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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070428
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】車輌用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/241 20180101AFI20240516BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20240516BHJP
   F21S 43/245 20180101ALI20240516BHJP
   F21S 43/247 20180101ALI20240516BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240516BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240516BHJP
   F21S 43/239 20180101ALI20240516BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240516BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240516BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20240516BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20240516BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20240516BHJP
   F21W 106/00 20180101ALN20240516BHJP
   F21W 103/60 20180101ALN20240516BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240516BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/237
F21S43/245
F21S43/247
F21S43/14
F21V8/00 340
F21V8/00 310
F21S43/239
F21S2/00 414
F21S2/00 413
F21W103:20
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:35
F21W106:00
F21W103:60
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180911
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂下 麻美
(72)【発明者】
【氏名】武永 康平
(72)【発明者】
【氏名】佐野 圭多
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA04
3K244BA11
3K244BA26
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA04
3K244EA06
3K244EA08
3K244EA12
3K244EA24
3K244EA34
3K244EC03
3K244EC13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光の利用効率を高めた上で細幅化された発光状態を実現すると共に各部の機能を損なうことなく導光体を所望の形状に形成する。
【解決手段】出射面8aを有し環状に形成された板状の出射部8と所定の方向に延び光源から出射された光を導く導光部9とを有する導光体7を備え、導光部9は出射部8の厚み方向と同じ方向における幅が出射部8の厚みより大きくされ、導光部9の長手方向における少なくとも一方の端面は光源から出射された光が入射される入射面として形成され、導光部9は入射面を有する端部である入射用端部13と出射部8の内周に連続された連続部とを有し、出射部8に導光部9で導かれた光を出射面8aに向かうように制御する複数の制御孔12が形成され、入射用端部13が出射部8より内側に位置された。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出射面を有し環状に形成された板状の出射部と所定の方向に延び光源から出射された光を導く導光部とを有する導光体を備え、
前記導光部は前記出射部の厚み方向と同じ方向における幅が前記出射部の厚みより大きくされ、
前記導光部の長手方向における少なくとも一方の端面は前記光源から出射された光が入射される入射面として形成され、
前記導光部は前記入射面を有する端部である入射用端部と前記出射部の内周に連続された連続部とを有し、
前記出射部に前記導光部で導かれた光を前記出射面に向かうように制御する複数の制御面が形成され、
前記入射用端部が前記出射部より内側に位置された
車輌用灯具。
【請求項2】
前記導光部の長手方向における両端部がそれぞれ前記入射用端部として設けられ、
二つの前記入射用端部の少なくとも一部が結合され、
二つの前記入射面が同一面にされた
請求項1に記載の車輌用灯具。
【請求項3】
前記導光部には前記連続部の両端部を結ぶ結合部が設けられ、
前記入射用端部と前記結合部の間に前記入射用端部から前記結合部へ向けての光の出射を規制する出射規制孔が形成された
請求項2に記載の車輌用灯具。
【請求項4】
前記連続部と前記制御面の間に前記導光部から出射される光が入射される導光用環状部が設けられた
請求項1又は請求項2に記載の車輌用灯具。
【請求項5】
前記連続部と前記導光用環状部がそれぞれ直線部分と曲線部分を有し、
前記連続部の曲線部分が前記導光用環状部の曲線部分に沿って位置され、
前記連続部と前記導光用環状部は径方向において離隔して位置され、
前記連続部の曲線部分と前記導光用環状部の曲線部分との間に前記連続部から前記導光用環状部へ向けての光の出射を規制する出射規制孔が形成された
請求項4に記載の車輌用灯具。
【請求項6】
前記連続部と前記導光用環状部は径方向において離隔して位置され、
前記入射用端部と前記導光用環状部の間に前記入射用端部から出射される光を反射する制御を行う制御ステップが形成された
請求項4に記載の車輌用灯具。
【請求項7】
前記導光体が金型を用いた射出成形によって形成され、
前記出射部に前記導光部で導かれた光を出射する出射ステップが形成され、
前記出射ステップが前記出射部の径方向に延びる形状に形成された
請求項1に記載の車輌用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射された光を導いて出射する導光体を有する車輌用灯具についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用灯具には光源から出射された光を導光体によって導いて導光体の出射面から出射するタイプがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された車輌用灯具においては、所定の方向に延びる丸軸状の導光体が設けられ、外周面に2種類の反射素子として第1反射素子と第2反射素子が形成されている。入射面から入射され第1反射素子で反射された光は第1出射部位へ向かい、入射面から入射され第2反射素子で反射された光は第2出射部位へ向かい、第1出射部位と第2出射部位からそれぞれ光が出射される。
【0004】
このような2種類の反射素子で光を反射させて異なる出射部位から光を出射させることにより、導光体によって光を広範囲に照射することが可能にされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-183143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、車輌の形状やデザイン性の観点から車輌用灯具が薄型化される傾向にあり、車輌用灯具からの発光領域も細幅化されて横長の発光状態にされることが望まれている。また、細線の発光部分が近接して並ぶような発光状態も望まれている。
【0007】
このような細幅化された発光状態等は、特許文献1に記載されたような丸軸状の導光体を用いる場合に、導光体の径を小さくすることにより実現することが可能である。
【0008】
しかしながら、導光体の径を小さくすると、その分、入射面の径も小さくなるため、光源から出射される光の導光体に対する入射量が少なくなり、光の利用効率が低くなってしまう。
【0009】
一方、上記のような導光体を用いた車輌用灯具においては、意匠性や実用性の観点から導光体を円形状等の環状に形成して環状の出射面から光を出射させる構成にすることが望まれる場合もある。
【0010】
ところが、導光体には出射面の他に光を導く導光部分や光が入射される入射部分等の各部が必要であり、これらの各部が干渉することなく高い機能性を確保した上で導光体が環状の形状に形成されることが望まれる。
【0011】
そこで、本発明車輌用灯具は、光の利用効率を高めた上で細幅化された発光状態を実現すると共に各部の機能を損なうことなく導光体を所望の形状に形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る車輌用灯具は、出射面を有し環状に形成された板状の出射部と所定の方向に延び光源から出射された光を導く導光部とを有する導光体を備え、前記導光部は前記出射部の厚み方向と同じ方向における幅が前記出射部の厚みより大きくされ、前記導光部の長手方向における少なくとも一方の端面は前記光源から出射された光が入射される入射面として形成され、前記導光部は前記入射面を有する端部である入射用端部と前記出射部の内周に連続された連続部とを有し、前記出射部に前記導光部で導かれた光を前記出射面に向かうように制御する複数の制御面が形成され、前記入射用端部が前記出射部より内側に位置されたものである。
【0013】
これにより、出射部より内側に位置された入射用端部の入射面から光が導光部に入射されると共に幅が出射部の厚みより大きくされた導光部で導かれた光が出射部における複数の制御面によって制御されて環状に形成された出射部の出射面から出射される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、出射部より内側に位置された入射用端部の入射面から光が導光部に入射されると共に幅が出射部の厚みより大きくされた導光部で導かれた光が出射部における複数の制御面によって制御されて環状に形成された出射部の出射面から出射されるため、光の利用効率を高めた上で細幅化された発光状態を実現することができると共に各部の機能を損なうことなく導光体を所望の形状に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図2乃至図11と共に本発明車輌用灯具の実施の形態を示すものであり、本図は、車輌用灯具の断面図である。
図2】導光体の斜視図である。
図3】導光体と光源を示す平面図である。
図4】導光体の一部を光源とともに示す拡大背面図である。
図5】外形状が略矩形状に形成された導光体の例を示す正面図である。
図6】発光状態を概念的に示す図である。
図7】制御ステップが形成された導光体の一部を示す斜視図である。
図8】第1の変形例に係る導光体を示す正面図である。
図9】第2の変形例に係る導光体の一部を示す拡大正面図である。
図10】第3の変形例に係る導光体の一部を示す拡大正面図である。
図11】第4の変形例に係る導光体を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明車輌用灯具を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0017】
以下には、車輌用灯具からの光の照射方向を前方として前後上下左右の方向を説明する。但し、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0018】
尚、本発明車輌用灯具は、例えば、車体の前端側に取り付けられる場合にはクリアランスランプやターンシグナルランプやデイタイムランニングランプとして用いられることが好適であり、車体の後端側に取り付けられる場合にはテールランプやストップランプやターンシグナルランプとして用いられることが好適である。また、本発明車輌用灯具は、例えば、自動運転時の表示灯や室内灯やドアハンドルに内蔵される照明灯等の他の車輌用の灯具としても適用することが可能である。さらには、本発明車輌用灯具は、例えば、車輌のグリルの周囲等に配置されて路面に自車輌の進行方向等を示す図柄等を投影するコミュニケーションランプ等にも適用することが可能である。
【0019】
車輌用灯具1は、例えば、前方に開口されたランプハウジング2とランプハウジング2の開口を閉塞するカバー3とを備えている(図1参照)。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部空間が灯室5として形成されている。
【0020】
灯室5には図示しない基板に搭載された光源6と光源6から出射された光を導く導光体7とが配置されている(図1乃至図3参照)。尚、灯室5には光源6と導光体7の他にエクステンション等の各部材が配置されていてもよい。
【0021】
光源6としては、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられている。光源6は導光体7の後方に位置されている。
【0022】
導光体7は環状に形成された板状の出射部8と光源6から出射された光を導く導光部9とを有し、例えば、金型を用いた射出成形により全体が樹脂材料等によって一体に形成されている。
【0023】
出射部8は環状、例えば、外形状が円形状に形成されている。但し、出射部8は環状であれば、外形状が円形以外の形状であってもよく、例えば、外形状が長円形状や楕円形状等の他の形状に形成されていてもよい。
【0024】
出射部8は前後方向を向く板状のベース部10とベース部10の外周部に連続され光の出射方向(前方)へ行くに従って径が大きくなる形状に形成された周面部11とを有している。出射部8は周面部11の先端面(前端面)が平面状の出射面8aとして形成されている。出射面8aは幅が、例えば、2mmから3mm程度にされており、出射面8aからは導光部9で導かれた光が出射される。また、出射部8の厚みも、例えば、2mmから3mm程度にされている。
【0025】
尚、出射面8aにはレンズステップが形成されていてもよい。出射面8aにレンズステップが形成されることにより、出射面8aがカバー3を通して外部から視認されたときの意匠性が高くなり、被視認性の向上を図ることができる。また、出射面8aにレンズステップを形成したり所定の加工を施して出射面8aから出射される光が拡散した状態で出射されるように構成することも可能である。
【0026】
出射部8には複数の制御孔12が形成されている。複数の制御孔12は出射部8の内周部、例えば、ベース部10に周方向に離隔した状態で形成されている。制御孔12は出射部8の厚み方向に貫通され、例えば、三角形状に形成されている。但し、制御孔12の形状は三角形状に限られることはなく、他の形状に形成されていてもよい。
【0027】
制御孔12を形成する周面のうちの二つの面が制御面12aにされている(図4参照)。
【0028】
制御孔12を形成する周面は、一つの面が、例えば、出射部8の内周に略平行に位置され、他の二つの面が出射部8の内周に対して傾斜され制御面12aとして形成されている。制御面12aは導光部9で導かれた光を制御する機能を有し、導光部9で導かれ制御面12aに入射された光は制御面12aで全反射されて出射面8aへ向かう。
【0029】
尚、制御面12aの形状は曲面状でも平面状でもよく、拡散ステップが形成された形状に形成されてもよい。制御面12aに拡散ステップが形成されることにより、出射面8aから出射される光が拡散され光の均一性を確保することができる。
【0030】
また、上記には、出射部8に制御孔12が形成された例を示したが、出射部8には制御孔12に代えて出射部8の厚み方向における一方に開口された制御溝が形成されてもよい。
【0031】
導光部9は一部を除いて周方向に延びる形状に形成され、長手方向に直交する方向における断面形状が、例えば、円形状にされ、丸軸状に形成されている。導光部9は直径が、例えば、4mm以上にされている。導光部9は長手方向における両端部がそれぞれ入射用端部13として設けられ入射用端部13以外の部分が出射部8の内周に連続された連続部14として設けられている。導光部9には反射ステップ等のステップ形状が形成されていない。
【0032】
二つの入射用端部13は連続部14に対して後方側に屈曲され先端部が結合されている。従って、二つの入射用端部13は先端部以外の部分が連続部14に近付くに従って互いに離隔するように湾曲されている。入射用端部13は先端面が入射面13aとして形成されている。従って、導光体7においては、導光部9の長手方向における両端部が結合されて二つの先端面が同一面にされた入射面13aとして形成されている。
【0033】
入射用端部13は連続部14から後方又は斜め後方に突出された状態にされ、入射面13aが後方又は斜め後方を向く状態にされている(図3参照)。
【0034】
入射面13aに対向する位置には光源6が配置され、光源6から出射された光が入射面13aから導光部9に入射される。
【0035】
上記したように、車輌用灯具1においては、一つの面(同一面)にされた入射面13aから光が入射されるため、光源6と基板の配置スペースを小さくすることが可能になると共に光源6の数を減らすことが可能になり、車輌用灯具1の小型化を図ることができると共に部品点数の削減による製造コストの低減を図ることができる。
【0036】
尚、車輌用灯具1においては、入射面13aに対向して複数の光源6が配置されていてもよい。また、導光部9の両端面が独立して存在し二つの入射面が形成されていてもよい。さらに、導光部9の一方の端面のみが入射面として形成されていてもよい。
【0037】
導光部9は出射部8の厚み方向と同じ方向における幅、具体的には、ベース部10の厚み方向と同じ方向における幅が出射部8の厚みより大きくされている。例えば、導光部9の直径が4mm以上にされ、出射部8の厚みが2mmから3mm程度にされている。
【0038】
尚、導光部9の形状は丸軸状に限られることはなく、長手方向に直交する方向における断面形状が、例えば、矩形状や楕円形状等の他の形状にされていてもよい。
【0039】
但し、導光部9の長手方向に直交する方向における断面形状が円形状に形成されることにより、導光部9の形状が角張った形状にならず入射面13aの外形を過度に大きくすることなく面積を大きくすることが可能になり、導光部9を簡素な形状に形成した上で光の入射効率の向上を図ることができる。
【0040】
また、導光部9によって光が導かれるときに導光部9から出射部8に入射されない光が漏れ光として出射される可能性がある場合には、導光部9の少なくとも一部をエクステンション等によって覆い、漏れ光の発生を防止するようにしてもよい。
【0041】
導光体7には二つの入射用端部13の間の部分に拡散ステップ15が形成されている。入射面13aから導光部9に光源6から出射された光が入射されたときには、入射用端部13から全反射されなかった光が漏れ光として出射される可能性があるが、この漏れ光が拡散ステップ15によって拡散される。
【0042】
尚、上記には、前後方向から見た外形状が円形状に形成された導光体7を例として示したが、車輌用灯具1の導光体は外形状が円形状に限られることはなく、少なくとも出射部が環状に形成されていればよく、例えば、外形状が略矩形状(図5参照)や楕円形状等に形成されていてもよい。
【0043】
上記のように構成された車輌用灯具1において、光源6から光が出射されると、出射された光が入射面13aから入射されて導光部9の入射用端部13から連続部14で周方向に導かれ、導光部9で導かれた光が出射部8に出射されそれぞれ複数の制御面12aに入射される。制御面12aに入射された光は制御面12aによって全反射されることにより制御されて出射部8の内部を通って出射面8aへ向かい、出射面8aから出射されカバー3を透過されて外部へ向けて照射される。
【0044】
このとき各制御面12aによって光が制御され、制御された各光が出射面8aからそれぞれ細線の発光部分として視認され複数の発光部分Pが近接して並ぶような発光状態にされる(図5参照)。また、出射面8aが環状の細長の形状に形成されているため、視認者においてはカバー3を通して視認される発光状態が発光部分Pが集合する環状のライン状の発光状態として視認される。
【0045】
上記のように導光部9と出射部8が環状に形成されることより、導光部9と出射部8を車体や車輌用灯具1の全体の形状に応じた形状に形成することが可能になり、設計の自由度の向上による車輌用灯具1の小型化を図ることができる。
【0046】
尚、入射用端部13は連続部14の曲率に対して屈曲の程度が大きいため、入射用端部13から全反射(内面反射)されなかった光が漏れ光として出射され易いが、この漏れ光が拡散ステップ15によって拡散される。従って、入射用端部13から出射された漏れ光によって出射面8aの一部から極端に多くの光が出射されることがなく、出射面8aの全体において光の出射量が均一化され、均一な発光状態を確保することができる。
【0047】
また、車輌用灯具1においては、灯室5に、例えば、連続部14の内側の部分を遮蔽するエクステンションが配置されていてもよい。このようなエクステンションが配置されることにより、車輌用灯具1が外部から視認されたときに入射用端部13や光源6や基板が遮蔽されるため、被視認性の向上を図ることができる。
【0048】
以上に記載した通り、車輌用灯具1にあっては、導光部9は出射部8の厚み方向と同じ方向における幅が出射部8の厚みより大きくされ、出射部8に導光部9で導かれた光を出射面8aに向かうように制御する複数の制御面12aが形成されている。
【0049】
従って、幅が出射部8の厚みより大きくされた導光部9で導かれた光が出射部8における複数の制御面12aによって制御されて出射部8の出射面8aから出射されるため、光源6から出射された光の入射面13aへの入射量が多くなり、光の利用効率を高めた上で細幅化された発光状態を実現することができる。
【0050】
また、導光部9は長手方向における両端部である入射用端部13と出射部8の内周に連続された連続部14とを有し、入射用端部13が出射部8より内側に位置されている。
【0051】
従って、入射用端部13が出射部8と干渉することがなく、出射部8を環状の形状に形成して環状の出射面8aの全体から光を出射させることができる。
【0052】
上記のように、車輌用灯具1にあっては、導光部9の幅が出射部8の厚みより大きくされ、出射部8に複数の制御面12aが形成され、入射用端部13が出射部8より内側に位置されているため、光の利用効率を高めた上で細幅化された発光状態を実現することができると共に各部の機能を損なうことなく導光体7を所望の形状に形成することができる。
【0053】
尚、出射部8に形成された複数の制御孔12は同じ大きさにされていてもよく異なる大きさにされていてもよい。制御孔12が異なる大きさにされる場合には、例えば、入射面13aから離隔するに従って制御面12aの面積が大きくなるように各制御孔12の大きさが定められていてもよい。導光部9で導かれる光は入射面13aから遠去かるに従って減衰するため、このような構成にされることにより、全ての制御面12aに入射される光量を一定にすることが可能になり、出射面8aから出射される光の輝度の均一性を図ることが可能になる。
【0054】
上記には、導光部9によって導かれた光が出射部8の出射面8aから出射される例を示したが、例えば、被視認性の向上や意匠性の向上を目的として出射部8の出射面8a以外の部分からも光が出射されるように構成される場合がある。この場合に、例えば、出射部8に光を出射させるための複数の凹状のステップ(点刻ステップ)が散在された状態で形成されることが多い。
【0055】
しかしながら、導光体7は全体として環状に形成されるため、金型を用いた射出成形により形成される場合に、金型の開き方向を凹状のステップの開口方向に合わせることが難しく、スライダー等の複数の部品によって構成された金型を用いて導光体7を形成しなければならず、成形が容易ではないと共に製造コストも高くなる可能性がある。
【0056】
そこで、出射部8の出射面8a以外の部分からも光を出射させるためのステップとして、以下のようなステップが形成されることが望ましい。
【0057】
導光体7には上記のようなステップとして出射部8の軸方向、即ち、導光部9と出射面8aを結ぶ方向に延びる出射ステップ16が形成される(図7参照)。
【0058】
このような方向に延びる出射ステップ16が形成されることにより、出射ステップ16が延びる方向と金型の開閉方向とが一致される。従って、金型の開閉方向が出射部8の軸方向に一致され、出射ステップ16を容易に形成することができる。
【0059】
また、導光体7においては主たる光である主配光が出射面8aから出射され、主配光は導光部9から出射面8aへ向かう光によって形成される。従って、導光部9から出射面8aへ向かう光の方向と出射ステップ16の延びる方向とが平行若しくは平行に近い方向になるため、出射ステップ16が主配光を生成する光の進行を妨げ難く、主配光の効率的な出射状態を確保することができる。
【0060】
以下に、導光体の各変形例について説明する(図8乃至図11参照)。
【0061】
尚、以下に示す導光体の各変形例は、基本的な構造が上記した導光体7と同様であるため、各符号にA、B、・・・等の記号を付して導光体7と相違する部分について説明を行う。また、導光体7に対して追加して形成された部分には新たな符号を付して説明する。
【0062】
第1の変形例に係る導光体7Aは、出射部8と導光部9の他に導光用環状部17を有する構成にされている(図8参照)。
【0063】
導光用環状部17は導光部9と同様に内部において光を導く機能を有している。導光用環状部17は円環状に形成され、導光部9の外周側において導光部9と一定の間隔を有した状態で設けられている。但し、導光用環状部17は導光部9の外周側において導光部9に連続して設けられていてもよい。導光部9と導光用環状部17の間の部分は出射部8の一部として設けられ、中間部8bとされている。
【0064】
尚、導光体7Aには拡散ステップ15が形成されていなくてもよい。
【0065】
導光体7Aにおいては、入射用端部13から出射された漏れ光が中間部8bから導光用環状部17に入射され、入射された光が導光用環状部17で周方向に導かれた後に出射面8aへ向けて出射される。従って、入射用端部13から出射された漏れ光によって出射面8aから出射される光の輝度が一部において極端に高くならず、周方向における輝度の均一性を図ることができる。
【0066】
第2の変形例に係る導光体7Bは、出射部8と導光部9の他に結合部18を有する構成にされている(図9参照)。
【0067】
結合部18は導光部9と同様に内部において光を導く機能を有している。結合部18は連続部14の長手方向における両端を結ぶ状態で連続部14に連続して設けられ、入射用端部13と出射面8aの間に位置されている。
【0068】
導光体7Bには拡散ステップ15が形成されておらず、二つの入射用端部13と結合部18によって囲まれた略三角形状の部分に前後に貫通された孔が形成され、この孔が出射規制孔19とされている。出射規制孔19が存在することにより入射用端部13から結合部18へ向かう漏れ光が生じ難くされている。
【0069】
導光体7Bにおいては、入射用端部13と結合部18によって囲まれた部分に出射規制孔19が形成されているため、入射用端部13から結合部18へ向かう漏れ光が生じ難く、入射用端部13から連続部14に入射された光が連続部14と結合部18によって環状の経路で導かれ、連続部14と結合部18から出射部8に光が出射される。
【0070】
従って、出射規制孔19によって入射用端部13から結合部18へ向けての光の出射が規制されるため、出射面8aから出射される光の輝度が一部において極端に高くならず、周方向における輝度の均一性を図ることができる。
【0071】
第3の変形例に係る導光体7Cは、出射部8と導光部9の他に導光用環状部17を有し導光部9と導光用環状部17の間に制御ステップ20が形成された構成にされている(図10参照)。
【0072】
導光体7Cには拡散ステップ15が形成されていない。制御ステップ20は中間部8bにおいて複数が離隔して形成され、導光用環状部17に沿う状態で入射用端部13と導光用環状部17の間に位置されている。制御ステップ20は、例えば、一つの辺が導光用環状部17に略平行な向きにされた三角形状に形成されている。
【0073】
導光体7Cにおいては、入射用端部13から導光用環状部17へ向かう漏れ光が生じたときに、漏れ光が制御ステップ20によって反射されることにより制御されて導光用環状部17に入射される。導光用環状部17に入射された光は導光用環状部17によって周方向に導かれた後に出射面8aへ向けて出射される。従って、入射用端部13から出射された漏れ光によって出射面8aから出射される光の輝度が一部において極端に高くならず、周方向における輝度の均一性を図ることができる。
【0074】
第4の変形例に係る導光体7Dは、出射部8と導光部9の他に導光用環状部17を有する構成にされ、外形状が円形状以外の形状、例えば、略矩形状に形成されている(図11参照)。
【0075】
導光体7Dは外形状が略矩形状に形成されているため、導光部9に複数の直線部分9aと複数の曲線部分9bとが設けられ、導光用環状部17に複数の直線部分17aと複数の曲線部分17bとが設けられている。直線部分9aと曲線部分9bは交互に連続され、直線部分17aと曲線部分17bも交互に連続されている。
【0076】
導光部9の曲線部分9bと導光用環状部17の曲線部分17bとの間には複数の出射規制孔21が形成されている。
【0077】
尚、導光体7Dには拡散ステップ15が形成されていなくてもよい。
【0078】
導光体7Dにおいては、導光部9に直線部分9aと曲線部分9bが設けられているため、直線部分9aに対して曲線部分9bの方が漏れ光の生じ易い形状であるが、出射規制孔21が存在することにより曲線部分9bから導光用環状部17へ向かう漏れ光が生じ難くされている。
【0079】
導光体7Dにおいては、曲線部分9bと曲線部分17bの間に出射規制孔21が形成されているため、曲線部分9bから導光用環状部17へ向かう漏れ光が生じ難く、導光部9から出射規制孔21に入射される光量が均一化される。
【0080】
従って、出射規制孔21によって曲線部分9bから導光用環状部17へ向けての光の出射が規制されるため、出射面8aから出射される光の輝度が一部において極端に高くならず、周方向における輝度の均一性を図ることができる。
【0081】
尚、導光体7Dには結合部18が設けられていてもよく、結合部18が設けられることにより導光部9に入射された光が連続部14と結合部18によって環状の経路で導かれ、周方向における輝度の一層の均一性を図ることができる。
【0082】
また、導光体7Dにおいては、入射面13aから遠い側に位置された二つの曲線部分9bより入射面13aに近い側に位置された二つの曲線部分9bの方が導光量が多くなる。従って、導光体7Dにおいては、入射面13aに近い側に位置された二つの曲線部分9bに沿って出射規制孔21が形成され、入射面13aから遠い側に位置された二つの曲線部分9bに沿っては出射規制孔21が形成されていなくてもよい。
【0083】
尚、上記には、出射部8が環状に形成された例を示したが、出射部は、例えば、環状の一部が切り欠かれたような全体として周方向に延びる形状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…車輌用灯具、6…光源、7…導光体、8…出射部、8a…出射面、9…導光部、12a…制御面、13…入射用端部、13a…入射面、14…連続部、16…出射ステップ、7A…導光体、17…導光用環状部、7B…導光体、18…結合部、19…出射規制孔、7C…導光体、20…制御ステップ、7D…導光体、9a…直線部分、9b…曲線部分、17a…直線部分、17b…曲線部分、21…出射規制孔
図1
図2
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図8
図9
図10
図11