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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070454
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】ピッキングリフト
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/12 20060101AFI20240516BHJP
   B66F 9/06 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
B66F9/12 F
B66F9/06 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180961
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】馬場 達也
(72)【発明者】
【氏名】中野 隆治
(72)【発明者】
【氏名】螺沢 新治
(72)【発明者】
【氏名】西脇 孝
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AC07
3F333AE02
3F333AF08
3F333BA02
3F333BD02
3F333CA01
3F333CA02
3F333FA12
3F333FA15
3F333FE02
3F333FE03
(57)【要約】
【課題】搭乗者の意図しないパレットのがたつきを抑制できるピッキングリフトを提供する。
【解決手段】ピッキングリフトは、パレットロック機能を有するパレットロック装置と、パレットロック機能のオン・オフを切り替える切替スイッチと、フォークの揚高を検出する揚高検出部を備える。パレットロック装置のロック制御部は、ロックバーがパレットに押し付けられるロック状態においてパレットが着地した場合及びフォークの揚高が所定のロック揚高未満になった場合の少なくとも一方に該当する場合にのみ、ロック状態からロックバーがパレットに押し付けられないロック解除状態になるようにロックバー駆動部を制御する。これにより、ロック制御部は、パレットが着地しておらず、かつフォークの揚高がロック揚高以上である場合には、切替スイッチによってパレットロック機能がオンからオフに切り替えられてもロック状態からロック解除状態になることを回避する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転台及び前記運転台から延出するフォークを有する昇降部と、
前記昇降部に設けられたロックバーを有し、前記ロックバーがパレットの下側デッキボードに押し付けられることによって前記フォークとともに前記パレットをロックするパレットロック機能を有するパレットロック装置と、
前記パレットロック機能のオン・オフを切り替える切替スイッチと、
を備えるピッキングリフトであって、
前記フォークの揚高を検出する揚高検出部を備え、
前記パレットロック装置は、
前記ロックバーを前記下側デッキボードに押し付け可能なロックバー駆動部と、
前記パレットが着地したか否かを判定するために用いられる着地検出部と、
前記切替スイッチ、前記揚高検出部、及び前記着地検出部と接続されるとともに前記ロックバー駆動部を制御するロック制御部と、
を有し、
前記ロック制御部は、
前記着地検出部の検出結果から前記パレットが着地したか否かを判定可能であり、
前記ロックバーが前記下側デッキボードに押し付けられるロック状態において、前記パレットが着地した場合及び前記揚高検出部によって検出された前記フォークの揚高が所定のロック揚高未満になった場合の少なくとも一方に該当する場合にのみ、前記ロック状態から前記ロックバーが前記下側デッキボードに押し付けられないロック解除状態になるように前記ロックバー駆動部を制御することによって、前記パレットが着地しておらず、かつ前記フォークの揚高が前記ロック揚高以上である場合には、前記切替スイッチによって前記パレットロック機能がオンからオフに切り替えられても前記ロック状態から前記ロック解除状態になることを回避することを特徴とするピッキングリフト。
【請求項2】
前記ロック制御部に接続され、前記フォークが前記パレットの上側デッキボードに接触したことを検出するために用いられるパレット接触検出部を備え、
前記ロック制御部は、
前記パレット接触検出部の検出結果から前記フォークが前記上側デッキボードに接触したことを検出し、
前記切替スイッチの操作状態から前記パレットロック機能のオン・オフを認識し、
前記ロック解除状態において、前記フォークが前記上側デッキボードに接触しているとともに前記揚高検出部によって検出された前記フォークの揚高が前記ロック揚高以上であり、かつ前記パレットロック機能がオンである場合に、前記ロック解除状態から前記ロック状態になるように前記ロックバー駆動部を制御する請求項1に記載のピッキングリフト。
【請求項3】
前記昇降部を昇降させるための荷役モータを備え、
前記揚高検出部は、
前記荷役モータの回転数を検出する回転センサと、
前記フォークの揚高が所定の基準揚高になると切り替わる揚高スイッチと、
前記回転センサ及び前記揚高スイッチと接続され、前記揚高スイッチが切り替わった後の前記荷役モータの回転数に基づいて前記フォークの揚高を算出する算出部と、
から構成されている請求項1に記載のピッキングリフト。
【請求項4】
前記ロックバー駆動部は、シリンダチューブと、前記シリンダチューブに対して移動可能なピストンロッドとを有するシリンダを含み、
前記シリンダチューブに対する前記ピストンロッドの突出量が増大することによって、前記ロックバーは前記下側デッキボードに押し付けられ、
前記パレットロック装置は、
前記ロック制御部に接続され、前記シリンダチューブからの前記ピストンロッドの突出量が最大であるか否かを判定するために用いられるシリンダ検出部と、
前記ロック制御部に接続され、前記パレットロック装置が前記ロック状態であるか否かを判定するために用いられるロック検出部と、
を有し、
前記ロック制御部は、
前記シリンダ検出部の検出結果から前記シリンダチューブからの前記ピストンロッドの突出量が最大であるか否かを判定し、
前記ロック検出部の検出結果から前記パレットロック装置が前記ロック状態であるか否かを判定し、
前記シリンダチューブからの前記ピストンロッドの突出量が最大であるときに前記パレットロック装置が前記ロック状態でない場合、前記パレットのロックに失敗したと判定する請求項1に記載のピッキングリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキングリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトの1つとしてピッキングリフトが知られている。ピッキングリフトは、運転台と運転台から延出するフォークとを有する昇降部を備えている。ピッキングリフトの搭乗者は、運転台に搭乗することによって、フォークに支持されたパレットとともに上昇する。そして、搭乗者は、上昇した先にある棚とパレットとの間でピッキング作業を行う。このようなピッキングリフトを用いたピッキング作業では、パレットのがたつきの抑制が求められている。
【0003】
特許文献1には、パレットのがたつきを抑制するための装置としてパレットロック装置を備えるピッキングリフトが開示されている。パレットロック装置は、昇降部に設けられたロックバーを有している。パレットロック装置は、ロックバーがパレットの下側デッキボードに押し付けられることによって、パレットの上側デッキボードを支持するフォークとともにパレットをロックするパレットロック機能を有している。また、ピッキングリフトは、パレットロック機能のオン・オフを切り替える切替スイッチを備えている。切替スイッチは、ピッキングリフトの搭乗者によって操作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4232954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ピッキングリフトの搭乗者は、ピッキング作業中、立ったりしゃがんだりする。このため、搭乗者の体の一部が切替スイッチに当たることによって、搭乗者は意図せず切替スイッチを操作してしまうことがある。特許文献1のパレットロック装置は、パレットをロックしている状態において、切替スイッチが操作されることによってパレットロック機能がオンからオフに切り替えられると、パレットのロックを解除する。この場合、搭乗者はパレットがロックされていると認識しているため、搭乗者の意図しないパレットのがたつきが発生することになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するためのピッキングリフトは、運転台及び前記運転台から延出するフォークを有する昇降部と、前記昇降部に設けられたロックバーを有し、前記ロックバーがパレットの下側デッキボードに押し付けられることによって前記フォークとともに前記パレットをロックするパレットロック機能を有するパレットロック装置と、前記パレットロック機能のオン・オフを切り替える切替スイッチと、を備えるピッキングリフトであって、前記フォークの揚高を検出する揚高検出部を備え、前記パレットロック装置は、前記ロックバーを前記下側デッキボードに押し付け可能なロックバー駆動部と、前記パレットが着地したか否かを判定するために用いられる着地検出部と、前記切替スイッチ、前記揚高検出部、及び前記着地検出部と接続されるとともに前記ロックバー駆動部を制御するロック制御部と、を有し、前記ロック制御部は、前記着地検出部の検出結果から前記パレットが着地したか否かを判定可能であり、前記ロックバーが前記下側デッキボードに押し付けられるロック状態において、前記パレットが着地した場合及び前記揚高検出部によって検出された前記フォークの揚高が所定のロック揚高未満になった場合の少なくとも一方に該当する場合にのみ、前記ロック状態から前記ロックバーが前記下側デッキボードに押し付けられないロック解除状態になるように前記ロックバー駆動部を制御することによって、前記パレットが着地しておらず、かつ前記フォークの揚高が前記ロック揚高以上である場合には、前記切替スイッチによって前記パレットロック機能がオンからオフに切り替えられても前記ロック状態から前記ロック解除状態になることを回避することを要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、ロック制御部は、ロック状態においてパレットが着地した場合及びフォークの揚高がロック揚高未満になった場合の少なくとも一方に該当する場合にのみ、ロック状態からロック解除状態となるようにロックバー駆動部を制御する。すなわち、ロック制御部は、ロック状態において切替スイッチによってパレットロック機能がオンからオフに切り替えられても、パレットが着地しておらず、かつフォークの揚高がロック揚高以上である場合には、ロック状態からロック解除状態となるようにロックバー駆動部を制御しない。これにより、ロック制御部は、パレットが着地しておらず、かつフォークの揚高がロック揚高以上である場合には、切替スイッチによってパレットロック機能がオンからオフに切り替えられてもロック状態からロック解除状態になることを回避する。このため、パレットロック装置がロック状態であるときに、ピッキングリフトの搭乗者がピッキング作業中に意図せず切替スイッチを操作することによって、パレットロック機能がオンからオフに切り替えられたとしても、パレットロック装置がロック解除状態になることが回避される。したがって、搭乗者の意図しないパレットのがたつきを抑制できる。
【0008】
上記ピッキングリフトにおいて、前記ロック制御部に接続され、前記フォークが前記パレットの上側デッキボードに接触したことを検出するために用いられるパレット接触検出部を備え、前記ロック制御部は、前記パレット接触検出部の検出結果から前記フォークが前記上側デッキボードに接触したことを検出し、前記切替スイッチの操作状態から前記パレットロック機能のオン・オフを認識し、前記ロック解除状態において、前記フォークが前記上側デッキボードに接触しているとともに前記揚高検出部によって検出された前記フォークの揚高が前記ロック揚高以上であり、かつ前記パレットロック機能がオンである場合に、前記ロック解除状態から前記ロック状態になるように前記ロックバー駆動部を制御してもよい。
【0009】
上記構成によれば、ロック制御部は、ロック解除状態において、フォークが上側デッキボードに接触するとともにフォークの揚高がロック揚高以上であり、かつパレットロック機能がオンの場合、ロック解除状態からロック状態になるようにロックバー駆動部を制御する。したがって、パレットロック機能がオンになるように切替スイッチを予め操作しておけば、フォークが上側デッキボードに接触するとともにフォークの揚高がロック揚高以上になった場合、パレットロック装置によってパレットを自動的にロックできる。
【0010】
上記ピッキングリフトにおいて、前記昇降部を昇降させるための荷役モータを備え、前記揚高検出部は、前記荷役モータの回転数を検出する回転センサと、前記フォークの揚高が所定の基準揚高になると切り替わる揚高スイッチと、前記回転センサ及び前記揚高スイッチと接続され、前記揚高スイッチが切り替わった後の前記荷役モータの回転数に基づいて前記フォークの揚高を算出する算出部と、から構成されていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、揚高検出部が例えばフォークの揚高がロック揚高になると切り替わるリミットスイッチである場合と比較して、ロック揚高の変更時の対応が容易である。
上記ピッキングリフトにおいて、前記ロックバー駆動部は、シリンダチューブと、前記シリンダチューブに対して移動可能なピストンロッドとを有するシリンダを含み、前記シリンダチューブに対する前記ピストンロッドの突出量が増大することによって、前記ロックバーは前記下側デッキボードに押し付けられ、前記パレットロック装置は、前記ロック制御部に接続され、前記シリンダチューブからの前記ピストンロッドの突出量が最大であるか否かを判定するために用いられるシリンダ検出部と、前記ロック制御部に接続され、前記パレットロック装置が前記ロック状態であるか否かを判定するために用いられるロック検出部と、を有し、前記ロック制御部は、前記シリンダ検出部の検出結果から前記シリンダチューブからの前記ピストンロッドの突出量が最大であるか否かを判定し、前記ロック検出部の検出結果から前記パレットロック装置が前記ロック状態であるか否かを判定し、前記シリンダチューブからの前記ピストンロッドの突出量が最大であるときに前記パレットロック装置が前記ロック状態でない場合、前記パレットのロックに失敗したと判定してもよい。
【0012】
上記構成によれば、パレットのロックが失敗したことを検出できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ピッキングリフトの搭乗者の意図しないパレットのがたつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態におけるピッキングリフトを示す斜視図である。
図2】実施形態におけるピッキングリフトを示す側面図である。
図3】実施形態におけるピッキングリフトの構成を示すブロック図である。
図4】実施形態におけるパレットロック装置の状態遷移図である。
図5】実施形態におけるパレットロック装置を示す斜視図である。
図6】フォークが上側デッキボードに接触する前のパレットロック装置を示す側面図である。
図7】フォークが上側デッキボードに接触した状態のパレットロック装置を示す側面図である。
図8】ロック状態のパレットロック装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、ピッキングリフトを具体化した一実施形態を図1図8にしたがって説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」とは、ピッキングリフトの搭乗者が運転時に前進方向を向いた状態を基準とした場合の「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」のことをいう。
【0016】
<ピッキングリフトの基本構成>
図1及び図2に示すように、ピッキングリフト10は、車体12と、昇降部13と、荷役装置14とを備えている。
【0017】
車体12は、本体部21と、一対の脚部22とを有している。本体部21は、ピッキングリフト10の前部に位置している。本体部21には、駆動輪23が設けられている。また、本体部21の内部には、走行モータ24が設けられている。走行モータ24は、駆動輪23を回転させる。これにより、車体12は走行する。駆動輪23は、操舵輪を兼ねている。一対の脚部22は、本体部21から後方に向けて延びている。一対の脚部22には、従動輪25が設けられている。
【0018】
昇降部13は、運転台31と、一対のフォーク32と、壁部33とを有している。
運転台31は、ピッキングリフト10の搭乗者が搭乗する部位である。運転台31は、ピッキングリフト10の後部に位置している。運転台31は、一対の脚部22の間に設けられている。運転台31は、上板31aと下板31bとを有している。上板31aと下板31bとは、上下方向に間隔を空けて配置されている。上板31aの上面は、運転台31の上面を構成している。下板31bの下面は、運転台31の下面を構成している。
【0019】
一対のフォーク32は、運転台31から後方に向けて延びている。一対のフォーク32は、左右方向において間隔を空けて並んでいる。
壁部33は、運転台31の前部から上方に立設されている。壁部33の上部は、ネット状になっている。これにより、ピッキングリフト10の搭乗者の前方の視界が確保されるとともに搭乗者が保護される。壁部33の後面には、ガード34が設けられている。ガード34は、搭乗者を取り囲むことによって、搭乗者を保護する。また、壁部33の後面には、インストルメントパネル35が設けられている。インストルメントパネル35には、荷役レバー36が設けられている。荷役レバー36は、昇降部13を昇降させるときに操作される。また、インストルメントパネル35には、切替スイッチ37が設けられている。したがって、ピッキングリフト10は、切替スイッチ37を備えている。切替スイッチ37は、後述するパレットロック装置16のパレットロック機能のオン・オフを切り替えるためのスイッチである。荷役レバー36及び切替スイッチ37は、搭乗者によって操作される。
【0020】
図2に示すように、荷役装置14は、マスト41と、マスト41を駆動させるマスト駆動部42とを有している。
マスト41は、車体12の本体部21と昇降部13の壁部33との間に位置している。マスト41は、アウタマスト41aとインナマスト41bとを有している。アウタマスト41aは、車体12に固定されている。インナマスト41bは、アウタマスト41aに対して上下方向に移動可能である。インナマスト41bの上部には、図示しないチェーンホイールが設けられている。当該チェーンホイールには、図示しないチェーンが掛けられている。当該チェーンの一端部は、アウタマスト41aに取り付けられるとともに、当該チェーンの他端部は、運転台31に取り付けられている。インナマスト41bがアウタマスト41aに対して昇降すると、昇降部13も昇降する。
【0021】
マスト駆動部42は、リフトシリンダ43と、タンク44と、バルブ45と、油圧ポンプ46と、荷役モータ47とを有している。リフトシリンダ43は、油圧シリンダである。リフトシリンダ43への作動油の給排によって、インナマスト41bはアウタマスト41aに対して上下方向に移動する。タンク44には、作動油が貯留されている。リフトシリンダ43とタンク44とは、油路48によって接続されている。バルブ45は、油路48に設けられている。荷役レバー36が操作されているとき、バルブ45は開状態となる。荷役レバー36が操作されていないとき、バルブ45は閉状態となる。バルブ45が開状態のとき、リフトシリンダ43とタンク44とは連通する。バルブ45が閉状態のとき、リフトシリンダ43とタンク44とは連通しない。
【0022】
油圧ポンプ46は、油路48におけるバルブ45とタンク44との間に設けられている。油圧ポンプ46は、荷役モータ47によって駆動される。荷役モータ47は、荷役レバー36が操作されている場合に駆動する。荷役モータ47は、双方向に回転可能なモータである。荷役モータ47が第1方向に回転すると、油圧ポンプ46は、タンク44に貯留された作動油をリフトシリンダ43に供給する。荷役モータ47が第1方向とは反対の方向である第2方向に回転すると、油圧ポンプ46は、リフトシリンダ43に充填された作動油をタンク44に戻す。このように荷役モータ47は、昇降部13を昇降させるためのモータである。
【0023】
<揚高検出部>
図3に示すように、ピッキングリフト10は、揚高検出部15を備えている。揚高検出部15は、地面からフォーク32の上面までの高さであるフォーク32の揚高を検出する。本実施形態の揚高検出部15は、回転センサ51と、揚高スイッチ52と、車両制御部53とによって構成されている。
【0024】
回転センサ51は、荷役モータ47の回転数を検出する。
揚高スイッチ52は、フォーク32の揚高が所定の基準揚高になると切り替わるスイッチである。本実施形態の揚高スイッチ52は、リミットスイッチである。揚高スイッチ52は、フォーク32の揚高が基準揚高以上のとき、オン状態になる。揚高スイッチ52は、フォーク32の揚高が基準揚高未満のとき、オフ状態になる。基準揚高は、例えば、500mmに設定されている。なお、揚高スイッチ52は、フォーク32の揚高が基準揚高未満のときにオン状態になり、フォーク32の揚高が基準揚高以上のときにオフ状態になるスイッチであってもよい。
【0025】
車両制御部53は、プロセッサと、記憶部と、を備える。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。記憶部は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部には、ピッキングリフト10を動作させるためのプログラムが記憶されている。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納しているといえる。記憶部、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。車両制御部53は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である車両制御部53は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0026】
車両制御部53は、回転センサ51及び揚高スイッチ52と接続されている。車両制御部53は、揚高スイッチ52が切り替わることによって、フォーク32の揚高が基準揚高であることを把握する。車両制御部53は、回転センサ51から荷役モータ47の回転数を取得する。車両制御部53は、揚高スイッチ52が切り替わった後の荷役モータ47の回転数から、揚高スイッチ52が切り替わった後の昇降部13の昇降量を算出する。車両制御部53は、基準揚高から算出した昇降部13の昇降量を加算又は減算することによって、フォーク32の揚高を算出する。したがって、車両制御部53は、揚高スイッチ52が切り替わった後の荷役モータ47の回転数に基づいてフォーク32の揚高を算出する算出部である。
【0027】
<パレットロック装置>
図3及び図5に示すように、ピッキングリフト10は、パレットPをロックするパレットロック機能を有するパレットロック装置16を備えている。パレットロック装置16は、ロックバー60と、ロックバー駆動部70とを有している。また、パレットロック装置16は、ロック制御部80と、パレット接触検出部81と、ロック解除検出部82と、シリンダ検出部83と、ロック検出部及び着地検出部としてのスプリング検出部84とを有している。
【0028】
図5及び図6に示すように、ロックバー60及びロックバー駆動部70は、昇降部13の運転台31に設けられている。運転台31は、ロックバー60及びロックバー駆動部70を運転台31に取り付けるための一対の第1取付部311及び一対の第2取付部312を有している。一対の第1取付部311及び一対の第2取付部312は、運転台31の下板31bの上面から突出している。一対の第1取付部311は、左右方向に間隔を空けて並んでいる。一対の第2取付部312は、左右方向に間隔を空けて並んでいる。一対の第2取付部312は、左右方向に延びる支持軸38を支持している。
【0029】
ロックバー60は、バー本体61と、一対の爪部62と、一対の取付片63と、延出部64とを有している。
バー本体61は、左右方向に延びている。バー本体61は、運転台31の下板31bよりも後方に位置している。
【0030】
一対の爪部62は、バー本体61の下面に設けられている。一対の爪部62は、左右方向におけるバー本体61の両端部に位置している。一対の爪部62は、バー本体61から後方に向かって延びている。図1に示すように、一対の爪部62は、運転台31から後方に向かって延びている。一対の爪部62は、一対のフォーク32の間に位置している。
【0031】
一対の取付片63は、バー本体61の下面に設けられている。一対の取付片63は、バー本体61から前方に向けて延びている。一対の取付片63は、左右方向に間隔を空けて並んでいる。支持軸38は、一対の取付片63を貫通している。ロックバー60は、支持軸38によって上下方向に揺動可能に支持されている。
【0032】
延出部64は、バー本体61から前方に向けて延びている。延出部64は、一対の取付片63よりも前方まで位置している。一対の爪部62が下降するようにロックバー60が揺動するとき、延出部64は上昇する。一方、爪部62が上昇するようにロックバー60が揺動するとき、延出部64は下降する。
【0033】
ロックバー駆動部70は、ロックバー60を上下方向に揺動させることによって、ロックバー60の一対の爪部62をパレットPの下側デッキボードD2の上面に対して押し付け可能である。ロックバー駆動部70は、アクチュエータ71とリンク機構72とを有している。ロックバー駆動部70は、運転台31の上板31aと下板31bとの間に配置されている。ロックバー駆動部70は、運転台31に内蔵されている。
【0034】
本実施形態のアクチュエータ71は、シリンダ73と、シリンダモータ74とを有する電動シリンダである。アクチュエータ71は、シリンダ73が前後方向に延びるように配置されている。シリンダ73は、シリンダチューブ73aと、シリンダチューブ73aに対して前後方向に移動可能なピストンロッド73bとを有している。ピストンロッド73bは、シリンダモータ74によって、シリンダチューブ73aに対して前後方向に移動される。
【0035】
リンク機構72は、第1リンクアーム75と、第2リンクアーム76と、連結部材77とを有している。
第1リンクアーム75は、一対の第1取付部311の間に位置している。第1リンクアーム75の下端部は、一対の第1取付部311と連結されている。第1リンクアーム75は、第1取付部311に対して前後方向に揺動可能である。第1リンクアーム75の上端部は、ピストンロッド73bの先端部と連結されている。
【0036】
第2リンクアーム76は、一対の第2取付部312の間に位置している。支持軸38は、第2リンクアーム76の下端部を貫通している。第2リンクアーム76は、支持軸38によって前後方向に揺動可能に支持されている。ロックバー60のバー本体61は、第2リンクアーム76の揺動軌跡上に配置されている。詳しくは、バー本体61は、第2リンクアーム76が後方に揺動したときに第2リンクアーム76と接触するような位置に配置されている。
【0037】
連結部材77は、第1リンクアーム75と第2リンクアーム76とを前後方向に連結している。詳しくは、連結部材77の前端部は、第1リンクアーム75における上端部と下端部との間に連結されている。連結部材77の後端部は、第2リンクアーム76の上端部に連結されている。連結部材77は、前後方向に伸縮可能なスプリング77aを含んでいる。
【0038】
図6に示すように、ピッキングリフト10の荷役動作時、一対のフォーク32はパレットPのフォーク差込口Pfに挿入される。フォーク差込口Pfは、パレットPの上側デッキボードD1の下面と下側デッキボードD2の上面とによって区画されている。また、ロックバー60の一対の爪部62も、フォーク差込口Pfに挿入される。ロックバー60は、水平に延びている。
【0039】
図7に示すように、一対のフォーク32及び一対の爪部62がフォーク差込口Pfに挿入された状態で昇降部13が上昇する。すると、一対の爪部62は、パレットPの上側デッキボードD1の下面に接触する。上述したように、ロックバー60は、支持軸38によって上下方向に揺動可能に構成されている。したがって、ロックバー60は、一対の爪部62が上側デッキボードD1によって押し下げられることによって、一対の爪部62が下降し、かつ延出部64が上昇するように揺動する。また、一対のフォーク32は、パレットPの上側デッキボードD1の下面に接触する。昇降部13は、一対のフォーク32が上側デッキボードD1を支持した状態で上昇することによってパレットPを持ち上げる。
【0040】
パレットロック装置16は、ロック状態とロック解除状態とを取り得る。
図6及び図7は、ロック解除状態のパレットロック装置16を示す。シリンダチューブ73aからのピストンロッド73bの突出量は最小になっている。ロックバー60の一対の爪部62は、パレットPの下側デッキボードD2の上面に対して押し付けられていない。したがって、パレットPは、上方には動くことができる。すなわち、パレットPはロックされていない。
【0041】
図8は、ロック状態のパレットロック装置16を示す。シリンダチューブ73aからのピストンロッド73bの突出量はロック解除状態のときよりも多い。ロックバー60の一対の爪部62は、パレットPの下側デッキボードD2の上面に対して押し付けられている。上側デッキボードD1が一対のフォーク32によって支持されるとともに、下側デッキボードD2に一対の爪部62が押し付けられることによって、パレットPの上下方向への移動が規制されている。すなわち、パレットPはロックされている。
【0042】
図4に示すように、パレットロック装置16は、ロック解除状態から第1移行動作を経てロック状態に遷移する。第1移行動作は、シリンダチューブ73aからのピストンロッド73bの突出量が増大するように、シリンダチューブ73aに対してピストンロッド73bが後方に移動する動作である。
【0043】
図8に示すように、ピストンロッド73bがシリンダチューブ73aに対して後方に移動すると、ピストンロッド73bと連結された第1リンクアーム75は、後方に向けて揺動する。第1リンクアーム75が後方に向けて揺動すると、第1リンクアーム75と連結された連結部材77も後方に向けて移動する。連結部材77が後方に向けて移動すると、連結部材77と連結された第2リンクアーム76も後方に向けて揺動する。第2リンクアーム76は後方に揺動することによって、ロックバー60のバー本体61を押し下げる。これにより、ロックバー60は、一対の爪部62が下降するとともに延出部64が上昇するように揺動する。
【0044】
下降した一対の爪部62は、パレットPの下側デッキボードD2の上面に接触する。一対の爪部62が下側デッキボードD2の上面に接触した後も、ピストンロッド73bが後方に向けて移動すると、一対の爪部62は下側デッキボードD2の上面に対して押し付けられる。これにより、パレットロック装置16はロック状態となる。連結部材77のスプリング77aよりも後方の部材はこれ以上後方に移動することができないため、スプリング77aが圧縮される。このように、ロックバー60が下側デッキボードD2の上面に押し付けられることによってパレットロック装置16がロック状態になると、スプリング77aの圧縮量は増大する。
【0045】
図4に示すように、パレットロック装置16は、ロック状態から第2移行動作を経てロック解除状態に遷移にする。第2移行動作は、シリンダチューブ73aからのピストンロッド73bの突出量が減少するように、シリンダチューブ73aに対してピストンロッド73bが前方に移動する動作である。
【0046】
図6及び図7に示すように、ピストンロッド73bがシリンダチューブ73aに対して前方に向けて移動すると、ピストンロッド73bと連結された第1リンクアーム75も前方に向けて揺動する。第1リンクアーム75が前方に向けて揺動すると、スプリング77aの圧縮状態が元に戻るとともに、第1リンクアーム75と連結された連結部材77も前方に向けて移動する。連結部材77が前方に向けて移動すると、連結部材77と連結された第2リンクアーム76も前方に向けて揺動する。第2リンクアーム76が前方に向けて揺動すると、ロックバー60は第2リンクアーム76によって押し下げられなくなる。したがって、ロックバー60は、一対の爪部62が上昇するとともに延出部64が下降するように揺動可能になる。
【0047】
ロック制御部80は、プロセッサと、記憶部と、を備える。プロセッサとしては、例えば、CPU、GPU、又はDSPが用いられる。記憶部は、RAM及びROMを含む。記憶部には、パレットロック装置16を動作させるためのプログラムが記憶されている。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納しているといえる。記憶部、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。ロック制御部80は、ASICやFPGA等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路であるロック制御部80は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0048】
図3に示すように、ロック制御部80は、切替スイッチ37と接続されている。ロック制御部80は、切替スイッチ37の操作状態からパレットロック機能のオン・オフを認識する。ロック制御部80は、揚高検出部15、パレット接触検出部81、ロック解除検出部82、シリンダ検出部83、及びスプリング検出部84と接続されている。ロック制御部80は、各検出部の検出結果からパレットロック装置16やパレットPの状態を認識する。また、ロック制御部80は、ロックバー駆動部70と接続されている。ロック制御部80は、ロックバー駆動部70のシリンダモータ74を制御することによって、パレットロック装置16の動作を制御する。パレットロック装置16の制御については後述する。
【0049】
パレット接触検出部81は、一対のフォーク32がパレットPの上側デッキボードD1の下面に接触したことを検出するために用いられる。本実施形態のパレット接触検出部81は、リミットスイッチである。パレット接触検出部81は、パレット検出バー81aを有している。パレット検出バー81aは、延出部64の下方に配置されている。パレット接触検出部81は、パレット検出バー81aが延出部64によって押し下げられているとき、オン状態になる。パレット接触検出部81は、パレット検出バー81aが延出部64によって押し下げられていないとき、オフ状態になる。
【0050】
上述したように、一対のフォーク32が上側デッキボードD1の下面に接触する前、ロックバー60は水平に延びている。このとき、パレット検出バー81aは延出部64によって押し下げられているため、パレット接触検出部81はオン状態である。そして、一対のフォーク32が上側デッキボードD1の下面に接触するとき、ロックバー60は延出部64が上昇するように揺動する。これにより、パレット検出バー81aは延出部64によって押し下げられなくなるため、パレット接触検出部81はオン状態からオフ状態に切り替わる。
【0051】
ロック制御部80は、パレット接触検出部81の検出結果から一対のフォーク32が上側デッキボードD1の下面に接触したことを検出する。ロック制御部80は、パレット接触検出部81がオン状態からオフ状態になったとき、一対のフォーク32が上側デッキボードD1の下面に接触したことを検出する。
【0052】
ロック解除検出部82は、パレットロック装置16がロック解除状態であるか否かを判定するために用いられる。本実施形態のロック解除検出部82は、リミットスイッチである。ロック解除検出部82は、リンク検出バー82aを有している。リンク検出バー82aは、第1リンクアーム75の揺動軌跡上に配置されている。詳しくは、リンク検出バー82aは、第1リンクアーム75が前方に揺動したときに第1リンクアーム75と接触するような位置に配置されている。ロック解除検出部82は、リンク検出バー82aが第1リンクアーム75によって押圧されているとき、オン状態になる。ロック解除検出部82は、リンク検出バー82aが第1リンクアーム75によって押圧されていないとき、オフ状態になる。
【0053】
上述したように、パレットロック装置16がロック解除状態であるとき、すなわちシリンダチューブ73aからのピストンロッド73bの突出量が最小のとき、第1リンクアーム75は前方に傾いている。このとき、リンク検出バー82aは、第1リンクアーム75によって押圧されているため、ロック解除検出部82はオン状態である。
【0054】
ロック制御部80は、ロック解除検出部82の検出結果からパレットロック装置16がロック解除状態であるか否かを判定する。ロック制御部80は、ロック解除検出部82がオン状態のとき、パレットロック装置16がロック解除状態であると判定する。ロック制御部80は、ロック解除検出部82がオフ状態のとき、パレットロック装置16がロック解除状態でないと判定する。
【0055】
シリンダ検出部83は、シリンダチューブ73aからのピストンロッド73bの突出量が最大であるか否かを判定するために用いられる。本実施形態のシリンダ検出部83は、例えば、電流センサである。シリンダ検出部83は、シリンダモータ74の出力電流を検出する。シリンダチューブ73aからのピストンロッド73bの突出量が最大になると、シリンダモータ74の出力電流は増大する。
【0056】
ロック制御部80は、シリンダ検出部83の検出結果からシリンダチューブ73aからのピストンロッド73bの突出量が最大であるか否かを判定する。ロック制御部80は、シリンダ検出部83によって検出されたシリンダモータ74の出力電流が所定の電流閾値以上であるとき、シリンダチューブ73aからのピストンロッド73bの突出量が最大であると判定する。ロック制御部80は、シリンダ検出部83によって検出されたシリンダモータ74の出力電流が所定の電流閾値未満であるとき、シリンダチューブ73aからのピストンロッド73bの突出量が最大でないと判定する。
【0057】
スプリング検出部84は、パレットロック装置16がロック状態であるか否かを判定するために用いられる。また、スプリング検出部84は、パレットPが床や棚、荷台等に着地したか否かを判定するために用いられる。スプリング検出部84は、スプリング77aの圧縮量を検出する。本実施形態のスプリング検出部84は、ポテンショメータである。
【0058】
上述したように、パレットロック装置16がロック状態になると、スプリング77aの圧縮量は増大する。ロック制御部80は、スプリング検出部84の検出結果からパレットロック装置16がロック状態であるか否かを判定する。ロック制御部80は、スプリング検出部84によって検出されたスプリング77aの圧縮量が所定のロック判定用閾値以上であるとき、パレットロック装置16がロック状態であると判定する。ロック制御部80は、スプリング検出部84によって検出されたスプリング77aの圧縮量がロック判定用閾値未満であるとき、パレットロック装置16がロック状態でないと判定する。
【0059】
昇降部13が下降することによってパレットPが着地されると、一対のフォーク32は、パレットPの上側デッキボードD1の下面から離れる。また、一対の爪部62が下側デッキボードD2によって押し上げられることによって、ロックバー60は一対の爪部62が上昇するように揺動する。すると、第2リンクアーム76は前方に向けて揺動する。このとき、連結部材77のスプリング77aよりも前方の部材は前方に移動することができないため、スプリング77aが圧縮される。なお、スプリング77aはパレットロック装置16がロック状態になる際にすでに圧縮されているため、スプリング77aの圧縮量はさらに増大することになる。
【0060】
ロック制御部80は、スプリング検出部84の検出結果からパレットPが着地されたか否かを判定する。ロック制御部80は、スプリング検出部84によって検出されたスプリング77aの圧縮量が所定の着地判定用閾値以上であるとき、パレットPが着地したと判定する。なお、着地判定用閾値は、ロック判定用閾値よりも大きな値に設定されている。ロック制御部80は、スプリング検出部84によって検出されたスプリング77aの圧縮量が着地判定用閾値未満であるとき、パレットPが着地していないと判定する。
【0061】
<パレットロック装置の制御>
ロック制御部80が行うパレットロック装置16の制御について詳述する。
図4に示すように、パレットロック装置16は、ロック解除状態であるときに第1ロック条件、第2ロック条件、及び第3ロック条件の全ての条件が成立すると、第1移行動作を経てロック状態に遷移する。
【0062】
第1ロック条件…フォーク32がパレットPの上側デッキボードD1に接触している。
第2ロック条件…フォーク32の揚高が所定のロック揚高以上である。
第3ロック条件…パレットロック機能がオンである。
【0063】
各ロック条件が成立しているか否かは、ロック制御部80によって判定される。
ロック制御部80は、パレット接触検出部81の検出結果から第1ロック条件が成立しているか否かを判定する。ロック制御部80は、パレット接触検出部81がオン状態からオフ状態になることによって、第1ロック条件が成立していると判定する。
【0064】
ロック制御部80は、揚高検出部15の検出結果から第2ロック条件が成立しているか否かを判定する。本実施形態では、ロック揚高は、500mm以下の揚高に設定されている。ロック制御部80は、揚高検出部15によって検出されたフォーク32の揚高がロック揚高以上である場合、第2ロック条件が成立していると判定する。一方、ロック制御部80は、揚高検出部15によって検出されたフォーク32の揚高がロック揚高未満である場合、第2ロック条件が成立していないと判定する。
【0065】
ロック制御部80は、切替スイッチ37の操作状態から第3ロック条件が成立しているか否かを判定する。パレットロック機能がオンとなる方向に切替スイッチ37が操作されている場合、ロック制御部80は、第3ロック条件が成立していると判定する。一方、パレットロック機能がオフとなる方向に切替スイッチ37が操作されている場合、ロック制御部80は、第3ロック条件が成立していないと判定する。
【0066】
そして、ロック制御部80は、第1~第3ロック条件が全て成立していると判定した場合、ロック解除状態からロック状態に遷移するようにアクチュエータ71に第1移行動作を行わせる。具体的には、ロック制御部80は、ピストンロッド73bが後方に移動するようにシリンダモータ74を制御する。
【0067】
本実施形態では、パレットロック装置16は、第1移行動作中にパレットPのロックが失敗したと判定された場合、第2移行動作に遷移する。すなわち、パレットロック装置16は、ロック解除状態からロック状態への遷移を停止した後、ロック解除状態に戻る。
【0068】
パレットPのロックが失敗したか否かは、ロック制御部80によって判定される。ロック制御部80は、シリンダチューブ73aからのピストンロッド73bの突出量が最大のときにパレットロック装置16がロック状態でない場合、パレットPのロックが失敗したと判定する。具体的には、ロック制御部80は、シリンダ検出部83によって検出された電流値が電流閾値以上である場合に、スプリング検出部84によって検出されたスプリング77aの圧縮量がロック判定用閾値未満である場合、パレットPのロックが失敗したと判定する。ロック制御部80は、パレットPのロックが失敗したと判定した場合、アクチュエータ71に第2移行動作を行わせる。具体的には、ロック制御部80は、ピストンロッド73bが前方に移動するようにシリンダモータ74を制御する。
【0069】
パレットロック装置16は、ロック状態であるときに第1ロック解除条件及び第2ロック解除条件の少なくとも一方が成立すると、第2移行動作を経てロック解除状態に遷移する。なお、「第1ロック解除条件及び第2ロック解除条件の少なくとも一方」とは、「第1ロック解除条件のみ」、「第2ロック解除条件のみ」、又は「第1ロック解除条件及び第2ロック解除条件の両方」を指す。
【0070】
第1ロック解除条件…フォーク32の揚高がロック揚高未満である。
第2ロック解除条件…パレットPが着地している。
各ロック解除条件が成立しているか否かは、ロック制御部80によって判定される。
【0071】
ロック制御部80は、揚高検出部15の検出結果から第1ロック解除条件が成立しているか否かを判定する。ロック制御部80は、揚高検出部15によって検出されたフォーク32の揚高が所定のロック揚高未満である場合、第1ロック解除条件が成立していると判定する。一方、ロック制御部80は、揚高検出部15によって検出されたフォーク32の揚高がロック揚高以上である場合、第1ロック解除条件が成立していないと判定する。
【0072】
ロック制御部80は、スプリング検出部84の検出結果から第2ロック解除条件が成立しているか否かを判定する。ロック制御部80は、スプリング検出部84によって検出されたスプリング77aの圧縮量が着地判定用閾値以上である場合、第2ロック解除条件が成立していると判定する。ロック制御部80は、スプリング検出部84によって検出されたスプリング77aの圧縮量が着地判定用閾値未満である場合、第2ロック解除条件が成立していないと判定する。
【0073】
ロック制御部80は、第1ロック解除条件及び第2ロック解除条件の少なくとも一方が成立していると判定した場合、ロック状態からロック解除状態に遷移するため、アクチュエータ71に第2移行動作を行わせる。具体的には、ロック制御部80は、ピストンロッド73bが前方に移動するようにシリンダモータ74を制御する。
【0074】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)ロック制御部80は、ロック状態においてパレットPが着地した場合及びフォーク32の揚高が所定のロック揚高未満になった場合の少なくとも一方に該当する場合にのみ、ロック状態からロック解除状態になるようにロックバー駆動部70を制御する。すなわち、ロック制御部80は、ロック状態において切替スイッチ37によってパレットロック機能がオンからオフに切り替えられても、パレットPが着地しておらず、かつフォーク32の揚高がロック揚高以上である場合には、ロック状態からロック解除状態となるようにロックバー駆動部70を制御しない。これにより、ロック制御部80は、パレットPが着地しておらず、かつフォーク32の揚高がロック揚高以上である場合には、切替スイッチ37によってパレットロック機能がオンからオフに切り替えられてもロック状態からロック解除状態になることを回避する。このため、パレットロック装置16がロック状態であるときに、ピッキングリフト10の搭乗者がピッキング作業中に意図せず切替スイッチ37を操作することによって、パレットロック機能がオンからオフに切り替えられたとしても、パレットロック装置16がロック解除状態になることが回避される。したがって、搭乗者の意図しないパレットPのがたつきを抑制できる。
【0075】
(2)ロック制御部80は、ロック解除状態において、フォーク32が上側デッキボードD1に接触するとともにフォーク32の揚高がロック揚高以上であり、かつパレットロック機能がオンの場合、ロック解除状態からロック状態になるようにロックバー駆動部70を制御する。この構成によれば、搭乗者はパレットロック機能がオンになるように切替スイッチ37を予め操作しておけば、フォーク32が上側デッキボードD1に接触するとともにフォーク32の揚高がロック揚高以上になった場合、パレットロック装置16によってパレットPを自動的にロックすることができる。
【0076】
(3)揚高検出部15は、回転センサ51と揚高スイッチ52と車両制御部53とから構成されている。回転センサ51は、荷役モータ47の回転数を検出する。揚高スイッチ52は、フォーク32の揚高が所定の基準揚高になると切り替わる。車両制御部53は、揚高スイッチ52及び回転センサ51と接続されている。車両制御部53は、揚高スイッチ52が切り替わった後の荷役モータ47の回転数に基づいてフォーク32の揚高を算出する。この構成によれば、揚高検出部15が例えばフォーク32の揚高がロック揚高になると切り替わるリミットスイッチである場合と比較して、ロック揚高の変更時の対応が容易である。
【0077】
(4)ロック制御部80は、シリンダチューブ73aからのピストンロッド73bの突出量が最大になったときにパレットロック装置16がロック状態でない場合、パレットPのロックに失敗したと判定する。この構成によれば、パレットPのロックに失敗したことを検出できる。
【0078】
(5)スプリング検出部84は、ロック検出部兼着地検出部である。したがって、ロック検出部と着地検出部とが個別に設けられている場合と比較して、パレットロック装置16の構成を簡素化できる。
【0079】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0080】
○ 揚高検出部15の具体的な構成は適宜変更されてもよい。揚高検出部15は、例えば、フォーク32の揚高がロック揚高になると切り替わるリミットスイッチであってもよい。
【0081】
○ パレット接触検出部81の具体的な構成は適宜変更されてもよい。パレット接触検出部81は、例えば、延出部64の先端部に取り付けられた磁石の磁気を検出する磁気センサであってもよい。
【0082】
○ ロック解除検出部82の具体的な構成は適宜変更されてもよい。
○ シリンダ検出部83の具体的な構成は適宜変更されてもよい。
○ スプリング検出部84の具体的な構成は適宜変更されてもよい。
【0083】
○ ロック検出部と着地検出部とは、個別に設けられていてもよい。
○ ロック制御部80は、パレットPのロックが失敗したか否かを判定しなくてもよい。
【0084】
○ ロック制御部80はパレットロック装置16の状態を車両制御部53に送信してもよい。車両制御部53は、受信したパレットロック装置16の状態を図示しないディスプレイに表示させてもよい。この場合、ピッキングリフト10の搭乗者は、ディスプレイを確認することによって、パレットロック装置16の状態を把握することができる。
【0085】
○ ピッキングリフト10は、前進方向の前側に本体部21が位置するとともに後側に運転台31が位置するタイプに限定されない。ピッキングリフト10は、前進方向の前側に運転台31が位置するとともに後側に本体部21が位置するタイプであってもよい。この場合の前後方向は、上記実施形態の前後方向と反対方向になる。インストルメントパネル35は、ガード34に設けられる。
【0086】
[付記]
上記各実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
[1]運転台及び前記運転台から延出するフォークを有する昇降部と、前記昇降部に設けられたロックバーを有し、前記ロックバーがパレットの下側デッキボードに押し付けられることによって前記フォークとともに前記パレットをロックするパレットロック機能を有するパレットロック装置と、前記パレットロック機能のオン・オフを切り替える切替スイッチと、を備えるピッキングリフトであって、前記フォークの揚高を検出する揚高検出部を備え、前記パレットロック装置は、前記ロックバーを前記下側デッキボードに押し付け可能なロックバー駆動部と、前記パレットが着地したか否かを判定するために用いられる着地検出部と、前記切替スイッチ、前記揚高検出部、及び前記着地検出部と接続されるとともに前記ロックバー駆動部を制御するロック制御部と、を有し、前記ロック制御部は、前記着地検出部の検出結果から前記パレットが着地したか否かを判定可能であり、前記ロックバーが前記下側デッキボードに押し付けられるロック状態において、前記パレットが着地した場合及び前記揚高検出部によって検出された前記フォークの揚高が所定のロック揚高未満になった場合の少なくとも一方に該当する場合にのみ、前記ロック状態から前記ロックバーが前記下側デッキボードに押し付けられないロック解除状態になるように前記ロックバー駆動部を制御することによって、前記パレットが着地しておらず、かつ前記フォークの揚高が前記ロック揚高以上である場合には、前記切替スイッチによって前記パレットロック機能がオンからオフに切り替えられても前記ロック状態から前記ロック解除状態になることを回避することを特徴とするピッキングリフト。
【0087】
[2]前記ロック制御部に接続され、前記フォークが前記パレットの上側デッキボードに接触したことを検出するために用いられるパレット接触検出部を備え、前記ロック制御部は、前記パレット接触検出部の検出結果から前記フォークが前記上側デッキボードに接触したことを検出し、前記切替スイッチの操作状態から前記パレットロック機能のオン・オフを認識し、前記ロック解除状態において、前記フォークが前記上側デッキボードに接触しているとともに前記揚高検出部によって検出された前記フォークの揚高が前記ロック揚高以上であり、かつ前記パレットロック機能がオンである場合に、前記ロック解除状態から前記ロック状態になるように前記ロックバー駆動部を制御する[1]に記載のピッキングリフト。
【0088】
[3]前記昇降部を昇降させるための荷役モータを備え、前記揚高検出部は、前記荷役モータの回転数を検出する回転センサと、前記フォークの揚高が所定の基準揚高になると切り替わる揚高スイッチと、前記回転センサ及び前記揚高スイッチと接続され、前記揚高スイッチが切り替わった後の前記荷役モータの回転数に基づいて前記フォークの揚高を算出する算出部と、から構成されている[1]又は[2]に記載のピッキングリフト。
【0089】
[4]前記ロックバー駆動部は、シリンダチューブと、前記シリンダチューブに対して移動可能なピストンロッドとを有するシリンダを含み、前記シリンダチューブに対する前記ピストンロッドの突出量が増大することによって、前記ロックバーは前記下側デッキボードに押し付けられ、前記パレットロック装置は、前記ロック制御部に接続され、前記シリンダチューブからの前記ピストンロッドの突出量が最大であるか否かを判定するために用いられるシリンダ検出部と、前記ロック制御部に接続され、前記パレットロック装置が前記ロック状態であるか否かを判定するために用いられるロック検出部と、を有し、前記ロック制御部は、前記シリンダ検出部の検出結果から前記シリンダチューブからの前記ピストンロッドの突出量が最大であるか否かを判定し、前記ロック検出部の検出結果から前記パレットロック装置が前記ロック状態であるか否かを判定し、前記シリンダチューブからの前記ピストンロッドの突出量が最大であるときに前記パレットロック装置が前記ロック状態でない場合、前記パレットのロックに失敗したと判定する[1]~[3]の何れか1つに記載のピッキングリフト。
【符号の説明】
【0090】
10…ピッキングリフト、13…昇降部、15…揚高検出部、16…パレットロック装置、31…運転台、32…フォーク、37…切替スイッチ、47…荷役モータ、51…回転センサ、52…揚高スイッチ、53…算出部としての車両制御部、60…ロックバー、70…ロックバー駆動部、73…シリンダ、73a…シリンダチューブ、73b…ピストンロッド、80…ロック制御部、81…パレット接触検出部、83…シリンダ検出部、D1…上側デッキボード、D2…下側デッキボード、P…パレット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8