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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070421
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/10 20060101AFI20240516BHJP
   H01H 13/52 20060101ALI20240516BHJP
   H01H 1/06 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
H01H13/10
H01H13/52 F
H01H1/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180898
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 剣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寿樹
(72)【発明者】
【氏名】宇田 武史
(72)【発明者】
【氏名】都筑 隆臣
(72)【発明者】
【氏名】小山 展由
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 太一
【テーマコード(参考)】
5G051
5G206
【Fターム(参考)】
5G051AA27
5G051AC30
5G206AS27H
5G206AS27K
5G206CS04F
5G206CS04H
5G206CS04J
5G206FS32H
5G206FS32J
5G206FS32K
5G206FU03
5G206FU04
5G206GS21
5G206HS24
5G206KS15
5G206KS41
5G206NS02
(57)【要約】
【課題】押圧操作時の操作部の姿勢に関わらず、移動端子部と固定端子部とを確実に接触させることができるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】スイッチ装置1は、操作部32と、操作部32を押圧操作の方向と反対方向に付勢する付勢部33と、操作部32に対する押圧操作により操作部32とともに移動する移動端子部4と、押圧操作によって移動端子部4が移動した際に移動端子部4に接触する固定端子部7を備える。移動端子部4は、板状部材で構成され、押圧操作により、板状部材の縁部側よりも中心側の方が優先して固定端子部7に向かって弾性変形して、固定端子部7と接触する変形部41を有する。固定端子部7は、接地用のグランド電極70と、グランド電極70の対極となる少なくとも1つの第1電極71および第2電極72とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作される操作部と、
前記操作部を前記押圧操作の方向と反対方向に付勢する付勢部と、
導電性を有し、前記操作部に対する押圧操作により前記操作部とともに移動する移動端子部と、
導電性を有し、前記移動端子部に対向して設けられ、前記押圧操作によって前記移動端子部が移動した際に該移動端子部に接触する固定端子部を備え、
前記移動端子部は、板状部材で構成され、前記押圧操作により、前記板状部材の縁部側よりも中心側の方が優先して前記固定端子部に向かって弾性変形して、前記固定端子部と接触する変形部を有し、
前記固定端子部は、接地用のグランド電極と、該グランド電極の対極となる少なくとも1つの第1電極および第2電極と、を有する、スイッチ装置。
【請求項2】
前記移動端子部は、前記付勢部に配置され、前記押圧操作前の状態では前記固定端子部と反対側に隆起した形状をなし、該形状が弾性変形により反転可能な反転バネである、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記移動端子部および前記固定端子部は、平面視で円形をなすものである、請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記変形部は、前記押圧操作を解除することにより、形状が復元する、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記移動端子部および前記固定端子部と電気的に接続され、前記スイッチ装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記グランド電極と前記第1電極とが電気的に接続され、かつ前記グランド電極と前記第2電極とが電気的に接続されたことにより、前記操作部により前記スイッチ装置が操作されたと判断する、請求項4に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記第1電極および前記第2電極の配置数とは、同数であり、それぞれ、分散して配置され、
前記制御部は、前記第1電極の分散された電極の導通および前記第2電極の分散された電極の導通の有無により故障の判断をする、請求項5に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記グランド電極は、前記第1電極および前記第2電極が配置された外周部に配置され、
前記第1電極と前記第2電極とは、前記グランド電極の周方向に沿って交互に配置されている、請求項6に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記第1電極および前記第2電極は複数配置され、
前記グランド電極は、前記第1電極および前記第2電極が配置された外周部に配置され、
前記移動端子部は、前記変形部が前記第1電極および前記第2電極と接触し、前記変形部以外の部分が前記グランド電極と接触する、請求項7に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記移動端子部を構成する前記板状部材は、平面視で円形の孔部を中心部に備え、
前記移動端子部が反転した際に、前記孔部の縁部が前記第1電極及び前記第2電極に跨って接触する、請求項7に記載のスイッチ装置。
【請求項10】
前記移動端子部は、前記固定端子部を覆うように配置されており、
前記変形部以外の部分は、前記押圧操作の有無に関わらず前記グランド電極と接触するか、または、前記押圧操作前の状態では前記グランド電極から離間し、前記押圧操作により前記グランド電極と接触する、請求項5に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンスタートスイッチとして、プリント基板上にパターン形成された固定接点と、操作ノブの押し込み操作に連動させて固定接点に接触してスイッチングする可動接点とを備えたスイッチ装置(例えば特許文献1参照)が知られている。特許文献1に記載のスイッチ装置では、固定接点は、可動接点と対向する領域の中央部分から放射状に形成した帯状パターンからなる共通接点部と、共通接点部の帯状パターンを挟んで対称的に設けた第1接点部および第2接点部とで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6146205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このスイッチ装置では、押し込み操作時の操作ノブの姿勢によっては、固定接点と可動接点とが接触しない、すなわち、接触不良となるおそれがある。例えば押圧操作時の操作ノブの姿勢が当該押圧操作方向に対して傾斜している場合、その傾斜の程度によっては、接触不良が生じる。この場合、スイッチ装置はON状態とならない。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものである。本発明は、押圧操作時の操作部の姿勢に関わらず、移動端子部と固定端子部とを確実に接触させることができるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のスイッチ装置は、押圧操作される操作部と、前記操作部を前記押圧操作の方向と反対方向に付勢する付勢部と、導電性を有し、前記操作部に対する押圧操作により前記操作部とともに移動する移動端子部と、導電性を有し、前記移動端子部に対向して設けられ、前記押圧操作によって前記移動端子部が移動した際に該移動端子部に接触する固定端子部を備え、前記移動端子部は、板状部材で構成され、前記押圧操作により、前記板状部材の縁部側よりも中心側の方が優先して前記固定端子部に向かって弾性変形して、前記固定端子部と接触する変形部を有し、前記固定端子部は、接地用のグランド電極と、該グランド電極の対極となる少なくとも1つの第1電極および第2電極と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、押圧操作時の操作部の姿勢に関わらず、移動端子部と固定端子部とを確実に接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態のスイッチ装置を示す分解斜視図である。
図2図1に示すスイッチ装置の回路図である。
図3図1に示すスイッチ装置(OFF状態)の内部構造を示す縦断面図である。
図4図3に示す内部構造の作動状態(OFF状態)を示す概略縦断面図である。
図5図3に示す内部構造の作動状態(ON状態)を示す概略縦断面図である。
図6図1に示すスイッチ装置が有する固定端子部の平面図である。
図7】第2実施形態のスイッチ装置が有する固定端子部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の各実施形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は各実施形態に記載されている構成によって限定されることはない。例えば、本発明を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせることもできる。
【0010】
<第1実施形態>
以下、図1図6を参照して、第1実施形態について説明する。なお、以下では、説明の都合上、図1図3図5中の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言う。図1は、第1実施形態のスイッチ装置を示す分解斜視図である。図2は、図1に示すスイッチ装置の回路図である。図3は、図1に示すスイッチ装置(OFF状態)の内部構造を示す縦断面図である。図4は、図3に示す内部構造の作動状態(OFF状態)を示す概略縦断面図である。図5は、図3に示す内部構造の作動状態(ON状態)を示す概略縦断面図である。図6は、図1に示すスイッチ装置が有する固定端子部の平面図である。
【0011】
図1に示すスイッチ装置1は、例えば自動車や自動二輪車等の車両や、船舶、航空機等に搭載され、電気回路のON/OFFの切り替え(以下「ON/OFF切り替え」と言う)に用いられる。図1に示すように、スイッチ装置1は、第1構造体11と、第2構造体12と、第3構造体13とを備え、これらを組み立てて構成される組立体である。また、図2に示すように、スイッチ装置1は、当該スイッチ装置1を制御する制御部としてのマイクロプロセッサ14を備える。マイクロプロセッサ14は、第3構造体13に内蔵されている。
【0012】
図1に示すように、第1構造体11は、第3構造体13との間で第2構造体12を収納する筐体としての機能を有する。この第1構造体11は、ON/OFF切り替え時に矢印α方向、すなわち、下方に押圧操作されるボタン部2を備える。なお、ボタン部2は、第1構造体11に少なくとも1つ配置されていればよく、その配置数については特に限定されない。また、第1構造体11は、第3構造体13の凸部131と係合する凹部111を複数備える。これらの係合により、第1構造体11と第2構造体12と第3構造体13との組立状態が維持される。
【0013】
図1に示すように、第2構造体12は、複数の機能を有する機能部3と、機能部3の下側に配置された移動端子部4とを備える。機能部3は、基部31と、操作部32と、付勢部33とを有し、これらが一体的に形成された部材である。機能部3は、弾性材料で構成され、その弾性材料としては、特に限定されず、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料を用いることとができる。
【0014】
基部31は、板状をなす。基部31の所定の位置、すなわち、第1構造体11のボタン部2の下方に臨む位置には、操作部32が設けられている。図3に示すように、操作部32は、上方に向かって、例えば円柱状に突出形成された部分である。操作部32は、ボタン部2を介して矢印α方向に押圧操作される。付勢部33は、基部31と操作部32とを連結し、操作部32を矢印α方向(押圧操作の方向)と反対方向、すなわち、上方に付勢する部分である。付勢部33は、操作部32の下端外周部の周方向に沿ってスカート状に形成されている。スイッチ装置1では、ボタン部2を操作部32ごと押圧操作する際には、付勢部33の付勢力に抗して、その押圧操作が行われる。また、ボタン部2に対する押圧操作力を解除した際には、ボタン部2は、付勢部33の付勢力によって操作部を32とともに元の位置に戻る。
【0015】
図3に示すように、操作部32の下側には、導電性を有する移動端子部4が配置されている。また、移動端子部4の下側には、第3構造体13の回路基板5に設けられ、導電性を有する固定端子部7が対向して配置されている。スイッチ装置1では、移動端子部4と固定端子部7とが接触することによってON状態となり、移動端子部4と固定端子部7とが離間することによってOFF状態となる。移動端子部4は、平面視で円形をなす板状部材で構成され、円柱状をなす操作部32と同心的に配置されている。また、移動端子部4は、例えば接着によって操作部32の下端面321に固定されている。これにより、移動端子部4は、押圧操作時には操作部32とともに下方に移動することができ、押圧操作解除時には操作部32とともに上方に移動することができる。なお、移動端子部4の構成材料としては、例えば、通常の反転バネで用いられる鉄系の金属材料、形状記憶合金または導電性シリコーンゴム等の導電性フィラー入りのゴム材料を用いることができる。導電性シリコーンゴムの場合の導電性フィラーは、例えばカーボン系導電性フィラーであるのが好ましい。
【0016】
移動端子部4は、鉄系の金属材料であることから、ある一定の荷重を付加すると、荷重をかけた逆側へ瞬時に反転して反った形状となる。
【0017】
反転した移動端子部4が後述の第1電極71および第2電極72に接触することにより、スイッチ装置1のON操作を迅速に行うことができ、さらに移動端子部4が復元すると第1電極71および第2電極72から離間するのでOFF操作を迅速に行うことができる。
【0018】
板状の移動端子部4は、その中心側に設けられた変形部41と、縁部側に設けられた非変形部(変形部41以外の部分)42とを有する。本実施形態において、移動端子部4における変形部41が占める割合は、非変形部42が占める割合よりも大きいが、その限りではない。変形部41は、押圧操作前の状態では、固定端子部7と反対側に皿状に隆起した形状をなす。図4図5に示すように、操作部32に対する矢印α方向への押圧操作により、変形部41は、操作部32の下端面321で押圧されて、非変形部42よりも優先して固定端子部7に向かって反転するように弾性変形する。この変形により、変形部41は固定端子部7と接触することができる。また、変形部41は、押圧操作を解除することにより、形状が復元して、固定端子部7から離間することができる。このように移動端子部4は、皿状に隆起した変形部41が弾性変形により反転可能な反転バネである。また、前述したように、移動端子部4は、操作部32と同心的に配置されている。これにより、変形部41を操作部32で安定して十分に変形させることができる。
【0019】
スイッチ装置1では、押圧操作時のボタン部2の押圧箇所によっては、操作部32が矢印α方向に対して傾斜した姿勢となるおそれがあるが、上記のように弾性変形可能な変形部41により、操作部32の姿勢に関わらず、移動端子部4と固定端子部7とを確実に接触させることができる。これにより、押圧操作時の移動端子部4と固定端子部7との接触不良を防止することができ、よって、スイッチ装置1を確実にON状態とすることができる。
【0020】
図1に示すように、第3構造体13は、回路基板5と、回路基板5を支持する支持部(支持体)6とを備える。支持部6には、第1構造体11の凹部111と係合する凸部131が複数設けられている。また、回路基板5には、マイクロプロセッサ14が収納されている。回路基板5は、例えば銅等の導電性を有する金属材料で構成された回路パターン51が形成されたものであり、回路パターン51の一部が固定端子部7となっている。回路パターン51は、マイクロプロセッサ14と電気的に接続されている。図3図5に示すように、固定端子部7は、移動端子部4に対向して設けられ、押圧操作によって移動端子部4が移動した際に移動端子部4に接触する部分である。
【0021】
図6に示すように、固定端子部7は、接地用のグランド電極70と、グランド電極70の対極となる第1電極71および第2電極72とを有する。グランド電極70(固定端子部7)は、平面視で円形(円環状)をなす。そして、このグランド電極70の内側に、第1電極71および第2電極72がグランド電極70から離間して配置されている。すなわち、第1電極71および第2電極72が配置された外周部に、グランド電極70が配置されている。このような配置は、例えば第1電極71と第2電極72との間にグランド電極70を配置した場合に比べて、固定端子部7の省スペース化に寄与する。また、省スペース化された固定端子部7は、回路基板5における配置箇所(レイアウト)を比較的自由に設計することができる。なお、グランド電極70の平面視での形状は、本実施形態では円形であるが、これに限定されず、例えば、楕円形、矩形等であってもよい。
【0022】
固定端子部7は、2つの第1電極71と、2つの第2電極72とを有する。なお、第1電極71および第2電極72の配置数は、それぞれ、本実施形態では2つであるが、これに限定されず、少なくとも1つあればよい。第1電極71および第2電極72を配置することにより、第1電極71および第2電極72の導通状態を確認することで、スイッチ装置1の故障の判断を行うことができる。第1電極71と第2電極72とは、円形のグランド電極70の周方向に沿って交互に1つずつ配置されている。以下、2つの第1電極71のうちの一方の第1電極71を「第1電極71A」と言い、他方の第1電極71を「第1電極71B」と言うことがある。また、2つの第2電極72のうちの一方の第2電極72を「第2電極72A」と言い、他方の第2電極72を「第2電極72B」と言うことがある。図6に示す構成では、時計回りに、第1電極71A、第2電極72A、第1電極71B、第2電極72Bの順に配置されている。このように固定端子部7は、第1電極71および第2電極72が、同数(本実施形態では2つ)であり、それぞれ、分散して、すなわち、離間して配置されている。また、第1電極71および第2電極72は、それぞれ、平面視で扇形をなす。これにより、第1電極71および第2電極72は、それぞれ、円形のグランド電極70の内側での面積をできる限り大きく確保することができ、よって、移動端子部4との十分な接触が可能となる。なお、第1電極71および第2電極72の平面視での形状は、本実施形態では扇形であるが、これに限定されず、例えば、円形、楕円形、矩形等であってもよい。また、第1電極71および第2電極72の面積は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0023】
スイッチ装置1の故障の判断は、第1電極71および第2電極72の導通状態の確認結果に基づいて、具体的には第1電極71およびグランド電極70の導通タイミングと、第2電極72およびグランド電極70の導通タイミングとの時間差が閾値以上であるか否かによって行う。
【0024】
本実施形態において、第1電極71と第2電極72とが必ず隣接して配置されることとなり、結果として第1電極71およびグランド電極70の導通と、第2電極72およびグランド電極70の導通との時間差を短くすることができる。つまり、スイッチ装置1の故障の判断を迅速に行うことができる。
【0025】
図4図5に示すように、移動端子部4は、変形部41が、第1電極71(第1電極71A、第1電極71B)と、第2電極72(第2電極72A、第2電極72B)とに接触可能である。非変形部42は、グランド電極70と接触可能である。このような接触構成により、図2に示すように、移動端子部4と第1電極71とで第1の導通の組み合わせとしてスイッチ1(SW1)が構成される。また、移動端子部4と第2電極72とで第2の導通の組み合わせとしてスイッチ2(SW2)が構成される。スイッチ装置1は、スイッチ1(SW1)及びスイッチ2(SW2)を備えている。具体的には、第1の導通の組み合わせには、移動端子部4と第1電極71Aとの組み合わせ、移動端子部4と第1電極71Bとの組み合わせを含む。このように、スイッチ1(SW1)には複数の導通の組み合わせが含まれるので、少なくとも一つの組み合わせが非導通となり得る場合においても、他の組み合わせが導通することとなり、スイッチ1(SW1)全体が非導通となる可能性を抑制することが出来る。また、第2の導通の組み合わせには、移動端子部4と第2電極72Aとの組み合わせ、移動端子部4と第2電極72Bとの組み合わせを含む。このように、スイッチ2(SW2)には複数の導通の組み合わせが含まれるので、少なくとも一つの組み合わせが非導通となり得る場合においても、他の組み合わせが導通することとなり、スイッチ2(SW2)全体が非導通となる可能性を抑制することが出来る。
【0026】
前述したように、第1電極71および第2電極72は、複数ずつ、分散して配置されている。これにより、例えば変形部41が第1電極71Aと接触不良となったとしても、第1電極71Bと接触することができる。同様に、例えば変形部41が第2電極72Aと接触不良となったとしても、第2電極72Bと接触することができる。このようにスイッチ装置1は、変形部41と第1電極71および第2電極72との接触において、フェールセーフ機能を有する。そして、このフェールセーフ機能と、変形部41の弾性変形との相乗効果により、押圧操作時の操作部32の姿勢に関わらず、移動端子部4と固定端子部7とをより確実に接触させることができる。
【0027】
移動端子部4の変形部41の中心部には、孔部43が貫通して形成されている。孔部43は、平面視で円形をなす。このような孔部43の外周縁部431により、変形部41が第1電極71および第2電極72と接触した際、その接触状態として、線接触(または面接触)での接触状態とすることができる。なお、平面視で移動端子部4の中心とグランド電極70の中心とは略重なるように配置されており、孔部43の外周縁部431は第1電極71および第2電極72とに線接触する。よって、例えば孔部43を省略した場合の点接触での接触状態よりも接触面積を広く確保することができる。これにより、接触不良をより確実に抑制することができる。なお、孔部43の平面視での形状は、本実施形態では円形であるが、これに限定されず、例えば、楕円形、矩形等であってもよい。
【0028】
非変形部42は、押圧操作前の状態ではグランド電極70から離間し、押圧操作によりグランド電極70と接触するよう構成されていてもよいが、押圧操作の有無に関わらず、スイッチ装置1が組み付けられた状態においてグランド電極70と接触するのが好ましい。移動端子部4は、押圧操作の有無に関わらず非変形部42とグランド電極70とが接触した状態が維持されている場合には、第1電極71および第2電極72を覆うことができる。これにより、第1電極71および第2電極72への塵埃の侵入を防止することができ、よって、押圧操作時に変形部41と第1電極71および第2電極72とを十分に接触させることができる。また、移動端子部4は、前記と同様に接触状態が維持されている場合には、操作部32と固定端子部7の間で挟持された状態となる。
【0029】
前述したように、スイッチ装置1は、制御部としてのマイクロプロセッサ14を備える。マイクロプロセッサ14は、グランド電極70と第1電極71とが電気的に接続され、かつ、グランド電極70と第2電極72とが電気的に接続されたことにより、操作部32によりスイッチ装置1が操作されたと判断する。これにより、例えばスイッチ装置1が自動車に搭載されている場合、マイクロプロセッサ14は、OFF状態からON状態に切り替わった旨を示す信号を自動車のECU(Electronic Control Unit)に送信することができる。
【0030】
また、マイクロプロセッサ14は、分散された第1電極71の導通の有無と、分散された第2電極72の導通の有無とにより、スイッチ装置1の故障を判断することもできる。変形部41が第1電極71Aおよび第1電極71Bのいずれとも接触不良となった場合には、第1電極71の故障が発生していると判断される。同様に、変形部41が第2電極72Aおよび第2電極72Bのいずれとも接触不良となった場合にも、第2電極72の故障が発生していると判断される。これにより、第1電極71または第2電極72の故障を迅速に検知することができる。
【0031】
<第2実施形態>
以下、図7を参照して、第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。図7は、第2実施形態のスイッチ装置が有する固定端子部の平面図である。図7に示すように、固定端子部7は、3つの第1電極71と、2つの第2電極72とを有する。このように本実施形態では、第1電極71の配置数と、第2電極72の配置数とが異なる。以下、3つの第1電極71のうちの1つ目の第1電極71を「第1電極71A」と言い、2つ目の第1電極71を「第1電極71B」と言い、3つ目の第1電極71を「第1電極71C」と言うことがある。また、2つの第2電極72のうちの一方の第2電極72を「第2電極72A」と言い、他方の第2電極72を「第2電極72B」と言うことがある。図7に示す構成では、時計回りに、第1電極71A、第2電極72A、第1電極71B、第1電極71C、第2電極72Bの順に配置されている。第1電極71Bと第1電極71Cとの間隔が最も広く確保されている。そして、この部分に、例えば回路パターン51の一部を構成する抵抗器やコンデンサ等の回路素子52を配置することができる。また、この場合、グランド電極70の平面視での形状は、円弧状である。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 スイッチ装置
4 移動端子部
7 固定端子部
32 操作部
33 付勢部
41 変形部
70 グランド電極
71 第1電極
72 第2電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7