(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070452
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】燃料電池スタック組立体
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240516BHJP
【FI】
H01M8/04 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180958
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】川本 祐大
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AA06
5H127AC07
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA39
5H127BA57
5H127BA58
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB10
5H127BB12
5H127BB23
5H127BB37
5H127BB39
5H127BB40
5H127EE03
5H127EE19
5H127EE25
5H127EE29
(57)【要約】
【課題】フィルタ部材を供給流路に収容しつつ、燃料電池スタック組立体を小型化できる燃料電池スタック組立体を提供すること。
【解決手段】燃料電池スタック組立体10は、アノードガス及びカソードガスが供給されることにより発電する燃料電池スタック22と、燃料電池スタック22にカソードガスを供給する供給流路34と、供給流路34に設けられる流量調整弁と、供給流路34おける流量調整弁よりもカソードガスの流れ方向の上流に配置される凸形状のフィルタ部材90と、を含む。流量調整弁は、板状の弁体40bを有するバタフライ弁40である。弁体40bの回動方向において、弁体が通過しうる範囲を第1範囲R1とし、弁体40bが通過しない範囲を第2範囲R2とすると、フィルタ部材90の先端92は、第1範囲R1に重ならず、且つ第2範囲R2に重なる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードガス及びカソードガスが供給されることにより発電する燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックに前記カソードガスを供給する供給流路と、
前記供給流路に設けられる流量調整弁と、
前記供給流路おける前記流量調整弁よりも前記カソードガスの流れ方向の上流に配置される凸形状のフィルタ部材と、を含む燃料電池スタック組立体であって、
前記流量調整弁は、板状の弁体を有するバタフライ弁であり、
前記弁体の回動方向において、前記弁体が通過しうる範囲を第1範囲とし、前記弁体が通過しない範囲を第2範囲とすると、前記フィルタ部材の先端は、前記第1範囲に重ならず、且つ前記第2範囲に重なることを特徴とする燃料電池スタック組立体。
【請求項2】
前記第1範囲は、前記弁体の機械的な回動限界の位置を含む、請求項1に記載の燃料電池スタック組立体。
【請求項3】
前記フィルタ部材は、錘状であり、
前記供給流路は、
前記フィルタ部材を収容する第1配管と、
前記バタフライ弁を収容するとともに前記第1配管に接続される第2配管と、を含み、
前記フィルタ部材の軸線と、前記第2配管の軸線とはオフセットされており、且つ平行である、請求項1又は請求項2に記載の燃料電池スタック組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタック組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料電池システムが記載されている。
上記の燃料電池システムは、燃料電池スタックと、供給流路と、供給流路に設けられる流量調整弁と、を含む。燃料電池スタックは、アノードガス及びカソードガスが供給されることにより発電する。供給流路は、燃料電池スタックにカソードガスを供給する。流量調整弁が開弁すると供給流路から燃料電池スタックのカソード極が開放される。流量調整弁が閉弁すると供給流路から燃料電池スタックのカソード極が封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池スタックへの異物の侵入を防止するため、供給流路における流量調整弁よりも上流にフィルタ部材を配置する場合がある。この場合、フィルタ部材による圧損を低減させるため、カソードガスの流れ方向に延びるように、フィルタ部材は、例えば錘状のような凸形状にされる。
【0005】
ところで、燃料電池スタックと、供給流路と、流量調整弁と、フィルタ部材とが組み立てられた燃料電池スタック組立体において、供給流路を短くすることにより、燃料電池スタック組立体を小型化したいとの要望がある。一方で、供給流路を単純に短くすると、凸形状のフィルタ部材を収容できなくなる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する燃料電池スタック組立体は、アノードガス及びカソードガスが供給されることにより発電する燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに前記カソードガスを供給する供給流路と、前記供給流路に設けられる流量調整弁と、前記供給流路における前記流量調整弁よりも前記カソードガスの流れ方向の上流に配置される凸形状のフィルタ部材と、を含む燃料電池スタック組立体であって、前記流量調整弁は、板状の弁体を有するバタフライ弁であり、前記弁体の回動方向において、前記弁体が通過しうる範囲を第1範囲とし、前記弁体が通過しない範囲を第2範囲とすると、前記フィルタ部材の先端は、前記第1範囲に重ならず、且つ前記第2範囲に重なる。
【0007】
上記構成によれば、フィルタ部材の先端が第1範囲に重ならないように、且つフィルタの先端が第2範囲に重なるように、フィルタ部材が供給流路に配置される。このため、供給流路における弁体が通過しない余剰空間をフィルタ部材の一部を収容する空間として利用できる。よって、フィルタ部材が収容される空間を維持しつつ、供給流路を短くすることができる。したがって、フィルタ部材を供給流路に収容しつつ、燃料電池スタック組立体を小型化できる。
【0008】
上記の燃料電池スタック組立体において、前記第1範囲は、前記弁体の機械的な回動限界の位置を含むとよい。
上記構成によれば、フィルタ部材の先端が、確実にバタフライ弁の弁体に接触することがなくなる。
【0009】
上記の燃料電池スタック組立体において、前記フィルタ部材は、錘状であり、前記供給流路は、前記フィルタ部材を収容する第1配管と、前記バタフライ弁を収容するとともに前記第1配管に接続される第2配管と、を含み、前記フィルタ部材の軸線と、前記第2配管の軸線とはオフセットされており、且つ平行であるとよい。
【0010】
上記構成によれば、第1配管のフィルタ部材を通過したカソードガスが第2配管に向けて円滑に流れやすくなる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、フィルタ部材を供給流路に収容しつつ、燃料電池スタック組立体を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】燃料電池スタック組立体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、燃料電池スタック組立体を具体化した実施形態を
図1及び
図2にしたがって説明する。なお、燃料電池スタック組立体は、燃料電池システムの一部である。説明の便宜上、燃料電池システムの構成から以下説明する。
【0014】
<燃料電池システム>
図1に示すように、燃料電池システム20は、燃料電池スタック22と、カソード系30と、アノード系60と、希釈器69と、制御部80と、を備える。
【0015】
燃料電池スタック22は、複数の燃料電池セル22aをスタック化したものである。燃料電池セル22aは、例えば、固体分子型燃料電池である。複数の燃料電池セル22aは、筐体21に収容される。燃料電池スタック22は、アノードガス及びカソードガスが供給されることにより発電する。燃料電池セル22aは、アノードガスが供給されるアノード極と、カソードガスが供給されるカソード極と、アノード極とカソード極との間に配置されている電解質膜と、を有する。燃料電池セル22aは、セパレータによって挟まれている。
【0016】
カソード系30は、カソード流路30aを備える。カソード流路30aは、筐体21の内部に位置するカソード内部流路23を備える。カソード内部流路23にはカソードガスが流れる。カソード内部流路23の一部は、例えば、各燃料電池セル22aにおけるカソード極に向かい合うセパレータに設けられている。
【0017】
筐体21には、供給口24が形成されている。カソードガスは、供給口24からカソード内部流路23に供給される。筐体21には、排出口25が形成されている。カソードガスは、排出口25からカソード内部流路23外に排出される。
【0018】
アノード系60は、アノード流路60aを備える。アノード流路60aは、筐体21の内部に位置するアノード内部流路26を備える。アノード内部流路26にはアノードガスが流れる。アノード内部流路26は、例えば、各燃料電池セル22aにおけるアノード極に向かい合うセパレータに設けられている。
【0019】
筐体21には、アノード供給口27が形成されている。アノードガスは、アノード供給口27からアノード内部流路26に供給される。筐体21には、アノード排出口28が形成されている。アノードガスは、アノード排出口28からアノード内部流路26外に排出される。
【0020】
アノード内部流路26を流れるアノードガスと、カソード内部流路23を流れるカソードガスと、が反応することにより、燃料電池スタック22は発電を行う。燃料電池スタック22は、アノード流路60aに供給されたアノードガスとカソード流路30aに供給されたカソードガスとの反応によって発電を行う。なお、カソードガスは、酸化剤ガスである。酸化剤ガスとしては、例えば、空気中の酸素を挙げることができる。アノードガスは、燃料ガスである。燃料ガスとしては、例えば、水素ガスを挙げることができる。
【0021】
アノード系60は、タンク61と、アノードガス供給部62と、気液分離器65と、循環ポンプ66と、アノード排水弁67と、を備える。アノード流路60aは、供給路63と、循環路64と、を備える。
【0022】
タンク61は、アノードガスを貯留している。アノードガス供給部62には、タンク61からアノードガスが供給される。アノードガス供給部62は、燃料電池スタック22に供給されるアノードガスの量を調整するための部品である。燃料電池スタック22に供給されるアノードガスの量は、アノードガス供給部62を制御することで調整可能である。アノードガス供給部62としては、例えば、インジェクタなどの電磁弁を用いることができる。
【0023】
供給路63は、アノードガス供給部62とアノード供給口27とを接続している。アノードガス供給部62から噴射されたアノードガスは、供給路63を通じて燃料電池スタック22に供給される。
【0024】
循環路64は、アノード排出口28と供給路63とを接続している。循環路64には、アノード排ガスが流れる。アノード排ガスは、未反応のアノードガスと、燃料電池スタック22での発電によって生成された生成水と、を含む。循環路64は、アノード排ガスに含まれる未反応のアノードガスを供給路63に戻すための通路である。
【0025】
気液分離器65は、循環路64に設けられている。気液分離器65は、アノード排ガスをアノードガスと生成水とに分離する。アノード排ガスから分離された生成水は、気液分離器65に貯留される。
【0026】
循環ポンプ66は、循環路64に設けられている。循環ポンプ66は、気液分離器65によってアノード排ガスから分離されたアノードガスを供給路63に供給する。これにより、アノードガスが循環する。
【0027】
アノード排水弁67は、気液分離器65に接続されている。アノード排水弁67は、開状態と閉状態に切り替えられる。アノード排水弁67が開状態になると、気液分離器65から生成水が排出される。アノード排水弁67は、気液分離器65に貯留される生成水の量が閾値を上回った場合に閉状態から開状態に切り替えられてもよい。アノード排水弁67は、所定の時間間隔毎に閉状態から開状態に切り替えられてもよい。
【0028】
気液分離器65は、希釈器69に接続されている。アノード排水弁67が開状態になると、気液分離器65に貯留された生成水及びアノード排ガスが希釈器69に供給される。
希釈器69には、気液分離器65から排出されたアノード排ガス、及び燃料電池スタック22から排出されたカソード排ガスが流入する。希釈器69は、流入したアノード排ガスをカソード排ガスで希釈する。希釈器69は、アノード排ガスにおける水素ガスの濃度を低下させる。希釈器69は、水素ガスの濃度を低下させた排出ガスをガス排出路70に排出する。ガス排出路70からは、排出ガスが排出される。
【0029】
カソード系30は、カソードガス吸入口31と、電動圧縮機32と、インタークーラ33と、バタフライ弁40と、調圧弁41と、を備える。カソード流路30aは、供給流路34と、排出流路35と、を備える。
【0030】
カソードガス吸入口31は、燃料電池システム20にカソードガスを吸入するための吸入口である。カソードガスとして空気中の酸素を用いる場合、カソードガス吸入口31は大気に開放されていてもよい。カソードガス吸入口31は、カソードガスを貯蔵するガスボンベに接続されていてもよい。
【0031】
電動圧縮機32は、電動モータによって駆動する。電動圧縮機32は、燃料電池スタック22へのカソードガスの供給量を調整する。詳細には、電動圧縮機32は、カソードガス吸入口31から供給されるカソードガスを圧縮して燃料電池スタック22に供給する。燃料電池スタック22に供給されるカソードガスの量は、電動圧縮機32を制御することで調整可能である。カソードガスは、カソードガス吸入口31から不図示のエアクリーナを通って電動圧縮機32に供給されてもよい。電動圧縮機32から燃料電池スタック22に供給されたカソードガスは、カソード内部流路23を流れる。
【0032】
インタークーラ33には、電動圧縮機32から吐出されたカソードガスが供給される。インタークーラ33は、電動圧縮機32から供給されたカソードガスを冷却する。燃料電池スタック22に供給されるカソードガスは、インタークーラ33によって冷却された後のカソードガスである。
【0033】
供給流路34は、カソード流路30aのうち、カソード内部流路23よりもカソードガスの流れ方向の上流に位置する部分である。供給流路34は、電動圧縮機32と筐体21の供給口24とを接続している。インタークーラ33は、供給流路34に設けられている。
【0034】
バタフライ弁40は、供給流路34に設けられる流量調整弁である。バタフライ弁40は、例えば供給流路34を開閉する。バタフライ弁40は、開状態と閉状態とに切り替えられる。バタフライ弁40が開状態になると、供給流路34を介してカソード内部流路23にカソードガスが供給される。供給流路34は、燃料電池スタック22にカソードガスを供給する。バタフライ弁40が閉状態になると、カソード内部流路23へのカソードガスの供給が遮断される。
【0035】
排出流路35は、カソード排ガスが流れる流路である。カソード排ガスは、燃料電池スタック22から排出されるカソードガスであって、生成水を含んだカソードガスである。排出流路35は、燃料電池スタック22での発電によって生成された生成水が燃料電池スタック22から排出される。排出流路35には、燃料電池スタック22に供給されたカソードガスが燃料電池スタック22から排出される。カソード排ガスは、排出流路35から希釈器69に排出される。希釈器69は、気液分離器65から供給されたアノード排ガスをカソード排ガスによって希釈して大気中に排出する。
【0036】
調圧弁41は、排出流路35に設けられている。調圧弁41は、排出流路35を開閉するバタフライ弁である。排出流路35における調圧弁41よりも上流の流路は、筐体21の排出口25に接続されている。排出流路35における調圧弁41よりも下流の流路は、希釈器69に接続されている。
【0037】
<制御部>
制御部80は、プロセッサ81と、記憶部82と、を備える。記憶部82は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部82は、処理をプロセッサ81に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部82、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御部80は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御部80は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ81、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0038】
制御部80は、例えば、燃料電池スタック22の出力電力[kW]を制御する。燃料電池スタック22の出力電力は、燃料電池スタック22に供給されるカソードガスの量と、燃料電池スタック22に供給されるアノードガスの量と、によって変化する。燃料電池スタック22の出力電力は、燃料電池スタック22の発電電力である。制御部80は、アノードガス供給部62を制御することで、燃料電池スタック22へのアノードガスの供給量を制御する。制御部80は、電動圧縮機32を制御することで、燃料電池スタック22へのカソードガスの供給量を制御する。
【0039】
制御部80は、燃料電池スタック22の発電についての制御を行う。制御部80は、燃料電池スタック22の発電状態と発電停止状態とを切り替える。発電状態は、低負荷発電状態、中負荷発電状態、及び高負荷発電状態を含む。制御部80は、燃料電池スタック22の発電状態を遷移させることで、燃料電池スタック22の発電電力を段階的に変化させることができる。
【0040】
制御部80は、バタフライ弁40及び調圧弁41の開度を制御する。制御部80は、アノード内部流路26を封止することによって、アノードガスの供給を停止する。アノード内部流路26の封止は、アノード排水弁67を閉状態に維持することで行われる。制御部80は、カソード内部流路23を封止することによって、カソードガスの供給を停止する。カソード内部流路23の封止は、バタフライ弁40及び調圧弁41を閉状態に維持することで行われる。燃料電池スタック22にカソードガスの供給が行われる際、制御部80は、バタフライ弁40を開状態に維持するとともに、調圧弁41の開度を調整する。
【0041】
<燃料電池スタック組立体>
図2に示すように、燃料電池スタック組立体10は、燃料電池スタック22と、供給流路34と、バタフライ弁40と、凸形状のフィルタ部材90と、を含む。フィルタ部材90は、供給流路34におけるバタフライ弁40よりもカソードガスの流れ方向の上流に配置されている。フィルタ部材90は、例えば、錐状である。フィルタ部材90は、カソードガスの流れ方向の下流に向かうにつれて先細りしている。凸形状とは、カソードガスの流れ方向の下流に向かうにつれてフィルタ部材90が先細りしていく形状を示している。
【0042】
フィルタ部材90の円錐状の外面には、メッシュ90aが設けられている。メッシュ90aは、網目状である。メッシュ90aには、供給流路34を流れるカソードガスが通過する。カソードガスに異物が含まれている場合、メッシュ90aが異物を捕捉する。このため、フィルタ部材90は、燃料電池スタック22への異物の侵入を防止する。
【0043】
供給流路34は、燃料電池スタック22に接続される配管である。供給流路34は、第1配管36と、第2配管37と、第3配管38と、第4配管39と、を有する。供給流路34は、第1配管36と、第2配管37と、を含む。
【0044】
第1配管36は、フィルタ部材90を収容する。フィルタ部材90の軸線m1の延びる方向において、第1配管36の長さL1は、フィルタ部材90の長さL2よりも長い。フィルタ部材90の基端91は、第1配管36の第1端36aに固定されている。フィルタ部材90の先端92は、第1配管36の第2端36bから突出している。
【0045】
第2配管37は、第1配管36の第2端36bに接続される。第2配管37は、その軸線m2が直線状に延びる配管である。第2配管37の軸線m2と、フィルタ部材90の軸線m1とはオフセットされており、且つ平行である。第2配管37は、バタフライ弁40を収容する。バタフライ弁40は、シール部材40aと、板状の弁体40bと、回転軸40cと、を有する。
【0046】
シール部材40aは、第2配管37に設けられている。シール部材40aは、例えば、ゴム製である。シール部材40aは、円環状である。シール部材40aは、座面40dを有する。座面40dは、シール部材40aの内周面である。
【0047】
弁体40bは、第2配管37に設けられている。回転軸40cは、弁体40bに取り付けられている。回転軸40cの回転に伴い弁体40bが回転することにより、バタフライ弁40の開度が調整される。バタフライ弁40が全閉の場合、弁体40bがシール部材40aと密着する。これによって、カソード内部流路23が封止される。不図示の駆動装置により回転軸40cが回転することにより、弁体40bが回転する。制御部80により不図示の駆動装置を制御することによって、バタフライ弁40の開度が調整可能となる。
【0048】
図2の二点鎖線で示す弁体40bのように、弁体40bが座面40dから離れることにより、バタフライ弁40の開度は大きくなる。一方で、弁体40bが座面40dに近づくことでバタフライ弁40の開度が小さくなる。
【0049】
図2の二点鎖線で示す弁体40bの位置は、弁体40bの機械的な回動限界の位置を示している。そして、バタフライ弁40の全閉の状態から、バタフライ弁40の全開の状態までの間で弁体40bが通過しうる範囲を第1範囲R1とする。第1範囲R1は、弁体40bの機械的な回動限界の位置を含む。第1範囲R1は、第2配管37内に存在する。また、弁体40bの回動方向において、弁体40bが通過しない範囲を第2範囲R2とする。第2範囲R2は、第2配管37内に存在する。
【0050】
ここで、フィルタ部材90の先端92は、第2配管37の内部に位置している。つまり、フィルタ部材90は、第1配管36と第2配管37との境界を跨ぐように配置されている。また、フィルタ部材90の先端92は、第1範囲R1に重ならず、且つ第2範囲R2に重なる。フィルタ部材90の先端92は、バタフライ弁40が開状態であるときに弁体40bと座面40dとの間に形成される空間Sに対向している。つまり、バタフライ弁40が開状態であるときに空間Sは、フィルタ部材90の軸線m1上に位置している。
【0051】
第3配管38は、第1配管36に接続されている。具体的には、第3配管38は、第1配管36の第1端36aがその内部に嵌合されている。つまり、第1配管36と第3配管38とは互いに重なり合っている。
【0052】
第4配管39は、第2配管37と筐体21の供給口24との間に設けられている。第4配管39の軸線は、第2配管37の軸線m2と一致している。
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用を説明する。
【0053】
フィルタ部材90の先端92が第1範囲R1に重ならないように、且つフィルタ部材90の先端92が第2範囲R2に重なるように、フィルタ部材90が供給流路34に配置される。このため、供給流路34における弁体40bが通過しない余剰空間を、フィルタ部材90の一部を収容する空間として利用できる。具体的には、第2配管37における弁体40bが通過しない空間に、フィルタ部材90の一部を収容している。これにより、例えば、第1配管36の長さL1をフィルタ部材90の長さL2よりも短くできる。よって、フィルタ部材90が収容される空間を維持しつつ、供給流路34が短くなる。
【0054】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1)フィルタ部材90の先端92が第1範囲R1に重ならないように、且つフィルタ部材90の先端92が第2範囲R2に重なるように、フィルタ部材90が供給流路34に配置される。このため、供給流路34における弁体40bが通過しない余剰空間を、フィルタ部材90の一部を収容する空間として利用できる。よって、フィルタ部材90が収容される空間を維持しつつ、供給流路34を短くすることができる。したがって、フィルタ部材90を供給流路34に収容しつつ、燃料電池スタック組立体10を小型化できる。
【0055】
(2)第1範囲R1は、弁体40bの機械的な回動限界の位置を含む。このため、フィルタ部材90の先端92が、バタフライ弁40の弁体40bに接触することが確実になくなる。
【0056】
(3)フィルタ部材90の軸線m1と、第2配管37の軸線m2とはオフセットされており、且つ平行である。このため、第1配管36のフィルタ部材90を通過したカソードガスが第2配管37に向けて円滑に流れやすくなる。
【0057】
(4)第1配管36と第3配管38とが互いに重なり合っている。このため、供給流路34を好適に短くすることができる。
[変更例]
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0058】
○ 供給流路34は、第1配管36と、第2配管37と、第3配管38と、を有しており、第4配管39を省略してもよい。この場合、第2配管37を筐体21の供給口24に接続する。このように変更することにより、供給流路34を更に短くできる。
【0059】
○ フィルタ部材90の軸線m1と、第2配管37の軸線m2とはオフセットされていなくてもよい。例えば、フィルタ部材90の軸線m1と、第2配管37の軸線m2とは一致していてよい。ただし、フィルタ部材90の先端92が、第1範囲R1に重ならないようにする。
【0060】
○ フィルタ部材90の軸線m1と、第2配管37の軸線m2とは平行でなくてもよい。フィルタ部材90の軸線m1と、第2配管37の軸線m2とは交差していてもよい。
○ 第1範囲R1は、弁体40bの機械的な回動限界の位置を含まなくてもよい。例えば、弁体40bの機械的な回動限界の位置よりも回動方向の逆方向において座面40dに近い位置を、バタフライ弁40が全開の状態となる弁体40bの位置としてもよい。
【0061】
○ フィルタ部材90は、錘状であったが、例えば、半球状であってもよい。要するに、フィルタ部材90は、カソードガスの流れ方向の下流に向かうにつれてフィルタ部材90が先細りしていく凸形状であれば適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…燃料電池スタック組立体、22…燃料電池スタック、34…供給流路、36…第1配管、37…第2配管、40…流量調整弁としてのバタフライ弁、40b…弁体、90…フィルタ部材、92…フィルタ部材の先端、R1…第1範囲、R2…第2範囲、m1…フィルタ部材の軸線、m2…第2配管の軸線。