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特開2024-70536運転支援装置、運転支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070536
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】運転支援装置、運転支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240516BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G01C21/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181091
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】飯富 裕
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129DD58
2F129EE55
2F129EE57
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE81
2F129HH18
2F129HH19
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF12
5H181FF27
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】変更先車線と自車両との間の交通量を考慮して、車線変更をユーザに通知する運転支援装置、運転支援方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】
本開示の運転支援装置100は、取得部11、渋滞判定部12、位置特定部13、算出部14及び通知部15を備える。取得部11は、自車両が走行する道路の道路情報を取得する。渋滞判定部12は、道路情報に基づいて、自車両が車線変更する予定の車線で渋滞が発生しているか否か判定する。位置特定部13は、車線変更する予定の車線で渋滞が発生していると判定された場合、道路情報に基づいて、自車両が入るための車線の空間の位置を特定する。算出部14は、自車両と位置との間の交通量を算出する。通知部15は、前記交通量に基づいて通知距離を決定し、前記自車両と前記位置との距離が前記通知距離以下である場合、位置を自車両のユーザに通知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行する道路の道路情報を取得する取得部と、
前記道路情報に基づいて、自車両が車線変更する予定の車線で渋滞が発生しているか否か判定する渋滞判定部と、
前記車線で渋滞が発生していると判定された場合、前記道路情報に基づいて、前記自車両が入るための前記車線の空間の位置を特定する位置特定部と、
前記自車両と前記位置との間の交通量を算出する算出部と、
前記交通量に基づいて通知距離を決定し、前記自車両と前記位置との距離が前記通知距離以下である場合、前記位置を前記自車両のユーザに通知する通知部と、を含むことを特徴とする
運転支援装置。
【請求項2】
前記自車両と前記位置との間の距離と、前記自車両の速度と、前記交通量と、の少なくとも一つに基づいて、前記自車両の車線変更の危険度を算出する危険度算出部と、
前記危険度が所定以上の場合、前記ユーザに迂回ルートを案内する迂回ルート案内部と、をさらに含むことを特徴とする
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記自車両の進行ルートと同じルートを進行する、前記自車両が追従するための他車両を特定する追従車両特定部と、
前記危険度が所定以上の場合、前記他車両に追従するルートを前記ユーザに案内する追従ルート案内部と、をさらに含むことを特徴とする
請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
自車両が走行する道路の道路情報を取得する取得ステップと、
前記道路情報に基づいて、自車両が車線変更する予定の車線で渋滞が発生しているか否か判定する渋滞判定ステップと、
前記車線で渋滞が発生していると判定された場合、前記道路情報に基づいて、前記自車両が入るための前記車線の空間の位置を特定する位置特定ステップと、
前記自車両と前記位置との間の交通量を算出する算出ステップと、
前記交通量に基づいて通知距離を決定し、前記自車両と前記位置との距離が前記通知距離以下である場合、前記位置を前記自車両のユーザに通知する通知ステップと、を含むことを特徴とする
運転支援方法。
【請求項5】
自車両が走行する道路の道路情報を取得する取得ステップと、
前記道路情報に基づいて、自車両が車線変更する予定の車線で渋滞が発生しているか否か判定する渋滞判定ステップと、
前記車線で渋滞が発生していると判定された場合、前記道路情報に基づいて、前記自車両が入るための前記車線の空間の位置を特定する位置特定ステップと、
前記自車両と前記位置との間の交通量を算出する算出ステップと、
前記交通量に基づいて通知距離を決定し、前記自車両と前記位置との距離が前記通知距離以下である場合、前記位置を前記自車両のユーザに通知する通知ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転支援装置、運転支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運転支援装置が開示されている。当該運転支援装置は、本線車道を走行する他車両の位置及び速度を少なくとも含む交通情報を取得し、交通情報に基づいて、自車両が加速区域にて合流可能であると予測される車間スペースの有無を判断する。そして、当該運転支援装置は、合流可能な車間スペースがある場合には、車間スペースに合流するための案内を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-244142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る技術では、合流可能な車間スペースが無い場合には、減速又は停止後に合流を行う。車線変更においては、変更先車線が渋滞している場合に自車が減速や停止してしまうと事故や渋滞の原因となる課題があった。
【0005】
本開示は、変更先車線と車両との間の交通量を考慮して、車線変更を安全に行えるようにするための情報をユーザに通知できる運転支援装置、運転支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の運転支援装置は、
自車両が走行する道路の道路情報を取得する取得部と、
前記道路情報に基づいて、自車両が車線変更する予定の車線で渋滞が発生しているか否か判定する渋滞判定部と、
前記車線で渋滞が発生していると判定された場合、前記道路情報に基づいて、前記自車両が入るための前記車線の空間の位置を特定する位置特定部と、
前記自車両と前記位置との間の交通量を算出する算出部と、
前記交通量に基づいて通知距離を決定し、前記自車両と前記位置との距離が前記通知距離以下である場合、前記位置を前記自車両のユーザに通知する通知部と、を含むことを特徴とする。
【0007】
本開示の運転支援方法は、
自車両が走行する道路の道路情報を取得する取得ステップと、
前記道路情報に基づいて、自車両が車線変更する予定の車線で渋滞が発生しているか否か判定する渋滞判定ステップと、
前記車線で渋滞が発生していると判定された場合、前記道路情報に基づいて、前記自車両が入るための前記車線の空間の位置を特定する位置特定ステップと、
前記自車両と前記位置との間の交通量を算出する算出ステップと、
前記交通量に基づいて通知距離を決定し、前記自車両と前記位置との距離が前記通知距離以下である場合、前記位置を前記自車両のユーザに通知する通知ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
本開示のプログラムは、
自車両が走行する道路の道路情報を取得する取得ステップと、
前記道路情報に基づいて、自車両が車線変更する予定の車線で渋滞が発生しているか否か判定する渋滞判定ステップと、
前記車線で渋滞が発生していると判定された場合、前記道路情報に基づいて、前記自車両が入るための前記車線の空間の位置を特定する位置特定ステップと、
前記自車両と前記位置との間の交通量を算出する算出ステップと、
前記交通量に基づいて通知距離を決定し、前記自車両と前記位置との距離が前記通知距離以下である場合、前記位置を前記自車両のユーザに通知する通知ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、変更先車線と車両との間の交通量を考慮して、車線変更をユーザに報知できる運転支援装置、運転支援方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る運転支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る運転支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図3】第2の実施形態に係る運転支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4】第2の実施形態に係る運転支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】第3の実施形態に係る運転支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
図6】第3の実施形態に係る運転支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、図1を用いて、第1の実施形態に係る運転支援装置100の構成を説明する。図1は、第1の実施形態に係る運転支援装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、運転支援装置100は、例えばカーナビゲーションシステムであり、車両に搭載される。以下、運転支援装置100が搭載される車両を自車両と呼ぶ。運転支援装置100は、高速道路のインターチェンジなどの分岐直前で渋滞が発生している際に、自車両が車線変更する場合、前もって車線変更を促すことで余裕のある運転を促進させ、交通安全に寄与するようにユーザに運転支援を行う。
【0014】
運転支援装置100は、1又は複数の道路情報検出装置20と通信する。道路情報検出装置20は、例えばカメラを搭載したスマートポールであり、道路に設置され、検出可能範囲内の道路の道路情報を検出する。道路情報は、車両の位置と車両の移動量との少なくとも1つを含む。道路情報検出装置20は、高速道路のインターチェンジなどの分岐直前から所定範囲内(例えば10km以内)に検出可能範囲ごとに設置される。
【0015】
運転支援装置100は、具体的には、取得部11、渋滞判定部12、位置特定部13、算出部14及び通知部15を備える。
取得部11は、所定のタイミングで、自車両が走行する道路の道路情報を1又は複数の道路情報検出装置20から取得する。具体的には、取得部11は、分岐直前から第1の範囲内(例えば10km以内)に自車両が入った場合、分岐直前から第2の範囲内(例えば5km以内)の道路情報を取得する。
【0016】
渋滞判定部12は、取得された道路情報に基づいて、自車両が車線変更する予定の車線で渋滞が発生しているか否かを判定する。例えば、渋滞判定部12は、自車両が3車線道路の右車線を走行中に左車線に車線変更する場合、左車線、中央車線及び右車線のそれぞれで渋滞が発生しているか否かを判定する。
【0017】
位置特定部13は、左車線で渋滞が発生していると判定された場合、道路情報に基づいて、自車両が入るための左車線の空間の位置を特定する。空間とは、例えば、自車両の長さ以上の長さを持つ空間であり、該当する空間が複数ある場合は車両の間に発生する空間のうち最長の長さを持つ空間である。位置特定部13は、空間が自車両の長さ未満である場合は、最も長い空間を自車両が入るための空間として特定する。以下、空間とはこの「自車両が入るための空間」を指す。
【0018】
算出部14は、自車両と空間の位置との間の交通量を算出する。例えば、算出部14は、スマートポールなどの道路情報検出装置20から所定範囲内に存在する自車両とは別の車両(他車両)の台数を取得し、図示しない記憶部に記憶されている渋滞時の台数や空いているときの台数と、取得した他車両の台数とを比較することで交通量を算出する。または所定範囲内にある他車両全ての面積を取得し、所定範囲の面積と他車両全ての面積の比率から交通量を計算する。なお、算出部14は、別の方法として、スマートポールやVICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)など道路情報検出装置20から交通量を取得してもよい。算出部14は算出結果そのものを出力してもよいし、算出結果から例えば「多い」、「普通」、「少ない」といった交通量の度合いを出力してもよい。なお、算出部14は道路情報検出装置20から他車両の速度を取得してもよく、所定範囲内の他車両の平均速度が所定以下である、すなわち所定範囲内において渋滞が発生している場合は算出結果を「少ない」としてもよい。「少ない」とすることで後述する通知距離が短くなるが、速度の遅い渋滞の状況においては交通安全上の問題がない。
【0019】
通知部15は、自車両と空間との間の交通量に基づいて、ユーザに空間の位置を通知する距離である通知距離を決定し、自車両と空間の位置との距離が通知距離以下となった場合に空間の位置を自車両のユーザに通知する。
【0020】
ここで、通知部15は、自車両と空間との間の交通量が多い程、通知距離を長くして空間の位置をユーザに通知する。交通量が多いと車線変更がしにくいため、分岐まで遠い位置で通知することで、ユーザに余裕のある運転を促し、交通安全に寄与することができる。
【0021】
また、通知部15は、自車両が空間の位置に到達するまでに車線変更する車線の数に基づいて、通知距離を決定してもよい。具体的には、通知部15は、車線変更する車線の数が多い程、通知距離を長くする。車線変更する車線が多ければ多いほど目的の車線に到達する時間がかかるため、分岐まで遠い位置で通知することで、ユーザに余裕のある運転を促し、交通安全に寄与することができる。
通知部15による通知は、例えば自車両に搭載されているスピーカーによる音声、またはカーナビゲーションシステムの画面による表示で行われる。
【0022】
続いて、図2を用いて、第1の実施形態に係る運転支援装置100の動作を説明する。図2は、第1の実施形態に係る運転支援装置100の動作の一例を示すフローチャートである。図2の処理は、例えばカーナビゲーションシステムのルート案内において、次のルート案内が分岐であり、分岐のある車線へ車線変更を必要とするものである場合に開始される。
【0023】
まず、運転支援装置100の取得部11は、所定のタイミングで、自車両が走行する道路の道路情報を1又は複数の道路情報検出装置20から取得する(ステップS101)。具体的には、取得部11は、分岐直前から第1の範囲内(例えば10km以内)に自車両が入った場合、分岐直前から第2の範囲内(例えば5km以内)の道路情報を取得する。
【0024】
次に、渋滞判定部12は、道路情報に基づいて、車線変更予定の車線で渋滞が発生しているか否かを判定する(ステップS102)。
【0025】
次に、位置特定部13は、車線変更予定の車線で渋滞が発生していると判定された場合(ステップS102のYES)、道路情報に基づいて、車線変更予定の車線で自車両が入るための空間の位置を特定する(ステップS103)。一方、位置特定部13は、車線変更予定の車線で渋滞が発生していないと判定された場合(ステップS102のNO)、処理を終了する。
【0026】
ステップS103の処理の後、算出部14は、自車両と空間の位置との間の交通量を算出する(ステップS104)。交通量は、他車両の数や面積で算出され、例えば他車両が「多い」、「普通」及び「少ない」の3段階で表される。
【0027】
次に、通知部15は、自車両と空間の位置との間の交通量に基づいて、空間の位置をユーザに通知する距離を決定する(ステップS105)。通知部15は、自車両と空間の位置との間の交通量が多い程、空間から離れた位置で空間の位置をユーザに通知する。例えば、通知部15は、自車両と空間の位置との間の交通量が「多い」の場合、自車両と空間の位置との距離が3kmになった際に空間の位置をユーザに通知する。通知部15は、自車両と空間の位置との間の交通量が「普通」の場合、自車両と空間の位置との距離が2kmになった際に空間の位置をユーザに通知する。通知部15は、自車両と空間の位置との間の交通量が「少ない」の場合、自車両と空間の位置との距離が1kmになった際に空間をユーザに通知する。
【0028】
なお、通知部15は、自車両が空間に到達するために車線変更する車線の数に基づいて、空間の位置をユーザに通知する距離を決定してもよい。具体的には、通知部15は、自車両が空間の位置に行くために車線変更する車線の数が多い程、空間から離れた位置で空間の位置をユーザに通知する。例えば、通知部15は、自車両が2車線以上の車線変更する必要がある場合、1車線追加毎に、通知距離に所定距離を追加する。
【0029】
次に、通知部15は、自車両と空間の位置との間の距離が所定以下であるか否かを判定する(ステップS106)。通知部15は、自車両と空間との間の距離が所定以下であると判定された場合(ステップS106のYES)、空間の位置をユーザに通知する(ステップS107)。一方、通知部15は、自車両と空間との間の距離が所定以下でないと判定された場合(ステップS106のNO)、ステップS106の処理に戻る。
【0030】
上述したように、第1の実施形態に係る運転支援装置100は、自車両と空間との間の交通量に基づいて、空間の位置をユーザに通知する距離を決定する。つまり、運転支援装置100は、変更先車線と自車両との間の交通量を考慮して、空間の位置をユーザに通知できる。したがって、運転支援装置100は、交通量が多いと車線変更がしにくいため、空間までの距離に余裕がある状態でユーザに通知することで、ユーザに余裕のある運転を促し、交通安全に寄与することができる。
【0031】
また、運転支援装置100は、空間に行くために自車両が車線変更する車線の数に基づいて、空間の位置をユーザに通知する距離を決定する。したがって、運転支援装置100は、車線変更する車線が多いと距離がその分必要になるため、空間までの距離に余裕がある状態でユーザに通知することで、ユーザに余裕のある運転を促し、交通安全に寄与することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
続いて、図3を用いて、第2の実施形態に係る運転支援装置200の構成を説明する。
図3は、第2の実施形態に係る運転支援装置200の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、運転支援装置200は、第1の実施形態に係る運転支援装置100の構成に加えて、危険度算出部16及び迂回ルート案内部17を備える。
【0033】
危険度算出部16は、自車両と空間の位置との間の距離と、自車両の速度と、自車両と空間との間の交通量との少なくとも1つに基づいて、自車両の車線変更の危険度を算出する。具体的には、危険度は数値で表される。危険度算出部16は、自車両と空間の位置との間の距離を、所定距離を基準にしてスコアリングし、基準とした距離よりも自車両と空間の位置との間の距離が短い程、距離の危険度を高く算出する。例えば0km以上1km未満を3点、1km以上2km未満を2点、2km以上を1点とする。また、危険度算出部16は、法定速度を基準にして自車両の速度をスコアリングし、法定速度より自車両の速度が所定速度以上早ければ速度の危険度を高くする。例えば、自車両の速度が法定速度+20km以上である場合は3点、法定速度以上であれば2点、法定速度未満なら1点とする。また、危険度算出部16は、前述したように当該交通量を「多い」、「普通」、「少ない」のように段階分けした場合、当該交通量が多い程、交通量の危険度を高く算出する。例えば「多い」を3点、「普通」を2点、「少ない」を1点とする。
【0034】
迂回ルート案内部17は、距離の危険度と速度の危険度と交通量の危険度とを演算する。例えば、3つの危険度を全て加算し、危険度が所定以上の場合、自車両のユーザに迂回ルートを案内する。迂回ルートは、分岐を迂回して目的地に進むルートである。なお危険度の演算方法は乗算でもよいし、その他の演算方法でもよい。
【0035】
続いて、図4を用いて、第2の実施形態に係る運転支援装置200の動作を説明する。
図4は、第2の実施形態に係る運転支援装置200の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、運転支援装置200は、上述したステップS101~ステップS105の処理を実行する。
【0036】
ステップS105の処理の後、運転支援装置200の危険度算出部16は、自車両と空間の位置との間の距離と、自車両の速度と、自車両と空間との間の交通量との少なくとも1つに基づいて、自車両の車線変更の危険度を算出する(ステップS201)。
【0037】
次に、迂回ルート案内部17は、危険度が所定以上であるか否かを判定する(ステップS202)。迂回ルート案内部17は、危険度が所定の閾値以上であると判定された場合(ステップS202のYES)、ユーザに迂回ルートを案内し(ステップS203)、処理を終了する。一方、危険度が所定の閾値以上であると判定された場合(ステップS202のNO)、通知部15は、上述したステップS106の処理~ステップS107の処理を実行する。
【0038】
上述したように、第2の実施形態に係る運転支援装置200は、危険度に応じて、無理な車線変更を自車両のユーザにさせずに迂回ルートを案内することで、自車両の事故を未然に防ぎ、交通安全に寄与することができる。
【0039】
(第3の実施形態)
続いて、図5を用いて、第3の実施形態に係る運転支援装置300の構成を説明する。
図5は、第3の実施形態に係る運転支援装置300の構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、運転支援装置300は、第1の実施形態に係る運転支援装置100の構成に加えて、上述した危険度算出部16、特定部18及び追従ルート案内部19を備える。
【0040】
危険度算出部16は、自車両と空間との間の距離と、自車両の速度と、自車両と空間との間の交通量との少なくとも1つに基づいて、自車両の車線変更の危険度を算出する。
【0041】
特定部18は、危険度が所定の閾値以上の場合、自車両の進行ルートと同じルートを進行する他車両を特定する。具体的には、特定部18は、例えば車車間通信又は道路情報検出装置20を介した通信を用いて、他車両の進行ルートを取得する。特定部18は、取得された他車両の進行ルートを用いて、自車両の進行ルートと同じルートを進行する他車両を特定する。同じルートとは、例えば自車両と同一の分岐に向かうルートであり、目的地が同じである必要はない。
【0042】
追従ルート案内部19は、特定された他車両に追従するルートをユーザに案内する。ここで、追従ルート案内部19は、特定された他車両が複数ある場合は、所定条件で追従する他車両を選択する。例えば、追従ルート案内部19は、自車両が3車線道路の中央車線を走行しており、左車線に車線変更したい場合、中央車線か左車線を走っている、かつ最も近傍の他車両を選択する。そして、追従ルート案内部19は、選択された他車両の後方の空間に移動するルートをユーザに案内する。
【0043】
なお、追従ルート案内部19は、途中で追従車両を変更してもよい。例えば、追従ルート案内部19は、他車両を追従して車線変更する際に、車線変更する空間に追従する他車両と自車両の計2台分の空間がないにもかかわらず追従する他車両が車線変更してしまった場合は、追従車両を変更してもよい。また、追従ルート案内部19は、自車両が3車線道路の中央車線を走行しており、左車線に車線変更したい場合、分岐までの距離が所定以下であるにもかかわらず、追従する他車両が左車線に移動しない場合は追従する他車両を変更してもよい。
【0044】
続いて、図6を用いて、第3の実施形態に係る運転支援装置300の動作を説明する。
図6は、第3の実施形態に係る運転支援装置300の動作の一例を示すフローチャートである。 図6に示すように、まず、運転支援装置300は、上述したステップS101~ステップS105の処理及び上述したステップS201~ステップS202の処理を実行する。運転支援装置300は、ステップS202の処理において、危険度が所定以上であると判定された場合(ステップS202のYES)、ステップS203の処理の代わりに、次のステップS301~ステップS302の処理を実行する。
【0045】
まず、運転支援装置300の特定部18は、自車両の進行ルートと同じルートを進行する他車両を特定する(ステップS301)。次に、追従ルート案内部19は、特定された他車両の後方の空間に移動するルートをユーザに案内する(ステップS302)。
【0046】
上述したように、第3の実施形態に係る運転支援装置300は、危険度に応じて、自車両の進行ルートと同じルートを進行する他車両を特定し、特定された他車両に追従するルートをユーザに案内する。運転支援装置300は、運転に自信がないユーザに対して、同じルートを進む他車両に先導してもらえる状況を作る。よって、運転支援装置300は、車両の事故を未然に防ぎ、交通安全に寄与することができる。また、運転支援装置300は、ユーザの車線変更の負担を減らすことができる。
【0047】
(第3の実施形態に係る変形例)
なお、運転支援装置300は、迂回ルート案内部17をさらに備えてもよい。
この場合、危険度算出部16は、自車両と空間との間の距離と、自車両の速度と、自車両と空間との間の交通量との少なくとも1つに基づいて、自車両の車線変更の危険度を例えば「高」、「中」及び「低」の3段階で算出する。
【0048】
危険度が「高」の場合、迂回ルート案内部17がユーザに迂回ルートを案内する。
危険度が「中」の場合、特定部18が自車両の進行ルートと同じルートを進行する他車両を特定する。そして、追従ルート案内部19は、特定された他車両に追従するルートをユーザに案内する。
危険度が「低」の場合、通知部15が、自車両と空間の位置との間の距離が所定以下であるときに、空間の位置をユーザに通知する。
【0049】
<ハードウェア構成>
上述の実施形態における各構成は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。各装置及び各機能(処理)を、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ及び記憶装置であるメモリを有するコンピュータにより実現してもよい。例えば、メモリに実施形態における方法を行うためのプログラムを格納し、各機能を、メモリに格納されたプログラムをプロセッサで実行することにより実現してもよい。
【0050】
これらのプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0051】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
11 取得部
12 渋滞判定部
13 位置特定部
14 算出部
15 通知部
16 危険度算出部
17 迂回ルート案内部
18 特定部
19 追従ルート案内部
20 道路情報検出装置
100、200、300 運転支援装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6