの表面を観察した場合のレンダリング画像を生成して、レンダリング画像を表示装置300に表示させる。3DオブジェクトOBJの表面には表面画像データと表面質感パラメーターとが対応付けられているので、図8のレンダリング画像には、印刷画像を表面に付された印刷媒体が、印刷媒体の表面の質感を伴って表されている。
【0034】
図9に示すように、カメラCMを3DオブジェクトOBJの裏面に向けると、レンダリング部160は、図10に示すように、カメラCMを通して3DオブジェクトOBJの裏面を観察した場合のレンダリング画像を生成して、レンダリング画像を表示装置300に表示させる。3DオブジェクトOBJの裏面には裏面画像データと裏面質感パラメーターとが対応付けられているので、図10のレンダリング画像には、印刷画像あるいは既成画像を裏面に付された印刷媒体が、印刷媒体の裏面の質感を伴って表されている。
【0035】
以上で説明した本実施形態の画像処理装置100によれば、印刷装置400による印刷に先立って、印刷装置400により画像が印刷された印刷媒体を表すレンダリング画像を生成して、レンダリング画像を表示装置300に表示させることができるので、印刷媒体の質感を伴ったリアルな表現のレンダリング画像を用いて印刷プレビューを行うことができる。
【0036】
また、本実施形態では、片面印刷の場合には、レンダリング部160は、印刷媒体の表面に印刷される印刷画像のマネージド画像データと、印刷媒体の表面の質感を表す表面質感パラメーターとを3DオブジェクトOBJの表面に対応付け、かつ、印刷媒体の裏面に予め形成されている既成画像の原画像データと、印刷媒体の裏面の質感を表す裏面質感パラメーターとを3DオブジェクトOBJの裏面に対応付けて、レンダリングを実行する。したがって、印刷媒体の表面と裏面とのそれぞれの質感を表現しつつ、片面印刷により表面に印刷画像が印刷されており、かつ、裏面に既成画像が形成されている印刷媒体を表すレンダリング画像を生成することができる。
【0037】
また、本実施形態では、両面印刷の場合には、レンダリング部160は、印刷媒体の表面に印刷される印刷画像のマネージド画像データと、印刷媒体の表面の質感を表す表面質感パラメーターとを3DオブジェクトOBJの表面に対応付け、かつ、印刷媒体の裏面に印刷される印刷画像のマネージド画像データと、印刷媒体の裏面の質感を表す裏面質感パラメーターとを3DオブジェクトOBJの裏面に対応付けて、レンダリングを実行する。したがって、印刷媒体の表面と裏面とのそれぞれの質感を表現しつつ、両面印刷により表面と裏面とのそれぞれに印刷画像が印刷されている印刷媒体を表すレンダリング画像を生成することができる。
【0038】
また、本実施形態では、ポリゴンPLの表面により3DオブジェクトOBJの表面が構成されており、ポリゴンPLの裏面により3DオブジェクトOBJの裏面が構成されているので、薄肉な印刷媒体をリアルな質感で表現できる。
【0039】
B.第2実施形態:
図11は、第2実施形態の画像処理装置100において3DオブジェクトOBJの表面を観察する様子を模式的に示す説明図であり、図12は、第2実施形態の画像処理装置100において3DオブジェクトOBJの裏面を観察する様子を模式的に示す説明図である。第2実施形態では、表面用ポリゴンPLsと裏面用ポリゴンPLbとを備える3DオブジェクトOBJがレンダリングに用いられることが、第1実施形態とは異なる。その他の構成については、特に説明しない限り第1実施形態と同じである。
【0040】
図11および図12に示すように、本実施形態では、3DオブジェクトOBJは、3DオブジェクトOBJの表面を構成する表面用ポリゴンPLsと、表面用ポリゴンPLsと背中合わせに配置されており、3DオブジェクトOBJの裏面を構成する裏面用ポリゴンPLbとを備えている。表面用ポリゴンPLsの法線ベクトルNpsが向く側の面である表面用ポリゴンPLsの表面は、3DオブジェクトOBJの外側を向いており、表面用ポリゴンPLsの裏面は、3DオブジェクトOBJの内側を向いている。裏面用ポリゴンPLbの法線ベクトルNpbが向く側の面である裏面用ポリゴンPLbの表面は、3DオブジェクトOBJの外側を向いており、裏面用ポリゴンPLbの裏面は、3DオブジェクトOBJの内側を向いている。図11および図12では、便宜上、表面用ポリゴンPLsと裏面用ポリゴンPLbとの間の距離が大きく描かれているが、実際の表面用ポリゴンPLsと裏面用ポリゴンPLbとの間の距離は、印刷媒体の厚みと同程度の距離である。図11および図12では、3DオブジェクトOBJが背中合わせに配置された2枚の板によって構成されているように描かれているが、3DオブジェクトOBJは、2枚の板同士を接続する側面部分を有していてもよい。レンダリング部160は、表面用ポリゴンPLsの表面に表面画像データと表面質感パラメーターとを対応付け、かつ、裏面用ポリゴンPLbの表面に裏面画像データと裏面質感パラメーターとを対応付けて、レンダリングを実行する。本実施形態では、背面カリング機能がオンにされる。これにより、表面用ポリゴンPLsの表面および裏面用ポリゴンPLbの表面は描画対象とされるが、表面用ポリゴンPLsの裏面および裏面用ポリゴンPLbの裏面は描画対象から除外されるため、レンダリングの計算負荷を軽減できる。
【0041】
図11に示すように、3DオブジェクトOBJの表面にカメラCMを向けると、レンダリング部160は、カメラCMを通して3DオブジェクトOBJの表面を観察した場合のレンダリング画像を生成して、図8に示したように、レンダリング画像を表示装置300に表示させる。3DオブジェクトOBJの表面には表面画像データと表面質感パラメーターとが対応付けられているので、レンダリング画像には、印刷画像を表面に付された印刷媒体が、印刷媒体の表面の質感を伴って表されている。図12に示すように、カメラCMを3DオブジェクトOBJの裏面に向けると、レンダリング部160は、カメラCMを通して3DオブジェクトOBJの裏面を観察した場合のレンダリング画像を生成して、図10に示したように、レンダリング画像を表示装置300に表示させる。3DオブジェクトOBJの裏面には裏面画像データと裏面質感パラメーターとが対応付けられているので、レンダリング画像には、印刷画像あるいは既成画像を裏面に付された印刷媒体が、印刷媒体の裏面の質感を伴って表されている。
【0042】
以上で説明した本実施形態の画像処理装置100によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。特に、本実施形態では、表面用ポリゴンPLsにより3DオブジェクトOBJの表面が構成されており、表面用ポリゴンPLsと背中合わせに配置されている裏面用ポリゴンPLbにより3DオブジェクトOBJの裏面が構成されているので、印刷媒体の厚みも表現することができる。したがって、厚肉な印刷媒体をリアルな質感で表現できる。
【0043】
C.他の実施形態:
(C1)上述した各実施形態の画像処理装置100では、質感パラメーターには、表面質感パラメーターと裏面質感パラメーターとが含まれており、レンダリング部160は、表面質感パラメーターを3Dオブジェクトの表面に対応付け、かつ、裏面質感パラメーターを3Dオブジェクトの裏面に対応付けて、レンダリングを実行する。これに対して、質感パラメーターが表面用と裏面用とに分かれていなくてもよい。この場合、レンダリング部160は、同じ質感パラメーターを3Dオブジェクトの表面と裏面とに対応付けて、レンダリングを実行してもよい。
【0044】
(C2)上述した各実施形態の画像処理装置100では、インクジェットプリンターなどの印刷装置により画像が直接印刷された印刷媒体を表すレンダリング画像が生成される。これに対して、画像処理装置100は、例えば、印刷装置により画像が印刷された転写紙から熱転写により画像が転写される媒体を表すレンダリング画像を生成してもよい。この場合、転写紙から熱転写により画像が転写される媒体のことを印刷媒体と呼ぶ。
【0045】
D.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0046】
(1)本開示の第1の形態によれば、画像処理装置が提供される。この画像処理装置は、画像データを取得する画像データ取得部と、画像が印刷される印刷媒体の種類を含む印刷条件を取得する印刷条件取得部と、前記印刷媒体の質感を表す質感パラメーターを取得するパラメーター取得部と、前記画像データに前記印刷条件に応じた色変換を施す色変換部と、前記印刷媒体の形状を表す3Dオブジェクトの表面と裏面との少なくとも一方に前記色変換が施された前記画像データを対応付け、かつ、前記3Dオブジェクトの表面と裏面とに前記質感パラメーターを対応付けてレンダリングを実行することにより、画像が印刷された前記印刷媒体を表すレンダリング画像を生成するレンダリング部と、を備える。
この形態の画像処理装置によれば、3Dオブジェクトの表面と裏面とに印刷媒体の質感が表現される。そのため、印刷媒体の質感を伴ったリアルな表現で、画像が印刷された状態の印刷媒体をレンダリング画像に表すことができる。
【0047】
(2)上記形態の画像処理装置において、前記画像データ取得部は、前記印刷媒体の表面に印刷される画像の表面画像データと、前記印刷媒体の裏面に予め表されている画像の裏面画像データとを取得し、前記レンダリング部は、前記3Dオブジェクトの表面に前記色変換が施された前記表面画像データを対応付け、前記3Dオブジェクトの裏面に前記裏面画像データを対応付けてもよい。
この形態の画像処理装置によれば、裏面に予め画像が表されており、表面に画像が印刷された状態の印刷媒体をレンダリング画像により表現できる。
【0048】
(3)上記形態の画像処理装置において、前記画像データ取得部は、前記印刷媒体の表面に印刷される画像の表面画像データと、前記印刷媒体の裏面に印刷される画像の裏面画像データとを取得し、前記レンダリング部は、前記3Dオブジェクトの表面に前記色変換が施された前記表面画像データを対応付け、前記3Dオブジェクトの裏面に前記色変換が施された前記裏面画像データを対応付けてもよい。
この形態の画像処理装置によれば、表面と裏面とに画像が印刷された状態の印刷媒体をレンダリング画像により表現できる。
【0049】
(4)上記形態の画像処理装置において、前記パラメーター取得部は、前記印刷媒体の表面の質感を表す表面質感パラメーターと、前記印刷媒体の裏面の質感を表す裏面質感パラメーターとを取得し、前記レンダリング部は、前記3Dオブジェクトの表面に前記表面質感パラメーターを対応付け、前記3Dオブジェクトの裏面に前記裏面質感パラメーターを対応付けてもよい。
この形態の画像処理装置によれば、表面と裏面とで質感が異なる印刷媒体をリアルな質感で表現できる。
【0050】
(5)上記形態の画像処理装置において、前記3Dオブジェクトは、前記3Dオブジェクトの表面と裏面とを構成するポリゴンを備えてもよい。
この形態の画像処理装置によれば、薄肉な印刷媒体をリアルな質感で表現できる。
【0051】
(6)上記形態の画像処理装置において、前記3Dオブジェクトは、前記3Dオブジェクトの表面を構成する表面用ポリゴンと、前記表面用ポリゴンと背中合わせに配置されており、前記3Dオブジェクトの裏面を構成する裏面用ポリゴンと、を備えてもよい。
この形態の画像処理装置によれば、厚肉な印刷媒体をリアルな質感で表現できる。
【0052】
(7)上記形態の画像処理装置は、前記3Dオブジェクトの裏面に対応付けられる前記画像データに前記色変換を施すか否かを選択する選択部を備えてもよい。
この形態の画像処理装置によれば、画像データに色変換を施すか否かを切り替えることができる。
【0053】
(8)本開示の第2の形態によれば、印刷システムが提供される。この印刷システムは、上記第1の形態の画像処理装置と、前記画像処理装置によって生成された前記レンダリング画像を表示する表示装置と、前記印刷媒体に画像を印刷する印刷装置と、を備える。
この形態の印刷システムによれば、画像処理装置により生成されるレンダリング画像を用いて、印刷装置により画像が印刷された状態の印刷媒体をプレビューすることができる。
【0054】
(9)本開示の第3の形態によれば、画像処理プログラムが提供される。この画像処理プログラムは、画像データを取得する画像データ取得機能と、画像が印刷される印刷媒体の種類を含む印刷条件を取得する印刷条件取得機能と、前記印刷媒体の質感を表す質感パラメーターを取得するパラメーター取得機能と、前記画像データに前記印刷条件に応じた色変換を施す色変換機能と、前記印刷媒体の形状を表す3Dオブジェクトの表面と裏面との少なくとも一方に前記色変換が施された前記画像データを対応付け、かつ、前記3Dオブジェクトの表面と裏面とに前記質感パラメーターを対応付けてレンダリングを実行することにより、画像が印刷された前記印刷媒体を表すレンダリング画像を生成するレンダリング機能と、をコンピューターに実行させる。
この形態の画像処理プログラムによれば、3Dオブジェクトの表面と裏面とに印刷媒体の質感が表現される。そのため、印刷媒体の質感を伴ったリアルな表現で、画像が印刷された状態の印刷媒体をレンダリング画像に表すことができる。
【0055】
本開示は、画像処理装置、印刷システム、および、画像処理プログラム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、画像処理方法等の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0056】
10…印刷システム、100…画像処理装置、101…プロセッサー、102…メモリー、103…入出力インターフェース、104…内部バス、110…画像データ取得部、120…印刷条件取得部、131…入力プロファイル取得部、132…メディアプロファイル取得部、133…共通色空間プロファイル取得部、140…カラーマネージメントシステム、150…パラメーター取得部、160…レンダリング部、200…入力装置、300…表示装置、400…印刷装置、GS…ジオメトリーシェーダー、PG…画像処理プログラム、PPL…ピクセルパイプライン、PS…ピクセルシェーダー、PST…ポスト処理部、RBE…レンダーバックエンド、RRZ…ラスタライザー、SL…選択部、UI…ユーザーインターフェース、VPL…頂点パイプライン、VS…頂点シェーダー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12