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  • 特開-車両トリム部材取付構造 図1
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  • 特開-車両トリム部材取付構造 図3B
  • 特開-車両トリム部材取付構造 図4A
  • 特開-車両トリム部材取付構造 図4B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007050
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】車両トリム部材取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20240111BHJP
   F16B 19/00 20060101ALI20240111BHJP
   F16B 4/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
B60R13/02 A
F16B19/00 A
F16B4/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108234
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】井上 明
(72)【発明者】
【氏名】望月 悠
(72)【発明者】
【氏名】草山 英明
【テーマコード(参考)】
3D023
3J036
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BB03
3D023BB07
3D023BC01
3D023BD01
3D023BE36
3J036AA01
3J036BA01
3J036CA01
3J036DA06
(57)【要約】
【課題】トリム部材を取り付けるクリップが脱落してしまうのを確実に防止することができる車両トリム部材取付構造を提供する。
【解決手段】車両トリム部材取付構造は、クリップ(2)と、クリップ(2)が挿通される挿通孔(10)が形成されたトリム部材(1)と、トリム部材(1)が取り付けられる被取付部材(3)と、中間部材(4)と、を備えている。中間部材(4)は、被取付部材(3)と係合する係合部(41)、及び、挿通孔(10)に挿通されたクリップ(2)が係合される被係合孔(40)を有している。ここで、係合部(41)を介した中間部材(4)の被取付部材(3)への締結力が、被係合孔(40)を介したクリップ(2)の中間部材(4)への締結力よりも小さく設定されている。
【選択図】図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両トリム部材取付構造であって、
クリップと、
前記クリップが挿通される挿通孔が形成されたトリム部材と、
前記トリム部材が取り付けられる被取付部材と、
前記被取付部材と係合する係合部、及び、前記挿通孔に挿通された前記クリップが係合される被係合孔を有する中間部材と、を備えており、
前記係合部を介した前記中間部材の前記被取付部材への締結力が、前記被係合孔を介した前記クリップの前記中間部材への締結力よりも小さく設定されている、車両トリム部材取付構造。
【請求項2】
前記クリップが、樹脂製であり、その弾性変形により前記被係合孔に係合又は係合解除されると共に、当該弾性変形を規制するロック機構を有している、請求項1に記載の車両トリム部材取付構造。
【請求項3】
前記中間部材が、金属薄板で形成されたクリップブラケットであり、その中央に前記被係合孔が形成されると共に、前記被係合孔を中心として放射状に外方に向けて延出された前記係合部としての複数の係合片を有しており、
前記被取付部材に、放射状に外方に向けて延出された複数の前記係合片がそれぞれ挿入される複数の挿入被係合孔が形成されている、請求項1又は2に記載の車両トリム部材取付構造。
【請求項4】
前記係合片の前記挿入被係合孔への挿通部に、当該係合片の曲げ剛性を局所的に低下させる貫通孔が形成されている、請求項3に記載の車両トリム部材取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両トリム部材取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、車両トリム部材取付構造を開示している。より具体的には、トリム部材としてのルーフライニングを一対のルーフサイドレール間に車幅方向に架け渡されたルーフブレースに取り付ける構造が開示されている。ルーフライニングは、衝撃吸収体を介してルーフブレースに取り付けられる。衝撃吸収体は、衝撃が入力された際に潰れることで衝撃を吸収する。衝撃吸収体の上面にはクリップが固着されており、衝撃吸収体はこのクリップをルーフブレースの下面に形成された被係合孔に係合させることでルーフブレースに取り付けられる。ルーフライニングには挿通孔が開けてあり、この挿通孔に対応して衝撃吸収体の下面にも被係合孔が形成されている。車室側からクリップを挿通孔に挿通させつつ被係合孔に係合させることで、ルーフライニングが衝撃吸収体を介してルーフブレースに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-29353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
即ち、トリム部材(ルーフライニング)に挿通孔を形成し、かつ、トリム部材が取り付けられる被取付部材(衝撃吸収体)に被係合孔を形成し、これらの孔を利用してクリップによりトリム部材が被取付部材に取り付けられる。このような取付構造の場合、車両の振動等によってトリム部材に振動が作用してクリップと被係合孔との係合が外れてしまうおそれがある。トリム部材が被係合孔から外れると、クリップはトリム部材に形成された挿通孔からは容易に外れてしまうので、クリップは単独で脱落してしまう。トリム部材は、通常、複数の取付箇所で取り付けられるので、トリム部材全体が脱落することは非常に起こりにくいが、クリップ単独での脱落のおそれはある。クリップは小さい部品であり、紛失の可能性もあるし、踏みつけて破損してしまう可能性もある。
【0005】
本発明の目的は、トリム部材を取り付けるクリップが脱落してしまうのを確実に防止することのできる車両トリム部材取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両トリム部材取付構造は、クリップと、クリップが挿通される挿通孔が形成されたトリム部材と、トリム部材が取り付けられる被取付部材と、中間部材と、を備えている。中間部材は、被取付部材と係合する係合部、及び、挿通孔に挿通されたクリップが係合される被係合孔を有している。ここで、係合部を介した中間部材の被取付部材への締結力が、被係合孔を介したクリップの中間部材への締結力よりも小さく設定されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両トリム部材取付構造によれば、トリム部材を取り付けるクリップが脱落してしまうのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る車両トリム部材取付構造を示す分解斜視図である。
図2】上記取付構造の拡大分解斜視図である。
図3A図2中のIII-III線断面図(係合状態)である。
図3B図2中のIII-III線断面図(係合解除状態)である。
図4A】カーテンエアバッグモジュールとトリム部材との関係を示す側面図である。
図4B】カーテンエアバッグ展開初期状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図3Bを参照しつつ、実施形態に係る車両トリム部材取付構造について説明する。本実施形態の取付構造では、トリム部材としてのルーフライニングサイド1が、クリップ2によって、被取付部材としてのルーフライニングセンタ3に取り付けられる。図1中の左方が車両前方になるが、図1中に示されるルーフライニングサイド1の複数の取付部のうちの最も前方に位置する取付部(挿通孔10及び被取付部30)が本実施形態の取付構造を備えている。ルーフライニングサイド1のその他の取付部(挿通孔10X及び被取付部30X、並びに、挿通孔10Y及び被取付部30Y)は異なる取付構造を有している。なお、図1には車両の右側のみが示されているが、左側にも対称に同様の構造が構築される。
【0010】
本実施形態の車両はワンボックスカーであり、被取付部材としてのルーフライニングセンタ3は、運転席及び助手席の上方のルーフ内面から、そのすぐ後ろの座席の上方のルーフ内面までを覆う。ルーフライニングセンタ3の後方にも別のルーフライニングが取り付けられるが、図示されていない。トリム部材としてのルーフライニングサイド1は、ルーフライニングセンタ3の両側部の後方に取り付けられ、車体のサイドパネル5を覆う。ルーフライニングサイド1の後方にも別のルーフライニングが取り付けられるが、図示されていない。ルーフライニングサイド1及びルーフライニングセンタ3は、樹脂製の基材の表面に装飾となる不織布層が形成された二層構造を有している(図3A及び図3B参照)。
【0011】
上述した最も前方に位置する取付部(挿通孔10及び被取付部30)では、ルーフライニングサイド1は、後述するクリップブラケット4を介して、クリップ2によりルーフライニングセンタ3にのみ取り付けられ、車体のサイドパネル5には取り付けられない。その隣の取付部(挿通孔10X及び被取付部30X)では、クリップブラケット4は用いられずに、ルーフライニングサイド1は、クリップ2X(図4B参照)によりルーフライニングセンタ3にのみ取り付けられ、車体のサイドパネル5には取り付けられない。一方、その他の取付部(挿通孔10Y及び被取付部30Y)では、ルーフライニングサイド1は、クリップ(図示せず)によりルーフライニングセンタ3と共にサイドパネル5に取り付けられる。したがって、各被取付部30Yの裏側には、サイドパネル5上にクリップの被取付部が設けられている。
【0012】
図2に示されるように、ルーフライニングサイド1には、クリップ2が挿通される円形の挿通孔10が形成されている。本実施形態のクリップ2は、樹脂製であり、フランジ20及びこのフランジ20の裏面から突設された弾性変形部21とからなる本体部と、この本体部に取り付けられるピン部22とからなる2ピース構造を有している。弾性変形部21には、その軸方向に延びる複数のスリットが、周方向に均等に形成されている。このため、ピン部22が本体部に押し込まれてない状態(図2参照)では、弾性変形部21はその外径を小さくするように弾性変形可能である。ピン部22が本体部に押し込まれた状態(図3A及び図3B参照)では、上述した弾性変形部21の弾性変形が抑止される。即ち、クリップ2は、その弾性変形を規制するロック機構を有している。
【0013】
図1及び図2に示されるように、ルーフライニングサイド1が取り付けられるルーフライニングセンタ3の被取付部30には、金属薄板で形成された中間部材としてのクリップブラケット4が予め係合される。クリップブラケット4の中央には、クリップ2が係合される被係合孔40が形成されている。被係合孔40の内径は、クリップ2の弾性変形部21の外径よりも小さい。なお、ルーフライニングサイド1の挿通孔10の内径は、クリップ2の弾性変形部21の外径と同じかやや大きいが、フランジ20の外径よりも小さい。弾性変形部21が被係合孔40と係合する際には、弾性変形部21はその外径が小さくなるように弾性変形する。クリップブラケット4は、被係合孔40を中心として放射状に外方に向けて延出された係合部としての四つの係合片41を有している。
【0014】
ルーフライニングセンタ3の被取付部30には、クリップブラケット4の係合片41がそれぞれ挿入される挿入被係合孔31が形成されている。各係合片41は、挿入被係合孔31に挿入された状態で放射状に外方に向けて延出されており、挿入被係合孔31の部分でクランク状に折り曲げられている。そして、各係合片41の挿入被係合孔31への挿通部には、係合片41の曲げ剛性を局所的に低下させる貫通孔42が形成されている。クリップブラケット4の被係合孔40の周囲には円形段差43が形成されている。ルーフライニングセンタ3の被取付部30には、この円形段差43を収納する円形の収納孔32が形成されている。円形段差43が収納孔32に収納されることで、ルーフライニングセンタ3の被取付部30に対してクリップブラケット4が正確に位置決めされる。なお、収納孔32は、被係合孔40に係合されたクリップ2とルーフライニングセンタ3との干渉も回避する。収納孔32の内径は、クリップ2のフランジ20の外径よりも小さい。
【0015】
上述したように構成された本実施形態の取付構造は、図3Aに示される構造を有する。まず、ルーフライニングセンタ(被取付部材)3へのルーフライニングサイド(トリム部材)1の取り付けについて説明する。上述したように、ルーフライニングセンタ3の被取付部30には、クリップブラケット4が予め取り付けられる。クリップブラケット4は、その係合片41が挿入被係合孔31に挿入できるような形態で製造され、係合片41が挿入被係合孔31に挿入された後に係合片41はルーフライニングセンタ3に沿うように曲げられる。
【0016】
被取付部30に予め取り付けられたクリップブラケット4の被係合孔40とルーフライニングサイド1の挿通孔10とが位置合わせされ、挿通孔10及び被係合孔40にアンロック状態のクリップ2の弾性変形部21が押し込まれる。このとき、弾性変形部21は弾性変形して被係合孔40と係合する。クリップ2はフランジ20がルーフライニングサイド1の表面と接触するまで押し込まれる。この状態で、クリップ2のピン部22を本体部に押し込むことで、クリップ2はロック状態となる。クリップ2がロック状態となると、弾性変形部21の内側にピン部22が接触し、弾性変形部21の弾性変形が規制される。この状態が、図3Aに示される状態である。なお、図3A及び頭3Bでは、クリップ2は二点鎖線で示されている。
【0017】
このとき、係合片(係合部)41を介したクリップブラケット(中間部材)4のルーフライニングセンタ(被取付部材)3への締結力が、被係合孔40を介したクリップ2のクリップブラケット(中間部材)4への締結力よりも小さく設定される。クリップブラケット4のルーフライニングセンタ3への締結力とは、ルーフライニングセンタ3を固定してクリップブラケット4をクリップ2の軸方向に引き抜く力に等しい。ルーフライニングセンタ3からクリップブラケット4を引き抜く際には、図3Bに示されるように、係合片41は変形する。この変形は、係合片41に形成された上述した貫通孔42によって生じやすくされている。即ち、クリップブラケット4のルーフライニングセンタ3への締結力は貫通孔42によって弱められている。
【0018】
同様に、クリップ2のクリップブラケット4への締結力とは、クリップブラケット4を固定してクリップ2をその軸方向に引き抜く力に等しい。上述したように、クリップ2にはロック機構が設けられており、ロック状態のクリップ2の弾性変形部21の弾性変形が規制されているため、弾性変形部21は被係合孔40からは容易には引き抜かれない。即ち、クリップ2のクリップブラケット4への締結力はロック機構により強められている。この結果、クリップブラケット4のルーフライニングセンタ3への締結力が、クリップ2のクリップブラケット4への締結力よりも小さく設定されている。
【0019】
図3B中の矢印に示されるようにルーフライニングサイド1をルーフライニングセンタ3から引き剥がす力が作用すると、上記の締結力の関係から、クリップブラケット4のルーフライニングセンタ3への締結(係合片41と挿入被係合孔31と係合)が解除される。しかし、クリップ2のクリップブラケット4への締結(弾性変形部21と被係合孔40との係合)は維持される。この結果、クリップ2は、単独で脱落することはなく、クリップブラケット4と共にルーフライニングサイド1に保持されたままとなる。なお、ルーフライニングサイド1は、挿通孔10Y及び被取付部30Yの取付部でサイドパネル5に固定されているため、サイドパネル5やルーフライニングセンタ3から脱落することはない。
【0020】
このような本実施形態の取付構造は、図4Aに示されるように、カーテンエアバッグモジュール6の搭載位置の近傍に好適に利用することができる。なお、図4A中には、カーテンエアバッグモジュール6が見やすいようにルーフライニングセンタ3が示されていないが、本実施形態の取付構造の位置を示すためにルーフライニングサイド1は示されている。カーテンエアバッグモジュール6は、金属製のサイドパネル5にしっかりと固定される。カーテンエアバッグモジュール6の上方には、ルーフライニングセンタ3の側部が固定されるブラケット50がサイドパネル5上に設けられている。なお、ブラケット50へのルーフライニングセンタ3への固定は、ルーフライニングセンタ3の裏側に取り付けられたクリップなどの締結具によって行われる。
【0021】
本実施形態の取付構造(図4A中の挿通孔10参照)は、カーテンエアバッグモジュール6の近傍に位置している。図4Bは、カーテンエアバッグモジュール6内のエアバッグ60の展開初期を模式的に示している。なお、図4Bでは、ルーフライニングセンタ3も示されており、ルーフライニングサイド1はクリップ2等でルーフライニングセンタ3やサイドパネル5に取り付けられている。エアバッグ60は、カーテンエアバッグモジュール6内のインフレータで発生されたガスが内部に充填されることで、サイドパネル5とルーフライニングセンタ3との間から下方に向けて展開される。
【0022】
エアバッグ60の展開時に図3B中の矢印のような力が本実施形態の取付構造に作用する可能性がある。そのような場合であっても、クリップ2は単独で脱落することはなく、クリップブラケット4と共にルーフライニングサイド1に保持されたままとなる。なお、ルーフライニングサイド1は、その挿通孔10Yの取付位置でサイドパネル5に取り付けられているため、その全体が脱落することはない。同様に、ルーフライニングセンタ3も、複数箇所でサイドパネル5やルーフパネルに固定されているため、その全体が脱落することはない。
【0023】
本実施形態に係る取付構造によれば、係合片(係合部)41を介したクリップブラケット(中間部材)4のルーフライニングセンタ(被取付部材)3への締結力が、被係合孔40を介したクリップ2のクリップブラケット(中間部材)4への締結力よりも小さく設定される。このため、ルーフライニングサイド1をルーフライニングセンタ3から引き剥がす力やクリップ2を引き抜く力が作用した場合には、クリップ2とクリップブラケット4との締結よりも先にクリップブラケット4とルーフライニングセンタ3との締結が解除される。この結果、クリップ2は、クリップブラケット4と共にルーフライニングサイド1に保持され、単独で脱落することが抑止される。
【0024】
ここで、本実施形態に係る取付構造によれば、クリップ2が、樹脂製であり、その弾性変形により被係合孔40に係合又は係合解除されると共に、当該弾性変形を規制する上述したロック機構を有している。このため、被係合孔40を介したクリップ2のクリップブラケット(中間部材)4への締結力を高めることができ、上述した二つの締結力の大小関係をより確実に実現できる。
【0025】
また、本実施形態に係る取付構造によれば、中間部材が、金属薄板で形成されたクリップブラケット4であり、その中央に被係合孔40が形成されると共に、被係合孔40を中心として放射状に外方に向けて延出された複数の係合片(係合部)41を有している。そして、ルーフライニングセンタ(被取付部材)3には、放射状に外方に向けて延出された複数の係合片(係合部)41がそれぞれ挿入される複数の挿入被係合孔31が形成されている。即ち、係合片(係合部)41を介したクリップブラケット(中間部材)4のルーフライニングセンタ(被取付部材)3への締結が、金属薄板で形成された放射状に外方に向けて延出された複数の係合片41と挿入被係合孔31との係合によって実現される。
【0026】
クリップブラケット4のルーフライニングセンタ3への締結は、金属薄板で形成された係合片41の変形により解除される(図3B参照)。係合片41は金属薄板で形成されており変形が容易であるため、係合片(係合部)41を介したクリップブラケット(中間部材)4のルーフライニングセンタ(被取付部材)3への締結力を弱めることができ、上述した二つの締結力の大小関係を確実に実現できる。
【0027】
上述したように複数の係合片41は放射状に外方に向けて延出される。このため、上述した引き剥がす力や引き抜く力が作用した場合、複数の係合片41が挿入された複数の挿入被係合孔31の外側でこれらの力が受け止められる。挿入被係合孔31の外側は広い面積を有しており、これらの力を広い面積で受けることでルーフライニングセンタ3の破断を抑止できる。
【0028】
もし仮に、係合片41の先端が外方に延出されるのではなく、内方に折り込まれた場合、これらの力は複数の挿入被係合孔31の内側の狭い範囲に作用することになる。この場合、複数の挿入被係合孔31同士の間に亀裂が生じ、ルーフライニングセンタ3が破損することになる。ただし、このような場合であっても破断した挿入被係合孔31の内側部分は複数の係合片41によって保持される。従って、クリップ2の単独脱落やルーフライニングセンタ3の破断部分の単独脱落は生じないが、ルーフライニングセンタ3は損傷してしまう。本実施形態のように係合片41を外方に延出させることで、ルーフライニングセンタ3の破断を抑止することができる。
【0029】
ここで、本実施形態に係る取付構造によれば、係合片41の挿入被係合孔31への挿通部に、当該係合片41の曲げ剛性を局所的に低下させる貫通孔42が形成されている。このため、上述した引き剥がす力や引き抜く力が作用した場合、係合片41を容易に変形させることができる。この結果、係合片(係合部)41を介したクリップブラケット(中間部材)4のルーフライニングセンタ(被取付部材)3への締結力を確実に弱めることができ、上述した二つの締結力の大小関係をより確実に実現できる。
【0030】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、クリップ2のロック機構において、そのピン部22はその本体部に押し込まれることでロック状態となる。しかし、ロック機構がネジ構造で構築されてもよく、ピン部22が本体部に螺合されることでロック状態とされてもよい。また、上記実施形態では、トリム部材がルーフライニングサイド1であり、かつ、被取付部材がルーフライニングセンタ3であった。しかし、トリム部材がルーフライニングセンタ3であり、かつ、被取付部材がサイドパネル5でも本発明は成立し得る。この場合、ルーフライニングセンタ3にクリップ2が挿通される挿通孔が形成され、サイドパネル5に挿通被係合孔が形成され、同様に中間部材としてのクリップブラケット4を用いればよい。
【符号の説明】
【0031】
1 ルーフライニングサイド(トリム部材)
10 挿通孔
2 クリップ
3 ルーフライニングセンタ(被取付部材)
30 被取付部
31 挿入被係合孔
4 クリップブラケット(中間部材)
40 被係合孔
41 係合片(係合部)
42 貫通孔
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B