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特開2024-70500スイッチング電源装置と電源システム、及びスイッチング電源装置の初期設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070500
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置と電源システム、及びスイッチング電源装置の初期設定方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
H02M3/00 H
H02M3/00 W
H02M3/00 C
H02M3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181034
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000103208
【氏名又は名称】コーセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】川高 伸人
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA16
5H730AS01
5H730BB84
5H730FD01
5H730FD21
5H730FD31
5H730XC04
5H730XX42
(57)【要約】      (修正有)
【課題】並列運転された時の出力電圧又は出力電流を自在に制御できるスイッチング電源装置、これを用いた電源システム及びスイッチング電源装置の初期設定方法を提供する。
【解決手段】スイッチング電源装置10は、設定電圧Vmsの指定値及び設定電圧Vmsの変化速度の指定値が設定され、それに基づいてどのような設定電圧Vmsを生成するかを示す設定電圧情報J(Vms)を作成するデジタル演算部26と、作成した設定電圧情報に基づいて設定電圧Vmsを生成する設定電圧生成部28と、Vmライン24aを正の電圧にプルアップするためのプルアップ回路30と、電流引き込み型の出力段を有し、Vm>h・Vmsの時にVmライン24aから電流を引き込み、Vm小なりh・Vmsの時にVmライン24aから電流を引き込むのを停止して、Vmライン24aの特性目標電圧Vmが設定電圧Vmsに対応した値になるように制御するVm制御部32と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端に供給された直流又は交流の入力電圧を、主スイッチング素子のスイッチング動作によって所定の出力電圧に変換し、出力端に接続された負荷に前記出力電圧及び出力電流を供給する電力変換部と、前記出力電圧又は前記出力電流を制御対象の出力特性Xoとし、前記出力特性Xoが目標の値になるように前記主スイッチング素子のオン時間及びオフ時間を決定し、このオン時間及びオフ時間で前記主スイッチング素子がオンオフするように駆動パルスを生成し、前記主スイッチング素子に向けて出力するスイッチング制御部とを備えたスイッチング電源装置において、
前記出力特性Xo又はそれに相当する特性を検出し、これに対応した電圧である出力特性信号Vos=k・Xo[kは正の定数]を出力する出力特性検出回路が設けられ、
前記スイッチング制御部は、前記出力特性信号Vosと特性目標電圧Vmとが等しくなるように前記駆動パルスを生成し、前記主スイッチング素子に向けて出力する駆動パルス生成部と、前記特性目標電圧Vmを生成し、前記駆動パルス生成部に向けて出力する特性目標電圧生成部と、前記特性目標電圧生成部の出力ラインであるVmラインを外部に接続可能にするVmライン外部接続端子とを備え、
前記特性目標電圧生成部は、設定電圧Vmsの指定値、及び前記設定電圧Vmsがその指定値になるように変化させる時の変化速度の指定値が設定され、これらの前記指定値に基づくデジタル演算処理を行って、どのような設定電圧Vmsを生成するかを示す設定電圧情報J(Vms)を作成するデジタル演算部と、前記デジタル演算部が作成した前記設定電圧情報J(Vms)に基づいて設定電圧Vmsを生成する設定電圧生成部と、前記Vmラインを正の電圧にプルアップするためのプルアップ回路と、電流引き込み型の出力段を有し、Vm>h・Vms[hは1以上の定数]の時に前記Vmラインから電流を引き込み、Vm≦h・Vmsの時に前記Vmラインから電流を引き込むのを停止することによって、前記特性目標電圧Vmが前記設定電圧Vmsに対応した値h・Vmsになるように制御するVm制御部とを備え、
前記デジタル演算部は、前記設定電圧Vmsの指定値、及び前記変化速度の指定値を外部から変更できるように構成されていることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記設定電圧生成部は、前記設定電圧情報J(Vms)に基づいてデューティが設定される矩形波電圧を出力するパルス幅変調部と、前記矩形波電圧を平滑して前記設定電圧Vmsを発生させるローパスフィルタとで構成される請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記スイッチング制御部に動作用の補助直流電圧Vsubを供給する補助電源回路が設けられ、
前記デジタル演算部には、外部から変更可能なVms遅れ時間の指定値が設定され、前記Vms遅れ時間は、前記入力電圧が投入された後、前記補助直流電圧Vsubが確立して前記スイッチング制御部が動作可能になった時から、前記設定電圧Vmsが初期値であるゼロボルトから上昇し始めるまでの時間を規定するものであり、
前記デジタル演算部は、前記設定電圧Vmsの指定値、前記設定電圧Vmsがその指定値になるように変化させる時の変化速度の指定値、及び前記Vms遅れ時間の指定値に基づいて、前記設定電圧情報J(Vms)を作成する請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記スイッチング制御部は、外部入力されたパワーオン信号及びパワーオフ信号を受信する機能を有し、
前記デジタル演算処理部は、前記パワーオン信号が入力された時に、前記指定値を基づいて前記設定電圧情報J(Vms)を作成し、前記パワーオフ信号が入力された時は、前記指定値に関係なく、前記設定電圧Vmsを強制的にゼロボルトにする旨の前記設定電圧情報J(Vms)を作成する請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記駆動パルス生成部は、前記パワーオン信号が入力された時に、前記出力特性信号Vosと前記特性目標電圧Vmとが等しくなるように前記駆動パルスを生成して出力し、前記パワーオフ信号が入力された時は、前記出力特性信号Vosと前記特性目標電圧Vmの大小に関係なく、前記駆動パルスを出力する動作を停止する請求項4記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
異常が発生したことを検出した時にアラーム信号を出力する異常検出回路を有し、
前記デジタル演算処理部は、前記アラーム信号が出力されると、前記指定値に関係なく、前記設定電圧Vmsを強制的にゼロボルトにする旨の前記設定電圧情報J(Vms)を作成する請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記駆動パルス生成部は、前記アラーム信号が出力されると、前記出力特性信号Vosと前記特性目標電圧Vmの大小に関係なく、前記駆動パルスを出力する動作を停止する請求項6記載のスイッチング電源装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか記載のスイッチング電源装置を複数台使用した電源システムであって、
前記各スイッチング電源装置は、前記電力変換部の出力端同士が互いに並列接続され、前記Vmライン外部接続端子同士が互いに連結され、前記各出力特性検出回路の前記定数kが一律の値に設定され、前記各Vm制御部の前記定数hが一律の値に設定されており、
前記各スイッチング電源装置の中の1台をマスタ電源、その他をスレーブ電源とした時、前記マスタ電源の前記設定電圧Vmsの指定値は、前記スレーブ電源の前記設定電圧Vmsの指定値よりも相対的に低い値に設定されており、
定常時、前記マスタ電源の前記Vmラインには、自己の前記設定電圧Vmsに対応した前記特性目標電圧Vmである特性目標電圧Vm(M)が発生し、前記スレーブ電源の前記Vmラインには、Vmライン外部接続端子を通じて入力された前記特性目標電圧Vm(M)が発生し、
前記マスタ電源及び前記スレーブ電源の前記駆動パルス生成部は、自己の前記Vmラインに発生している前記特性目標電圧Vm(M)と自己の前記出力特性信号Vosとの差が小さくなるように、前記駆動パルスを生成することを特徴とする電源システム。
【請求項9】
請求項3記載のスイッチング電源装置を複数台使用した電源システムであって
所定の条件で前記各スイッチング電源装置に前記入力電圧が投入された時に、前記スイッチング電源装置毎に、前記各補助直流電圧Vsubが確立するタイミングがずれる場合、
前記各スイッチング電源装置の前記Vms遅れ時間の指定値は、すべての前記スイッチング電源装置の前記補助直流電圧Vsubが確立した後に、自己の前記設定電圧Vmsがゼロボルトから上昇し始めるように設定されている請求項8記載の電源システム。
【請求項10】
前記各スイッチング電源装置の、前記設定電圧Vmsを上昇させる時の前記変化速度の指定値は、一律の値に設定されている請求項9記載のスイッチング電源装置。
【請求項11】
請求項4記載のスイッチング電源装置を複数台使用した電源システムであって、
前記各スイッチング電源装置に向けて前記パワーオン信号及びパワーオフ信号を出力する外部制御機器が設けられ、前記外部制御機器は、前記入力電圧が投入される前の初期状態で前記パワーオフ信号を出力し、前記各スイッチング電源装置に前記入力電圧が投入された後、所定時間が経過したタイミングで、前記パワーオフ信号に代えて前記パワーオン信号を出力する請求項8記載の電源システム。
【請求項12】
前記各スイッチング電源装置の、前記設定電圧Vmsを上昇させる時の前記変化速度の指定値は、一律の値に設定されている、又は前記マスタ電源が最も低速に設定されている請求項11記載のスイッチング電源装置。
【請求項13】
請求項5記載のスイッチング電源装置を複数台使用した電源システムであって、
前記各スイッチング電源装置に前記パワーオン信号及び前記パワーオフ信号を出力する外部制御機器が設けられ、前記外部制御機器は、前記入力電圧が投入される前の初期状態で前記パワーオフ信号を出力し、前記各スイッチング電源装置に前記入力電圧が投入された後、所定時間が経過したタイミングで、前記パワーオフ信号に代えて前記パワーオン信号を出力する請求項8記載の電源システム。
【請求項14】
前記各スイッチング電源装置の、前記設定電圧Vmsを上昇させる時の前記変化速度の指定値は、一律の値に設定されている、又は前記マスタ電源が最も低速に設定されている請求項13記載のスイッチング電源装置。
【請求項15】
請求項1乃至7のいずれか記載のスイッチング電源装置の初期設定方法において、
前記デジタル演算部の前記設定電圧Vmsの指定値を特定の値に設定した時の前記特性目標電圧Vmを測定し、
前記デジタル演算部に登録された、前記設定電圧情報J(Vms)を作成するプログラムの中の、前記設定電圧Vmsの指定値に基づいてデジタル演算処理を行う部分を、前記特性目標電圧Vmが規定の範囲に収まるように書き換えることを特徴とするスイッチング電源装置の初期設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列運転が可能なスイッチング電源装置とこれを用いた電源システム、及びスイッチング電源装置の初期設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数台のスイッチング電源装置の出力端を並列接続し、1つの負荷に向けて負荷電力を供給することが行われている。この種の電源システムでは、各スイッチング電源装置の負荷電力の負担を均等化すること、出力電圧の設定が容易に変更できること等が求められる。
【0003】
この要求に応えるための技術として、従来、例えば特許文献1の第2図に開示されているように、複数の電源装置の出力を負荷に並列接続して行われる並列運転方式であって、電源装置の各々に、安定化出力電圧を決める基準電圧を発生する基準電圧発生回路として、基準電圧調整手段を有する並列制御型の基準電圧発生回路を設け、この基準電圧発生回路の基準電圧出力端子を相互に接続するという並列運転方式があった。
【0004】
この並列運転方式によれば、各電源装置の基準電圧が特定の電源装置の基準電圧(最も電圧値が低いもの)に統一されるので、各電源装置を確実に動作させることができ、負荷電力の負担を概ね均等化することができる。また、その特定の電源装置の基準電圧調整手段(ボリュームVR)を調整することによって、すべての電源装置の安定化出力電圧の設定を一括して変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63-135405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数台のスイッチング電源装置を並列運転する電源システムは、近年、さらに多くのことが要求されるようになってきた。例えば、上述した負荷電力の負担の均等化や出力電圧の設定変更の容易化の要求以外に、複数台のスイッチング電源装置を一斉に起動させること、起動時の出力電圧の立ち上がり速度を調整可能にすること、特定のスイッチング電源装置に異常が発生した時にすべてのスイッチング電源装置を一斉停止させること等が挙げられる。しかし、特許文献1に記載された技術だけではこれらの要求に応えることができない。
【0007】
本発明は、上記拝見技術に鑑みて成されたものであり、並列運転された時の出力電圧又は出力電流を自在に制御できるスイッチング電源装置、これを用いた電源システム、及びスイッチング電源装置の初期設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、入力端に供給された直流又は交流の入力電圧を、主スイッチング素子のスイッチング動作によって所定の出力電圧に変換し、出力端に接続された負荷に前記出力電圧及び出力電流を供給する電力変換部と、前記出力電圧又は前記出力電流を制御対象の出力特性Xoとし、前記出力特性Xoが目標の値になるように前記主スイッチング素子のオン時間及びオフ時間を決定し、このオン時間及びオフ時間で前記主スイッチング素子がオンオフするように駆動パルスを生成し、前記主スイッチング素子に向けて出力するスイッチング制御部とを備えたスイッチング電源装置であって、
前記出力特性Xo又はそれに相当する特性を検出し、これに対応した電圧である出力特性信号Vos=k・Xo[kは正の定数]を出力する出力特性検出回路が設けられ、
前記スイッチング制御部は、前記出力特性信号Vosと特性目標電圧Vmとが等しくなるように前記駆動パルスを生成し、前記主スイッチング素子に向けて出力する駆動パルス生成部と、前記特性目標電圧Vmを生成し、前記駆動パルス生成部に向けて出力する特性目標電圧生成部と、前記特性目標電圧生成部の出力ラインであるVmラインを外部に接続可能にするVmライン外部接続端子とを備え、
前記特性目標電圧生成部は、設定電圧Vmsの指定値、及び前記設定電圧Vmsがその指定値になるように変化させる時の変化速度の指定値が設定され、これらの前記指定値に基づくデジタル演算処理を行って、どのような設定電圧Vmsを生成するかを示す設定電圧情報J(Vms)を作成するデジタル演算部と、前記デジタル演算部が作成した前記設定電圧情報(Vms)に基づいて設定電圧Vmsを生成する設定電圧生成部と、前記Vmラインを正の電圧にプルアップするためのプルアップ回路と、電流引き込み型の出力段を有し、Vm>h・Vms[hは1以上の定数]の時に前記Vmラインから電流を引き込み、Vm≦h・Vmsの時に前記Vmラインから電流を引き込むのを停止することによって、前記特性目標電圧Vmが前記設定電圧Vmsに対応した値h・Vmsになるように制御するVm制御部とを備え、
前記デジタル演算部は、前記設定電圧Vmsの指定値、及び前記変化速度の指定値を外部から変更できるように構成されているスイッチング電源装置である[請求項1記載のスイッチング電源装置]。
【0009】
前記設定電圧生成部は、前記設定電圧情報J(Vms)に基づいてデューティが設定される矩形波電圧を出力するパルス幅変調部と、前記矩形波電圧を平滑して前記設定電圧Vmsを発生させるローパスフィルタとで構成されることが好ましい[請求項2記載のスイッチング電源装置]。
【0010】
例えば、前記スイッチング制御部に動作用の補助直流電圧Vsubを供給する補助電源回路が設けられ、前記デジタル演算部には、外部から変更可能なVms遅れ時間の指定値が設定され、前記Vms遅れ時間は、前記入力電圧が投入された後、前記補助直流電圧Vsubが確立して前記スイッチング制御部が動作可能になった時から、前記設定電圧Vmsが初期値であるゼロボルトから上昇し始めるまでの時間を規定するものであり、前記デジタル演算部は、前記設定電圧Vmsの指定値、前記設定電圧Vmsがその指定値になるように変化させる時の変化速度の指定値、及び前記Vms遅れ時間の指定値に基づいて、前記設定電圧情報J(Vms)を作成する構成にすることができる[請求項3記載のスイッチング電源装置]。
【0011】
あるいは、前記スイッチング制御部は、外部入力されたパワーオン信号及びパワーオフ信号を受信する機能を有し、前記デジタル演算部は、前記パワーオン信号が入力された時に、前記指定値を基づいて前記設定電圧情報J(Vms)を作成し、前記パワーオフ信号が入力された時は、前記指定値に関係なく、前記設定電圧Vmsを強制的にゼロボルトにする旨の前記設定電圧情報J(Vms)を作成する構成にすることができる[請求項4記載のスイッチング電源装置]。この場合、前記駆動パルス生成部は、前記パワーオン信号が入力された時に、前記出力特性信号Vosと前記特性目標電圧Vmとが等しくなるように前記駆動パルスを生成して出力し、前記パワーオフ信号が入力された時は、前記出力特性信号Vosと前記特性目標電圧Vmの大小に関係なく、前記駆動パルスを出力する動作を停止する構成にすることが好ましい[請求項5記載のスイッチング電源装置]。
【0012】
あるいは、異常が発生したことを検出した時にアラーム信号を出力する異常検出回路を有し、前記デジタル演算部は、前記アラーム信号が出力されると、前記指定値に関係なく、前記設定電圧Vmsを強制的にゼロボルトにする旨の前記設定電圧情報J(Vms)を作成する構成にすることができる[請求項6記載のスイッチング電源装置]。この場合、前記駆動パルス生成部は、前記アラーム信号が出力されると、前記出力特性信号Vosと前記特性目標電圧Vmの大小に関係なく、前記駆動パルスを出力する動作を停止する構成にすることが好ましい[請求項7記載のスイッチング電源装置]。
【0013】
また、請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか記載のスイッチング電源装置を複数台使用した電源システムであって、
前記各スイッチング電源装置は、前記電力変換部の出力端同士が互いに並列接続され、前記Vmライン外部接続端子同士が互いに連結され、前記各出力特性検出回路の前記定数kが一律の値に設定され、前記各Vm制御部の前記定数hが一律の値に設定されており、
前記各スイッチング電源装置の中の1台をマスタ電源、その他をスレーブ電源とした時、前記マスタ電源の前記設定電圧Vmsの指定値は、前記スレーブ電源の前記設定電圧Vmsの指定値よりも相対的に低い値に設定されており、
定常時、前記マスタ電源の前記Vmラインには、自己の前記設定電圧Vmsに対応した前記特性目標電圧Vmである特性目標電圧Vm(M)が発生し、前記スレーブ電源の前記Vmラインには、Vmライン外部接続端子を通じて入力された前記特性目標電圧Vm(M)が発生し、
前記マスタ電源及び前記スレーブ電源の前記駆動パルス生成部は、自己の前記Vmラインに発生している前記特性目標電圧Vm(M)と自己の前記出力特性信号Vosとの差が小さくなるように、前記駆動パルスを生成する電源システムである[請求項8記載の電源システム]。
【0014】
例えば、請求項3記載のスイッチング電源装置を複数台使用し、所定の条件で前記各スイッチング電源装置に前記入力電圧が投入された時に、前記スイッチング電源装置毎に、前記各補助直流電圧Vsubが確立するタイミングがずれる場合、前記各スイッチング電源装置の前記Vms遅れ時間の指定値は、すべての前記スイッチング電源装置の前記補助直流電圧Vsubが確立した後に、自己の前記設定電圧Vmsがゼロボルトから上昇し始めるように設定されている構成にすることができる[請求項9記載の電源システム]。この場合、前記各スイッチング電源装置の、前記設定電圧Vmsを上昇させる時の前記変化速度の指定値は、一律の値に設定されていることが好ましい[請求項10記載の電源システム]。
【0015】
あるいは、請求項4記載のスイッチング電源装置を複数台使用し、前記各スイッチング電源装置に向けて前記パワーオン信号及びパワーオフ信号を出力する外部制御機器が設けられ、前記外部制御機器は、前記入力電圧が投入される前の初期状態で前記パワーオフ信号を出力し、前記各スイッチング電源装置に前記入力電圧が投入された後、所定時間が経過したタイミングで、前記パワーオフ信号に代えて前記パワーオン信号を出力する構成にすることができる[請求項11記載の電源システム]。この場合、前記各スイッチング電源装置の、前記設定電圧Vmsを上昇させる時の前記変化速度の指定値は、一律の値に設定されている、又は前記マスタ電源が最も低速に設定されていることが好ましい[請求項12記載の電源システム]。
【0016】
あるいは、請求項5記載のスイッチング電源装置を複数台使用し、前記各スイッチング電源装置に前記パワーオン信号及び前記パワーオフ信号を出力する外部制御機器が設けられ、前記外部制御機器は、前記入力電圧が投入される前の初期状態で前記パワーオフ信号を出力し、前記各スイッチング電源装置に前記入力電圧が投入された後、所定時間が経過したタイミングで、前記パワーオフ信号に代えて前記パワーオン信号を出力する構成にすることができる[請求項13記載の電源システム]。この場合、前記各スイッチング電源装置の、前記設定電圧Vmsを上昇させる時の前記変化速度の指定値は、一律の値に設定されている、又は前記マスタ電源が最も低速に設定されていることが好ましい[請求項14記載の電源システム]。
【0017】
また、請求項15記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか記載のスイッチング電源装置の初期設定方法であって、
前記デジタル演算部の前記設定電圧Vmsの指定値を特定の値に設定した時の前記特性目標電圧Vmを測定し、
前記デジタル演算部に登録された、前記設定電圧情報J(Vms)を作成するプログラムの中の、前記設定電圧Vmsの指定値に基づいてデジタル演算処理を行う部分を、前記特性目標電圧Vmが規定の範囲に収まるように書き換えるスイッチング電源装置の初期設定方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のスイッチング電源装置は、インテリジェンス性に優れた独特な特性目標電圧生成部を備えているので、出力特性Xo(出力電圧Vo又は出力電流Io)を容易且つ自在に制御することができる。
【0019】
本発明の電源システムは、上記のスイッチング電源装置を並列運転させたものであり、各スイッチング電源装置の特性目標電圧Vmを制御することによって、複数のスイッチング電源装置の一斉起動、負荷電力の負担の均等化、出力特性Xoの設定変更の容易化、出力特性Xoの立ち上がり速度の設定変更の容易化、異常時の一斉停止の機能の付与、などの様々な要求に応えることができる。
【0020】
また、本発明のスイッチング電源装置の初期設定方法によれば、設定電圧生成部及びVm制御部を構成する部品の特性バラツキに起因する性能の個体差を、プログラムを書き換えることによって補正することができ、狙いの性能を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のスイッチング電源装置の第一の実施形態の構成を示すブロック図である。
図2図1のデジタル演算部に外部指令(指定値)を入力する方法の例を示すブロック図(a)~(c)である。
図3図1の設定電圧生成部の構成の具体例を示すブロック図(a)、(b)である。
図4図1のVm制御部の構成の具体例を示す回路図(a)、(b)である
図5】第一の実施形態のスイッチング電源装置の起動時及び定常時の動作を示すタイムチャートである。
図6】本発明の電源システムの第一の実施形態の構成を示すブロック図である。
図7】第一の実施形態の電源システムの起動時及び定常時の動作を示すタイムチャートである。
図8】本発明のスイッチング電源装置の第二の実施形態の構成を示すブロック図である。
図9図8のデジタル演算部に外部指令(パワーオン信号、パワーオフ信号)を入力する方法の例を示すブロック図(a)、パワーオン信号及びパワーオフ信号を用いたリモートON/OFF機能を使用しない時の接続方法を示すブロック図(b)である。
図10】第二の実施形態のスイッチング電源装置の起動時及び定常時の動作を示すタイムチャート(a)、定常時にパワーオフ信号が入力されて停止する動作を示すタイムチャートである。
図11】本発明の電源システムの第二の実施形態の構成を示すブロック図である。
図12】第二の実施形態の電源システムの起動時及び定常時の動作を示すタイムチャートである。
図13】第二の実施形態のスイッチング電源装置の一変形例を示すブロック図である。
図14図13の駆動パルス生成部に外部指令(パワーオン信号、パワーオフ信号)を入力する方法の例を示すブロック図(a)、この駆動パルス生成部の内部の構成を示すブロック図(b)である。
図15図8の駆動パルス生成部20を使用した場合に発生し得る問題を説明する図(a)、(b)である。
図16】本発明のスイッチング電源装置の第三の実施形態の構成を示すブロック図である。
図17】第三の実施形態のスイッチング電源装置の起動時及び定常時の動作を示すタイムチャート(a)、定常時にアラーム信号が出力されて停止する動作を示すタイムチャートである。
図18】本発明の電源システムの第三の実施形態の構成を示すブロック図である。
図19】第二及び第三の実施形態のスイッチング電源装置及び電源システムの他の使用例を示すブロック図(a)~(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<<本発明のスイッチング電源装置及び電源システムの第一の実施形態>>
以下、本発明のスイッチング電源装置及び電源システムの第一の実施形態について、図1図7に基づいて説明する。
【0023】
<第一の実施形態のスイッチング電源装置10>
この実施形態のスイッチング電源装置10は、並列運転に適した機能を有し、単体でも使用できる電源装置である。
【0024】
スイッチング電源装置10は、図1に示すように、入力端に供給された直流又は交流の入力電圧Viを、主スイッチング素子(図示せず)のスイッチング動作によって所定の出力電圧Voに変換し、出力端に接続された負荷(図示せず)に出力電圧Vo及び出力電流Ioを供給する電力変換部12を備えている。その他には、スイッチング制御部14、出力特性検出回路16及び補助電源回路18を備えている。
【0025】
スイッチング制御部14は、概して言うと、主スイッチング素子のスイッチング動作を制御するブロックである。スイッチング制御部14は、出力電圧Vo又は出力電流Ioを制御対象の出力特性Xoとし、出力特性Xoが目標の値になるように主スイッチング素子のオン時間及びオフ時間を決定し、このオン時間及びオフ時間で主スイッチング素子がオンオフするように駆動パルスVgを生成し、主スイッチング素子に向けて出力する。したがって、スイッチング電源装置10は、制御対象の出力特性Xoを出力電圧Voとすれば「定電圧電源」として使用することができ、出力電流Ioとすれば「定電流電源」として使用することができる。
【0026】
出力特性検出回路16は、出力特性Xo(Vo,Io)又はそれに相当する特性を検出し、これに対応したアナログ電圧である出力特性信号Vos=k・Xo[kは正の定数]をスイッチング制御部14に向けて出力するブロックである。出力特性検出回路16は、スイッチング制御部14に動作用の補助直流電圧Vsubを供給するブロックである。
【0027】
次に、本発明の要部であるスイッチング制御回路14の内部の構成を詳しく説明する。スイッチング制御部14は、駆動パルス生成部20、特性目標電圧生成部22及びVmライン外部接続端子24で構成される。
【0028】
駆動パルス生成部20は、出力特性検出回路16が出力した出力特性信号Vosと、Vmライン24aに発生している特性目標電圧Vmとが等しくなるように、パルス幅変調を行って駆動パルスVgを生成し、主スイッチング素子に向けて出力するブロックである。
【0029】
特性目標電圧生成部22は、特性目標電圧Vmを生成し、駆動パルス生成部20に向けて出力するブロックで、従来にない独特なものである。特性目標電圧生成部22は、デジタル演算部26、設定電圧生成部28、プルアップ回路30及びVm制御部32で構成される。
【0030】
デジタル演算部26は、設定電圧Vmsの指定値と、設定電圧Vmsがその指定値になるように変化させる時の変化速度の指定値と、Vms遅れ時間T(Vms)の指定値とがデフォルト設定され、これらの指定値に基づくデジタル演算処理を行って、どのような設定電圧Vmsを生成するかを示す設定電圧情報J(Vms)を作成する。
【0031】
また、これらの指定値は、使用者からの外部指令GSによって設定変更することができる。外部指令GSは様々な方法で入力することができ、例えば、図2(a)に示すように、使用者が、スイッチング電源装置10に外部接続した外部制御機器34を通じてデジタル信号として入力する方法がある。また、図2(b)に示すように、使用者が、スイッチング電源装置10の内部に設けた電圧可変回路36の可変抵抗器36aを手動で調節し、アナログ電圧として入力する方法がある。その他、図2(c)に示すように、使用者が、スイッチング電源装置10に外部接続した可変電源装置38の電圧値を手動で調節し、アナログ電圧として入力する方法を使用してもよい。
【0032】
なお、設定電圧Vmsの指定値、設定電圧Vmsの変化速度の指定値、Vms遅れ時間T(Vms)の指定値の意味については、スイッチング電源装置10の動作(図5のタイムチャート)、及びこれを用いた電源システム40の動作(図7のタイムチャート)を説明する中で述べる。
【0033】
設定電圧生成部28は、デジタル演算部26が作成した設定電圧情報J(Vms)に基づいて、アナログの設定電圧Vmsを生成する。例えば図3(a)に示すように、設定電圧情報J(Vms)に基づいてデューティDが設定される矩形波電圧Vp(波高値V1)を出力するパルス幅変調部28aと、矩形波電圧Vpを平滑して設定電圧Vms≒V1・Dを発生させるローパスフィルタ28bとで構成することができる。この構成は、デジタルプロセッサ内にパルス幅変調部28aを設け、これにローパスフィルタ28bを組み合わせた構成なので、安価な汎用デジタルプロセッサを使用しても高い分解能で設定電圧Vmsを生成できるという利点がある。その他には、図3(b)に示すように、1つのD/Aコンバータでシンプルに構成することも可能である。ただし、D/Aコンバータで構成する場合、設定電圧Vmnの分解能を高くするためには、比較的高価な高速デジタルプロセッサが必要になる点に留意する。
【0034】
プルアップ回路30は、後述するVm制御部32の出力ライン(特性目標電圧生成部22の出力ラインであるVmライン24a)を正の電圧にプルアップする回路である。プルアップ回路30は、図4(a)に示すように固定抵抗としてもよいし、図4(b)に示すように定電流回路としてもよい。定電流回路にすれば、固定抵抗にするよりも低損失化できるという利点がある。
【0035】
Vm制御回路32は、電流引き込み型の出力段を有し、Vm>h・Vms[hは1以上の定数]の時にVmライン24aから電流を引き込み、Vm≦h・Vmsの時にVmライン24aから電流を引き込むのを停止することによって、Vmライン24aの特性目標電圧Vmが設定電圧Vmsに対応した値になるように制御するブロックである。例えば、図4(a)の構成の場合、特性目標電圧Vmは設定電圧Vmsと等しい値に制御され、図4(b)の構成の場合、特性目標電圧Vmは設定電圧Vmsよりも高い値に制御されることになる。
【0036】
ここで、出力特性Xo(Vo,Io)、出力特性信号Vos、特性目標電圧Vm及び設定電圧Vmsの関係を整理する。まず、出力特性Xo(Vo,Io)は出力特性信号Vosに対応した値なので、特性目標電圧Vmが変化すると、これに追従して出力特性信号Vosが変化し、出力特性Xo(Vo,Io)も同様に変化する。また、特性目標電圧Vmは設定電圧Vmsに対応した値なので、設定電圧Vmsが変化すると、これに追従して特性目標電圧Vmが変化する。したがって、出力特性Xoの値は、特性目標電圧Vm又は設定電圧Vmsの値を変更することによって調節することができ、出力特性Xoを変化させる時の変化速度についても、特性目標電圧Vm又は設定電圧Vmsを変化させる時の変化速度を変更することによって調節することができる。
【0037】
Vmライン外部接続端子24は、Vmライン24aを外部に接続可能にする端子である。この端子は、複数台のスイッチング電源装置10を並列運転する時に相互に連結される端子であり、スイッチング電源装置10を単体で使用する時は、何も接続せずに開放状態にする。
【0038】
次に、スイッチング電源装置10を単体で使用した時の動作(起動時、定常時の動作)を、図5のタイムチャートに基づいて説明する。時刻t1にスイッチング電源装置10に入力電圧Viが投入されると、少し後の時刻t2に補助電源回路18の補助直流電圧Vsubが確立し、スイッチング制御部14が動作可能になる。そして、時刻t2からVms遅れ時間T(Vms)が経過した時刻t3に、設定電圧Vmsが上昇し始める。
【0039】
Vms遅れ時間T(Vms)とは、入力電圧Viが投入された後、補助直流電圧Vsubが確立してスイッチング制御部14が動作可能になった時から、設定電圧Vmsが初期値であるゼロボルトから上昇し始めるまでの時間を規定するものであり、Vms遅れ時間T(Vms)の指定値は、あらかじめデジタル演算部26に設定されている。したがって、デジタル演算部26は、動作可能になった時刻t2からクロック信号をカウントすることによってVms遅れ時間T(Vms)を正確に計測し、設定電圧Vmsの上昇を開始させるべき時刻t3を決定する。
【0040】
時刻t3以降は、デジタル演算部26及び設定電圧生成部28が協働し、設定電圧Vmsの変化速度の指定値に従って設定電圧Vmsを上昇させ、設定電圧Vmsが指定値に達した時刻t4以降は、設定電圧Vmsを指定値に保持させる。
【0041】
特性目標電圧Vmは、Vm制御部32が動作することによって、設定電圧Vmと同様に変化する。つまり、時刻t3になると設定電圧Vmsの変化速度に対応した速度で上昇し、時刻t4以降は、設定電圧Vmsの指定値に対応した値に保持される。
【0042】
出力特性Xo(Vo,Io)は、駆動パルス生成部20が動作することによって、特性目標電圧Vmと同様に変化する。つまり、時刻t3になると設定電圧Vmsの変化速度[又は特性目標電圧Vmの変化速度]に対応した速度で上昇し、時刻t4以降は、設定電圧Vmsの指定値[又は特性目標電圧Vmの値]に対応した値に保持され、定常状態となる。
【0043】
このように、出力特性Xo(Vo,Io)は、各指定値(設定電圧Vmsの指定値等)によって規定されるので、使用者は、起動前又は定常運転中に各指定値の設定を調節すれば、出力特性Xo(Vo,Io)の値を自在に変更することができる。
【0044】
<第一の実施形態の電源システム40>
この実施形態の電源システム40は、図6に示すように、2台のスイッチング電源装置10で構成した電源システムである。2台のスイッチング電源装置10は、各出力特性検出回路16の定数kが一律の値に設定され、各Vm制御部32の定数hが一律の値に設定されており、電力変換部12の出力端同士を互いに並列接続し(並列運転させ)、1つの負荷に電力を供給する。負荷電力は、2台のスイッチング電源装置10の出力電力(=Vo・Io)を合算した値となる。さらに、Vmライン外部接続端子24同士が互いに連結され、これによって後述する独特な動作が行われる。
【0045】
2台のスイッチング電源装置10は、デジタル演算部26の設定電圧Vmsの指定値を意図的にずらし、その他の指定値(設定電圧Vmsの変化速度の指定値、Vms遅れ時間T(Vms)の指定値)は同じ値に設定してある。そこで、2台のスイッチング電源装置10のうち、設定電圧Vmsの指定値が低い方をマスタ電源10(M)、設定電圧Vmsの指定値が高い方をスレーブ電源10(S)と称して区別する。
【0046】
次に、電源システム40の動作(起動時、定常時の動作)を、図7のタイムチャートに基づいて説明する。ここでは、マスタ電源10(M)の入力電圧Viが先に投入され、スレーブ電源10(S)の入力電圧Viが少し遅れて投入されるとする。
【0047】
電源システム40において、もし、マスタ電源10(M)及びスレーブ電源10(S)のVmライン外部接続端子24同士を連結しなかったとすると、スレーブ電源10(S)の特性目標電圧Vmがマスタ電源10(M)の特性目標電圧Vmよりも高くなるため、スレーブ電源10(S)だけがスイッチング動作を行い、スレーブ電源10(S)がすべての負荷電力を負担することになる。しかし、マスタ電源10(M)及びスレーブ電源10(S)のVmライン外部接続端子24同士を連結することによって、以下の動作が行われる。
【0048】
マスタ電源10(M)は、時刻t11に入力電圧Viが投入され、少し後の時刻t12に補助電源回路18の補助直流電圧Vsubが確立し、スイッチング制御部14が動作可能になる。スレーブ電源10(S)は、時刻t21に入力電圧Viが投入され、少し後の時刻t22に補助電源回路18の補助直流電圧Vsubが確立し、スイッチング制御部14が動作可能になる。
【0049】
マスタ電源10(M)は、時刻t12からVms遅れ時間T(Vms)が経過した時刻t13に、設定電圧Vmsが上昇し始める。しかしながら、マスタ電源10(M)の特性目標電圧Vmは、時刻t13になっても上昇することができない。これは、スレーブ電源10(S)のVm制御部32が動作するからである。
【0050】
時刻t13の時点で、スレーブ電源10(S)は、スイッチング制御部14が動作可能になっているものの、時刻t22からVms遅れ時間T(Vms)が経過していないので、設定電圧Vmsがゼロボルトに保持されている。そのため、スレーブ電源10(S)のVm制御部32は、自己のVmライン24aから電流を引き込み、自己の特性目標電圧Vmをゼロボルトに保持する動作を行う。
【0051】
マスタ電源10(M)のVmライン24aは、Vmライン外部接続端子24を介してスレーブ電源10(S)のVmライン24aに連結されているので、互いに同じ電圧が発生する。したがって、時刻t13の後、マスタ電源10(M)の設定電圧Vmsが上昇しても、スレーブ電源10(S)のVm制御部32による制御がマスタ電源10(M)にも及ぶため、マスタ電源10(M)の特性目標電圧Vmは、ゼロボルトに保持されることになる。
【0052】
その後、時刻t23になると、スレーブ電源10(S)のVms遅れ時間T(Vms)が経過し、スレーブ電源10(S)の設定電圧Vmsが上昇し始める。そして、時刻t23以降、スレーブ電源10(S)は、設定電圧Vmsが、設定電圧Vmsの変化速度の指定値に基づいて上昇し、特性目標電圧Vmは、自己のVm制御部32に制御されて設定電圧Vmと同様に変化する。
【0053】
マスタ電源10(M)の設定電圧Vmsは、時刻t13から上昇し始め、設定電圧Vmsの指定値に達した時刻t14以降は、設定電圧Vmsを指定値に保持される。しかし、マスタ電源10(M)の特性目標電圧Vmは、時刻t13~t14~t24の期間、スレーブ電源10(S)のVm制御部32によって制御されることになる。時刻t13~t14~t24の期間は、マスタ電源10(M)の設定電圧Vmsがスレーブ電源10(S)の設定電圧Vmsよりも高いので、マスタ電源10(M)のVm制御部32の制御よりもスレーブ電源10(S)のVm制御部32の制御が優先され、マスタ電源10(M)のVm制御部32による制御が不能になるからである。
【0054】
スレーブ電源10(S)の設定電圧Vmsは、時刻t23から上昇し始め、時刻t14の後の時刻t24にマスタ電源10(M)の設定電圧Vmsと同じ値になり、t24以降はマスタ電源10(M)の設定電圧Vmsよりも高くなり、指定値に達した時刻t25以降は指定値に保持される。したがって、時刻t24以降は、マスタ電源10(M)の設定電圧Vmsがスレーブ電源10(S)の設定電圧Vmsよりも低くなるので、マスタ電源10(M)及びスレーブ電源10(S)の特性目標電圧Vmは、マスタ電源10(M)のVm制御部32によって制御され、マスタ電源10(M)の設定電圧Vmsの指定値に対応した値Vm(M)に保持される。
【0055】
マスタ電源10(M)及びスレーブ電源10(S)の出力特性Xo(Vo,Io)は、駆動パルス生成部20が動作することによって、特性目標電圧Vmと同様に変化する。つまり、時刻t23になると、スレーブ電源10(S)の設定電圧Vmsの変化速度の指定値[又は特性目標電圧Vmの変化速度]に対応した速度で上昇し、時刻t24以降は、マスタ電源10(M)の設定電圧Vmsの指定値[又は特性目標電圧Vmの値]に対応した値に保持され、定常状態となる。
【0056】
図7において、マスタ電源10(M)の特性目標電圧Vmとスレーブ電源10(S)の特性目標電圧Vmは同じ波形になるので、マスタ電源10(M)の出力特性性Xo(Vo,Io)とスレーブ電源10(S)の出力特性Xo(Vo,Io)も同じ波形になる。したがって、マスタ電源10(M)及びスレーブ電源10(S)は、時刻t23に一斉に起動し、その後は常に負荷電力を均等に負担することになる。電源システム40の動作説明は以上である。
【0057】
上記の電源システム40は、2台のスイッチング電源装置10を並列運転する構成になっているが、3台以上のスイッチング電源装置10を並列運転する構成にしても、ほぼ同様の作用効果が得られる。
【0058】
3台以上を並列運転する場合は、設定電圧Vmsの指定値が最も低い1台がマスタ電源10(M)、その他がすべてスレーブ電源10(S)となる。そして、上記のように全台が一斉に起動し、出力特性Xoが上昇する時の変化速度は、すべてのスイッチング電源装置10の中の、補助直流電圧Vsubが確立するタイミングが最も遅い装置(最後にVms遅れ時間T(Vsm)が経過する装置)によって制御され、定常時の出力特性Xoの値は、マスタ電源10(M)によって制御されることになる。したがって、定常時の出力特性Xoの設定変更は、マスタ電源10(M)の設定電圧Vmsの指定値を変更することによって容易に行うことができる。また、起動時に出力特性Xoが上昇する時の変化速度の設定変更は、各スイッチング電源装置10に対し、各電源装置の設定電圧Vmsの変化速度の指定値を一律の値に設定し、その設定を変更することによって容易に行うことができる。
【0059】
ここで、Vm遅延時間T(Vms)の設定方法について説明すると、図7に示す起動時の動作が適切に行われるためには、各スイッチング電源装置のVms遅れ時間T(Vms)が、すべてのスイッチング電源10の補助直流電圧Vsubが確立した後[すべてのスイッチング制御部14が動作可能になった後]に、自己の設定電圧Vmsがゼロボルトから上昇し始めるように設定されていることが重要になる。
【0060】
例えば、図7において、マスタ電源10(M)のVms遅れ時間T(Vsm)が経過して設定電圧Vmsが上昇し始める時刻t13と、スレーブ電源10(S)の補助直流電圧Vsubが確立する時刻t22の先後が逆転したとすると、時刻t13~t22の期間は、スレーブ電源10(S)のVm制御部32が動作不能になり、マスタ電源10(M)の特性目標電圧Vmが上昇する。そうすると、時刻t13~t22の期間は、マスタ電源10(M)だけがスイッチング動作を行い、マスタ電源10(M)がすべての負荷電力を負担することになる。したがって、すべてのスイッチング電源装置10が一斉に起動するためには、Vsm遅れ時間T(Vms)の指定値が、時刻t13と時刻t22との先後が逆転しない程度に長めに設定されている必要がある。
【0061】
複数台のスイッチング電源装置10において、補助直流電圧Vsubが確立するタイミングがずれる要因の1つとして、入力電圧Viが投入されるタイミングのずれが挙げられる。また、入力電圧Viがほぼ同時に投入されたとしても、補助電源回路18の起動時間のバラツキがずれの要因となる。したがって、Vms遅れ時間T(Vms)を設定する時は、実際の使用状況を想定した起動試験を実施して、適切なVms遅れ時間T(Vms)を導出することが好ましい。具体的には、電源システム40の試作品を用意し、各スイッチング電源装置10に入力電圧Viが投入されてから全台の補助直流電圧Vsubが確立するまでの時間を測定し、その測定結果に基づいてVms遅れ時間T(Vms)の指定値を決定するのが実践的である。
【0062】
<スイッチング電源装置10及び電源システム40の効果のまとめ>
以上のように、スイッチング電源装置10は、インテリジェンス性に優れた独特な特性目標電圧生成部22を備えているので、出力特性Xo(出力電圧Vo又は出力電流Io)を容易且つ自在に制御することができる。
【0063】
また、電源システム40は、スイッチング電源装置10を並列運転させたものであり、各スイッチング電源装置10の特性目標電圧Vmを制御することによって、複数のスイッチング電源装置10の一斉起動、負荷電力の負担の均等化、出力特性Xoの設定変更の容易化、出力特性Xoの立ち上がり速度の設定変更の容易化、などの要求に応えることができる。
【0064】
<<本発明のスイッチング電源装置及び電源システムの第二の実施形態>>
以下、本発明のスイッチング電源装置及び電源システムの第二の実施形態について、図8図12に基づいて説明する。ここで、上記のスイッチング電源装置10及び電源システム40と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
<第二の実施形態のスイッチング電源装置42>
この実施形態のスイッチング電源装置42は、並列運転に適した機能を有し、単体でも使用できる電源装置である。図8に示すように、全体的な構成は上記のスイッチング電源装置10と類似しており、異なるのは、デジタル演算部26がデジタル演算部44に置き換えられている点である。以下、構成が異なる点を中心に説明する。
【0066】
デジタル演算部44は、設定電圧Vmsの指定値と、設定電圧Vmsの変化速度の指定値と、Vms遅れ時間T(Vms)の指定値とがデフォルト設定され、これらの指定値に基づくデジタル演算処理を行って、どのような設定電圧Vmsを生成するかを示す設定電圧情報J(Vms)を作成する。各指定値は、使用者からの外部指令GSによって設定を変更することができる。これは、上記のデジタル演算部26と同様の機能である。
【0067】
デジタル演算部44は、さらに、別の外部指令GSであるパワーオン信号PS(0N)及びパワーオフ信号PS(OFF)を受信する機能を有しており、パワーオン信号PS(ON)が入力された時は、デジタル演算部26と同様に、各指定値(設定電圧Vmsの指定値等)に基づいて設定電圧情報J(Vms)を作成するが、パワーオフ信号PS(OFF)が入力された時は、各指定値に関係なく、設定電圧Vmsを強制的にゼロボルトにする旨の設定電圧情報J(Vms)を作成する。
【0068】
パワーオン信号PS(ON)及びパワーオフ信号PS(OFF)は、スイッチング電源装置42及び後述する電源システム50の出力のオンとオフとを切り替えるための外部指令GSであり、使用者がスイッチング電源装置42を所望のタイミングで起動又は停止させるための外部入力信号(いわゆるリモートON/OFF用の外部入力信号)である。
【0069】
パワーオン信号PS(ON)及びパワーオフ信号PS(OFF)は、例えば図9(a)に示すロジック切り替え回路46を通じて入力される。ロジック切り替え回路46は、デジタル演算部44の受信端子を正の電圧にプルアップする抵抗46aと、この受信端子とグランドとの間に接続されたトランジスタ46bとで構成される。ここでは、パワーオン信号PS(ON)はハイレベル電圧、パワーオフ信号PS(ON)はローレベル電圧であり、トランジスタ46bは、駆動端子にパワーオン信号PS(ON)が入力されるとオンし、駆動端子にパワーオフ信号PS(OFF)が入力されるとオフする。したがって、デジタル演算部44は、自己の受信端子がローレベルになると、外部からパワーオン信号PS(ON)が入力されたと認識し、自己の受信端子がハイレベルになると、外部からパワーオフ信号PS(OFF)が入力されたと認識する。
【0070】
次に、スイッチング電源装置42を単体で使用した時の動作(起動時、定常時、停止時の動作)を、図10(a)、(b)のタイムチャートに基づいて説明する。
【0071】
図10(a)は、スイッチング電源装置42をパワーオン信号PS(ON)によって起動させた時の動作を示している。初期状態でパワーオフ信号PS(OFF)が入力されており、時刻t1にスイッチング電源装置10に入力電圧Viが投入されると、少し後の時刻t2に補助電源回路18の補助直流電圧Vsubが確立し、スイッチング制御部14が動作可能になる。
【0072】
その後、Vms遅れ時間T(Vms)が経過して時刻t3になっても、設定電圧Vmsは上昇せずにゼロボルトに保持される。上記のスイッチング電源装置10の場合は、図5に示すように、時刻t3になると設定電圧Vmsが上昇し始めるが、スイッチング電源装置42の場合、パワーオフ信号PS(OFF)が入力されているので、デジタル演算部44が設定電圧Vmsをゼロボルトにする旨の設定電圧情報J(Vms)を作成するからである。
【0073】
時刻t3から少し後の時刻t4にパワーオン信号PS(ON)が入力されると、設定電圧Vmsが上昇し始める。時刻t4以降は、デジタル演算部44及び設定電圧生成部28が協働し、設定電圧Vmsの変化速度の指定値に従って設定電圧Vmsを上昇させ、設定電圧Vmsが指定値に達した時刻t5以降は、設定電圧Vmsを指定値に保持させる。
【0074】
特性目標電圧Vmは、Vm制御部32が動作することによって、設定電圧Vmと同様に変化する。そして、出力特性Xo(Vo,Io)は、駆動パルス生成部20が動作することによって、特性目標電圧Vmと同様に変化し、時刻t4以降は、設定電圧Vmsの指定値[又は特性目標電圧Vmの値]に対応した値に保持され、定常状態となる。
【0075】
図10(b)は、スイッチング電源装置42をパワーオフ信号PS(ON)によって停止させた時の動作を示している。定常運転中の時刻t6にパワーオフ信号PS(OFF)が入力されると、デジタル演算部44が設定電圧Vmsをゼロボルトにする旨の設定電圧情報J(Vms)を作成する。そして、時刻t6以降、設定電圧Vmsがゼロボルトに保持される。
【0076】
特性目標電圧Vmは、Vm制御部32が動作することによって、設定電圧Vmと同様に変化する。そして、出力特性Xo(Vo,Io)は、駆動パルス生成部20が動作することによって、特性目標電圧Vmと同様に変化し、時刻t6以降はゼロに保持される。
【0077】
以上のように、スイッチング電源装置42は、スイッチング電源装置10と同様の機能を備え、さらに、パワーオン信号PS(ON)及びパワーオフ信号PS(OFF)を使用したリモートON/OFF機能が追加され、さらに便利に使用することができる。
【0078】
なお、リモートON/OFF機能が不要な場合は、図9(b)に示すように、デジタル演算部44の受信端子をグランドに接地しておけばよい。このように接続すると、デジタル演算部44は、常にパワーオン信号PS(ON)が入力されていると認識し、上記のデジタル演算部26と同じ動作だけを行うので、スイッチング電源装置42を、上記のスイッチング電源装置10と同じように使用することができる。
【0079】
<第二の実施形態の電源システム48>
この実施形態の電源システム48は、図11に示すように、2台のスイッチング電源装置42と、各スイッチング電源装置42に向けてパワーオン信号PS(ON)及びパワーオフ信号PS(OFF)を出力する外部制御機器50とで構成した電源システムである。
【0080】
2台のスイッチング電源装置42は、各出力特性検出回路16の定数kが一律の値に設定され、各Vm制御部32の定数hが一律の値に設定されており、電力変換部12の出力端同士を互いに並列接続して並列運転させ、1つの負荷に電力を供給する。負荷電力は、2台のスイッチング電源装置10の出力電力(=Vo・Io)を合算した値となる。さらに、Vmライン外部接続端子24同士が互いに連結され、これによって後述する独特な動作が行われる。
【0081】
2台のスイッチング電源装置48は、デジタル演算部26の設定電圧Vmsの指定値を意図的にずらしてある。そこで、2台のスイッチング電源装置10のうち、設定電圧Vmsの指定値が低い方をマスタ電源48(M)と称し、設定電圧Vmsの指定値が高い方をスレーブ電源48(S)と称して区別すると、設定電圧Vmsの変化速度の指定値は、マスタ電源42(M)が最も低速になるように設定してある。Vms遅れ時間T(Vms)の指定値は、同じ値に設定してある。
【0082】
次に、電源システム48の動作(起動時、定常時の動作)を説明する。図12は、2スイッチング電源装置42をパワーオン信号PS(ON)によって起動させた時の動作を示している。ここでは、初期状態でマスタ電源42(M)及びスレーブ電源42(S)にパワーオフ信号PS(OFF)が入力されており、その後、マスタ電源10(M)の入力電圧Viが先に投入され、スレーブ電源10(S)の入力電圧Viが少し遅れて投入されるとする。
【0083】
マスタ電源42(M)は、時刻t31に入力電圧Viが投入され、少し後の時刻t32に補助電源回路18の補助直流電圧Vsubが確立し、スイッチング制御部14が動作可能になる。スレーブ電源42(S)は、時刻t41に入力電圧Viが投入され、少し後の時刻t42に補助電源回路18の補助直流電圧Vsubが確立し、スイッチング制御部14が動作可能になる。
【0084】
マスタ電源42(M)は、時刻t32からVms遅れ時間T(Vms)が経過して時刻t33になっても、設定電圧Vmsが上昇せずゼロボルトに保持される。パワーオフ信号PS(OFF)が入力されているので、デジタル演算部44が設定電圧Vmsをゼロボルトにする旨の設定電圧情報J(Vms)を作成するからである。
【0085】
スレーブ電源42(S)は、時刻t42からVms遅れ時間T(Vms)が経過して時刻t43になっても、設定電圧Vmsが上昇せずゼロボルトに保持される。マスタ電源42(M)と同様に、パワーオフ信号PS(OFF)が入力されているので、デジタル演算部44が設定電圧Vmsをゼロボルトにする旨の設定電圧情報J(Vms)を作成するからである。
【0086】
時刻t43から少し後の時刻txに、マスタ電源42(M)及びスレーブ電源(S)及びパワーオン信号PS(ON)が各々入力されると、各電源の設定電圧Vmsが上昇し始める。マスタ電源42(M)は、時刻tx以降、デジタル演算部44及び設定電圧生成部28が協働し、設定電圧Vmsの変化速度の指定値に従って設定電圧Vmsを上昇させ、設定電圧Vmsが指定値に達した時刻t34以降は、設定電圧Vmsを指定値に保持させる。同様に、スレーブ電源42(S)は、時刻tx以降、デジタル演算部44及び設定電圧生成部28が協働し、設定電圧Vmsの変化速度の指定値に従って設定電圧Vmsを上昇させ、設定電圧Vmsが指定値に達した時刻t44以降は、設定電圧Vmsを指定値に保持させる。
【0087】
時刻tx以降は、マスタ電源42(M)の設定電圧Vmsがスレーブ電源42(S)の設定電圧Vmsよりも常に低くなるので、マスタ電源42(M)及びスレーブ電源42(S)の特性目標電圧Vmは、マスタ電源42(M)のVm制御部32によって制御され、時刻t34以降は、マスタ電源42(M)の設定電圧Vmsの指定値に対応した値Vm(M)に保持される。
【0088】
マスタ電源42(M)及びスレーブ電源42(S)の出力特性Xo(Vo,Io)は、駆動パルス生成部20が動作することによって、特性目標電圧Vmと同様に変化する。つまり、時刻txになると、マスタ電源42(M)の設定電圧Vmsの変化速度の指定値[又は特性目標電圧Vmの変化速度]に対応した速度で上昇し、時刻t34以降は、マスタ電源10(M)の設定電圧Vmsの指定値[又は特性目標電圧Vmの値]に対応した値に保持され、定常状態となる。
【0089】
図12において、マスタ電源42(M)の特性目標電圧Vmとスレーブ電源42(S)の特性目標電圧Vmは同じ波形になり、マスタ電源42(M)の出力特性性Xo(Vo,Io)とスレーブ電源42(S)の出力特性Xo(Vo,Io)は同じ波形になる。したがって、マスタ電源42(M)及びスレーブ電源42(S)は、時刻txに一斉にスイッチング動作を開始し、常に負荷電力を均等に負担することになる。
【0090】
電源システム48をパワーオフ信号PS(OFF)によって停止させる動作はタイムチャートに示していないが、マスタ電源42(M)及びスレーブ電源42(S)が、図10(b)に示す動作を各々行うことにより、双方が一斉にスイッチング動作を停止して出力がゼロになる。電源システム48の動作説明は以上である。
【0091】
上記の電源システム48は、2台のスイッチング電源装置42を並列運転する構成になっているが、3台以上のスイッチング電源装置42を並列運転する構成にしても、ほぼ同様の作用効果が得られる。これは、上記の電源システム40と同様である。
【0092】
なお、電源システム48を起動する時の、パワーオン信号PS(ON)を入力するタイミングは、すべてのスイッチング電源42のVm遅延時間T(Vsm)が経過した後[すべての設定電圧生成部28が正の設定電圧Vsmを生成可能になった後]することが好ましい。これによって、各電源がスイッチング動作を開始するタイミングをパワーオン信号PS(ON)が入力されたタイミングと正確に一致させることができ、且つ、各電源の出力特性Xo(Vo,Io)の立ち上がりの変化速度を、マスタ電源42(M)に設定した指定値に合わせることができる。
【0093】
<変形例のスイッチング電源装置52>
次に、スイッチング電源装置42の一変形例について、図13に基づいて説明する。変形例のスイッチング電源装置52は、スイッチング電源装置42で発生し得る特定の不具合を解決できるものである。
【0094】
まず、スイッチング電源装置42で発生し得る不具合について説明する。駆動パルス生成部20は、例えば図15(a)に示すように、出力特性信号Vosと特性目標電圧Vmとの差を増幅して制御信号Vaを出力する誤差アンプ20aと、制御信号Vaを基準三角波Voscでパルス幅変調して駆動パルスVgを生成するPWM変調部20bとで構成される。そして、特性目標電圧Vmがゼロボルトの時の各電圧の波形は、概略、図15(b)のような波形になる。
【0095】
特性目標電圧Vmがゼロボルトの時、理想的には制御信号Vaもゼロボルトに保持され、駆動パルスVgが停止するので、電力変換部12のスイッチング動作が停止し、出力特性Xo(Vo,Io)もゼロに保持される。
【0096】
しかしながら、誤差アンプ20aの設計上の都合で、制御信号Vaが不安定に振幅してしまうケースが考えられる。このような状況になると、制御信号Vaの不安定な動きがパルス幅変調されて駆動パルスVgが散発的に出力され、電力変換部12がスイッチング動作を行ってしまうので、出力特性Xo(Vo,Io)をゼロに保持することができない。したがって、スイッチング電源装置42は、パワーオフ信号PS(OFF)が入力されたとき、特性目標電圧生成部22が適切に動作してVm=0になったとしても、出力を確実にオフさせることができない可能性がある。この問題は、スイッチング電源装置42の出力電圧Voの可変範囲が非常に広い場合、特に、出力電圧Voをゼロボルト付近まで可変して使用できる場合に発生しやすい問題である。
【0097】
変形例のスイッチング電源装置52では、上述したスイッチング電源装置42で発生し得る問題を解決するため、上記の駆動パルス生成部20が駆動パルス生成部54に置き換られている。その他の構成は、スイッチング電源装置42と同様である。
【0098】
駆動パルス生成部54は、出力特性検出回路16が出力した出力特性信号Vosと、Vmライン24aに発生している特性目標電圧Vmとが等しくなるように、パルス幅変調を行って駆動パルスVgを生成し、主スイッチング素子に向けて出力する。これは、上記の駆動パルス生成部20と同様の機能である。
【0099】
駆動パルス生成部54の場合、さらに、パワーオン信号PS(0N)及びパワーオフ信号PS(OFF)を受信する機能を有している。駆動パルス生成部54は、パワーオン信号PS(ON)が入力された時は、駆動パルス生成部20と同様の動作[出力特性信号Vosと特性目標電圧Vmとが等しくなるように駆動パルスVgを生成して出力する動作]を行い、パワーオフ信号PS(OFF)が入力された時は、出力特性信号Vosと特性目標電圧Vmの大小に関係なく、駆動パルスVgを出力する動作を停止する。
【0100】
図14(a)、(b)に示すように、パワーオン信号PS(ON)及びパワーオフ信号PS(OFF)は、上記と同様のロジック切り替え回路46を通じて入力することができる。この場合、駆動パルス生成部54は、自己の受信端子の電圧Vbがローレベルになると、外部からパワーオン信号PS(ON)が入力されたと認識し、自己の受信端子の電圧Vbがハイレベルになると、外部からパワーオフ信号PS(OFF)が入力されたと認識する。
【0101】
スイッチング電源装置52を単体で使用した時の動作(起動時、定常時、停止時の動作)は、図10(a)、(b)に示すスイッチング電源装置42の動作と基本的に同じである。そして、パワーオフ信号PS(OFF)が入力されたとき、駆動パルス生成部54が、出力特性信号Vosと特性目標電圧Vmの大小に関係なく、駆動パルスVgを出力する動作を強制的に停止するので、スイッチング電源装置52の出力を確実にオフさせることができる。
【0102】
また、上記の電源システ48においても、スイッチング電源装置42を変形例のスイッチング電源装置52に置き換えることで、図15(a)、(b)に示す問題が発生するのを確実に防止しつつ、スイッチング電源装置42を使用した時と同様の作用効果を得ることができる。
【0103】
<スイッチング電源装置42,52及び電源システム44の効果のまとめ>
以上のように、スイッチング電源装置42,52においても、第一の実施形態のスイッチング電源装置10と同様の優れた効果を得ることができ、さらに、パワーオン信号PS(ON)及びパワーオフ信号PS(OFF)を使用することによって、起動及び停止のタイミングを自在に制御することができる。
【0104】
また、電源システム44においても、第一の実施形態の電源システム40と同様の優れた効果を得ることができ、さらに、パワーオン信号PS(ON)及びパワーオフ信号PS(OFF)を使用することによって、各スイッチング電源装置の一斉起動と一斉停止のタイミングを自在に制御することができる。その他、各スイッチング電源装置のVms遅れ時間T(Vsm)を設定する時の自由度が高くなるという利点もある。
【0105】
<<本発明のスイッチング電源装置及び電源システムの第三の実施形態>>
以下、本発明のスイッチング電源装置及び電源システムの第三の実施形態について、図16図18に基づいて説明する。ここで、第一の実施形態のスイッチング電源装置10及び電源システム40と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0106】
<第三の実施形態のスイッチング電源装置56>
この実施形態のスイッチング電源装置56は、並列運転に適した機能を有し、単体でも使用できる電源装置である。図16に示すように、全体的な構成は上記のスイッチング電源装置10と類似しており、異なるのは、新たに異常検出回路58が設けられている点と、デジタル演算部26がデジタル演算部60に置き換えられ、駆動パルス生成部20が駆動パルス生成部62に置き換えられている点である。以下、構成が異なる点を中心に説明する。
【0107】
異常検出回路58は、装置内部の特定部位の電圧、電流、温度等を検出し、異常値が検出された時にアラーム信号ALMを出力する回路である。
【0108】
デジタル演算部60は、設定電圧Vmsの指定値と、設定電圧Vmsの変化速度の指定値と、Vms遅れ時間T(Vms)の指定値とがデフォルト設定され、これらの指定値に基づくデジタル演算処理を行って、どのような設定電圧Vmsを生成するかを示す設定電圧情報J(Vms)を作成する。各指定値は、使用者からの外部指令GSによって設定を変更することができる。これは、上記のデジタル演算部26と同様の機能であるが、さらに、アラーム信号ALMが出力された時、各指定値に関係なく、設定電圧Vmsを強制的にゼロボルトにする旨の前記設定電圧情報J(Vms)を作成する機能が付加されている。
【0109】
駆動パルス生成部62は、出力特性検出回路16が出力した出力特性信号Vosと、Vmライン24aに発生している特性目標電圧Vmとが等しくなるように、パルス幅変調を行って駆動パルスVgを生成し、主スイッチング素子に向けて出力する。これは、上記の駆動パルス生成部20と同様の機能であるが、さらに、アラーム信号ALMが出力された時、出力特性信号Vosと特性目標電圧Vmの大小に関係なく、駆動パルスVgを出力する動作を停止する機能が付加されている。
【0110】
スイッチング電源装置56を単体で使用した時の動作について、図17(a)、(b)のタイムチャートに基づいて説明する。図17(a)は、アラーム信号ALMが出力されていない時の起動時及び定常時の動作を示している。図17(a)に示す動作[アラーム信号ALMの波形を除く]は、図5に示すスイッチング電源装置10の動作と同じである。
【0111】
図17(b)は、スイッチング電源装置56がアラーム信号ALMによって停止する動作を示している。定常運転中の時刻t5にアラーム信号ALMが出力されると、デジタル演算部60が、設定電圧Vmsをゼロボルトにする旨の設定電圧情報J(Vms)を作成する。そして、時刻t5以降、設定電圧Vmsがゼロボルトに保持され、特性目標電圧Vmもゼロボルトに保持される。これと並行して、駆動パルス生成部62が、出力特性信号Vosと特性目標電圧Vmの大小に関係なく、駆動パルスVgを出力する動作を強制的に停止するので、スイッチング電源装置56の出力を確実にオフさせることができる。図17(b)のタイムチャートは、アラーム信号ALMの波形をパワーオン・オフ信号PS(ON),PS(OFF)に置き換えれば、図10(b)に示すスイッチング電源装置42,52のタイムチャートと同じになる。
【0112】
<第三の実施形態の電源装置システム64>
この実施形態の電源システム64は、図18に示すように、2台のスイッチング電源装置56で構成した電源システムである。2台のスイッチング電源装置64の設定方法及び接続方法は、上記の電源システム40におけるスイッチング電源装置10の設定方法及び接続方法と同様であり、一方がマスタ電源56(M)、他方がスレーブ電源56(M)となる。
【0113】
電源システム64の正常時の動作(アラーム信号ALMが出力されていない時の起動時及び定常時の動作)は、図7に示す電源システム40の動作と同じである。定常運転中に、例えばマスタ電源56(M)でアラーム信号ALMが出力されると、マスタ電源56(M)のデジタル演算部60が設定電圧Vmsをゼロボルトにする旨の設定電圧情報J(Vms)を作成する。そして、マスタ電源56(M)のVm制御部32の制御により、マスタ電源56(M)及びスレーブ電源56(M)の特性目標電圧Vmがゼロボルトになり、双方が一斉にスイッチング動作を停止して出力がゼロになる。
【0114】
なお、電源システム64は、2台のスイッチング電源装置64を並列運転する構成になっているが、3台以上のスイッチング電源装置64を並列運転する構成にしても、ほぼ同様の作用効果が得られる。これは、上記の電源システム40と同様である。
【0115】
<スイッチング電源装置56及び電源システム64の効果のまとめ>
以上のように、スイッチング電源装置56によれば、第一の実施形態のスイッチング電源装置10と同様の優れた効果を得ることができ、さらに、装置内部に異常が発生した時、電力変換部12のスイッチング動作を停止し、安全が確保される。
【0116】
また、電源システ64においても、上記の電源システム40と同様の優れた効果を得ることができ、さらに、複数台の中の1台に異常が発生した時、すべてのスイッチング電源装置56が一斉に停止し、システム全体の安全が確保される。
【0117】
なお、スイッチング電源装置56では、スイッチング電源装置10の駆動パルス生成部20を駆動パルス生成部62に置き換えているが、駆動パルス生成部60を駆動パルス生成部20に戻してもよく、基本的には同様の動作が行われる。ただし、駆動パルス生成部60を使用すれば、図15(a)、(b)に示す問題が発生するのを確実に防止できるという利点がある。
【0118】
<<本発明のスイッチング電源装置の初期設定方法>>
スイッチング電源装置10を量産すると、設定電圧生成部28やVm制御部32を構成する部品の特性バラツキの影響で、設定電圧情報J(Vms)と特性目標電圧Vmとの関係に個体差が発生する可能性がある。そこで、スイッチング電源装置10の製造工程で、次のような初期設定方法(本発明のスイッチング電源装置の初期設定方法の一実施形態)を実施するとよい。
【0119】
まず、スイッチング電源装置10の定常運転している時、デジタル演算部26に特定の設定電圧情報J(Vms)を出力させ、Vmライン外部接続端子24に発生する特性目標電圧Vmを測定する。特性目標電圧Vmの値が規定の範囲に収まっている時は、これで初期設定作業を終了すればよいが、規定の範囲に収まっていない時は、デジタル演算部26に登録された、設定電圧情報J(Vms)を作成するプログラムの中の、設定電圧Vmsの指定値に基づいてデジタル演算処理を行う部分を、特性目標電圧Vmが規定の範囲に収まるように書き換える。
【0120】
この初期設定作業をスイッチング電源装置10毎に実施することによって、設定電圧情報J(Vms)と特性目標電圧Vmとの関係が適切に補正され、狙いの性能を容易に実現することができる。また、この初期設定方法は、スイッチング電源装置52,56にも適用することができ、同様の効果を得ることができる。
【0121】
<<その他の実施形態など>>
なお、本発明のスイッチング電源装置及び電源システムは、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第二の実施形態のスイッチング電源装置42,52(及び電源システム48)は、第一の実施形態のスイッチング電源装置10(及び電源システム40)にリモートON/OFFの機能を追加したものであり、第三の実施形態のスイッチング電源装置56(及び電源システム64)は、第一の実施形態のスイッチング電源装置10(及び電源システム40)に異常時の停止機能を追加したものである。これらをさらに複合させ、第一の実施形態のスイッチング電源装置10(及び電源システム40)に、リモートON/OFF機能と異常時の停止機能の両方を追加することも可能であり、これによって極めて高機能なスイッチング電源装置(及び電源システム)を得ることができる。
【0122】
その他の電源システムとして、例えば、別々の負荷に電力を供給する複数組の電源システム48を設けてVm外部接続端子24同士を相互に連結した電源システム(図19(a))、別々の負荷に電力を供給する電源システム48とスイッチング電源装置42を設けてVm外部接続端子24同士を相互に連結した電源システム(図19(b))、別々の負荷に電力を供給する複数台のスイッチング電源装置42を設けてVm外部接続端子24同士を相互に連結した電源システム(図19(c))のような構成にすることも可能である。この場合も、パワーオン信号PS(ON)及びパワーオフ信号PS(OFF)を使用することによって、すべてのスイッチング電源装置42を一斉起動及び一斉停止させることができ、且つ、起動時の出力特性Xoの立ち上がり速度を合わせることができる。
【0123】
同様に、別々の負荷に電力を供給する複数組の電源システム64を設けてVm外部接続端子24同士を相互に連結した電源システム(図19(a))、別々の負荷に電力を供給する電源システム64とスイッチング電源装置56とを設けてVm外部接続端子24同士を相互に連結した電源システム(図19(b))、別々の負荷に電力を供給する複数台のスイッチング電源装置56を設けてVm外部接続端子24同士を相互に連結した電源システム(図19(c))のような構成にすることも可能である。この場合も、1台のスイッチング電源装置56に異常が発生した時にすべてのスイッチング電源装置56を一斉停止させることができ、且つ、起動時の出力特性Xoの立ち上がり速度を合わせることができる。
【符号の説明】
【0124】
10,42,52,56 スイッチング電源装置
10(M),42(M) マスタ電源
10(S),42(S) スレーブ電源
12 電力変換部
14 スイッチング制御部
16 出力特性検出回路
18 補助電源回路
20,54,62 駆動パルス生成部
22 特性目標電圧生成部
24 Vmライン外部接続端子
24a Vmライン
26,44,60 デジタル演算部
28 設定電圧生成部
28a パルス幅変調部
28b ローパスフィルタ
30 プルアップ回路
32 Vm制御部
40,48,64 電源システム
50 外部制御機器
58 異常検出回路
ALM アラーム信号
GS 外部指令
Io 出力電流(出力特性)
J(Vms) 設定電圧情報
PS(ON) パワーオン信号(外部指令)
PS(OFF) パワーオフ信号(外部指令)
T(Vms) Vms遅れ時間
Vi 入力電圧
Vg 駆動パルス
Vm 特性目標電圧
Vms 設定電圧
Vo 出力電圧(出力特性)
Vos 出力特性信号
Vsub 補助直流電圧
Xo 出力特性
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19