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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070553
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】車両の運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/04 20060101AFI20240516BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20240516BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240516BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
B60W40/04
B60W30/10
G08G1/09 V
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181121
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 和明
(72)【発明者】
【氏名】宇賀神 槙吾
(72)【発明者】
【氏名】小林 寛人
(72)【発明者】
【氏名】林 利寛
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA51
3D241BB16
3D241BB37
3D241BC01
3D241BC02
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD07
3D241CE05
3D241DB02Z
3D241DB20Z
3D241DC02Z
3D241DC03Z
3D241DC26Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181MB04
(57)【要約】
【課題】追越制御にて先行車を自動的に追越そうとするに際し、自車両と先行車と隣接する車線を走行する車両との関係からスムーズな追越が実現できるようにする。
【解決手段】運転支援制御ユニットは、追越制御にて先行車を自動的に追越そうとするに際し、自車両と隣車線車との位置関係及び相対車速に基づき自車両を隣車線車の前方或いは後方へ車線変更させる1回目のALC制御及び先行車を追越して隣車線から元の車線へ復帰させる2回目のALC制御を実行する追越スケジュールを生成し(S5)、生成した追越スケジュールに従って追越制御を実行させる(S9)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両周辺の走行環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記環境情報取得部で取得した前記走行環境情報に基づいて検出した自車両の直前を走行する先行車及び隣車線を走行する隣車線車との相対車速及び位置関係に基づいて追越制御を実行させる追越制御部と
を備える車両の運転支援装置において、
前記追越制御部は、
前記追越制御を開始する前に、前記自車両と前記隣車線車との位置関係及び相対車速に基づき該自車両を該隣車線車の前方或いは後方へ車線変更させる1回目の自動車線変更制御及び前記先行車を追越して該隣車線から元の車線へ復帰させる2回目の自動車線変更制御を実行する追越スケジュールを事前に生成する追越スケジュール生成部と、
前記追越スケジュール生成部で生成した前記追越スケジュールに従って前記追越制御を自動的に実行させる追越制御実行部と
を備えることを特徴とする車両の運転支援装置。
【請求項2】
前記自車両の車速を検出する自車速検出部を有し、
前記追越制御部は、
前記自車速検出部で検出した前記自車両の車速に基づいて該自車両の後端から前方に安全エリアとしての自車不可侵エリアを設定する自車不可侵エリア設定部と、
前記環境情報取得部で取得した前記走行環境情報に基づいて検出した前記先行車の車速から該先行車の後端から前方に安全エリアとしての先車不可侵エリアを設定する先車不可侵エリア設定部と、
前記環境情報取得部で取得した前記走行環境情報に基づいて検出した前記隣車線車の車速から該隣車線車の後端から前方に安全エリアとしての隣車不可侵エリアを設定する隣車不可侵エリア設定部と
を更に備え、
前記追越スケジュール生成部は、前記自車両の車速が前記隣車線車の車速よりも速く且つ前記自車不可侵エリア設定部で設定した前記自車不可侵エリアが前記隣車不可侵エリア設定部で設定した前記隣車不可侵エリアの後方に位置する場合は前記1回目の自動車線変更制御を中止する追越スケジュールを生成する
ことを特徴とする請求項1記載の車両の運転支援装置。
【請求項3】
前記各不可侵エリア設定部で設定する前記各不可侵エリアは予め設定した第1衝突余裕時間と現在の車速とに基づいて設定する
ことを特徴とする請求項2記載の車両の運転支援装置。
【請求項4】
前記各不可侵エリア設定部で設定する前記各不可侵エリアの前部と後部の四隅に、前記第1衝突余裕時間よりも短い第2衝突余裕時間と車速とに基づいてカット部が設定されている
ことを特徴とする請求項3記載の車両の運転支援装置。
【請求項5】
前記1回目の自動車線変更制御を開始するに際して前記先行車の車速が前記自車両の車速よりも速い場合は該1回目の自動車線変更制御を中断し、又前記1回目の自動車線変更制御により前記自車両を前記隣車線車の後方に車線変更させた後に前記2回目の自動車線変更制御を開始するに際して前記隣車線車の車速が前記自車両の車速よりも遅い場合は該2回目の自動車線変更制御を中断する追越制御中断判定部
を更に有することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の車両の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事前に生成した追越スケジュールに従って先行車を追越すようにした車両の運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者が走行中において自車両を車線変更させようとする場合、先ず、運転者はウインカスイッチをONし、車線変更しようとする側のウインカを点灯させ、自車両の走行車線、及び変更先の車線を走行する後続車に対して、自車両が車線変更する旨の意思を表示する。
【0003】
又、最近の車両用運転支援装置には、システムが運転者の車線変更の意思を認識し、適正なタイミングで車線変更を開始させる自動車線変更(ALC:Auto Lane Changing)制御機能を備えたものが知られている。このALC制御には、運転者が車線変更しようとウインカスイッチをONし、システムに対し車線変更を指示することで、システムがALC制御を開始する運転者指示タイプと、システムが運転者に対し車線変更を提案し、運転者がそれを承認すると、システムがALC制御を開始する運転者承認タイプとがある。
【0004】
運転者承認タイプのALC制御として、例えば、特許文献1(特開2016-71514号公報)には、システムが車線変更を提案して、所定時間経過するまでに運転者がウインカレバーの操作(キャンセル操作)を行わない場合は、ALC制御に同意したと判定し、車線変更側のウインカランプを点灯させる。又、所定時間内に運転者がウインカレバーを操作した場合は、車線変更の提案に対して非同意(キャンセル)と判定して、ウインカランプを点灯させないようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-71514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、自車両が先行車に対して追従走行している際に、先行車が右左折のために減速、或いは停車しようとしている場合、運転者は先行車を追越そうとする動作を制御ユニットに要求する場面がある。
【0007】
このような場合、上述した特許文献1に開示されている従来のALC制御では、隣車線に車線変更できるか否か、すなわち、隣車線を走行する車両(隣車線車)が検出されているか否かを調べ、隣車線車が検出されず車線変更が可能な場合は、ALC制御を開始する。そして、隣車線への車線変更が完了した後、自車両を元の車線に車線復帰させようとするに際しては、再度、ALC制御が車線変更可能か否か、すなわち、自車両を先行車の前方に復帰させることができるか否かを調べる。そして、車線復帰可能と判定した場合にALC制御を開始する。
【0008】
このように、従来のALC制御では、先行車を追越そうとする場合、先ず隣車線への車線変更の可否を判定し、可能な場合は1回目のALC制御を実行する。そして、1回目のALC制御が完了した後、復帰車線への車線変更が可能か否かを判定して、2回目のALC制御を行っている。そのため、1回目のALC制御から2回目のALC制御へ移行するに際し、運転者にもたつき感を与えてしまう不都合がある。
【0009】
又、ALC制御では、1回目のALC制御が可能と判定した場合には、1回目のALC制御は実行されるが、隣車線車との関係で2回目のALC制御が困難と判定された場合、元の車線への車線復帰は中断される。その結果、自車両が元の車線に復帰されなくなり、運転者の期待感が損なわれて不快感を与えてしまう。
【0010】
本発明は、追越制御にて先行車を自動的に追越そうとするに際し、自車両と先行車と隣車線を走行する隣車線両との関係からスムーズな追越しが実現でき、運転者に与えるもたつき感や不快感を軽減することのできる車両の運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、自車両周辺の走行環境情報を取得する環境情報取得部と、前記環境情報取得部で取得した前記走行環境情報に基づいて検出した自車両の直前を走行する先行車及び隣車線を走行する隣車線車との相対車速及び位置関係に基づいて追越制御を実行させる追越制御部とを備える車両の運転支援装置において、前記追越制御部は、前記追越制御を開始する前に、前記自車両と前記隣車線車との位置関係及び相対車速に基づき該自車両を該隣車線車の前方或いは後方へ車線変更させる1回目の自動車線変更制御及び前記先行車を追越して該隣車線から元の車線へ復帰させる2回目の自動車線変更制御を実行する追越スケジュールを事前に生成する追越スケジュール生成部と、前記追越スケジュール生成部で生成した前記追越スケジュールに従って前記追越制御を自動的に実行させる追越制御実行部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、追越制御部は、追越制御を開始する前に、自車両と隣車線車との位置関係及び相対車速に基づき自車両を隣車線車の前方或いは後方へ車線変更させる1回目の自動車線変更制御及び先行車を追越して隣車線から元の車線に復帰させる2回目の自動車線変更制御を実行する追越スケジュールを事前に生成し、この追越スケジュールに従って追越制御を自動的に実行させるようにしたので、追越制御で先行車を自動的に追越そうとするに際し、自車両と先行車と隣車線を走行する隣車線車との関係からスムーズな追越が実現でき、運転者に与えるもたつき感や不快感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】運転支援装置の概略構成図
図2】追越制御ルーチンを示すフローチャート
図3】先行車/隣車線車情報取得サブルーチンを示すフローチャート
図4】追越条件判定サブルーチンを示すフローチャート
図5】自車両/先行車相対車速判定サブルーチンを示すフローチャート
図6】自車両/隣車線車相対車速判定サブルーチンを示すフローチャート
図7】先行車/隣車線車相対車速判定サブルーチンを示すフローチャート
図8】車線変更開始条件予測サブルーチンを示すフローチャート
図9】車線変更完了条件予測サブルーチンを示すフローチャート
図10】車線復帰開始条件予測サブルーチンを示すフローチャート
図11】追越スケジュールの第1追越モードの初期位置を示す説明図
図12】追越スケジュールの第2追越モードの初期位置を示す説明図
図13】追越スケジュールの第3追越モードの初期位置を示す説明図
図14】追越スケジュールの第4追越モードの初期位置を示す説明図
図15】追越スケジュールの第5追越モードの初期位置を示す説明図
図16】追越スケジュールの第6追越モードの初期位置を示す説明図
図17】追越スケジュールの第7追越モードの初期位置を示す説明図
図18】追越スケジュールの第8追越モードの初期位置を示す説明図
図19】追越スケジュールの第9追越モードの初期位置を示す説明図
図20】追越スケジュールの第10追越モードの初期位置を示す説明図
図21】追越スケジュールの第11追越モードの初期位置を示す説明図
図22】追越スケジュールの第12追越モードの初期位置を示す説明図
図23】追越スケジュールの第13追越モードの初期位置を示す説明図
図24】追越スケジュールの第14追越モードの初期位置を示す説明図
図25】追越スケジュールの第15追越モードの初期位置を示す説明図
図26】追越スケジュールの第16追越モードの初期位置を示す説明図
図27】追越スケジュールの第17追越モードの初期位置を示す説明図
図28】追越スケジュールの第18追越モードの初期位置を示す説明図
図29】追越スケジュールの第19追越モードの初期位置を示す説明図
図30】追越スケジュールモードマップの概念図
図31A】追越スケジュールモードマッブの第12追越モードで先行車を追越す際の車線変更タイミングを示す説明図(その1)
図31B】追越スケジュールモードマッブの第12追越モードで先行車を追越す際の車線変更タイミングを示す説明図(その2)
図32A】追越スケジュールモードマッブの第13追越モードで先行車を追越す際の車線変更タイミングを示す説明図(その1)
図32B】追越スケジュールモードマッブの第13追越モードで先行車を追越す際の車線変更タイミングを示す説明図(その2)
図33A】追越スケジュールモードマッブの第14追越モードで先行車を追越す際の車線変更タイミングを示す説明図(その1)
図33B】追越スケジュールモードマッブの第14追越モードで先行車を追越す際の車線変更タイミングを示す説明図(その2)
図34A】追越制御中断判定ルーチンを示すフローチャート(その1)
図34B】追越制御中断判定ルーチンを示すフローチャート(その2)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。図1に示す車両(自車両)Mには、運転支援装置1が搭載されている。この運転支援装置1に運転支援制御ユニット11が備えられている。この運転支援制御ユニット11は、CPU、RAM、ROM、書き換え可能な不揮発性メモリ(フラッシュメモリ又はEEPROM)、及び周辺機器を備えるマイクロコントローラで構成されている。ROMにはCPUにおいて各処理を実行させるために必要なプログラムや固定データ等が記憶されている。又、RAMはCPUのワークエリアとして提供され、CPUでの各種データが一時記憶される。尚、CPUはMPU(Microprocessor)、プロセッサとも呼ばれている。又、CPUに代えてGPU(Graphics Processing Unit)やGSP(Graph Streaming Processor)を用いても良い。或いはCPUとGPUとGSPとを選択的に組み合わせて用いても良い。
【0015】
この運転支援制御ユニット11の入力側に、前方認識センサ21、運転者がALC(Auto Lane Changing)制御を選択する際にONするALCスイッチ22、自車両Mの車速(自車速)を検出する自車速検出部としての車速センサ23、前側方センサ24、後側方センサ25、運転者が車線変更等の進路変更を行うに際し、進路変更側のスイッチをONするウインカスイッチ26等が接続されている。
【0016】
ここで、前方認識センサ21は、メインカメラ21aとサブカメラ21bとからなるステレオカメラと、画像処理ユニット(IPU)21cとを有し、両カメラ21a,21bで撮像した自車前方の走行環境画像がIPU21cで所定に画像処理された後、運転支援制御ユニット11に送信される。尚、ステレオカメラは前方走行環境を認識するセンサの例示であり、前方走行環境を認識できるものであれば、前方認識センサ21は、ステレオカメラに代えて、ミリ波レーダ、音波レーダ、LiDAR(Light detection and Ranging)等を適用してもよく、更には、これらと単眼カメラとを組み合わせて採用しても良い。或いは、対象物と自車両Mの距離が検出できるものであれば単眼カメラ単体であっても良い。
【0017】
又、前側方センサ24と後側方センサ25は、カメラ、ミリ波センサ、マイクロ波センサ、LiDAR等であり、前側方センサ24はフロントバンパの左右側部にそれぞれ配設され、後側方センサ25はリヤバンパの左右側部にそれぞれ配設されている。この各センサ24,25は上述した前方認識センサ21からの画像では認識することの困難な左右斜め前方、及び左右斜め後方の領域を監視する。尚、前方認識センサ21、前側方センサ24、後側方センサ25が、本発明の走行環境情報を取得する環境情報取得部に対応している。
【0018】
一方、運転支援制御ユニット11の出力側に、ウインカランプ31、加減速制御部32、ブレーキ制御部33、操舵制御部34、及び報知装置35等が接続されている。ここで、ウインカランプ31は、車線変更等の進路変更を行うに際し、進路変更方向のランプを点灯させて外部に知らせるもので、自車両Mの車幅方向左右であって、車体前後に配設されている。
【0019】
加減速制御部32は、自車両Mに搭載されているエンジンや電動モータ等の駆動源の出力を制御するものである。ブレーキ制御部33は各車輪に設けられているブレーキホイールシリンダに対して供給するブレーキ油圧を調整することで、各車輪に発生するブレーキ力を制御するものである。操舵制御部34は電動パワステ(EPS)モータによって発生する操舵トルクを制御するものである。又、報知装置35はモニタ、スピーカ等で構成されており、例えば、運転支援制御ユニット11がALC制御を実行するに際し、その旨を運転者に報知する。
【0020】
運転支援制御ユニット11は、前方認識センサ21で認識した前方走行環境情報に基づいて自車両Mと同一車線であって直前を走行する車両(以下、「先行車」と称する)Aや、自車両Mの前方であって隣車線を走行する車両(以下、「隣車線車」と称する)B等の情報(自車両Mとの距離、相対車速等)を取得する。
【0021】
更に、運転支援制御ユニット11は、前側方センサ24と後側方センサ25で検出した情報に基づき、自車両Mの直前や後方を走行する隣車線車B、及び自車両Mと並走する隣車線車Bの情報(自車両Mとの距離、相対車速等)を取得する。尚、本実施形態では右側通行規制の道路を前提に説明する。従って、左側通行規制の道路では、左右が逆の説明となる。
【0022】
更に、運転支援制御ユニット11が備える追越制御は、隣車線へ車線変更させる1回目のALC制御と、隣車線か元の車線へ復帰させる2回目のALC制御とを連続して行わせる。又、運転支援制御ユニット11は追越制御を自動的に実行するに際し、1回目のALC制御を開始する前に、自車両Mと先行車Aと隣車線車Bとの関係に基づいて追越スケジュールを生成しておく。そして、運転支援制御ユニット11は、事前に生成した追越スケジュールに従って1回目のALC制御と2回目のALC制御とを実行させる。
【0023】
運転支援制御ユニット11による追越スケジュールの生成、及び追越制御は、図2に示す追越制御ルーチンに従って実行される。尚、このルーチンでの処理が、本発明の追越制御部に対応している。
【0024】
このルーチンはシステムが起動した後、繰り返し実行され、先ず、ステップS1で、前方認識センサ21で取得した前方走行環境情報に基づき、自車両Mと同一の車線を走行する直前の先行車Aを認識したか否かを調べる。そして、先行車Aが認識されている場合、ステップS2へ進む、又、先行車Aが認識されていない場合はルーチンを抜ける。
【0025】
ステップS2へ進むと、前側方センサ24、後側方センサ25で検出した情報に基づいて隣車線に隣車線車Bが検出されているか否かを調べる。そして、隣車線車Bが検出されている場合は、ステップS3へ進む。又、隣車線車Bが検出されていない場合はルーチンを抜ける。
【0026】
ステップS3へ進むと、先行車/隣車線車情報を取得して、ステップS4へ進む。ステップS4へ進むと、追越条件判定処理を実行してステップS5へ進む。ステップS5では、追越スケジュールを生成してステップS6へ進む。尚、ステップS5での処理が、本発明の追越スケジュール生成部に対応している。
[先行車/隣車線車情報取得]
ステップS3での処理は、図3に示す先行車/隣車線車情報取得サブルーチンに従って行われる。このサブルーチンでは、先ず、ステップS11で、先行車Aの車速(先行車速)VA、及び隣車線車Bの車速(隣車線車速)VBを算出する。先行車速VAは、車速センサ23で検出した自車速VMと、前方認識センサ21で取得した前方走行環境情報に基づいて検出した自車両Mと先行車Aとの車間距離の変化とに基づいて算出する。
【0027】
又、隣車線車速VBは、自車速VMと、前側方センサ24或いは後側方センサ25で検出した隣車線車Bと自車両Mとの進行方向における車間距離の変化に基づいて算出する。尚、この車速VA,VMは先行車A、隣車線車Bとの車々間通信により取得しても良い。
【0028】
次いで、ステップS12へ進み、各車両M,A,Bの不可侵エリアAM,AA,ABを設定する。尚、このステップS12での処理に、本発明の自車不可侵エリア設定部と先車不可侵エリア設定部と隣車不可侵エリア設定部とが含まれている。
【0029】
図11に示すように、各不可侵エリアAM,AA,ABは自車両Mと先行車A及び隣車線車Bとの接近限界、すなわち、自動運転においてこれ以上の侵入を許可しない領域である。この各不可侵エリアAM,AA,ABの幅WM,WA,WBは、左右の区画線間の幅(走行車線幅)に設定されている。この走行車線幅は、各センサ23~25からの情報に基づいて取得する。或いは、自動運転時に読込む高精度道路地図情報から取得するようにしても良い。
【0030】
この各不可侵エリアAM,AA,ABの後部は、車両M,A,Bの後端部に設定されている。又、各不可侵エリアAM,AA,ABの車両M,A,Bの前端からの前方距離LM,LA,LBは、安全時間として設定する第1衝突余裕時間(TTC:Time-To-Collision)と現在の車速VA,VM,VBとに基づいて設定される。本実施形態では、第1衝突余裕時間をTTC=3[sec]に設定しているが、これに限定されるものではない。因みに、TTC=距離/車速である。
【0031】
例えば、車速VA,VM,VBが60[Km/h]、TTC=3[sec]の場合、前方距離LM,LA,LBは50[m]となる。従って、この各不可侵エリアAM,AA,ABの前後方向の長さは、前方距離LM,LA,LBに各車両M,A,Bの全長を加算した値に設定される。尚、自車両Mの全長は予め設定されている固定値である。又、先行車Aと隣車線車Bの全長は、6[m]等の固定値であっても良いが、車幅と車高から推定するようにしても良い。
【0032】
又、この各不可侵エリアAM,AA,ABの四隅に、第2衝突余裕時間としてTTC=1[sec]分のカット部AMc,AAc,ABcが設定されている(図11参照)。各不可侵エリアAM,AA,ABのカット部AMc,AAc,ABcは、車線変更に際し、自車両Mの不可侵エリア(以下、「自車不可侵エリア」と称する)AMと先行車Aの不可侵エリア(以下、「先車不可侵エリア」と称する)AA、及び隣車線車Bの不可侵エリア(以下、「隣車不可侵エリア」と称する)ABとのラップが許容される部分である。
【0033】
次いで、ステップS13へ進み、自車両Mと先行車Aとの不可侵エリアAM,AAのエリア間距離L_A、及び自車両Mと隣車線車Bとの隣車不可侵エリアABの進行方向のエリア間距離L_B(図11参照)と自車速VMと、先行車速VA及び隣車線車速VBと相対車速に基づいて、不可侵エリアAM,AA、及び不可侵エリアAM,ABが重なる迄に要するラップ時間TTC_A,TTC_Bを算出して、図2のステップS4へ進む。
[追越条件判定]
そして、図2のステップS4へ進むと、運転支援制御ユニット11は追越条件を判定する。この追越条件は、1回目のALC制御が開始される前の自車両Mと先行車A及び隣車線車Bとの相対車速、及び位置関係から、1回目のALC制御時、及び2回目のALC制御時における自車両Mと先行車A及び隣車線車Bとの位置関係を予測する。
【0034】
この追越条件の判定は、図4に示す追越条件判定サブルーチンに従って実行される。このサブルーチンでは、先ず、ステップS21で自車両Mと先行車Aとの相対速度を判定する。この相対速度の判定は、図5に示す自車両(M)/先行車(A)相対速判定サブルーチンに従って処理される。
【0035】
このサブルーチンでは、ステップS31,S32で、自車速VMと先行車速VAとを比較する。そして、VM=VA、或いはVM<VAの場合、自車両Mは先行車Aを追越す必要はないと判定し、ステップS33へ進む。又、VM<VAの場合、自車両Mは先行車Aを追越す可能性ありと判定してステップS34へ進む。
【0036】
ステップS33へ進むと、M/A相対速フラグFMAを1にセットして(FMA←1)、図4のステップS22へ進む。又、ステップS34へ進むと、M/A相対速フラグFMAを2にセットして(FMA←2)、図4のステップS22へ進む。
【0037】
図4のステップS22へ進むと、自車両Mと隣車線車Bとの相対車速を判定する。この相対車速の判定は、図6に示す自車両(M)/隣車線車(A)相対車速判定サブルーチンに従って実行される。
【0038】
このサブルーチンでは、先ず、ステップS41,S42で、自車速VMと隣車線車速VBとを比較する。そして、VM=VBの場合、ステップS43へ進む。又、VM>VBの場合、ステップS44へ進む。更に、VM<VBの場合、ステップS45へ進む。
【0039】
ステップS43へ進むと、M/B相対速フラグFMBを1にセットして(FMB←1)、図4のステップS23へ進む。又、ステップS44へ進むと、M/B相対速フラグFMBを2にセットして(FMB←2)、図4のステップS23へ進む。更に、ステップS45へ進むと、M/B相対速フラグFMBを3にセットして(FMB←3)、図4のステップS23へ進む。
【0040】
図4のステップS23へ進むと、先行車Aと隣車線車Bとの相対車速を判定する。この相対車速の判定は、図7に示す先行車(A)/隣車線車(B)相対車速判定サブルーチンに従って実行される。
【0041】
このサブルーチンでは、先ず、ステップS51,S52で、先行車速VAと隣車線車速VBとを比較する。そして、VA=VBの場合、ステップS53へ進む。又、VA>VBの場合、ステップS54へ進む。更に、VA<VBの場合、ステップS55へ進む。
【0042】
ステップS53へ進むと、A/B相対速フラグFABを1にセットして(FAB←1)、図4のステップS24へ進む。又、ステップS54へ進むと、A/B相対速フラグFABを2にセットして(FAB←2)、図4のステップS24へ進む。更に、ステップS55へ進むと、M/B相対速フラグFABを3にセットして(FAB←3)、図4のステップS24へ進む。
【0043】
図4のステップS24へ進むと、このステップS24~S26において、運転支援制御ユニット11がALC制御により、自車両Mの車線変更を開始させ、その後、先行車Aを追越して、先行車Aの前方へ車線復帰させる迄の追越スケジュールを生成する際に必要とする条件を調べる。
【0044】
ところで、運転支援制御ユニット11で実行される追越制御は、事前に生成されている追越スケジュールに従って、1回目のALC制御、及び2回目のALC制御が実行される。1回目のALC制御を実行するに際しては、先ず、車線変更する側のウインカランプ31をONさせて、3[sec]間、先行車Aの後方を走行する。
【0045】
そして、3[sec]経過した後、1回目のALC制御にて隣車線への車線変更を開始させる。この車線変更は、5[sec]で完了させる。その際、1回目のALC制御では、少なくとも、自車不可侵エリアAMの前部に設定されているカット部AMcが先車不可侵エリアAAの後部に設定されているカット部AAcにラップする前に開始させる。
【0046】
その後、運転支援制御ユニット11は、自車不可侵エリアAMの後部に設定したカット部AMcが、先車不可侵エリアAAの前部に設定したカット部AAcと進行方向においてラップする位置を過ぎるまで、隣車線の走行を継続させる。そして、運転支援制御ユニット11は、自車不可侵エリアAMの後部に設定したカット部AMcが、先車不可侵エリアAAの前部に設定したカット部AAcとラップする位置を過ぎた後、自車両Mを先行車Aの前方へ車線復帰させるべく2回目のALC制御を開始させる。
【0047】
又、運転支援制御ユニット11は、2回目のALC制御にて車線変更を開始するに際しては、その3[sec]前に車線復帰方向のウインカランプ31をONさせる。そして、運転支援制御ユニット11は、自車両Mが先行車Aの前方への車線変更が完了した後、2回目のALC制御を終了させる。
【0048】
ステップS24では、1回目のALC制御を開始する際の車線変更開始条件を判定する。この車線変更開始条件の判定は、図8に示す車線変更開始条件判定サブルーチンに従って実行される。
【0049】
このサブルーチンでは、1回目のALCを開始する前における各不可侵エリアAM,AA,ABの位置関係を調べる。先ず、ステップS61では、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAの後部とラップしているか否かを調べる。そして、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAとラップしていないと判定した場合は、ステップS62へ進む。又、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAの後部とラップしていると判定した場合は、ステップS63へ分岐する。
【0050】
ステップS62へ進むと、ステップS62,S64において、車両進行方向における自車不可侵エリアAMと隣車不可侵エリアABとの位置関係を調べる。そして、自車不可侵エリアAMが隣車不可侵エリアABの後に位置している場合は、ステップS66へ進む。又、自車不可侵エリアAMが隣車不可侵エリアABの前に位置している場合は、ステップS67へ進む。更に、自車不可侵エリアAMが隣車不可侵エリアABに対し、少なくとも一部がラップしている場合はステップS68へ進む。
【0051】
そして、ステップS66へ進むと、運転支援制御ユニット11は、車線変更開始条件フラグFT1を1にセットして(FT1←1)、図4のステップS25へ進む。又、ステップS67へ進むと、車線変更開始条件フラグFT1を2にセットして(FT1←2)、図4のステップS25へ進む。更に、ステップS68へ進むと、車線変更開始条件フラグFT1を3にセットして(FT1←3)、図4のステップS25へ進む。
【0052】
一方、ステップS61からステップS63へ分岐すると、ステップS63,S65で、車両進行方向における自車不可侵エリアAMと隣車不可侵エリアABとの位置関係を調べる。そして、自車不可侵エリアAMが隣車不可侵エリアABの後に位置している場合は、ステップS69へ進む。又、自車不可侵エリアAMが隣車不可侵エリアABの前に位置している場合は、ステップS70へ進む。更に、先車不可侵エリアAAが隣車不可侵エリアABに対し、少なくとも一部がラップしている場合はステップS71へ進む。
【0053】
そして、ステップS69へ進むと、運転支援制御ユニット11は、車線変更開始条件フラグFT1を4にセットして(FT1←4)、図4のステップS25へ進む。又、ステップS70へ進むと、車線変更開始条件フラグFT1を5にセットして(FT1←5)、図4のステップS25へ進む。更に、ステップS70へ進むと、車線変更開始条件フラグFT1を6にセットして(FT1←6)、図4のステップS25へ進む。従って、FT1=6の場合、自車不可侵エリアAMの前部が先車不可侵エリアAAとラップし、自車不可侵エリアAMの後部が隣車不可侵エリアABとラップしていることになる。
【0054】
図4のステップS25へ進むと、1回目のALC制御を開始する前の車両M,Bの車速VM,VBと車両M,Bに設定した不可侵エリアAM,ABの位置関係に基づき、自車両Mが1回目のALC制御による車線変更を完了した際の、不可侵エリアAM,ABの位置関係を予測する。この車線変更完了条件の予測は、図9に示す車線変更完了予測サブルーチンに従って処理される。尚、上述したように、本実施形態では、車線変更を5[sec]で完了するように設定されている。
【0055】
このサブルーチンでは、先ず、ステップS81で自車不可侵エリアAMが隣車不可侵エリアABとラップするか否かを予測する。そして、自車不可侵エリアAMが隣車不可侵エリアABとラップしないと予測した場合は、ステップS82へ進む。又、自車不可侵エリアAMが隣車不可侵エリアABとラップすると予測した場合は、ステップS85へ分岐する。
【0056】
又、ステップS82へ進むと、自車不可侵エリアAMが隣車不可侵エリアABの前に位置するか否かを予測する。そして、自車不可侵エリアAMが隣車不可侵エリアABの前に位置していると予測した場合はステップS83へ進む。又、自車不可侵エリアAMが隣車不可侵エリアABの後に位置すると予測した場合はステップS84へ分岐する。
【0057】
ステップS83へ進むと、車線変更完了条件フラグFT2を1にセットして(FT2←1)、図4のステップS26へ進む。又、ステップS84へ進むと、車線変更完了条件フラグFT2を2にセットして(FT2←2)、図4のステップS26へ進む。更に、ステップS85へ進むと、車線変更完了条件フラグFT2を3にセットして(FT2←3)、図4のステップS26へ進む。
【0058】
ステップS26では、自車両Mを2回目のALC制御により隣車線から元の車線へ復帰させようとする際の条件である各車両M,A,Bの位置関係を、ステップS21~S23で検出した自車両Mと先行車A及び隣車線車Bとの相対車速に基づいて予測する。上述したように、2回目のALC制御による自車両Mの車線復帰は、自車不可侵エリアAMの後部に設定したカット部AMcが先車不可侵エリアAAの前部に設定したカット部AAcを越えた後に開始される。
【0059】
この車線復帰開始条件の予測は、図10に示す車線復帰開始条件予測サブルーチンに従って処理される。このサブルーチンでは、先ず、ステップS91で、運転支援制御ユニット11は、自車両Mが隣車線を走行していると仮定した場合において、自車不可侵エリアAMが隣車不可侵エリアABの前に位置するか否かを予測する。そして、自車不可侵エリアAMが隣車不可侵エリアABの前に位置すると予測した場合はステップS92へ進む。又、自車不可侵エリアAMが隣車不可侵エリアABの前には位置しないと予測した場合はステップS93へジャンプする。
【0060】
ステップS92へ進むと、自車不可侵エリアAMは先車不可侵エリアAAの進行方向における後に位置するか否かを予測する。そして、自車不可侵エリアAMは先車不可侵エリアAAの後に位置すると予測した場合はステップS99へ進み、それ以外の場合は、ステップS94へ分岐する。
【0061】
ステップS94では、自車不可侵エリアAMは先車不可侵エリアAAの進行方向における前に位置するか否かを予測する。そして、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAの前に位置すると予測した場合は、ステップS100へ進む。又、自車不可侵エリアAMに対して先車不可侵エリアAAの少なくとも一部がラップしている場合は、ステップS101へ分岐する。
【0062】
一方、ステップS91からステップS93へ分岐すると、運転支援制御ユニット11は自車不可侵エリアAMが隣車不可侵エリアABの後に位置するか否かを予測する。そして、自車不可侵エリアAMが隣車不可侵エリアABの後に位置すると予測した場合は、ステップS95へ進む。又、自車不可侵エリアAMは隣車不可侵エリアABの後に位置しないと予測した場合は、ステップS96へ分岐する。
【0063】
ステップS95へ進むと、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAの後に位置するか否かを予測する。そして、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAの後に位置すると予測した場合は、ステップS102へ進む。又、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAの後には位置しないと予測した場合は、ステップS97へ分岐する。
【0064】
ステップS97では、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAの前に位置するか否かを予測する。そして、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAの前に位置すると予測した場合は、ステップS103へ進む。又、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAの前には位置しないと予測した場合は、ステップS104へ分岐する。
【0065】
又、ステップS93からステップS96へ分岐すると、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAの後に位置するか否かを予測する。そして、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAの後に位置すると予測した場合は、ステップS105へ進む。又、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAの後には位置しないと予測した場合は、ステップS98へ分岐する。
【0066】
ステップS98では、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAの前に位置するか否かを予測する。そして、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAの前に位置すると予測した場合は、ステップS106へ進む。又、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAの前には位置しないと予測した場合は、ステップS107へ分岐する。
【0067】
そして、ステップS99へ進むと、車線復帰開始条件フラグFT3を1にセットして(FT3←1)、図2のステップS5へ進む。ステップS100へ進むと、車線復帰開始条件フラグFT3を2にセットして(FT2←2)、図2のステップS5へ進む。ステップS101へ進むと、車線復帰開始条件フラグFT3を3にセットして(FT3←3)、図2のステップS5へ進む。ステップS102へ進むと、車線復帰開始条件フラグFT3を4にセットして(FT3←4)、図2のステップS5へ進む。ステップS103へ進むと、車線復帰開始条件フラグFT3を5にセットして(FT3←5)、図2のステップS5へ進む。
【0068】
ステップS104へ進むと、車線復帰開始条件フラグFT3を6にセットして(FT3←6)、図2のステップS5へ進む。ステップS105へ進むと、車線復帰開始条件フラグFT3を7にセットして(FT3←7)、図2のステップS5へ進む。ステップS106へ進むと、車線復帰開始条件フラグFT3を8にセットして(FT3←8)、図2のステップS5へ進む。又、ステップS107へ進むと、車線復帰開始条件フラグFT3を9にセットして(FT3←9)、図2のステップS5へ進む。
[追越スケジュール生成]
そして、図2のステップS5へ進むと、運転支援制御ユニット11は、ALC制御を実行する際の追越スケジュールを生成して、ステップS6へ進む。ステップS5で生成する追越スケジュールは、上述したステップS4の追越条件判定で設定した各フラグを、予め設定されている追越スケジュールモードマップに照合し、ALC制御を実行するモードを選択するものである。
【0069】
そして、選択したモードに従い、隣車線へ車線変更する際の1回目のALC制御と元の車線へ復帰させる2回目のALC制御を巡航で行うか、一旦加速させた後、或いは減速させた後に行うかの追越スケジュールを生成する。図30に追越スケジュールモードマップの概念を示す。同図に示すように、本実施形態による追越スケジュールモードマップには異なる追越スケジュールを有する第1~19追越モードが設定されている。
【0070】
そして、この第1~19追越モードに対し、図4のステップS21~S24で設定したフラグFMA,FMB,FAB、FT1~FTの値を照合し、対応する追越モードを選択する。対応する追越モードが検索されない場合、追越条件は不成立となる。例えば、M/A相対速フラグFMA=1、車線変更開始条件フラグFT1=4,5、車線変更完了条件フラグFT2=3、車線復帰開始条件フラグFT3=1,4,3,6,7,9の何れかの場合、追越スケジュールモードマップには対応する追越モードが設定されていないので追越条件は不成立となる。
【0071】
又、追越スケジュールモードマップ上においても、フラグFMA,FMB,FAB、車線変更開始条件フラグFT1の値が第7追越モードに対応する場合、追越条件は不成立となる。すなわち、第7追越モードの態様では、1回目のALC制御を実施しても、先行車Aを追越すことはできないので追越制御は中止される。
【0072】
本実施形態では、図30に示す追越スケジュールモードマップにおける第1~6、第8~19の追越モードの何れかが選択された場合、追越条件成立となる。尚、追越スケジュールマップに格納されている車線変更後位置とは、選択した追越モードに従って自車両Mを1回目のALC制御させた際に、自車両Mが隣車線車Bの前に車線変更されるか、隣車線車Bの後に車線変更されるかの位置を記載したものである。この車線変更後位置は選択した追越モードによって決定される。
【0073】
又、追越スケジュールマップに格納されているALC制御は、「巡航」、「変更前加速」、「変更前減速」、「変更後加速」、「変更後加速」の4態様が設定されている。ここで、「巡航」は現在の車速を維持した状態で1回目と2回目のALC制御を実行させるものである。「変更前加速」は、1回目のALC制御を実行させるに際し、自車両Mを加速させて車速VMを目標車速に到達させた後に車線変更を実行させる。この目標車速は2回目のALC制御が完了するまで維持される。尚、加速度は1[m/s2]とし、例えば、50[Km/h]で走行している場合は、1[sec]で60[Km/h]に達することを想定している。
【0074】
「変更前減速」は、1回目のALC制御を実行させるに際し、自車両Mの車速VMを目標車速まで減速させた後に車線変更を実行させる。この目標車速は2回目のALC制御が完了するまで維持される。尚、減速度(負の加速度)は1[m/s2]とし、例えば、50[Km/h]で走行している場合は、1[sec]で40[Km/h]まで低下させることを想定している。
【0075】
「変更後加速」は、隣車線を走行している自車両Mに2回目のALC制御を実行させるに際し、自車両Mを加速させて車速VMを目標車速に到達させる。そして、その後2回目のALC制御を実行させる。「変更後減速」は、2回目のALC制御を実行させるに際し、自車両Mの車速VMを目標車速まで減速させてから、2回目のALC制御を実行させる。尚、「変更後加速」、「変更後減速」における加速度、減速度(負の加速度)は上述した「変更前加速」、「変更前減速」と同じである。
【0076】
因みに、図11~29に、第1~19追越モードに対応した1回目のALC制御前の各車両M,A,Bの初期状態を示す。ここで、第7追越モードは、自車不可侵エリアAMの前後が先車不可侵エリアAA及び隣車不可侵エリアABとラップしており(FT1=6)、且つ、先行車速VAと隣車線車速VBとが同じである。従って、例えば、1回目のALC制御を行う際に、自車速VMを一旦減速させ、自車速VMを隣車線車速VB以下まで低下させた後、隣車線車Bの後に車線変更させたとしても、先行車Aを追越すことはできない。
【0077】
これに対し、 図13に示す第3追越モードは、第7追越モードと同様、自車不可侵エリアAMの前後が先車不可侵エリアAAと隣車不可侵エリアABに挟まれており、且つ、先行車速VAと隣車線車速VBとが同じである。しかし、自車不可侵エリアAMの前部が先車不可侵エリアAAよりも後方にあるため(FT1=3)、1回目のALC制御を実行する前に加速させ、自車両Mを先行車Aに接近させ、自車不可侵エリアAMと隣車不可侵エリアABとの間にスペースを確保する。
【0078】
これにより、1回目のALC制御を実行可能にする。その際、自車不可侵エリアAMの前部と先車不可侵エリアAAの後部にカット部AAcが設けられているため、自車不可侵エリアAMの先端が先車不可侵エリアAAの後端と一致した状態で車線変更しても、自車不可侵エリアAMが先車不可侵エリアAAとラップすること無く、スムーズな車線変更が可能となる。
【0079】
又、図14に示す第4追越モードは、上述した図17に示す第7追越モードと同様、自車不可侵エリアAMの前後が先車不可侵エリアAAと隣車不可侵エリアABとラップしている(FT1=6)。しかし、第4追越モードの隣車線車Bの車速VBは先行車Aの車速VAよりも速い(VB>VA)。従って、1回目のALC制御を実行する前に減速させて、自車速VMを隣車線車速VBよりも遅くして(但し、VM>VAの範囲)、隣車線車Bを通過させた後、自車両Mを隣車線車Bの後ろに車線変更させることで、先行車Aを追越すことができる。
【0080】
これに対し、図19に示す第9追越モードは、隣車線車Bが自車両M及び先行車Aの前方を走行しているため、1回目のALC制御は巡航状態で可能である。しかし、先行車Aの車速VAが隣車線車Bの車速VBよりも速いので、両車両A,Bの車間距離は次第に狭くなる。従って、自車両Mが隣車線に車線変更した後、加速させて自車速VMを増加させ、先行車Aを素早く追越した後、2回目のALC制御を実行させることで、自車両Mを元の車線にスムーズに復帰させることができる。
【0081】
又、図20に示す第10追越モードは、上述した図17に示す第7追越モードと同様、自車不可侵エリアAMの前後が先車不可侵エリアAAと隣車不可侵エリアABとラップしている(FT1=6)。しかし、第10追越モードの隣車線車Bの車速VBは先行車Aの車速VAよりも遅い(VA>VB)。従って、1回目のALC制御を実行する前に減速させ(但し、VM>VBの範囲)、自車不可侵エリアAMの前方を先車不可侵エリアAAから離間させ、1回目のALC制御に要するスペースを確保することで、隣車不可侵エリアABの前方にスムーズに車線変更させることができる。
【0082】
一方、図23に示す第13追越モードは、自車不可侵エリアAMの後部が隣車不可侵エリアABとラップしており(FT1=3)、しかも、隣車線車速VBが先行車速VAよりも速い(VB>VA)。従って、自車速VMを減速させて隣車線車Bの後ろに車線変更させることも可能である。しかし、1回目のALC制御を実行する前に加速させて、自車速VMを増速させた状態で隣車不可侵エリアABの前に車線変更させることで、運転者の意思に沿ったスムーズな車線変更が可能となる。
【0083】
又、図24に示す第14追越モードは、自車不可侵エリアAMの前部が先車不可侵エリアAAとラップし、後部が隣車不可侵エリアABとラップしている(FT1=6)。しかし、隣車線車速VBが先行車速VAよりも速いため(VB>VA)、自車速VMを減速させた後(但し、VM>VAの範囲)、隣車線車Bの後方に車線変更させることで先行車Aを追越すことが可能となる。
【0084】
図25に示す第15追越モードは、自車両Mを隣車線へ移動させる1回目のALC制御は巡航状態で実行できるが、隣車線車Bの車速VBが自車両Mの車速VMよりも遅い(VM>VB)。そのため、自車速VMを減速させて自車不可侵エリアAMを隣車不可侵エリアABに近接させた後、2回目のALC制御を実行させて、自車両Mを車線復帰させる。
【0085】
図28に示す第18追越モードは、自車両Mを隣車線へ移動させる1回目のALC制御は巡航状態で実行できるが、隣車線車Bの車速VBが自車両Mの車速VMよりも遅い(VM>VB)。そのため、1回目のALC制御後、自車速VMを減速させ、自車不可侵エリアAMを隣車不可侵エリアABに近接させた後、2回目のALC制御を実行させる。
【0086】
図29に示す第19追越モードは、自車不可侵エリアAMの前後が先車不可侵エリアAAと隣車不可侵エリアABとにラップしている(FT1=6)。しかし、隣車線車速VBが先行車速VAよりも速いため(VA<VB)、自車速VMを減速させた後(但し、VM>VAの範囲)、隣車線車Bの後方に1回目のALC制御を実行させることで、先行車Aを追越すことが可能となる。
[追越条件成立判定~追越制御実行]
その後、ステップS6へ進むと、追越条件が成立したか否かを調べる。上述したように、現在の走行状態に基づいて設定された追越条件が追越スケジュールモードマップに設定されている第1~6、第8~19追越モードの何れかに該当する場合は追越条件成立と判定し、ステップS7へ進む。又、追越条件が第1~6、第8~19追越モードの何れにも該当しない場合、追越条件不成立と判定してルーチンを抜ける。
【0087】
ステップS7へ進むと、運転支援制御ユニット11は自動運転中において、報知装置35を起動させて追越制御を起動させる旨を運転者に報知して、ステップS8へ進む。ステップS8では、運転者からの追越制御を承認する旨の指示が、予め設定された時間(例えば、0.5~1[sec])内にあるまで待機する。追越制御の承認があるか否かは、例えば、運転者が車線変更側のウインカスイッチ26をONしたか否かで判定する。
【0088】
そして、追越制御を承認する運転者からの指示が無い場合はそのままルーチンを抜ける。一方、運転者からの追越制御を承認する指示を検出した場合は、ステップS9へ進み、運転支援制御ユニット11は追越制御を実行してルーチンを抜ける。尚、このステップS9での処理が、本発明の追越制御実行部に対応している。
【0089】
運転支援制御ユニット11は、選択した追越モードに設定されているスケジュールに従って追越制御を実行して、自車両Mを先行車Aの前方に車線復帰させる。以下、選択した追越モードに設定されているスケジュールに従って先行車を追越す制御態様について例示する。
[第12追越モード]
図31A図31Bに示す第12追越モードに従って先行車Aを追越す制御態様を示す。ここで、各車両M,A,Bの不可侵エリアAM,AA,AMは前方距離LM,LA,LBをTTC=3[sec]に基づいて設定する。従って、不可侵エリアAM,AA,AMの全長は、前方距離LM,LA,LBに車両全長を加算した長さとなる。因みに、図においては、自車速VM=60[Km/h]、先行車速VA=40[Km/h]、隣車線車速VB=50[Km/h]としており、従って、LM=50[m]、LA=33[m]、LB=42[m]となり、各車両M,A,Bの全長は6[m]としている。又、1回の車線変更は開始から5[sec]で完了するように設定されている。
【0090】
第12追越モードの追越条件が成立した場合、運転支援制御ユニット11は、先ず、追越を開始する3[sec]前に車線変更する側のウインカランプを点灯させる。そして、3[sec]経過後に隣車線への1回目のALC制御を開始する。不可侵エリアAMとAAとのラップ時間TTC_Aを3[sec]とした場合、両車両M,Aの速度差が20[Km/h]であるため、少なくともウインカランプを16.5[m]手前でウインカランプの点灯を開始すれば、ラップ時間TTC_Aで車線変更を開始することができる。尚、図においてはウインカランプの点灯を開始した際のエリア間距離L_Aが34[m]で、ALC制御は巡航状態で行うように設定されている。
【0091】
その後、5[sec]かけて車線変更を完了させる。車線変更が完了する前に、自車不可侵エリアAMの先端と先車不可侵エリアAAの後端とが横方向でほぼ一直線となる状態があっても、この各不可侵エリアAM,AAの四隅はTTC=1[sec]分のカット部AMc,AAcが設定されているため、自車不可侵エリアAMは先車不可侵エリアAAとラップすることなく、車線変更を完了させることができる。その後、自車速VMと先行車速VAとの速度差20[Km/h]で先行車Aを追越す。尚、図31A,31Bのハッチング矢印1sは、共通の時間を示している。
【0092】
次いで、自車不可侵エリアAMの後部に設定したカット部AMcが先車不可侵エリアAAの前部に設定したカット部AAcに横方向でラップした際に、元の車線へ復帰させる2回目のALC制御を開始する。自車速VM=60[Km/h]、隣車線車速VB=50[Km/h]であり、速度差は10[Km/h]であるため、自車両Mが先行車Aを追越した後、先車不可侵エリアAAの前方へ2回目の車線移動をする際に、ラップ時間TTC_Bを3[sec]とした場合、エリア間距離L_Bは、少なくとも8.5[m]程度あれば良いことになる。
【0093】
そして、5[sec]経過後に車線復帰を完了する。車線変更の途中で自車不可侵エリアAMの後部が先車不可侵エリアAAとラップし、又、自車不可侵エリアAMの後部が隣車不可侵エリアABとラップする状態が生じても、カット部AAc,ABcが設定されているため、自車不可侵エリアAMが不可侵エリアAA,ABとラップすることはない。
[第13追越モード]
次に、図32A図32Bに第13追越モードに設定されているスケジュールに従って先行車Aを追越す制御態様を示す。ここで、自車両Mの加速度を1[m/s2]とし、1[sec]で50[Km/h]を60[Km/h]に到達するように設定されている。又、同図では、自車速VM=50[Km/h]、先行車速VA=30[Km/h]、隣車線車速VB=40[Km/h]で走行しているものとする。
【0094】
第13追越モードの追越条件が成立した場合、運転支援制御ユニット11は、先ず、追越を開始する3[sec]前に車線変更する側のウインカランプを点灯させると共に、加速を開始させる。
【0095】
その後、自車速VMが60[Km/h]に達すると共に3[sec]が経過し、且つ、自車不可侵エリアAMの後部に設定されているカット部AMcが隣車不可侵エリアABの前部に設定されているカット部ABcとラップした後、隣車線への1回目のALC制御を開始する。そして、5[sec]かけて車線変更を完了させる。
【0096】
次いで、自車両Mの加速後の車速VM=60[Km/h]を維持した状態で、隣車線を走行し、先行車Aを追越す。尚、図32A,32Bのハッチング矢印3sは、共通の時間を示している。
【0097】
そして、自車不可侵エリアAMの後部に設定されているカット部AMcが先車不可侵エリアAAの前部に設定されているカット部AAcとラップした後、元の車線へ復帰させる2回目のALC制御を開始し、5[sec]かけて車線変更を完了させる。2回目のALC制御が完了した後、自車速VMを初期の50[Km/h]に戻す。
[第14追越モード]
次に、図33A図33Bに第14追越モードに設定されているスケジュールに従って先行車Aを追越す制御態様を示す。ここで、自車両Mの減速度(負の加速度)を1[m/s2]とし、1[sec]で60[Km/h]が50[Km/h]まで低下するように設定されている。又、同図では、自車速VM=60[Km/h]、先行車速VA=20[Km/h]、隣車線車速VB=50[Km/h]で走行しているものとする。
【0098】
第14追越モードによる追越制御を実行するに際し、運転支援制御ユニット11は、先ず、追越制御を開始する3[sec]前(図においては、自車不可侵エリアAMの先端が隣車不可侵エリアABの手前4.17[m]の位置)において、車線変更する側のウインカランプを点灯させると共に、減速を開始させる。
【0099】
その後、3[sec]が経過し、自車速VMが50[Km/h]まで減速され、且つ、自車不可侵エリアAMの先端が隣車不可侵エリアABと横位置が一致する手前、或いは一致した際に、隣車線への1回目のALC制御を開始する。そして、5[sec]かけて車線変更を完了させる。
【0100】
その後、自車両Mを隣車線車Bに追従させた状態で隣車線をさせて先行車Aを追越す。尚、図33A,33Bのハッチング矢印3sは、共通の時間を示している。
【0101】
そして、自車不可侵エリアAMの後部に設定されているカット部AMcが先車不可侵エリアAAの前部に設定されているカット部AAcとラップした後、元の車線へ復帰させる2回目のALC制御を開始し、5[sec]かけて車線変更を完了させる。2回目のALC制御が完了した後、自車速VMを初期の60[Km/h]まで加速させて巡航状態へ移行させる。
[追越制御中断判定]
一方、システムが起動すると、運転支援制御ユニット11は、図34A図34Bに示す追越制御中断判定ルーチンが所定演算周期毎に実行される。
【0102】
このルーチンでは、先ず、ステップS111で、追越制御中か否かを調べる。追越制御中の場合、即ち、図2のステップS9で追越制御が実行されている場合、ステップS112へ進む。又、追越制御が実行されていない場合、ルーチンを抜ける。
【0103】
ステップS112へ進むと、車線変更は1回目か否かを、上述した追越制御の制御動作に基づいて調べる。そして、1回目の車線変更の場合はステップS113へ進む。又、2回目の車線変更の場合はステップS114へ分岐する。ここで、1回目の車線変更とは追越制御が起動し、1回目のALC制御を開始する迄をいう。又、2回目の車線変更とは1回目のALC制御が完了したのち、元の車線へ復帰する2回目のALC制御を開始する迄をいう。
【0104】
そして、1回目の車線変更と判定されてステップS113へ進むと、現在の自車速VMと先行車速VAとを比較する。そして、VA≧VMの場合、先行車Aを追越す必要がないため、ステップS116へジャンプする。又、VA<VMの場合、ステップS115へ進む。ステップS115では、現在の自車両Mと隣車線車Bとの不可侵エリアAM,ABの進行方向のエリア間距離L_Bを、現在の自車速VMと隣車線車速VBとの速度差ΔV_B(=VM-VB)で除算して、自車両Mが隣車線車Bに追いつく時間(TTC時間)を算出する。そして、このTTC時間(=L_B/ΔV_B)と車線変更開始後の残時間Tthとを比較する。
【0105】
この残時間Tthは次式から求める。
Tth←Tn-Tpast
ここで、Tnは車線変更時間であり、本実施形態では5[sec]に設定されている。又、Tpastは車線変更開始後の経過時間である。
【0106】
そして、(L_B/ΔV_B)<Tthの場合、1回目のALC制御を完了する前に、自車両Mが隣車線車Bに接近する可能性があると判定し、ステップS116へ進む。又、L_B/ΔV_B≧Tthの場合、車線変更時間Tnで車線変更を完了させることができると判定し、ルーチンを抜ける。
【0107】
一方、ステップS112にて2回目の車線変更と判定されてステップS114へ分岐すると、隣車線において隣車線車Bが自車両Mの前方を走行しているか後方を走行しているかを自車両Mと隣車線車Bとの位置関係から調べる。そして、前方を走行していると判定した場合はステップS117へ進む。又、後方を走行していると判定した場合はステップS119へジャンプする。
【0108】
隣車線車Bが自車両Mの前方を走行していると判定してステップS117へ進むと、自車速VMと隣車線車速VBとを比較する。そして、VB<VMの場合、ステップS118へ進む。又、VB≧VMの場合、自車両Mが隣車線車Bに接近することはないので、ステップS119へ分岐する。
【0109】
ステップS118へ進むと、TTC時間(=L_B/ΔV_B)と車線変更開始後の残時間Tthとを比較する。そして、(L_B/ΔV_B)<Tthの場合、2回目のALC制御を完了させる前に、自車両Mが隣車線車Bに接近する可能性があると判定し、ステップS116へ戻る。又、(L_B/ΔV_B)≧Tthの場合、ステップS119へ分岐する。
【0110】
ステップS114,S117,S118の何れかからステップS119へ分岐すると、2回目のALC制御を開始する際の自車速VMと先行車速VAとを比較する。そして、VA>VMの場合、自車両Mに先行車Aが接近する可能静があると判定しステップS120へ進む。又、VA≦VMの場合、2回目のALC制御が可能と判定し、ルーチンを抜ける。
【0111】
ステップS120へ進むと、自車両Mと先行車Aの不可侵エリアAM,AAとの進行方向のエリア間距離L_Aを、自車速VMと先行車速VAとの速度差ΔV_A(=VM-VA)で除算して、自車両Mが元に車線に車線変更する迄に先行車Aに追いつかれてしまう時間(TTC時間)を算出する。そして、このTTC時間(=L_A/ΔV_A)と車線変更開始後の残時間Tthとを比較する。
【0112】
(L_A/ΔV_A)<Tthの場合、2回目のALC制御を完了させる前に、先行車Aが自車両Mに接近する可能性があると判定し、ステップS116へ進む。又、(L_A/ΔV_A)≧Tthの場合、車線変更時間Tnで2回目のALC制御を完了させることができると判定し、ルーチンを抜ける。
【0113】
ステップS115,S118,S120の何れかからステップS116へ進むと、運転支援制御ユニット11は追越制御を中断してルーチンを抜ける。その結果、1回目の車線変更が中断された場合、運転支援制御ユニット11は、自車両Mを先行車Aに追従して走行するように制御する。又、2回目の車線変更が中断された場合、運転支援制御ユニット11は自車両Mが隣接車線を走行するように制御する。
【0114】
このように、本実施形態によれば、自車両Mが先行車Aを追越そうとするに際し、自車両Mと先行車Aと隣車線車Bとの位置関係、及び相対車速に基づき、自車両Mが先行車Aを追越して先行車Aの前方に車線復帰させる追越モードを、追越スケジュールモードマップを参照して設定する。そして、設定した追越モードに従って、1回目のALC制御による隣車線への車線変更から車線復帰するための2回目のALC制御を連続的に実行する。これにより、スムーズな追越が実現でき、運転者に与えるもたつき感や不快感を軽減することができる。
【0115】
尚、本発明は、上述した実施形態に限るものではなく、例えば、先行車Aを自動運転による追越制御で追越そうとするに際し、隣車線に車両(隣車線車)が走行していない場合であっても、例えば、図30に示す追越スケジュールモードマップの第5追越モードを代用することで、本実施形態による追越制御を実行することは可能である。
【0116】
更に、本実施形態による追越制御は、運転支援制御ユニット11が報知装置35から運転者に対して追越制御を実行する旨を報知する前に、運転者が車線変更側のウインカスイッチ26をONした場合、運転者指示による追越制御を開始させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0117】
1…運転支援装置、
11…運転支援制御ユニット、
21…前方認識センサ、
21a…メインカメラ、
21b…サブカメラ、
22…ALCスイッチ、
23…車速センサ、
24…前側方センサ、
25…後側方センサ、
26…ウインカスイッチ、
31…ウインカランプ、
32…加減速制御部、
33…ブレーキ制御部、
34…操舵制御部、
35…報知装置、
A…先行車、
AA,AB,AM…不可侵エリア、
AAc,ABc,AMc…カット部、
B…隣車線車、
FAB…先行車/隣車線車相対速フラグ、
FMA…自車両/先行車相対速フラグ、
FMB…自車両/隣車線車相対速フラグ、
FT1…車線変更開始条件フラグ、
FT2…車線変更完了条件フラグ、
FT3…車線復帰開始条件フラグ、
LM,LA,LB…前方距離、
L_A,L_B…エリア間距離、
M…自車両、
TTC_A,TTC_B…ラップ時間、
Tn…車線変更時間、
Tth…残時間、
VA,VB,VM…車速、
WM,WA,WB…(不可侵エリアの)幅、
ΔV_A,V_B…速度差
図1
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図31A
図31B
図32A
図32B
図33A
図33B
図34A
図34B