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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070451
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】燃料電池用蓄電ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240516BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240516BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240516BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/00 A
H01M8/04 N
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180957
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直行
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC01
5H127AC14
5H127BA02
5H127BB02
5H127EE26
(57)【要約】
【課題】作業者の配電部に対する不意な接触を抑制しつつ、配電部の保守性を向上させることができる燃料電池用蓄電ユニットを提供すること。
【解決手段】燃料電池用蓄電ユニット15は、蓄電装置60と、配電部50と、を備える。配電部50は、蓄電装置と電気的に接続される接続端子と、燃料電池により発電された電力を蓄電装置60に供給するためのケーブル55と、接続端子とケーブルの端子部との間に設けられる電子部品と、を含む。燃料電池用蓄電ユニット15は、保護カバー100を備える。保護カバー100は、ケーブル55の端子部及び電子部品を覆わずに接続端子を覆う第1カバー101と、第1カバー101により接続端子を覆った状態でケーブルの端子部及び電子部品を覆う第2カバー102と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置と、
燃料電池により発電された電力を前記蓄電装置に供給するための配電部と、を備え、
前記配電部は、
前記蓄電装置と電気的に接続される接続端子と、
前記燃料電池により発電された電力を前記蓄電装置に供給するためのケーブルと、
前記接続端子と前記ケーブルの端子部との間に設けられる電子部品と、を含む燃料電池用蓄電ユニットであって、
前記端子部、前記電子部品、及び前記接続端子を覆う保護カバーを備え、
前記保護カバーは、
前記端子部及び前記電子部品を覆わずに前記接続端子を覆う第1カバーと、
前記第1カバーにより前記接続端子を覆った状態で前記端子部及び前記電子部品を覆う第2カバーと、を有する燃料電池用蓄電ユニット。
【請求項2】
前記端子部及び前記電子部品が取り付けられるブラケットを備え、
前記接続端子は、前記ブラケットに絶縁された状態で固定され、
前記第1カバー及び前記第2カバーは、前記ブラケットに締結部材により固定され、
前記ブラケットに前記接続端子が固定された位置を接続端子固定位置とし、前記ブラケットに前記第1カバーが固定された位置を第1カバー固定位置とし、前記ブラケットに前記第2カバーが固定された位置を第2カバー固定位置とすると、
前記第1カバー固定位置及び前記第2カバー固定位置は、前記接続端子固定位置からオフセットされている、請求項1に記載の燃料電池用蓄電ユニット。
【請求項3】
前記第1カバーは、前記ブラケットに複数の前記締結部材により固定され、
前記第2カバーは、前記第1カバーを前記ブラケットに固定する全ての前記締結部材のうちの1つ又は複数により前記ブラケットに固定され、
前記第2カバーは、前記第1カバーの外面に重なるように配置される、請求項2に記載の燃料電池用蓄電ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用蓄電ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料電池ユニットが記載されている。
上記の燃料電池ユニットは、燃料電池と、蓄電装置であるキャパシタと、配電部と、を備えている。配電部は、キャパシタに接続されるケーブル及び電子部品であるヒューズを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-118104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ケーブルの端子部の着脱や電子部品の交換といった配電部のメンテナンスを実施することがある。配電部のメンテナンスにおいて、作業者の配電部への不意な接触を抑制する必要がある一方で、配電部のメンテナンスを実施しやすくしたいとの意向がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する燃料電池用蓄電ユニットは、蓄電装置と、燃料電池により発電された電力を前記蓄電装置に供給するための配電部と、を備え、前記配電部は、前記蓄電装置と電気的に接続される接続端子と、前記燃料電池により発電された電力を前記蓄電装置に供給するためのケーブルと、前記接続端子と前記ケーブルの端子部との間に設けられる電子部品と、を含む燃料電池用蓄電ユニットであって、前記端子部、前記電子部品、及び前記接続端子を覆う保護カバーを備え、前記保護カバーは、前記端子部及び前記電子部品を覆わずに前記接続端子を覆う第1カバーと、前記第1カバーにより前記接続端子を覆った状態で前記端子部及び前記電子部品を覆う第2カバーと、を有する。
【0006】
上記構成によれば、保護カバーにより接続端子、ケーブルの端子部、及び電子部品が覆われるため、配電部に対する作業者の不意な接触を抑制できる。また、ケーブルの端子部の着脱や電子部品の交換といった配電部のメンテナンス時に第2カバーのみを取り外した状態とすれば、第1カバーにより接続端子が覆われたままとなる。このため、作業者の安全を確保しつつ配電部のメンテナンスがしやすくなる。したがって、作業者の配電部に対する不意な接触を抑制しつつ、配電部の保守性を向上させることができる。
【0007】
上記の燃料電池用蓄電ユニットにおいて、前記端子部及び前記電子部品が取り付けられるブラケットを備え、前記接続端子は、前記ブラケットに絶縁された状態で固定され、前記第1カバー及び前記第2カバーは、前記ブラケットに締結部材により固定され、前記ブラケットに前記接続端子が固定された位置を接続端子固定位置とし、前記ブラケットに前記第1カバーが固定された位置を第1カバー固定位置とし、前記ブラケットに前記第2カバーが固定された位置を第2カバー固定位置とすると、前記第1カバー固定位置及び前記第2カバー固定位置は、前記接続端子固定位置からオフセットされているとよい。
【0008】
上記構成によれば、燃料電池用蓄電ユニットに振動が入力されたとしても、締結部材が接続端子に接触しにくくなる。よって、保護カバーの絶縁性を維持することができる。
上記の燃料電池用蓄電ユニットにおいて、前記第1カバーは、前記ブラケットに複数の前記締結部材により固定され、前記第2カバーは、前記第1カバーを前記ブラケットに固定する全ての前記締結部材のうちの1つ又は複数により前記ブラケットに固定され、
前記第2カバーは、前記第1カバーの外面に重なるように配置されるとよい。
【0009】
上記構成によれば、第2カバーが第1カバーの外面に重なるように配置されるため、第1カバーと第2カバーとの間から配電部が目視できるような隙間が形成されにくい。このため、第1カバーと第2カバーとの間から配電部に接触しうる経路が形成されにくくなることにより、作業者の配電部に対する不意な接触を好適に抑制できる。
【0010】
また、配電部のメンテナンス時に全ての締結部材のうち、第2カバーをブラケットに締結しているものだけを取り外すことにより、第1カバーにより接続端子を覆った状態を維持しつつ、第2カバーのみを取り外すことができる。このため、配電部の保守性を好適に向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、作業者の配電部に対する不意な接触を抑制しつつ、配電部の保守性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】燃料電池ユニットの概略図である。
図2】燃料電池用蓄電ユニットの概略図である。
図3】燃料電池用蓄電ユニットの保護カバーの概略図である。
図4】第1カバーにより接続端子が覆われている状態を示す斜視図である。
図5】第1カバーにより接続端子が覆われている状態を示す正面図である。
図6図3の6-6線で切断したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、燃料電池用蓄電ユニットを具体化した実施形態を図1乃至図6にしたがって説明する。なお、燃料電池用蓄電ユニットは、燃料電池ユニットの一部である。説明の便宜上、燃料電池ユニットの構成から以下説明する。
【0014】
<燃料電池ユニット>
図1に示すように、燃料電池ユニット10は、筐体20と、燃料電池30と、DC/DCコンバータ40と、配電部50と、蓄電装置60と、を含む。燃料電池ユニット10は、筐体20の内部に、燃料電池30、DC/DCコンバータ40、配電部50、及び蓄電装置60を含む複数の構成要素を収容することにより構成される。
【0015】
燃料電池30は、複数の燃料電池セルをスタック化したものである。燃料電池セルは、例えば、固体分子型燃料電池である。燃料電池30は、アノードガス及びカソードガスが供給されることにより発電する。燃料電池30は、アノードガスが供給されるアノード極と、カソードガスが供給されるカソード極と、アノード極とカソード極との間に配置されている電解質膜と、を有する。なお、カソードガスは、酸化剤ガスである。酸化剤ガスとしては、例えば、空気中の酸素を挙げることができる。アノードガスは、燃料ガスである。燃料ガスとしては、例えば、水素ガスを挙げることができる。
【0016】
DC/DCコンバータ40は、燃料電池30の出力電圧を変圧して蓄電装置60に出力する。DC/DCコンバータ40は、例えば、燃料電池30の出力電圧を48[V]に変圧して蓄電装置60に出力する。DC/DCコンバータ40からの出力電圧は、負荷200に供給される。負荷200は、電力によって駆動する電動機である。負荷200は、例えば、フォークリフトを駆動する電動機である。
【0017】
配電部50は、燃料電池30で発電された電力を蓄電装置60に供給するためにDC/DCコンバータ40の正極と蓄電装置60の正極とを電気的に接続する。
蓄電装置60は、例えば、燃料電池30にカソードガスを供給する電動圧縮機等の48V系補機を駆動するための電力を蓄電する。
【0018】
<燃料電池用蓄電ユニット>
図2に示すように、燃料電池用蓄電ユニット15は、蓄電装置60と、配電部50と、ブラケット70と、接続部品80と、サービスプラグ90と、を備える。ブラケット70は、第1板部71と、第2板部72と、第3板部73と、固定板部74と、を有する。
【0019】
固定板部74は、長板状である。固定板部74の長辺方向の一端部は、蓄電装置60の上面60aに固定されており、固定板部74の長辺方向の他端部は、蓄電装置60の側面60bから離れている。なお、蓄電装置60の上面60aとは、鉛直方向の上方を向いている。側面60bは、鉛直方向に直交する方向を向く蓄電装置60の面のうちの1つである。
【0020】
第1板部71は、長板状である。第1板部71は、固定板部74の長辺方向の他端部に連続している。第1板部71の長辺方向は、固定板部74の長辺方向と一致している。第1板部71は、蓄電装置60の側面60bから離れた位置で固定板部74に連続している。
【0021】
第2板部72は、長板状である。第2板部72における一方の長縁は、第1板部71における一方の長縁に連続している。第2板部72は、第1板部71における一方の長縁の全長に亘って設けられている。
【0022】
第2板部72は、第1板部71と直交している。第2板部72の短縁は、第1板部71の厚さ方向と一致している。第2板部72の短縁の長さを長さL2とする。長さL2は、第2板部72の第1板部71からの突出量と同義である。第2板部72には、4つのねじ孔72aが形成されている。4つのねじ孔72aは、第2板部72を貫通している。4つのねじ孔72aは、第2板部72の長辺方向に間隔を空けて並んでいる。
【0023】
第3板部73は、四角板状である。第3板部73における1つの縁は、第1板部71における他方の長縁に連続している。第3板部73は、第1板部71における他方の長縁の全長に亘って設けられている。
【0024】
第3板部73は、第1板部71と直交している。第3板部73における第1板部71の厚さ方向の長さを長さL3とする。長さL3は、第3板部73の第1板部71からの突出量と同義である。第3板部73の長さL3は、第2板部72の長さL2よりも大きい。
【0025】
第3板部73における第1板部71とは反対側に位置する端部には、2つの支持台75が設けられている。2つの支持台75は、第3板部73における一方の面から第2板部72側に向けて突出している。2つの支持台75は、第1板部71の長辺方向において間隔を空けて配置されている。2つの支持台75は、ねじ軸76を有する。ねじ軸76は、第2板部72側に向けて突出している。ねじ軸76には、雄ねじが形成されている。2つの支持台75のうち、蓄電装置60の側面60bに近い方を第1支持台751とし、残りの支持台75を第2支持台752とする。
【0026】
接続部品80は、第2板部72と第3板部73との間に配置されている。接続部品80は、第1板部71に複数のボルトB1により固定されている。接続部品80は、第1板部71の長辺方向に延びる長尺ブロック状である。接続部品80は、第2板部72及び第3板部73と接触しない。接続部品80と第2板部72との間には、空間Sが形成されている。空間Sは、接続部品80及び第2板部72それぞれの長辺方向の全長に亘って延びている。
【0027】
接続部品80には、絶縁性を有する樹脂材料の中に不図示の導電部材が埋め込まれている。接続部品80は、第1板部71とは反対側に位置する端面80aを有する。端面80aは、基本的に樹脂材料により形成されている。当該導電部材の一部は、端面80aに露出している。具体的には、当該導電部材は、接続部品80の長辺方向における端面80aの一方側に位置する第1部位81、及び接続部品80の長辺方向における端面80aの他方側に位置する第2部位82に露出する。
【0028】
サービスプラグ90は、第1板部71における接続部品80とは反対側に取り付けられている。サービスプラグ90の一部は、第1板部71を貫通するとともに接続部品80に接続される。図示しないが、サービスプラグ90の一部は、接続部品80に埋め込まれた不図示の導電部材を、電気的に導通又は遮断できるように接続部品80に接続される。具体的には、サービスプラグ90が第1板部71に取り付けられた状態において、導電部材に電気が導通する一方で、サービスプラグ90が第1板部71から取り外された状態において、導電部材に導通していた電気が遮断される。
【0029】
配電部50は、第1バスバー51と、第2バスバー52と、第3バスバー53と、ヒューズ54と、ケーブル55と、を含む。第1バスバー51は、蓄電装置60の側面60bから接続部品80の端面80aまで延びている。第1バスバー51の第1端部51aは、蓄電装置60の正極に接続されている。第1バスバー51の第2端部51bは、接続部品80の第1部位81に露出した不図示の導電部材の一部にボルトB2により接続される。
【0030】
第2バスバー52は、接続部品80の端面80aから第2支持台752まで延びている。第2バスバー52の第1端部52aは、接続部品80の第2部位82に露出した不図示の導電部材の一部にボルトB3により接続されている。第2バスバー52の第2端部52bには、第2支持台752のねじ軸76が貫通している。
【0031】
第1バスバー51及び第2バスバー52は、接続部品80を介して第1板部71に固定されている。つまり、第1バスバー51及び第2バスバー52は、ブラケット70に絶縁された状態で固定されている。第1バスバー51及び第2バスバー52は、サービスプラグ90が第1板部71に取り付けられた状態において蓄電装置60と電気的に接続される。第1バスバー51及び第2バスバー52は、蓄電装置60と電気的に接続される接続端子である。
【0032】
第3バスバー53は、長板状である。第3バスバー53の一部には、第1支持台751のねじ軸76が貫通している。第3バスバー53は、第1支持台751から下方に向けて長縁が延びている。
【0033】
ヒューズ54は、第1端子部54aと、第2端子部54bと、を有する。第1端子部54aには、第2支持台752のねじ軸76が貫通している。第1端子部54aは、第2バスバー52の第2端部52bに重ねられている。第2支持台752のねじ軸76に第2バスバー52の第2端部52b及びヒューズ54の第1端子部54aが貫通している状態で、第2支持台752のねじ軸76には、ナットN1が螺合される。ナットN1と第2支持台752とにより第2バスバー52の第2端部52bとヒューズ54の第1端子部54aとが挟まれる。これにより、第2バスバー52とヒューズ54との電気的な接続が維持される。
【0034】
ヒューズ54の第2端子部54bには、第1支持台751のねじ軸76が貫通している。第2端子部54bは、第3バスバー53の一部に重ねられている。第1支持台751のねじ軸76に第3バスバー53の一部及びヒューズ54の第2端子部54bが貫通している状態で、第1支持台751のねじ軸76には、ナットN2が螺合される。ナットN2と第1支持台751とにより第3バスバー53の一部とヒューズ54の第2端子部54bとが挟まれる。これにより、第3バスバー53とヒューズ54との電気的な接続が維持される。
【0035】
図1及び図2に示すように、ケーブル55は、端子部55aを有する。ケーブル55の端子部55aは、第3バスバー53のうち第1支持台751の下方に位置する部位にボルトB4及びナットN3により固定されている。
【0036】
上述の配電部50において、燃料電池30の出力電圧は、DC/DCコンバータ40により変圧された後、ケーブル55、第3バスバー53、ヒューズ54、第2バスバー52、接続部品80の不図示の導電部材、及び第1バスバー51を介して蓄電装置60に供給される。ケーブル55は、燃料電池30により発電された電力を蓄電装置60に供給するための配線である。
【0037】
図2に示すように、上述の配電部50において、ブラケット70には、ケーブル55の端子部55a及びヒューズ54が取り付けられる。ヒューズ54は、接続端子である第1バスバー51及び第2バスバー52とケーブル55の端子部55aとの間に設けられる電子部品である。
【0038】
<保護カバー>
図3に示すように、燃料電池用蓄電ユニット15は、保護カバー100を備える。保護カバー100は、第1カバー101と、第2カバー102と、を有する。第1カバー101は、複数のボルトB5により固定されている。ボルトB5は、4つ採用されている。ボルトB5は、締結部材である。第2カバー102は、第1カバー101を固定する全てのボルトB5のうちの2つにより固定されている。本実施形態の第1カバー101及び第2カバー102は、金属製である。なお、第1カバー101及び第2カバー102は、樹脂製であってもよい。
【0039】
図2及び図3に示すように、保護カバー100は、第1バスバー51、第2バスバー52、第3バスバー53、ヒューズ54、及びケーブル55の端子部55aを覆っている。
図2及び図4に示すように、第1カバー101は、第2カバー102が取り外された状態において、第2板部72に重ね合わされた状態で2つのボルトB5により固定される。各ボルトB5は、第1カバー101の一部を貫通して第2板部72の各ねじ孔72aに螺合される。
【0040】
第1カバー101は、第1カバー部101aと、第2カバー部101bと、第3カバー部101cと、を有する。第1カバー部101aは、板状である。第1カバー部101aは、第2板部72に重ね合わされる部分である。第1カバー部101aは、複数のボルトB5により第2板部72に固定されている。第1カバー部101aにおける第1板部71の厚さ方向の長さのうち、最も長い部分での長さを長さL4とする。長さL4は、第2板部72の長さL2よりも大きい。第1カバー部101aの長さL4は、第1カバー部101aによりヒューズ54及びケーブル55の端子部55aを覆わない程度の長さである。
【0041】
第2カバー部101bは、板状である。第2カバー部101bは、第1カバー部101aと連続している。第2カバー部101bは、第2板部72と第3板部73との間に延びることにより接続部品80を覆っている。
【0042】
第3カバー部101cは、板状である。第3カバー部101cは、第1カバー部101aと連続している。第3カバー部101cは、第1板部71と蓄電装置60の側面60bとの間に延びることにより第1バスバー51を覆っている。
【0043】
図5に示すように、第1カバー部101a及び第3板部73それぞれの厚さ方向において、第1カバー101を正面視すると、第1バスバー51及び第2バスバー52は、第1カバー101により覆われている一方で、ヒューズ54及びケーブル55の端子部55aは、第1カバー101により覆われていない。つまり、第1カバー101は、ケーブル55の端子部55a及びヒューズ54を覆わずに第1バスバー51及び第2バスバー52を覆う。
【0044】
図3及び図5に示すように、第2カバー102は、第1カバー101により第1バスバー51及び第2バスバー52を覆った状態で、ケーブル55の端子部55a及びヒューズ54を覆っている。
【0045】
第2カバー102は、第1カバー部102aと、第2カバー部102bと、第3カバー部102cと、を有する。第1カバー部102aは、板状である。第2カバー102の第1カバー部102aは、第1カバー101の第1カバー部101aに重ね合わされる部分である。つまり、第2カバー102は、第1カバー101の外面に重なるように配置されている。
【0046】
第1カバー部102aは、第1カバー101をブラケット70に固定する全てのボルトB5のうちの2つによりブラケット70に固定される。全てのボルトB5のうちの2つは、第1カバー部101a,102aを貫通して第2板部72の各ねじ孔72aに螺合される。第1カバー101は、ブラケット70に複数のボルトB5により固定されている。第1カバー101及び第2カバー102は、ブラケット70にボルトB5により固定される。
【0047】
第1カバー部102aにおける第1板部71の厚さ方向の長さのうち、最も長い部分での長さを長さL5とする。長さL5は、第1カバー部101aの長さL4よりも大きい。第1カバー部102aの長さL5は、第2カバー102によりヒューズ54及びケーブル55の端子部55aを覆うことができる程度の長さである。
【0048】
第2カバー部102bは、板状である。第2カバー部102bは、第1カバー部102aと連続している。第2カバー部102bは、第1カバー101の第2カバー部101bの下方に位置している。第2カバー部102bは、第1カバー部102aから第3板部73に向けて延びることにより第2バスバー52及び第2支持台752を覆っている。
【0049】
第3カバー部102cは、第1カバー部102aと連続している。第3カバー部102cは、第1カバー101の第3カバー部101cの一部に重なるように配置されるとともに、第1カバー部102aよりも下方に向けて延びてケーブル55の周囲を囲むように形成されている。第3カバー部102cは、ケーブル55の成り行きでの移動を制限する。これにより、ケーブル55の端子部55aの第1支持台751のねじ軸76に対する回動が制限される。
【0050】
<第1バスバー、第2バスバー、第1カバー、第2カバーの固定位置>
図2に示すように、第1バスバー51がボルトB2により接続部品80に固定された位置、すなわち、ブラケット70に接続部品80を介して第1バスバー51が固定された位置を第1位置P1とする。第2バスバー52がボルトB3により接続部品80に固定された位置、すなわち、ブラケット70に接続部品80を介して第2バスバー52が固定された位置を第2位置P2とする。第1位置P1は、第1板部71の厚さ方向において、第2位置P2と同じ位置に存在する。第1位置P1及び第2位置P2は、ブラケット70に接続端子が固定された位置である接続端子固定位置である。
【0051】
図6に示すように、第1カバー101がブラケット70に固定された位置を第1カバー固定位置Pc1とする。第2カバー102がブラケット70に固定された位置を第2カバー固定位置Pc2とする。本実施形態では、第1カバー101及び第2カバー102は、同一のボルトB5によりブラケット70に固定されているため、第1カバー固定位置Pc1及び第2カバー固定位置Pc2は一致している。
【0052】
第1位置P1は、第1カバー固定位置Pc1及び第2カバー固定位置Pc2よりも下方に位置している。つまり、ボルトB5と第1バスバー51の第2端部51bとの間に接続部品80が位置している。このため、第1カバー固定位置Pc1及び第2カバー固定位置Pc2は、第1位置P1からオフセットされている。なお、図示しないが、第1カバー固定位置Pc1及び第2カバー固定位置Pc2は、第2位置P2からオフセットされている。
【0053】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用を説明する。
保護カバー100により第1バスバー51、第2バスバー52、ケーブル55の端子部55a、及びヒューズ54が覆われるため、配電部50に対する作業者の不意な接触が抑制される。
【0054】
また、ケーブル55の端子部55aの着脱やヒューズ54の交換といった配電部50のメンテナンス時には、図4及び図5の二点鎖線で示すように、サービスプラグ90を第1板部71から取り外す。これにより、蓄電装置60から第2バスバー52、ヒューズ54、及びケーブル55に通電されることがなくなる。
【0055】
そして、サービスプラグ90が第1板部71から取り外された状態で第2カバー102のみをブラケット70から取り外せば、第1カバー101により第1バスバー51及び第2バスバー52が覆われたままとなる。このため、作業者の安全を確保しつつ配電部50のメンテナンスがしやすくなる。
【0056】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1)保護カバー100により第1バスバー51、第2バスバー52、ケーブル55の端子部55a、及びヒューズ54が覆われるため、配電部50に対する作業者の不意な接触を抑制できる。また、ケーブル55の端子部55aの着脱やヒューズ54の交換といった配電部50のメンテナンス時に第2カバー102のみを取り外した状態とすれば、第1カバー101により第1バスバー51及び第2バスバー52が覆われたままとなる。このため、作業者の安全を確保しつつ配電部50のメンテナンスがしやすくなる。したがって、作業者の配電部50に対する不意な接触を抑制しつつ、配電部50の保守性を向上させることができる。
【0057】
(2)第1カバー固定位置Pc1及び第2カバー固定位置Pc2は、第1位置P1及び第2位置P2からオフセットされている。このため、燃料電池用蓄電ユニット15に振動が入力されたとしても、ボルトB5が第1バスバー51及び第2バスバー52に接触しにくくなる。よって、保護カバー100の絶縁性を維持することができる。
【0058】
(3)第2カバー102が第1カバー101の外面に重なるように配置されるため、第1カバー101と第2カバー102との間から配電部50が目視できるような隙間が形成されにくい。このため、第1カバー101と第2カバー102との間から配電部50に接触しうる経路が形成されにくくなることにより、作業者の配電部50に対する不意な接触を好適に抑制できる。
【0059】
また、配電部50のメンテナンス時に全てのボルトB5のうち、第2カバー102をブラケット70に締結しているものだけを取り外すことにより、第1カバー101により第1バスバー51及び第2バスバー52を覆った状態を維持しつつ、第2カバー102のみを取り外すことができる。このため、配電部50の保守性を好適に向上させることができる。
【0060】
[変更例]
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0061】
○ 全てのボルトB5のうち3つが、第1カバー部101a,102aを貫通して第2板部72の各ねじ孔72aに螺合されてもよい。また、全てのボルトB5のうち1つが、第1カバー部101a,102aを貫通して第2板部72の各ねじ孔に螺合されていてもよい。要する、第2カバー102は、第1カバー101をブラケット70に固定する全てのボルトB5のうちの1つ又は複数によりブラケット70に固定されていればよい。また、第1カバー101のみをブラケット70に固定するボルトB5が少なくとも1つ存在していればよい。なお、第1カバー101をブラケット70に固定するボルトB5と、第2カバー102をブラケット70に固定するボルトB5と、を個別に採用してもよい。
【0062】
○ 第2板部72のねじ孔72aを単純な貫通孔に変更してもよい。この場合、第2板部72の各貫通孔を貫通した各ボルトB5に、第2板部72の裏側に配置したナットを螺合することにより第1カバー101及び第2カバー102をブラケット70に固定してもよい。
【0063】
○ 第1カバー固定位置Pc1及び第2カバー固定位置Pc2は一致していなくてもよい。
○ 第2カバー102は、第1カバー101の外面に重ならなくてもよい。要するに、第1カバー101の端部と第2カバー102の端部とを突き合わせるように重ねてもよい。
【0064】
○ 第1カバー固定位置Pc1及び第2カバー固定位置Pc2は、第1位置P1及び第2位置P2と同じ位置であってもよい。ただし、ボルトB5が第1バスバー51及び第2バスバー52に接触しないように距離を十分に確保する。
【0065】
○ 第1バスバー51、第2バスバー52、第3バスバー53、接続部品80、ヒューズ54、及びケーブル55の配置は、燃料電池30により発電された電力が蓄電装置60に供給できるのであれば、適宜配置を変更してもよい。配電部50の構成要素の配置の変更に伴って、第1カバー101及び第2カバー102それぞれの形状を適宜変更してもよい。
【0066】
○ 上記の変更例において、配電部50の構成要素の配置の変更に伴って、第1カバー101及び第2カバー102それぞれを分割した構成としてもよい。要するに、第1カバー101は、第1バスバー51及び第2バスバー52を覆うことができれば複数の分割体で構成されていてもよい。第2カバー102は、第1カバー101が第1バスバー51及び第2バスバー52を覆った状態でケーブル55の端子部55a及びヒューズ54を覆うことができれば複数の分割体で構成されていてもよい。
【0067】
○ 電子部品としてヒューズ54が採用されていたが、これに限らない。電子部品は、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0068】
15…燃料電池用蓄電ユニット、30…燃料電池、50…配電部、51…接続端子としての第1バスバー、52…接続端子としての第2バスバー、54…電子部品としてのヒューズ、55…ケーブル、55a…ケーブルの端子部、60…蓄電装置、70…ブラケット、100…保護カバー、101…第1カバー、102…第2カバー、B5…締結部材としてのボルト、P1…接続端子固定位置としての第1位置、P2…接続端子固定位置としての第2位置、Pc1…第1カバー固定位置、Pc2…第2カバー固定位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6