(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070551
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6556 20140101AFI20240516BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20240516BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240516BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240516BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240516BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240516BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20240516BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/6563
H01M10/625
H01M10/613
H01M50/204 401H
H01M50/209
H01M10/647
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181112
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内記 大輔
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031KK08
5H040AA28
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
(57)【要約】
【課題】防水・防塵機能を十分に確保しつつ、電池セルの冷却機能を発揮することが可能な電池パック、を提供する。
【解決手段】電池パック100は、積層される複数の電池セル11と、強制的な空気流れが形成されない内部空間70を区画形成し、内部空間70に複数の電池セル11を収容するケース体21と、ケース体21の外部に配置され、ケース体21に接続されるダクト体31と、ダクト体31に空気を流通させるための送風装置41とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層される複数の電池セルと、
強制的な空気流れが形成されない内部空間を区画形成し、前記内部空間に複数の前記電池セルを収容するケース体と、
前記ケース体の外部に配置され、前記ケース体に接続されるダクト体と、
前記ダクト体に空気を流通させるための送風装置とを備える、電池パック。
【請求項2】
前記ケース体は、複数の前記電池セルが載置される底部と、前記底部から立ち上がる側部とを有し、
前記ダクト体は、前記底部および前記側部の少なくともいずれか一方に接続される、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記ダクト体は、前記底部に接続され、
上面視において、前記ダクト体は、前記ケース体の周縁部から突出しないように設けられる、請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記ダクト体には、空気の流路を外部に開放する開口部が設けられ、
前記送風装置は、前記開口部がなす開口面と対向して配置されるファンを有する、請求項1または2に記載の電池パック。
【請求項5】
前記ファンは、前記ダクト体の内部に配置される、請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記ダクト体は、一方向に延伸し、
前記開口部は、前記一方向における前記ダクト体の一方端および他方端でそれぞれ開口する第1開口部および第2開口部を含み、
前記ファンは、前記第1開口部および前記第2開口部の少なくともいずれか一方がなす開口面と対向して配置される、請求項4に記載の電池パック。
【請求項7】
前記ダクト体は、一方向に延伸し、
前記開口部は、前記一方向における前記ダクト体の一方端および他方端でそれぞれ開口する第1開口部および第2開口部と、前記一方向における前記ダクト体の前記一方端および前記他方端の間で開口する第3開口部とを含み、
前記ファンは、前記第3開口部がなす開口面と対向して配置される、請求項4に記載の電池パック。
【請求項8】
複数の前記電池セルは、前記一方向に積層される、請求項7に記載の電池パック。
【請求項9】
前記ダクト体は、金属製の押し出し材からなる、請求項1または2に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2017-37751号公報(特許文献1)には、ケースと、ケース内に配置される組電池と、ケース内に形成される循環通路に熱交換用の流体を循環させるための内部送風機とを備える電池パックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示されるように、複数の電池セルを組み合わせてなる組電池を空冷により冷却する電池パックが知られている。このような電池パックにおいて、組電池を収容するケース体の外部から内部に冷却風を導く場合、ケース体に通風口を設ける必要がある。この場合、通風口を通じてケース体の内部に水または塵が侵入する可能性があるため、電池パックの防水・防塵機能を十分に確保できない。
【0005】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、防水・防塵機能を十分に確保しつつ、電池セルの冷却機能を発揮することが可能な電池パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]積層される複数の電池セルと、強制的な空気流れが形成されない内部空間を区画形成し、上記内部空間に複数の上記電池セルを収容するケース体と、上記ケース体の外部に配置され、上記ケース体に接続されるダクト体と、上記ダクト体に空気を流通させるための送風装置とを備える、電池パック。
【0007】
このように構成された電池パックによれば、電池セルを冷却するための冷媒である空気を流すダクト体を、ケース体の外部に配置しつつ、複数の電池セルを収容するケース体の内部空間を、強制的な空気流れが形成されない空間とする。これにより、ケース体に内部空間に対して空気を出入りさせるための通風口を設ける必要がないため、防水・防塵機能を十分に確保しつつ、電池セルの冷却機能を発揮することが可能な電池パックを実現できる。
【0008】
[2]上記ケース体は、複数の上記電池セルが載置される底部と、上記底部から立ち上がる側部とを有し、上記ダクト体は、上記底部および上記側部の少なくともいずれか一方に接続される、[1]に記載の電池パック。
【0009】
このように構成された電池パックによれば、複数の電池セルからの放熱を、ダクト体が接続されるケース体の底部および/または側部を通じて促進させることができる。
【0010】
[3]上記ダクト体は、上記底部に接続され、上面視において、上記ダクト体は、上記ケース体の周縁部から突出しないように設けられる、[2]に記載の電池パック。
【0011】
このように構成された電池パックによれば、ダクト体の設置に起因して、上面視における電池パックの体格が大きくなることを防止できる。
【0012】
[4]上記ダクト体には、空気の流路を外部に開放する開口部が設けられ、上記送風装置は、上記開口部がなす開口面と対向して配置されるファンを有する、[1]から[3]のいずれかに記載の電池パック。
【0013】
このように構成された電池パックによれば、ファンの回転時、開口部を通じてダクト体に取り込んだ空気を冷媒として、複数の電池セルからの放熱を促進させることができる。
【0014】
[5]上記ファンは、上記ダクト体の内部に配置される、[4]に記載の電池パック。
【0015】
このように構成された電池パックによれば、ファンを収容するためのケースを別途設ける必要がないため、送風装置を簡易に構成することができる。
【0016】
[6]上記ダクト体は、一方向に延伸し、上記開口部は、上記一方向における上記ダクト体の一方端および他方端でそれぞれ開口する第1開口部および第2開口部を含み、上記ファンは、上記第1開口部および上記第2開口部の少なくともいずれか一方がなす開口面と対向して配置される、[4]または[5]に記載の電池パック。
【0017】
このように構成された電池パックによれば、ダクト体に、その延伸方向における一方端および他方端の間を流通する空気流れを形成することによって、複数の電池セルからの放熱を促進させることができる。
【0018】
[7]上記ダクト体は、一方向に延伸し、上記開口部は、上記一方向における上記ダクト体の一方端および他方端でそれぞれ開口する第1開口部および第2開口部と、上記一方向における上記ダクト体の上記一方端および上記他方端の間で開口する第3開口部とを含み、上記ファンは、上記第3開口部がなす開口面と対向して配置される、[4]または[5]に記載の電池パック。
【0019】
このように構成された電池パックによれば、ダクト体に、その延伸方向における中間部と、一方端および他方端との間で流通する空気流れを形成することによって、複数の電池セルからの放熱を促進させることができる。
【0020】
[8]複数の上記電池セルは、上記一方向に積層される、[7]に記載の電池パック。
【0021】
このように構成された電池パックによれば、空気流れの上流側および下流側の間における空気の温度差に起因して、複数の電池セル間で冷却効率にばらつきが生じることを抑制できる。
【0022】
[9]上記ダクト体は、金属製の押し出し材からなる、[1]から[8]のいずれかに記載の電池パック。
【0023】
このように構成された電池パックによれば、ダクト体が金属の押し出し成形により製造されるため、ダクト体を簡易に製造することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上に説明したように、この発明に従えば、防水・防塵機能を十分に確保しつつ、電池セルの冷却機能を発揮することが可能な電池パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この発明の実施の形態における電池パックを示す断面図である。
【
図2】
図1中の電池パックを構成する電池セルを示す斜視図である。
【
図3】
図1中の電池パックを示す分解組み立て図である。
【
図4】
図1中の電池パックの第1変形例を示す断面図である。
【
図5】
図1中の電池パックの第2変形例を示す断面図である。
【
図6】
図1中の電池パックの第3変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0027】
図1は、この発明の実施の形態における電池パックを示す断面図である。
図2は、
図1中の電池パックを構成する電池セルを示す斜視図である。
図3は、
図1中の電池パックを示す分解組み立て図である。
【0028】
図1から
図3を参照して、電池パック100は、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)または電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などの車両の駆動用電源として用いられる。
【0029】
本明細書においては、電池パック100の構造を説明する便宜上、後述する複数の電池セル11の積層方向、かつ、水平方向に延びる軸を「Y軸」といい、Y軸に直交する方向、かつ、水平方向に延びる軸を「X軸」といい、上下方向に延びる軸を「Z軸」という。
【0030】
電池パック100は、複数の電池セル11を有する。複数の電池セル11は、Y軸方向に積層されている。電池セル11は、リチウムイオン電池である。電池セル11は、角形であり、直方体の薄板形状を有する。複数の電池セル11は、Y軸方向が電池セル11の厚み方向となるように積層されている。
【0031】
電池セル11は、外装体12を有する。外装体12は、直方体形状の筐体からなり、電池セル11の外観をなしている。外装体12には、電極体および電解液が収容されている。
【0032】
外装体12は、第1側面13と、第2側面14と、頂面15と、底面16とを有する。第1側面13および第2側面14の各側面は、Y軸に直交する平面からなる。第1側面13および第2側面14は、Y軸方向において、互いに反対側を向いている。第1側面13および第2側面14の各側面は、外装体12が有する複数の側面のうちで最も大きい面積を有する。
【0033】
頂面15および底面16の各面は、Z軸に直交する平面からなる。頂面15は、上方を向いている。底面16は、下方を向いている。頂面15には、外装体12の内部で発生したガスにより外装体12の内圧が所定値以上となった場合に、そのガスを外装体12の外部に排出するためのガス排出弁17が設けられている。
【0034】
電池セル11は、正極端子18Pおよび負極端子18Nが対となった電極端子18をさらに有する。電極端子18は、頂面15に設けられている。正極端子18Pおよび負極端子18Nは、X軸方向において、互いに離れて設けられている。正極端子18Pおよび負極端子18Nは、X軸方向におけるガス排出弁17の両側にそれぞれ設けられている。
【0035】
複数の電池セル11は、Y軸方向に隣り合う電池セル11,11の間において、第1側面13同士が向かい合わせとなり、第2側面14同士が向かい合わせとなるように積層されている。これにより、複数の電池セル11が積層されるY軸方向において、正極端子18Pと負極端子18Nとが、交互に並んでいる。Y軸方向に隣り合う電池セル11,11の間において、Y軸方向に並ぶ正極端子18Pと負極端子18Nとが、図示されないバスバーにより、互いに接続されている。複数の電池セル11は、互いに電気的に直列に接続されている。
【0036】
Y軸方向に積層された複数の電池セル11により、セル積層体10が構成されている。セル積層体10は、直方体形状をなしている。典型的な例として、Y軸方向におけるセル積層体10の長さは、Z軸方向におけるセル積層体10の長さよりも大きく、X軸方向におけるセル積層体10の長さよりも大きい。
【0037】
電池パック100は、ケース体21をさらに有する。ケース体21は、全体として、直方体形状の外観を有する箱体からなる。ケース体21は、金属から形成されている。ケース体21は、たとえば、鉄(鋼板)から形成されている。ケース体21は、ケース底部22と、ケース側部23と、ケース頂部24とを有する。
【0038】
ケース底部22は、ケース体21の底に配置されている。ケース底部22は、Z軸方向が厚み方向となり、X軸-Y軸平面に延在する板材からなる。ケース側部23は、ケース底部22の周縁から上方に向けて立ち上がり、その先で開口部をなしている。ケース頂部24は、Z軸方向において、ケース底部22と対向して配置されている。ケース頂部24は、ケース側部23がなす開口部を塞いでいる。ケース頂部24は、ボルト等を用いて、ケース側部23に締結されている。
【0039】
ケース体21は、内部空間70を区画形成している。内部空間70には、複数の電池セル11(セル積層体10)が収容されている。複数の電池セル11は、ケース底部22上に載置されている。電池セル11の底面16およびケース底部22の間には、伝熱部材が介挿されてもよい。伝熱部材は、接着性の材料(接着剤)から構成されてもよいし、非接着性の材料から構成されてもよい。複数の電池セル11は、Y軸方向における両端において、ケース側部23により拘束されている。ケース側部23は、複数の電池セル11に対して、Y軸方向における拘束力(圧縮力)を作用させている。
【0040】
内部空間70は、強制的な空気流れが形成されない空間である。強制的な空気流れとは、送風装置による空気流れを意味している。電池セル11の発熱に起因する空気の自然対流は、強制的な空気流れに対応していない。
【0041】
内部空間70は、密閉された空間である。内部空間70は、内部空間70と、内部空間70の外側の空間(外部空間)との間で空気の出入りが規制されるように、外部空間と遮断されている。ケース体21に内部空間70から外部空間に各種配線を引き出すための孔が設けられる場合であっても、その孔には、内部空間70の密閉を維持するためのコネクタ等が設けられている。
【0042】
電池パック100は、ダクト体31と、送風装置41(41A,41B)とをさらに有する。
【0043】
ダクト体31は、金属から形成されている。ダクト体31は、ケース体21と同種の金属から形成されてもよいし、ケース体21とは異種の金属から形成されてもよい。後者の場合に、ダクト体31を形成する金属の熱伝導率は、ケース体21を形成する金属の熱伝導率よりも大きくてもよい。ダクト体31は、たとえば、アルミニウムから形成されている。
【0044】
ダクト体31は、ケース体21の外部(外部空間)に配置されている。ダクト体31は、ケース体21に接続されている。ダクト体31は、ケース体21のケース底部22に接続されている。ダクト体31は、ボルト等を用いて、ケース体21に締結されてもよいし、接着剤を用いて、ケース体に接合されてもよい。ケース体21およびダクト体31の間には、伝熱性の樹脂シート等が介挿されてもよい。
【0045】
ダクト体31は、空気が流通可能な通風路80を区画形成している。通風路80は、内部空間70と非連通である。ダクト体31(通風路80)は、電池セル11の積層方向であるY軸方向に延びている。
【0046】
なお、通風路80の経路は、特に限定されない。通風路80は、たとえば、+Y軸方向および-Y軸方向に交互に反転して延びるように蛇行してよいし、電池セル11の積層方向に直交するX軸方向に延びてもよい。また、ダクト体31により、互いに独立して延びる複数本の通風路80が区画形成されてもよい。
【0047】
ダクト体31は、開口部32(32A,32B)を有する。開口部32は、通風路80を外部空間に向けて開放している。開口部32A(第1開口部)は、+Y軸方向におけるダクト体31の端部で開口している。開口部32B(第2開口部)は、-Y軸方向におけるダクト体31の端部で開口している。通風路80は、開口部32Aおよび開口部32Bの間で一方向に延びている。
【0048】
上面視において、ダクト体31は、ケース底部22の周縁部から突出しないように設けられている。X軸方向におけるケース底部22およびダクト体31の長さが、それぞれ、HaおよびHbであり、Y軸方向におけるケース底部22およびダクト体31の長さが、それぞれ、LaおよびLbである場合に、Hb≦HaおよびLb≦Laの関係を満たす。このような構成によれば、ダクト体31の設置に起因して、上面視における電池パック100の体格が大きくなることを防止できる。
【0049】
特に本実施の形態では、ダクト体31が、ケース側部23におけるケース体21の側面と、ダクト体31の開口部32(32A,32B)がなす開口面とが面一となるように設けられている。このような構成により、空気が流通する通風路80と、ダクト体31とが上下に重畳するY軸方向の範囲を最大限確保することができる。
【0050】
ダクト体31は、金属製(アルミニウム製)の押し出し材からなる。ダクト体31は、押し出し成形法により製造されている。ダクト体31がX軸-Z軸平面により切断された場合に、Y軸方向における全ての切断位置において、ダクト体31の断面形状が同一となる。このような構成によれば、熱伝導性に優れたダクト体31を簡易に製造することができる。
【0051】
送風装置41は、ダクト体31に空気を流通させるように構成されている。送風装置41は、ファン42と、モータ(不図示)とを有する。ファン42は、モータからの回転を受けて回転駆動される。
【0052】
送風装置41Aのファン42は、開口部32Aがなす開口面と対向して配置されている。送風装置41Bのファン42は、開口部32Bがなす開口面と対向して配置されている。ファン42は、ダクト体31の内部(通風路80)に設けられている。送風装置41Aのファン42は、複数の電池セル11のうちの、+Y軸方向における最端部に配置される電池セル11の直下に配置されてもよい。送風装置41Bのファン42は、複数の電池セル11のうちの、-Y軸方向において最端部に配置される電池セル11の直下に配置されてもよい。送風装置41Aおよび送風装置41Bのファン42が回転駆動されることによって、通風路80には、外部空間から開口部32Bを通じて流入し、+Y軸方向に流れ、開口部32Aを通じて外部空間に流出する空気流れが形成される。
【0053】
なお、ダクト体31には、送風装置41Aおよび送風装置41Bのいずれか一方のみが設けられてもよい。
【0054】
本実施の形態では、複数の電池セル11で発生した熱を、ケース体21からダクト体31内を流通する空気を介して放熱することにより、電池セル11の冷却機能を発揮することができる。この場合に、ダクト体31を、ケース体21の外部に配置しつつ、複数の電池セル11を収容するケース体21の内部空間70を、強制的な空気流れが形成されない空間とすることによって、ケース体21に通風口を設ける必要がなくなる。これにより、水または塵が通風口を通じて内部空間70に侵入することがないため、電池パック100における防水・防塵機能を十分に確保することができる。
【0055】
また、送風装置41のファン42は、ダクト体31の内部(通風路80)に設けられている。このような構成により、送風装置41にファン42を収容するためのケースが備わる必要がないため、送風装置41を簡易に構成することができる。
【0056】
図4は、
図1中の電池パックの第1変形例を示す断面図である。
図4を参照して、本変形例では、ダクト体31が、開口部32(32A,32B,32C)を有する。開口部32C(第3開口部)は、+Y軸方向におけるダクト体31の端部と、-Y軸方向におけるダクト体31の端部との間で開口している。Y軸方向における開口部32Aおよび開口部32Cの間の距離は、Y軸方向における開口部32Bおよび開口部32Cの間の距離と等しい。開口部32Cは、Z軸方向においてダクト体31の壁部を貫通する貫通孔から構成されている。開口部32Cは、X軸方向においてダクト体31の壁部を貫通する貫通孔から構成されてもよい。
【0057】
電池パックは、送風装置41(41C)を有する。送風装置41Cのファン42は、開口部32Cがなす開口面と対向して配置されている。送風装置41Cのファン42は、ダクト体31の内部(通風路80)に設けられている。送風装置41Cのファン42が回転駆動されることによって、外部空間から開口部32Cを通じて通風路80に空気が流入する。通風路80には、開口部32Cから+Y軸方向に流れ、開口部32Aを通じて外部空間に流出する空気流れと、開口部32Cから-Y軸方向に流れ、開口部32Bを通じて外部空間に流出する空気流れとが形成される。
【0058】
複数の電池セル11からの熱が、通風路80を流通する空気に徐々に伝達する。このため、通風路80における空気流れの下流側の空気の温度が、上流側の空気の温度よりも高くなって、複数の電池セル11間で冷却効率にばらつきが生じる原因となる。また、ケース体21を介した複数の電池セル11からの放熱は、積層方向の中間部に配置される電池セル11よりも積層方向の端部に配置される電池セル11の方が効率的に進むため、複数の電池セル11間で冷却効率にばらつきが生じる原因となる。
【0059】
本変形例では、通風路80において、電池セル11の積層方向の中間部から両端部に向けて空気を流通させるため、複数の電池セル11間で冷却効率にばらつきが生じることを抑制できる。
【0060】
図5は、
図1中の電池パックの第2変形例を示す断面図である。
図4を参照して、本変形例では、ファン42が、ダクト体31の外部に設けられている。
【0061】
送風装置41は、ファン42と、モータ(不図示)と、ファンケース43とを有する。ファン42は、ファンケース43に収容されている。ファンケース43は、Y軸方向に延びる筒形状を有する。ファンケース43は、ダクト体31に接続されている。送風装置41Aのファンケース43は、+Y軸方向におけるダクト体31の端部に接続されている。送風装置41Bのファンケース43は、-Y軸方向におけるダクト体31の端部に接続されている。
【0062】
図6は、
図1中の電池パックの第3変形例を示す断面図である。
図6を参照して、本変形例では、電池パックが、ダクト体31(31A,31B)を有する。ダクト体31は、ケース体21のケース側部23に接続されている。ダクト体31Aおよびダクト体31Bは、それぞれ、Y軸方向に対向する一対のケース側部23に接続されている。ダクト体31は、X軸方向に延びる通風路80を区画形成している。
【0063】
なお、ケース体21に対するダクト体31の接続場所は、特に限定されない。ダクト体31は、たとえば、Y軸方向に対向する一対のケース側部23と、X軸方向に対向する一対のケース側部23とを周回するように設けられてもよいし、ケース体21のケース底部22およびケース側部23の両方に対して設けられてもよい。
【0064】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
10 セル積層体、11 電池セル、12 外装体、13 第1側面、14 第2側面、15 頂面、16 底面、17 ガス排出弁、18 電極端子、18N 負極端子、18P 正極端子、21 ケース体、22 ケース底部、23 ケース側部、24 ケース頂部、31,31A,31B ダクト体、32,32A,32B,32C 開口部、41,41A,41B,41C 送風装置、42 ファン、43 ファンケース、70 内部空間、80 通風路、100 電池パック。