(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070544
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】血圧計
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
A61B5/022 G
A61B5/022 500B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181105
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】中塚 潤
(72)【発明者】
【氏名】石原 大資
(72)【発明者】
【氏名】早河 浩平
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AB01
4C017AC03
4C017AD01
4C017BB20
4C017EE09
4C017FF08
4C017FF12
4C017FF17
(57)【要約】
【課題】
携帯端末で操作可能な血圧計において、持ち運び易さと外観を改善することで、測定頻度の確保に資する。
【解決手段】
携帯端末で操作可能な血圧計1は、本体ケーシング3と、被測定者の被測定部位を圧迫するためのカフ4と、携帯端末6との無線通信を実行する通信部19とを備える。本体ケーシング3は、カフ4を取り出し可能に収納するカフ収納部33と、携帯端末6を設置する携帯端末設置部31とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末で操作可能な血圧計であって、
本体ケーシングと、
被測定者の被測定部位を圧迫するためのカフと
携帯端末との無線通信を実行する通信部と
を備え、
前記本体ケーシングは、
前記カフを取り出し可能に収納するカフ収納部と、
前記携帯端末を設置する携帯端末設置部と
を備える、血圧計。
【請求項2】
前記携帯端末設置部は、傾けて設置された前記携帯端末の下部を支持する支持壁面を備え、
前記カフ収納部は、傾けて設置された前記携帯端末の上部を支持し、
前記携帯端末設置部に設置された前記携帯端末の前記下部と上部の間の部分が前記本体ケーシングから離れている、請求項1に記載の血圧計。
【請求項3】
前記携帯端末設置は突出部を備え、前記突出部の前記カフ収納部側の壁面が前記支持壁面を構成する、請求項2に記載の血圧計。
【請求項4】
前記携帯端末設置部は溝部を備え、前記溝部の前記カフ収納部とは反対側の溝壁面が前記支持壁面を構成する、請求項2に記載の血圧計。
【請求項5】
前記携帯端末設置部に前記携帯端末が設置されたことを検出するための検出素子を備える、請求項2に記載の血圧計。
【請求項6】
前記検出素子は、前記支持壁面と、前記本体ケーシングの前記支持壁面と対向する部分とに前記携帯端末が設置されたことを検出する赤外光受発光素子である、請求項5に記載の血圧計。
【請求項7】
前記支持壁面の高さが8mm以下に設定されている、請求項2から5のいずれか1項に記載の血圧計。
【請求項8】
前記携帯端末設置部は、両端に前記本体ケーシングの側部側又は前部側で開放した逃がし部を備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の血圧計。
【請求項9】
前記携帯端末設置部は前記本体ケーシングの正面視において右側に設けられている、請求項1から5のいずれか1項に記載の血圧計。
【請求項10】
測定結果を表示する第1表示部と、
前記カフの作動に関する指示を含む被測定者の指示を受け付ける操作部と
を備え、
前記第1表示部と前記操作部は、前記本体ケーシングの前記携帯端末設置部に設置された前記携帯端末の背後に隠れる位置に設けられている、請求項1から5のいずれか1項に記載の血圧計。
【請求項11】
前記カフ収納部は、上端に開口を備える筒状であって、前記開口は蓋によって開閉可能に閉じられている、請求項1から5のいずれか1項に記載の血圧計。
【請求項12】
前記カフ収納部は、前記カフに接続されたチューブを挿通させるためのスリットを備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の血圧計。
【請求項13】
前記カフ収納部内に、前記本体ケーシング側の空気配管に前記チューブを接続するためのコネクタが取り付けられるコネクタ取付部が設けられ、
前記スリットの下端は前記コネクタ取付部よりも低い位置に位置している、請求項12項に記載の血圧計。
【請求項14】
前記本体ケーシングは、前記カフに流体を供給するためのポンプを含む電装部品が収容された電装部品収容部を、前記カフ収納部の底部側以外の部分に備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の血圧計。
【請求項15】
前記第1表示部と異なる位置に、血圧測定奨励のための表示を行う第2表示部を備える請求項10に記載の血圧計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血圧計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の血圧計は、本体に携帯端末の置台を備える。置台に設置された携帯端末は本体と通信し、本体の操作と本体による血圧の測定結果の表示を携帯端末により実行可能である。被測定者の被測定部位を圧迫するためのカフは、本体にチューブを介して接続されており、非使用時もむき出しのままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、血圧測定は一回限りで終了するものではなく、ある程度の頻度で繰り返し実行される。しかし、特許文献1の血圧計では、携帯端末は置台に設置した状態で本体と共に運ぶことができるが、チューブで本体に接続されていて非使用時もむき出しのままのカフは、本体と共に持ち運ぶのに適さない。また、特許文献1の血圧計は、使用時もカフがむき出しのままであり外観が良好ではないため、非使用時も部屋に置いたままとするのではなく、人目に触れないように収納されてしまう傾向がある。いったん収納されてしまうと、使用者にとって次回の測定は煩雑である。このように、特許文献1の血圧計においては、携帯端末での操作が可能であるものの、持ち運びに適さないことと外観が良好でないことが測定頻度の低下につながる。
【0005】
本発明は、携帯端末で操作可能な血圧計において、持ち運び易さと外観を改善することで、測定頻度の確保に資することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、携帯端末で操作可能な血圧計であって、本体ケーシングと、被測定者の被測定部位を圧迫するためのカフと、携帯端末との無線通信を実行する通信部とを備え、前記本体ケーシングは、前記カフを取り出し可能に収納するカフ収納部と、前記携帯端末を設置する携帯端末設置部とを備える、血圧計を提供する。
【0007】
本体ケーシングに、カフ収納部と携帯端末設置部の両方が設けられている。言い換えれば、カフ収納部と携帯端末設置部が本体ケーシングに一体的に設けられている。そのため、カフ収納部にカフを収納し、携帯端末設置部に携帯端末を設置した状態で、つまり本体ケーシング、カフ、及び携帯端末を一つにまとめた状態で容易に持ち運ぶことができる。また、非使用時には、カフ収納部に収納することでカフがむき出しのままとはならならず、外観が優れている。そのため、人目に触れないように収納する必要がなく、部屋に置いたままにできる。このように、この血圧計は、携帯端末で操作可能なだけでなく、持ち運びし易く外観が優れており、測定頻度の確保に資することができる。
【0008】
前記携帯端末設置部は、傾けて設置された前記携帯端末の下部を支持する支持壁面を備え、前記カフ収納部は、傾けて設置された前記携帯端末の上部を支持し、前記携帯端末設置部に設置された前記携帯端末の前記下部と上部の間の部分が前記本体ケーシングから離れていてもよい。
【0009】
携帯端末設置部に傾けて設置された携帯端末は、上部と下部の間の部分が本体ケーシングから離れた状態で支持される。つまり、携帯電話は上部と下部の間の部分が本体ケーシングから離れた状態で本体ケーシングに対して立て掛けられる。そのため、携帯端末にリング等のアクセサリが取り付けられていても安定して携帯端末を設置できる。
【0010】
前記携帯端末設置は突出部を備え、前記突出部の前記カフ収納部側の壁面が前記支持壁面を構成してもよい。
【0011】
前記携帯端末設置部は溝部を備え、前記溝部の前記カフ収納部とは反対側の溝壁面が前記支持壁面を構成してもよい。
【0012】
前記携帯端末設置部に前記携帯端末が設置されたことを検出するための検出素子を備えてもよい。
【0013】
前記検出素子は、前記支持壁面と、前記本体ケーシングの前記支持壁面と対向する部分とに前記携帯端末が設置されたことを検出する赤外光受発光素子であってもよい。
【0014】
前記支持壁面の高さが8mm以下に設定されていてもよい。
【0015】
支持壁面の高さをこのように設定することで、携帯端末設置部に設置された携帯端末の下端側のタッチパネル、ボタン、センサ等の操作が阻害されない。
【0016】
前記携帯端末設置部は、両端に前記本体ケーシングの側部側又は前部側で開放した逃がし部を備えてもよい。
【0017】
この構成により、手帳型の携帯端末、手帳型のケースを装着した携帯端末を、広げた状態で携帯端末設置部に設置できる。
【0018】
前記携帯端末設置部は前記本体ケーシングの正面視において右側に設けられていてもよい。
【0019】
携帯端末設置部を正面視で右側に設けることで、右利きの被測定者にとって携帯端末設置部に設置された携帯端末の操作性が向上する。
【0020】
測定結果を表示する第1表示部と、前記カフの作動に関する指示を含む被測定者の指示を受け付ける操作部とを備え、前記第1表示部と前記操作部は、前記本体ケーシングの前記携帯端末設置部に設置された前記携帯端末の背後に隠れる位置に設けられていてもよい。
【0021】
携帯端末を携帯端末設置部に設置すると、血圧計の第1表示部と操作部が携帯端末で隠れるので、被測定者は迷わずに携帯端末によって血圧計を操作できる。
【0022】
前記カフ収納部は、上端に開口を備える筒状であって、前記開口は蓋によって開閉可能に閉じられていてもよい。
【0023】
前記カフ収納部は、前記カフに接続されたチューブを挿通させるためのスリットを備えていてもよい。
【0024】
前記カフ収納部内に、前記本体ケーシング側の空気配管に前記チューブを接続するためのコネクタが取り付けられるコネクタ取付部が設けられ、前記スリットの下端は前記コネクタ取付部よりも低い位置に位置していてもよい。
【0025】
スリットの下端をコネクタ取付部よりも低い位置に設定することで、蓋の解放時にカフ収納部内に水が侵入した場合でも、侵入した水はスリットの下端からカフ収納部外に排出され、コネクタ取付部から血圧計の内部に水が流入するのを防止できる。
【0026】
前記本体ケーシングは、前記カフに流体を供給するためのポンプを含む電装部品が収容された電装部品収容部を、前記カフ収納部の底部側以外の部分に備えてもよい。
【0027】
この構成により、カフ収納部の高さを抑制できる。
【0028】
前記第1表示部と異なる位置に、血圧測定奨励のための表示を行う第2表示部を備えてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る血圧計は、携帯端末で操作可能であるだけでなく、持ち運び易さと外観が優れ、測定頻度の確保に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態に係る血圧計の斜視図(蓋閉鎖時)。
【
図2】本発明の実施形態に係る血圧計の斜視図(蓋開放時)。
【
図3】本発明の実施形態に係る血圧計の使用状態を示す斜視図。
【
図10】本発明の実施形態に係る血圧計のブロック図。
【
図11】本体ケーシング内に収容された機構を示す斜視図。
【
図12】本発明の実施形態に係る血圧計の斜視図(スマートフォン設置時)。
【
図13】本発明の実施形態に係る血圧計の斜視図(手帳型カバーを装着したスマートフォン設置時)。
【
図14】本発明の実施形態に係る血圧計の右側面図(スマートフォン設置時)。
【
図15】スマートフォン設置時の
図9と同様の断面図。
【
図16】本発明の第1の変形例に係る血圧計の斜視図。
【
図17】本発明の第1の変形例に係る血圧計の平面図。
【
図18】本発明の第1の変形例に係る血圧計の正面図。
【
図20】本発明の第2の変形例に係る血圧計の斜視図。
【
図21】本発明の第2の変形例に係る血圧計の平面図。
【
図22】本発明の第2の変形例に係る血圧計の正面図。
【
図23】
図22の線XXIII-XXIIIに沿った模式的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0032】
図1から
図9を参照すると、本実施形態に係る血圧計1は、血圧計本体2と、カフ4とを備える。血圧計本体2は、本体ケーシング3と、本体ケーシング3内に収容されたポンプ11(
図10,11に図示)を含む種々の電装部品とを備えている。カフ4は帯状で筒状に巻くことができ、被測定者の上腕に巻き付けて使用される。後に詳述するように、この血圧計1は携帯端末の一例であるスマートフォン6を装着し、スマートフォン6で操作可能である。携帯端末はスマートフォンの他にパッド型の携帯情報端末を例示できるが、例えばBLE通信で血圧計1と通信可能であれば、具体的な構成は特に限定されない。また、後に詳述するように、この血圧計1は本体ケーシング3に設けられたカフ収納部33にカフ4を取り出し可能に収容することができる。
【0033】
図10,11を併せて参照すると、本体ケーシング3内には、CPU7、メモリ8、電源9(本実施形態では二次電池)、圧力センサ10、ポンプ11、及び弁12が収容されている。本実施形態における電源9は電源コード13を介して商用電源により充電されるが、充電クレードル等に血圧計1を配置することで電源9が無線充電されてもよい。また、本体ケーシング3内には、圧力センサ10の出力をアナログ信号からデジタル信号へ変換するA/D変換回路14、ポンプ11を駆動するポンプ駆動回路15、弁12を駆動する弁駆動回路16が収容されている。圧力センサ17、ポンプ11、及び弁12は、空気配管18を介して、カフ4が備える空気袋(図示せず)に流体流通可能に接続されている。さらに、本体ケーシング3内には、スマートフォン6との無線通信を実行する通信部19が収容されている。
【0034】
本体ケーシング3には、カフ4の作動に関する指示を含む被測定者の指示を受け付ける操作部20、測定結果等を表示するための第1表示部21、及び血圧測定奨励のための表示を行う第2表示部22が設けられている。本実施形態では、操作部20は複数の押しボタンを備え、第1表示部21は液晶表示パネルからなり、第2表示部22はLEDランプからなる。
【0035】
CPU7は血圧計1の全体の動作を統括的に制御する。特に、CPU7は、操作部20又はスマートフォン6で受け付けた被測定者の入力と、メモリ8に記憶された制御プログラムに従って、ポンプ駆動回路15と弁駆動回路16とをそれぞれ介してポンプ11と弁12を動作させて、カフ4の空気袋に対する空気供給等によりカフ4内の空気袋の圧力(カフ圧)を制御し、血圧測定を実行する。カフ圧は圧力センサ17によって検出される。また、CPU7は測定結果を第1表示部21に表示する。
【0036】
図1から
図9を参照すると、本体ケーシング3は、正面視で手前右半分側にスマートフォン6を設置するスマートフォン設置部31を備え、正面視で手前左半分側に電装部品収容部32を備え、正面視で奥側に幅方向全体に広がるカフ収納部33を備える。スマートフォン設置部31とカフ収納部33との間には、操作部20と第1表示部21とが上面に設けられたパネル部34が設けられている。カフ収納部33は正面視の奥側でカフ収納部33に接続している。
【0037】
図5に示すように、スマートフォン設置部31の高さH1が最も低く、パネル部34の高さH2はスマートフォン設置部31の高さH1よりも少し高い。また、電装部品収容部32の高さH3はスマートフォン設置部31の高さH1よりも大幅に高く、カフ収納部33の高さH4は電装部品収容部33の高さH3よりも大幅に高い。本体ケーシング3の全高はカフ収納部33の高さH4である。
【0038】
電装部品収容部32は、十分な高さH3があり、正面視で本体ケーシング3の幅の半分程度を占め、奥行きも本体ケーシング3の半分を上回っている。つまり、電装部品収容部32は十分な容積を有する。このような電装部品収容部32に、最も大型の電装部品であるポンプ11を含む多数の電装部品が収容されている。そのため、本体ケーシング3の他の部分、つまりカフ収納部33の底部、スマートフォン設置部31、及びパネル部34に収容する部品を最小限に抑制できる。特に、カフ収納部33の底部に収容する電装部品を最小限に抑制することで、カフ収納部33の高さH4、つまり本体ケーシング3の全高を低減できる。また、スマートフォン設置部31とパネル部34の高さH1,H2も低減できる。
【0039】
以下、スマートフォン設置部31について説明する。
【0040】
スマートフォン設置部31は平坦な上面を有し、正面視で右側の端部に本体ケーシング3の右側端部に開放した逃がし部31aを備え、正面視で手前側の端部に本体ケーシング3の手前側端部に開放した逃がし部31bを備えている。
【0041】
スマートフォン設置部31には、正面視で最も手間側に、本体ケーシング3の幅方向に延びる細長い直方体状の突出部35を備える。
図12から14を併せて参照すると、スマートフォン6は、下部が突出部35で支持され、上部の背面側がカフ収納部33で支持されることで、後傾した状態でスマートフォン設置部31に設置される。より具体的には、突出部35のカフ収納部33側の壁面が後傾しているスマートフォン6の下部を手前側に動かないように支持し、カフ収納部33が後傾しているスマートフォン6の上部をそれ以上後傾しないように支持している。本実施形態では、カフ収納部33(より具体的には後述する蓋41)の平面視で手前側の頂部縁がスマートフォン6を支持している。しかし、スマートフォン6が本実施形態よりも小型である場合には、カフ収納部33(より具体的には後述する蓋41)の手前側の側部にスマートフォン6の頂部が支持される。なお、後述するように蓋41を取り外した場合でもカフ収納部33自体によって同様の態様でスマートフォン6の上部が支持される。
【0042】
スマートフォン設置部31に設置されたスマートフォン6が後傾する角度θ(
図14に図示)は、視認性が確保できる限り特に限定されないが、例えば65度以上70度以下に設定できる。
【0043】
図12,14,15に最も明りょうに示されているように、スマートフォン設置部31に後傾して設置されたスマートフォン6は、上部と下部の間の部分が本体ケーシング3から離れた状態で支持される。つまり、スマートフォン6は上部と下部の間の部分が本体ケーシング3から離れた状態で本体ケーシング3に対して立て掛けられる。そのため、スマートフォン6の背面にリング等のアクセサリが取り付けられていても安定してスマートフォン6をスマートフォン設置部31に設置できる。
【0044】
図1,2,9~11,15を参照すると、スマートフォン設置部3に設けられた突出部35の支持壁面35aの部分には赤外線発光素子37が設けられ、本体ケース3の支持壁面35aと対向する部分、つまりパネル部34の前面34aには赤外線受光素子38が設けられている。血圧計1の電源投入時には赤外線発光素子37から赤外線受光素子38に向けて赤外線が放射されている。例えば
図1に示すようにスマートフォン6がスマートフォン設置部31されていなければ、赤外線発光素子38は赤外線を常時受光している。しかし、例えば
図12に示すように、スマートフォン6がスマートフォン設置部31に設置されると、赤外線発光素子37から放射される赤外線がスマートフォン6で遮られ、赤外線受光素子38は赤外線を受光しなくなる。CPU7は赤外線受光素子38の赤外線受光停止を検出すると、通信部19によるスマートフォン6との通信を開始すると共に、第1表示部21と操作部20の機能を一時的に停止し、被測定者からの指示の受付と測定結果等の表示をスマートフォン6に切り替える。
【0045】
スマートフォン設置部31へのスマートフォン6の設置検出は、本実施形態のような赤外線発光素子37と赤外線受光素子38の組み合わせに限定されない。このような代替の構成としては、例えば、スマートフォン設置部31にスマートフォン6を配置すると物理的に押し込まれたことで反応するスイッチ(既存血圧計の測定ボタンのようなもの等)がある。この場合、スマートフォン6により当該スイッチが押下された際に血圧測定されるような構成としてもよい。その他、静電容量式の近接センサや、血圧計1とスマートフォン6との間のNFC(近距離無線通信)によって、スマートフォン設置部31へのスマートフォン6の設置を検出するようにしてもよい。
【0046】
図3,12~15を参照すると、本体ケーシング3のパネル部34に設けられた操作部20と第1表示部21は、スマートフォン6をスマートフォン設置部31に設置した時に、スマートフォン6の背後に隠れる位置に設けられている。スマートフォン6をスマートフォン設置部31に設置すると、操作部20と第1表示部21が隠れることで、被測定者は迷わずにスマートフォン6によって血圧計1を操作できる。
【0047】
前述のように、スマートフォン設置部31の両端に開放した逃がし部31a,31bが設けられている。そのため、例えば
図13に示すような手帳型のケース40を装着したスマートフォン6や、手帳型のスマートフォン6であっても広げた状態でスマートフォン設置部31に設置できる。
【0048】
図1を参照すると、スマートフォン設置部31に設けられた突起部35の支持壁面35aと、この支持壁面35aと対向するパネル部34の前面34aまでの距離D1は特に限定されなすが、厚みのあるスマートフォン6やケースに収容されたスマートフォン6であっても、スマートフォン設置部31に設置できるように設定することが好ましい。
【0049】
図14,15を参照すると、支持壁面35aと前面34aには、スマートフォン設置部31にスマートフォン6を設置する際に、スマートフォンの下端を安定するために、傾斜が設けられている。
【0050】
図2を参照すると、スマートフォン設置部31に設けられた突起部35の高さ、従って支持壁面35aの高さH5は、8mm以上に設定することが好ましい。支持壁面35aの高さH5をこのように設定することで、スマートフォン設置部31に設置されたスマートフォン6の下端側のタッチパネル、ボタン、センサ等の操作が突起部35によって阻害されない。
【0051】
前述のように、スマートフォン設置部31は本体ケーシング3の正面視において右側に設けられている。スマートフォン設置部31を右側に設けることで、右利きの被測定者にとってスマートフォン設置部31に設置されたスマートフォン6の操作性が向上する。
【0052】
以下、カフ収納部33について説明する。
【0053】
図1~9を参照すると、本実施形態におけるカフ収納部33は、平面視でトラック形状を呈する上端に開口33aを備える筒状であって、開口33aはカフ収納部33に着脱可能な蓋41によって閉じられている。蓋41は平坦の頂壁41aと、頂壁41aの周縁から延びる周壁41bとを備えている。蓋41は着脱可能なものに限定されず開口33aを開閉可能に閉じることができればよく、例えばスライド式や、ヒンジ式、可撓性を有する薄肉部を介してカフ収容部31に連結されたもの等であってもよい。
【0054】
図2,3,7,9を参照すると、カフ収納部33の正面視で右側の側部には、カフ収納部33からカフ4を取り出す際に、カフ4に一端が接続されたチューブ42を挿通させるための上下方向に延びるスリット33bが設けられている。チューブ42の他端にはコネクタ43に接続されている。チューブ42は、このコネクタ43を介して空気配管18に接続されている。
図9に示すように、コネクタ43はカフ収納部33と電装部品収容部32との間の隔壁44に設けられた貫通孔であるコネクタ取付部44aに取り付けられている。スリット33bの下端33cはコネクタ取付部44よりも低い位置に位置している。そのため、蓋41の解放時にカフ収納部33内に水が侵入した場合でも、侵入した水はスリット33bの下端33cからカフ収納部33外に排出され、コネクタ取付部44から血圧計1の内部、より具体的には電装部品収容部32内への水が流入するのを防止できる。
【0055】
本体ケーシング3に、カフ収納部33とスマートフォン設置部31の両方が設けられている。言い換えれば、カフ収納部33とスマートフォン設置部31が本体ケーシング3に一体的に設けられている。そのため、カフ収納部33にカフ4を収納し、スマートフォン設置部31にスマートフォン6を設置した状態で、つまり本体ケーシング3、カフ4、及びスマートフォン6を一つにまとめた状態で容易に持ち運ぶことができる。特に、
図8に示すように、本体ケーシング3の背面に手を掛けるための窪み3aが設けられている。
【0056】
また、非使用時には、カフ収納部33に収納することでカフ4やチューブ43がむき出しのままとはならならず、外観が優れている。そのため、人目に触れないように収納する必要がなく、部屋に置いたままにできる。このように、本実施形態の血圧計1は、スマートフォン6で操作可能なだけでなく、持ち運びし易く外観が優れており、測定頻度の確保に資することができる。
【0057】
図1を参照すると、本実施形態では、前述した血圧測定奨励のための表示を行う第2表示部22は、パネル部34に設けられた第1表示部21とは異なり位置に、より具体的には電装部品収容部32の前面に設けられている。本実施形態では、第2表示部22を電装部品収容部32の前面の上部、より具体的には本体ケーシング3の最下端から最上端までの距離の1/2以上の高さH6に設けている。これは、第2表示部22の視認性を向上し、被測定者が血圧測定奨励のための表示に気が付き易くするためである。第2表示部22を設ける位置や高さは、視認性が確保できる限り特に限定されない。
【0058】
図16~19は、本実施形態の第1の変形例を示す。この変形例では、スマートフォン設置部31は突出部35(例えば
図1参照)に代えて、本体ケーシング3の幅方向に延びる溝部45を備えており、この溝部45のカフ収納部33とは反対側の溝壁が支持壁面45aを構成している。また、第1の変形例では、カフ収納部33の下方(
図19において符号19で示す)に、ポンプ等の電装部品を収容し、電装部品収容部32(例えば
図1参照)はなくしている。このように、カフ収納部33の下方に電装部品を収容することで、本体ケーシング3の奥行き方向の寸法を低減できる。
【0059】
図20~21は、本実施形態の第2の変形例を示す。この変形例では、スマートフォン設置部31は突出部35(例えば
図1参照)に代えて、パネル部34の手前側に設けられて本体ケーシング3の幅方向に延びる溝部45を備えており、この溝部45のカフ収納部33とは反対側の溝壁が支持壁面45aを構成している。また、第1の変形例では、パネル部34に、ポンプ等の電装部品を収容し、電装部品収容部32(例えば
図1参照)はなくしている。このように、パネル部34に電装部品を収容することでも、本体ケーシング3の高さを低減できる。
【符号の説明】
【0060】
1 血圧計
2 血圧計本体
3 本体ケーシング
4 カフ
6 スマートフォン(携帯端末)
7 CPU
8 メモリ
9 電源
10 圧力センサ
11 ポンプ
12 弁
13 電源コード
14 A/D変換回路
15 ポンプ駆動回路
16 弁駆動回路
17 圧力センサ
18 空気配管
19 通信部
20 操作部
21 第1表示部
22 第2表示部
31 スマートフォン設置部(携帯端末設置部)
31a,31b 逃げ部
32 電装部品収容部
33 カフ収納部
33a 開口
33b スリット
33c 下端
34 パネル部
34a 前面
35 突出部
35a 支持壁面
37 赤外線発光素子
38 赤外線受光素子
40 ケース
41 蓋
41a 頂壁
41b 周壁
42 チューブ
43 コネクタ
44 隔壁
45 溝部
45a 支持壁面