(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070468
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】アブレーションシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240516BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20240516BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20240516BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B17/00 700
A61M25/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180988
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木佐 俊哉
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160JJ12
4C160JJ34
4C160JJ35
4C160JJ36
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK12
4C160KK38
4C160KL03
4C160MM38
4C160NN01
4C267AA07
4C267CC08
4C267EE03
4C267GG01
(57)【要約】
【課題】超音波を用いて体内における焼灼電極の位置を把握し易いアブレーションシステムを提供することにある。
【解決手段】長手方向に延在するシャフトと、前記シャフトの遠位部の少なくとも一部を囲むように配置されている拡張部材と、前記シャフトの前記拡張部材により囲まれた領域内に配置されており、超音波を送信または受信できる第1送受信部材と、前記拡張部材に配置されている焼灼電極と、前記拡張部材に配置されており、前記第1送受信部材と通信可能であり超音波を送信または受信できる第2送受信部材と、を有するアブレーションシステム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延在するシャフトと、
前記シャフトの遠位部の少なくとも一部を囲むように配置されている拡張部材と、
前記シャフトの前記拡張部材により囲まれた領域内に配置されており、超音波を送信または受信できる第1送受信部材と、
前記拡張部材に配置されている焼灼電極と、
前記拡張部材に配置されており、前記第1送受信部材と通信可能であり超音波を送信または受信できる第2送受信部材と、を有するアブレーションシステム。
【請求項2】
前記第1送受信部材は、前記長手方向に隣り合うように並べられた複数の振動子を有している請求項1に記載のアブレーションシステム。
【請求項3】
前記第2送受信部材は、振動子を有している請求項2に記載のアブレーションシステム。
【請求項4】
前記焼灼電極は、前記拡張部材の拡張時において、前記第2送受信部材の前記振動子よりも遠位側に位置する請求項3に記載のアブレーションシステム。
【請求項5】
前記拡張部材の拡張時における前記第2送受信部材の前記振動子の遠位端と前記焼灼電極の近位端の直線距離は、前記長手方向における前記第1送受信部材の前記複数の振動子の近位端から前記シャフトの遠位端までの距離よりも短い請求項4に記載のアブレーションシステム。
【請求項6】
前記拡張部材は、バルーンまたはバスケットを有する請求項1または2に記載のアブレーションシステム。
【請求項7】
前記焼灼電極と前記第2送受信部材は、前記バルーンまたは前記バスケットの外側面に配置されている請求項6に記載のアブレーションシステム。
【請求項8】
前記シャフトは、
前記長手方向に延在し、遠位部に前記第1送受信部材が配置されている第1チューブと、
前記長手方向に延在するチューブであって、前記長手方向に延在する内腔を有し、前記内腔に前記第1チューブの一部が配置されている第2チューブと、を有している請求項1または2に記載のアブレーションシステム。
【請求項9】
前記第1送受信部材は、前記第2チューブの遠位端よりも遠位側に位置する請求項8に記載のアブレーションシステム。
【請求項10】
前記第1チューブは、前記第2チューブに対して、前記第1チューブの近位部と遠位部のそれぞれに向かってスライド可能に構成されている請求項8に記載のアブレーションシステム。
【請求項11】
前記第1チューブは、周方向に回転可能に構成されている請求項8に記載のアブレーションシステム。
【請求項12】
前記拡張部材の近位端部は前記第2チューブに固定されており、
前記拡張部材の前記近位端部よりも遠位側の部分は、前記第1チューブと前記第2チューブに固定されていない請求項8に記載のアブレーションシステム。
【請求項13】
前記焼灼電極に高周波電流を供給する高周波電源部を有している請求項1または2に記載のアブレーションシステム。
【請求項14】
前記第1送受信部材が受信した超音波から生成された電気信号を処理し、画像を生成する画像生成部と、前記画像を表示する表示部と有する請求項1または2に記載のアブレーションシステム。
【請求項15】
前記超音波は、心臓から反射された超音波を含み、前記画像は心臓の画像を含む請求項14に記載のアブレーションシステム。
【請求項16】
前記超音波は、前記第2送受信部材から送信された超音波を含む請求項14に記載のアブレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアブレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療の現場では、心房細動等の不整脈の治療のために、カテーテルに設けられた焼灼電極を用いて心臓の一部を焼灼する所謂カテーテルアブレーションが行われていた。カテーテルアブレーションの際には、超音波を用いて心臓内の構造を確認する場合があった。このような観察を行うために様々なシステムが用いられており、例えば、特許文献1には、内部解剖学的構造の超音波画像を得るように構成された周辺イメージングデバイスを有する画像サブシステムであって、前記超音波画像データが第1の座標システムに配置されているサブシステムと;少なくとも一の超音波トランスデューサと、前記第1の座標システム内の少なくとも一の超音波トランスデューサの位置を決定するように構成された少なくとも一のプロセッサを具え、前記少なくとも一の超音波トランスデューサの第2の座標システム中の位置を決定し、前記第1及び第2の座標システム内の前記少なくとも一の超音波トランスデューサの決定した位置に基づいて前記第1及び第2の座標システム間の変換を実行する登録サブシステムと;を具えることを特徴とする医療画像システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されているような従来のシステムでは、超音波を用いて体内における焼灼電極の位置を把握し難い場合があった。本発明は上記の様な問題に着目してなされたものであって、その目的は、超音波を用いて体内における焼灼電極の位置を把握し易いアブレーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決することのできた本発明の実施の形態に係るアブレーションシステムは、以下の通りである。
[1]長手方向に延在するシャフトと、
前記シャフトの遠位部の少なくとも一部を囲むように配置されている拡張部材と、
前記シャフトの前記拡張部材により囲まれた領域内に配置されており、超音波を送信または受信できる第1送受信部材と、
前記拡張部材に配置されている焼灼電極と、
前記拡張部材に配置されており、前記第1送受信部材と通信可能であり超音波を送信または受信できる第2送受信部材と、を有するアブレーションシステム。
【0006】
上記構成によれば、拡張部材に配置された超音波の第2送受信部材と、拡張部材の内側のシャフトに配置された第1送受信部材との距離が近いため、第2送受信部材から第1送受信部材に向って超音波を送信することにより、体内における拡張部材の位置を把握し易くすることができる。または、第1送受信部材から第2送受信部材に向って超音波を送信することにより、体内における拡張部材の位置を把握し易くすることができる。その結果、拡張部材に配置された焼灼電極の体内における位置が把握し易くなる。
【0007】
実施の形態に係るアブレーションシステムは、以下の[2]~[16]のいずれかであることが好ましい。
[2]前記第1送受信部材は、前記長手方向に隣り合うように並べられた複数の振動子を有している[1]に記載のアブレーションシステム。
[3]前記第2送受信部材は、振動子を有している[1]または[2]に記載のアブレーションシステム。
[4]前記焼灼電極は、前記拡張部材の拡張時において、前記第2送受信部材の前記振動子よりも遠位側に位置する[3]に記載のアブレーションシステム。
[5]前記拡張部材の拡張時における前記第2送受信部材の前記振動子の遠位端と前記焼灼電極の近位端の直線距離は、前記長手方向における前記第1送受信部材の前記複数の振動子の近位端から前記シャフトの遠位端までの距離よりも短い[3]または[4]に記載のアブレーションシステム。
[6]前記拡張部材は、バルーンまたはバスケットを有する[1]~[5]のいずれかに記載のアブレーションシステム。
[7]前記焼灼電極と前記第2送受信部材は、前記バルーンまたは前記バスケットの外側面に配置されている[6]に記載のアブレーションシステム。
[8]前記シャフトは、
前記長手方向に延在し、遠位部に前記第1送受信部材が配置されている第1チューブと、
前記長手方向に延在するチューブであって、前記長手方向に延在する内腔を有し、前記内腔に前記第1チューブの一部が配置されている第2チューブと、を有している[1]~[7]のいずれかに記載のアブレーションシステム。
[9]前記第1送受信部材は、前記第2チューブの遠位端よりも遠位側に位置する[8]に記載のアブレーションシステム。
[10]前記第1チューブは、前記第2チューブに対して、前記第1チューブの近位部と遠位部のそれぞれに向かってスライド可能に構成されている[8]または[9]に記載のアブレーションシステム。
[11]前記第1チューブは、周方向に回転可能に構成されている[8]~[10]のいずれかに記載のアブレーションシステム。
[12]前記拡張部材の近位端部は前記第2チューブに固定されており、
前記拡張部材の前記近位端部よりも遠位側の部分は、前記第1チューブと前記第2チューブに固定されていない[8]~[11]のいずれかに記載のアブレーションシステム。
[13]前記焼灼電極に高周波電流を供給する高周波電源部を有している[1]~[12]のいずれかに記載のアブレーションシステム。
[14]前記第1送受信部材が受信した超音波から生成された電気信号を処理し、画像を生成する画像生成部と、前記画像を表示する表示部と有する[1]~[13]のいずれかに記載のアブレーションシステム。
[15]前記超音波は、心臓から反射された超音波を含み、前記画像は心臓の画像を含む[14]に記載のアブレーションシステム。
[16]前記超音波は、前記第2送受信部材から送信された超音波を含む[14]または[15]に記載のアブレーションシステム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、超音波を用いて体内における焼灼電極の位置を把握し易いアブレーションシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態に係るアブレーションシステムの側面図である。
【
図2】
図2は、
図1のアブレーションシステムのシャフトの遠位部の軸方向の断面図である。
【
図3】
図3は、複数の振動子を有する第1送受信部材の一例を示す側面図である。
【
図4】
図4は、
図1のアブレーションシステムの変形例の遠位部の側面図である。
【
図5】
図5は、
図1のアブレーションシステムの変形例の遠位部の側面図である。
【
図6】
図6は、
図1のアブレーションシステムの変形例の遠位部の側面図である。
【
図7】
図7は、
図1のアブレーションシステムの変形例の遠位部の側面図である。
【
図8】
図8は、
図1のアブレーションシステムの変形例の遠位部の側面図である。
【
図9】
図9は、
図1のアブレーションシステムの変形例の遠位部の側面図である。
【
図10】
図10は、第2の実施の形態に係るアブレーションシステムの側面図である。
【
図11】
図11は、
図10のアブレーションシステムのシャフトの遠位部の軸方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
実施の形態に係るアブレーションシステムは、長手方向に延在するシャフトと、シャフトの遠位部の少なくとも一部を囲むように配置されている拡張部材と、シャフトの拡張部材により囲まれた領域内に配置されており、超音波を送信または受信できる第1送受信部材と、拡張部材に配置されている焼灼電極と、拡張部材に配置されており、第1送受信部材と通信可能であり超音波を送信または受信できる第2送受信部材と、を有する。
【0012】
上記構成によれば、拡張部材に配置された超音波の第2送受信部材と、拡張部材の内側のシャフトに配置された第1送受信部材との距離が近いため、第2送受信部材から第1送受信部材に向って超音波を送信することにより、体内における拡張部材の位置を把握し易くすることができる。または、第1送受信部材から第2送受信部材に向って超音波を送信することにより、体内における拡張部材の位置を把握し易くすることができる。その結果、拡張部材に配置された焼灼電極の体内における位置が把握し易くなる。
【0013】
以下では、
図1~
図7を参照しながら、第1の実施の形態に係るアブレーションシステムについて説明する。
図1は、第1の実施の形態に係るアブレーションシステムの側面図である。
図2は、
図1のアブレーションシステムのシャフトの遠位部の軸方向の断面図である。
図3は、複数の振動子を有する第1送受信部材の一例を示す側面図である。
図4~
図9は、
図1のアブレーションシステムの変形例の遠位部の側面図である。なお
図4~
図9において電線の記載は省略している。
【0014】
図1に示す通り、第1の実施の形態に係るアブレーションシステム101は、シャフト10、拡張部材20、第1送受信部材11、焼灼電極3、および第2送受信部材12を有している。以下では各部材について詳述する。
【0015】
図1、
図2に示す通り、シャフト10は、長手方向10Xに延在している。シャフト10は、長手方向10Xに延在している第1チューブ1を有していることが好ましい。シャフト10は、更に、長手方向10Xに延在するチューブであって、長手方向10Xに延在する内腔2Lを有し、内腔2Lに第1チューブ1の一部が配置されている第2チューブ2を有していることが好ましい。更に、第1チューブ1の遠位端1Bは、第2チューブ2の遠位端2Bよりも遠位側に位置することが好ましい。このような第1チューブ1に拡張部材20の遠位端部20bを固定し、第2チューブ2に拡張部材20の近位端部20aを固定することにより、拡張部材20が例えばバルーン21である場合に、第2チューブ2の内腔2Lから拡張部材20の内腔20L内に流体を供給することができる。拡張部材20をシャフト10へ固定する方法としては、接着剤による接合、溶着、リング状部材をかしめて固定する方法等が挙げられる。
【0016】
内腔2Lは、長手方向10Xに延在していることにより、第1チューブ1の一部を配置し易くすることができる。第2内腔2Lの径方向の断面形状は、円形、楕円形、または角丸多角形であることが好ましい。
【0017】
第1チューブ1の遠位部1bに第1送受信部材11が配置されていることが好ましい。これにより、第1送受信部材11は第2送受信部材12からの超音波を受信し易くなる。
【0018】
第1チューブ1は、長手方向10Xに延在する内腔1Lを有していることが好ましい。内腔1Lには、第1送受信部材11が配置されていることが好ましい。これにより第1送受信部材11は第1チューブ1により保護される。更に、内腔1Lには、第1送受信部材11に接続されている電線15が配置されていることが好ましい。
【0019】
図示していないが、第1チューブ1は、内腔1L以外の長手方向10Xに延在する他の内腔を有していてもよい。この場合、第1チューブ1は、遠位端1Bにおいて露出している開口を有していてもよく、当該開口と他の内腔は連通していてもよい。このような他の内腔は、ガイドワイヤを挿入することが可能なガイドワイヤ用内腔として用いることができる。例えば他の内腔は、第1チューブ1の遠位端1Bから少なくともハンドル4内の内腔にまで延在するいわゆるオーバーザワイヤ型の内腔であってもよい。また他の内腔は、シャフト10のうち拡張部材20よりも近位側であって、ハンドル4よりも遠位側であるシャフト10の途中部に設けられたガイドワイヤを挿入するための開口と連通し、且つシャフト10の遠位端10Bにおいて露出している開口にも連通するいわゆるラピッドエクスチェンジ型の内腔であってもよい。この場合、例えば第1チューブ1は、近位側に向って複数のチューブに分岐してそのうちの一つのチューブがシャフト10の途中部の開口に連通していてもよい。シャフト10の途中部の開口は、第2チューブ2に配置されていることが好ましく、シャフト10の遠位端10Bの開口は、第1チューブ1に配置されていることが好ましい。
【0020】
第1チューブ1の他の内腔は、血液等の体液を吸引することが可能な吸引用内腔であってもよく、生理食塩水、薬剤等の物質を供給することが可能な供給用内腔であってもよく、拡張部材20を拡張させるための流体を供給することが可能な流体供給用内腔であってもよい。他の内腔が流体供給用内腔である場合、第1チューブ1は、拡張部材20により囲まれた外側面において、流体供給用内腔と拡張部材20の内腔20Lとに連通する開口を有していることが好ましい。当該開口から流体を拡張部材20の内腔20Lに供給することができる。また第1チューブ1は、他の内腔を複数有してもよい。
【0021】
第1チューブ1は、樹脂を含むものであってもよく、樹脂からなるものであってもよい。樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、これらの混合物、またはこれらの樹脂層を積層した積層体を含むことが好ましい。
【0022】
第1チューブ1は、金属管、単線または複数の線材、撚線の線材等を含んでいてもよい。これにより、第1チューブ1の剛性を向上することができる。金属としては、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等が挙げられる。これらの金属は1種のみ用いてもよく、2種以上、併用して用いてもよい。
【0023】
図示していないが、第1チューブ1は、複数の管が長手方向10Xに継ぎ合わされた構造を有していてもよい。この場合、複数の管は、それぞれ外径の大きさが異なっていてもよく、一方の管の端部が他方の管の内腔に配置されていてもよい。また複数の管は、それぞれ素材が異なっていてもよい。第1チューブ1の遠位端1Bには、柔軟性樹脂が付着していてもよく、柔軟性チップが配置されていてもよい。これにより第1チューブ1の体内組織に対する損傷を回避し易くすることができる。
【0024】
図2に示す通り、第2チューブ2は、外管2jと、外管2jの内腔に配置された内管2iとを有していることが好ましい。内管2iと外管2jは長手方向10Xに延在していることが好ましい。内管2iと外管2jは、互いに固定されていない非固定部を有していることが好ましい。非固定部には、第2送受信部材12に接続されている電線14が配置されていることが好ましい。更に非固定部には、焼灼電極3に接続されている電線13が配置されていてもよい。なお第2チューブ2は、1つの管からなるものであってもよく、その場合、第2チューブ2は長手方向10Xに延在している複数の内腔を有していることが好ましい。
【0025】
内管2iと外管2jは、それぞれ、樹脂を含むことが好ましい。樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、これらの混合物、またはこれらの樹脂層を積層した積層体を含むことが好ましい。
【0026】
内管2iおよび/または外管2jは、金属管、単線または複数の線材、撚線の線材等の補強部材を含んでいてもよい。これら補強部材は内管2iと外管2jの間に配置されていてもよい。内管2iは、金属を含んでいてもよく、金属からなるものであってもよい。内管2iが金属を含むことにより、剛性を向上することができると共に、高周波電流の通路として機能することもできる。金属としては、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等が挙げられる。これらの金属は1種のみ用いてもよく、2種以上、併用して用いてもよい。この場合、外管2jが樹脂を含むことにより、漏電を防止し易くすることができる。
【0027】
図示していないが、内管2iは、複数の管が長手方向10Xに継ぎ合わされた構造を有していてもよい。この場合、複数の管は、それぞれ外径の大きさが異なっていてもよく、一方の管の端部が他方の管の内腔に配置されていてもよい。また、外管2jは、複数の管が長手方向10Xに継ぎ合わされた構造を有していてもよい。この場合、複数の管は、それぞれ外径の大きさが異なっていてもよく、一方の管の端部が他方の管の内腔に配置されていてもよい。
【0028】
第1チューブ1の外径は、0.5mm以上であることが好ましく、1.0mm以上であることがより好ましい。これにより、第1チューブ1の剛性を向上することができる。また、第1チューブ1の外径は、3.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることがより好ましい。これにより、第1チューブ1を体内に挿入し易くすることができる。
【0029】
第2チューブ2の外径は、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。これにより、第2チューブ2の剛性を向上することができる。また、第2チューブ2の外径は、5mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましい。これにより、第2チューブ2を体内に挿入し易くすることができる。
【0030】
図2に示す通り、第1送受信部材11は、シャフト10の拡張部材20により囲まれた領域内に配置されており、超音波を送信または受信できるものである。超音波を送信または受信できるとは、超音波を少なくとも送信または受信できることを意味し、送信と受信の両方が可能である態様も含まれる。アブレーションシステム101においては、第1送受信部材11は、超音波を送信と受信することが可能な部材であることが好ましい。第1送受信部材11は第1チューブ1の内腔に配置されていることが好ましい。これにより、第1送受信部材11は第1チューブ1により保護される。なお第1送受信部材11は第1チューブ1の外側面に配置されていてもよい。
【0031】
第1送受信部材11は、第2送受信部材12が送信した超音波を受信できるように構成されていることが好ましい。これにより、第2送受信部材12と、第2送受信部材12が配置された拡張部材20の位置を把握し易くなる結果、拡張部材20に配置された焼灼電極3の体内における位置が把握し易くなる。
【0032】
図3に示す通り、第1送受信部材11は、長手方向10Xに隣り合うように並べられた複数の振動子11vを有していることが好ましい。このような、いわゆるアレイ型振動子により、第1送受信部材11は、広範囲の超音波を受信することができる。またこれにより、第1送受信部材11は、広範囲に超音波を送信することもできる。図示していないが、第1送受信部材11は、第1チューブ1の周方向1Cに隣り合うように並べられた複数の振動子11vを有していてもよい。更に第1送受信部材11は、シャフト10の長手方向10Xに隣り合うように並べられた複数の振動子と、第1チューブ1の周方向1Cに隣り合うように並べられた複数の振動子とを有していてもよい。この場合、第1送受信部材11は、例えば長手方向10Xに8個、周方向1Cに8個の合計64個の振動子を有していてもよい。振動子の個数は、好ましくは1個以上、150個以下であり、より好ましくは20個以上、100個以下であり、更に好ましくは40個以上、80個以下である。
【0033】
第1送受信部材11は、複数の振動子11vを有する場合、振動子11v毎にタイミングをずらして超音波を発生するように構成されていてもよい。これにより、複数の超音波の波面を合成して収束ビームを発生させることができる。第1送受信部材11は、更に、振動子11v毎にタイミングをずらして反射された超音波を受信するように構成されていてもよい。第1送受信部材11は、更に、超音波の発生と、反射された超音波を受信する動作を振動子11v毎に繰り返すように構成されていてもよい。これにより、体内の情報、焼灼電極3、拡張部材20等の情報を取得し易くなる。このような動作は、例えば後述する制御部50からの指示に基づいて、後述する処理回路により実行することができる。
【0034】
振動子11vは、凸部を有していることが好ましい。凸部は外側に向かって突出していることが好ましく、超音波を送信する対象に向かって突出していることがより好ましい。凸部の形状は、角錘台、角柱、円柱、または円錘台であることが好ましく、角錘台または角柱であることが好ましい。
【0035】
図示していないが、振動子11vは、内側から外側に向かって順に下側電極、振動膜、上側電極を有していることが好ましい。振動子11vは、更に振動膜および/または上側電極の上に配置された絶縁膜を有していることが好ましい。凸部は、例えば振動膜、上側電極、及び絶縁膜により構成されていてもよい。
【0036】
振動膜は、無機圧電材および/または有機圧電材を含んでいることが好ましい。無機圧電材として、チタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミックス、水晶、窒化シリコン、窒酸化シリコン、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム等が挙げられる。有機圧電材として、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン系共重合体、ポリシアン化ビニリデン、シアン化ビニリデン系共重合体、ナイロン9やナイロン11等のナイロン、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート等のポリヒドロキシカルボン酸、セルロース系誘導体、ポリウレア等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上、併用して用いてもよい。
【0037】
下側電極および上側電極は、導電膜であることが好ましい。導電膜は、金属を含むことが好ましく、金属からなることが好ましい。金属として金、銀、チタンが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上、併用して用いてもよい。振動子11vが超音波を受信し、下側電極と上側電極の間の振動膜が振動することにより、電圧を発生させることができる。これにより受信した超音波を電気信号に変換することができる。一方、振動子11vから超音波を送信する場合には、上側電極と下側電極との間に、例えば、送信する超音波の周波数に応じた交流電圧を与えればよい。これにより、振動膜が振動し所望の超音波を発生して、振動子11vから超音波を送信することができる。この際、交流電圧と共に直流バイアスを与えてもよい。
【0038】
図3に示す通り、第1送受信部材11は、更に、振動子11vが配置されている基板11sを有していることが好ましい。基板11sは、振動子11vを支持すると共に、所望の方向以外に送信された超音波を減衰または吸収することができる。基板11sは、樹脂シートであることが好ましい。基板11sには、上側電極に連結している電線、下側電極に連結している電線等が配置されていてもよく、基板11sは、これらの電線が貫通する内腔を有してもよい。
【0039】
図示していないが、第1送受信部材11は、更に処理回路を有していることが好ましい。処理回路は、振動子11vと一体に形成されていてもよく、基板11sに配置されていてもよい。処理回路は、振動子11vが受信した超音波から変換された電気信号を、画像生成部41および/または制御部50に出力する受信処理部を有していることが好ましい。更に処理回路は、制御部50から出力される送信信号に従って、振動子11vを振動させる送信処理部を有していることが好ましい。更に処理回路は、制御部50から出力される送信信号に従って、振動子11vに直流バイアスを印加するバイアス処理部を有していることが好ましい。バイアス処理部は、直流電圧源、抵抗、デカップリングコンデンサ等を有していてもよい。更に処理回路は、制御部50から送信処理部への送信信号の供給と、受信処理部から画像生成部41および/または制御部50への電気信号の出力とを所定のタイミングで切り換えるスイッチ部を有していることが好ましい。このような処理回路は、振動子11v毎に設けられていることが好ましい。
【0040】
図1、
図2に示す通り、拡張部材20は、シャフト10の遠位部10bの少なくとも一部を囲むように配置されている。拡張部材20は、拡張可能な部材である。シャフト10のうち拡張部材20に囲まれた部分に超音波の第1送受信部材11を配置することにより、第1送受信部材11は、拡張部材20の内部において超音波を受信することができ、また拡張部材20の内部から超音波を送信することができる。
【0041】
図2、
図4に示す通り、拡張部材20は、バルーン21またはバスケット22を有することが好ましい。これにより、拡張部材20を拡張して拡張部材20に配置された焼灼電極3を焼灼対象部位に押し当て易くなる。
【0042】
図2に示す通り、バルーン21は、内腔21Lに流体が供給されることにより拡張することができる。流体は、液体、気体、または液体と気体の混合体が好ましく、液体がより好ましい。液体として、水、塩化ナトリウム水溶液、造影剤、またはこれらの混合液が挙げられる。気体として、空気、窒素、二酸化炭素、酸素、またはこれらの混合体が挙げられる。また内腔21Lの流体を回収することにより、バルーン21を収縮させることができる。このように拡張部材20は、収縮状態から拡張した後に、更に収縮することが可能なものであることが好ましい。流体は、例えばハンドル4の開口4cに配置された流体供給装置を介して第1チューブ1の外表面と第2チューブ2の内表面の間の通路を通じて内腔21Lに供給される。流体供給装置は、更に吸引により流体を回収できるものであることが好ましい。
【0043】
図2に示す通り、バルーン21は、近位側から遠位側に向かって拡径しておりシャフト10に固定されていない第1テーパ部21cと、第1テーパ部21cよりも遠位側であって、近位側から遠位側に向かって縮径しておりシャフト10に固定されていない第2テーパ部21dを有していることが好ましい。第2テーパ部21dにより挿入抵抗を低くすることができ、第1テーパ部21cにより引き戻す際の抵抗を低くすることができる。更に図示していないが、バルーン21は、第1テーパ部21cと第2テーパ部21dの間に、直管部を有していることが好ましい。直管部によりバルーン21は均一に拡張し易くなる。
【0044】
バルーン21の形状は、球状、長球状、円柱状、楕円柱状、多角柱状、角丸多角柱状、円錐台状、角錐台状、またはこれらの組み合わせ形状であってもよい。これらのうち球状、長球状、円柱状、円錐台状、またはこれらの組み合わせが好ましい。
【0045】
バルーン21は、樹脂を含むことが好ましい。樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、天然ゴム、またはこれらの混合物が好ましく、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、またはこれらの混合物がより好ましい。また樹脂は、これらのエラストマー樹脂であることが好ましい。バルーン21は、樹脂を用いて二軸延伸ブロー成形、ディップ成形、射出成形、圧縮成形等により製造することができる。
【0046】
図2に示す通り、バルーン21の近位端部21aは、第2チューブ2に固定されていることが好ましい。近位端部21aは、第2チューブ2の内管2iおよび/または外管2jに固定されていることが好ましい。なお近位端部21aは、外管2jの外側面に固定されていてもよい。更にバルーン21の遠位端部21bは、第1チューブ1に固定されていることが好ましい。具体的には、遠位端部21bは、第1チューブ1の遠位部1bの外側面に固定されていることが好ましい。
【0047】
図4に示す通り、バスケット22は、各遠位端部22Ebが結束された複数の線材22Eを有することが好ましい。更に線材22Eは、長手方向10Xに延在していることが好ましい。バスケット22は、例えばガイディングカテーテル等の筒状体の内腔に配置されている状態では収縮状態を維持し、内腔外に解放されたときに拡張するものであってもよい。また図示していないが、バスケット22は、長手方向10Xに延在している線材22Eの他に、長手方向10Xに延在している線材22Eと連結し、且つ周方向に延在している線材を有していてもよい。このように複数の線材22Eは網目状に結合していてもよい。
【0048】
バスケット22は、複数の線材22Eの各遠位端部22Ebがそれぞれ結束されている第2結束部22Gbと、第2結束部22Gbよりも近位側において複数の線材22Eが結束されている第1結束部22Gaを有することが好ましい。当該構成により、バスケット22は拡張し易くなる。第1結束部22Ga、第2結束部22Gbにおいては、熱溶着、銀ロウ付け、接着、かしめ加工等の方法により、複数の線材22Eが結束されていることが好ましい。
【0049】
図示していないが、バスケット22は、複数の線材22Eの遠位端部22Ebが第1チューブ1に固定され、且つ複数の線材22Eの近位端部22Eaが第2チューブ2に固定されていてもよい。この場合、第1チューブ1に対して第2チューブ2を遠位側にスライドさせることにより、バスケット22を拡張することができる。
【0050】
複数の線材22Eは、それぞれ導電性の素材を含んでいてもよく、導電性の素材を含んでいなくてもよい。複数の線材22Eの内側には、複数の電線が配置されていてもよく、当該複数の電線をそれぞれ焼灼電極3、第2送受信部材12に接続してもよい。
【0051】
図示していないが、拡張部材20は、コイルを有していてもよい。コイルは、例えばガイディングカテーテル等の筒状体の内腔に配置されている状態では収縮状態を維持し、内腔外に解放されたときに拡張するものであってもよい。コイルは、導電性の金属管をレーザーによって、螺旋状に切り抜いて得たコイル、または導電線材を螺旋状に巻回して得たコイルであってもよい。コイルは第1チューブ1および/または第2チューブ2に固定されていてもよく、第1チューブ1に固定されていることが好ましい。
【0052】
拡張部材20の拡張時における最大外径は、拡張部材20の近位端の位置におけるシャフト10の外径の2倍以上であることが好ましく、4倍以上であることがより好ましく、6倍以上であることが更に好ましい。これにより、焼灼電極3を患部に押し当て易くなる。一方、当該倍率は20倍以下であることが好ましく、15倍以下であることがより好ましく、10倍以下であることが更に好ましい。これにより、拡張部材20の拡張時における第2送受信部材12と焼灼電極3の位置を把握し易くなる。
【0053】
図1、
図2に示す通り、焼灼電極3は、拡張部材20に配置されている。焼灼電極3は、例えば高周波電流が供給されることにより、発熱して体内組織を焼灼することができる。焼灼電極3は、拡張部材20の外側面20eに配置されていることが好ましい。これにより、患部を焼灼し易くすることができる。拡張部材20に配置されている焼灼電極3の個数は、1個であってもよく、2個以上であってもよく、4個以上であってもよく、20個以下であってもよく、10個以下であってもよい。
【0054】
焼灼電極3は、第2チューブ2内に配置された電線を介して高周波電流が供給されてもよい。また焼灼電極3は、第2チューブ2の金属を含む内管2iを介して高周波電流が供給されてもよい。この場合、金属管の遠位端部から焼灼電極3に至るまでに電線が配置されていることが好ましい。また焼灼電極3は超音波を発生させる振動子を有していないことが好ましい。
【0055】
焼灼電極3は、金属を含むことが好ましく、金属からなることがより好ましい。金属としては、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金、白金イリジウム合金等が挙げられる。これらの金属は1種のみ用いてもよく、2種以上、併用して用いてもよい。
【0056】
焼灼電極3の平面視における形状は、円形、楕円形、多角形、または角丸多角形であることが好ましく、多角形または角丸多角形であることがより好ましい。
【0057】
図1、
図2に示す通り、第2送受信部材12は、拡張部材20に配置されており、第1送受信部材11と通信可能であり超音波を送信または受信できるものである。超音波を送信または受信できるとは、超音波を少なくとも送信または受信できることを意味し、送信と受信の両方が可能である態様も含まれる。第2送受信部材12は第1送受信部材11に向けて超音波を送信することにより目印として機能することができる。そのため、第2送受信部材12が配置された拡張部材20の位置を把握し易くなる結果、拡張部材20に配置された焼灼電極の体内における位置が把握し易くなる。アブレーションシステム101においては、第2送受信部材12は、超音波を送信することが可能な部材であることが好ましく、送信と受信することが可能な部材であることがより好ましい。第2送受信部材12は超音波を送信でき、超音波を受信できないものであってもよい。第2送受信部材12は拡張部材20の外側面20eに配置されていることが好ましい。これにより、拡張部材20に第2送受信部材12を設け易くすることができる。一方、第2送受信部材12は拡張部材20の内側面に配置されていてもよい。
【0058】
図2に示す通り、第2送受信部材12は、振動子12vを有していることが好ましい。振動子12vにより超音波を送信することができる。また第2送受信部材12は、振動子12vを1個有していてもよく、2個以上有していてもよい。例えば、第2送受信部材12は、長手方向10Xに隣り合うように並べられた複数の振動子を有していてもよい。また第2送受信部材12は、拡張部材20の周方向に隣り合うように並べられた複数の振動子を有していてもよい。更に第2送受信部材12は、長手方向10Xに隣り合うように並べられた複数の振動子と、拡張部材20の周方向に隣り合うように並べられた複数の振動子とを有していてもよい。
【0059】
第2送受信部材12の振動子12vの数は、第1送受信部材11の振動子11vの数よりも少ないことが好ましい。第1の実施の形態に係るアブレーションシステム101において、第2送受信部材12は目印として機能すればよいため、振動子12vの数は少なくてもよい。一方、第1送受信部材11は振動子11vの数が多い程、第2送受信部材12から送信された超音波を受信し易くなる。
【0060】
図2に示す通り、振動子12vは、凸部を有していることが好ましい。また、図示していないが、振動子12vは、第2送受信部材12の内側から外側に向かって順に下側電極、振動膜、上側電極を有していることが好ましい。振動子12vは、更に、振動膜および/または上側電極の上に絶縁膜を有していることが好ましい。凸部は、例えば振動膜、上側電極、及び絶縁膜により構成されていてもよい。また
図2に示す通り、第2送受信部材12は、更に、振動子12vが配置されている基板12sを有していることが好ましい。
【0061】
図示していないが、第2送受信部材12は、更に、処理回路を有していることが好ましい。処理回路は、振動子12vと一体に形成されていてもよく、基板12sに配置されていてもよい。処理回路は、制御部50から出力される送信信号に従って、振動子12vを振動させる送信処理部を有していることが好ましい。更に処理回路は、制御部50から出力される送信信号に従って、振動子12vに直流バイアスを印加する直流バイアス処理部を有していることが好ましい。バイアス処理部は、直流電圧源、抵抗、デカップリングコンデンサ等を有していてもよい。このような処理回路は、振動子12v毎に設けられていることが好ましい。更に、処理回路は、受信処理部を有していていてもよく、スイッチ部を有していてもよい。
【0062】
これらの振動子、凸部、下側電極、振動膜、上側電極、基板、処理回路等の詳細については、上述した第1送受信部材11の記載を参照すればよい。
【0063】
拡張部材20に配置されている第2送受信部材12の個数は、1個であってもよく、2個以上であってもよく、4個以上であってもよく、20個以下であってもよく、10個以下であってもよい。
【0064】
図2に示す通り、焼灼電極3は、拡張部材20の拡張時において、第2送受信部材12の振動子12vよりも遠位側に位置することが好ましい。これにより、拡張部材20の遠位側の部分において焼灼電極3により焼灼し易くなるため、心房細動等の不整脈の処置が行い易くなる。振動子12vが複数存在する場合には、焼灼電極3は、複数の振動子12vのうちの最も遠位側の振動子12vの遠位端よりも遠位側に位置することが好ましい。
【0065】
図2に示す通り、拡張部材20には、第2送受信部材12の振動子12vよりも遠位側に焼灼電極3を有しており、近位側に焼灼電極を有していないことが好ましい。これにより、拡張部材20の所望の部位以外の部位による焼灼を回避し易くすることができる。
【0066】
図1、
図4に示す通り、焼灼電極3と第2送受信部材12は、バルーン21またはバスケット22の外側面20eに配置されていることが好ましい。これにより、焼灼電極3と第2送受信部材12が設けられた拡張部材20を製造し易くすることができるため、製造コストを低減することができる。図示していないが焼灼電極3は、外側面20eの上に設けられた絶縁層の上に配置されていることが好ましく、
図8、
図9に示す通り、一部が露出するように絶縁層中に配置されていることがより好ましい。
図2に示す通り、第2送受信部材12は、外側面20eの上に設けられた絶縁層19中に配置されていることが好ましい。
図8、
図9に示す通り、焼灼電極3が配置される絶縁層と第2送受信部材12が配置される絶縁層19は一体になっていてもよい。これらの絶縁層は絶縁性樹脂を含むことが好ましく、絶縁性樹脂からなることがより好ましい。
【0067】
図2に示す通り、拡張部材20の外側面20eには、焼灼電極3に接続されている電線13、第2送受信部材12に接続されている電線14が配置されていることが好ましい。電線13、電線14はそれぞれ絶縁膜を有してもよく、絶縁層により被覆されていてもよい。
【0068】
図2に示す通り、拡張部材20の拡張時における第2送受信部材12の振動子12vの遠位端12vBと焼灼電極3の近位端3Aの直線距離は、長手方向10Xにおける第1送受信部材11の複数の振動子11vの近位端11vAからシャフト10の遠位端10Bまでの距離よりも短いことが好ましい。これにより、焼灼電極3と振動子12vの距離が近くなるため、第2送受信部材12が焼灼電極3の目印として機能し易くなる。なお、この場合の焼灼電極3の近位端3Aは、焼灼電極3の外部に露出している部分における近位端である。更に、当該直線距離は、長手方向10Xにおける第1送受信部材11の複数の振動子11vの遠位端11vBからシャフト10の遠位端10Bまでの距離よりも短いことがより好ましい。
【0069】
拡張部材20の拡張時における第2送受信部材12の振動子12vと焼灼電極3の最短直線距離は、平面視における焼灼電極3に接する外接円の直径よりも小さいことが好ましい。これにより、焼灼電極3と振動子12vの距離が近くなるため、第2送受信部材12が焼灼電極3の目印として機能し易くなる。この場合、焼灼電極3と第2送受信部材12は接触していてもよいが、接触していないことが好ましい。
【0070】
図5、
図6、
図7に示す通り、拡張部材20に配置された焼灼電極3の個数が2個以上である場合、拡張部材20に配置された第2送受信部材12の個数は、1個または2個以上であることが好ましい。
【0071】
焼灼電極3の個数が2個以上である場合、
図5に示す通り、複数の焼灼電極3は、拡張部材20の周方向に沿って配置されていることが好ましい。これにより、心房細動等の不整脈の処置を行い易くすることができる。この場合、第2送受信部材12は、拡張部材20の周方向における複数の焼灼電極3の間に配置されていることが好ましい。これにより、第2送受信部材12が焼灼電極3の目印として機能し易くなる。
【0072】
図5に示す通り、焼灼電極3と第2送受信部材12は、拡張部材20の第2テーパ部21dに配置されていることが好ましい。これにより、心房細動等の不整脈の処置を行い易くすることができる。
【0073】
焼灼電極3の個数が2個以上である場合、
図6に示す通り、複数の焼灼電極3は、長手方向10Xに沿って配置されていてもよい。この場合、第2送受信部材12は、長手方向10Xにおける複数の焼灼電極3の間に配置されていることが好ましい。これにより、第2送受信部材12が焼灼電極3の目印として機能し易くなる。
【0074】
焼灼電極3の個数が2個以上である場合、
図7に示す通り、複数の焼灼電極3は、拡張部材20の周方向に沿って配置され、且つ長手方向10Xに沿って配置されていてもよい。この場合、第2送受信部材12は、拡張部材20の周方向と、長手方向10Xとにおける複数の焼灼電極3の間に配置されていることが好ましい。
【0075】
焼灼電極3と第2送受信部材12は、拡張部材20の第1テーパ部21cと第2テーパ部21dに配置されていてもよく、拡張部材20の第1テーパ部21cと直管部と第2テーパ部21dに配置されていてもよい。また、焼灼電極3と第2送受信部材12は、直管部に配置されており、且つ第1テーパ部21cと第2テーパ部21dに配置されていなくてもよい。
【0076】
図2、
図8、
図9に示す通り、アブレーションシステム101は、第2送受信部材12を覆っている絶縁層19を有していることが好ましい。これにより第2送受信部材12を保護することができる。
【0077】
図8に示す通り、第2送受信部材12は、拡張部材20の径方向において、焼灼電極3の拡張部材20に近い側に配置されていることが好ましい。この場合、焼灼電極3と第2送受信部材12は接触していてもよいが、接触していないことが好ましい。このような配置により、第2送受信部材12は焼灼電極3の目印として機能し易くなる。
【0078】
図9に示す通り、第2送受信部材12は、焼灼電極3と長手方向10Xにおいて隣接していてもよい。これにより第2送受信部材12は、焼灼電極3の目印として機能し易くなる。
【0079】
図示していないが、アブレーションシステム101は、焼灼電極3以外の他の電極を有していてもよい。他の電極として例えば、心筋電位等の体内の電位測定用電極が挙げられる。他の電極は、拡張部材20および/または第2チューブ2に配置されていてもよい。
【0080】
図1に示す通り、アブレーションシステム101は、更に、高周波電源部30、表示部40、画像生成部41、制御部50、入力部60、またはこれらの組み合わせを有していることが好ましい。
【0081】
第2送受信部材12が超音波を送信する際には、例えば、入力部60から出力された信号に基づいて、制御部50から送信信号が出力され、送信信号に従って、上述した処理回路の送信処理部が振動子12vを振動させることができる。これにより第2送受信部材12から第1送受信部材11に向って超音波を送信することができる。
【0082】
第1送受信部材11が超音波を受信する際には、例えば、超音波を振動子11vが受信し、電気信号に変換し、上述した処理回路の受信処理部が電気信号を画像生成部41および/または制御部50に出力することができる。次いで、制御部50から指示に基づいて、画像生成部41は画像を生成することができ、表示部40は当該画像を表示することができる。
【0083】
第1送受信部材11が超音波を送信する場合には、例えば、入力部60から出力された信号に基づいて、制御部50から送信信号が出力され、送信信号に従って、上述した処理回路の送信処理部が振動子11vを振動させることができる。
【0084】
第1送受信部材11の超音波の送信モードと受信モードは、制御部50から指示に基づいて、上述した処理回路のスイッチ部により所定のタイミングで切換えてもよい。
【0085】
画像生成部41は、第1送受信部材11が受信した超音波から生成された電気信号を処理し、画像を生成することができる。表示部40は生成された画像を表示することができる。
【0086】
上記第1送受信部材11が受信した超音波は、第2送受信部材12から送信された超音波を含むことが好ましい。これにより、拡張部材20に配置された第2送受信部材12を目印として機能させて、拡張部材20に配置された焼灼電極3の位置を把握し易くすることができる。更に、上記第1送受信部材11が受信した超音波は、第1送受信部材11が送信し、反射された超音波を含むことが好ましい。更に、画像生成部41が生成した画像は、体内の画像、焼灼電極3の画像、および/または拡張部材20の画像を含むことが好ましい。これにより、体内の情報、焼灼電極3、拡張部材20の情報を取得し易くなる。更に、上記第1送受信部材11が受信した超音波は、第2送受信部材12と第1送受信部材11以外の超音波を送信する他の部材から焼灼電極3とその近傍に向けて送信されて反射した超音波を含んでいてもよい。更に、画像生成部41は、第2送受信部材12から送信され第1送受信部材11により受信された超音波の情報から変換された電気信号に基づいて、第2送受信部材12と第1送受信部材11の距離を算出し、その距離を画像に反映できることが好ましい。当該距離は、例えば、第2送受信部材12からの超音波の送信から、第1送受信部材11の超音波の受信までにかかった時間に基づいて算出することができる。
【0087】
上記第1送受信部材11が受信した超音波は心臓から反射された超音波を含み、画像生成部41が生成した画像は心臓の画像を含むことが好ましい。画像生成部41は、このような超音波から変換された電気信号に基づいて、心臓の画像を生成できることが好ましい。これにより、心房細動等の不整脈の処置を行い易くすることができる。当該心臓から反射された超音波は、第1送受信部材11から送信された超音波を含んでいることが好ましいが、第1送受信部材11以外の超音波を送信する他の部材から心臓に向けて送信されて反射した超音波を含んでいてもよい。
【0088】
焼灼電極3により生体組織を焼灼する場合には、例えば、入力部60から出力された信号に基づいて、制御部50から高周波電源部30に高周波発生信号が出力され、当該信号に従って、高周波電源部30が高周波電流を生成し、これを焼灼電極3に通電することができる。以下では各部について更に詳述する。
【0089】
高周波電源部30は、焼灼電極3に高周波電流を供給する部分である。高周波電源部30から焼灼電極3に高周波電流を供給することにより、焼灼電極3を発熱させて生体組織を焼灼することができる。高周波電流の周波数は、100kHz以上、20MHz以下であることが好ましく、200kHz以上、5MHz以下であることがより好ましく、300kHz以上、1MHz以下であることが更に好ましい。
図1では、アブレーションシステム101は、高周波電源装置39を有しており、高周波電源装置39が高周波電源部30を有している。高周波電源装置39は、高周波電源部30を機能させるために、電源、直流電圧を昇圧する昇圧回路、充電回路、印加電圧を充電するコンデンサ、パルス電圧を生成する波形生成回路等を有していてもよい。
【0090】
入力部60は、外部からの入力に基づいて、制御部50に信号を出力することにより、制御部50を駆動させることができる。
図1では、アブレーションシステム101は、制御装置59を有しており、制御装置59が入力部60を有している。制御装置59は、入力部60を機能させるために、タッチパネル、ボタン、キーボード、ダイヤル等のユーザインターフェースを有していることが好ましい。
【0091】
制御部50は、上述の通り、高周波電源部30、画像生成部41、第1送受信部材11の処理回路等に各種の信号を出力することができる。
図1では、制御装置59が制御部50を有している。制御装置59は、制御部50を機能させるために、CPU、MPU等のプロセッサ、RAM、ROM、フラッシュメモリ等のメモリを有していることが好ましい。
【0092】
画像生成部41は、第1送受信部材11が受信した超音波から生成された電気信号を処理し、画像を生成する部分である。画像生成部41は、演算により、例えばBモード、Mモード、ドプラ、カラードプラ(CFM)等の超音波画像を生成することができる。
図1では、アブレーションシステム101は、表示装置49を有しており、表示装置49が画像生成部41を有している。表示装置49は、画像生成部41を機能させるために、CPU、MPU等のプロセッサ、RAM、ROM、フラッシュメモリ等のメモリを有していることが好ましい。
【0093】
画像生成部41は、更に、生体内の電位の情報を処理して、画像を生成するように構成されていてもよい。この場合、生体内の電位は、例えば、第1チューブ1、第2チューブ2、他のチューブ、および/または拡張部材20に配置された電極によって生体内の電位の情報を取得し、画像生成部41は、当該電位の情報を演算により処理し、画像化できるように構成されていてもよい。これにより心臓の活動電位のマッピングを行ってもよい。
【0094】
表示部40は生成された画像を表示する部分である。操作者は、表示部40の画像を確認することにより、体内における焼灼電極3の位置を把握し易くなる。
図1では、表示装置49が表示部40を有している。表示装置49は、表示部40を機能させるために、液晶ディスプレイ、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイ等を有していてもよい。
【0095】
図1に示す通り、アブレーションシステム101は、更に、第1チューブ1の近位端部に配置されたハンドル4を有していることが好ましい。ハンドル4により第1チューブ1が操作し易くなる。ハンドル4は、樹脂および/または金属を含むことが好ましく、樹脂を含むことがより好ましい。ハンドル4は、円柱、楕円柱、角柱、角丸角柱、円錐台、楕円錐台、角錐台、角丸角錐台、またはこれらの組み合わせ形状を有していてもよい。またハンドル4は、長手方向10Xに延在する内腔を有していることが好ましい。当該内腔には第1チューブ1の近位端部が配置されていることが好ましい。更に、当該内腔には、第2チューブ2の近位端部が配置されていることが好ましい。当該内腔は近位側に向って分岐し、そのうちの一つの内腔が、流体供給装置が取り付けられる開口4cと連通していてもよく、そのうちの他の内腔が、電線13、電線14等が挿入される開口4dと連通していてもよい。ハンドル4は、第1チューブ1および/または第2チューブ2の内腔に対応する数の内腔を有していてもよい。
【0096】
次に、
図10、
図11を参照しながら、第2の実施の形態に係るアブレーションシステムについて説明する。
図10は、第2の実施の形態に係るアブレーションシステムの側面図である。
図11は、
図10のアブレーションシステムのシャフトの遠位部の軸方向の断面図である。なお、第1の実施の形態に係るアブレーションシステムと重複する部分の詳細な説明は省略する。
【0097】
図10、
図11に示す通り、第2の実施の形態に係るアブレーションシステム102は、シャフト10、拡張部材20、第1送受信部材11、焼灼電極3、および第2送受信部材12を有している。
【0098】
シャフト10は、長手方向10Xに延在し、遠位部1bに第1送受信部材11が配置されている第1チューブ1を有していることが好ましい。シャフト10は、更に、長手方向10Xに延在するチューブであって、長手方向10Xに延在する内腔2Lを有し、内腔2Lに第1チューブ1の一部が配置されている第2チューブ2を有していることが好ましい。第1チューブ1は、第2チューブ2に直接、固定されていないことが好ましく、直接または間接に固定されていないことがより好ましい。これにより、第1チューブ1を移動させて第1送受信部材11の位置を微調整し易くすることができる。また超音波の送受信の際には、固定部材を介して第1チューブ1と第2チューブ2を固定してもよい。
【0099】
第1チューブ1は、第2チューブ2に対して、第1チューブ1の近位部1aと遠位部1bのそれぞれに向かってスライド可能に構成されていることが好ましい。これにより、第1送受信部材11の長手方向10Xの位置を微調整することができる。また第1チューブ1を長手方向10Xにスライドさせながら第1送受信部材11に超音波を送信、受信させることにより、体内組織の情報を広範囲に取得し易くなる。
【0100】
第1チューブ1は、周方向1Cに回転可能に構成されていることが好ましい。例えば拡張部材20に対して第1チューブ1を周方向1Cに回転させることにより、第1送受信部材11の周方向1Cの位置を微調整することができる。また第1チューブ1を周方向1Cに回転可能させながら第1送受信部材11に超音波を送信と受信させることにより、第1送受信部材11の周囲の体内組織の情報を取得することができる。
【0101】
第1送受信部材11は、第2チューブ2の遠位端2Bよりも遠位側に位置することが好ましい。これにより、第1送受信部材11は、第1送受信部材11に配置された焼灼電極3と第2送受信部材12に超音波を送信し易くすることができる。
【0102】
図11に示す通り、拡張部材20の近位端部20aは第2チューブ2に固定されており、拡張部材20の近位端部20aよりも遠位側の部分は、第1チューブ1と第2チューブ2に固定されていないことが好ましい。これにより、第2チューブ2により拡張部材20を支持しつつ、拡張部材20内において第1チューブ1を移動させることができる。
【0103】
以上、第2送受信部材12が超音波を送信でき、第1送受信部材11が超音波を受信できる形態について主に説明したが、第1送受信部材11が超音波を送信でき、第2送受信部材12が超音波を受信できる形態も好ましい。当該形態においても、拡張部材20の内側のシャフトに配置された第1送受信部材11との距離が近いため、第1送受信部材11から第2送受信部材12に向って超音波を送信して、第1送受信部材11と第2送受信部材12を通信させることにより、体内における拡張部材20の位置を把握し易くすることができる。その結果、拡張部材20に配置された焼灼電極3の体内における位置が把握し易くなる。
【0104】
当該形態において、第1送受信部材11が超音波を送信する際には、例えば、入力部60から出力された信号に基づいて、制御部50から送信信号が出力され、送信信号に従って、上述した処理回路の送信処理部が振動子11vを振動させることができる。
【0105】
当該形態において、第2送受信部材12が超音波を受信する際には、例えば、超音波を振動子12vが受信し、電気信号に変換し、上述した処理回路の受信処理部が電気信号を画像生成部41および/または制御部50に出力することができる。次いで、制御部50から指示に基づいて、画像生成部41は画像を生成することができ、表示部40は当該画像を表示することができる。
【0106】
当該形態において、第1送受信部材11の超音波の送信モードと受信モードは、制御部50から指示に基づいて、上述した処理回路のスイッチ部により所定のタイミングで切換えてもよい。同様に、第2送受信部材12の超音波の送信モードと受信モードは、制御部50から指示に基づいて、上述した処理回路のスイッチ部により所定のタイミングで切換えてもよい。
【0107】
当該形態において、上記第2送受信部材12が受信した超音波は、第1送受信部材11から送信された超音波を含むことが好ましい。更に、画像生成部41は、第1送受信部材11から送信され第2送受信部材12により受信された超音波の情報から変換された電気信号に基づいて、第1送受信部材11と第2送受信部材12の距離を算出し、その距離を画像に反映できることが好ましい。
【0108】
当該形態において、図示していないが、第2送受信部材12は、複数の振動子を有していることが好ましい。また当該形態においては、第2送受信部材12は、超音波を受信することが可能な部材であることが好ましく、送信と受信することが可能な部材であることがより好ましいが、受信することが可能であり、送信することができない部材であってもよい。更に当該形態において、第1送受信部材11は、超音波を送信することが可能な部材であることが好ましく、送信と受信することが可能な部材であることがより好ましいが、受信することが可能であり、送信することができない部材であってもよい。
【0109】
当該形態において、第1送受信部材11の振動子の数は、第2送受信部材12の振動子の数よりも少ないことが好ましい。これにより、第1送受信部材11の位置を正確に把握し易くなる。
【0110】
以上、様々なアブレーションシステムの実施の形態を示して説明したが、上述した実施の形態の様々な構成は、単独で使用し、又は組み合わせて使用することができる。更に、本明細書で説明されていない他の構成を組み合わせて使用することもできる。
【0111】
上述した様々な実施の形態のアブレーションシステムは、例えば心房細動等の不整脈の治療、消化器系、呼吸器系、泌尿器系等の器官に生じる腫瘍の治療、バレット食道の治療、静脈瘤の治療、疼痛低減のための神経の切除処置等に用いることができる。
【0112】
上述した様々な機能は、複数の機能部が1つまたは2つ以上のまとまった単位で実現されてもよく、また、ある機能部が複数の単位に分割されて実現されてもよい。また、上述した機能部は、それぞれ、異なる装置に含まれていてもよく、同じ装置に含まれていてもよい。
【0113】
上述した各処理は、ハードウェア、ソフトウェア、またはソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実行することができる。ソフトウェアによって実行される場合、例えば、プロセッサが、メモリに格納された命令に基づいて各処理を実行することができる。これらの命令は、圧縮および/または暗号化してメモリに保存されていてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1、2 第1チューブ、第2チューブ
1a 近位部
1b 遠位部
1B、2B 遠位端
1C 周方向
1L、2L 内腔
2i 内管
2j 外管
3 焼灼電極
3A 近位端
4 ハンドル
4c、4d 開口
10 シャフト
10X 長手方向
10B 遠位端
10b 遠位部
11 第1送受信部材
11s 基板
11v 複数の振動子
11vA 近位端
12 第2送受信部材
12s 基板
12v 振動子
12vA 遠位端
12vB 遠位端
13、14、15 電線
19 絶縁層
20 拡張部材
20a、21a、22Ea 近位端部
20b、21b、22Eb 遠位端部
20e 外側面
20L 内腔
21 バルーン
21c、21d 第1テーパ部、第2テーパ部
22 バスケット
22E 導電線材
22Ga、22Gb 第1結束部、第2結束部
30 高周波電源部
39 高周波電源装置
40 表示部
41 画像生成部
49 表示装置
50 制御部
59 制御装置
60 入力部
101、102 アブレーションシステム