(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070528
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】クローラクレーンの分解方法、クローラクレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 23/44 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
B66C23/44 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181080
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】506002823
【氏名又は名称】古河ユニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊平
(72)【発明者】
【氏名】須永 聖
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA07
3F205CA03
3F205CB02
3F205DA04
3F205JA03
(57)【要約】
【課題】作業者等の負担を低減させることが可能な、クローラクレーンの分解方法、クローラクレーンを提供する。
【解決手段】機台フレーム4が、他端がブーム61から取り外された起伏シリンダ43を載せることが可能なシリンダ置台7を備えるクローラクレーン1において、ブーム装置6を機台フレーム4に取り付けた状態で、ワイヤロープWをブーム61から取り外し、ソケット取り付け部3を起伏シリンダ43に取り付け、さらに、ウインチ42によりワイヤロープWを弛緩させた状態で、共有ワイヤソケット12をソケット取り付け部3に取り付けた後、ウインチ42によりワイヤロープWを緊張させた状態で、起伏シリンダ43をブーム61から取り外した後、ウインチ42によりワイヤロープWを弛緩させて、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せる。
【選択図】
図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用のクローラユニット及び前記クローラユニットを駆動する駆動装置を有する走行部と、前記走行部の上に配置され且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられた機台フレームと、前記コラムの先端部に取り付けられるブーム装置と、前記機台フレームへの着脱が可能なアウトリガ装置と、を備え、前記走行部と、前記機台フレームと、前記ブーム装置と、前記アウトリガ装置と、に分解することが可能なクローラクレーンのうち、前記機台フレームと前記ブーム装置を分解するクローラクレーンの分解方法であって、
前記ブーム装置は、前記コラムに対して起伏が可能なブームと、前記コラムが備えるウインチに基端が固定され且つ前記ブームから突出するワイヤロープの先端に取り付けられるフックと、を備え、
前記フックは、荷役の対象物を保持するフック本体部と、前記ワイヤロープの先端に取り付けられ且つ前記フック本体部を接続可能な共有ワイヤソケットと、を含み、
前記機台フレームは、一端が前記コラムに連結され且つ他端が前記ブームに取り付けられてブームを起伏させる起伏シリンダと、前記起伏シリンダの下方に配置され且つ前記他端が前記ブームから取り外された起伏シリンダを載せることが可能なシリンダ置台と、を備え、
前記ブーム装置を前記機台フレームに取り付けたままの状態で前記フック本体部を前記共有ワイヤソケットから取り外す工程と、前記共有ワイヤソケットが取り付けられている前記ワイヤロープを前記ブームから取り外す工程と、前記共有ワイヤソケットを取り付け可能なソケット取り付け部を前記起伏シリンダに取り付ける工程と、前記ウインチにより前記ワイヤロープを弛緩させた状態で前記共有ワイヤソケットを前記ソケット取り付け部に取り付ける工程と、前記ウインチにより前記ワイヤロープを緊張させた状態で前記起伏シリンダを前記ブームから取り外す工程と、前記ウインチにより前記ワイヤロープを弛緩させて前記起伏シリンダを前記シリンダ置台に載せる工程と、を含むクローラクレーンの分解方法。
【請求項2】
前記機台フレームは、前記走行部が前進する方向を照らすことが可能な前照灯をさらに備え、
前記シリンダ置台は、前記前照灯の上面及び側面と対向する置台フレームを備え、
前記ウインチにより前記ワイヤロープを弛緩させて前記起伏シリンダを前記シリンダ置台に載せる工程では、前記置台フレームを前記前照灯の上面及び側面と対向させた状態の前記シリンダ置台に前記起伏シリンダを載せる請求項1に記載したクローラクレーンの分解方法。
【請求項3】
前記起伏シリンダを前記シリンダ置台に固定するシリンダ固定部材を用いて、前記起伏シリンダを前記シリンダ置台に固定する工程をさらに含む請求項1又は請求項2に記載したクローラクレーンの分解方法。
【請求項4】
走行用のクローラユニット及び前記クローラユニットを駆動する駆動装置を有する走行部と、前記走行部の上に配置され且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられた機台フレームと、前記コラムの先端部に取り付けられるブーム装置と、前記機台フレームへの着脱が可能なアウトリガ装置と、を備え、前記走行部と、前記機台フレームと、前記ブーム装置と、前記アウトリガ装置と、に分解することが可能なクローラクレーンのうち、前記機台フレームと前記ブーム装置を分解するクローラクレーンの分解方法であって、
前記ブーム装置は、前記コラムに対して起伏が可能なブームと、前記コラムが備えるウインチに基端が固定され且つ前記ブームから突出するワイヤロープに取り付けられるフックと、前記フックが取り付けられた前記ワイヤロープの先端を接続可能なフック側ワイヤソケットと、を備え、
前記機台フレームは、一端が前記コラムに連結され且つ他端が前記ブームに取り付けられてブームを起伏させる起伏シリンダと、前記フック側ワイヤソケットから取り外した前記ワイヤロープを接続可能なシリンダ側ワイヤソケットと、前記起伏シリンダに取り付けられ且つ前記シリンダ側ワイヤソケットを取り付け可能なソケット取り付け部と、前記起伏シリンダの下方に配置され且つ前記他端が前記ブームから取り外された起伏シリンダを載せることが可能なシリンダ置台と、を備え、
前記ブーム装置を前記機台フレームに取り付けたままの状態で前記フック側ワイヤソケットから前記ワイヤロープを取り外す工程と、前記フックを前記ワイヤロープから取り外す工程と、前記フック側ワイヤソケットから取り外した前記ワイヤロープを前記ブームから取り外す工程と、前記ウインチにより前記ワイヤロープを弛緩させた状態で前記ソケット取り付け部に取り付けられている前記シリンダ側ワイヤソケットにワイヤロープを接続する工程と、前記ウインチにより前記ワイヤロープを緊張させた状態で前記起伏シリンダを前記ブームから取り外す工程と、前記ウインチにより前記ワイヤロープを弛緩させて前記起伏シリンダを前記シリンダ置台に載せる工程と、を含むクローラクレーンの分解方法。
【請求項5】
前記機台フレームは、前記走行部が前進する方向を照らすことが可能な前照灯をさらに備え、
前記シリンダ置台は、前記前照灯の上面及び側面と対向する置台フレームを備え、
前記ウインチにより前記ワイヤロープを弛緩させて前記起伏シリンダを前記シリンダ置台に載せる工程では、前記置台フレームを前記前照灯の上面及び側面と対向させた状態の前記シリンダ置台に前記起伏シリンダを載せる請求項4に記載したクローラクレーンの分解方法。
【請求項6】
前記起伏シリンダを前記シリンダ置台に固定するシリンダ固定部材を用いて、前記起伏シリンダを前記シリンダ置台に固定する工程をさらに含む請求項4又は請求項5に記載したクローラクレーンの分解方法。
【請求項7】
走行用のクローラユニット及び前記クローラユニットを駆動する駆動装置を有する走行部と、前記走行部の上に配置され且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられた機台フレームと、前記コラムの先端部に取り付けられるブーム装置と、前記機台フレームへの着脱が可能なアウトリガ装置と、を備え、前記走行部と、前記機台フレームと、前記ブーム装置と、前記アウトリガ装置と、に分解することが可能なクローラクレーンであって、
前記ブーム装置は、前記コラムに対して起伏が可能なブームと、前記コラムが備えるウインチに基端が固定され且つ前記ブームから突出するワイヤロープの先端に取り付けられるフックと、を備え、
前記フックは、荷役の対象物を保持するフック本体部と、前記ワイヤロープの先端に取り付けられ且つ前記フック本体部を接続可能な共有ワイヤソケットと、を含み、
前記機台フレームは、一端が前記コラムに連結され且つ他端が前記ブームに取り付けられてブームを起伏させる起伏シリンダと、前記起伏シリンダの下方に配置され且つ前記他端が前記ブームから取り外された起伏シリンダを載せることが可能なシリンダ置台と、を備え、
前記起伏シリンダは、前記ブームから取り外した状態である前記ワイヤロープの先端に取り付けられ且つ前記フック本体部が未接続の前記共有ワイヤソケットを取り付け可能なソケット取り付け部を取り付け可能であるクローラクレーン。
【請求項8】
前記機台フレームは、前記走行部が前進する方向を照らすことが可能な前照灯をさらに備え、
前記シリンダ置台は、前記前照灯の上面及び側面と対向する置台フレームを備える請求項7に記載したクローラクレーン。
【請求項9】
前記シリンダ置台に載せた前記起伏シリンダをシリンダ置台に固定するシリンダ固定部材をさらに備える請求項7又は請求項8に記載したクローラクレーン。
【請求項10】
走行用のクローラユニット及び前記クローラユニットを駆動する駆動装置を有する走行部と、前記走行部の上に配置され且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられた機台フレームと、前記コラムの先端部に取り付けられるブーム装置と、前記機台フレームへの着脱が可能なアウトリガ装置と、を備え、前記走行部と、前記機台フレームと、前記ブーム装置と、前記アウトリガ装置と、に分解することが可能なクローラクレーンであって、
前記ブーム装置は、前記コラムに対して起伏が可能なブームと、前記コラムが備えるウインチに基端が固定され且つ前記ブームから突出するワイヤロープに取り付けられるフックと、前記フックが取り付けられた前記ワイヤロープの先端を接続可能なフック側ワイヤソケットと、を備え、
前記機台フレームは、一端が前記コラムに連結され且つ他端が前記ブームに取り付けられてブームを起伏させる起伏シリンダと、前記フック側ワイヤソケットから取り外した前記ワイヤロープを接続可能なシリンダ側ワイヤソケットと、前記起伏シリンダに取り付けられ且つ前記シリンダ側ワイヤソケットを取り付け可能なソケット取り付け部と、前記起伏シリンダの下方に配置され且つ前記他端が前記ブームから取り外された起伏シリンダを載せることが可能なシリンダ置台と、を備えるクローラクレーン。
【請求項11】
前記機台フレームは、前記走行部が前進する方向を照らすことが可能な前照灯をさらに備え、
前記シリンダ置台は、前記前照灯の上面及び側面と対向する置台フレームを備える請求項10に記載したクローラクレーン。
【請求項12】
前記シリンダ置台に載せた前記起伏シリンダをシリンダ置台に固定するシリンダ固定部材をさらに備える請求項10又は請求項11に記載したクローラクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立及び分解が可能なクローラクレーンの分解方法と、クローラクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
組立及び分解が可能なクローラクレーンとしては、例えば、特許文献1に開示されている構成のクローラクレーンがある。特許文献1に開示されているクローラクレーンは、走行部と、機台フレーム、ブーム装置と、アウトリガ装置を備える。そして、搬入するための道路が存在しない山中等の工事現場で使用する場合には、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置に分解され、ヘリコプター等で工事現場まで運搬される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている構成では、ブーム装置を分解する際に、機台フレームが備えており、ブーム装置が備えるブームを起伏させる起伏シリンダを、機台フレームに置いた枕木等に載せる必要がある。このため、作業者等の負担が増加するという問題がある。
本発明は、上述した問題点を鑑み、作業者等の負担を低減させることが可能な、クローラクレーンの分解方法、クローラクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るクローラクレーンの分解方法は、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置を備え、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置に分解することが可能なクローラクレーンのうち、機台フレームとブーム装置を分解するクローラクレーンの分解方法である。走行部は、走行用のクローラユニット及びクローラユニットを駆動する駆動装置を有する。機台フレームは、走行部の上に配置され且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられている。ブーム装置は、コラムの先端部に取り付けられる。アウトリガ装置は、機台フレームへの着脱が可能である。そして、ブーム装置は、コラムに対して起伏が可能なブームと、コラムが備えるウインチに基端が固定され且つブームから突出するワイヤロープの先端に取り付けられるフックを備える。また、フックは、荷役の対象物を保持するフック本体部と、ワイヤロープの先端に取り付けられ且つフック本体部を接続可能な共有ワイヤソケットを含む。また、機台フレームは、一端がコラムに連結され且つ他端がブームに取り付けられてブームを起伏させる起伏シリンダと、起伏シリンダの下方に配置され且つ他端がブームから取り外された起伏シリンダを載せることが可能なシリンダ置台を備える。そして、クローラクレーンの分解方法は、ブーム装置を機台フレームに取り付けたままの状態でフック本体部を共有ワイヤソケットから取り外す工程と、共有ワイヤソケットが取り付けられているワイヤロープをブームから取り外す工程を含む。これに加え、共有ワイヤソケットを取り付け可能なソケット取り付け部を起伏シリンダに取り付ける工程と、ウインチによりワイヤロープを弛緩させた状態で共有ワイヤソケットをソケット取り付け部に取り付ける工程を含む。さらに、ウインチによりワイヤロープを緊張させた状態で起伏シリンダをブームから取り外す工程と、ウインチによりワイヤロープを弛緩させて起伏シリンダをシリンダ置台に載せる工程を含む。
【0006】
また、本発明の一態様に係るクローラクレーンの分解方法は、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置を備え、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置に分解することが可能なクローラクレーンのうち、機台フレームとブーム装置を分解するクローラクレーンの分解方法である。走行部は、走行用のクローラユニット及びクローラユニットを駆動する駆動装置を有する。機台フレームは、走行部の上に配置され且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられている。ブーム装置は、コラムの先端部に取り付けられる。アウトリガ装置は、機台フレームへの着脱が可能である。そして、ブーム装置は、コラムに対して起伏が可能なブームと、コラムが備えるウインチに基端が固定され且つブームから突出するワイヤロープに取り付けられるフックと、フックが取り付けられたワイヤロープの先端を接続可能なフック側ワイヤソケットを備える。また、機台フレームは、一端がコラムに連結され且つ他端がブームに取り付けられてブームを起伏させる起伏シリンダと、フック側ワイヤソケットから取り外したワイヤロープを接続可能なシリンダ側ワイヤソケットを備える。これに加え、機台フレームは、起伏シリンダに取り付けられ且つシリンダ側ワイヤソケットを取り付け可能なソケット取り付け部と、起伏シリンダの下方に配置され且つ他端がブームから取り外された起伏シリンダを載せることが可能なシリンダ置台を備える。そして、クローラクレーンの分解方法は、ブーム装置を機台フレームに取り付けたままの状態でフック側ワイヤソケットからワイヤロープを取り外す工程と、フックをワイヤロープから取り外す工程を含む。さらに、フック側ワイヤソケットから取り外したワイヤロープをブームから取り外す工程と、ウインチによりワイヤロープを弛緩させた状態でソケット取り付け部に取り付けられているシリンダ側ワイヤソケットにワイヤロープを接続する工程を含む。これに加え、ウインチによりワイヤロープを緊張させた状態で起伏シリンダをブームから取り外す工程と、ウインチによりワイヤロープを弛緩させて起伏シリンダをシリンダ置台に載せる工程を含む。
【0007】
また、本発明の一態様に係るクローラクレーンは、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置を備え、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置と、に分解することが可能なクローラクレーンである。走行部は、走行用のクローラユニット及びクローラユニットを駆動する駆動装置を有する。機台フレームは、走行部の上に配置され且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられている。ブーム装置は、コラムの先端部に取り付けられる。アウトリガ装置は、機台フレームへの着脱が可能である。そして、ブーム装置は、コラムに対して起伏が可能なブームと、コラムが備えるウインチに基端が固定され且つブームから突出するワイヤロープの先端に取り付けられるフックを備える。また、フックは、荷役の対象物を保持するフック本体部と、ワイヤロープの先端に取り付けられ且つフック本体部を接続可能な共有ワイヤソケットを含む。また、機台フレームは、一端がコラムに連結され且つ他端がブームに取り付けられてブームを起伏させる起伏シリンダを備える。さらに、機台フレームは、起伏シリンダの下方に配置され且つ他端がブームから取り外された起伏シリンダを載せることが可能なシリンダ置台を備える。これに加え、起伏シリンダは、ブームから取り外した状態であるワイヤロープの先端に取り付けられ且つフック本体部が未接続の共有ワイヤソケットを取り付け可能なソケット取り付け部を取り付け可能である。
【0008】
また、本発明の一態様に係るクローラクレーンは、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置を備え、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置と、に分解することが可能なクローラクレーンである。走行部は、走行用のクローラユニット及びクローラユニットを駆動する駆動装置を有する。機台フレームは、走行部の上に配置され且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられている。ブーム装置は、コラムの先端部に取り付けられる。アウトリガ装置は、機台フレームへの着脱が可能である。そして、ブーム装置は、コラムに対して起伏が可能なブームと、コラムが備えるウインチに基端が固定され且つブームから突出するワイヤロープに取り付けられるフックと、フックが取り付けられたワイヤロープの先端を接続可能なフック側ワイヤソケットを備える。また、機台フレームは、一端がコラムに連結され且つ他端がブームに取り付けられてブームを起伏させる起伏シリンダと、フック側ワイヤソケットから取り外したワイヤロープを接続可能なシリンダ側ワイヤソケットを備える。これに加え、機台フレームは、起伏シリンダに取り付けられ且つシリンダ側ワイヤソケットを取り付け可能なソケット取り付け部と、起伏シリンダの下方に配置され且つ他端がブームから取り外された起伏シリンダを載せることが可能なシリンダ置台を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業者等の負担を低減させることが可能な、クローラクレーンの分解方法、クローラクレーンを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】クローラクレーンの構成を示す側面図であり、クローラクレーンが走行姿勢である状態を示す図である。
【
図2】クローラクレーンの構成を示す側面図であり、クローラクレーンが作業姿勢である状態を示す図である。
【
図3】走行部の構成を示す側面図であり、走行部を輸送する状態を示す図である。
【
図21】クローラクレーンの分解方法を説明する図である。
【
図22】クローラクレーンの分解方法を説明する図である。
【
図23】クローラクレーンの分解方法を説明する図である。
【
図24】変形例におけるシリンダ置台の構成を示す側面図である。
【
図27】第二実施形態におけるブーム装置の構成を示す図である。
【
図30】フック側ワイヤソケットの構成を示す側面図である。
【
図34】フック側ワイヤソケットの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るクローラクレーンの分解方法と、クローラクレーンについて、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚さと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0012】
(第一実施形態)
(構成)
図1及び
図2に示すように、クローラクレーン1は、走行部2と、機台フレーム4と、ブーム装置6と、四つのアウトリガ装置8を備える。また、クローラクレーン1は、走行部2と、機台フレーム4と、ブーム装置6と、四つのアウトリガ装置8に分解することが可能である。
なお、
図1及び
図2では、走行部2、機台フレーム4、ブーム装置6及びアウトリガ装置8の構成について、簡略化して図示している部分がある。
【0013】
なお、以降の説明及び図面では、クローラクレーン1が前進して走行する方向を、「前方」と記載する場合がある。同様に、以降の説明及び図面では、クローラクレーン1が後退して走行する方向を、「後方」と記載する場合がある。
また、以降の説明及び図面では、クローラクレーン1の運転者が運転席に座っているときの左手側を「左側」と示し、運転者が運転席に座っているときの右手側を「右側」と示す。したがって、以降の説明及び図面では、クローラクレーン1を左側から見た視点を「左側面視」とし、クローラクレーン1を右側から見た視点を「右側面視」とする。また、以降の説明では、「左側面視」と「右側面視」とをまとめて、「側面視」と記載する場合がある。
【0014】
クローラクレーン1は、
図1に示す走行姿勢で、走行用のクローラユニット21によって走行して作業場所へ移動した後、作業場所で走行部2を分離させ、前後左右のアウトリガ装置8を張り出して機台フレーム4の安定を確保し、
図2に示す作業姿勢となる。そして、ブーム装置6を起立・伸長させた後、ブーム装置6が備えるフック10で荷を吊り、荷役作業を行う。
また、クローラクレーン1は、搬入するための道路が存在しない山中等の工事現場で使用する場合には、走行部2と、機台フレーム4と、ブーム装置6と、四つのアウトリガ装置8に分解した状態で、ヘリコプター等により吊り下げて工事現場へ運搬される。
【0015】
<走行部>
走行部2は、クローラユニット21と、駆動ユニット22を有する。
クローラユニット21は、
図3に示すように、クローラフレーム21aと、履帯21bと、駆動輪21cと、従動輪21dを備えており、駆動輪21c及び従動輪21dの回転によって履帯21bを移動(回転)させることで、クローラクレーン1を走行させる。
なお、クローラユニット21には、吊り下げ用の線状部材TR(以降の説明では、「線状部材TR」と記載する)を取り付ける複数箇所のクローラユニット吊り下げ部23が形成されている。さらに、クローラユニット21には、機台フレーム4をクローラユニット21に取り付ける際に、位置決めのガイドとなるフレームピン24が固定されている。
線状部材TRは、例えば、ワイヤロープを用いて形成されている。
【0016】
駆動ユニット22は、クローラユニット21よりも上方(鉛直方向で上方)に配置されており、油圧モータ(図示略)と、油圧ポンプ(図示略)と、駆動装置(図示略)と、運転席22aと、フレーム部22bを含む。すなわち、駆動装置は、クローラユニット21を駆動する装置である。
なお、駆動ユニット22とクローラユニット21とを接続するホース(油圧ホース)は、カプラー(図示略)を介して、着脱自在に接続される。
油圧モータは、クローラユニット21(駆動輪21c)を駆動するモータである。油圧ポンプは、油圧モータに圧油を供給するポンプである。駆動装置は、油圧ポンプを駆動する装置である。
運転席22aは、クローラクレーン1の操縦者が座る座席である。
フレーム部22bは、クローラユニット21よりも上方に配置されており、駆動装置を下方(鉛直方向で下方)から支持する。
【0017】
<機台フレーム>
機台フレーム4は、クローラクレーン1が備えるクレーン部の機台を形成している。
また、機台フレーム4は、コラム41と、ウインチ42と、起伏シリンダ43と、前照灯46と、シリンダ置台7を備えている。
なお、機台フレーム4には、線状部材TRを取り付けるために、複数箇所の機台側吊り下げ部44が形成されている。
コラム41の基端部は、機台フレーム4の上面に、機台フレーム4に対してコラム41が旋回自在となるように配置されている。
コラム41の先端部には、ブーム装置6が取り付けられている。
【0018】
ウインチ42は、モータ等によって回転可能に形成されており、コラム41に取り付けられている。
また、ウインチ42には、ワイヤロープWの基端が固定されている。
起伏シリンダ43は、ブーム61の下方において、コラム41とブーム装置6との間に配置されている。
また、起伏シリンダ43は、後述するブーム61を起伏させるためのシリンダ(デリックシリンダ)である。
【0019】
起伏シリンダ43の一端は、コラム41の前面(
図1では、右側の面)に連結されている。
起伏シリンダ43の他端は、ブーム取り付けピン63を用いて、ブーム61の下面(
図1では、下側の面)に取り付けられている。そして、起伏シリンダ43は、伸長することで機台フレーム4の上面に対するブーム61の角度を増加させ、収縮することで機台フレーム4の上面に対するブーム61の角度を減少させる。
ブーム取り付けピン63は、起伏シリンダ43の他端をブーム61の下面に取り付けている状態では、起伏シリンダ43の他端とブーム61とを貫通している。
前照灯46は、走行部2が前進する方向(
図1では左方向)を照らすことが可能な照明装置である。
また、前照灯46は、機台フレーム4の上面のうち、コラム41よりも前方側(
図1では左側)に配置されている。
【0020】
シリンダ置台7は、機台フレーム4の上面のうち、起伏シリンダ43の下方に配置されており、他端がブーム61から取り外された起伏シリンダ43を載せることが可能な形状に形成されている。
また、シリンダ置台7は、
図4から
図7に示すように、置台フレーム71と、二箇所のフランジ部72と、二つのステー部73と、緩衝部材74を備える。なお、
図4から
図6では、緩衝部材74の図示を省略している。
また、
図7では、前照灯46を簡略化して図示している。さらに、
図7では、説明のために、シリンダ置台7と、前照灯46と、機台フレーム4を除く構成の図示を省略している。また、
図7では、説明のために、機台フレーム4の構成を簡略化して図示している。
【0021】
置台フレーム71は、クローラクレーン1の左側面視でコの字形に形成されている。
また、置台フレーム71は、第一側面フレーム部71aと、第二側面フレーム部71bと、上面フレーム部71cを備える。
第一側面フレーム部71aは、
図7に示すように、置台フレーム71のうち、前照灯46の左側面と対向する部分を形成している。
第二側面フレーム部71bは、
図7に示すように、置台フレーム71のうち、前照灯46の右側面と対向する部分を形成している。
【0022】
上面フレーム部71cは、第一側面フレーム部71aと第二側面フレーム部71bとを接続しており、
図7に示すように、置台フレーム71のうち、前照灯46の上面と対向する部分を形成している。
また、上面フレーム部71cには、二箇所のフレーム側ボルト孔71dが形成されている。フレーム側ボルト孔71dは、緩衝部材74を置台フレーム71に固定するために用いるボルト等を挿入する孔である。
【0023】
二箇所のフランジ部72は、それぞれ、第一側面フレーム部71a及び第二側面フレーム部71bの、上面フレーム部71cと接続している端部と反対側の端部(
図7では下端部)に形成されている。
また、二箇所のフランジ部72には、それぞれ、二箇所のフランジ側ボルト孔72aが形成されている。フランジ側ボルト孔72aは、置台フレーム71を機台フレーム4の上面に固定するために用いるボルト等を挿入する孔である。
【0024】
二つのステー部73は、それぞれ、第一側面フレーム部71a及び第二側面フレーム部71bの、上面フレーム部71cと接続している端部(
図7では上端部)に、溶接等を用いて固定されている。
また、ステー部73は、U字状に形成されており、二箇所の端部が、第一側面フレーム部71a及び第二側面フレーム部71bの、上面フレーム部71cと接続している端部に固定されている。
ステー部73が有する円弧状の部分は、側面視で第一側面フレーム部71a及び第二側面フレーム部71bから上方へ突出している。
【0025】
緩衝部材74は、ボルト等を用いて、上面フレーム部71cの上面に取り付けられている。
また、緩衝部材74は、例えば、樹脂材料を用いて形成されている。
【0026】
緩衝部材74の上面フレーム部71cと対向する面(
図7では、下面)は、平面である。
緩衝部材74の上面フレーム部71cと対向する面と反対側の面(
図7では、上面)は、起伏シリンダ43の外周面に沿った曲面である。
【0027】
<ブーム装置>
ブーム装置6は、伸縮可能であり、また、コラム41に対して起伏可能なブーム61を備えており、コラム41の先端部に取り付けられている。
また、ブーム装置6は、滑車(図示略)を備える。
滑車は、ウインチ42に基端が固定されているワイヤロープWが巻き付けられている。ワイヤロープWの先端には、フック10が取り付けられている。
なお、ブーム61には、線状部材TRを取り付けるために、複数箇所のブーム側吊り下げ部62が形成されている。
【0028】
<アウトリガ装置>
四つのアウトリガ装置8は、それぞれ、機台フレーム4に形成された四箇所のアウトリガ取付ブラケット45に対し、着脱自在に取り付けられている。四箇所のアウトリガ取付ブラケット45は、それぞれ、平面視で、機台フレーム4のうち、クローラクレーン1の前後方向及び車幅方向に沿った四隅に配置されている。
なお、アウトリガ装置8には、線状部材TRを取り付けるために、複数箇所のアウトリガ側吊り下げ部81が形成されている。
また、四つのアウトリガ装置8は、機台フレーム4の周囲へ、自在に展開、且つ張り出しが可能である。
【0029】
<フック>
フック10は、ブーム装置6に取り付けられ、ブーム61の先端から突出したワイヤロープWの先端に取り付けられている。
また、フック10は、
図8に示すように、フック本体部11と、共有ワイヤソケット12を含む。
フック本体部11は、鉤爪状に形成されている部分を有しており、荷役の対象物(吊荷等)を保持する。
また、フック本体部11は、本体側ピン挿入部11aを備える。
【0030】
本体側ピン挿入部11aは、板状に形成されており、共有ワイヤソケット12との連結に用いる連結ピン(図示略)を挿入可能な本体側孔部11bを有する。
連結ピンは、共有ワイヤソケット12にフック本体部11を接続した状態で、フック本体部11の一部と共有ワイヤソケット12の一部とを貫通するピンである。
共有ワイヤソケット12は、ワイヤロープWの先端に取り付けられており、フック本体部11を接続可能である。なお、
図9から
図11には、共有ワイヤソケット12の詳細な構成を示す。
【0031】
具体的に、共有ワイヤソケット12は、筒部12aと、ソケット側ピン挿入部12bを備える。
筒部12aの内部には、空間が形成されている。筒部12aに形成されている空間の内部では、ワイヤロープWがU字状に折り返されている。
また、例えば、
図8に示すように、ワイヤロープWのうち、筒部12aに形成されている空間の内部へ挿入される部分と、筒部12aに形成されている空間の内部で折り返されて筒部12aから突出した部分とは、ワイヤクランプ等を用いて固定される。
【0032】
ソケット側ピン挿入部12bは、本体側ピン挿入部11aを挟む二枚の板材を組み合わせて形成されており、ソケット側孔部12cを有する。
ソケット側孔部12cは、連結ピンを挿入可能な孔である。
また、ソケット側孔部12cは、連結ピンとは異なるピンであるソケット固定ピン(後述)を挿入可能な孔である。
また、ソケット側ピン挿入部12bを形成する二枚の板材のうち一方には、ソケット側保持孔部12dが形成されている。
ソケット側保持孔部12dは、後述するソケット保持部材SBを挿入可能な孔である。
【0033】
<起伏シリンダ>
以下、
図1から
図11を参照しつつ、
図12を用いて、起伏シリンダ43の詳細な構成について説明する。なお、
図12では、起伏シリンダ43の構成を、一部省略して図示している。
図12に示すように、起伏シリンダ43は、ソケット取り付け部3を取り付け可能である。
ソケット取り付け部3は、支持ブラケット部31と、連結ブラケット部32とを、ボルト等を用いて組み合わせて形成されている。支持ブラケット部31と連結ブラケット部32の具体的な構成は、後述する。
また、ソケット取り付け部3は、ブーム61から取り外した状態であるワイヤロープWの先端に取り付けられた状態であるとともに、フック本体部11が未接続の状態である共有ワイヤソケット12を取り付け可能である。なお、
図12では、説明のために、ワイヤロープWの図示を省略している。
【0034】
また、ソケット取り付け部3は、起伏シリンダ43の外周面に取り付け可能である。
ソケット取り付け部3に共有ワイヤソケット12を取り付ける際には、ソケット固定部材5を用いる。ソケット固定部材5の具体的な構成は、後述する。
また、ソケット固定部材5は、ソケット保持部材SBを用いて、共有ワイヤソケット12に取り付ける。
ソケット保持部材SBは、例えば、ボルト等を用いて形成されている。
また、ソケット保持部材SBの先端は、ソケット固定部材5を共有ワイヤソケット12に取り付けた状態で、ソケット側保持孔部12dに挿入されている。
【0035】
<支持ブラケット部>
以下、
図1から
図12を参照しつつ、
図13から
図15を用いて、支持ブラケット部31の構成について説明する。なお、
図13は、支持ブラケット部31を、起伏シリンダ43の他端側(
図12における左側の端部側)から見た図である。
支持ブラケット部31は、板材を折り曲げて形成されており、起伏シリンダ43の外周面に対し、下方から取り付けられる。
また、支持ブラケット部31は、支持側本体部31aと、支持側第一フランジ部31bと、支持側第二フランジ部31cを備える。
支持側本体部31aは、支持ブラケット部31のうち、起伏シリンダ43の外周面と対向する部分を形成する。
【0036】
支持側第一フランジ部31bは、支持側本体部31aのうち、起伏シリンダ43の周方向に沿った一方の端部(
図13では、左側の端部)を形成している。また、支持側第一フランジ部31bには、
図14に示すように、ボルト等を挿入可能な、二箇所の支持側第一挿入孔31dが形成されている。
支持側第二フランジ部31cは、支持側本体部31aのうち、起伏シリンダ43の周方向に沿った他方の端部(
図13では、右側の端部)を形成している。また、支持側第二フランジ部31cには、
図14に示すように、ボルト等を挿入可能な、二箇所の支持側第二挿入孔31eが形成されている。
【0037】
<連結ブラケット部>
以下、
図1から
図15を参照しつつ、
図16から
図18を用いて、連結ブラケット部32の構成について説明する。なお、
図16は、連結ブラケット部32を、起伏シリンダ43の他端側(
図12における左側の端部側)から見た図である。
連結ブラケット部32は、連結側本体部32aと、連結側第一フランジ部32bと、連結側第二フランジ部32cと、取り付け部側ピン挿入部32dを備える。
【0038】
連結側本体部32aは、板材を折り曲げて形成されており、起伏シリンダ43の外周面に対し、上方から取り付けられる。
連結側第一フランジ部32bは、連結側本体部32aのうち、起伏シリンダ43の周方向に沿った一方の端部(
図16では、左側の端部)を形成している。また、連結側第一フランジ部32bには、
図17に示すように、ボルト等を挿入可能な、二箇所の連結側第一挿入孔32eが形成されている。
【0039】
二箇所の連結側第一挿入孔32eは、それぞれ、支持ブラケット部31と連結ブラケット部32とを組み合わせた状態(
図12を参照)で、支持側第一挿入孔31dと重なる位置に配置されている。
なお、支持ブラケット部31と連結ブラケット部32とを組み合わせる際には、支持側第一フランジ部31bと連結側第一フランジ部32bとを重ねるとともに、支持側第二フランジ部31cと連結側第二フランジ部32cとを重ねる。
【0040】
連結側第二フランジ部32cは、連結側本体部32aのうち、起伏シリンダ43の周方向に沿った他方の端部(
図16では、右側の端部)を形成している。また、連結側第二フランジ部32cには、
図17に示すように、ボルト等を挿入可能な、二箇所の連結側第二挿入孔32fが形成されている。
二箇所の連結側第二挿入孔32fは、それぞれ、支持ブラケット部31と連結ブラケット部32とを組み合わせた状態(
図12を参照)で、支持側第二挿入孔31eと重なる位置に配置されている。
【0041】
取り付け部側ピン挿入部32dは、連結側本体部32aの起伏シリンダ43と対向する面と反対側の面から突出する板状に形成されている。
また、取り付け部側ピン挿入部32dは、
図18に示すように、取り付け部側孔部33を有する。
取り付け部側孔部33は、取り付け部側ピン挿入部32dを貫通しており、ソケット固定ピン(後述)を挿入可能な円形の孔である。
【0042】
<ソケット固定部材>
以下、
図1から
図18を参照しつつ、
図19及び
図20を用いて、ソケット固定部材5の構成について説明する。なお、
図19は、ソケット固定部材5を、
図12における紙面の方向から見た図である。
ソケット固定部材5は、固定部材本体部51と、ソケット固定ピン52を備える。
固定部材本体部51は、板状に形成されており、固定部材側保持孔部51aを有する。
固定部材側保持孔部51aは、固定部材本体部51を貫通しており、ソケット保持部材SBを挿入可能な楕円形の孔である。
ソケット固定ピン52は、円筒状に形成されている。また、ソケット固定ピン52は、ソケット側孔部12cと、取り付け部側孔部33に挿入可能な形状に形成されている。
【0043】
<クローラクレーンの分解方法>
次に、
図1から
図20を参照しつつ、
図21から
図23を用いて、クローラクレーン1の分解方法について説明する。
クローラクレーン1は、輸送する前に、工場等において、クローラクレーン1を、走行部2と、機台フレーム4と、ブーム装置6と、四つのアウトリガ装置8に分解される。
分解した走行部2は、
図3に示すように、複数の線状部材TRを、フレーム部22bとクローラユニット吊り下げ部23に取り付け、ヘリコプター等により吊り下げて工事現場へ輸送する。
【0044】
機台フレーム4とブーム装置6を分解する際には、まず、
図21に示すように、ブーム装置6を機台フレーム4に取り付けた状態で、コラム41を旋回させる。そして、ブーム装置6のうち起伏シリンダ43の他端が接続されている部分が、側面視で機台フレーム4から突出した状態とする。
次に、図示を省略するが、共有ワイヤソケット12からフック本体部11を取り外し、共有ワイヤソケット12の状態を、ワイヤロープWに取り付けられているとともに、フック本体部11が未接続の状態とする。なお、共有ワイヤソケット12から取り外したフック本体部11は、例えば、機台フレーム4の平坦な位置に固定する。
【0045】
また、
図22に示すように、起伏シリンダ43の外周面に、ソケット取り付け部3を取り付ける。なお、
図22では、説明のために、ブーム装置6の一部と、機台フレーム4の一部を省略して図示している。
起伏シリンダ43にソケット取り付け部3を取り付ける際には、まず、起伏シリンダ43の外周面を挟んだ状態で、支持ブラケット部31と連結ブラケット部32とを組み合わせる。その後、二箇所の支持側第一挿入孔31d及び連結側第一挿入孔32eと、二箇所の支持側第二挿入孔31e及び連結側第二挿入孔32fに、それぞれ、ボルト等を挿入する。
【0046】
さらに、フック本体部11が未接続の共有ワイヤソケット12を取り付けたワイヤロープWをブーム61から取り外す。その後、ウインチ42を作動させてワイヤロープWを弛緩させた状態で、フック本体部11を取り外した共有ワイヤソケット12を、ソケット取り付け部3に取り付ける。
なお、起伏シリンダ43へソケット取り付け部3を取り付ける作業と、フック本体部11が未接続の共有ワイヤソケット12を取り付けたワイヤロープWをブーム61から取り外す作業とは、どちらの作業を先に行ってもよく、同時に行ってもよい。
フック本体部11を取り外した共有ワイヤソケット12をソケット取り付け部3に取り付ける際には、ソケット側ピン挿入部12bを形成する二枚の板材の間に、取り付け部側ピン挿入部32dを配置する。さらに、ソケット側孔部12cと取り付け部側孔部33とを重ねた状態で、ソケット側孔部12cと取り付け部側孔部33にソケット固定ピン52を挿入する。
【0047】
これに加え、ソケット側保持孔部12dと固定部材側保持孔部51aとを重ねた状態で、ソケット側保持孔部12dと固定部材側保持孔部51aにソケット保持部材SBを挿入する。
したがって、クローラクレーン1の分解方法では、ソケット側孔部12cと取り付け部側孔部33とを重ねた状態で、ソケット側孔部12cと取り付け部側孔部33とにソケット固定ピン52を挿入する。これにより、フック本体部11が未接続の共有ワイヤソケット12を、ソケット取り付け部3に取り付ける。
【0048】
その後、ウインチ42を作動させてワイヤロープWを緊張させた状態で、
図23に示すように、起伏シリンダ43(起伏シリンダ43の他端)をブーム61から取り外す。なお、
図23では、説明のために、ブーム装置6の一部と、機台フレーム4の一部を省略して図示している。
起伏シリンダ43をブーム61から取り外す際には、起伏シリンダ43の他端とブーム61とを貫通しているブーム取り付けピン63を抜き取る。
【0049】
起伏シリンダ43をブーム61から取り外した後、ウインチ42によりワイヤロープWを弛緩させて、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せる。
起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せる際には、起伏シリンダ43の外周面を、緩衝部材74の上面に接触させる。
【0050】
起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せた後、
図23に示すように、シリンダ固定部材9を用いて、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に固定する。
シリンダ固定部材9は、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に固定する部材であり、二箇所のフック部91と、ベルト部92を備える。なお、
図23では、二箇所のフック部91のうち、一箇所のみを図示している。
また、シリンダ固定部材9は、例えば、運転席22aの周辺等、走行部2に取り付けておき、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に固定する際に、作業者等が走行部2から機台フレーム4へ移動させる。すなわち、クローラクレーン1は、シリンダ固定部材9を備える。
【0051】
二箇所のフック部91は、それぞれ、ステー部73に引っ掛けて取り付けることが可能な形状に形成されている。
ベルト部92は、例えば、ゴム等の弾性を有する材料を用いて、帯状に形成されている。
ベルト部92の両端には、それぞれ、二箇所のフック部91が取り付けられている。
したがって、シリンダ固定部材9を用いて、シリンダ置台7に載せた起伏シリンダ43をシリンダ置台7に固定する際には、緩衝部材74とベルト部92で起伏シリンダ43を挟んだ状態で、二箇所のフック部91を二つのステー部73に取り付ける。
シリンダ固定部材9を用いて起伏シリンダ43をシリンダ置台7に固定した後、機台フレーム4からブーム装置6を取り外して、機台フレーム4とブーム装置6を分解する。
【0052】
分解した機台フレーム4は、例えば、機台側吊り下げ部44に線状部材TRを取り付け、ヘリコプター等により吊り下げて工事現場へ輸送する。
分解したブーム装置6は、ブーム側吊り下げ部62に線状部材TRを取り付け、ヘリコプター等により吊り下げて工事現場へ輸送する。
分解したアウトリガ装置8は、アウトリガ側吊り下げ部81に線状部材TRを取り付け、ヘリコプター等により吊り下げて工事現場へ輸送する。
【0053】
以上説明したように、クローラクレーン1の分解方法は、ブーム装置6を機台フレーム4に取り付けたままの状態でフック本体部11を共有ワイヤソケット12から取り外す工程を含む。さらに、共有ワイヤソケット12が取り付けられているワイヤロープWをブームから取り外す工程と、共有ワイヤソケット12を取り付け可能なソケット取り付け部3を起伏シリンダ43に取り付ける工程を含む。これに加え、ウインチ42によりワイヤロープWを弛緩させた状態で共有ワイヤソケット12をソケット取り付け部3に取り付ける工程と、ウインチ42によりワイヤロープWを緊張させた状態で起伏シリンダ43をブームから取り外す工程を含む。また、ウインチ42によりワイヤロープWを弛緩させて起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せる工程を含む。
【0054】
なお、ウインチ42によりワイヤロープWを弛緩させて起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せる工程では、置台フレーム71を前照灯46の上面及び側面と対向させた状態のシリンダ置台7に起伏シリンダ43を載せる。
また、クローラクレーン1の分解方法は、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に固定するシリンダ固定部材9を用いて、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に固定する工程をさらに含む。
【0055】
<第一実施形態の作用及び効果>
第一実施形態のクローラクレーン1の分解方法であれば、以下の作用及び効果を奏することが可能である。
(1)ブーム装置6を機台フレーム4に取り付けたままの状態でフック本体部11を共有ワイヤソケット12から取り外す工程を含む。さらに、共有ワイヤソケット12が取り付けられているワイヤロープWをブームから取り外す工程と、共有ワイヤソケット12を取り付け可能なソケット取り付け部3を起伏シリンダ43に取り付ける工程を含む。これに加え、ウインチ42によりワイヤロープWを弛緩させた状態で共有ワイヤソケット12をソケット取り付け部3に取り付ける工程と、ウインチ42によりワイヤロープWを緊張させた状態で起伏シリンダ43をブームから取り外す工程を含む。また、ウインチ42によりワイヤロープWを弛緩させて起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せる工程を含む。
その結果、機台フレーム4からブーム装置6を取り外す際に、ブーム61から取り外した起伏シリンダ43を、機台フレーム4が備えるシリンダ置台7に載せることが可能となる。
【0056】
これにより、ブーム装置6を分解する際に、起伏シリンダ43を載せるために、機台フレーム4に枕木等を置く必要が無いため、作業者等の負担を低減させることが可能な、クローラクレーン1の分解方法を提供することが可能となる。
また、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せる際に、ワイヤロープWを緊張させた状態でウインチ42を作動させることで、起伏シリンダ43の角度を変化させることが可能となり、作業の効率を向上させることが可能となる。
【0057】
さらに、クローラクレーン1に既存の構成である、ワイヤロープWとウインチ42を用いて、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せることが可能となるため、新規の構成を追加することなく、作業者等の負担を低減させることが可能となる。
また、前照灯46等、機台フレーム4に既存の構成を機台フレーム4から取り外す作業を必要とせずに、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せることが可能となるため、作業者等の負担を低減させることが可能となる。
【0058】
(2)ウインチ42によりワイヤロープWを弛緩させて起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せる工程では、置台フレーム71を前照灯46の上面及び側面と対向させた状態のシリンダ置台7に起伏シリンダ43を載せる。
その結果、前照灯46を機台フレーム4から取り外す作業を必要とせずに、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せることが可能となるため、作業者等の負担を低減させることが可能となる。また、ブーム装置6を分解する際の、前照灯46の損傷を抑制することが可能となる。
【0059】
(3)起伏シリンダ43をシリンダ置台7に固定するシリンダ固定部材9を用いて、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に固定する工程をさらに含む。
その結果、輸送時に発生する振動等による、起伏シリンダ43の揺れを低減させることが可能となり、安定性を向上させることが可能となる。
第一実施形態のクローラクレーン1であれば、以下の作用及び効果を奏することが可能である。
【0060】
(4)機台フレーム4が、一端がコラムに連結され且つ他端がブーム61に取り付けられてブーム61を起伏させる起伏シリンダ43を備える。これに加え、機台フレーム4が、起伏シリンダ43の下方に配置され、他端がブーム61から取り外された起伏シリンダ43を載せることが可能なシリンダ置台7を備える。
その結果、機台フレーム4からブーム装置6を取り外す際に、ブーム61から取り外した起伏シリンダ43を、機台フレーム4が備えるシリンダ置台7に載せることが可能となる。
【0061】
これにより、ブーム装置6を分解する際に、起伏シリンダ43を載せるために、機台フレーム4に枕木等を置く必要が無いため、作業者等の負担を低減させることが可能な、クローラクレーンを提供することが可能となる。
また、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せる際に、ワイヤロープWを緊張させた状態でウインチ42を作動させることで、起伏シリンダ43の角度を変化させることが可能となり、作業の効率を向上させることが可能となる。
【0062】
さらに、クローラクレーン1に既存の構成である、ワイヤロープWとウインチ42を用いて、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せることが可能となるため、新規の構成を追加することなく、作業者等の負担を低減させることが可能となる。
また、前照灯46等、機台フレーム4に既存の構成を機台フレーム4から取り外す作業を必要とせずに、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せることが可能となるため、作業者等の負担を低減させることが可能となる。
【0063】
(5)機台フレーム4が、走行部2が前進する方向を照らすことが可能な前照灯46をさらに備える。また、シリンダ置台7が、前照灯46の上面及び側面と対向する置台フレーム71を備える。
その結果、前照灯46を機台フレーム4から取り外す作業を必要とせずに、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せることが可能となるため、作業者等の負担を低減させることが可能となる。また、ブーム装置6を分解する際の、前照灯46の損傷を抑制することが可能となる。
【0064】
(6)シリンダ置台7に載せた起伏シリンダ43をシリンダ置台7に固定するシリンダ固定部材9をさらに備える。
その結果、輸送時に発生する振動等による、起伏シリンダ43の揺れを低減させることが可能となり、安定性を向上させることが可能となる。
【0065】
<変形例>
(1)第一実施形態では、シリンダ固定部材9の構成を、作業時等には走行部2に取り付けておき、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に固定する際に、作業者等が走行部2から機台フレーム4へ移動させる構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、シリンダ固定部材9の構成を、二箇所のフック部91のうち少なくとも一方が、作業時等においてステー部73に引っ掛けて取り付けられている構成としてもよい。
【0066】
(2)第一実施形態では、シリンダ置台7の構成を、置台フレーム71と、フランジ部72と、ステー部73と、緩衝部材74を備える構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、シリンダ置台7の構成を、例えば、
図24から
図26に示すように、ステー部73を備えておらず、第一側面フレーム部71aと第二側面フレーム部71bに、それぞれ、フレーム側貫通孔75を形成した構成としてもよい。なお、
図24から
図66では、緩衝部材74の図示を省略している。
フレーム側貫通孔75は、例えば、シリンダ固定部材として用いるロープ(図示略)を挿入することが可能な空隙部である。したがって、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に固定する際に用いるシリンダ固定部材9の構成は、二箇所のフック部91と、ベルト部92を備える構成に限定するものではない。
【0067】
(第二実施形態)
以下、
図1から
図23を参照して、第二実施形態について説明する。なお、上述した第一実施形態と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
(構成)
第二実施形態のクローラクレーン1は、機台フレーム4とブーム装置6を除き、上述した第一実施形態と同様の構成である。
【0068】
<機台フレーム>
機台フレーム4は、コラム41と、ウインチ42と、起伏シリンダ43と、前照灯46と、シリンダ置台7を備えている。これに加え、機台フレーム4は、シリンダ側ワイヤソケットと、ソケット取り付け部3を備える。
シリンダ側ワイヤソケットの構成は、上述した第一実施形態における共有ワイヤソケット12の構成と同様である。
また、シリンダ側ワイヤソケットは、後述するフック側ワイヤソケット13から取り外したワイヤロープWを接続可能なソケットである。
ソケット取り付け部3は、起伏シリンダ43に取り付けられており、シリンダ側ワイヤソケットを取り付け可能である。
【0069】
<ブーム装置>
ブーム装置6は、
図27に示すように、ブーム61と、フック10と、フック側ワイヤソケット13を備える。
【0070】
<フック>
フック10は、ブーム装置6に取り付けられ、ブーム61の先端から突出したワイヤロープWに取り付けられている。
また、フック10は、
図27から
図29に示すように、フック本体部11を含む。
フック本体部11は、鉤爪状に形成されている部分を有しており、荷役の対象物(吊荷等)を保持する。
また、フック本体部11には、二箇所のロープ受け部11cが形成されている。
ロープ受け部11cは、凹部状の溝によって形成されており、ワイヤロープWのうち、ブーム61から突出した部分と先端との間の部分が接触している。
【0071】
<フック側ワイヤソケット>
フック側ワイヤソケット13は、フック10が取り付けられたワイヤロープWの先端を接続可能なソケットであり、ブーム61の先端において、ブーム61の側面に取り付けられている。
また、フック側ワイヤソケット13は、
図30から
図34に示すように、ソケット先端保持部13aと、ロープ保持部13bと、ソケット筒部13cと、ロープ受け溝13dを備える。
【0072】
ソケット先端保持部13aは、ワイヤロープWの先端を挿入可能な孔である。
ロープ保持部13bは、凹部状の溝によって形成されており、ソケット先端保持部13aに先端が挿入されているワイヤロープWを保持する。
ソケット筒部13cは、ロープ保持部13bよりもソケット先端保持部13aから離れた位置に配置されており、内部に空間が形成されている。ソケット筒部13cに形成されている空間には、ワイヤロープWが配置されている。
ロープ受け溝13dは、凹部状の溝によって形成されており、ワイヤロープWのうち、フック本体部11とフック側ワイヤソケット13との間に配置される部分が接触している。
【0073】
<クローラクレーンの分解方法>
次に、
図1から
図34を参照して、クローラクレーン1の分解方法について説明する。なお、上述した第一実施形態と同様の動作については、説明を省略する場合がある。
機台フレーム4とブーム装置6を分解する際には、まず、
図21に示すように、ブーム装置6を機台フレーム4に取り付けたままの状態で、コラム41を旋回させる。そして、ブーム装置6のうち起伏シリンダ43の他端が接続されている部分が、側面視で機台フレーム4から突出した状態とする。
次に、図示を省略するが、フック側ワイヤソケット13からワイヤロープWを取り外し、さらに、フック本体部11をワイヤロープWから取り外すことで、フック側ワイヤソケット13の状態を、ワイヤロープW及びフック本体部11が未接続の状態とする。なお、ワイヤロープWから取り外したフック本体部11は、例えば、機台フレーム4の平坦な位置に固定する。
【0074】
次に、フック側ワイヤソケット13から取り外したワイヤロープWをブーム61から取り外す。その後、ウインチ42を作動させてワイヤロープWを弛緩させた状態で、ソケット取り付け部3に取り付けられているシリンダ側ワイヤソケットに、ワイヤロープWを接続する。
その後、ウインチ42を作動させてワイヤロープWを緊張させた状態で、起伏シリンダ43(起伏シリンダ43の他端)をブーム61から取り外す。そして、ウインチ42によりワイヤロープWを弛緩させて、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せる。
【0075】
以上説明したように、クローラクレーン1の分解方法は、ブーム装置6を機台フレーム4に取り付けたままの状態でフック側ワイヤソケット13からワイヤロープWを取り外す工程を含む。さらに、フック10をワイヤロープWから取り外す工程と、フック側ワイヤソケット13から取り外したワイヤロープWをブーム61から取り外す工程を含む。これに加え、ウインチ42によりワイヤロープWを弛緩させた状態でソケット取り付け部3に取り付けられているシリンダ側ワイヤソケットにワイヤロープWを接続する工程を含む。また、ウインチ42によりワイヤロープWを緊張させた状態で起伏シリンダ43をブーム61から取り外す工程を含む。また、ウインチ42によりワイヤロープWを弛緩させて起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せる工程を含む。
【0076】
<第二実施形態の作用及び効果>
第二実施形態のクローラクレーン1の分解方法であれば、以下の作用及び効果を奏することが可能である。
(1)ブーム装置6を機台フレーム4に取り付けたままの状態でフック側ワイヤソケット13からワイヤロープWを取り外す工程を含む。さらに、フック10をワイヤロープWから取り外す工程と、フック側ワイヤソケット13から取り外したワイヤロープWをブーム61から取り外す工程を含む。これに加え、ウインチ42によりワイヤロープWを弛緩させた状態でソケット取り付け部3に取り付けられているシリンダ側ワイヤソケットにワイヤロープWを接続する工程を含む。また、ウインチ42によりワイヤロープWを緊張させた状態で起伏シリンダ43をブーム61から取り外す工程を含む。また、ウインチ42によりワイヤロープWを弛緩させて起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せる工程を含む。
その結果、機台フレーム4からブーム装置6を取り外す際に、ブーム61から取り外した起伏シリンダ43を、機台フレーム4が備えるシリンダ置台7に載せることが可能となる。
【0077】
これにより、ブーム装置6を分解する際に、起伏シリンダ43を載せるために、機台フレーム4に枕木等を置く必要が無いため、作業者等の負担を低減させることが可能な、クローラクレーン1の分解方法を提供することが可能となる。
また、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せる際に、ワイヤロープWを緊張させた状態でウインチ42を作動させることで、起伏シリンダ43の角度を変化させることが可能となり、作業の効率を向上させることが可能となる。
【0078】
さらに、クローラクレーン1に既存の構成である、ワイヤロープWとウインチ42を用いて、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せることが可能となるため、新規の構成を追加することなく、作業者等の負担を低減させることが可能となる。
また、前照灯46等、機台フレーム4に既存の構成を機台フレーム4から取り外す作業を必要とせずに、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せることが可能となるため、作業者等の負担を低減させることが可能となる。
第二実施形態のクローラクレーン1であれば、以下の作用及び効果を奏することが可能である。
【0079】
(2)ブーム装置6が、ブーム61と、フック10と、フック10が取り付けられたワイヤロープWの先端を接続可能なフック側ワイヤソケット13を備える。また、機台フレーム4が、一端がコラムに連結され且つ他端がブーム61に取り付けられてブーム61を起伏させる起伏シリンダ43を備える。また、機台フレーム4が、フック側ワイヤソケット13から取り外したワイヤロープWを接続可能なシリンダ側ワイヤソケットと、起伏シリンダ43に取り付けられ且つシリンダ側ワイヤソケットを取り付け可能なソケット取り付け部3を備える。これに加え、機台フレーム4が、起伏シリンダ43の下方に配置され、他端がブーム61から取り外された起伏シリンダ43を載せることが可能なシリンダ置台7を備える。
その結果、機台フレーム4からブーム装置6を取り外す際に、ブーム61から取り外した起伏シリンダ43を、機台フレーム4が備えるシリンダ置台7に載せることが可能となる。
【0080】
これにより、ブーム装置6を分解する際に、起伏シリンダ43を載せるために、機台フレーム4に枕木等を置く必要が無いため、作業者等の負担を低減させることが可能な、クローラクレーンを提供することが可能となる。
また、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せる際に、ワイヤロープWを緊張させた状態でウインチ42を作動させることで、起伏シリンダ43の角度を変化させることが可能となり、作業の効率を向上させることが可能となる。
【0081】
さらに、クローラクレーン1に既存の構成である、ワイヤロープWとウインチ42を用いて、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せることが可能となるため、新規の構成を追加することなく、作業者等の負担を低減させることが可能となる。
また、前照灯46等、機台フレーム4に既存の構成を機台フレーム4から取り外す作業を必要とせずに、起伏シリンダ43をシリンダ置台7に載せることが可能となるため、作業者等の負担を低減させることが可能となる。
これに加え、ソケット取り付け部3を、常時、起伏シリンダ43に取り付ける構成であるため、作業者の作業効率を向上させることが可能となる。
【0082】
なお、本技術は、以下のような構成を取ることが可能である。
(1)
走行用のクローラユニット及び前記クローラユニットを駆動する駆動装置を有する走行部と、前記走行部の上に配置され且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられた機台フレームと、前記コラムの先端部に取り付けられるブーム装置と、前記機台フレームへの着脱が可能なアウトリガ装置と、を備え、前記走行部と、前記機台フレームと、前記ブーム装置と、前記アウトリガ装置と、に分解することが可能なクローラクレーンのうち、前記機台フレームと前記ブーム装置を分解するクローラクレーンの分解方法であって、
前記ブーム装置は、前記コラムに対して起伏が可能なブームと、前記コラムが備えるウインチに基端が固定され且つ前記ブームから突出するワイヤロープの先端に取り付けられるフックと、を備え、
前記フックは、荷役の対象物を保持するフック本体部と、前記ワイヤロープの先端に取り付けられ且つ前記フック本体部を接続可能な共有ワイヤソケットと、を含み、
前記機台フレームは、一端が前記コラムに連結され且つ他端が前記ブームに取り付けられてブームを起伏させる起伏シリンダと、前記起伏シリンダの下方に配置され且つ前記他端が前記ブームから取り外された起伏シリンダを載せることが可能なシリンダ置台と、を備え、
前記ブーム装置を前記機台フレームに取り付けたままの状態で前記フック本体部を前記共有ワイヤソケットから取り外す工程と、前記共有ワイヤソケットが取り付けられている前記ワイヤロープを前記ブームから取り外す工程と、前記共有ワイヤソケットを取り付け可能なソケット取り付け部を前記起伏シリンダに取り付ける工程と、前記ウインチにより前記ワイヤロープを弛緩させた状態で前記共有ワイヤソケットを前記ソケット取り付け部に取り付ける工程と、前記ウインチにより前記ワイヤロープを緊張させた状態で前記起伏シリンダを前記ブームから取り外す工程と、前記ウインチにより前記ワイヤロープを弛緩させて前記起伏シリンダを前記シリンダ置台に載せる工程と、を含むクローラクレーンの分解方法。
【0083】
(2)
走行用のクローラユニット及び前記クローラユニットを駆動する駆動装置を有する走行部と、前記走行部の上に配置され且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられた機台フレームと、前記コラムの先端部に取り付けられるブーム装置と、前記機台フレームへの着脱が可能なアウトリガ装置と、を備え、前記走行部と、前記機台フレームと、前記ブーム装置と、前記アウトリガ装置と、に分解することが可能なクローラクレーンのうち、前記機台フレームと前記ブーム装置を分解するクローラクレーンの分解方法であって、
前記ブーム装置は、前記コラムに対して起伏が可能なブームと、前記コラムが備えるウインチに基端が固定され且つ前記ブームから突出するワイヤロープに取り付けられるフックと、前記フックが取り付けられた前記ワイヤロープの先端を接続可能なフック側ワイヤソケットと、を備え、
前記機台フレームは、一端が前記コラムに連結され且つ他端が前記ブームに取り付けられてブームを起伏させる起伏シリンダと、前記フック側ワイヤソケットから取り外した前記ワイヤロープを接続可能なシリンダ側ワイヤソケットと、前記起伏シリンダに取り付けられ且つ前記シリンダ側ワイヤソケットを取り付け可能なソケット取り付け部と、前記起伏シリンダの下方に配置され且つ前記他端が前記ブームから取り外された起伏シリンダを載せることが可能なシリンダ置台と、を備え、
前記ブーム装置を前記機台フレームに取り付けたままの状態で前記フック側ワイヤソケットから前記ワイヤロープを取り外す工程と、前記フックを前記ワイヤロープから取り外す工程と、前記フック側ワイヤソケットから取り外した前記ワイヤロープを前記ブームから取り外す工程と、前記ウインチにより前記ワイヤロープを弛緩させた状態で前記ソケット取り付け部に取り付けられている前記シリンダ側ワイヤソケットにワイヤロープを接続する工程と、前記ウインチにより前記ワイヤロープを緊張させた状態で前記起伏シリンダを前記ブームから取り外す工程と、前記ウインチにより前記ワイヤロープを弛緩させて前記起伏シリンダを前記シリンダ置台に載せる工程と、を含むクローラクレーンの分解方法。
【0084】
(3)
前記機台フレームは、前記走行部が前進する方向を照らすことが可能な前照灯をさらに備え、
前記シリンダ置台は、前記前照灯の上面及び側面と対向する置台フレームを備え、
前記ウインチにより前記ワイヤロープを弛緩させて前記起伏シリンダを前記シリンダ置台に載せる工程では、前記置台フレームを前記前照灯の上面及び側面と対向させた状態の前記シリンダ置台に前記起伏シリンダを載せる前記(1)又は(2)に記載したクローラクレーンの分解方法。
(4)
前記起伏シリンダを前記シリンダ置台に固定するシリンダ固定部材を用いて、前記起伏シリンダを前記シリンダ置台に固定する工程をさらに含む前記(1)~(3)のいずれかに記載したクローラクレーンの分解方法。
【0085】
(5)
走行用のクローラユニット及び前記クローラユニットを駆動する駆動装置を有する走行部と、前記走行部の上に配置され且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられた機台フレームと、前記コラムの先端部に取り付けられるブーム装置と、前記機台フレームへの着脱が可能なアウトリガ装置と、を備え、前記走行部と、前記機台フレームと、前記ブーム装置と、前記アウトリガ装置と、に分解することが可能なクローラクレーンであって、
前記ブーム装置は、前記コラムに対して起伏が可能なブームと、前記コラムが備えるウインチに基端が固定され且つ前記ブームから突出するワイヤロープの先端に取り付けられるフックと、を備え、
前記フックは、荷役の対象物を保持するフック本体部と、前記ワイヤロープの先端に取り付けられ且つ前記フック本体部を接続可能な共有ワイヤソケットと、を含み、
前記機台フレームは、一端が前記コラムに連結され且つ他端が前記ブームに取り付けられてブームを起伏させる起伏シリンダと、前記起伏シリンダの下方に配置され且つ前記他端が前記ブームから取り外された起伏シリンダを載せることが可能なシリンダ置台と、を備え、
前記起伏シリンダは、前記ブームから取り外した状態である前記ワイヤロープの先端に取り付けられ且つ前記フック本体部が未接続の前記共有ワイヤソケットを取り付け可能なソケット取り付け部を取り付け可能であるクローラクレーン。
【0086】
(6)
走行用のクローラユニット及び前記クローラユニットを駆動する駆動装置を有する走行部と、前記走行部の上に配置され且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられた機台フレームと、前記コラムの先端部に取り付けられるブーム装置と、前記機台フレームへの着脱が可能なアウトリガ装置と、を備え、前記走行部と、前記機台フレームと、前記ブーム装置と、前記アウトリガ装置と、に分解することが可能なクローラクレーンであって、
前記ブーム装置は、前記コラムに対して起伏が可能なブームと、前記コラムが備えるウインチに基端が固定され且つ前記ブームから突出するワイヤロープに取り付けられるフックと、前記フックが取り付けられた前記ワイヤロープの先端を接続可能なフック側ワイヤソケットと、を備え、
前記機台フレームは、一端が前記コラムに連結され且つ他端が前記ブームに取り付けられてブームを起伏させる起伏シリンダと、前記フック側ワイヤソケットから取り外した前記ワイヤロープを接続可能なシリンダ側ワイヤソケットと、前記起伏シリンダに取り付けられ且つ前記シリンダ側ワイヤソケットを取り付け可能なソケット取り付け部と、前記起伏シリンダの下方に配置され且つ前記他端が前記ブームから取り外された起伏シリンダを載せることが可能なシリンダ置台と、を備えるクローラクレーン。
【0087】
(7)
前記機台フレームは、前記走行部が前進する方向を照らすことが可能な前照灯をさらに備え、
前記シリンダ置台は、前記前照灯の上面及び側面と対向する置台フレームを備える前記(5)又は(6)に記載したクローラクレーン。
(8)
前記シリンダ置台に載せた前記起伏シリンダをシリンダ置台に固定するシリンダ固定部材をさらに備える前記(5)~(7)のいずれかに記載したクローラクレーン。
【符号の説明】
【0088】
1 クローラクレーン
2 走行部
21 クローラユニット
21a クローラフレーム
21b 履帯
21c 駆動輪
21d 従動輪
22 駆動ユニット
22a 運転席
22b フレーム部
23 クローラユニット吊り下げ部
3 ソケット取り付け部
31 支持ブラケット部
31a 支持側本体部
31b 支持側第一フランジ部
31c 支持側第二フランジ部
31d 支持側第一挿入孔
31e 支持側第二挿入孔
32 連結ブラケット部
32a 連結側本体部
32b 連結側第一フランジ部
32c 連結側第二フランジ部
32d 取り付け部側ピン挿入部
32e 連結側第一挿入孔
32f 連結側第二挿入孔
33 取り付け部側孔部
4 機台フレーム
41 コラム
42 ウインチ
43 起伏シリンダ
44 機台側吊り下げ部
45 アウトリガ取付ブラケット
46 前照灯
5 ソケット固定部材
51 固定部材本体部
51a 固定部材側保持孔部
52 ソケット固定ピン
6 ブーム装置
61 ブーム
62 ブーム側吊り下げ部
63 ブーム取り付けピン
7 シリンダ置台
71 置台フレーム
71a 第一側面フレーム部
71b 第二側面フレーム部
71c 上面フレーム部
71d フレーム側ボルト孔
72 フランジ部
72a フランジ側ボルト孔
73 ステー部
74 緩衝部材
75 フレーム側貫通孔
8 アウトリガ装置
81 アウトリガ側吊り下げ部
9 シリンダ固定部材
91 フック部
92 ベルト部
10 フック
11 フック本体部
11a 本体側ピン挿入部
11b 本体側孔部
11c ロープ受け部
12 共有ワイヤソケット
12a 筒部
12b ソケット側ピン挿入部
12c ソケット側孔部
12d ソケット側保持孔部
13 フック側ワイヤソケット
13a ソケット先端保持部
13b ロープ保持部
13c ソケット筒部
13d ロープ受け溝
TR 線状部材
W ワイヤロープ
SB ソケット保持部材